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- FILENAME: text_310501-1.txt
- ガンヒルト: …父上は…
- ガンヒルト: 父上は、実力のある戦士団の 首長として知られていた
- ガンヒルト: 強く、賢く、人々の尊敬を 集めていた父上…
- ガンヒルト: 私と姉さんは、父上の話になると いつも誇らしかった
- ガンヒルト: そんな父上が…
- ガンヒルト: ある日突然、殺された
- ガンヒルト: 敵対していた戦士団に 命を奪われてしまった
- ガンヒルト: 父上だけではない… 母上も…一族も、皆…
- ガンヒルト: そして私と姉さんは… 殺した連中に隷属する 日々を送る羽目になったんだ…
- ガンヒルト: やつらの集落…イスヴィークで
- ガンヒルト: 姉さん、そっちはどう?
- オルガ: ちょっと待ってー! おいしょ…おいしょ…
- オルガ: はい、これで全部かな
- オルガ: あとは母屋の裏を 片づければ…
- 集落の戦士: …おう、落ちぶれ姉妹じゃねーか
- オルガ: あ…これは、どうも…
- ガンヒルト: (こいつ…私たちを見ると いつも絡んでくる…暇なの?)
- 集落の戦士: …ガンヒルト…相変わらず 反抗的な目つきしてやがんな
- 集落の戦士: そろそろ本格的に 教えてやらねーとダメか…?
- ガンヒルト: …………
- 集落の戦士: なんとか言ったらどうなんだ! ああん?
- 集落の戦士: 他の連中はスレール(奴隷)に 甘い態度するけどよぉ…
- 集落の戦士: 俺はそうじゃねぇからな! 身分が違うんだよ!
- ガンヒルト: …………
- 集落の戦士: …随分と文句のありそうな ツラしてんじゃねーか…
- 集落の戦士: そんな態度だったらなぁ…!
- オルガ: あー、いやいや! この子、これが生まれつきで!
- 集落の戦士: …んだよ、オルガ しゃしゃり出んな!
- オルガ: へへ…この子のこと ちゃんと説明しておかなきゃと…
- オルガ: そこで!あたしが得意な詩で 説明するんで、聞いてください!
- 集落の戦士: 詩だぁ?
- オルガ: では…コホン…
- オルガ: ガンヒルトの顔つき これは仕方ない、生まれつき!
- オルガ: だけど心根は優しい! 誰よりも純粋だし!
- 集落の戦士: …………
- オルガ: どうか許してほしい! 姉のあたしがもっと…
- オルガ: …えーと…もっと…
- 集落の戦士: あーもうやめろ! うるさい!
- オルガ: …あ、そうですか?
- 集落の戦士: …ちっ… 白けさせやがって…
- 集落の戦士: ガンヒルト! 次は態度を改めろよ!
- オルガ: …ふぃ~!
- ガンヒルト: 姉さん…ごめん またやっちゃった…
- オルガ: いーよいーよ 無理しないで
- オルガ: こういうのは、あたしが 取り繕うから、ね?
- オルガ: 姉さんに任しときな! …へへ!
- ガンヒルト: …ありがとう…
- ガンヒルト: こんな暮らしになっても 姉さんは変わらなかった
- ガンヒルト: 私を守ってくれる そして、支えてくれる 大樹のような姉だった…
- FILENAME: text_310501-2.txt
- ガンヒルト: 姉さんは夜な夜な 私に色々な話をしてくれた
- オルガ: トールは知ってるでしょ?
- ガンヒルト: うん とっても強い神だよね
- ガンヒルト: ミョルニルっていう ハンマーが武器で、雷も操って…
- オルガ: そうそう!
- ガンヒルト: でも、どのくらい 強いのかな?
- オルガ: そりゃもう、すんごいんだから!
- オルガ: スリュムっていう霜の巨人の 王様を倒しちゃうんだよ!
- ガンヒルト: へぇ…!
- オルガ: …ただね ちょっと騙されやすくて…
- オルガ: 悪戯好きの神のロキに 結構してやられてるね
- オルガ: だけどトールとロキは 仲がいいんだ
- ガンヒルト: ふーん…不思議だね
- ガンヒルト: 姉さんは神々にまつわる話が 大好きだった
- ガンヒルト: そして私は、姉さんの語る 神話を好んで聞いていた
- ガンヒルト: ただ、それ以上に 私が大好きだったのは…
- ガンヒルト: 姉さんの語る“夢”だった
- オルガ: やっぱりまずは船だよね~
- ガンヒルト: そうだね 船がないとできないもんね
- ガンヒルト: 世界中を巡るっていう 姉さんの夢…
- オルガ: 船を持ったらさ、ガンヒルトも 乗ってくれるでしょ?
- ガンヒルト: もちろん!
- ガンヒルト: 姉さんの夢を手伝うのが 私の夢なんだから!
- オルガ: ふふ…ありがとう…
- ガンヒルト: 船を持ったらさ…
- ガンヒルト: 姉さんが船首に立つんだよね?
- オルガ: …え!?あたしが “スタヴンブーイ”の役を!?
- ガンヒルト: そりゃそうだよ! 船の持ち主でしょ?
- オルガ: あたしにできるかなぁ…?
- ガンヒルト: 父上もやってたし 姉さんにもできるよ!
- オルガ: …そ、そうかな?
- ガンヒルト: 大丈夫! 私が傍で補佐するから!
- オルガ: …んふふ… じゃあやるね!
- ガンヒルト: うん!決まり!
- ガンヒルト: 『スタヴンブーイ』… 船首に立つ最も勇敢な者… それは間違いなく姉さんだ
- ガンヒルト: 姉さんはスレールと なってからも挫けなかった いつも明るく私を励まし 毎日の苦痛を和らげてくれた
- ガンヒルト: 私も姉さんの役に立つ 妹でありたい… そして、姉さんの夢を 実現する手伝いがしたい…
- ガンヒルト: そんな想いとは裏腹に、日々に 変化は起きず、ただ過ぎていった
- ガンヒルト: 何かをしなければ いつまでもスレールのまま…
- ガンヒルト: 姉さんの夢も 遠くにあるままなんだ…
- FILENAME: text_310501-3.txt
- ガンヒルト: 今の暮らしから どうにかして脱却したい…
- ガンヒルト: 毎日、そう強く念じていたし 機会を常に窺っていた
- ガンヒルト: そんな頃だった…
- ガンヒルト: 姉さんは、ある夜に…
- オルガ: “フィルギャ”だ!
- ガンヒルト: …フィルギャ?
- オルガ: 見ちゃったんだよ フィルギャを!
- ガンヒルト: …なんなの?フィルギャって…?
- オルガ: 精霊だよ!精霊!
- ガンヒルト: …今の飲んだくれが?
- オルガ: 違うって!
- オルガ: あいつの前に見たの! 白い獣を!
- オルガ: それがフィルギャ!
- ガンヒルト: はぁ…
- オルガ: 人の魂が動物の形になって この世に現れることがあるの!
- オルガ: それがフィルギャ!
- ガンヒルト: …んん~?じゃあ そのフィルギャを、姉さんが…
- オルガ: 見たの!ついさっき!
- ガンヒルト: この話を聞いた私は 姉さんは寝ぼけていたのかと思っていた
- ガンヒルト: しかし、後日…
- オルガ: すぃ~…すぃ~…
- ガンヒルト: (よく寝てる…)
- ガンヒルト: (今日はいつにも増して 熱く語っていたからなぁ)
- ガンヒルト: (この前言ってた フィルギャのせいかな…?)
- ガンヒルト: (精霊か…)
- ガンヒルト: (姉さんが見たのは 白い毛並みの小さな…)
- ???: …………
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …え?
- ???: …………
- ガンヒルト: …嘘でしょ…
- ガンヒルト: (ど、どこ行ったの…!?)
- ガンヒルト: (外…!?)
- ガンヒルト: 白い獣は、時折私を待っており 誘うように森へと入っていった
- ガンヒルト: そして…遂に…
- ガンヒルト: …………
- ???: …………
- ガンヒルト: あ、あなたは… フィルギャ…なの?
- キュゥべえ: ボクの名前はキュゥべえ
- ガンヒルト: これが運命の岐路となる出会いだった…
- FILENAME: text_310501-4.txt
- ガンヒルト: あ、あなたは… フィルギャ…なの?
- キュゥべえ: ボクの名前はキュゥべえ
- ガンヒルト: これが運命の岐路となる出会いだった…
- ガンヒルト: キュゥべえの正体はまったくわからない… ただ、間違いなくこの世のものではないだろう
- ガンヒルト: 初めは神の使いかと思っていたが しばらく話してその考えは変わった
- ガンヒルト: 魔法…少女?
- ガンヒルト: それに私がなれば 何でも願いを叶える、と…?
- ガンヒルト: 私はこの時になって初めて 夢でも見ているのかと思っていた
- ガンヒルト: 『何でも願いを叶える』… そんなことが本当に…?
- ガンヒルト: そして直感した… キュゥべえはおそらく、邪な存在だ
- ガンヒルト: まるでトールを騙すロキのような、危険な獣…
- ガンヒルト: …しかし、私は…
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …本当に、願いが叶うんだな?
- ガンヒルト: 魔法少女の契約を交わした
- ガンヒルト: 私の願いは 『姉さんを首領とした戦士団の結成』
- ガンヒルト: すべては姉さんの夢のためだ
- ガンヒルト: まずは今の暮らしから抜け出ること… それには力が要る
- ガンヒルト: 加えて、世界中を周るためには 基盤がどうしても欲しかった… そのことを踏まえての願いだった
- ガンヒルト: この時点で、私たち姉妹の運命は変わったんだ…
- ガンヒルト: 私の身がどうなろうと構わない… 願いが叶えば…
- FILENAME: text_310502-1.txt
- ガンヒルト: 私はある夜、突如として 『魔法少女』というものになると誓った
- ガンヒルト: それからしばらくして…
- オルガ: イスヴィークが… 襲撃されている…!?
- ガンヒルト: 一体…どこの戦士たち…!?
- 集落の戦士: [live2dName:live2d_0:effect_shake]ぐっ…!
- 集落の戦士: [live2dName:live2d_2:effect_shake]うぐっ…!
- オルガ: み、みんな殺されて…!
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: (…この状況…)
- ガンヒルト: …よし…
- オルガ: ガンヒルト! どどっ、どうしよう…!?
- ガンヒルト: 姉さん、落ち着いて
- オルガ: 落ち着けって、でも…!
- ガンヒルト: 終わりがないかと思っていた 日常に、変化の兆しが…
- ガンヒルト: 私はすぐに思った
- ガンヒルト: これはきっと 本当に私の願いが叶ったのだ、と
- ガンヒルト: あの夜、私は確かに 魔法少女になったのだから…!
- ガンヒルト: こ、これは…
- ガンヒルト: (本当に姿が変わった…!)
- ガンヒルト: (こんなこと… 人のなせる業ではない…!)
- ガンヒルト: (ということは…つまり…)
- ガンヒルト: …ふふ…
- ガンヒルト: …ふふ…あはは…
- ガンヒルト: あはははははは!
- ガンヒルト: やった…! やったよ、姉さん!
- ガンヒルト: もう私たちは スレールじゃなくなる!
- ガンヒルト: 自由になる…! その上、戦士団も…!
- ガンヒルト: ようやく… 最初の一歩を踏めるんだよ…!
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: (いや、でも…)
- ガンヒルト: (それが私の契約と引き換えで 得た結果だったと知ったら…)
- ガンヒルト: (姉さんはきっと 負い目を感じてしまう…)
- ガンヒルト: (私がいくら平気だと言っても… そういう人だから…)
- ガンヒルト: (あくまで、このことは 秘密にしておかないと…)
- ガンヒルト: …私が選んだこと、なんだよ 姉さん…
- キュゥべえ: …………
- FILENAME: text_310502-2.txt
- 老戦士: ん?…なにっ…? オルガにガンヒルトだと…!?
- オルガ: ひええっ!そ、そうですけど~!
- 老戦士: お前ら…まさか…!
- オルガ: ななな、なんですか~!?
- 老戦士: ち、父親の名前は…?
- ガンヒルト: アルネ…
- 老戦士: アルネ…! 『暁の戦士団』の…!?
- オルガ: …え? し、知ってるんですか…?
- 老戦士: つまり、お前らは… アルネの娘たちの…!
- 老戦士: オルガにガンヒルト! うおお!会いたかったぞー!
- ガンヒルト: イスヴィーク襲撃のさなかに 出会ったこの老戦士…名前はエッベといった
- ガンヒルト: 父上に恩義があるということで 私たちに臣従を申し出てきた
- ガンヒルト: …思っていた通り… 願いは本当に叶ったのだ
- ガンヒルト: 躊躇する姉さんの背中を押して… 私たちはこの日、“自由になる力”を得た
- ガンヒルト: そして同時に…
- 集落の戦士: 誰も出迎えにこないと思ったら…
- 集落の戦士: …なんだ…この有様は…!?
- 集落の戦士: おい!誰かいねーのか!
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …………
- 集落の戦士: おお!おい、みんな! オルガとガンヒルトがいたぞ!
- 集落の戦士: お前ら! こいつは一体どうなって…
- ガンヒルト: 略奪に出た戦士たちは これで全員?
- 集落の戦士: ん?…まあ…うん そうだな、全員だ
- 集落の戦士: それより、他の連中は…
- ガンヒルト: 姉さん
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …姉さん!
- オルガ: う、うん…!
- オルガ: …かかれ!
- エッベ: 行くぞオラー!
- 集落の戦士: な、なんだぁ!? こいつら…!
- 集落の戦士: く、くそっ… どうなってやが…
- ガンヒルト: …………
- 集落の戦士: …て、てめぇ… ガンヒルト!
- 集落の戦士: お前ら姉妹だな… この連中を引き込んだのは!
- ガンヒルト: …違う…
- ガンヒルト: 私だけでやった
- 集落の戦士: くっ…このぉ…!
- 集落の戦士: その気に食わねぇ面構え… 切り刻んでやる!
- ガンヒルト: …………
- 集落の戦士: よ、よけるな、くそっ…!
- ガンヒルト: …うるさい!
- 集落の戦士: あぐ…!
- 集落の戦士: ガ…ガンヒルトぉ…!
- ガンヒルト: …ふぅ…
- ガンヒルト: あー、清々した…
- ガンヒルト: イスヴィークの戦士団は 主力が集落を離れていたが 戻って来たところを包囲して殲滅…
- ガンヒルト: こうして私たちは集落を手に入れて 名も“イスヴォル”と改めた
- ガンヒルト: ここから私たちの新たな人生が始まった
- ガンヒルト: …同時に魔法少女としても…
- FILENAME: text_310502-3.txt
- ガンヒルト: イスヴォルを掌握した私たちは まず足場固めに入った
- ガンヒルト: 農業も畜産も交易も もっと活発にしないと
- ガンヒルト: 今より豊かになって 戦士団を強くするんだから
- オルガ: え?今でも十分…
- ガンヒルト: 強いよ 確かに強い
- ガンヒルト: でも、まだ足りない…!
- ガンヒルト: 夢の実現を確かなものに するためには…
- ガンヒルト: 誰にも負けない強さを 手に入れないと…!
- ガンヒルト: その一方で私は…
- …………!
- ガンヒルト: くっ…!
- ガンヒルト: …うりゃぁぁっ!
- …………!?
- ガンヒルト: …ふぅ…
- ガンヒルト: …これで手下ってわけ…? まったく…
- ガンヒルト: 魔女との戦いを繰り広げていた
- ガンヒルト: キュゥべえが言うには 魔法少女にとって魔女退治は 必須の行為だという
- ガンヒルト: 魔力を回復するには魔女を倒して入手する “グリーフシード”と呼ばれる 代物がどうしても必要で…
- ガンヒルト: 魔女は不意に襲ってくる そして、魔力がなければ戦えない だから魔女を倒す
- ガンヒルト: この繰り返し…
- ガンヒルト: (キュゥべえめ…)
- ガンヒルト: (こういうことだったのか…)
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: でも、これで へこたれてなんかいられない…
- ガンヒルト: …やってやる… 必ず…生き抜いて…
- ガンヒルト: 姉さんの夢を叶えるんだ…!
- FILENAME: text_310502-4.txt
- ガンヒルト: 私が魔法少女となって多くの夜が過ぎて行った
- ガンヒルト: 私は…
- ガンヒルト: ふぅ…ふぅ…ふぅ…
- ガンヒルト: (これで…4匹目…)
- ガンヒルト: 魔女を倒し続け…
- ガンヒルト: 向こうがその気なら 相手をするしかない…
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …仕方ないよ 姉さん
- オルガ: …うん…
- ガンヒルト: …よし、みんな 戦いの準備だ!
- エッベ: おうよ!
- ガンヒルト: 戦士団の強化に奔走していた
- ガンヒルト: しかし、この頃から私は…
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …明日は集落を守る戦いになる…
- ガンヒルト: 魔女なんかに 構っていられないんだ
- ガンヒルト: 入念に迎撃の準備をしないと…
- ガンヒルト: ということで、私は忙しい
- ガンヒルト: また後日…
- ガンヒルト: 魔女退治はそこそこに 戦士団と集落の強化にばかり勤しんでいた
- ガンヒルト: むしろ、魔法少女であることが 既に疎ましく思っていた
- ガンヒルト: そして、ますますキュゥべえを 警戒するようにもなった
- ガンヒルト: キュゥべえを姉さんに近づけてはいけない… こんな目に遭うのは私だけで十分…
- ガンヒルト: ただ、その代わりに得た力は…
- ガンヒルト: はぁぁぁっ!
- 敵の戦士: ぬあっ…!
- 敵の戦士: な、なんだ、お前…!?
- 敵の戦士: 強すぎ…る…
- ガンヒルト: …………
- エッベ: こいつで最後だな…
- エッベ: 俺たちの勝利だ!
- ガンヒルト: …うん…
- エッベ: それにしても…
- エッベ: お前がこんなに強いとはなぁ
- ガンヒルト: …そうかな…
- エッベ: いや、強いだろ! 俺も腕に自信はあるが…
- エッベ: お前とはやり合いたくねーな
- エッベ: オルガもなかなかやるが お前はさらに強い
- エッベ: 姉妹で随分 差がついたもんだな
- ガンヒルト: そんなことないよ
- ガンヒルト: 姉さんは、強いよ
- エッベ: いやいや、それは…!
- ガンヒルト: 無駄話はここまで さあ、後始末に行こう
- エッベ: …へーい
- ガンヒルト: 私は魔法少女になってから飛躍的に 身体の力が強まり古豪のエッベすら認める 戦士となっていた
- ガンヒルト: おそらく、これは契約の恩恵
- ガンヒルト: せっかく得た力だ… 使えるものはとことん使う…
- ガンヒルト: 姉さんと…夢を叶えるために
- ガンヒルト: 超常なる力を私は手に入れた… これなら、やれるはず…!
- FILENAME: text_310503-1.txt
- ガンヒルト: 魔法少女になって 得たものと失ったものがある
- ガンヒルト: 得たものは、超常なる力と 強靭な身体…
- ガンヒルト: そして、失ったものは…
- オルガ: はあっ!
- エッベ: おらおらっ!
- ガンヒルト: ふんっ…!
- 敵の戦士: う…ぐぁ…!
- エッベ: まったく… どいつもこいつもだな!
- エッベ: 性懲りもなく うちらとやりあおうなんざ!
- ガンヒルト: それだけ『姉妹の戦士団』の 名前が有名になったんだよ
- ガンヒルト: うちの得たものを 全部奪いたいんだろうね
- オルガ: はぁ…
- エッベ: しょげるな、オルガ! いいことじゃねーか!
- オルガ: でも! いつまでたっても戦いが…!
- ガンヒルト: 姉さん!危ない!
- 敵の戦士: ん…ぐお…
- オルガ: あ、ありがとう…ガンヒルト…
- ガンヒルト: エッベ! 姉さんと一緒に向こうの敵を!
- ガンヒルト: ここいらのは 私が引き受ける!
- エッベ: おう、そうか んじゃ、行くか、オルガ
- オルガ: ガンヒルト! 無理はダメだよ!
- ガンヒルト: 大丈夫 この程度の敵、訳ないよ
- ガンヒルト: エッベ!
- エッベ: あいよ! おら、いくぞ首領!
- オルガ: ちょ、ちょっと! ガンヒルトー!
- ガンヒルト: …さて、と…
- 敵の戦士: こんの…!
- ガンヒルト: [live2dName:live2d_0:effect_7000_attack01]…はっ!
- 敵の戦士: [live2dName:live2d_0:effect_7002_damage01]…ぐふっ…!
- 敵の戦士: ま、まだまだぁ!
- ガンヒルト: …えっ!?
- 敵の戦士: 捕まえた…! やれ!
- 敵の戦士: おおおおおおお!
- ガンヒルト: うっ…!
- 敵の戦士: ひ、ひひ! やったぞ!
- 敵の戦士: 見ろ! 首筋にザックリだ!
- 敵の戦士: よ、よし…!
- ガンヒルト: …な…!
- FILENAME: text_310503-2.txt
- 敵の戦士: ひ、ひひ! やったぞ!
- 敵の戦士: 見ろ! 首筋にザックリだ!
- 敵の戦士: よ、よし…!
- ガンヒルト: …な…!
- ガンヒルト: …がふっ…!
- 敵の戦士: …お、おい!
- 敵の戦士: へへ…やったな…
- 敵の戦士: ああ、そうだ!
- 敵の戦士: この目障りな女! ようやく殺せたぜ!
- 敵の戦士: [live2dName:live2d_0:effect_shake]…うぐ… こんなに痛い目に遭って…
- 敵の戦士: ようやくガキひとりとは…
- 敵の戦士: …なっ!?
- 敵の戦士: どうした?
- ガンヒルト: …………
- 敵の戦士: …生きてる…?
- ガンヒルト: …うらぁっ!
- 敵の戦士: [live2dName:live2d_0:effect_shake]ごっ…!
- 敵の戦士: [live2dName:live2d_2:effect_shake]ぐはっ…!
- 敵の戦士: な、なんで… あの手応え…で…
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …私が聞きたいよ…
- ガンヒルト: この戦いの後、私はキュゥべえと会った
- ガンヒルト: 説明…してもらいたい
- ガンヒルト: そこで私は知った
- ガンヒルト: 私の身体は“ソウルジェム” というものを砕かれない限り すぐに死ぬことはないということを…
- ガンヒルト: 私はそのことを知った時、一瞬喜んだ これでもっと戦えると
- ガンヒルト: しかし、すぐに思い直した
- ガンヒルト: 私は既に人ならざるものに なってしまっているのだ、と…
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …だからって…
- ガンヒルト: もう後戻りはできない…!
- ガンヒルト: 返す返すも、姉さんが 魔法少女にならなくてよかった
- ガンヒルト: そして、姉さんをこの先も 魔法少女にしてはならない
- ガンヒルト: キュゥべえを… 姉さんに近づけてはいけない…!
- FILENAME: text_310503-3.txt
- ガンヒルト: 姉さんとキュゥべえを会わせてはいけない… そのことを常に意識し、注意を払っていた
- ガンヒルト: しかし、それでもやつは…
- ガンヒルト: …ふぅ…
- ガンヒルト: (エッベと話し込んでいたら こんな遅くになってしまった…)
- ガンヒルト: (姉さんは寝ているだろうな…)
- ガンヒルト: (…起こしちゃ悪い 今日も寝所はどこか別の…)
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: (なんだ… 妙に胸がざわつく…)
- ガンヒルト: (この感じ…)
- ガンヒルト: そうか…魔女か…!
- ガンヒルト: (魔女と対峙した時の ざわめきだ…!)
- ガンヒルト: (近くにいる…ということか?)
- ガンヒルト: …仕方ない…
- ガンヒルト: さっさと終わらせないと…!
- ガンヒルト: そして、感じるままに魔女を追い 結界へと突入した私の前にいたのは…
- ガンヒルトの声: 「危ない!」
- オルガ: …えっ!?
- …………!?
- ガンヒルトの声: 「…どうしてこんなところにいるの…?」
- ガンヒルト: …姉さん!
- オルガ: …ガ…ガンヒル…ト?
- ガンヒルト: キュゥべえは私の目を盗んで姉さんの前に現れ それを追った姉さんは 魔女の結界に迷い込んでいた
- ガンヒルト: これは、明らかに姉さんを 魔法少女にしようと企んだ動きに違いない
- ガンヒルト: (…やられた…)
- ガンヒルト: (キュゥべえに嵌められた かもしれない…)
- ガンヒルト: (こうなっては、もはや 隠し立てはできなくなった…)
- ガンヒルト: …キュゥべえ…
- ガンヒルト: 邪悪な精霊め…!
- ガンヒルト: しかし、それでも私はすべてを話しはしなかった
- ガンヒルト: 姉さんに、これ以上の 心配をかけたくなかったから…
- FILENAME: text_310503-4.txt
- オルガ: あ、あんた! その魔法少女ってのになったら…
- オルガ: 戦わなきゃなんでしょ!? 魔女…ってやつと!
- オルガ: あんたひとりにそんなことを 押しつけて…あたしは…!
- ガンヒルト: いいんだよ、姉さん 姉さんの夢が私の…
- オルガ: よくないよ!
- オルガ: …フィルギャ!
- キュゥべえ: ボクのことかい?
- オルガ: あたしも魔法少女にしてよ!
- オルガ: ガンヒルトが犠牲になって 叶える夢なんて…!
- ガンヒルト: ダメだよ、姉さん!
- オルガ: どうして!
- ガンヒルト: それだけは姉さんでも 絶対に許すことはできない!
- ガンヒルト: 姉さんを魔法少女には …させない!
- ガンヒルト: だけど、姉さんは納得しなかった 私ばかりに労苦を背負わせないって…
- ガンヒルト: だから…
- オルガ: あたしを魔法少女に…!
- ガンヒルト: …はっ!
- キュゥべえ: …………!?
- オルガ: えっ!? ガ、ガンヒルト…!?
- オルガ: 殺したの…!? キュゥべえを…!
- ガンヒルト: これでもう、姉さんは 魔法少女になれない…
- ガンヒルト: 諦めて…お願い…
- ガンヒルト: キュゥべえは殺した…もう大丈夫だ
- ガンヒルト: 今後、姉さんの前に現れるはずがない 現れるはずがないんだ
- ガンヒルト: だけど…
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: 私は時々不安になって、この森を訪れる
- ガンヒルト: そして、思わず叫んでしまう…
- ガンヒルト: …姉さんは魔法少女にさせない!
- ガンヒルト: 私がさせない!
- ガンヒルト: よく覚えておけ!
- ガンヒルト: 私の声が暗い森に吸い込まれていく そして、気持ちが急き立てる
- ガンヒルト: 姉さんの夢を実現しないと… 早く…とにかく早く…
- ガンヒルト: 私にはもう、少しも 立ち止まっている暇はないんだ…!
- ガンヒルト: 決して姉さんを契約させては ならない…私だけで十分だ…
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