Vi_Vi

Gunhild MSS JP Text

Apr 24th, 2023
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  1. FILENAME: text_310501-1.txt
  2. ガンヒルト: …父上は…
  3. ガンヒルト: 父上は、実力のある戦士団の 首長として知られていた
  4. ガンヒルト: 強く、賢く、人々の尊敬を 集めていた父上…
  5. ガンヒルト: 私と姉さんは、父上の話になると いつも誇らしかった
  6. ガンヒルト: そんな父上が…
  7. ガンヒルト: ある日突然、殺された
  8. ガンヒルト: 敵対していた戦士団に 命を奪われてしまった
  9. ガンヒルト: 父上だけではない… 母上も…一族も、皆…
  10. ガンヒルト: そして私と姉さんは… 殺した連中に隷属する 日々を送る羽目になったんだ…
  11. ガンヒルト: やつらの集落…イスヴィークで
  12. ガンヒルト: 姉さん、そっちはどう?
  13. オルガ: ちょっと待ってー! おいしょ…おいしょ…
  14. オルガ: はい、これで全部かな
  15. オルガ: あとは母屋の裏を 片づければ…
  16. 集落の戦士: …おう、落ちぶれ姉妹じゃねーか
  17. オルガ: あ…これは、どうも…
  18. ガンヒルト: (こいつ…私たちを見ると いつも絡んでくる…暇なの?)
  19. 集落の戦士: …ガンヒルト…相変わらず 反抗的な目つきしてやがんな
  20. 集落の戦士: そろそろ本格的に 教えてやらねーとダメか…?
  21. ガンヒルト: …………
  22. 集落の戦士: なんとか言ったらどうなんだ! ああん?
  23. 集落の戦士: 他の連中はスレール(奴隷)に 甘い態度するけどよぉ…
  24. 集落の戦士: 俺はそうじゃねぇからな! 身分が違うんだよ!
  25. ガンヒルト: …………
  26. 集落の戦士: …随分と文句のありそうな ツラしてんじゃねーか…
  27. 集落の戦士: そんな態度だったらなぁ…!
  28. オルガ: あー、いやいや! この子、これが生まれつきで!
  29. 集落の戦士: …んだよ、オルガ しゃしゃり出んな!
  30. オルガ: へへ…この子のこと ちゃんと説明しておかなきゃと…
  31. オルガ: そこで!あたしが得意な詩で 説明するんで、聞いてください!
  32. 集落の戦士: 詩だぁ?
  33. オルガ: では…コホン…
  34. オルガ: ガンヒルトの顔つき これは仕方ない、生まれつき!
  35. オルガ: だけど心根は優しい! 誰よりも純粋だし!
  36. 集落の戦士: …………
  37. オルガ: どうか許してほしい! 姉のあたしがもっと…
  38. オルガ: …えーと…もっと…
  39. 集落の戦士: あーもうやめろ! うるさい!
  40. オルガ: …あ、そうですか?
  41. 集落の戦士: …ちっ… 白けさせやがって…
  42. 集落の戦士: ガンヒルト! 次は態度を改めろよ!
  43. オルガ: …ふぃ~!
  44. ガンヒルト: 姉さん…ごめん またやっちゃった…
  45. オルガ: いーよいーよ 無理しないで
  46. オルガ: こういうのは、あたしが 取り繕うから、ね?
  47. オルガ: 姉さんに任しときな! …へへ!
  48. ガンヒルト: …ありがとう…
  49. ガンヒルト: こんな暮らしになっても 姉さんは変わらなかった
  50. ガンヒルト: 私を守ってくれる そして、支えてくれる 大樹のような姉だった…
  51.  
  52. FILENAME: text_310501-2.txt
  53. ガンヒルト: 姉さんは夜な夜な 私に色々な話をしてくれた
  54. オルガ: トールは知ってるでしょ?
  55. ガンヒルト: うん とっても強い神だよね
  56. ガンヒルト: ミョルニルっていう ハンマーが武器で、雷も操って…
  57. オルガ: そうそう!
  58. ガンヒルト: でも、どのくらい 強いのかな?
  59. オルガ: そりゃもう、すんごいんだから!
  60. オルガ: スリュムっていう霜の巨人の 王様を倒しちゃうんだよ!
  61. ガンヒルト: へぇ…!
  62. オルガ: …ただね ちょっと騙されやすくて…
  63. オルガ: 悪戯好きの神のロキに 結構してやられてるね
  64. オルガ: だけどトールとロキは 仲がいいんだ
  65. ガンヒルト: ふーん…不思議だね
  66. ガンヒルト: 姉さんは神々にまつわる話が 大好きだった
  67. ガンヒルト: そして私は、姉さんの語る 神話を好んで聞いていた
  68. ガンヒルト: ただ、それ以上に 私が大好きだったのは…
  69. ガンヒルト: 姉さんの語る“夢”だった
  70. オルガ: やっぱりまずは船だよね~
  71. ガンヒルト: そうだね 船がないとできないもんね
  72. ガンヒルト: 世界中を巡るっていう 姉さんの夢…
  73. オルガ: 船を持ったらさ、ガンヒルトも 乗ってくれるでしょ?
  74. ガンヒルト: もちろん!
  75. ガンヒルト: 姉さんの夢を手伝うのが 私の夢なんだから!
  76. オルガ: ふふ…ありがとう…
  77. ガンヒルト: 船を持ったらさ…
  78. ガンヒルト: 姉さんが船首に立つんだよね?
  79. オルガ: …え!?あたしが “スタヴンブーイ”の役を!?
  80. ガンヒルト: そりゃそうだよ! 船の持ち主でしょ?
  81. オルガ: あたしにできるかなぁ…?
  82. ガンヒルト: 父上もやってたし 姉さんにもできるよ!
  83. オルガ: …そ、そうかな?
  84. ガンヒルト: 大丈夫! 私が傍で補佐するから!
  85. オルガ: …んふふ… じゃあやるね!
  86. ガンヒルト: うん!決まり!
  87. ガンヒルト: 『スタヴンブーイ』… 船首に立つ最も勇敢な者… それは間違いなく姉さんだ
  88. ガンヒルト: 姉さんはスレールと なってからも挫けなかった いつも明るく私を励まし 毎日の苦痛を和らげてくれた
  89. ガンヒルト: 私も姉さんの役に立つ 妹でありたい… そして、姉さんの夢を 実現する手伝いがしたい…
  90. ガンヒルト: そんな想いとは裏腹に、日々に 変化は起きず、ただ過ぎていった
  91. ガンヒルト: 何かをしなければ いつまでもスレールのまま…
  92. ガンヒルト: 姉さんの夢も 遠くにあるままなんだ…
  93.  
  94. FILENAME: text_310501-3.txt
  95. ガンヒルト: 今の暮らしから どうにかして脱却したい…
  96. ガンヒルト: 毎日、そう強く念じていたし 機会を常に窺っていた
  97. ガンヒルト: そんな頃だった…
  98. ガンヒルト: 姉さんは、ある夜に…
  99. オルガ: “フィルギャ”だ!
  100. ガンヒルト: …フィルギャ?
  101. オルガ: 見ちゃったんだよ フィルギャを!
  102. ガンヒルト: …なんなの?フィルギャって…?
  103. オルガ: 精霊だよ!精霊!
  104. ガンヒルト: …今の飲んだくれが?
  105. オルガ: 違うって!
  106. オルガ: あいつの前に見たの! 白い獣を!
  107. オルガ: それがフィルギャ!
  108. ガンヒルト: はぁ…
  109. オルガ: 人の魂が動物の形になって この世に現れることがあるの!
  110. オルガ: それがフィルギャ!
  111. ガンヒルト: …んん~?じゃあ そのフィルギャを、姉さんが…
  112. オルガ: 見たの!ついさっき!
  113. ガンヒルト: この話を聞いた私は 姉さんは寝ぼけていたのかと思っていた
  114. ガンヒルト: しかし、後日…
  115. オルガ: すぃ~…すぃ~…
  116. ガンヒルト: (よく寝てる…)
  117. ガンヒルト: (今日はいつにも増して 熱く語っていたからなぁ)
  118. ガンヒルト: (この前言ってた フィルギャのせいかな…?)
  119. ガンヒルト: (精霊か…)
  120. ガンヒルト: (姉さんが見たのは 白い毛並みの小さな…)
  121. ???: …………
  122. ガンヒルト: …………
  123. ガンヒルト: …え?
  124. ???: …………
  125. ガンヒルト: …嘘でしょ…
  126. ガンヒルト: (ど、どこ行ったの…!?)
  127. ガンヒルト: (外…!?)
  128. ガンヒルト: 白い獣は、時折私を待っており 誘うように森へと入っていった
  129. ガンヒルト: そして…遂に…
  130. ガンヒルト: …………
  131. ???: …………
  132. ガンヒルト: あ、あなたは… フィルギャ…なの?
  133. キュゥべえ: ボクの名前はキュゥべえ
  134. ガンヒルト: これが運命の岐路となる出会いだった…
  135.  
  136. FILENAME: text_310501-4.txt
  137. ガンヒルト: あ、あなたは… フィルギャ…なの?
  138. キュゥべえ: ボクの名前はキュゥべえ
  139. ガンヒルト: これが運命の岐路となる出会いだった…
  140. ガンヒルト: キュゥべえの正体はまったくわからない… ただ、間違いなくこの世のものではないだろう
  141. ガンヒルト: 初めは神の使いかと思っていたが しばらく話してその考えは変わった
  142. ガンヒルト: 魔法…少女?
  143. ガンヒルト: それに私がなれば 何でも願いを叶える、と…?
  144. ガンヒルト: 私はこの時になって初めて 夢でも見ているのかと思っていた
  145. ガンヒルト: 『何でも願いを叶える』… そんなことが本当に…?
  146. ガンヒルト: そして直感した… キュゥべえはおそらく、邪な存在だ
  147. ガンヒルト: まるでトールを騙すロキのような、危険な獣…
  148. ガンヒルト: …しかし、私は…
  149. ガンヒルト: …………
  150. ガンヒルト: …本当に、願いが叶うんだな?
  151. ガンヒルト: 魔法少女の契約を交わした
  152. ガンヒルト: 私の願いは 『姉さんを首領とした戦士団の結成』
  153. ガンヒルト: すべては姉さんの夢のためだ
  154. ガンヒルト: まずは今の暮らしから抜け出ること… それには力が要る
  155. ガンヒルト: 加えて、世界中を周るためには 基盤がどうしても欲しかった… そのことを踏まえての願いだった
  156. ガンヒルト: この時点で、私たち姉妹の運命は変わったんだ…
  157. ガンヒルト: 私の身がどうなろうと構わない… 願いが叶えば…
  158.  
  159. FILENAME: text_310502-1.txt
  160. ガンヒルト: 私はある夜、突如として 『魔法少女』というものになると誓った
  161. ガンヒルト: それからしばらくして…
  162. オルガ: イスヴィークが… 襲撃されている…!?
  163. ガンヒルト: 一体…どこの戦士たち…!?
  164. 集落の戦士: [live2dName:live2d_0:effect_shake]ぐっ…!
  165. 集落の戦士: [live2dName:live2d_2:effect_shake]うぐっ…!
  166. オルガ: み、みんな殺されて…!
  167. ガンヒルト: …………
  168. ガンヒルト: (…この状況…)
  169. ガンヒルト: …よし…
  170. オルガ: ガンヒルト! どどっ、どうしよう…!?
  171. ガンヒルト: 姉さん、落ち着いて
  172. オルガ: 落ち着けって、でも…!
  173. ガンヒルト: 終わりがないかと思っていた 日常に、変化の兆しが…
  174. ガンヒルト: 私はすぐに思った
  175. ガンヒルト: これはきっと 本当に私の願いが叶ったのだ、と
  176. ガンヒルト: あの夜、私は確かに 魔法少女になったのだから…!
  177. ガンヒルト: こ、これは…
  178. ガンヒルト: (本当に姿が変わった…!)
  179. ガンヒルト: (こんなこと… 人のなせる業ではない…!)
  180. ガンヒルト: (ということは…つまり…)
  181. ガンヒルト: …ふふ…
  182. ガンヒルト: …ふふ…あはは…
  183. ガンヒルト: あはははははは!
  184. ガンヒルト: やった…! やったよ、姉さん!
  185. ガンヒルト: もう私たちは スレールじゃなくなる!
  186. ガンヒルト: 自由になる…! その上、戦士団も…!
  187. ガンヒルト: ようやく… 最初の一歩を踏めるんだよ…!
  188. ガンヒルト: …………
  189. ガンヒルト: (いや、でも…)
  190. ガンヒルト: (それが私の契約と引き換えで 得た結果だったと知ったら…)
  191. ガンヒルト: (姉さんはきっと 負い目を感じてしまう…)
  192. ガンヒルト: (私がいくら平気だと言っても… そういう人だから…)
  193. ガンヒルト: (あくまで、このことは 秘密にしておかないと…)
  194. ガンヒルト: …私が選んだこと、なんだよ 姉さん…
  195. キュゥべえ: …………
  196.  
  197. FILENAME: text_310502-2.txt
  198. 老戦士: ん?…なにっ…? オルガにガンヒルトだと…!?
  199. オルガ: ひええっ!そ、そうですけど~!
  200. 老戦士: お前ら…まさか…!
  201. オルガ: ななな、なんですか~!?
  202. 老戦士: ち、父親の名前は…?
  203. ガンヒルト: アルネ…
  204. 老戦士: アルネ…! 『暁の戦士団』の…!?
  205. オルガ: …え? し、知ってるんですか…?
  206. 老戦士: つまり、お前らは… アルネの娘たちの…!
  207. 老戦士: オルガにガンヒルト! うおお!会いたかったぞー!
  208. ガンヒルト: イスヴィーク襲撃のさなかに 出会ったこの老戦士…名前はエッベといった
  209. ガンヒルト: 父上に恩義があるということで 私たちに臣従を申し出てきた
  210. ガンヒルト: …思っていた通り… 願いは本当に叶ったのだ
  211. ガンヒルト: 躊躇する姉さんの背中を押して… 私たちはこの日、“自由になる力”を得た
  212. ガンヒルト: そして同時に…
  213. 集落の戦士: 誰も出迎えにこないと思ったら…
  214. 集落の戦士: …なんだ…この有様は…!?
  215. 集落の戦士: おい!誰かいねーのか!
  216. オルガ: …………
  217. ガンヒルト: …………
  218. 集落の戦士: おお!おい、みんな! オルガとガンヒルトがいたぞ!
  219. 集落の戦士: お前ら! こいつは一体どうなって…
  220. ガンヒルト: 略奪に出た戦士たちは これで全員?
  221. 集落の戦士: ん?…まあ…うん そうだな、全員だ
  222. 集落の戦士: それより、他の連中は…
  223. ガンヒルト: 姉さん
  224. オルガ: …………
  225. ガンヒルト: …姉さん!
  226. オルガ: う、うん…!
  227. オルガ: …かかれ!
  228. エッベ: 行くぞオラー!
  229. 集落の戦士: な、なんだぁ!? こいつら…!
  230. 集落の戦士: く、くそっ… どうなってやが…
  231. ガンヒルト: …………
  232. 集落の戦士: …て、てめぇ… ガンヒルト!
  233. 集落の戦士: お前ら姉妹だな… この連中を引き込んだのは!
  234. ガンヒルト: …違う…
  235. ガンヒルト: 私だけでやった
  236. 集落の戦士: くっ…このぉ…!
  237. 集落の戦士: その気に食わねぇ面構え… 切り刻んでやる!
  238. ガンヒルト: …………
  239. 集落の戦士: よ、よけるな、くそっ…!
  240. ガンヒルト: …うるさい!
  241. 集落の戦士: あぐ…!
  242. 集落の戦士: ガ…ガンヒルトぉ…!
  243. ガンヒルト: …ふぅ…
  244. ガンヒルト: あー、清々した…
  245. ガンヒルト: イスヴィークの戦士団は 主力が集落を離れていたが 戻って来たところを包囲して殲滅…
  246. ガンヒルト: こうして私たちは集落を手に入れて 名も“イスヴォル”と改めた
  247. ガンヒルト: ここから私たちの新たな人生が始まった
  248. ガンヒルト: …同時に魔法少女としても…
  249.  
  250. FILENAME: text_310502-3.txt
  251. ガンヒルト: イスヴォルを掌握した私たちは まず足場固めに入った
  252. ガンヒルト: 農業も畜産も交易も もっと活発にしないと
  253. ガンヒルト: 今より豊かになって 戦士団を強くするんだから
  254. オルガ: え?今でも十分…
  255. ガンヒルト: 強いよ 確かに強い
  256. ガンヒルト: でも、まだ足りない…!
  257. ガンヒルト: 夢の実現を確かなものに するためには…
  258. ガンヒルト: 誰にも負けない強さを 手に入れないと…!
  259. ガンヒルト: その一方で私は…
  260. …………!
  261. ガンヒルト: くっ…!
  262. ガンヒルト: …うりゃぁぁっ!
  263. …………!?
  264. ガンヒルト: …ふぅ…
  265. ガンヒルト: …これで手下ってわけ…? まったく…
  266. ガンヒルト: 魔女との戦いを繰り広げていた
  267. ガンヒルト: キュゥべえが言うには 魔法少女にとって魔女退治は 必須の行為だという
  268. ガンヒルト: 魔力を回復するには魔女を倒して入手する “グリーフシード”と呼ばれる 代物がどうしても必要で…
  269. ガンヒルト: 魔女は不意に襲ってくる そして、魔力がなければ戦えない だから魔女を倒す
  270. ガンヒルト: この繰り返し…
  271. ガンヒルト: (キュゥべえめ…)
  272. ガンヒルト: (こういうことだったのか…)
  273. ガンヒルト: …………
  274. ガンヒルト: でも、これで へこたれてなんかいられない…
  275. ガンヒルト: …やってやる… 必ず…生き抜いて…
  276. ガンヒルト: 姉さんの夢を叶えるんだ…!
  277.  
  278. FILENAME: text_310502-4.txt
  279. ガンヒルト: 私が魔法少女となって多くの夜が過ぎて行った
  280. ガンヒルト: 私は…
  281. ガンヒルト: ふぅ…ふぅ…ふぅ…
  282. ガンヒルト: (これで…4匹目…)
  283. ガンヒルト: 魔女を倒し続け…
  284. ガンヒルト: 向こうがその気なら 相手をするしかない…
  285. オルガ: …………
  286. ガンヒルト: …仕方ないよ 姉さん
  287. オルガ: …うん…
  288. ガンヒルト: …よし、みんな 戦いの準備だ!
  289. エッベ: おうよ!
  290. ガンヒルト: 戦士団の強化に奔走していた
  291. ガンヒルト: しかし、この頃から私は…
  292. ガンヒルト: …………
  293. ガンヒルト: …明日は集落を守る戦いになる…
  294. ガンヒルト: 魔女なんかに 構っていられないんだ
  295. ガンヒルト: 入念に迎撃の準備をしないと…
  296. ガンヒルト: ということで、私は忙しい
  297. ガンヒルト: また後日…
  298. ガンヒルト: 魔女退治はそこそこに 戦士団と集落の強化にばかり勤しんでいた
  299. ガンヒルト: むしろ、魔法少女であることが 既に疎ましく思っていた
  300. ガンヒルト: そして、ますますキュゥべえを 警戒するようにもなった
  301. ガンヒルト: キュゥべえを姉さんに近づけてはいけない… こんな目に遭うのは私だけで十分…
  302. ガンヒルト: ただ、その代わりに得た力は…
  303. ガンヒルト: はぁぁぁっ!
  304. 敵の戦士: ぬあっ…!
  305. 敵の戦士: な、なんだ、お前…!?
  306. 敵の戦士: 強すぎ…る…
  307. ガンヒルト: …………
  308. エッベ: こいつで最後だな…
  309. エッベ: 俺たちの勝利だ!
  310. ガンヒルト: …うん…
  311. エッベ: それにしても…
  312. エッベ: お前がこんなに強いとはなぁ
  313. ガンヒルト: …そうかな…
  314. エッベ: いや、強いだろ! 俺も腕に自信はあるが…
  315. エッベ: お前とはやり合いたくねーな
  316. エッベ: オルガもなかなかやるが お前はさらに強い
  317. エッベ: 姉妹で随分 差がついたもんだな
  318. ガンヒルト: そんなことないよ
  319. ガンヒルト: 姉さんは、強いよ
  320. エッベ: いやいや、それは…!
  321. ガンヒルト: 無駄話はここまで さあ、後始末に行こう
  322. エッベ: …へーい
  323. ガンヒルト: 私は魔法少女になってから飛躍的に 身体の力が強まり古豪のエッベすら認める 戦士となっていた
  324. ガンヒルト: おそらく、これは契約の恩恵
  325. ガンヒルト: せっかく得た力だ… 使えるものはとことん使う…
  326. ガンヒルト: 姉さんと…夢を叶えるために
  327. ガンヒルト: 超常なる力を私は手に入れた… これなら、やれるはず…!
  328.  
  329. FILENAME: text_310503-1.txt
  330. ガンヒルト: 魔法少女になって 得たものと失ったものがある
  331. ガンヒルト: 得たものは、超常なる力と 強靭な身体…
  332. ガンヒルト: そして、失ったものは…
  333. オルガ: はあっ!
  334. エッベ: おらおらっ!
  335. ガンヒルト: ふんっ…!
  336. 敵の戦士: う…ぐぁ…!
  337. エッベ: まったく… どいつもこいつもだな!
  338. エッベ: 性懲りもなく うちらとやりあおうなんざ!
  339. ガンヒルト: それだけ『姉妹の戦士団』の 名前が有名になったんだよ
  340. ガンヒルト: うちの得たものを 全部奪いたいんだろうね
  341. オルガ: はぁ…
  342. エッベ: しょげるな、オルガ! いいことじゃねーか!
  343. オルガ: でも! いつまでたっても戦いが…!
  344. ガンヒルト: 姉さん!危ない!
  345. 敵の戦士: ん…ぐお…
  346. オルガ: あ、ありがとう…ガンヒルト…
  347. ガンヒルト: エッベ! 姉さんと一緒に向こうの敵を!
  348. ガンヒルト: ここいらのは 私が引き受ける!
  349. エッベ: おう、そうか んじゃ、行くか、オルガ
  350. オルガ: ガンヒルト! 無理はダメだよ!
  351. ガンヒルト: 大丈夫 この程度の敵、訳ないよ
  352. ガンヒルト: エッベ!
  353. エッベ: あいよ! おら、いくぞ首領!
  354. オルガ: ちょ、ちょっと! ガンヒルトー!
  355. ガンヒルト: …さて、と…
  356. 敵の戦士: こんの…!
  357. ガンヒルト: [live2dName:live2d_0:effect_7000_attack01]…はっ!
  358. 敵の戦士: [live2dName:live2d_0:effect_7002_damage01]…ぐふっ…!
  359. 敵の戦士: ま、まだまだぁ!
  360. ガンヒルト: …えっ!?
  361. 敵の戦士: 捕まえた…! やれ!
  362. 敵の戦士: おおおおおおお!
  363. ガンヒルト: うっ…!
  364. 敵の戦士: ひ、ひひ! やったぞ!
  365. 敵の戦士: 見ろ! 首筋にザックリだ!
  366. 敵の戦士: よ、よし…!
  367. ガンヒルト: …な…!
  368.  
  369. FILENAME: text_310503-2.txt
  370. 敵の戦士: ひ、ひひ! やったぞ!
  371. 敵の戦士: 見ろ! 首筋にザックリだ!
  372. 敵の戦士: よ、よし…!
  373. ガンヒルト: …な…!
  374. ガンヒルト: …がふっ…!
  375. 敵の戦士: …お、おい!
  376. 敵の戦士: へへ…やったな…
  377. 敵の戦士: ああ、そうだ!
  378. 敵の戦士: この目障りな女! ようやく殺せたぜ!
  379. 敵の戦士: [live2dName:live2d_0:effect_shake]…うぐ… こんなに痛い目に遭って…
  380. 敵の戦士: ようやくガキひとりとは…
  381. 敵の戦士: …なっ!?
  382. 敵の戦士: どうした?
  383. ガンヒルト: …………
  384. 敵の戦士: …生きてる…?
  385. ガンヒルト: …うらぁっ!
  386. 敵の戦士: [live2dName:live2d_0:effect_shake]ごっ…!
  387. 敵の戦士: [live2dName:live2d_2:effect_shake]ぐはっ…!
  388. 敵の戦士: な、なんで… あの手応え…で…
  389. ガンヒルト: …………
  390. ガンヒルト: …私が聞きたいよ…
  391. ガンヒルト: この戦いの後、私はキュゥべえと会った
  392. ガンヒルト: 説明…してもらいたい
  393. ガンヒルト: そこで私は知った
  394. ガンヒルト: 私の身体は“ソウルジェム” というものを砕かれない限り すぐに死ぬことはないということを…
  395. ガンヒルト: 私はそのことを知った時、一瞬喜んだ これでもっと戦えると
  396. ガンヒルト: しかし、すぐに思い直した
  397. ガンヒルト: 私は既に人ならざるものに なってしまっているのだ、と…
  398. ガンヒルト: …………
  399. ガンヒルト: …だからって…
  400. ガンヒルト: もう後戻りはできない…!
  401. ガンヒルト: 返す返すも、姉さんが 魔法少女にならなくてよかった
  402. ガンヒルト: そして、姉さんをこの先も 魔法少女にしてはならない
  403. ガンヒルト: キュゥべえを… 姉さんに近づけてはいけない…!
  404.  
  405. FILENAME: text_310503-3.txt
  406. ガンヒルト: 姉さんとキュゥべえを会わせてはいけない… そのことを常に意識し、注意を払っていた
  407. ガンヒルト: しかし、それでもやつは…
  408. ガンヒルト: …ふぅ…
  409. ガンヒルト: (エッベと話し込んでいたら こんな遅くになってしまった…)
  410. ガンヒルト: (姉さんは寝ているだろうな…)
  411. ガンヒルト: (…起こしちゃ悪い 今日も寝所はどこか別の…)
  412. ガンヒルト: …………
  413. ガンヒルト: (なんだ… 妙に胸がざわつく…)
  414. ガンヒルト: (この感じ…)
  415. ガンヒルト: そうか…魔女か…!
  416. ガンヒルト: (魔女と対峙した時の ざわめきだ…!)
  417. ガンヒルト: (近くにいる…ということか?)
  418. ガンヒルト: …仕方ない…
  419. ガンヒルト: さっさと終わらせないと…!
  420. ガンヒルト: そして、感じるままに魔女を追い 結界へと突入した私の前にいたのは…
  421. ガンヒルトの声: 「危ない!」
  422. オルガ: …えっ!?
  423. …………!?
  424. ガンヒルトの声: 「…どうしてこんなところにいるの…?」
  425. ガンヒルト: …姉さん!
  426. オルガ: …ガ…ガンヒル…ト?
  427. ガンヒルト: キュゥべえは私の目を盗んで姉さんの前に現れ それを追った姉さんは 魔女の結界に迷い込んでいた
  428. ガンヒルト: これは、明らかに姉さんを 魔法少女にしようと企んだ動きに違いない
  429. ガンヒルト: (…やられた…)
  430. ガンヒルト: (キュゥべえに嵌められた かもしれない…)
  431. ガンヒルト: (こうなっては、もはや 隠し立てはできなくなった…)
  432. ガンヒルト: …キュゥべえ…
  433. ガンヒルト: 邪悪な精霊め…!
  434. ガンヒルト: しかし、それでも私はすべてを話しはしなかった
  435. ガンヒルト: 姉さんに、これ以上の 心配をかけたくなかったから…
  436.  
  437. FILENAME: text_310503-4.txt
  438. オルガ: あ、あんた! その魔法少女ってのになったら…
  439. オルガ: 戦わなきゃなんでしょ!? 魔女…ってやつと!
  440. オルガ: あんたひとりにそんなことを 押しつけて…あたしは…!
  441. ガンヒルト: いいんだよ、姉さん 姉さんの夢が私の…
  442. オルガ: よくないよ!
  443. オルガ: …フィルギャ!
  444. キュゥべえ: ボクのことかい?
  445. オルガ: あたしも魔法少女にしてよ!
  446. オルガ: ガンヒルトが犠牲になって 叶える夢なんて…!
  447. ガンヒルト: ダメだよ、姉さん!
  448. オルガ: どうして!
  449. ガンヒルト: それだけは姉さんでも 絶対に許すことはできない!
  450. ガンヒルト: 姉さんを魔法少女には …させない!
  451. ガンヒルト: だけど、姉さんは納得しなかった 私ばかりに労苦を背負わせないって…
  452. ガンヒルト: だから…
  453. オルガ: あたしを魔法少女に…!
  454. ガンヒルト: …はっ!
  455. キュゥべえ: …………!?
  456. オルガ: えっ!? ガ、ガンヒルト…!?
  457. オルガ: 殺したの…!? キュゥべえを…!
  458. ガンヒルト: これでもう、姉さんは 魔法少女になれない…
  459. ガンヒルト: 諦めて…お願い…
  460. ガンヒルト: キュゥべえは殺した…もう大丈夫だ
  461. ガンヒルト: 今後、姉さんの前に現れるはずがない 現れるはずがないんだ
  462. ガンヒルト: だけど…
  463. ガンヒルト: …………
  464. ガンヒルト: 私は時々不安になって、この森を訪れる
  465. ガンヒルト: そして、思わず叫んでしまう…
  466. ガンヒルト: …姉さんは魔法少女にさせない!
  467. ガンヒルト: 私がさせない!
  468. ガンヒルト: よく覚えておけ!
  469. ガンヒルト: 私の声が暗い森に吸い込まれていく そして、気持ちが急き立てる
  470. ガンヒルト: 姉さんの夢を実現しないと… 早く…とにかく早く…
  471. ガンヒルト: 私にはもう、少しも 立ち止まっている暇はないんだ…!
  472. ガンヒルト: 決して姉さんを契約させては ならない…私だけで十分だ…
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