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- FILENAME: text_520110-0.txt
- 錦木 千束: 大きな町が動き出す前の静けさが好き 平和で安全、きれいな東京
- 錦木 千束: 日本人は規範意識が高くて、優しくて温厚 法治国家日本、首都東京には危険などない
- 錦木 千束: 社会を乱す者の存在を許してはならない 存在していたことも許さない 消して、消して、消して綺麗にする
- 錦木 千束: 危険は元々無かった
- 錦木 千束: 平和は私たち日本人の気質によって 成り立ってるんだ
- 錦木 千束: そう思えることが一番の幸せ それを作るのが私たち リコリスの役目…なんだってさ!
- カランカラン
- 錦木 千束: んん~なんだったんだぁ さっきの…
- 井ノ上 たきな: わかりません…とりあえず 楠木司令に報告を…
- 錦木 千束: 言っても信じないんじゃない?
- 錦木 千束: もしもし楠木さん…あーはい いやーあの、それがですねぇ
- 楠木: 「…何?保護対象の少女が消えただと?」
- 錦木 千束: そうそう、目の前で パッと消えちゃって…
- 錦木 千束: まさか、魔法…とか!?
- 井ノ上 たきな: …映画の見過ぎですよ、千束
- 錦木 千束: アハハ…冗談だってぇ…
- 楠木: 「こちらで確認した映像にも 何かノイズのようなものが走っ…」
- 楠木: ブツッ ツー…ツー…
- 錦木 千束: あれ、もしもーし もしもしもしもーし
- 錦木 千束: 切れちゃった
- 井ノ上 たきな: おかしいですね また通信障害でしょうか…
- 錦木 千束: まぁ…とりあえず クルミにでも調べてもらう?
- 錦木 千束: …って、あちゃー!今日は みんな出かけてるんだった
- 井ノ上 たきな: ええ、簡単な任務と聞いてたので みなさんで買出しに
- 井ノ上 たきな: 一度、電話してみます
- 井ノ上 たきな: 繋がりませんでした
- 井ノ上 たきな: ドローンから クルミに信号を送ってみましたが
- 井ノ上 たきな: こっちもダメみたいで
- 錦木 千束: やっぱ通信障害なんかね? ま、そのうち帰ってくるっしょ
- 井ノ上 たきな: ………… あの、おかしくないですか
- 錦木 千束: ん?何が?
- 井ノ上 たきな: 消えた少女に、切れた通話 クルミにも連絡がつかない
- 井ノ上 たきな: それに、さっきから 外の音もいつもと違う気がして
- 錦木 千束: そーんな ゾンビ映画みたいな…
- 錦木 千束: …………
- 錦木 千束: ちょっと様子見に出てみよっか ダイジョブダイジョブ
- 錦木 千束: ゾンビいたときの シミュレーションは
- 錦木 千束: めっちゃやってるから!
- カランカラン
- 井ノ上 たきな: …へっ?
- 錦木 千束: ここ…
- 千束の声: どこぉ!?
- FILENAME: text_520110-1_IrQve.txt
- 錦木 千束: ダメだぁ…やっぱり ぜんっぜん繋がらない
- 錦木 千束: …ていうか、たぶんスマホが 使い物になってないかも…
- 井ノ上 たきな: 店長も… ミズキさんにも繋がりません
- 錦木 千束: 最終手段でフキにまで 連絡したのに…!
- 錦木 千束: …ドアを開けたら知らない土地で 繋がらない電話…
- 錦木 千束: はっ…もしかして、これって 異世界トリップってヤツ!?
- 井ノ上 たきな: …映画の見過ぎです
- 井ノ上 たきな: テロや事件の可能性もあります 慎重に状況を確認しましょう
- 錦木 千束: んじゃ! とりあえず町を散策しよっか!
- 井ノ上 たきな: …状況確認のため、ですよね?
- 錦木 千束: もっちろん!
- 錦木 千束: おぉ…本当に知らない所だ どこだろうね、ここ
- 井ノ上 たきな: 延空木も旧電波塔もない… かなり離れた所のようですね
- 井ノ上 たきな: GPSを見てるんですけど 聞いたこともない地名で…
- 井ノ上 たきな: “神浜市”…知ってますか?
- 錦木 千束: 知らんわぁ…隣の県に行けば 市の名前なんてわかんないしなあ
- 井ノ上 たきな: なんか、マップも バグってるみたいなんですよね…
- 錦木 千束: …あ、わかった 実は今、VRの中とか!?
- 井ノ上 たきな: そんなわけないでしょ… VR機器なんてつけてませんし
- 錦木 千束: クルミならやりそうだけどなぁ
- 錦木 千束: でもさ、異世界トリップにしては めっちゃ現代っていうか
- 錦木 千束: どうせなら、もっとわかりやすく ファンタジーな展開があれば…
- 「きゃぁああああっ!」
- 錦木 千束: ――っ!?
- 井ノ上 たきな: 何か事件でしょうか
- 錦木 千束: 行こ!たきな!
- 井ノ上 たきな: あそこの屋上…! 人が落ちそうに…!
- 錦木 千束: っ…! 急ごう!
- ビュン
- 錦木 千束: …へ、今…誰か… 女の子が目の前を通ったよね!?
- 井ノ上 たきな: 見てください、あそこ!
- 錦木 千束: え、あの子もう屋上に!? いくらなんでも早過ぎない!?
- 井ノ上 たきな: …追いましょう 普通の人じゃありません
- 錦木 千束: うん、色々聞きたいしね
- 錦木 千束: あれ、誰もいない…?
- 井ノ上 たきな: …な、ここは…!?
- ΘΦщ∞∬β§!!
- 錦木 千束: うぉっ!?
- 錦木 千束: バ、バケモノ…!? やっぱ異世界…
- 錦木 千束: てか!やばいやばい! アイツら攻撃してくる!
- 井ノ上 たきな: っ…応戦します!
- 井ノ上 たきな: そんな…効いてない…!?
- 錦木 千束: うぉわ!?あっぶな!
- 井ノ上 たきな: !? ギリギリでしたね
- 井ノ上 たきな: もしかして、あれ 避けられないんですか?
- 錦木 千束: いや、まあ ある程度は読めるんだけど
- 錦木 千束: 攻撃の範囲とか動きとか 人と違うから難しいんじゃわ
- 井ノ上 たきな: マズいですね…
- 錦木 千束: これさ、ワンチャン夢かな~的な 淡い期待があったんだけど
- 錦木 千束: もしかして、ガチなあれ!?
- 錦木 千束: どっちにしたって やばい状況に変わりないけど…
- 井ノ上 たきな: 異世界だかなんだか知りませんが とにかくここから脱出しないと…
- ΘΦщβ§∞∬!!
- 錦木 千束: あ…これ、やば
- 錦木 千束: ねぇ、あ!あれ! さっきの子じゃない!?
- 井ノ上 たきな: 確かに…でも 服装が変わっているような…?
- フェリシア: これで、トドメだぁああッ!
- すー…すー…
- フェリシア: ん、こっちは大丈夫そうだな
- フェリシア: …てか、いま他に 魔法少女がいたような…
- フェリシア: まぁ…そうか 先にあいつらだな
- フェリシア: オイ、大丈夫か?
- 錦木 千束: はー…………
- フェリシア: あ?おい、オマエだぞ 生きてっか?
- 錦木 千束: …はっ、さっきの何!? 銃も効かなかったのに
- 錦木 千束: どうやってやったの?! 君、めっちゃスゴいね!!
- フェリシア: にゃっ!?
- 錦木 千束: ギリッギリのところで救出とか ヒーローじゃん!
- フェリシア: へ、あ、へへっ、まぁな! でもヒーローじゃねーぞ
- フェリシア: まほ…
- フェリシア: え?あーそうか… バレちゃまずいのか…えっと…
- フェリシア: おい、オマエら! オレはヒーローだぞ!
- 錦木 千束: すっげー!生ヒーロー! 初めてホンモノ見た!
- 錦木 千束: それなら、ヒーローさん! 私たち、助けてほしいんです!
- フェリシア: …あ?
- フェリシア: えー…あー …とりあえず、アイツ
- フェリシア: なんとかしてからでいいか?
- FILENAME: text_520110-2_IrQve.txt
- 錦木 千束: 喫茶リコリコの外に出た瞬間、異世界?に! そして謎のバケモノに襲われる… なんて大ピンチの私たちを助けてくれたのは 颯爽と現れたヒーローだった!
- フェリシア: んで、異世界トリップ? …って、なんだ?
- フェリシア: …あー他の世界から 来ちまった…って漫画じゃん!
- 錦木 千束: そうそう! かもしんないって感じなんだけど
- 井ノ上 たきな: というか、さっきから 誰と話してるんです?
- フェリシア: あ、そーか オマエらには見えないのか
- フェリシア: …まぁ、妖精…みてーなやつ! あー妖怪?どっちでもいいや
- 錦木 千束: ほほう、ヒーローものによくある お助けキャラ的な!
- フェリシア: そーそーそれ!
- フェリシア: まぁ、ヒーローのオレに 任せとけって!
- フェリシア: とりあえず、そのリコリコ? ってとこに行ってみようぜ!
- フェリシア: あぁ? ここ、みかづき荘の近くじゃん
- 井ノ上 たきな: みかづき荘…?
- フェリシア: オレたちが住んでる 家のことだぞ!
- 錦木 千束: ヒーローのアジトってこと? いーなー、見てみたいな~
- 井ノ上 たきな: …ここです
- フェリシア: …なに言ってんだオマエ これが、みかづき荘だぞ
- 錦木 千束: え、そうなの!? でも、中は喫茶リコリコなんだよ
- フェリシア: はぁ? んなことあるわけねーじゃん
- フェリシア: …あ?
- フェリシア: …あ?
- フェリシア: …あ?
- フェリシア: …………
- フェリシア: みかづき荘が! なくなっちまった!
- 錦木 千束: え、え、どうしよたきな… ヒーロー泣かせちゃったんだけど
- 井ノ上 たきな: …ギャン泣きですね
- ???の声: あれ、フェリシアちゃん もう帰ってたの?
- うい: …って、フェリシアさん 泣いてる…!?どうしたの!?
- やちよ: 何があったかわからないけど 近所迷惑になるから中で…
- 鶴乃: ほっ? そっちのふたりは?お友だち?
- 錦木 千束: いやその、ちょっとそこで 助けていただきまして…
- 錦木 千束: えーと、みなさんは ヒーローの…保護者、さん?
- うい: …ヒーロー?
- フェリシア: それより大変なんだよ! みかづき荘が!
- やちよ: …みかづき荘が、ない…
- いろは: 中身だけ 別の部屋になってるなんて…
- うい: おしゃれなカフェ…のようだけど えっと…どういうこと…?
- フェリシア: 今日からオレたち どこで寝たらいいんだよ!!
- 鶴乃: 待って待って、宿題! みかづき荘に置きっぱだ!
- やちよ: …と、とりあえず 落ち着きましょう…
- やちよ: 嘆いてもみかづき荘が 帰ってくるわけじゃないわ…
- やちよ: 立ち話もなんだから…
- 錦木 千束: えーっと…入ります? って、私たちがお邪魔する側?
- やちよ: 何があるかわからないし 一度、場所を変えましょう
- 井ノ上 たきな: どこへ行くんです?
- やちよ: …………こういう話なら “調整屋”がいいかもしれないわ
- みたま: いらっしゃ~い♪ 調整屋さんへようこそ~
- みたま: …って、あら見ない顔ね 新人さん…でもなさそうだし
- 錦木 千束: あはは…ども~… 異世界人カッコ仮です~
- みたま: みかづき荘と異世界の喫茶店で 中身が入れ替わった…?
- 十七夜: ふむ…訳が分からん 漫画みたいな話だな
- みたま: 魔力の反応もないし ふたりは魔法少女じゃないわよね
- 十七夜: テレパシーで声をかけても 反応なし…間違いなさそうだな
- やちよ: とはいえ、ついこの間まで マギウスの翼と戦っていたから
- やちよ: 知らない演技をしているとか どうしても警戒しちゃうわね…
- フェリシア: さなのこと見えてねーみたいだし さすがに魔法少女じゃないだろ
- 鶴乃: フェリシア、他になんか 気になったことない?
- フェリシア: あー、そういえば あのまま魔女と戦ってた
- フェリシア: 魔法少女じゃないのに 珍しいっつーかタフだよな
- うい: え、生身で戦ってたの…!?
- いろは: 普通の子じゃないのかな…?
- フェリシア: 銃も持ってたぞ あんま効いてなかったけどな
- やちよ: なっ…!?
- FILENAME: text_520110-3_IrQve.txt
- 錦木 千束: 喫茶リコリコが入れ替わっちゃったのは みかづき荘…という場所みたいで 私たちは、そこに住んでいる子たちに連れられて 調整屋というお店?みたいなところに来ていた
- 錦木 千束: ねね、たきな なんか、みんな黙っちゃったよ
- 井ノ上 たきな: …ええ、というかこんなところ ついてきて良かったんでしょうか
- 井ノ上 たきな: 黒幕がこの人たち… ということもありえますし
- 井ノ上 たきな: いいように、アジトへ 連れてこられたのかもしれません
- 錦木 千束: えーだってあの子 私たちを助けてくれたじゃーん
- 井ノ上 たきな: それは…そうですけど 信用するには早いですよ
- 錦木 千束: もしかしてー、ヒーローが 集まる秘密の場所だったり…
- 十七夜: …すまないが、君たちの 素性を聞いても構わないか
- 錦木 千束: うん、喫茶リコリコの看板娘 錦木千束っで~す!
- 井ノ上 たきな: …同じく喫茶リコリコの従業員 井ノ上たきな…です
- 十七夜: …真実か否か その心に聞かせてもらおう
- 錦木 千束: …へ?
- 十七夜: ………… ふむ、本当ではあるらしいな
- 十七夜: …だが、リコリス というのはなんだ…?
- 井ノ上 たきな: あなた、いったい何を…!
- 十七夜: 心を読ませてもらった
- 十七夜: こちらも銃を所持している人間を そう易々と信用できんのでな
- 井ノ上 たきな: くっ…!
- パシュッ
- 十七夜の声: な、なんだこれは…! ワイヤーか…!?
- 錦木 千束: ちょいちょいたきな! 何いきなり拘束してんの!?
- 井ノ上 たきな: リコリスを知られました このままというわけには…!
- やちよ: そこまでよ
- 井ノ上 たきな: は…いつの間に
- 錦木 千束: うわ…すごい気迫 手とか、上げといた方がいい?
- 井ノ上 たきな: 千束…この人たち かなりの手練れです
- やちよ: それに気づくあたりあなたたちも ただ者ではないわよね
- やちよ: …というか、そんな捕縛器具を 持ってるなんて、何者なの
- …………
- 錦木 千束: ちょ、ちょっとタンマ!
- やちよ: まだなにかする気?
- 錦木 千束: いやいやいや! 私たち、敵意はなくって…!
- 錦木 千束: たきなは真面目すぎると言うか… そのぉ、手が早いと言うか…
- 井ノ上 たきな: 千束がやらないからですよ
- 錦木 千束: ちょっとややこしくなるから たきなは一回黙ってて!
- 錦木 千束: …私たち、ここに 迷い込んじゃっただけで…!
- 錦木 千束: リコリスは 悪の組織ではないんです!
- 錦木 千束: たぶん!
- みたま: …どう、十七夜?
- 十七夜: …うむ、本心のようだな
- やちよ: …じゃあ、改めて 話を聞かせてもらえるかしら
- やちよ: その、リコリスについて
- 錦木 千束: …………
- 錦木 千束: いくらヒーロー相手でも 簡単には教えられないんだよね
- 錦木 千束: 心を読むとか不思議な力で ケンカ売ってきたのはそっちだし
- 錦木 千束: 先に、あなたたちのことを 教えてほしいかな
- 錦木 千束: さっきの力とか…お姉さんたちも 割とでっかい秘密…あるでしょ?
- 錦木 千束: やっぱさ 対等な関係で話したいじゃん?
- やちよ: …警戒からとは言え 確かに不平等だったわね
- やちよ: わかった 私たちの秘密も教える
- 錦木 千束: やっぱり、ヒーローとか 秘密結社とか…そんな感じ?
- やちよ: それは、少し違うわ
- やちよ: 私たちは、魔法少女
- やちよ: 願いをひとつ叶える代わりに 魔女と戦う使命を背負った存在
- 十七夜: ちなみに、心を読むのは 自分の専売特許だ
- 錦木 千束: 魔法少女…!
- 井ノ上 たきな: 魔女…ってことは、もしかして さっき会ったバケモノも…
- フェリシア: …まぁ、そんなとこだな
- いろは: 魔女のせいで犯罪や事故が 起きたりもするから
- いろは: それを防ぐために 魔女を倒してるの
- うい: みんなには 内緒なんだけどね
- 錦木 千束: それじゃあ、私たちと ちょっとだけ似てるかも
- フェリシア: ほら、こっちは教えたんだから 次はそっちの番だぞ
- 錦木 千束: あー…本当に言わなきゃダメ?
- 錦木 千束: 多分、知っちゃったら あなたたちも危ないんだけど…
- 十七夜: 言えないようなら、まるっと 心を読んでやってもいいが
- 錦木 千束: いやいやいや! それはなんか恥ずかしいし勘弁!
- 錦木 千束: んんん…まぁ…そうだよね
- 錦木 千束: 秘密教えてもらったし… 魔女…からも助けてもらったし
- 井ノ上 たきな: …言うつもりですか?
- 錦木 千束: うーん…しゃーない!
- 錦木 千束: その通り、私たちはリコリス!
- フェリシア: んで、リコリスってなんなんだ?
- 井ノ上 たきな: 独立治安維持組織 「DA」に所属する
- 井ノ上 たきな: 公的機密組織のエージェントです
- 井ノ上 たきな: 国の治安と秩序を守るため 事件や事故が起こる前に
- 井ノ上 たきな: 人知れず、犯罪者や テロリストを処分してます
- 錦木 千束: …DAのことまで言うとは…
- 井ノ上 たきな: えっ…だって千束が 言うって…
- 錦木 千束: いやぁ…ちょっとくらい フェイク入れるとかなんとか…
- 井ノ上 たきな: それなら、そうと 先に言ってください…!
- 錦木 千束: まぁー…そんな感じで!
- 錦木 千束: 誰も知らない間に 社会を乱す存在を消して
- 錦木 千束: みんなの住んでるところが 平和で安全な街だって思わせる
- 錦木 千束: それが 私たちリコリスの役目ってこと!
- いろは: 国を守る公的機密組織の エージェント…
- うい: 犯罪を未然に防いでる… 確かにちょっと似てるかも!
- 鶴乃: 学生服で拳銃を持って戦うとか なんか、なんかすごい!
- 井ノ上 たきな: この衣装が、一番 警戒されにくいんです
- 錦木 千束: 制服は都会の迷彩服ってわけ
- フェリシア: 映画みたいでかっけーじゃん!
- 錦木 千束: でっしょ~!
- 錦木 千束: って言っても、喫茶リコリコは 個人のためのリコリス、だけどね
- みたま: 個人のための?
- 錦木 千束: そう、困ってる人を助けるの! 保育園のお手伝いだってするし
- 錦木 千束: 外国語の先生とか ボディガードだってするよ~
- 錦木 千束: DAの支部ではあるんだけど まぁなんか、例外…的な?
- 錦木 千束: ただ、秘密のためなら ナンデモやっちゃう
- 錦木 千束: ヤバイ組織だから… 皆、内緒にしててね
- やちよ: えぇ…あなたの言う通り 知ったこっちが危険そうだもの…
- いろは: えっと…じゃあ、お互いに 秘密を共有できたということで
- うい: 仲直り…かな?
- 井ノ上 たきな: …はい、さっきはいきなり 攻撃してしまい、すみません
- 十七夜: いや、こちらも不躾に 心を読んですまなかった
- みたま: 銃を持ってるなんて聞いたから 警戒しちゃって
- 錦木 千束: アハハ… そりゃそうですよね…
- やちよ: …それで、あなたたちが 異世界から来たのだとして…
- やちよ: やっぱり 元の世界に帰りたいわよね
- 井ノ上 たきな: はいっ!
- やちよ: あなたたちにとっても きっと、そうであるように
- やちよ: 私たちにとっても みかづき荘は大事な場所なの
- 鶴乃: だから、ここはお互い居場所を 取り戻すために協力し合わない?
- 錦木 千束: うん、いいよねたきな!
- 井ノ上 たきな: はい、よろしくお願いします
- いろは: じゃあ…私たちは みかづき荘を取り戻すために
- 錦木 千束: 私たちは、喫茶リコリコと一緒に 元の世界へ帰るために!
- やちよ: 共同戦線を張りましょう
- やちよ: 改めて、私は七海やちよ よろしくね
- 錦木 千束: 錦木千束です! よっろしくー!
- 井ノ上 たきな: …井ノ上たきなです よろしくお願いします
- FILENAME: text_520110-4_IrQve.txt
- 錦木 千束: 心を読まれて、リコリスってことがバレたり… 一触即発の雰囲気だったけど なんとか潔白を証明できた私たちは やちよさんたちと一緒に 居場所を取り戻す共同戦線を張ることになった!
- 錦木 千束: じゃー、とりあえず 自己紹介も終わったことだけど
- 錦木 千束: 帰る方法って どうやって探すの?
- 鶴乃: まず、ふたりがこっちに 来たときのことを聞きたいかも
- うい: うん、何かあるとしたら きっとそのときだもんね!
- 井ノ上 たきな: …わかりました 私から説明します
- 井ノ上 たきな: 「ことの始まりは今から数時間前… 私たちは、DAからの指令で テロリストに監禁されている とある少女の保護に向かっていました」
- 井ノ上 たきな: 「私たちが現場へ到着したときには 他のリコリスによってテロリストの 主犯格は処理されていたので 残すは少女の保護のみだったのですが」
- 井ノ上 たきな: 「少女が、忽然と姿を消してしまい… 任務失敗として喫茶リコリコに帰還したところ 次に店を出たときには、ここへ…」
- やちよ: 少女が消えた…ね その前後に何か変わったことは?
- 錦木 千束: 楠木さん…DA本部の人と 電話してたんですけど急に切れて
- 井ノ上 たきな: …あと よくあることではありますが
- 井ノ上 たきな: 現場では保護対象の泣き叫ぶ声が 聞こえていました
- いろは: それは、怖くて…とかですか?
- 錦木 千束: どうだろ…どっちかというと テロリストが殺されて…かも
- うい: え…どうして? その人に捕まってたんだよね?
- 井ノ上 たきな: 報告によれば保護対象は 監禁されて長かったようなので
- 井ノ上 たきな: 犯人に対して好意的な感情を 抱いていたのかもしれません
- 鶴乃: ストックホルム症候群…だっけ 聞いたことがあるよ
- 井ノ上 たきな: はい…だからこそ、保護した上で 適切なフォローが必要でした
- 錦木 千束: 私たちが先に着いていれば 犯人も殺さず確保してたんだけど
- 錦木 千束: …そういえば 魔法で急に人が消えることって
- 錦木 千束: こっちの世界ではよくあるの?
- 十七夜: …君たちがここに来たのも含めて ありえないことではないな
- みたま: そうね、こっちの世界で何か 原因がないか探った方がいいかも
- 鶴乃: ちなみに、今も電話とかは 繋がらないんだよね?
- 井ノ上 たきな: はい、何度か試してますが ドローンから信号も送れません
- うい: ドローンってそれ? かっこいいね…!
- 錦木 千束: でしょ、うちの コンピューターの人が作ったんだ
- 錦木 千束: 本当なら 持ち主がドローンを通して
- 錦木 千束: こっちをモニターできる はずなんだけどね…
- みたま: 通信周りの問題か、もしくは 魔女やうわさの類が原因かしら
- 井ノ上 たきな: …魔女ってさっきの敵ですよね うわさって…噂ですか…?
- 鶴乃: この神浜市では、ちょっと前まで 都市伝説が本当になってたんだよ
- 錦木 千束: またファンタジー!
- いろは: 今は、もうないはずなんだけど… それがうわさって呼ばれてたんだ
- やちよ: もし、うわさ関連なら 柊さんへ聞きに行くのが早いわ
- やちよ: 確か、今日ならみふゆも ふたりと一緒にいるはずね
- うい: 機械の話なら、灯花ちゃんが 詳しいと思うし、それが良さそう
- 錦木 千束: えっと、その人たちって…?
- 十七夜: 天才のおガキ様たちと… 七海が昔組んでた魔法少女だ
- 井ノ上 たきな: この先にいるんですか? その、天才の人たち
- いろは: はい、最近は電波望遠鏡の方に いることが多くて…
- いろは: …あ
- やちよ: いろは、今の…
- いろは: はい…
- フェリシア: あ?どうしたんだよ
- やちよ: …あの子、数日前に魔女の 結界から助けた子なのよ
- フェリシア: 魔法少女じゃねーやつか じゃあ、良かったじゃん
- いろは: それが…あの子と一緒に 魔法少女の子が居たんだけど
- うっ…ァアアアアアア!
- 先輩!先輩…っ! いや…いやぁああ!
- 鶴乃: わたしたちが着いたときには もう、魔女に…
- フェリシア: あ? …ドッペルじゃなくてか?
- やちよ: 神浜市外だったのよ… もう少し、早ければ…
- 井ノ上 たきな: …みなさん、どうかしました? ずっと黙ってるみたいですけど
- やちよ: …いえ、なんでもないわ 先を急ぎましょう
- みふゆ: 千束さんも、たきなさんも 大変でしたね…
- ねむ: 異世界トリップ…というと これは、灯花の分野かな?
- 灯花: それより、ねむのうわさを 疑った方がいいんじゃないのー?
- ねむ: 今回の一件を実現するような うわさを作った覚えはないよ
- ねむ: …ただ、断定できないから 調べる必要はあると思うけどね
- 灯花: じゃあ、みかづき荘に行って 調査だねー
- ねむ: …特に、うわさの影響が あるようには見えないね
- 灯花: それにしても、この状況は すごく興味深いよ
- 灯花: 間取りも違うみかづき荘に 別の建物が入ってるんだもん
- 灯花: 物理の法則を無視してるなんて ちょっとワクワクしちゃうにゃー
- 灯花: あ、そうだ!通信についても 気になるって言ってたよね
- 井ノ上 たきな: あ、はい…これなんですけど
- ねむ: へぇ…よくできたドローンだね これは君達の仲間が作ったのかな
- 錦木 千束: うん!クルミ… うちのコンピューターの人!
- 錦木 千束: 天才ハッカーってヤツ?
- 灯花: ふーん…これを直せばクルミ っていう天才と話せるの?
- 錦木 千束: 繋がるとは思うけど… これ話せるっけ…
- 灯花: くふっ、ねむ わたくし良い考えがあるんだけど
- やちよ: …ちょっと待ちなさい 危ないことじゃないわよね
- 灯花: 異世界間で場所が入れ替わるより 危険なことなんてそうないよー
- みふゆ: それはそうですけど…
- 灯花: ねぇ、ねむはもう新しく うわさを作るのは無理なんだよね
- ねむ: そうだね、作ったら 死ぬ可能性すらある
- 灯花: それなら、既にあるうわさの力を ここにあるものへ合成するのは?
- ねむ: 程度によっては 不可能ではないけど…まさか
- 灯花: 危険性があるからってお蔵に していたうわさがあるでしょ?
- ねむ: …異世界電話のウワサ、だね
- ねむ: …確かに、あのウワサなら このドローンと繋げるかも…
- ねむ: それに異世界の天才と 話すことだって…
- いろは: 大丈夫なの…?
- ねむ: …むふっ、灯花も同じだろうけど 僕も別世界の天才に興味がある
- ねむ: 異世界と電話を繋げるか やってみる価値は大いにあるよ
- ねむ: …ふぅ、これでどうかな?
- 錦木 千束: マジ!? 直ったの!?
- 灯花: うわさの内容…都市伝説の内容を ほんの少しだけ書き換えて
- 灯花: ドローンを異世界電話にした って感じかにゃ
- ねむ: じゃあ千束 ドローンを動かしてもらえるかな
- 錦木 千束: わかった!
- …………ピッ
- クルミ: 「…お?お!やっと繋がったか! ん?こっちの声が聞こえているのか? 千束、たきな、どこにいるんだ! 喫茶リコリコが大変なんだよ!」
- 錦木 千束: クルミぃぃぃ! いま異世界~~!
- クルミ: 「はぁ!?バカ言うな! そんな非現実的なことあってたまるか」
- 錦木 千束: あったんだなそれが…
- 錦木 千束: それより 喫茶リコリコが大変って…
- クルミ: 「喫茶リコリコが知らない部屋になってる 今から映像を送るから見てみろ」
- クルミ: 「このザマだ」
- やちよ: ザマとは失礼ね それは私たちの家よ
- クルミ: 「はぁ、いったいどういうこと …っていうか、お前ら誰だ?」
- 錦木 千束: それがさ、こっちに 喫茶リコリコの中身があるんだよ
- やちよ: …そして、私たちは魔法少女 リコリス…と似た存在かもね
- クルミ: 「あー…もしかして、ボクは今 とてつもなく面倒なことに巻き込まれたのか?」
- 灯花: くふっ それじゃあ天才ハッカーさん
- 灯花: 一緒に議論しよーよ
- FILENAME: text_520110-5_IrQve.txt
- 錦木 千束: 灯花ちゃんたちの力によってクルミと 連絡が取り合えるようになった私たちは 早速、天才3人で状況を整理してもらうことに
- クルミ: 「要するに、喫茶リコリコと そっちのみかづき荘ってとこが入れ替わったと… しかも、異世界間で…信じたくないな」
- 灯花: でも、クルミの世界に 神浜市はないんだよねー?
- 灯花: 自分の常識でしか 物事を見られないだなんて
- 灯花: 天才って聞いた割には 期待はずれだにゃ~
- クルミ: 「ボクは電脳戦専門だから お前らみたいなのとはジャンルが違うんだ」
- クルミ: 「でもまあ、お前らの住む神浜市がない以外にも こっちとそっちじゃ異なる点が多すぎる… 異世界トリップなんて信じたくはないんだが それ以外、この現象に説明がつかない…」
- 錦木 千束: え、あ マジで異世界トリップ!?
- 井ノ上 たきな: …千束はそうだって ずっと言ってたじゃないですか
- 錦木 千束: だったら面白いとは思ったけど ガチって言われるとそれはそれで
- 灯花: とは言え、宇宙については 未知なことが多いから
- 灯花: わたくしたちでも 恐らく…としか言えないけどねー
- 井ノ上 たきな: …帰れるんでしょうか、私たち
- 灯花: うーん クルミはどう思う?
- クルミ: 「うわさとやらの力は借りたが電波は通じたんだ 灯花とねむ、それからボク… 3人が力を合わせれば もしかしたらなんとかなるかもな」
- 灯花: くふっ、だってさーねむ
- ねむ: 僕も同意見だよ…むふっ
- ねむ: では、早速だけど 君達に調べてほしいことがある
- 錦木 千束: うっひょ~! 私たち普通の学生じゃん!
- 井ノ上 たきな: …遊びに来たんじゃありませんよ あくまで調査なんですから
- 錦木 千束: んもう、つれないなぁ たきなちゃんはぁ~
- いろは: それにしてもすごいよね クルミちゃん…
- うい: うん…ハッキング?でふたりを 入学させちゃったんだもん
- ねむ: では、早速だけど 君達に調べてほしいことがある
- ねむ: この手の問題は大概 うわさが絡んでいるんだ
- ねむ: 具現化したものはないはずだけど 確実にないとは言い切れない
- ねむ: そこで、みんなには 聞き込み調査をしてきてほしい
- 井ノ上 たきな: 調査…ですか、いいですけど 意外と古典的なんですね
- 錦木 千束: せっかくDAの監視がないなら 楽しく調査がしたいよねー
- 錦木 千束: たとえば… 学校への潜入捜査とか!
- 井ノ上 たきな: 千束…遊んでる場合じゃ…
- ねむ: いいや、調査対象がうわさなら 学校への潜入は良い選択だよ
- 井ノ上 たきな: え
- 灯花: うわさの内容は、その特性上 若者に集まる傾向があるからね
- 井ノ上 たきな: そうは言っても潜入なんて DAの力もないし簡単には…
- クルミ: 「おっし、いろはたちが通っている 神浜市立大附属なら 数日限定で2名、入学可能だぞ」
- ねむ: …いったい何をやったのかな
- クルミ: 「ふふん、企業秘密だよーっと 言ったろ、お前らとは別ジャンルの“天才”って 心配しなくても、人に害は与えてないし 後処理も上手くやるから安心していいぞ」
- 錦木 千束: よっしゃ~~! 夢の学園生活だーい!
- うい: じゃあ、わたしはこっちだから もう行くね!
- 鶴乃: わたしも! また放課後に集まろう!
- いろは: ふたりは私と同じクラスだから 一緒に行きましょうか
- 錦木 千束: おっけー! 高校生活楽しみ~!
- いろは: え…あの…私たち 中学生ですよ…?
- 錦木 千束: えぇ!?いろはちゃんって 高校生じゃなかったの!?
- 錦木 千束: …てことは、私たち 華のJKになれないってこと!?
- クルミ: 「都合つくのが中等部しかなかったんだよ まぁ、精神年齢的には同じようなもんだろ お前らは、いろはにお守してもらえ」
- 錦木 千束: さすがに 無理ある気がするけどな~
- 井ノ上 たきな: …そういえば クルミも見えてるんですよね
- クルミ: 「あぁ、お前らがつけてる小型通信機があれば 遠くからでもある程度は会話できるし こっちから映像も見えてるから 多少のフォローは入れられるはずだ」
- クルミ: 「とは言え、そんなに必要ないだろうから ボクは基本的に灯花たちと通話をつないで 他に帰る方法を探しておくつもりだ」
- 錦木 千束: ありがと、クルミ! てか先生たちは元気?
- クルミ: 「ん?…あぁ、コーヒーが淹れられないせいか お前らがいないせいかわからないが いつもより元気がない気はするな まー、ミズキは特に変わりない」
- 錦木 千束: えー何ぃ? 先生ったら千束が恋しいんだ
- クルミ: 「恋しがってると言えば、喫茶リコリコも 開店できないから客たちが悲しんでるぞ 原稿が進まないって漫画家も嘆いてたな」
- クルミ: 「あと、DAには異世界なんて言っても 余計にややこしくなるからってミカが うまいことごまかしてはいるみたいだが さみしそうなアイツらのためにも早く帰る方法を 見つけてやるんだな」
- 錦木 千束: わかってるって~
- いろは: …ミカさんって?
- 錦木 千束: 喫茶リコリコの店長で んー、保護者みたいな感じ?
- いろは: じゃあ、みかづき荘で言えば やちよさんみたいな…?
- 錦木 千束: …いやあ、それ言ったら やちよさんに叱られると思うよ
- 錦木 千束: 先生 名前で勘違いされがちだけど
- 錦木 千束: オッチャンだから
- いろは: え、あ…てっきり女の人かと!
- 錦木 千束: んふふ、やっぱり?
- 井ノ上 たきな: とりあえず、行きましょうか千束 いろはさんも、お願いします
- いろは: あ、はい!千束さん、たきなさん よろしくお願いします!
- 錦木 千束: ノンノンノン!敬語はいらないよ ほら、同級生なんだしさ!
- いろは: はい…じゃなくて、うん!
- 錦木 千束: よろしい~~! じゃ、行くぜ!潜入捜査!
- FILENAME: text_520110-6_IrQve.txt
- 錦木 千束: 元の世界へ帰るために必要なのは 聞き取り調査…ってことで 私たちは学校への潜入捜査で憧れの転校生体験!
- では、自己紹介をお願いします
- 井ノ上 たきな: 井ノ上たきなです よろしくお願いします
- 錦木 千束: 錦木千束です! 仲良くしてね~!
- 錦木 千束: あとあと、噂話が好きだから 何かあったら教えて!
- レナ: ふ~ん、アンタたちが うわさについて調べてる人?
- いろは: うん、連絡網で伝えた 千束さんとたきなさん
- 錦木 千束: えーと…ってことは そちらも魔法少女の方?
- レナ: そう、レナもうわさには いろいろ迷惑かけられたのよ
- レナ: …で、元の世界へ帰るために うわさについて調べてるのよね?
- レナ: なんかわかったの?
- いろは: 高等部の方は鶴乃ちゃんたちに お願いしてるから
- いろは: 私たちは、これから中等部を 中心に回ろうかと思って
- レナ: ふーん…
- 錦木 千束: じゃ、一緒に聞き込み行こっか レナちゃん!
- レナ: は? いや、レナは…!
- 相野 みと: あれれ うわさってもう出ないんじゃ?
- 伊吹 れいら: あ、普通の噂話でもいいの? なんかあったっけ…
- 桑水 せいか: …あ、そういえば 聞いたことがあるかも…
- 五十鈴 れん: 「…確か、神浜市の外の話だって 梨花ちゃんたちが…言ってた…ような…」
- 木崎 衣美里: 「あーし、それ知ってるよ! 魔法少女ん中でちょっと話題になってっから! なんか、ある手順を踏むと 異世界に行けちゃうかもなんだって! マジでめっちゃヤバくない!?」
- 夏目 かこ: 「黄昏時、どこかにある屋上の扉を開くと その先には別世界が広がっているらしいです …そんな物語みたいなこと 本当にあるんでしょうか?」
- ももこ: おーい、いろはちゃーん レナーっ!
- ももこ: あれ、かえでもいたんだ
- かえで: 途中でレナちゃんにつかまって 一緒に回ってたんだぁ…
- かえで: レナちゃん、人見知りだから
- レナ: うっさいわね!
- ももこ: アハハ… で、キミたちが例の…?
- 井ノ上 たきな: はい、ももこさん…ですよね ご協力ありがとうございます
- ももこ: いいのいいの! それより、そっちはどうだった?
- 鶴乃: 異世界に繋がる屋上の噂… こっちと同じだね
- 錦木 千束: 私たちも そこから来たってこと?
- レナ: さあ、関係あるかは まだわかんないわよね
- ももこ: と言うか、肝心の屋上がある 場所がわかんないんだよな
- 錦木 千束: そうそう、それなのよー… 市外の話ってとこまでで…
- 井ノ上 たきな: …困りましたね 片っ端から屋上に行きます?
- 錦木 千束: そんなのやってらんないって!
- 錦木 千束: だからさ、放課後も 聞き込み調査しようよ!
- 井ノ上 たきな: …………それ 千束がしたいだけですよね
- 錦木 千束: やりたいこと最優先! だからね~ふふふ
- 井ノ上 たきな: …まったく 仕方ないですね
- 錦木 千束: だって~せっかく異世界に 来たんだから観光もしたいし
- 錦木 千束: あ、いろはちゃんたちは 悪いしつき合わなくていいよ
- いろは: えっ… でも、道とか大丈夫…?
- 錦木 千束: 私たちにはクルミもいるし なんとかなるなる!
- クルミ: 「ああ、道案内くらいヨユーだよ」
- いろは: うーん…でも、また魔女に 襲われたりしたら大変だし
- 鶴乃: じゃあ、わたしがふたりに ついていくよ!
- 井ノ上 たきな: そんな…千束の気まぐれに つき合わせるわけには…
- かえで: でも、魔法少女にも話を聞くなら 顔見知りが居た方がいいと思う…
- ももこ: うわさについて聞いて回るなんて 警戒されちゃうだろうからね
- 井ノ上 たきな: …確かに、一理あります
- 鶴乃: じゃあ、そういうことで!
- 鶴乃: いろはちゃんたちは、ねむに うわさのことを聞いといて!
- 鶴乃: 市外の屋上らしいから、うわさは 関係ないかもだけど…念のためね
- いろは: うん…! わかった!
- ももこ: アタシらも、いろいろと 聞いて回っておくよ
- 錦木 千束: ありがとう!ちょー助かる! じゃあ、行こ!鶴乃ちゃん!
- いろは: あ、ちょっと待って!
- いろは: うわさは神浜市特有のものだから 市外に出ないと思ってたんだけど
- いろは: もしも、出ることになったら 注意して欲しいことがあるんだ…
- FILENAME: text_520110-7_IrQve.txt
- 錦木 千束: 噂になっている屋上の場所を探すべく それから、もう少し学生気分を味わいつつ 異世界観光をするべく… 放課後にも聞き込み調査をすることになった 私たちだったけど
- 錦木 千束: ねむちゃんのうわさはこの件に関係なかったりと 調査は思ったよりも難航して この世界に来て早数日… 今日も私たちは鶴乃ちゃんと楽しく調査! いろはちゃんたちは後で合流するとか!
- 錦木 千束: ちなみに昨日はレナちゃんたちと 帰りにゲームセンターも行っちゃったり 異世界学生ライフを満喫中!なんだよね
- 錦木 千束: 神浜市にもだいぶ 慣れてきたな~
- 錦木 千束: 「鶴乃ちゃんちでやってる万々歳で 大盛の中華料理をたくさん食べたり」
- 錦木 千束: 「十七夜さん…じゃなくて なぎたんが働いてるメイド喫茶へ行ったり」
- 錦木 千束: 「他にも神浜市のいろんな所へ行って たくさんの人と会ったよね」
- 鶴乃: おぉ! 数日で神浜市を満喫してる!
- 井ノ上 たきな: …満喫してる場合じゃ ないんですけどね
- 井ノ上 たきな: ほら、人が来ましたよ 話を聞いてみましょう
- 井ノ上 たきな: 知ってますか? 異世界に繋がる屋上の噂…
- 空穂 夏希: 異世界…かどうかは わからないけど
- 空穂 夏希: ちょっと前…変なところに 迷い込んだことがあって…
- 錦木 千束: ほんと!? それ、どこだかわかる!?
- 空穂 夏希: 確か…えっと 地図を送りますね!
- 鶴乃: あ、ここならわたし 行き方知ってるよ!
- 錦木 千束: おおおお! いきなり進展だ!
- 鶴乃: 他に、何か 気になったことはあった?
- 空穂 夏希: うーん、近くに知らない 魔法少女がいたくらい…?
- 空穂 夏希: ショートヘアの子と 髪の長いふたり組…だったかな
- 空穂 夏希: でも、他の町に魔法少女がいても おかしくはないよねぇ
- 井ノ上 たきな: とりあえずは 他に収穫もありませんでしたし
- 井ノ上 たきな: くだんの屋上に行ってみますか?
- 錦木 千束: 市外って言ってたし ここらへんだよね?
- 鶴乃: うん、いろはちゃんたちも そろそろ来るって言ってたし
- 鶴乃: 合流したら、みんなで その屋上に行ってみよう!
- 鶴乃: ――っ!?
- 鶴乃: ごめん、ふたりとも ちょっと魔女倒してくる!
- 井ノ上 たきな: ひとりで大丈夫なんですか?
- 鶴乃: うん、ちょうどやちよたちも 向かってるみたいだし
- 鶴乃: わたし、最強の魔法少女だから! 少しだけ待ってて!
- 錦木 千束: 魔法少女…かっけー…
- 井ノ上 たきな: あの衣装は目立ちそうで 合理性を欠く気はしますが
- ???の声: やあ、魔法少女に 興味があるのかい?
- 錦木 千束: おわぁ!? なんじゃこれ!
- 井ノ上 たきな: ぬいぐるみが…喋ってる…!?
- キュゥべえ: ボクの名前はキュゥべえ 錦木千束、井ノ上たきな
- キュゥべえ: ボクと契約して 魔法少女になってよ
- キュゥべえ: その代わりに願い事を なんでもひとつ叶えてあげる
- 井ノ上 たきな: 願い事を…なんでも…
- キュゥべえ: ああ、どんな奇跡だって 起こしてあげられるよ
- キュゥべえ: さあ、どうかな?
- 千束&たきな: …………
- 錦木 千束: やなこったー!!
- 井ノ上 たきな: はい、いろはさんたちから 厳しく言われているので
- いろは: うわさは神浜市特有のものだから 市外に出ないと思ってたんだけど
- いろは: もしも、出ることになったら 注意して欲しいことがあるんだ…
- いろは: キュゥべえに会っても 契約はしないでほしいの
- 井ノ上 たきな: キュゥべえ…?
- 鶴乃: 白い、タヌキみたいなやつ!
- 鶴乃: モキュしか言わない子の方は 大丈夫だけど喋る方は要注意!
- ももこ: ああ、何を言われても やなこった!で逃げろ
- 井ノ上 たきな: ということで やなこった!です!
- キュゥべえ: そうか、残念だけど 無理強いはできない
- キュゥべえ: じゃあね 千束、たきな
- 錦木 千束: ふぃ~… まさか本当に現れるとはね…
- 錦木 千束: …でもさ、どうして 契約しちゃいけないんだろ
- 錦木 千束: 願いが叶って、かっこいい 魔法少女にもなれるんでしょ?
- 錦木 千束: そんなの 一石二鳥じゃんね?
- 井ノ上 たきな: …どうですかね
- 井ノ上 たきな: うまい話には 大概、裏があるもんでしょう
- FILENAME: text_520110-8_IrQve.txt
- 錦木 千束: キュゥべえを回避した私たちは 魔女を倒したいろはちゃんたちと合流して さっそく、噂の屋上へ!
- フェリシア: キュゥべえのヤツ マジで来たのかよ…
- 鶴乃: しかも、わたしが 魔女退治をしてる間に!
- やちよ: まったく… 油断も隙もないわね
- 錦木 千束: …っていうか、なんで 魔法少女になっちゃダメなの?
- いろは: ぁ…それは…えっと…
- やちよ: …着いたわよ 手順を教えてもらえる?
- 井ノ上 たきな: あ…は、はい! みなさんの話によれば…
- 井ノ上 たきな: 「黄昏時、その廃墟へ行き 一言もしゃべらずに屋上まで登ったあと 目をつむって屋上への扉を開けば 異世界へ行ける…と」
- うい: 意外とシンプルなんだね もっと複雑だと思ってた…
- 鶴乃: そりゃー運悪く 迷い込む子も出てくるわけだ
- やちよ: じゃあ、さっそく行きましょうか
- やちよ: 何があるかわからないし ふたりも武装はしておくことね
- 錦木 千束: りょーかい!
- ガチャ…
- 錦木 千束: へ…何、ここ…
- 井ノ上 たきな: 異世界…というには 不思議な空間ですが…
- 井ノ上 たきな: まず、噂は本当だった ということですね
- 井ノ上 たきな: クルミとも連絡がつきませんし 神浜市へ来た時と状況は似てます
- 錦木 千束: ちょっとちょっと なんでそんなに冷静なわけ!?
- やちよ: しっ…静かに!
- フェリシア: …誰かいるぞ
- うい: この反応…魔法少女?
- いろは: え…うそ…
- 鶴乃: …そんな、だって! あの子は!
- 井ノ上 たきな: あ、千束!あの人!
- 鶴乃&たきな: 「魔女になったはずじゃ…!」 「保護対象の少女です…!」
- たきな&鶴乃: え…
- やちよ: …あなたたちも 彼女を知ってるの?
- 井ノ上 たきな: …はい、私たちがここへ来る前に 消えてしまった保護対象です
- 鶴乃: そっちの世界とこっちとで 同じ顔の人がいるってこと?
- やちよ: そうとしか考えられないわ 魔女から、戻ることなんて…
- いろは: じゃあ、あの子は別人で…
- 錦木 千束: 私たちと一緒にこっちの 世界に来ちゃったってこと?
- 錦木 千束: え、待って…それより… さっきの…どういうこと?
- 井ノ上 たきな: …はい 魔女になったはず…と
- 錦木 千束: 魔法少女はヒーローで 魔女は敵…なんだよね?
- うい: …………
- やちよ: …魔女は 魔法少女の成れの果て
- やちよ: 「ひとつの願いと引き換えに 魔法少女になった私たちの命は この、ソウルジェムになる」
- やちよ: 「ソウルジェムが絶望で濁りきった時 魔法少女は、魔女になる」
- やちよ: それが、願いを叶える代償に 私たちが背負う宿命よ
- 錦木 千束: そんな… じゃあ、魔女って…元々は…
- 井ノ上 たきな: …………
- 井ノ上 たきな: そこら辺の話は、またあとで 私たちは彼女を保護しましょう
- 錦木 千束: …うん…そうだね
- …………
- 錦木 千束: ねえ、一緒に 元の世界へ帰らない?
- 錦木 千束: えーっと…まだ方法は 見つかってないんだけど…
- 井ノ上 たきな: その方法を見つけるためにも
- 井ノ上 たきな: あなたがここへ来た経緯を 聞きたいです
- 錦木 千束: うん、だから一緒に…
- …来ないで
- パァン
- 錦木 千束: ――っ!?
- いろは: 千束さん!
- フェリシア: オイ、アイツ今目の前で撃たれて 避けなかったか!?
- 鶴乃: それより、まずいよ 助けに行かなくちゃ!
- そうはさせません
- うい: …へ?
- 井ノ上 たきな: いろはさんたちが消えた…?
- 錦木 千束: …引き離されたね
- 助けなんかいらない 帰る場所なんてもうない
- アンタたちが、私から 居場所を、あの人を奪った…!
- 錦木 千束: …え
- だから、アンタらを居場所から 引きはがしてやったの
- 井ノ上 たきな: それって…
- 私の狙いはアンタたち 噂を流して正解だったわ
- 魔法少女が仲間についたのは ちょっと誤算だったけど
- 噂を信じてノコノコ この拠点まで来てくれるんだもの
- …アンタらの 墓になるところとも知らずにね
- ここで、死んでもらうわ
- …リコリス
- FILENAME: text_520110-9_IrQve.txt
- やちよ: まずい… 空間から弾き出されたわ
- フェリシア: おい、結局アイツ何者なんだよ オレわけわかんねーって
- いろは: 多分、千束さんたちの 世界から来た子かな…
- やちよ: それも、魔女になった少女と 瓜二つの…ね
- うい: あの人、千束さんたちを 怒ってるように見えたけど…
- 鶴乃: …たぶん、その通りだよ ほら、たきなが言ってたじゃん
- 井ノ上 たきな: 報告によれば保護対象は 監禁されて長かったようなので
- 井ノ上 たきな: 犯人に対して好意的な感情を 抱いていたのかもしれません
- 鶴乃: ストックホルム症候群…だっけ 聞いたことがあるよ
- 鶴乃: そのテロリストを 殺したのが千束たちの仲間
- 鶴乃: …リコリスなんだとしたら
- やちよ: 同じリコリスであるふたりに 恨みを抱いてもおかしくないわ
- フェリシア: じゃあ、やべーじゃん アイツら殺されちまうよ!
- フェリシア: さっきの声… 相手、ふたり組みてーだし!
- いろは: それに、あの子… 魔法少女だったよね
- うい: こっちに来てから 契約したってこと…?
- フェリシア: いくらアイツらが銃を持ってても 魔法少女ふたり相手じゃ…
- フェリシア: …つーか、あれ いま気づいたんだけど
- フェリシア: …さな、どこ行った?
- うい: ほんとだ…建物に入る前までは ずっといたよね?
- いろは: あ、そのことなら…
- ここで、死んでもらうわ
- …リコリス
- 錦木 千束: …そこまで知ってるんだ なら、怒るのも仕方ないか
- 井ノ上 たきな: どうします、千束
- 錦木 千束: なおさら、保護しなきゃだよ
- 井ノ上 たきな: 相手は武装していますが …命大事に、ですか?
- 錦木 千束: もちろん!
- 井ノ上 たきな: …わかりましたよ
- くっ
- 千束の声: おぉ~いい目してるね たきなの攻撃をよけるなんて
- 千束の声: まだ若そうだし リコリスの才能あるんじゃない?
- 誰が、リコリスなんかに…!
- 千束の声: そりゃそっか
- 錦木 千束: でも、熱くなりすぎるのが 君の欠点
- ――っ!?
- 錦木 千束: 悪いようにはしないから 一緒に帰ろうよ
- 邪魔しないでください
- 錦木 千束: ぅおっ!?
- 錦木 千束: あっぶな!
- 大丈夫ですか!? 先輩!
- ええ、助かったわ
- 錦木 千束: その姿…あの子が言ってた ふたり組の魔法少女…?
- 知ってるんだ、びっくりしました
- でも、あなた方が私たちを 知っているように
- 私も、あなた方を知っています 戦うなら、対策するべきですから
- 井ノ上 たきな: もしかして、あれ 避けられないんですか?
- 錦木 千束: いや、まあ ある程度は読めるんだけど
- 錦木 千束: 攻撃の範囲とか動きとか 人と違うから難しいんじゃわ
- フェリシア: …てか、いま他に 魔法少女がいたような…
- 一緒にいた魔法少女に バレそうで肝が冷えましたけど
- 錦木 千束: あっ!? …目が…!
- やっぱり…あなたは 目が弱点なんですね
- 錦木 千束: くっ…
- 錦木 千束: う…がは…っ
- 井ノ上 たきな: 千束っ!
- 行かせないわよ
- 井ノ上 たきな: お前…っ!
- トドメです…!
- 錦木 千束: っ…あぁあっ!
- 井ノ上 たきな: 千束…!
- 井ノ上 たきな: くっ…
- …行きましょう、先輩 …引き際です
- …えぇ
- 井ノ上 たきな: っ…待て!
- …アンタも思い知ればいい 奪われる苦しみを
- …よくやったわね
- …はい、先輩 私、もう覚悟はできました
- 井ノ上 たきな: …っ、消えた
- 井ノ上 たきな: はっ…千束!
- 井ノ上 たきな: 千束、千束ッ!
- 錦木 千束: …た、きな…
- 井ノ上 たきな: …血が!
- 錦木 千束: …ぁ、はは…ありゃ… 悪い…魔法少女、だったかぁ…
- 錦木 千束: …………
- 井ノ上 たきな: 千束…? 千束…!
- 井ノ上 たきな: 誰か…お願い…
- 井ノ上 たきな: 千束を、助けて…
- キュゥべえの声: ボクなら、その願いを 叶えることができるよ
- 井ノ上 たきな: …キュゥべえ
- FILENAME: text_520110-10_IrQve.txt
- 井ノ上 たきな: …キュゥべえ
- キュゥべえ: やあ、たきな
- キュゥべえ: どうやら、千束が 危険な状況みたいだね
- キュゥべえ: だけど、キミが願うのなら 千束を救うことができる
- 井ノ上 たきな: ひとつの願いと引き換えに 魔法少女となり
- 井ノ上 たきな: いつかは魔女になるという 宿命を背負えば、ですよね
- キュゥべえ: …………
- 井ノ上 たきな: わかりました…契約します 千束を救えるんですよね
- キュゥべえ: 大丈夫、キミの祈りは 間違いなく遂げられる
- 井ノ上 たきな: …なら、お願いします 千束を救って
- キュゥべえ: 「さあ、受け取るといい それがキミの運命だ」
- 井ノ上 たきな: …これが、魔法少女
- 井ノ上 たきな: はっ…千束は…!
- 錦木 千束: ん…すぅ…すぅ…
- 井ノ上 たきな: …よかった
- ???の声: …契約、しちゃったんですね…
- 井ノ上 たきな: ――っ!?
- 井ノ上 たきな: 誰…!
- さな: …ぁ、そっか… もう、見えるんですよね…
- さな: …その、ごめんなさい 助けられなくて…っ
- さな: あ、えっと…二葉さなです…っ 私、みかづき荘に住んでて…
- さな: その、何かあった時のために 私だけ、少し遠くにいたんです…
- やちよ: じゃあ、さっそく行きましょうか
- いろは: さなちゃん、ちょっとお願いが あるんだけど、いい?
- さな: あ、はい…なんでしょうか…?
- いろは: 市外だし、ないとは思うんだけど もし…うわさの類が原因だったら
- いろは: 周りにも影響が出たりして 誰も動けなくなっちゃうから
- いろは: さなちゃんは 遠くで待機しててほしくて
- さな: 何かあったときのために …ってことですよね
- いろは: うん、お願いできる?
- さな: …はい、わかりました 念のため気配も消しておきます
- さな: 実は…前からいたんですけど 私、透明人間…というか
- さな: 魔法少女からしか 見えなくって…
- さな: えっと…妖精…妖怪…って言えば 通じる…でしょうか…?
- フェリシア: …まぁ、妖精…みてーなやつ! あー妖怪?どっちでもいいや
- 井ノ上 たきな: あぁ…あの時の …魔法少女、だったんですね
- 井ノ上 たきな: なら、頼みがあります
- さな: へっ…?
- [Part 1 end]
- ---
- [Part 2 start]
- FILENAME: text_520120-1_NUp9u.txt
- 井ノ上 たきな: 異世界へつながる屋上の噂… それを追った先に出会ったのは 消えたはずの保護対象
- 井ノ上 たきな: しかも、いろはさんたちによれば その少女の見た目は “魔女になったはず”の少女と同じ
- 井ノ上 たきな: その不可解な事実とともに知ったのは 魔法少女は魔女になる…という 彼女たちに課せられた宿命
- 井ノ上 たきな: そして、私もその宿命を背負った
- 井ノ上 たきな: 保護対象の少女と、もうひとりの少女 ふたりの少女に襲われ重傷を負った 千束の命を救うために
- 錦木 千束: ん…
- 錦木 千束: はっ!
- 井ノ上 たきな: …おはようございます
- いろは: 千束さん、大丈夫ですか!?
- 錦木 千束: あれ…私… なんで生きてんの…?
- 錦木 千束: 結構な致命傷だったよね…?
- うい: あ…それは…
- 井ノ上 たきな: いろはさんが、魔法で …そうですよね
- いろは: あ、う、うん…!
- 錦木 千束: へー…
- 錦木 千束: そんな魔法も使えるのね! ありがとう、いろはちゃん!
- さな: …たきなさん 本当に隠すんですか…?
- さな: 魔法少女になったこと…
- 井ノ上 たきな: ええ、言ったじゃないですか
- 井ノ上 たきな: なら、頼みがあります
- さな: へっ…?
- 井ノ上 たきな: 私が魔法少女になったこと 千束には話さないでください
- 井ノ上 たきな: これは、私が 自分で決めたことなので
- 井ノ上 たきな: ソウルジェムの指輪も ネックレスにして隠しましたし
- 井ノ上 たきな: バレることはないですよね?
- さな: そう…ですけど…
- さな: あのあと駆けつけた いろはさんたちも、クルミさんも
- さな: みんな知ってるのに 千束さんだけ…
- 錦木 千束: …それで、結局 いまの状況って?
- 井ノ上 たきな: 説明します
- 井ノ上 たきな: 「私たちは ふたりの魔法少女から攻撃を受けました その内のひとりは 私たちが追っていた保護対象の少女で こちらの世界に来て、契約したと思われます」
- 井ノ上 たきな: 「そして、もうひとりの魔法少女は 以前、魔女になった魔法少女と一緒にいた少女で いろはさんたちが救出した方だったそうです ただ、ここで不思議なことがありまして…」
- 錦木 千束: えーっと…少女…が多いな 寝起きにはきついぞこれ
- 井ノ上 たきな: 「魔法少女になった保護対象… 私たちの世界にいたので 仮に、彼女を“少女L”とし もうひとりの魔法少女を、みかづき荘の ある世界にいる“少女M”として説明します」
- 井ノ上 たきな: 「今、伝えようとした不思議なことですが なぜか“少女M”は、 私たちの世界から来た“少女L”を 魔女になった先輩だと言っているそうなんです」
- 井ノ上 たきな: 「いろはさんたちいわく、“少女L”の見た目は 確かに魔女になった “少女M”の先輩と瓜二つのようですが 魔女から魔法少女に戻ることは 有り得ないそうです」
- 錦木 千束: ん~…えぇ? なんでそんなややこしいことに?
- 錦木 千束: てか、瓜二つなだけなら なんで一緒に居るんだろう?
- 錦木 千束: 少女Lが少女Mを だましてるとか?
- 井ノ上 たきな: さあ…まあ、ふたりの背景は この際、どうでもいいんです
- 錦木 千束: あ、いいんだ!?
- 井ノ上 たきな: いま大事なのは 彼女たちがリコリスへ恨みを抱き
- 井ノ上 たきな: 実際に、私たちが 殺されかけたことと
- 井ノ上 たきな: 異世界トリップの元凶が 彼女たちかもしれないことです
- 錦木 千束: …元の世界に帰るとか そういう話じゃなくなってきた?
- 井ノ上 たきな: …ええ
- ~~♪~~♪
- いろは: あ、灯花ちゃんから電話…
- クルミ: 「あぁ、千束は目を覚ましたか…よかった …じゃなくて、千束!たきな!やばいぞ!」
- 錦木 千束: おお、どしたんクルミ こっちも今ヤバ…
- クルミ: 「宇宙の危機だ!」
- 井ノ上 たきな: は?
- いろは: あ、あの灯花ちゃんたちも 同じこと言ってて…!
- うい: テレビ電話つなげるね…!
- ねむ: 「まず、結論から話すけれど みかづき荘と喫茶リコリコに続いて 他の場所でも異世界と神浜市で 場所が入れ替わったみたいなんだ」
- 灯花: 『つまり、千束たちが来た日と 同じようなことが、また起きたっていうこと』
- 灯花: 『なんでわかったかって言うと クルミのいる世界でも同じことが起きたみたいで そこの映像を照らし合わせたら 入れ替わってるのがわかったんだよ』
- 錦木 千束: え、えっと…それってつまり… 結構やばい…ってこと?
- 灯花の声: 『ちゃんと脳みそ使ってよね~! やばいどころじゃないよー!』
- 灯花: 『異世界間で場所が入れ替わるなんて みかづき荘と喫茶リコリコの時点でも 大問題なのに、他の所でも起きちゃったら 宇宙がパッチワークになって 修復がつかないレベルのパラドクスが起きるよ』
- ねむ: 「最終的には世界…いや 宇宙が消滅するおそれがある これは、宇宙の危機と言って差し支えない」
- 錦木 千束: えぇ…!?
- FILENAME: text_520120-2_NUp9u.txt
- 錦木 千束: 宇宙の危機って…えっと… どうしたらいいんだ!?
- 灯花: 『今回の場所以外でも いくつかの地点で謎の魔力反応があって… 同じことが起きる前兆かもしれない だから、それを調べて解決するしかないよ!』
- ねむ: 「それも、かなり急いで解決しないといけない 場所が入れ替わる度に 宇宙の消滅に近づくわけだからね」
- 鶴乃: このパッチワーク現象って 人為的だってことが前提だよね…
- やちよ: 魔法少女の魔力反応なら 間違いないでしょうね
- 少女M: …はい、先輩 私、もう覚悟はできました
- 井ノ上 たきな: まさか、ふたりが…
- 井ノ上 たきな: …あの人たちの言う覚悟と 今回の一件は繋がっているかも…
- 井ノ上 たきな: …時間が、ないかもしれませんね
- 錦木 千束: じゃあ、またあの屋上へ行って ふたりを捕まえて…えっと…
- 井ノ上 たきな: 千束がやられた時点で 捕まえるつもりでしたが
- 井ノ上 たきな: もう一度行ったときには 既にあの空間はありませんでした
- 錦木 千束: そ…っか、見つかったんだから アジトの場所は変えるか
- いろは: とにかく、ふたりを探しましょう 神浜市にはいるはずですから…!
- 錦木 千束: うん!
- クルミ: 「待った」
- 錦木 千束: え、クルミなんで!?
- クルミ: 「これは、千束とたきなにとって チャンスかもしれない」
- 井ノ上 たきな: …どういうことですか
- クルミ: 「そのパッチワークの仕組みを応用すれば ふたりが元の世界へ帰る方法を 見つけられる可能性がある…」
- 錦木 千束: いや、そうは言ったって…!
- クルミ: 「現時点で! お前らが帰ってこられる方法を ボクたちはまだ見つけていない!」
- 井ノ上 たきな: …………
- クルミ: 「最後の頼みの綱かもしれない …この問題を解消してしまったら もう、帰れなくなるかもしれないぞ」
- 錦木 千束: …………
- 錦木 千束: …ありがとクルミ
- 錦木 千束: でも、宇宙が消えちゃったらさ 帰るとかって話じゃなくなるよ
- クルミ: 「それは、そうだが…」
- 錦木 千束: 大丈夫だって!
- 錦木 千束: 今は見つかってなくても その内、きっと見つかる
- 錦木 千束: 私たちみんなで力を合わせたら なんとかなるよ!ね!
- 井ノ上 たきな: …はい!
- 錦木 千束: ただ、心配だなぁ~
- 錦木 千束: 看板娘がいない間に 喫茶リコリコがつぶれないか
- クルミ: 「…はっ、バカだな お前がいなくたってなんとかなるわ そもそも中身は今そっちにあるだろうが」
- 錦木 千束: あ、そうだった!
- クルミ: 「いいよ、お前らの好きにしな ただ、ミズキのお気に入りの酒がそっちだって わめいていたから早く帰ってきてやれ …あ、飲んでないよな?」
- 錦木 千束: なーに言ってんの、ここに いるのはみんな十だ…?
- やちよ: ………… 失礼ね、まだ19歳よ
- やちよ: それで? …方針は決まったかしら?
- 錦木 千束: うん! ちょっくら宇宙救っちゃいますか
- 井ノ上 たきな: はい
- うい: じゃあ、えっと…まずは どうしたらいいかな?
- 井ノ上 たきな: とりあえず、まだ原因や 動機はわかりませんが
- 井ノ上 たきな: あのふたり組を追いかけるには 屋上という手がかりを失った以上
- 井ノ上 たきな: 入れ替わった場所を 調べる必要がありそうですね
- うい: でも、いろんなところで 起きてるんだよね…入れ替わり
- 錦木 千束: あ、じゃあ神浜市で出会った 魔法少女たちに協力してもらう?
- 鶴乃: ここで神浜市を満喫していた 理由が明らかに…!
- 井ノ上 たきな: 多分、そこまで考えてないですよ 千束は
- やちよ: 私たちも注意喚起をしつつ 協力をあおいでみましょう
- 少女M: 多くの魔法少女が動き出す …先輩に伝えなくちゃ
- 少女M: …………
- 少女M: 正しい行いですよね …先輩
- 少女M: これも先輩の意志を遂げる 道すがらに生じる尊い犠牲
- 少女M: 仕方がないことなのです
- 少女M: …すべての悪をなくすためには
- FILENAME: text_520120-3_NUp9u.txt
- 井ノ上 たきな: 宇宙の危機を前にした私たちは 神浜市の魔法少女たちに協力を要請し 各地で起きている入れ替わりと ふたりの魔法少女について調べてもらっている間
- 井ノ上 たきな: 灯花さんとねむさんが見つけた 異世界と入れ替わった場所に足を運んでいた
- 井ノ上 たきな: そこには、灯花さんたちに言われて この場所へ先に訪れていた みふゆさんもいて…
- みふゆ: あ、みなさん! 来てくれたんですね…!
- 錦木 千束: 入れ替わった場所って ここで合ってます?
- うい: いつもと変わらない 公園に見えるけど…
- さな: …そうですね
- フェリシア: …いや!遊具が1個ちげー!
- クルミ: 「さすがだな その通り、遊具がひとつ入れ替わっている」
- 錦木 千束: え、え、そんだけ? …どうしてそんな地味なこと?
- 鶴乃: もしかして、実験…とか?
- クルミ: 「ああ、ボクと灯花たちもその結論に至った バレないようなところから始めて その内、何かをしでかすんじゃないかってな」
- いろは: その遊具 調べてみても大丈夫ですか?
- クルミ: 「そっちで喫茶リコリコの中に入っても 問題がなかったんだから大丈夫だろ ただ気をつけろよ…何があるかわからない」
- いろは: …はい じゃあ、調べてみます
- いろは: 確かに、魔力は感じるね
- 井ノ上 たきな: …ただ、弱すぎて 誰のものかまでは…
- 錦木 千束: え、たきな なんかわかるの?
- 錦木 千束: 確か、いろはちゃんたちは 魔力?を感じ取ってるとか…
- 井ノ上 たきな: あ…その、においです!
- 井ノ上 たきな: あのとき、接触したので 微かに覚えていて
- 錦木 千束: イッヌかよ! でもそんなに鼻よかったっけ…
- ~~♪~~♪
- 錦木 千束: お、レナちゃんたちからだ なんかわかったのかも
- レナ: こっちでも入れ替わった場所 …っていうか物を見つけたわ
- かえで: でも、多分地味すぎて 私たち以外は気づかないかも…
- 錦木 千束: 何が入れ替わってたの?
- ももこ: ゲーセンの椅子だよ よく行くから覚えててさ
- かえで: ちょっと思い入れがあったから なんだか寂しいよね…
- 錦木 千束: …………
- ~~♪~~♪
- 井ノ上 たきな: また、連絡です…!
- 御園 かりん: 「た、大変なの…! アリナ先輩…えっと、部活の先輩の 絵の具がひとつだけなくなってて… 先輩が帰ってきたら絶対に荒れちゃうの…」
- 観鳥 令: 「観鳥さんの方でも、異変を見つけたよ 学校の近くにあったベンチが変わってたんだ あそこは、猫の撮影にいいスポットだったから よく使っててさ」
- 眞尾 ひみか: 「近所に生えてたはずの野草がないんです! しかも、一部だけごっそりと! あそこら辺に生えてる草は食べられるのが 多かったりするので、助かってたんですが…」
- 錦木 千束: …犯人は地味なものを入れ替えて 実験しようとしてたみたいだけど
- 井ノ上 たきな: チョイスが悪かったようですね
- いろは: ただ…どこも魔力が微弱みたいで
- いろは: 入れ替え直後を抑えないと 犯人を捕まえるのは難しそうです
- うい: 入れ替わりが起きるたびに ピンチになるし…どうしたら
- 鶴乃: …………
- フェリシア: んで、鶴乃はさっきから 何スマホ見てんだ?
- 鶴乃: んー…入れ替わった場所を 地図アプリで確認してたんだけど
- 鶴乃: これ…神浜市を囲うように 円形に動いてる…かも
- 鶴乃: この順番だと…次は 北養区の方じゃないかな
- 錦木 千束: 行こう! 犯人を捕まえなきゃ!
- 錦木 千束: これ以上、みんなの大事なものや 思い入れのある場所が
- 錦木 千束: なくなっちゃうなんて 嫌だし、ね!
- 井ノ上 たきな: はい あのふたり組の可能性が高いです
- 井ノ上 たきな: 気を引き締めていきましょう
- みふゆ: 私は他で入れ替わった場所を ももこさんたちと調べておきます
- やちよ: ええ、よろしく
- FILENAME: text_520120-4_NUp9u.txt
- 井ノ上 たきな: みふゆさんと別れ 私たちは、次に入れ替えが起こりそうと 鶴乃さんが推測した北養区へと向かった
- 鶴乃: 流れ的には ここら辺だと思うんだけど…
- さな: …それにしても、どうして 円形に動いてるんでしょう…
- 井ノ上 たきな: …………
- 井ノ上 たきな: ――っ!?
- 井ノ上 たきな: 向こうにいます! この反応なら追える…!
- 錦木 千束: え!?
- 井ノ上 たきな: いいから、行きますよ!
- 井ノ上 たきな: はぁ…見つけました
- 錦木 千束: …ほんとにいた
- 少女M: …思ったより 早く見つかってしまいました
- 錦木 千束: まーた、変なところに…
- 井ノ上 たきな: …どうして、場所や 物を入れ替えてるんですか
- 井ノ上 たきな: いったい、何が目的なんです
- 少女L: 教える義理はない
- 錦木 千束: …じゃあ、こんなことやめない?
- 錦木 千束: あなたたちにとっては なんでもない実験かもだけどさ
- 錦木 千束: みんなにとっては 全部、大事なものなんだよ
- 錦木 千束: 私たちへの復讐…なら みんなは関係ないでしょ
- 少女L: 何か勘違いしてるみたいね
- 少女L: あなたたちへの復讐だけが 目的ではないわ
- 錦木 千束: え…じゃあ…なんで…
- 少女M: すべての悪をなくすためです
- 少女L: あなたたちと同じ世界から 来た私は
- 少女L: この世界を使ってあの人の 理想を実現することにした
- 井ノ上 たきな: どうして、わざわざこの世界…
- 井ノ上 たきな: いろはさんたちの 住む世界で…なんですか
- 少女M: それは、私が 先輩を呼び出したからです
- 少女M: さあ、行きましょう先輩 次の場所へ
- 少女L: …ええ
- 錦木 千束: 待って…!
- 少女L: あなたの魔法って 本当、役に立つわね
- 少女M: いえいえ、先輩の力で 拠点と繋げてもらえるから
- 少女M: 私の対象を移動させる力で 瞬間移動ができるんです
- 少女M: 神浜市内には他にも数カ所 拠点がありますし
- 少女M: あの人たちに追われても そう簡単には捕まりません
- 少女L: 私としてはもう少し 利便性をあげたいけどね
- 少女L: 「本当は別の場所と繋がる ワープができればいいけど」
- 少女L: 「どうしても、あの異空間を挟まないと 他の場所には移動できないのよね 逃げ込んだり、敵を閉じ込める場所としては 最適なんだけど…」
- 少女L: まあ、悪をなくす計画の要だから 悪くは言えないけどね
- 少女L: 対象を移動させるあなたの力と 異空間を繋ぐ私の力
- 少女L: ふたつが合わされば 誰にも負けないとは思ったけど
- 少女L: 異なる世界同士の 入れ替えもできるなんてね
- 少女M: ええ、魔力の消費があるので 少しずつにはなりますが
- 少女M: 繰り返せば、先輩の目論見通り 世界をひっくり返せます
- 少女L: …でも、アイツらが邪魔
- 少女L: …やっぱりちゃんと あのとき殺すべきだったわ
- 少女M: …殺す必要はありませんよ
- 少女L: だけど、邪魔されたら困るでしょ やられる前にやらなきゃ
- 少女M: …………
- 少女L: ここまで来て、もう計画を 降りることなんてできないわよ
- 少女M: 大丈夫です…私は先輩のために 悪のない世界にすると決めてます
- 少女L: 私と、あなたの先輩
- 少女L: …見た目だけじゃなく 目的も似てるなんて面白いわね
- 少女M: ふふっ、きっと運命です 私と…先輩の
- 少女M: 「出会ったときから先輩は 私にとって唯一の居場所で、姉のような存在で そして、世界そのものだったんです」
- へぇ、学校でそんなことが よかったわね
- 少女M: でも、やっぱり私は先輩と 過ごす時間の方が好きです
- そんなこと言って…だめよ 学校もちゃんと行かなきゃ
- 少女M: 「だけど先輩は魔女になり 私は居場所を、世界を失った」
- 少女M: 「そして、憎い奴は現れて 殺してやろうとも思いましたが、それは悪いこと きっと先輩は望まないので願うことにしました」
- 少女M: 「本当は、先輩を生き返らせたかった けれど、彼女がそれを望まないことは 私が一番知っていたんです」
- 少女M: 「それでも、もう一度会いたいという私の欲は どうやっても収まってくれなかったので 私は、ある案を思いついたのです」
- 少女M: 「どこか別の世界から先輩を連れてきて その“先輩”と一緒に、先輩が夢見た 魔女がいなくなるぐらいの 悪のない世界をつくろう…と」
- 少女M: 「それなら、きっと“本当の先輩”も 許してくれるでしょうから」
- 少女M: (いま、目の前にいるのは 先輩であり先輩ではない)
- 少女M: (それでも、志は同じ…)
- 少女L: …ここは…あの人は…?
- 少女M: 先輩…先輩…ッ!
- 少女L: っ、誰…!?
- 少女L: …そう、あなたが私を 別の世界に呼んだのね
- 少女M: …すみ、ません
- 少女L: いいわ…私も、もう あの世界に用はないから
- 少女L: …それより、あなた 悪のない世界を…と言ったわね
- 少女M: ええ、はい…! それが目指すところです
- 少女L: へぇ…なら協力できるわ 私も、目指しているの
- 少女L: …というか、あの人が それを目指していた
- 少女L: 悪のない、フラットな世界を
- 少女M: 「先輩のため、あなたのために 私は、世界から悪をなくしたいのです」
- 少女M: 先輩のためなら 私は、なんだってできます
- 少女L: そう…やっぱり 思考までそっくりなのね…ふふ
- 少女L: さあ、作戦を続けましょう 悪のない…世界のために
- 少女M: はい…先輩っ!
- FILENAME: text_520120-5_NUp9u.txt
- 井ノ上 たきな: ふたりを追った先で巻き込まれたのは またしても不思議な空間
- 井ノ上 たきな: そして少女たちは、空間から突如消え また、逃げられてしまった
- 井ノ上 たきな: ふたりが消えたら 元の場所に戻ってきましたね…
- いろは: 千束さん、たきなさん 大丈夫ですか!?
- うい: いきなり消えちゃったけど また、あの人たちの空間…?
- 井ノ上 たきな: ええ…ただ、逃げられました
- 井ノ上 たきな: あのふたり…いったい どこへ消えたんでしょう
- 錦木 千束: さっきの場所、前に 戦ったところと一緒だよね
- やちよ: さっき、みふゆから連絡があって あの子たちも犯人を見つけたら
- やちよ: 不思議な空間に 囚われてしまったと言っていたわ
- やちよ: …彼女たちの 魔法かもしれないわね
- 錦木 千束: そんなことできるの!?
- やちよ: ええ、十七夜の読心のように 魔法少女にはそれぞれ
- やちよ: 願いに応じて自分の魔法があるの
- いろは: ただ、ひとりの魔法で あそこまで出来るとは思えなくて
- 鶴乃: うん…多分、ふたりとも 空間系の魔法の持ち主だろうね
- 鶴乃: 瞬間移動できる子も 結界を作れる人も神浜市にいたし
- 鶴乃: そういうのを 組み合わせてるんじゃないかな
- 鶴乃: ちなみにわたしの魔法は~ 運がいいことね!
- 鶴乃: …にしてもいったい 目的はなんだろう…
- 井ノ上 たきな: あ、それなら…
- さな: …悪のない世界をつくる…
- フェリシア: ふーん、別に 悪いことじゃねーじゃん
- 鶴乃: 目的自体は…ね でも、その道のりは?
- フェリシア: …確かに、遊具が消えたり いろんなもんがなくなっちまった
- やちよ: ハァ…マギウスとの 一件を思い出すわね
- 錦木 千束: マギウスって?
- 鶴乃: あー…灯花たちがやんちゃ してた頃の話…かなぁ?
- 鶴乃: つい最近まで いろいろと大変だったんだよ~
- やちよ: その話は長くなるから 今はいいわ
- やちよ: とにかく、この入れ替わり事件の 犯人は、ほぼ確定よね
- いろは: はい…何を目指してるにしても それは間違いなさそうです
- フェリシア: んじゃ、やっぱ とっつかまえるしかねーじゃん
- うい: でも、また変な空間に 逃げられちゃったら…?
- 井ノ上 たきな: …私に、考えがあります
- ピロンッ♪
- 錦木 千束: …また、入れ替わった場所が あったみたい…!
- 井ノ上 たきな: 行きましょう! 次こそ捕まえます!
- いろは: はい!
- 錦木 千束: …………
- 井ノ上 たきな: …千束? どうしました?
- 錦木 千束: いや…ふたりの話 ちゃんと聞きたいなって
- 錦木 千束: ほら、テロリストの件については リコリスの責任でもあるし
- 錦木 千束: それに、悪をなくしたいーって 考え自体は悪くないでしょ?
- 井ノ上 たきな: …そうやって情けを与えて また死にかけるつもりですか
- 錦木 千束: そういうわけじゃないけど
- 錦木 千束: わかりあえるかも しれないじゃない?
- 井ノ上 たきな: 命大事に、という 千束の意志は尊重します
- 井ノ上 たきな: でも、あなた 殺されかけましたよね
- 井ノ上 たきな: その相手にも、ですか
- 錦木 千束: そうだよ 言ったでしょ
- 錦木 千束: 誰かの時間を奪うのは 気分がよくない
- 錦木 千束: でも私、みんなの大事なものを 奪ったふたりも許せない
- 錦木 千束: …だから、なおさら ちゃんと理由が知りたいんだよ
- 井ノ上 たきな: 悪人の気持ちなんて 私には理解できません
- 錦木 千束: …もしかしたら本当の悪人って 映画の中にしかいないのかも
- 錦木 千束: わかんないけどね
- 井ノ上 たきな: …………
- FILENAME: text_520120-6_NUp9u.txt
- 少女L: じゃあ、やりましょうか
- 少女M: …はい
- たきなの声: 見つけましたよ
- 少女L: …しつこいわね
- 少女L: まあいいわ、せっかくだから 先にあなたたちを片づける
- 少女M: 先輩!?他の魔法少女もいるし 人数的に不利です…!
- 少女L: 世界を変える前にあいつらを 殺さなきゃ…あの人のために!
- 少女L: 頼んだわよ!
- 少女M: っ…はい
- 錦木 千束: どこに…っ!
- 錦木 千束: な…いつの間に…!
- 錦木 千束: (攻撃の直前、空間に消えた…? これじゃ、目で追えない…!)
- 錦木 千束: くっ…!
- 錦木 千束: っ…やば、体勢が…
- 錦木 千束: な、たきな…その格好…
- 井ノ上 たきな: 説明はあとです
- 錦木 千束: え、えぇ…?
- 少女M: 先輩…囲まれてます
- 少女M: 逃げましょう、体制を整えて もう一度…魔力も回復しないと
- 少女L: ごめんなさい…そうね
- ???の声: そうはさせませんよ
- みふゆ: 先程はやられてしまいましたが…
- みふゆ: 魔法の扱いならワタシの方が 得意なんですから
- 少女M: ここは、いったい…
- みふゆ: 私の固有魔法の中… 簡単に言えば幻覚の中です
- みふゆ: 自分たちに勝てる魔法はない… とでも、思いましたか?
- みふゆ: たきなさんに頼まれて 来ましたが、役立ちました
- 少女L: っ…なら、アンタを 殺せばいいってことね
- みふゆ: まったく…攻撃的ですね
- みふゆ: でも…これだけ時間を稼げれば ワタシの役目は果たせたでしょう
- 少女L: はっ…!
- 少女M: これは…拘束されてる…
- 井ノ上 たきな: ええ、幻覚を見ている間に
- 錦木 千束: もうやめなよ… なんでこんなこと
- 少女L: …アンタらにわかるわけない!
- 少女L: なんで…なんでよ!
- 少女L: いつもいつも! 私たちばかりが奪われる!
- 少女L: 最後に残った…あの人ですら!
- 井ノ上 たきな: …やはり
- 少女L: そうよ! アンタたちが奪った人よ!
- 錦木 千束: …あっ…
- 少女L: 「あの人は、孤児である私にとって世界のすべて 父のようであり、師でもあり、大事な人だった」
- いいか、この世界は不平等だ
- 誰かが得をし誰かが損をする 持たざる者は負けっぱなし
- 俺ら負け組に勝ち筋はない なぜなら、そういう仕組みだから
- じゃあ、どうしたらいいか 世界を平らにするんだよ!
- 少女L: はぁ…また怖いこと言う そんなことしたら捕まるわよ
- だはは!でも俺は本気だ お前が生きていく世界だからな
- 少女L: 「確かにあの人は、悪人だったかもしれない テロを目論んで、たぶんいくつも罪を犯したけど 捨てられていた私を拾って人並みの愛をくれた」
- 少女L: 「でも、リコリスのせいで全部なくなった」
- …………
- 少女L: 嫌…嫌…なんで… 私からこれ以上何を奪うの…
- 少女L: うっ…うあぁあああ…!
- 少女L: っ…う…復讐…してやる…
- 少女L: あの人を撃ったやつらと 同じ制服…!
- 少女L: だから、あの子の願いで この世界に来た時、私は決めたの
- 少女L: アンタたちに復讐して そして、世界を平らにしようって
- 少女L: アイツらを、この世界へ呼んで 復讐したいの
- 少女L: だから、あなたたちを倒す
- 錦木 千束: そっか… 話してくれてありがと
- 少女L: なに、同情なんていらないから
- 錦木 千束: ああ、違う違う 少し似てるって思っただけ
- 錦木 千束: こんなこと、恨む相手に 言われたら嫌だろうけどね
- 錦木 千束: 私たちリコリスも孤児でさ 幸か不幸かDAに拾われて
- 錦木 千束: リコリスやってるから 何かが違ったら…とかね
- 井ノ上 たきな: …私も、大事にしていた 居場所を失って日が浅い
- 井ノ上 たきな: だから、その気持ちが 少しだけ…想像できます
- 井ノ上 たきな: けど、あなたのやり方は 間違っている
- 井ノ上 たきな: それだけは言い切れます
- 錦木 千束: だからさ、一緒に行こ
- 錦木 千束: 世界を変えるのは… ちょっとわかんないけど
- 錦木 千束: あなたに見える世界を 変えることはできるよ!
- 井ノ上 たきな: …あなたも、ですよ
- 少女M: え…
- 井ノ上 たきな: 居場所はひとつだけじゃない
- 少女M: …………
- 少女L: 騙されないで
- 少女M: っ…
- 少女M: やぁっ!
- 井ノ上 たきな: まずい、拘束が…!
- クルミ: 「おい、千束!たきな! そいつらを絶対、市外に出すな!」
- 錦木 千束: え、は、なんで!?
- クルミ: 「あいつらを市外に出したら ゲームオーバーだ! 詳細は、灯花たちの通話と繋げる!」
- 灯花: 『結論から言うと、あの人たちを市外に出したら 神浜市まるごと異世界に行っちゃうってこと! そんなことが起きれば、神浜市は終わりだし 宇宙の消滅だって待ったなしだよ!』
- ねむ: 「簡単に言えば、いま神浜市は パッチワーク状に入れ替わる準備がされていて 彼女たちが市外に出た瞬間に その仕組みが発動されるのでは…ということだ」
- ねむ: 「恐らく市ごと入れ替えたかったんだろうけど 一度にそんな魔力を消費することはできないから 気づかれないように準備していたんだろう」
- 錦木 千束: …それで、今までの入れ替わりが
- 井ノ上 たきな: わかりました ここで捕まえます!
- 少女L: フフッ…あはははは
- 少女L: 変だと思わなかったの? いまさら、全部話すなんて
- 井ノ上 たきな: …まさか
- 少女L: そう、もう魔法は発動済み
- 少女L: あとは市外へ出て、時間が来れば この世界はひっくり返って終わり
- みふゆ: なら、私の魔法で…
- 少女L: 二度も同じ手にはかからないわ
- 少女L: じゃあ、最期の時間を楽しんで せめてもの情けよ
- うい: え…じゃあ…もう…
- 錦木 千束: まだ、諦めるには早い!
- 錦木 千束: 追いかけるから クルミ、サポートして!
- FILENAME: text_520120-7_NUp9u.txt
- 井ノ上 たきな: 宇宙崩壊の魔法が発動し 迫るタイムリミットの中
- 井ノ上 たきな: 私たちは、魔力を感じる方へと ひたすらに彼女たちを追いかけていた
- 井ノ上 たきな: その一方で、みふゆさんは 宇宙が崩壊しないことに望みをかけて 他の魔法少女たちと 市民を避難させようとしていた でも、人々の信用を得て動かすのは至難の業
- 井ノ上 たきな: 結果的に神浜市を含んだ 宇宙の命運は 私たちに託されていた
- 錦木 千束: はぁ…はぁ… もう、ここら辺って市外だよね
- クルミ: 「ああ、近くにいるぞ」
- フェリシア: でも、ふたりを見つけたところで 魔法は止められるのか?
- 井ノ上 たきな: …魔法の持ち主が死んだら 魔法は解除されますか
- やちよ: …そうとは限らないわ
- やちよ: 解除されることもあるし されないこともある
- やちよ: …一か八かにはなるわね
- 井ノ上 たきな: でも…可能性はある…
- 井ノ上 たきな: 魔法少女はソウルジェムが 割れれば死ぬ…そうですよね
- やちよ: …ええ、その通りよ
- 錦木 千束: ダメだよ、たきな 命大事にって言ったでしょ
- 井ノ上 たきな: じゃあ どうするって言うんですか!
- 錦木 千束: …………
- 井ノ上 たきな: 喫茶リコリコが なくなってもいいんですか
- 錦木 千束: そんなこと言ってない
- 井ノ上 たきな: 店長も、ミズキさんも クルミも、神浜市の人たちも
- 井ノ上 たきな: その人たちの命と、あの人たちを 天秤にかけられるんですか
- 錦木 千束: 誰の命も天秤になんてかけない かけられないよ
- 井ノ上 たきな: わけが…わかりません
- クルミ: 「…その建物の先、ふたりがいるぞ」
- 少女L: はぁ…ほんっとしつこい!
- 少女L: もう魔法は発動したんだから 諦めればいいでしょ
- 錦木 千束: …諦めないよ
- 少女M: …もう、いいでしょう 見逃してくださいよ
- 少女M: あなたならわかりますよね 失う苦しみが
- 井ノ上 たきな: …………
- 少女M: だって、魔法少女になるための 願いを捧げたんですもん
- 少女M: 大事な仲間を失わないために …でしょ?
- 錦木 千束: え、どういうこと…?
- 少女M: やっぱり言ってなかったんですね
- 少女M: この人は、あなたのために キュゥべえに祈りを捧げたんです
- 少女M: 魔法少女は魔女になる… その事実を知りながら
- 錦木 千束: たきな…
- 井ノ上 たきな: …勘違いしないでください これは、私の選択です
- 井ノ上 たきな: 千束のためじゃない
- 少女M: 詭弁ですね 私とあなたは同じですよ
- 少女M: あなたは、その人のためなら 世界だって壊すことができる
- 井ノ上 たきな: …しませんよ
- 少女M: へぇ…まあ、いいです どうせ、もう全部終わるので
- 井ノ上 たきな: 終わらせません
- 少女L: へえ、殺す気? でももう、残り3分よ?
- 井ノ上 たきな: 3分もあれば、十分です
- フェリシア: オイ、どうすんだよ…!
- さな: …あ、あれ… 千束さんがいません…
- いろは: え…あ、待って…あそこ…!
- 錦木 千束: キュゥべえーーーーっ!
- 井ノ上 たきな: ――っ!?
- 錦木 千束: ここ、市外だし…来るよね?
- 井ノ上 たきな: ち、千束…!? いったい何を…!
- 錦木 千束: 考えたんだけど たぶん、これが一番かなって
- 錦木 千束: お、来たね…キュゥべえ 私も魔法少女になりたいんだけど
- キュゥべえ: なら、キミは何を願う?
- 錦木 千束: 本当は、願いを叶えてもらうとか ポリシーに反するっていうか
- 錦木 千束: そんな力を 借りたくはなかったんだけどね
- 井ノ上 たきな: 千束!やめてください!
- 錦木 千束: たきなもなったんだから いいでしょー
- 井ノ上 たきな: だって、魔法少女は魔女に…
- 錦木 千束: でも、絶望しなきゃならない そうでしょ、いろはちゃん
- いろは: は、はい…でも…
- 錦木 千束: 私は、絶望なんてしない
- 鶴乃: 魔法少女になったら たぶん、長生きはできないよ
- 錦木 千束: 危険だらけのリコリスだって 一緒だよ
- 錦木 千束: ていうか、人なんてみんな いつ死ぬかわかんないじゃん
- 錦木 千束: たきなに助けられっぱなしも なーんか性に合わないし
- 錦木 千束: 何より!たきなだけ 魔法少女なんて、ずるい!
- 井ノ上 たきな: はぁ!? 何を言って…!
- 錦木 千束: 魔法少女、かっこいいし! みんなの大事な場所も
- 錦木 千束: 私たちがいた場所も どっちも守れるなら一石二鳥!
- 錦木 千束: だから私、魔法少女になるよ
- キュゥべえ: 願いは決まったかい?
- 錦木 千束: いやーそれがね… ひとつだけってのがネックなのよ
- 錦木 千束: この世界には、好きなものが たっくさんあるからさ
- 錦木 千束: 「もちろん、喫茶リコリコは好き 優しい先生、うるさいミズキ、カシコいクルミ コーヒーの香りと、賑やかなお客さんたち それから、一生懸命な相棒」
- 錦木 千束: 「神浜市には、来て少ししか経ってないけど おいしいお店や、楽しい場所がいっぱいあって それに、魔法少女…なんてちょっとだけ 似た存在の友だちもできちゃったりして いつの間にか、この町が大好きになってた」
- 錦木 千束: 世界とか宇宙はどうでもいいけど 好きなものがなくなるのは嫌!
- 錦木 千束: だから…
- フェリシア: あ、おいヤベェ! もう、時間が…!
- 錦木 千束: 私の願いは、これ!
- 錦木 千束: 「私たちの日常を守らせて」
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- 錦木 千束: 「私たちの日常を守らせて」
- 錦木 千束: お、おぉ!すげー!
- フェリシア: それより! アイツら!
- さな: 魔法が…完成しちゃった…?
- 錦木 千束: うぉわびっくりした、誰!?
- さな: あ、あの…妖精…です…っ?
- いろは: 見て…!空が…!
- 井ノ上 たきな: …大きな…ゲート…!
- 錦木 千束: え、なになになになに!?
- 井ノ上 たきな: …ここは
- 少女L: …どうして アンタたちがここに
- 錦木 千束: いや、私も全然わからん!
- 少女M: 先輩!入れ替えた場所が 全部、元に戻って…!
- 少女L: なんで… 魔法は成功したんじゃ…
- いろは: ここ、もしかして空に見えた ゲートの中…!?
- うい: ほんとだ… 下に神浜市が見える…!
- 錦木 千束: 上にあるのは… 私たちが住んでた街…!?
- やちよ: ふたつの世界の間にいる …ということ?
- 錦木 千束: でも、魔法は発動したんでしょ?
- 鶴乃: …もしかしたら、千束の 願いが打ち消したのかも
- 井ノ上 たきな: 願いが…?
- 鶴乃: 千束の願いは「日常を守る」
- 鶴乃: ふたりのしてることは 「日常を壊す」ことだから
- 鶴乃: ふたつがかち合ったのかも?
- 錦木 千束: ワンチャンが上手くいった …ってこと!?
- 井ノ上 たきな: え、狙ってやったんですか?
- 錦木 千束: 一応? なんか思ったんと違うけど
- フェリシア: そうだよ、なんでこんな わけわかんねーとこに来んだよ
- さな: 魔法の発動と千束さんの願いが 同時だったから…
- さな: パッチワークがひっくり返る 直前…ってことでしょうか…
- うい: 魔法同士が戦ってる… みたいな感じなのかな?
- 少女L: …また、アンタたちのせい
- 錦木 千束: だって、宇宙なくなると 映画とかも見れなくなるじゃん
- 少女M: …計画は失敗です、先輩
- 少女L: いいえ、まだチャンスはある…
- 少女L: コイツらを倒しさえすればね!
- 錦木 千束: ――っ!?
- 少女L: 言ったでしょ…私は 復讐するために魔法少女になった
- 錦木 千束: …………わかった じゃあ、やりあおう
- 錦木 千束: その代わり、私が勝ったら 一緒に帰るのはどう?
- 錦木 千束: …帰り方、わかんないけど
- 少女L: ええ、いいわよ…勝てるなら
- 錦木 千束: あ、でもこっちはこんだけいるし 人数的に汚い?
- 少女L: なめないで…私の能力は 異空間を繋ぐこと
- 少女L: あなたたちの敵を 呼ぶことだってできるの!
- 少女M: 先輩…それって…
- 少女L: 見つけた魔女結界はね 切り札にしてとってあるのよ
- 少女L: そこと繋ぐから… あなたの力で魔女を連れてきて!
- 少女M: …魔女結界に繋ぐなんて そんなことしたら先輩の魔力が…
- 少女L: いいから!やって!
- 少女M: …くっ!
- 錦木 千束: っと!
- 井ノ上 たきな: ふっ!
- 錦木 千束: おぉ…やるじゃんたきな
- 井ノ上 たきな: 魔法少女としては私の方が 先輩なので
- 錦木 千束: …………
- 錦木 千束: ありがとね、助けてくれて それと
- 錦木 千束: ごめんね、契約しちゃって
- 井ノ上 たきな: …はぁ、本当ですよ ふたりして魔法少女です
- 錦木 千束: でも、リコリスとあんまり 変わんなくない?
- 井ノ上 たきな: いえ、この衣装は 隠密行動に向いてません
- 井ノ上 たきな: あと…ちょっと派手で 私向きではありません…
- 井ノ上 たきな: それもあったので、千束には なるべく隠しておきました…
- 錦木 千束: あはは!そんなこと!?
- 錦木 千束: だーいじょうぶだって! たきな、めっちゃ似合ってる
- 井ノ上 たきな: ………… 千束は…まぁ、派手ですね
- 錦木 千束: でっしょ~んふふ
- 錦木 千束: これさ、変身の決め台詞とか 必殺技とか考えて~
- 井ノ上 たきな: もう、言ってる場合ですか
- 井ノ上 たきな: 早く魔女を倒して あの人たちを確保
- 井ノ上 たきな: そして、うちに帰りましょう
- 錦木 千束: おうよ!
- いろは: 私たちも協力しますね 千束さん、たきなさん!
- フェリシア: そんじゃ、オレから! ズッガーン!
- さな: 私が攻撃は防ぎますので おふたりは攻めてください!
- 錦木 千束: ありがと! えっと…妖精ちゃん!
- うい: わたしも、ツバメさんで フォローするよ!
- 錦木 千束: わっ!? なんか出たぁ!?
- いろは: こっちは大丈夫です!
- やちよ: あなたたちの背中は任せて
- 鶴乃: 使い魔くらい、わたしたちが ちょちょいのちょいだよー!
- フェリシア: 行ってこい 千束、たきな!
- 井ノ上 たきな: ええ!
- 錦木 千束: あ、ちなみに神浜市民の 避難ってどうなったの?
- クルミ: 「それなら、安心しろ 神浜市の防災無線を乗っ取ったり 灯花んちの力を使ったりで 神浜市民はほぼ避難済みだ まぁ、宇宙が消えたら意味はないんだけどな」
- 錦木 千束: ありがと! さすがクルミだわ!
- クルミ: 「ハンッ、ボクを誰だと思ってる! 魔法少女やらは知らんが電脳戦なら任せとけ」
- 錦木 千束: ふふ、そうだった うちの天才ハッカーだからな
- 錦木 千束: そんじゃ…たきな、ここは 魔法少女らしく合わせ技いくぞ!
- 井ノ上 たきな: え、は、なんですかそれ! 知りませんよ!
- 錦木 千束: 魔法少女といえばこれなんよ 帰ったら見せちゃるわ!
- 錦木 千束: まー大丈夫! いけるって、私たちなら!
- 井ノ上 たきな: …もうどうなっても 知りませんからね
- 千束&たきな: やぁああああっ!
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- 千束&たきな: やぁああああっ!
- 井ノ上 たきな: …うまくいくもんですね
- 錦木 千束: 魔法少女の適性 あるんじゃない、これ
- 少女L: クッソ… もう1体…魔女を…
- 少女M: 先輩…! もう…無理ですよ…
- やちよ: 魔女を呼ぶことで 魔力を消費してしまったのね
- 鶴乃: もうやめなよ これ以上は魔女になっちゃう…
- 少女L: …なら、魔女になってやる!
- 少女L: 魔力もなくて、作戦だって もう立て直せない
- 少女L: でも、ここで魔女になって 暴れて…全部壊せば
- 少女L: 世界を平らにして もう一度やり直せる
- 少女L: 全部なくなれば 悪だってなくなる、そうよね
- 少女M: そう…ですね…
- 少女M: 先輩となら 全部…壊せる気がします
- 少女M: それに、そうすればきっと 魔女になった先輩にも会えるはず
- いろは: そんなの…ダメ…!
- うい: 早く、グリーフシードを!
- 鶴乃: …あれ、でもあのふたり 濁りが止まって…?
- 少女M: なんで…どうして 魔女にならないの…?
- 少女L: あの人がいない世界なんて もう、いらないのに…!
- 錦木 千束: …あなたたちは 絶望したりしないよ
- 錦木 千束: だって 宇宙を消そうとしたんだよ?
- 錦木 千束: そんなでっかいことする人が 絶望なんてするわけない
- 錦木 千束: だってほら、その目 絶対に諦めない人の目だもん
- 錦木 千束: そんな目で絶望する人 いないって!
- 井ノ上 たきな: …あなた方の絶望は 大事な人を失ったとき
- 井ノ上 たきな: だからもう これ以上絶望はしない
- クルミ: 「この作戦が ふたりの希望になってたってことか」
- 少女M: そんな…こと…
- 井ノ上 たきな: …その希望を 他のものに向けてみませんか
- 錦木 千束: 楽しいことは もっとたくさんあるよ
- 井ノ上 たきな: あなたが私たちを調べたように 私も、あなたを調べました
- 少女M: え…
- 井ノ上 たきな: あなたと先輩という方の関係 求めた悪のない世界…
- 井ノ上 たきな: 大切な方を失った悲しみは すぐに癒えないと思います
- 井ノ上 たきな: …でも、あなたたちは 歪だとしても前を向いた強い人
- 井ノ上 たきな: 悪をなくそうという考え 私は、いいと思います
- 井ノ上 たきな: ただ、あなたの先輩が求めたのは 本当に…これですか?
- 悪のない世界にしたい そのために魔法少女になったの
- みんなに笑顔でいてほしいのよ …もちろん、あなたにもね
- 少女M: 先輩さえいれば 私は、いつだって笑顔ですよ
- ううん、それ以外にも見つけて 世界は、あなたが思うより広いの
- 少女M: …本当、ですね
- 少女M: …私、間違ってたみたいです こんなの先輩が…悲しみます
- 少女M: それから、ごめんなさい …先輩
- 少女M: あなたに理想を押しつけて 先輩の代わりにしました…
- 少女L: え…そんな、何… 私を呼んだあなたが諦めるの?
- 少女M: …もう、引き際です 私たちは間違えたんです
- 少女L: っ…間違えてなんかない! あの人は間違ってない!
- 少女L: そもそも私とあなたの理想は 最初から違う!利用しただけ!
- 少女L: 同じ悪のない世界でも 私が求めたのは、破壊の先…!
- 少女L: あなたみたいな 綺麗な志なんかじゃないの!
- 少女L: 私は!こんな世界壊して! それで…それで…!
- 錦木 千束: …ごめんね
- 少女L: なによ…!
- 錦木 千束: ごめん、それ以上のことを 私は言えないし何もできない
- 錦木 千束: でも、これだけは言える
- 錦木 千束: あなたの居場所は 他にもきっとあるよ
- お前の居場所は もっと他にあんじゃねーの
- こんなとこじゃなくて 明るいとこがさ
- 少女L: …出てってほしいの?
- ちげーよ、俺はただお前に 幸せになってほしいだけ
- 美味いもんたらふく食って 笑っててほしい
- いつか俺がいなくなっても そういう場所を見つけろよ
- 少女L: …なんでアンタが あの人と同じこと言うのよ…
- 錦木 千束: 私は、世界とか宇宙とか よくわかんないけどさ
- 錦木 千束: 世界を壊すには まだ私たちなんも知らなすぎるよ
- 錦木 千束: うちね、コーヒーと和菓子を 一緒に出すお店なの
- 錦木 千束: んふふ…変って思ったでしょ
- 錦木 千束: それなら1回試してみない?
- 錦木 千束: これ、うちのカフェのチラシね
- 錦木 千束: 先生が淹れたコーヒー とっても美味しいんだから!
- 錦木 千束: コーヒー飲んでからだって 世界征服には遅くないでしょ
- 少女L: 別に、世界征服が目的じゃないし
- 少女L: アンタの言い方じゃ…いつか 世界を壊すことになってるけど
- 錦木 千束: その日が来るまでに 好きなものができるよ、きっと
- 少女L: …はぁ…わかった、根負けよ アンタらしつこいし
- 錦木 千束: ふふ、ご来店お待ちしてまーす
- フェリシア: おい!大変だぞ! この場所…崩れそうだ!
- うい: …なんか、光り始めたよ…!
- クルミ: 「どうやら、神浜市の至る所から 千束たちがいた痕跡が消えている その光が、何かをしているみたいだ」
- いろは: これも、千束さんの願いの力…?
- クルミ: 「わからないが、すべて なかったことになっているらしい …まるで、日常に戻っていくみたいにな ボクのPCからも 神浜市の情報が少しずつ消えている」
- クルミ: 「ドローンの制御も効かないから そろそろお別れみたいだ いろは、灯花とねむと…みんなによろしく」
- いろは: はい…クルミちゃん!お元気で!
- クルミ: 「千束、たきな… 喫茶リコリコで待ってるからな」
- 井ノ上 たきな: ええ
- 少女L: …ごめんね、あなたの… 彼女への気持ちを利用したわ
- 少女M: 私だって…あなたを 先輩の代わりにしました…
- 少女L: …ふふ、私があなたの先輩と 似ているだなんて言ったけど
- 少女L: 本当に似ていたのは 私と、あなただったかもね
- 少女M: 確かに…そうみたいですね いつか…また会えたなら
- 少女L: ええ、もっとお話をしましょう …コーヒーでも飲みながら
- 少女L: ねえ、あなたたち
- いろは: え、あ…はい!
- 少女L: …よろしくね、私の…後輩
- うい: 消えちゃった…
- 錦木 千束: よくわかんないけど 一件落着…する感じ?
- やちよ: 日常を守るためには、すべて なかったことにするしかないのね
- フェリシア: え…じゃあ、千束とたきなは オレたちのこと忘れちまうのかよ
- うい: わたしたちも千束さんたちのこと きっと、忘れちゃうんだよね…
- 鶴乃: それは、寂しいな…
- 井ノ上 たきな: …でも、元々私たちは 出会うはずがなかったんです
- 錦木 千束: そうは言ってるけど たきな、泣きそうだったり?
- 井ノ上 たきな: しません!
- 錦木 千束: ふふ…いろはちゃん ありがとね、いろいろ
- 錦木 千束: やちよさんも、鶴乃ちゃんも ういちゃんも、フェリシアも…
- さな: あ、さな…二葉さなですっ…
- 錦木 千束: さなちゃんも! 神浜市、めっちゃ楽しかったぜ!
- 井ノ上 たきな: 私も…楽しかったです これからもお互い頑張りましょう
- 井ノ上 たきな: 別々の世界で 別々の敵と戦う者同士…
- いろは: うん、魔法少女と
- 錦木 千束: リコリスとして!
- 錦木 千束: じゃあ…またね! みんなによろしく!
- 井ノ上 たきな: いつか、また!
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- 錦木 千束: すー…
- 錦木 千束: はっ!
- 錦木 千束: んん…なんか 夢を見てたような…?
- 錦木 千束: って、やっべ…映画観たまま 寝落ちしちゃってたー…
- 錦木 千束: もうエンドロール 流れちゃってんじゃん…
- 井ノ上 たきな: んぁ…あぁ… おはよーございます…
- 錦木 千束: おはよ、たきな 今日は寝起き悪くない?
- 井ノ上 たきな: なんか…ずいぶんと 長い夢を見てた気がして…
- 錦木 千束: え、私も! どんな夢!?
- 井ノ上 たきな: んん…派手な服を着た千束と 派手な服の女の子たちがいて…
- 錦木 千束: そんで、宇宙の危機を救う! 的なね!
- 井ノ上 たきな: …魔法がなんたらとか 楽しい夢…だった気がします
- 錦木 千束: え、待って同じ夢じゃん!? 私もめっちゃ楽しかったんだよね
- 井ノ上 たきな: 同じ映画を 観てたからでしょうか…?
- 錦木 千束: あーなんか、あれ! あれ観たくなってきた!
- 井ノ上 たきな: あれとは…
- 錦木 千束: 魔法少女アニメ! ちょっと今晩、一気見しようよ!
- 井ノ上 たきな: えぇ… シーズン数によります…
- 錦木 千束: んーと、無印があって2、3… そのあとに映画版が三部作で…
- カランカラン
- ミカの声: ただいま
- 錦木 千束: あ、先生おかえりー!
- ミズキの声: あら、あんたたち 映画観ながら寝ちゃったの?
- クルミの声: …まったく、電気代の無駄だな
- 井ノ上 たきな: クルミには言われたくないです
- ミカの声: さ、開店の準備だ ふたりとも着替えておいで
- 錦木 千束: ほーい!
- カランカラン
- ???の声: あの…チラシを 見てきたんだけど…
- ???の声: もしかして、まだ 準備中だったかしら
- 錦木 千束: いえいえ!もう開くんで 中でちょっと待っててください!
- 錦木 千束: んん? …それより、お姉さん
- 錦木 千束: 夢の中で逢った…ような…?
- 井ノ上 たきな: ちょっと千束… なにナンパしてるんですか
- 錦木 千束: いやいや違うんだってぇ~! ほんと、ほんとなの!
- ???の声: …ふふ、面白いお店ね
- 錦木 千束: んふふ…そうなんですよ~
- 錦木 千束: えっと、それじゃあ改めて
- 千束&たきな: いらっしゃいませ! ようこそ、喫茶リコリコへ!
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