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Arc 2 Main Story Chapter 10 JP Text

May 23rd, 2022 (edited)
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  1. FILENAME: text_103101-1_32rIq.txt [Episode 1]
  2. 那由他: パパが魔法少女を救うことを諦めてると知って ラビさんたちと一緒に湯国市に行って みんなが経験してきたことを聞けたんですの…
  3. 那由他: ラビさんたちは 魔法少女の存在を友だちに知ってもらうことで 救われようとしていたのに なぜか湯国市の学生を傷つけて恨まれてしまった
  4. 那由他: パパは魔法少女と思われる女性を調べる中で 誰もが魔法少女として知られていない事実を知り 宇宙にとって都合が悪いことは ねじ伏せられるという現実に気づいたんですの
  5. 那由他: それは、今の私たちが魔法少女として 世間に知られることも同じ
  6. 那由他: 私たちが救われて希望と絶望の差が縮まると 宇宙にとっては自分の体を維持する エネルギーを得られないことになるから…
  7. 那由他: 宇宙の意思に運命が握られているから 救われるのを諦めるだなんて 私は素直に納得して頷けないですの
  8. 那由他: だから私も確認しないといけないんですの 魔法少女の存在が広められようとする神浜市で いったい何が起きるのか
  9. 那由他: だけど確認とはいっても 未来への希望を感じるようであれば 私はそれをつかみに行くつもりなんですの
  10. ラビ: 宮尾時雨からサーシャに届いた メッセージの内容が本当であれば
  11. ラビ: 魔法少女の存在を知らせるために 藍家ひめなが動いたということ…
  12. アレクサンドラ: 本当に飲むことも食べることも できないようにするなんて…
  13. 旭: …人と魔法少女の差を 理解させるには十分でありますが
  14. 旭: 慰めの言葉を求める者たちとは 一線を画している行為…
  15. 旭: 魔法少女の存在が知られても、 埋まらない溝が生じるであります
  16. アレクサンドラ: 魔法少女至上主義を成立させて、 誰も逆らえない天辺にいく
  17. アレクサンドラ: その目的を果たそうとした結果が 今の惨状なんです…
  18. うらら: これだと魔法少女にとっての 慰めにはならないから
  19. うらら: 宇宙の自浄作用も 起きないかもしれないんよ
  20. 太助: いや…
  21. 太助: 人々が魔法少女に恐怖を感じて 契約数が減ることになれば
  22. 太助: 宇宙にとっては、エネルギーが 得られない要因になる
  23. 太助: どちらに転んだとしても、 宇宙は身を守ろうとするはずだよ
  24. 旭: これほど事態が大きくなれば、 悲惨な結末になりそうであります
  25. うらら: ウチらのときよりも…
  26. アレクサンドラ: 私たちのときは多くの人が 火に包まれ、心を壊した…
  27. うらら: それを超えるということなのん?
  28. ラビ: ただ、環いろはは今も 宇宙の意思に抗い続けている…
  29. ラビ: 魔法少女同士の争いを否定し続け 愚直に手を取ろうとすれば
  30. ラビ: 穏やかな未来になる可能性は、 まだあるのかもしれない…
  31. 月出里: ふむっむ!
  32. ヨヅル: 魔力を消していたようですが ようやくつかめましたね
  33. リヴィア: 姫さんのことやし、 みたまの調整能力でも使って
  34. リヴィア: 足取りをわからんように しとったんやろな
  35. リヴィア: せやけど、尻尾はつかんだで
  36. リヴィア: あの子がやろうとしとることは 私らで潰したる
  37. ヨヅル&月出里: 「はい」 「ふむっ!」
  38. ひめな: よっし、 とりまこれでオッケーかな
  39. 燦: まさか、宮尾からのメッセージに ずっと返信してたの?
  40. ひめな: だって、しぐりんが 次から次に質問してくるんだもん
  41. 燦: じゃあ、全部伝えたのね
  42. 燦: 三輪にお願いして 神浜市長の目的を改竄したことも
  43. 燦: 最初から神浜市の人たちを 巻き込むつもりだったことも…
  44. ひめな: そ、全部ぶっちゃけちゃった
  45. 燦: それで愛想を尽かしてくれた方が 姫様としては楽っていうこと?
  46. ひめな: 私チャンとしては ぴえんどころじゃないんだけど…
  47. ひめな: でも、ふたりが望む優しい未来を 私チャンは作れないからね…
  48. ひめな: だって、ママや周りの人たちが ディスってくる度に思うもん
  49. ひめな: 黒でも白だって言わせるぐらいの 強い圧力をかけないと
  50. ひめな: 私チャンとヒコ君の恋仲は 誰からも認めてもらえないって
  51. 燦: それで私とミユにも ぶっちゃけトークをして
  52. 燦: 抜けさせようとしたんでしょ?
  53. ひめな: そういうこと
  54. ひめな: だけど、こうして残るんだから ビックリしちゃったけどね
  55. ミユリ: 燦様だって姫様と一緒に 神様になるんですから当然ですぅ
  56. 燦: 私も火祭りの神になるために 姫様の作戦が必要だったし
  57. 燦: 姫様が悪神で私が善神になる話も 承知してくれたからね
  58. 燦: 今さらネオマギウスを 抜ける必要なんてなかったわ
  59. 燦: おかげで宮尾と安積を追い詰めて ユニオンに逃がせたし
  60. 燦: 姫様としては 良かったんじゃないかしら
  61. ミユリ: ミユとしては宮尾と安積には 戻ってきて欲しかったのですが…
  62. ミユリ: 最初からふたりが抜けるように 考えてたんですよね…
  63. 燦: ただ、ここまではいいとして、 今の状況で勝算はあるの?
  64. ミユリ: 宮尾と安積と同じように 事情を知った羽根が抜けてますし
  65. ミユリ: あ、確かに割とまずいような…
  66. ひめな: ヒコ君的にはおけまるっぽいよ
  67. ひめな: とりま、静香ちゃんも 時間を稼いでくれたから勝ち確!
  68. ひめな: 何十人、何百人の魔法少女たちが 私チャンを襲って窮地になっても
  69. ひめな: もう、状況は覆らないってさ
  70. ミユリ: 姫様とヒコ様がそう言うなら、 間違いないですねぇ
  71. ひめな: そっ、仕掛けも打ってあるから 問題なし★
  72. 燦: ただね姫様 これだけは約束してくれる?
  73. ひめな: 何?
  74. 燦: 光塚の人たちには手を出さないで
  75. ひめな: うんっ、もちろんおけまるだよ!
  76. ミユリ: はぁぁ~、今日も燦様は 凛々しくてステキですぅ~
  77. ひめな: 「というわけで とりまバイブスを上げるために そろそろ号令をかけちゃおっかな!」
  78. ひめな: 「みんな!」
  79. ひめな: 「ここまで残ってくれた羽根の人は この神浜市の状況を見ても 自分たちが理想とする未来を見てると思う!」
  80. ひめな: 「私チャンたちの存在が伝わるまで 残り11時間! 絶対に魔法少女至上主義を広めて 天辺に行くからね!」
  81. ひめな: 「でも、ひとつだけみんなにお願い! 最後に出す私チャンからの指示には みんな必ず従うように!」
  82. ひめな: 「それじゃあ、最後まで頑張ろ!」
  83.  
  84. FILENAME: text_103101-2_32rIq.txt
  85. かごめ: お茶を飲もうとすると 急に胸が気持ち悪くなって飲み込めない…。
  86. かごめ: 胃をねじるような不快感が広がるのと同時に 自分の命が脅かされている実感が湧いてくると、 体が震えて心臓も早鐘を打つのがわかる…。
  87. かごめ: 自分に落ち着けと命令しているのに、 こういう時に限ってかえって鼓動が速くなるから 私は自分の体に悪態をつきたくなった。
  88. かごめ: けど、そんな自分を落ち着かせてくれたのは、 近くに居たいろはさんの 『大丈夫だよ、かごめちゃん』という なんでもない言葉だった。
  89. かごめ: それから時間を置いて、ネオマギウスを抜けてきた 時雨ちゃんとはぐむさんの話を聞いて知ったのは 十七夜さんやみたまさんを含む 東の人を苦しめていた神浜市長選の真相…。
  90. かごめ: 今の市長が東を貶めるような動きをして 東西の問題を再燃させたのは、 ひめなさんがみつねさんの改竄能力を利用して 市長の動きを操作したのが原因だった…。
  91. かごめ: 神浜市に居る人が何も飲めず食べられず 苦しんでいる状況だけでなく、 明かされていく真相に、頭も心も追いつかない。
  92. かごめ: それでも、いや、だからこそ ここにいる魔法少女たちはみんな 状況の厳しさを理解している。
  93. かごめ: キモチの石をそろえて自動浄化システムを奪取し 魔女にならない世界を構築することが 一番優先したいことだけど
  94. かごめ: 今は苦しんでいる神浜市の人たちを 救うために、魔法少女としてできる行動を 始めないといけないって…。
  95. かごめ: 被害に遭っている 何万人…何十万人という人たちの中には 魔法少女たちの家族もいるから…。
  96. やちよ: まったく…!
  97. やちよ: とんでもないことを しでかしてくれたわね…
  98. 鶴乃: ど、どうしようやちよ…!
  99. 鶴乃: 万々歳も開いてる時間だから 今ごろお父さんもお客さんも…!
  100. いろは: …それに、みんなの家族も 同じ状況になってるはずです…
  101. やちよ: 十七夜とみたまが歪んだのは 藍家ひめなのせいだとしても
  102. やちよ: この惨状が想像できていたのに 協力したと思うと
  103. やちよ: さすがに心が苦しいわね
  104. いろは: …ねえ、 時雨ちゃん、はぐむちゃん
  105. はぐむ: あぁ、あの…私たちは本当に、 ここまでするなんて知らなくて…
  106. 時雨: うん…ぼくたちだって じいじが死んだりしたら嫌だから
  107. 時雨: …でも、そんなの言い訳だよね…
  108. はぐむ: 私たちは加害者側だもんね…
  109. いろは: ううん、それでも私は信じるよ ふたりが知らなかったって
  110. いろは: もちろん、私たちに 協力してくれることもね
  111. うい: すごく必死に、ネオマギウスから 逃げてきてくれたもんね
  112. 鶴乃: ねえ、ふたりとも教えてよ! 次に藍家ひめなは何をするの!?
  113. 鶴乃: 神浜市の人たちを 助けないといけないし
  114. 鶴乃: 十七夜やみたまだって 連れ戻さないといけない
  115. 鶴乃: それにプロミストブラッドの 三女だってそっちにいる
  116. 鶴乃: やらないといけないことが いっぱいあるんだよ!
  117. ももこ: せめて十七夜さんと調整屋の 居場所がわかればな…
  118. ももこ: 神浜市長選の真実を教えれば、 目を覚ますかもしれない
  119. ももこ: そうすればふたりが戦う理由は なくなるはずだし
  120. ももこ: アタシらにとっては 次の一手に繋がるかもしれない
  121. みふゆ: ネオマギウスに関する情報が 手に入るかもしれませんからね
  122. いろは: お願いふたりとも 知ってることがあれば教えて…
  123. はぐむ: ネオマギウスの目的は魔法少女の 存在をみんなに知ってもらって
  124. はぐむ: 私たちが優れてるっていうことを 示すことにあります
  125. 時雨: うん… だから姫はすぐには動かない…
  126. いろは: どうして…?
  127. 時雨: みんなが体の異変に気づいて、 その状況が町中に浸透して
  128. 時雨: みんなの不安がピークになった時 姫は動くと思う…
  129. はぐむ: そうだね…
  130. はぐむ: だから、魔法少女の存在を広める 仕掛けを動かすとしたら
  131. はぐむ: みんなが注目してくれるまで 時間が経ったあとだと思います
  132. 時雨: ぼくの知ってる姫なら夜… ううん、それじゃ早いかも…
  133. 時雨: 寝て…起きて…朝になったら 魔法少女の存在を広めるかも…
  134. 時雨: 家にいる時間だから、 テレビ局とかを使って…
  135. フェリシア: しゃあっ!
  136. フェリシア: そうとわかったら、 朝までに邪魔しに行こうぜ!
  137. フェリシア: テレビ局を潰せばいいんだろ?
  138. 智珠 らんか: 待って
  139. 智珠 らんか: 話は聞いてたけど それは目立ち過ぎてマズくない?
  140. 智珠 らんか: 他にヒントがないから 今ある情報で動くのはいいけどさ
  141. 智珠 らんか: 情報をカットしたら、 町の人たちが混乱するでしょ
  142. 結菜: らんかの言う通りねぇ
  143. 結菜: 「神浜市の放送網をいつでも遮断できるように アンテナや電源がある場所を掌握する」
  144. 結菜: というのが、私たちの ミッションじゃないかしらぁ…?
  145. ひかる: さすが結菜さん! わかりやすいっす!
  146. 樹里: ニヒッ、なるほどな
  147. 樹里: シンプルに掌握ってのがいい 敵を潰してスッキリできそうだな
  148. やちよ: 今は宮尾さんと安積さんの 情報が頼りだし
  149. やちよ: ひとまず、紅晴さんがまとめた 方向性で決まりでしょうね
  150. ~~♪~~♪
  151. 都 ひなの: …そうだな
  152. 都 ひなの: さっそく親から 連絡が来てるからな…
  153. レナ: レナも…弟から連絡が来てる…
  154. かえで: うちも…お父さんとお母さんが 病院行ってみるって…
  155. かごめ: …………
  156. かごめ: (私に異変が起きたのは ちょうど日が沈む直前だった…)
  157. かごめ: (夕飯時になって、 みんな異変に気づいたのかな…)
  158.  
  159. FILENAME: text_103101-3_32rIq.txt
  160. ~~♪~~♪
  161. さな: 胡桃さんも若菜さんも、 家に戻ってもいいかって連絡が…
  162. いろは: 私にも雫ちゃんたちから…
  163. ひかる: 神浜市に家族がいる 魔法少女にとっては悲惨っすね
  164. 結菜: 神浜市の魔法少女たちが 慌てふためくのは構わないけど
  165. 結菜: 藍家ひめなの思うツボなのは 癪に障るわねぇ…
  166. いろは: ネオマギウスが放った魔女が まだ残っているので
  167. いろは: 対応に当たれる人が減ると、 町の人たちが心配です…
  168. 樹里: つっても、 こっちだって時間もねーんだ
  169. 樹里: 樹里サマたちにできるのは、 道すがら魔女を倒すぐれーだぞ?
  170. 静香: それなら、神浜市の魔女の対処は 時女一族に任せて!
  171. いろは: 静香ちゃん!
  172. 静香: 人の善と悪を飲み込んで 戦うことを決めた私たちにとって
  173. 静香: この上ない役割だわ!
  174. すなお: それに、分家も戻ってきた以上、 こちらの巫はたくさんいます
  175. ちはる: 町のみんなが不安になってる時に 呪いを振りまかれたら危ないし
  176. ちはる: ここはわたしたちの出番だよ!
  177. いろは: 3人とも、ありがとう!
  178. やちよ: それなら、レナたちも帰って、 家族の様子を見てきなさい
  179. やちよ: もちろん、ももこもね
  180. ももこ: でも、やちよさん… ただでさえ時間がないのに…
  181. やちよ: むしろ今は手探りなんだから 帰れるうちに帰りなさい
  182. やちよ: 家族を安心させてあげる方が いいと思うわ
  183. ももこ: …ごめん、ありがとう
  184. いろは: 鶴乃ちゃんは大丈夫…? 万々歳に戻らなくても…
  185. 鶴乃: …うんっ
  186. 鶴乃: うちはお父さんの安全が 確認できたからね
  187. 鶴乃: むしろ今は前線で戦わせてよ
  188. 時雨: あの、ぼくたちも戦う!
  189. 時雨: じいじと母のこと心配だけど、 ぼくたちのせいだし…
  190. 時雨: 今は逃げない… 姫のことを止めたいんだ…!
  191. 樹里: んじゃ、こっちに来い 一緒に放送網を掌握するぞ
  192. 樹里: テメーも来るんだろはぐむ また、仲良くやろうぜ
  193. はぐむ: は、はいぃっ…!
  194. いろは: では、時雨ちゃんとはぐむちゃん プロミストブラッドで1チーム
  195. いろは: みふゆさんを入れたみかづき荘で 1チームになって
  196. いろは: 藍家さんの放送を止めましょう
  197. みふゆ: あの、ワタシは途中で 別行動をさせてもらえませんか?
  198. みふゆ: 今回の事態を招いた責任は ワタシにもあります…
  199. みふゆ: なのでワタシの手で 神浜市の人たちを助けたいんです
  200. やちよ: 構わないけど、 どうするつもり…?
  201. みふゆ: 天音姉妹がそろえば神浜市中に 音を放つことが可能なので
  202. みふゆ: ワタシの幻覚と合わせると 暗示が解けると思います
  203. やちよ: だけど妹の方はネオマギウスに いるじゃない…
  204. みふゆ: なので、 今はやっちゃんたちと行動して
  205. みふゆ: 月咲さんを連れ戻せたら、 別で行動をさせてもらいます
  206. やちよ: そういうこと 理解したわ
  207. 都 ひなの: じゃあ、一度帰宅する身としては 申し訳ないが、あとは頼んだぞ
  208. レナ: レナたちもなるべく早く戻るから それまでは頑張ってよね
  209. 静香: ええ、日の本に生きる者たちは 私たち時女一族が守るわ
  210. 結菜: 暴れるのが得意な連中は多いから 任せておきなさぃ
  211. 鶴乃: となったら、さっそく動こう!
  212. フェリシア: 準備はとっくにできてるからな!
  213. やちよ: ええ! それじゃあ、みんな行くわよ!
  214. いろは: かごめちゃん 体調は平気なの…?
  215. かごめ: はい…リィちゃんの魔力が 私を支えてくれてるみたいです…
  216. かごめ: 二木市でケガをした時も含めて 助けられてばかりです…
  217. かごめ: 私が生きてるのは、灯花ちゃんと ねむちゃんのおかげかも…
  218. かごめ: ふたりが死のうとした理由は今もわからない
  219. かごめ: 私が魔法少女の存在を広めることで 救われるかどうかもわからない
  220. かごめ: 悪事を働く魔法少女を救う意味はあるのか 悪事を働く人間を救う意味はあるのか この世界を救う意味はあるのか
  221. かごめ: わからないことだらけだけど 誰もが少しだけ優しくなるだけで世界は変わるし 善悪に囚われずに救うことを決めた人が 私の目の前にいる
  222. かごめ: 意味なんて考えずに信じることが 誰かへの最大級の優しさで 誰かを救うことなのかもしれない
  223. 静香: あの、ごめんなさい
  224. 結菜: なに、気持ち悪ぃ…
  225. 静香: 私もあなたと同じように 利己的な悪で救われたい人だった
  226. 結菜: ふっ…
  227. 結菜: …似た者同士でしょぅ?
  228. 静香: 認めたくないけどね
  229.  
  230. FILENAME: text_103101-4_32rIq.txt
  231. ミユリ: 燦様、羽根たちの配置は 終わりました
  232. 燦: 私も終わったわ
  233. ミユリ: 本当にユニオンの連中は、 電波塔に来るんでしょうか?
  234. 燦: 宮尾と安積が向こうに移った以上 私たちの動きは読まれてる
  235. 燦: 魔法少女の存在を広める前に、 その方法を潰しにかかるはずよ
  236. 燦: 神浜中にテレビの電波を飛ばす この電波塔は必ず狙われるから
  237. 燦: 今は警戒して待ちましょう
  238. ミユリ: はぁ、今日も組んだおみ足が ステキですね、燦様ぁ
  239. 燦: ちょっと、 急に緩まないでくれる…?
  240. ピロン♪
  241. 燦: …………
  242. ミユリ: 青年会の人たちですか?
  243. 燦: 電波の影響を受けてないか 確認してたのよ
  244. 燦: メッセージを読む限りだと 光塚の人たちは無事みたいね
  245. ミユリ: でも、神浜市の噂は どんどん広まってるみたいですよ
  246. ミユリ: さっきSNSを見てたら、 神浜市が話題になってました…
  247. ミユリ: 想定していた通りだとは言っても やっぱり罪悪感はありますね…
  248. 燦: 姫様の心のランキングに 照らし合わせれば仕方ないことよ
  249. 燦: 1番はヒコ様で 2番目がサーシャ
  250. 燦: そして私たちネオマギウスが 3番目に来て
  251. 燦: 他の魔法少女たちが 4番目だとすると
  252. 燦: それより下の人間っていうのは、 姫様にとっては有象無象
  253. 燦: ネオマギウスでは仲間想いでも 他の魔法少女に対しては冷徹
  254. 燦: そんな姫様が 人間相手にやることなんだから
  255. 燦: 人間に愛情を持つ私たちが 複雑な気持ちになるのは自然だわ
  256. ミユリ: サーシャさんが姫様を 止められなかったのも納得です…
  257. ミユリ: ヒコ様が1番だと、 どうしようもないですよね…
  258. 燦: 中止させるのはムリ 時期を遅らせるので精一杯よ
  259. 燦: ヒコ様との関係をおとしめられる 状況を早く変えたい
  260. 燦: そんな姫様の想いは ヒシヒシと感じてたからね…
  261. 燦: 私にとっては急いでくれた方が 歓迎できる状況だったから
  262. 燦: サーシャのストッパーが外れて 助かったわ
  263. ミユリ: 燦様にとっても、 時間はないですからね…
  264. 燦: ええ、悠長に構えている間に 火祭りの文化は消えてしまうわ…
  265. やちよ: はぁ…
  266. いろは: どうしたんですか… 何か変な電話だったんですか…?
  267. やちよ: マネージャーからの安否確認よ
  268. やちよ: あと、神浜市を特集した ネットの報道番組に出ないかって
  269. やちよ: それもリアルタイムに届けるため 深夜帯ですって…
  270. やちよ: 仕事の幅を広げるチャンスだけど そんなヒマないわよ…
  271. いろは: マネージャーさんは私たちの状況 知らないですからね…
  272. うい: ねえ、お姉ちゃん あの奧に見えるタワーが電波塔?
  273. いろは: うん、TV神浜も近くにあるから まずはあれを押さえないと
  274. 鶴乃: ネオマギウスにとって 重要な場所だと思うから
  275. 鶴乃: 絶対に羽根たちが 出てくるはずだよ!
  276. さな: まだ魔力の反応はないので
  277. さな: もしかしたら、電波塔の近くで 待ってるかもしれません…
  278. さな: なるべく分散しないように してるのかも…
  279. フェリシア: ま、とりあえず敵が出てきたら、 みんなが戦ってる間に
  280. フェリシア: オレがズッガーンって アンテナをぶっ壊してやるよ
  281. さな: えっ、それはちょっと…
  282. フェリシア: んだよ、 サクッと終わっていいだろ?
  283. 鶴乃: そんなことをしたら目立つし 今はまだ押さえるだけだよ
  284. 鶴乃: 壊しちゃうと神浜市の人たちが 混乱しちゃうからね
  285. フェリシア: えー…めんどっちいの
  286. いろは: あっ
  287. いろは: レナちゃんの家族 みんな無事だったみたいですよ
  288. やちよ: そうみたいね ももこからも連絡が来たわ
  289. いろは: ただ、この状況で帰ると、 家から出るのが大変そうですね
  290. やちよ: ええ、改めて合流するには もう少し時間がかかりそうだわ…
  291. 月夜の声: 皆さーん! お待たせしたでございます!
  292. みふゆ: あっ、月夜さん! こっちです!
  293. 月夜: はぁ、はぁ… やっと追いついたでございます…
  294. みふゆ: 移動しながらの合流になって すみませんでした
  295. みふゆ: それで、月咲さんと連絡は とれましたか?
  296. 月夜: いえ…当然と言うか、 出てくれなかったでございます…
  297. みふゆ: そうですか…
  298. みふゆ: やはり今は、敵と接触して 尻尾をつかむしかなさそうですね
  299. 月夜: はい
  300. うい: ねえ、月夜さん…
  301. うい: 月咲さんが戻って来たら、 神浜市のみんなのことをお願いね
  302. いろは: はい、みふゆさんたちと一緒に どうか助けてあげてください
  303. 月夜: もちろんでございますよ
  304. 月夜: 妹の不始末でございますから その尻を拭うのは
  305. 月夜: 姉として 当然のことでございます!
  306. いろは: この反応…
  307. さな: 恐らくネオマギウスです
  308. みふゆ: 教官たちもいる…!
  309. みふゆ: ワタシの能力を利用された屈辱は 必ず晴らします
  310.  
  311. FILENAME: text_103101-5_32rIq.txt
  312. 隙が見えた…!
  313. ここで連携を断ち切る!
  314. うい: きゃぁっ!
  315. いろは: うい!
  316. いろは: もう次の羽根が…! このままじゃういと離される…!
  317. うい: 大丈夫だよ、お姉ちゃん! わたしだってもう弱くないよ!
  318. いろは: でも、束でかかってこられたら いくらなんでも…!
  319. やちよ: 羽根の奴ら、スリーマンセルでの 連携がうまいわ…
  320. フェリシア: くそっ、こっちも離されたぞ…
  321. さな: 大丈夫ですか、 フェリシアさん…!
  322. フェリシア: おう、こんな奴らにやられる へなちょこじゃないからなっ!
  323. やちよ: どうも、私たちに連携されたら 面倒だからって
  324. やちよ: 確実に分断しに来てるわね
  325. 鶴乃: はいはい!我に策あり!!
  326. やちよ: どうしたの、うちの孔明さん!
  327. 鶴乃: 前にわたしたちを分断して 潰そうとした
  328. 鶴乃: プロミストブラッドのやり方から ひとつ学ばせてもらおうよ!
  329. 鶴乃: 二木市と違って神浜市なら、 わたしたちに地の利があるからね
  330. 鶴乃: というわけで!
  331. 鶴乃: みんな円を描くように移動して、 これから画像で送る場所に来て!
  332. やちよ: あぁ、なるほどね
  333. やちよ: 逃げるフリをして1ヶ所に集めて まとめて叩こうっていうことね
  334. 鶴乃: 大正解!ふんふん!
  335. いろは: それじゃあ、最後に残った羽根は 私が引きつけるので
  336. いろは: その先にいる神楽さんたちは みふゆさんにお願いします!
  337. みふゆ: ええ、任せてください!
  338. フェリシア: ちょっと待て! オレがよくわかってねーぞ!
  339. 鶴乃: じゃあ、フェリシアには リアルタイムで指示するから!
  340. フェリシア: おう!
  341. いろは: (私は羽根を、 こっちに引き込まないと…!)
  342. あんなところに 環いろはが…
  343. ひとりでいるだなんて うかつね…!
  344. みふゆ: では、行きますよ月夜さん!
  345. 月夜: 必ず月咲ちゃんの居場所を 聞き出すでございます!
  346. 燦: みふゆさんが来る…
  347. ミユリ: あぁ…マギウスの翼の幹部と、 本気で戦うことになるなんてぇ…
  348. ミユリ: こんなの、こんなの、 緊張して…ミユ…
  349. 燦: だから、 今のうちにトンじゃいなさい
  350. ミユリ: …はぁ…ふぅ…
  351. ミユリ: はい…
  352.  
  353. FILENAME: text_103101-6_32rIq.txt
  354. おかしい…
  355. 追い詰めてるはずなのに、 同じ場所を走らされてるような…
  356. この場所、さっきも見ました 勘違いじゃありません!
  357. まずい…翻弄されてる…!?
  358. それに私たちも分散したなら、 教官たちは今ごろ…!
  359. うい: だ、だめだよ! 助けになんて行かせないからね!
  360. 鶴乃: プロミストブラッドの作戦を マネしたから嬉しくはないけど
  361. フェリシア: こうなったら 骸のネズミだぁっ!
  362. さな: むくろって、 もう死んでますよ…!?
  363. フェリシア: かくごしろよ!
  364.  
  365. FILENAME: text_103101-7_32rIq.txt
  366. あ、どうしてみんなここに…?
  367. まさか、逃げてるフリをして 私たちを集めるのが目的なんて…
  368. やちよ: 袋のネズミっていうことは、 骸になる恐れもあるってことよね
  369. やちよ: これで終わりよ!
  370. 鶴乃: ちゃぁらぁッッ!!
  371. うい: ごめんね!!
  372. う…
  373. うい: だ、大丈夫かな…?
  374. いろは: しばらく動けないと思うけど、 平気だと思うよ
  375. やちよ: さすがに骸にするわけには いかないからね
  376. いろは: でも、鶴乃ちゃんすごいね とっさに作戦を思いつくなんて
  377. 鶴乃: 中央区は神浜市の魔法少女が 争ってた時の主戦場だったからね
  378. 鶴乃: 地元じゃなかったとしても、 知ってる場所が多いんだよ
  379. やちよ: 十七夜も含めて、 何度も衝突した場所だものね
  380. やちよ: とりあえず、 次はネオマギウスの幹部
  381. 鶴乃: うんっ、今後の計画を 洗いざらい聞かないと!
  382. みふゆ: ふぅ…
  383. 燦: なっ…今の弾を全部 円月輪でさばいたっていうの!?
  384. 燦: 私が知ってる梓みふゆじゃない そもそも弱ってたはずじゃ…
  385. みふゆ: ワタシにもよくわからないです
  386. みふゆ: ただ、マギウスの翼が崩壊した あとから調子がいいんですよ
  387. 燦: それだけ戦えるなら 救われる必要なんてありませんね
  388. みふゆ: 勘違いしないでください
  389. みふゆ: ワタシが望んでいるのは、 普通の女の子になることです
  390. 燦: 速いわね…
  391. みふゆ: さあ、早く月咲さんの居場所を 教えてください
  392. 燦: ふっ、足元が留守になってるわよ
  393. みふゆ: ひゃっ!?
  394. 燦: ゼロ距離で粉々にする!
  395. みふゆ: はぁ…はぁ…間一髪です…
  396. 月夜の声: きゃぁあああッ!!
  397. みふゆ: った!
  398. 月夜: みふゆさん、 申し訳ないでございます…
  399. 月夜: 教官の秘密兵器には、 私ひとりではどうしても…
  400. みふゆ: 意識を飛ばしたミユリさんが 強敵なのは承知しています
  401. みふゆ: それに、ワタシも苦戦しています
  402. みふゆ: 教官から月咲さんの居場所を 聞けてませんからね
  403. 燦: 少なくとも 私たちの近くにはいないわよ
  404. 燦: 簡単に連れ戻されるわけにも いかないからね
  405. みふゆ: 月咲さんも他の黒羽根よりは 十分に強いはず
  406. みふゆ: それなのに 隠そうとするということは
  407. みふゆ: 連れ戻されると都合が悪い理由が あるんですね
  408. 燦: 勘ぐられやすいから、 知り合いが敵って嫌なのよね…
  409. 燦: ミユ、私たちふたりなら勝てるわ みふゆさんたちを押さえるわよ
  410. ミユリ: はぃ…
  411.  
  412. FILENAME: text_103101-8_32rIq.txt
  413. 燦: ユニオンたちは放送網の破壊を 目論んで行動するはずよ
  414. 燦: 一番目立つ電波塔を狙うのが 定石だと思うから
  415. 燦: あなたはあまり目立たない ラジオ局で待機してちょうだい
  416. 月咲: わかりました
  417. 月咲: …………
  418. 神浜市で起きた原因不明の集団摂食障害 異変を重く受け止めた神浜市が 臨時対策会議を設け 政府と協議を続けている模様
  419. 里見メディカルセンターでは 生命を脅かす異常事態だとして 原因究明よりも先に 対処方法の検討が続いている
  420. 月咲: はぁ…
  421. 月咲: (浅はかで感情に従った 自分の馬鹿さ加減に呆れる…)
  422. 月咲: (神浜市の東西の問題が変わらず 自分たちの間を隔てて)
  423. 月咲: (ウチと月夜ちゃんの未来が 闇に閉ざされるなら)
  424. 月咲: (自分が悪になってでも 町から縁を切られたいと思った)
  425. 月咲: (十七夜さんとみたまさんが)
  426. 月咲: (この東西の変わらない状況に 虚しさを感じているなら)
  427. 月咲: (ウチも自分の虚しさに従って 状況を変えようと思った…)
  428. 月咲: (だけど、ネオマギウスの計画は そんな覚悟を一瞬で消し去った)
  429. 月咲: …………
  430. 月咲: 怖い…
  431. 月咲: (町の静けさが… 人の声がしない静寂の帳が…)
  432. 月咲: (自分が招いた死の結果に思えて 吐きそう…)
  433. ???: あ、あの…
  434. 月咲: ――っ!?
  435. マギウスの翼で白羽根だった 天音姉妹の月咲さんですよね?
  436. 月咲: う、うん… ウチのこと知ってるってことは
  437. はい、マギウスの翼では、 今と同じで黒羽根でした
  438. こうしてまた 一緒に戦えて嬉しいです
  439. 月咲: みんなは怖くないの…? こんな状況になって…
  440. 私は平気です
  441. 以前、灯花様も言ってましたけど 魔法少女は人を超えた存在です
  442. それを説明するためには これぐらいしないとわかりません
  443. 月咲: 飲む事も食べることもできないと 死ぬかもしれないのに?
  444. 朝になれば姫様が表に出てきて 魔法少女の存在を周知します
  445. そうすれば人々は 魔法少女を信じるしかないですし
  446. 自分たちより優れている存在って 認めざるを得なくなります
  447. 自然と暗示は解けますよ
  448. 月咲: でも素直に従えない人たちは、 死ぬことになるんだよね…?
  449. ――っ!?
  450. 月咲: みんなが本能的に従うように 恐怖を植えつけても
  451. 月咲: 神浜市の人たちはたくさんいて きっと死ぬ人もいる…
  452. 月咲: いくら強制的に従わせても、 罪悪感は消えないよ…
  453. 月咲: 教官が言ってたより早い…!
  454. 月咲: みんな、気をつけて…
  455. 月咲: たぶん相手は、 プロミストブラッドだから…!
  456. 結菜: つかんだ… ラジオ局を守ってるようねぇ…
  457. 樹里: あんまりやり合って 楽しそうな奴はいなさそうだな
  458. 結菜: ただ、この反応は居るわねぇ… ひかる、伝えてちょうだぃ
  459. ひかる: っす!
  460. ひかる: 聞こえるっすか環さん!
  461. いろは: うん、大丈夫 何か動きがあったの?
  462. ひかる: ネオマギウスの動きを 参京区のラジオ局でつかんだっす
  463. ひかる: しかも天音月咲の反応もあるから 一石二鳥っすよ!
  464. いろは: ほんとに!?
  465. いろは: それなら、みふゆさんたちにも 声をかけておくから
  466. いろは: それまで月咲ちゃんのことを 見失わないようにしてくれる?
  467. ひかる: お安い御用っすよ
  468. ひかる: なんなら、すまきにして 捕まえておくっす!
  469. いろは: その場に留めておくだけで 構わないんだけどなぁ…
  470. いろは: とりあえず、対応の仕方は そっちに任せるね
  471. ひかる: っす!
  472. 樹里: しゃあ、燃やしてやるっつーの!
  473. 智珠 らんか: ここは先手必勝のコンボを 狙ってやるから!
  474. ひかる: 結菜さん!
  475. 結菜: わかってる 天音月咲は捕えましょぅ…
  476. みふゆ: わかりました
  477. みふゆ: では教官との戦いは預けて ワタシと月夜さんは移動します
  478. いろは: はいっ
  479. 燦: 意外と早く見つけたようだけど 簡単には捕まらないはずよ
  480. 燦: ミユ…私たちも適当なところで…
  481. ミユリ: はい…
  482.  
  483. FILENAME: text_103101-9_32rIq.txt
  484. 樹里: へっ、アンテナは押えた 潰そうと思えばいつでも潰せるぞ
  485. 智珠 らんか: んじゃ、何人かうちのメンバーに 待機させて終わりかな
  486. 智珠 らんか: 気合を入れたってのに なーんか手応えがなくて拍子抜け
  487. 結菜: それなら、あとは羽根を退けて 天音月咲に狙いを絞る
  488. 結菜: 神楽燦も遊狩ミユリもいないなら 敵の力量は高が知れてるわ
  489. 月咲: ッ…これは危ないかも…
  490. ひかる: かもではなく、 もう危険は目の前っすよ!
  491. ひかる: 一般人を傷つけるだなんて 魔法少女の風上にも置けないっす
  492. ひかる: あんたのせいでもあるんすから、 さっさと責任を取るっすよ!
  493.  
  494. FILENAME: text_103101-10_32rIq.txt
  495. 樹里: へっ、逃げ込みやがったな
  496. 智珠 らんか: 前にキモチと戦った場所だし、 詳しい場所なのかもね
  497. ひかる: こちらと距離が取れない以上は 逃げたって無意味っす!
  498. ひかる: ひかるの足をもってすれば
  499. ひかる: 懐に入るのは余裕っすからね!
  500. 月咲: っ、ぅぅっ! ま、まだ、耐えられるよ…!!
  501. ひかる: ぬぁあ! もうっ、なんすか逃げてばかり!
  502. 結菜: 迷路にはなってないようだけど、 どこかで撒くつもりねぇ…
  503. 結菜: ひかる、 地上のメンバーに連絡をとって
  504. 結菜: 天音月咲が出てきたら 捕えるように伝えてちょうだぃ
  505. ひかる: っす!
  506. ひかる: じゃあ、追い詰めるのは 樹里さんに任せるっす!
  507. 樹里: 馬が樹里サマに 命令してんじゃねーっつーの
  508. 樹里: 遠くには逃げてねーな…
  509. 樹里: っつーか止まってる…?
  510. 智珠 らんか: 前に来たときとは別の場所に 逃げ込んだのかもね
  511. 樹里: ニヒッ
  512. 樹里: 行き止まりみてーだし 万事休すじゃねーか…?
  513. 樹里: いや、ここは前にも来た…! 何か考えてやがるな…!?
  514. 智珠 らんか: 樹里、あそこ!
  515. 月咲: ここは、ウチが月夜ちゃんと うわさを守った場所
  516. 月咲: そして、自分たちの武器と 相性がいい場所でもあるんだよ
  517. 樹里: つまり、ここを墓場にしたいって わけじゃなさそうだな…
  518. 月咲: 当たり前でしょ!
  519. 月咲: むしろ、ここで足止めを させてもらうつもりだからね!
  520. 結菜: …………武器は笛…
  521. 結菜: それでいてこの空間…
  522. 結菜: いけない! みんな退がって!!
  523. 月咲: もう遅いよ!
  524. 結菜: ふっ、ぅうっ…!
  525. ひかる: 結菜さん!
  526. 結菜: 近づか…ないで、ひかる… 巻き…込まれるわよ…!
  527. 樹里: んだこれ、頭が、割れる…!
  528. 月咲: 音叉のように長く続く不快な音は この空間で反射して増幅される
  529. 樹里: …聞こえねえよ
  530. 月咲: 音が消える前に、 ここから逃げさせてもらうから
  531. 月咲: ふぅ…
  532. 月咲: うそっ、待ち伏せ…!?
  533. 月咲: …………
  534. 月咲: (…ウチだって人を巻き込んで 後悔してる…)
  535. 月咲: (それならいっそウチも… 捕まった方が楽なのかも…)
  536. 月咲: ――っ!?
  537. ここは私が食い止めるので、 月咲さんは逃げてください!
  538. 月咲: どうして…
  539. 教官が月咲さんに逃げるように 伝えてたのはきっと
  540. ユニオン側に捕まれば 作戦が失敗するからだと思います
  541. 私もたくさんの人たちを 巻き込んで後悔してますけど
  542. でも、だからこそ魔法少女の方が 優れてるって認めさせないと
  543. みんな暗示を解く機会すら 失ってしまいます…!
  544. 月咲: (ウチだって後悔して、 どうすればいいのかわからない)
  545. 月咲: (でも、そう…今は…)
  546. 月咲: (魔法少女至上主義の成立が 命を救うことになるんだ…)
  547. 月咲: ごめんね、ありがとう!
  548.  
  549. FILENAME: text_103101-11_32rIq.txt
  550. 月夜: はぁ…ふぅ…
  551. 月夜: それでは、月咲ちゃんは 見つけたけど…そのまま…
  552. 結菜: …取り逃がしてしまったわぁ
  553. 結菜: 天音月咲ぐらいと思っていた 私たちのおごりが招いた失敗よぉ
  554. 樹里: 捕まえるのに成功してたら、 暗示は解けてたんだろ?
  555. みふゆ: 3人で力を合わせられたら 恐らくは…
  556. 樹里: ただでさえ時間がねーのに やっちまったな…
  557. みふゆ: でも、何があったんですか…?
  558. みふゆ: このメンバーで逃げられるなんて 不自然と言いますか…
  559. ひかる: なんか変な地下空間に 逃げられたんすよ
  560. ひかる: それで反響する音に攻撃されて 身動きがとれなかったんす…
  561. 智珠 らんか: 前に同じ場所で遭遇したときは そんな攻撃はしてこなかった
  562. 智珠 らんか: 言い訳がましいけど、 正直、全然想定してなかった…
  563. みふゆ: 反響する音… そういうことですか…
  564. みふゆ: うわさがあった場所を使うなんて 考えましたね…
  565. 月夜: みふゆさん、早く月咲ちゃんを 追いかけるでございますよ
  566. 月夜: 3人の力で暗示が解ける可能性に 気づいてないはずでございます
  567. 月夜: 早く伝えてあげないと、 月咲ちゃんが自暴自棄に…!
  568. 樹里: テメーの気持ちもわかるけどな ちょっと落ち着け
  569. 樹里: 不完全燃焼でイラつく上に 釈然としねーんだよ…
  570. みふゆ: そんなに おかしな状況でしょうか…?
  571. 結菜: そうねぇ
  572. 結菜: 彼女たちにとって重要な施設なら もっと粘ってもいいはず
  573. 結菜: どちらかと言えば 最後の仕上げに必要な時間を
  574. 結菜: 稼がれただけのような 気がするわねぇ…
  575. ひかる: もどかしいっすね…
  576. ひかる: アオさんの魔力反応も、 撤退してからつかめないし…
  577. ひかる: 元のレールに戻してあげる チャンスすらないっすよ
  578. 結菜: …………
  579. 結菜: アオが別働隊として動いてるなら それが本命かもしれないわねぇ…
  580. 樹里: あぁ、樹里サマも そう思ってたところだ…
  581. やちよ: アンテナの周辺を確保したわ!
  582. やちよ: これでいつでもケーブルを切って 使えなくできるわよ!
  583. いろは: 神楽さん 守るものはなくなったはずです
  584. いろは: これ以上の争いはやめましょう
  585. うい: あと、ご飯を食べられるように、 みんなを戻してあげて…!
  586. うい: お腹が空いてつらいと思うし ノドだってカラカラになっちゃう
  587. うい: それに、魔法少女がやったのが 知られたら悪者になるよ…!?
  588. 燦: 百も承知よ
  589. 燦: 薄っぺらい説得で転身するほど 軽い気持ちで動いてないわ
  590. 燦: 敵わない悪神と それに抗う善神であっていいのよ
  591. 燦: ミユ! 残ってるみんなも行くわよ!
  592. ミユリ: はい…
  593. フェリシア: なっ、おい! 逃げんのかよ
  594. さな: アンテナが使えなくなれば 放送はできませんし
  595. さな: 私たちが押えた時点で 諦めたのかもしれませんね…
  596. いろは: でも、なんだろう… あっさりしてたような…
  597. 鶴乃: うーん、わたしも同感
  598. やちよの声: …ネオマギウスの連中は、 どうも逃げていったみたいね
  599. 鶴乃: あ、お疲れ、やちよ
  600. やちよ: 私たちがいなくなったあとで 戻って来られると困るから
  601. やちよ: 誰かに待機してもらえるように 手配しておきましょう
  602. 鶴乃: やちよに行ってもらって よかったよ
  603. 鶴乃: フェリシアだったら 壊してたかもしれないからね…
  604. フェリシア: な、オレだってちょっとは てーねーに調べられるぞ!
  605. やちよ: ふふ、話半分に聞いておくわ
  606. やちよ: それにしても、 ちょっと手ぬるい感じがしたわね
  607. 鶴乃: そうそう、 順調すぎるって話してたんだよ
  608. いろは: ただの時間稼ぎだったとか 他に目的があるんでしょうか…
  609. 鶴乃: そもそも、メディアって テレビ以外にも色々あるからね
  610. いろは: フェリシアちゃんが見てる配信? とかもありますよね?
  611. 鶴乃: 衛星放送なんていう手段だって あるかもしれないよ
  612. フェリシア: えっ!? じゃあもしかしてさ!
  613. フェリシア: オレたち宇宙で戦うのか…!?
  614. 鶴乃: そうそう、デカゴンボールの ストーリーみたいにって
  615. 鶴乃: いや、さすがにそれはムリだよ…
  616. やちよ: 選択肢が多いのはわかってたから どう絞り込むかが問題よね
  617. いろは: 何かヒントがあれば いいんですけど…
  618. さな: あの、今なら羽根たちの魔力を 追うこともできるので
  619. さな: 私、潜入してきましょうか…!
  620. さな: 幸い倒した羽根たちがいるので 衣装を借りられますし…
  621. さな: 私の能力を使えば、気づかれずに 話を聞けるかもしれません…
  622. やちよ: 確かに二葉さんの能力で 存在感を消すことはできるけど…
  623. やちよ: 常に気配を消し続けるには 消耗が激しすぎるから
  624. やちよ: ネオマギウスの内部を 知ってる人が一緒じゃないと
  625. やちよ: 動きで怪しまれると思うわ…
  626. さな: それなら、静香さんに お願いできないでしょうか…?
  627. やちよ: ――っ!?
  628. やちよ: 確かに彼女なら戻ったばかりで、 内側を知ってるはずだし
  629. やちよ: あの大所帯に入ってから すぐに抜けて戻ってきてるから
  630. やちよ: 他の羽根に、魔力パターンを 覚えられてないかもしれないわね
  631. かごめ: ねぇ、リィちゃん
  632. かごめ: リィちゃんは魔法少女の存在を 広めるのが役目なんだよね…?
  633. かごめ: それって、 どんなやり方でもいいの?
  634. かごめ: ひめなさんみたいに乱暴な方法で 魔法少女が嫌われても…
  635. 風の伝道師のウワサ: …………
  636. かごめ: そうだよね
  637. かごめ: リィちゃんも、魔法少女のことを 助けたいんだもんね…
  638. 風の伝道師のウワサ: …………
  639. かごめ: うん、私はひめなさんのやり方で 魔法少女は救われないと思う…
  640. かごめ: 何もつかみどころを見つけられないまま 針は無情にも時を刻んでいく
  641. かごめ: 家族や神浜市の人たちを心配して 魔法少女たちが焦りを募らせていたとしても
  642. かごめ: プロミストブラッドの人たちが 笠音さんを心配していても
  643. かごめ: 神浜マギアユニオンの人たちが 十七夜さんとみたまさんが戻ることを 祈り続けていても…
  644.  
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  646. ももこ: …………
  647. ももこ: まぁ、居るわけないんだよな…
  648. ももこ: あれっ…
  649. ももこ: みかげちゃん?
  650. みかげ: あっ、ももたんっ!
  651. ももこ: どうして、ここに?
  652. みかげ: 家に姉ちゃがいなかったから ここなら居るかなーって思ったの
  653. みかげ: 前に来たときも いなかったんだけどねー
  654. ももこ: ま、理由は同じようなもんだよな
  655. ももこ: アタシも中に入ったら 調整屋が居ると思ってさ
  656. ももこ: あら、ももこ、いらっしゃい とか言ってな
  657. ももこ: だけど、よく家から抜け出せたね 親に止められなかったの?
  658. みかげ: パパとママが寝たら治るかもって お布団に入っちゃったからね
  659. みかげ: その隙にこっそり 抜け出してきたんだよ
  660. ももこ: なるほどね
  661. ももこ: うちは親が病院に出かけたから その間に抜け出してきたよ
  662. ももこ: けっこうみんな起きてるよな
  663. みかげ: 寝る人とテレビに張り付く人で わかれてるみたいだよね
  664. ももこ: SNSに張り付いてる人もいるし 今夜は夜更かしする人が多そうだ
  665. ももこ: それで、みかげちゃんはこれから どうするの?
  666. ももこ: 一緒にユニオンと合流して ネオマギウスと戦う?
  667. みかげ: ううん
  668. みかげ: ミィにはミィのできることを 続けるつもり!
  669. ももこ: できることを続ける…?
  670. みかげ: あ、そうだ! ももたんもミィを手伝ってよ!
  671. ももこ: 待って待って!どういうこと? まったく話が見えない
  672. みかげ: 実は今ね、月夜さんって人にも 手伝ってもらって
  673. みかげ: 姉ちゃを連れ戻すための 「仲良し大作戦」をしてるの!
  674. ももこ: ん、あれ?
  675. ももこ: 天音の姉はみふゆさんと合流して 動いてるんじゃないっけ…?
  676. みかげ: 途中まではミィと一緒に 「仲良し大作戦」を進めてたよ
  677. みかげ: でも、パパとママが心配になって ミィが帰ってからは
  678. みかげ: 月夜さんがひとりで西の人に 声をかけてくれてたと思う
  679. みかげ: だから今度は ももたんに力になって欲しい!
  680. みかげ: これから東の人に声をかけるのに 手伝ってくれる人がいないから!
  681. ももこ: 一晩で東西が手を取り合うなんて 無理な話だと思うけど…
  682. みかげ: そんなこと言わないでお願いっ!
  683. ももこ: …………確かにな…
  684. ももこ: なんだか、このまま調整屋と 十七夜さんと遭遇して
  685. ももこ: 戻って来いって言うだけなのも 違うような気がするし…
  686. みかげ: ももたんっ!
  687. ももこ: わかった…!
  688. ももこ: みかげちゃん、ここはアタシも 一肌脱がせてもらうよ!
  689. やちよ: ふん…
  690. うい: やちよさん、どうしたの?
  691. やちよ: みかげちゃんと行動するって ももこからメッセージが届いたの
  692. 鶴乃: ほっ? なんか面白い組合わせだね
  693. やちよ: みたまを連れ戻すために、 「仲良し大作戦」を進めるそうよ
  694. やちよ: こちらもネオマギウスの動きが 読めてない上に
  695. やちよ: みたまと十七夜のことも 解決しなきゃいけないから
  696. やちよ: 何か他に手があるのなら、 別で動いてくれた方が良さそうね
  697. いろは: あ、さなちゃん
  698. さな: はいっ…
  699. いろは: 静香ちゃんから メッセージが返ってきたよ
  700. いろは: ネオマギウスの拠点もわかるから 一緒に潜入してくれるって
  701. ひめな: うん…うん… そうだね計画はうまくいってる…
  702. ひめな: 寂しいけど、ここからは何人 私チャンから離れていっても同じ
  703. ひめな: それに、最後はもう みんなに離れてもらいたいから
  704. ひめな: …………
  705. ひめな: 追い詰められるとは思うけど、 必ず勝てるよ
  706. ひめな: ありがとうヒコ君 私チャンの体を心配してくれて
  707. ひめな: でも、平気 絶対にやりきってみせる
  708. ひめな: …ママにも先生にも友だちにも ずっと否定されるのはイヤ
  709. ひめな: 必ず認めさせるよ 私チャンとヒコ君の関係を…
  710.  
  711. FILENAME: text_103101-13_32rIq.txt
  712. いろは: なので、ネオマギウスとの 接触はできたんですが
  713. いろは: 何か状況が良くなったわけでは ありません…
  714. うい: なんだか、ずーっと 霧の中を歩いてるみたいだよね…
  715. すなお: 私たちも魔女を倒しきれなくて 順調とは言えないんですが
  716. すなお: 苦戦してるのは どこも同じのようですね…
  717. 結菜: 最終的な目的はわかっていても 実行する手段がわからないから
  718. 結菜: 次に自分たちがどうするべきか 手探りになってる状況ねぇ…
  719. ちはる: もう、さなちゃんと静香ちゃんは 合流してる頃だよね
  720. ちはる: ネオマギウスの拠点で 何かつかんでくれたらいいけど…
  721. 南津 涼子: こればかりは時間もないから、 神に祈るしかねぇか…
  722. 南津 涼子: っと、いけねぇ あたしの場合は仏だよな
  723. すなお: …あの、もしよろしければ、 みかづき荘の皆さんに
  724. すなお: 魔女の対応を代わって頂いても 構いませんか?
  725. すなお: 静香たちに何かあった時のため フォローにまわりたいんです
  726. 鶴乃: わたしはいいと思うよ
  727. 鶴乃: さなと静香ちゃんを 時女一族に守ってもらう代わりに
  728. 鶴乃: 土地勘のあるわたしたちが 魔女を倒して
  729. 鶴乃: 放送網はプロミストブラッドが 破壊していく
  730. 鶴乃: いい振り分けだと思うよ! ふんふん!
  731. やちよ: 神浜市の魔法少女も 戻ってきてるみたいだからね
  732. いろは: 紅晴さんたちはどうですか?
  733. 結菜: 放送網を潰していくにしても それが正しいかはわからない以上
  734. 結菜: こちらに 人数を割く理由はないわぁ
  735. ひかる: ただ、アオさんが出てきた時は そっちを優先するっすからね!
  736. いろは: うん、もちろんだよ
  737. ちはる: あ、そうだそうだ!
  738. ちはる: それなら、このキモチの石を 大庭さんに渡しとくね
  739. 樹里: ん?樹里サマに?
  740. ちはる: わたしたちが敬愛のキモチの石を 渡してもらったように
  741. ちはる: 今度はわたしから大庭さんに 恐怖のキモチの石を渡しとく!
  742. 樹里: へっ、妹のやつから消えた恐怖を これで植え付けるってことか?
  743. ちはる: そういうことだね
  744. 樹里: わーった 有り難く受け取っておく
  745. 静香: 公民館の中に入ってすぐの部屋は 羽根たちが待機するための部屋
  746. 静香: 2階が幹部たちがいる部屋で、 今後の動きとかを話し合ってるわ
  747. 静香: その2階にお茶を入れる 狭い部屋があるんだけど
  748. 静香: そうした用向き以外で上がると 不審に思われるから注意して
  749. 静香: あと、公民館に羽根が入る時は、 必ずピンポンを鳴らすとか
  750. 静香: 少し細かい決まりがあるから、 それは近づいたら説明するわ
  751. さな: ありがとうございます 本当に助かります…
  752. さな: あとは静香さんが居るって 気づかれないか心配です…
  753. 静香: ぜんぜん平気よ
  754. 静香: ネオマギウスの羽根は お互いの素性がバレないように
  755. 静香: 魔力の反応を探ったりしないのが 暗黙の了解になってたもの
  756. さな: その辺りは、マギウスの翼の時と 同じなんですね…
  757. さな: ただ、相手が藍家さんや 幹部の人になると…
  758. 静香: むしろ気をつける相手は それぐらいってことよ
  759. さな: もしも危険だと思ったら 言ってくださいね
  760. さな: 一応、私と接触してる限りは、 魔力の気配も消せるので…
  761. 静香: ありがとう
  762. 静香: ただ、今回は二葉さんへの 恩返しのつもりでもあるから
  763. 静香: 全力で挑むつもりよ
  764. さな: …私、何かしましたか?
  765. 静香: 私のために 絵本を描いてくれたでしょ?
  766. さな: あ、はい
  767. 静香: おかげで人を信じ続けるという 時女の本懐に気づけたの
  768. 静香: これでお返しをしても 足りないぐらいだと思うわ
  769.  
  770. FILENAME: text_103101-14_32rIq.txt
  771. 静香: ―静香― 気配を消せるって言っても 魔法だから魔力を使うのよね…?
  772. さな: ―さな― はい…
  773. さな: ―さな― ドッペルも出せないですし 浄化を続けるのも限界があるので
  774. さな: ―さな― できれば 最小限で済ませたいです…
  775. 静香: ―静香― じゃあ、本当に2階にあがって 話を聞く時に使うぐらいね
  776. 静香: ―さな― はい…
  777. ピンポーン♪
  778. …………
  779. 静香: 中央区・電波塔防衛で離脱した 白羽根と黒羽根が各1名
  780. 静香: W03・B21…照合願います… “つけみのろひのひ”
  781. カチャリ
  782. さな: 変な人が混じらないように 番号を照合すると思うんですけど
  783. さな: 最後のは合言葉…ですか…?
  784. 静香: 元は「たかみなるはねへ」って 合言葉なんだけど
  785. 静香: それを毎週送られてくる 1から5の8桁の数字に合わせて
  786. 静香: 五十音順をずらして 合言葉を更新してるのよ
  787. 静香: 今回だと「たかみなるはねへ」に 「34153224」だから
  788. 静香: 「た×3=つ」「か×4=け」 「み×1=み」「な×5=の」で
  789. 静香: 最後には 「つけみのろひのひ」になるの
  790. さな: あ、理解できました…!
  791. さな: …こういう規則を覚えるのって 大変じゃないですか…?
  792. 静香: 理解するのに時間がかかったわ…
  793. 静香: 2階で話し合いが始まるまでは ここで待機しておきましょう
  794. 静香: 用もないのに動くと 怪しまれるから
  795. さな: わかりました
  796. 静香: たぶん、飲み物とか軽食を 用意して持って行くはずなのよね
  797. さな: あ、2階にあるのって 給湯室のことなんですね…
  798. 静香: そう、確かそんな名前の 部屋だったはずよ
  799. いろは: リヴィアさんたちは、 まだ戻ってないみたいですね…
  800. やちよ: 調整屋にとっては稼ぎ時だろうし いると思ったんだけど…変ね…
  801. フェリシア: また、あとで来ることにして、 魔女を倒しにいこーぜ!
  802. うい: うん、待ってる間に 魔女が悪さしたら大変だもんね
  803. 鶴乃: …………
  804. うい: …鶴乃さん元気ない?
  805. 鶴乃: え、あぁあ、違う違う すっごく元気!
  806. 鶴乃: さなから潜入できたって 連絡は来たけど、大丈夫かなって
  807. いろは: 藍家さんたちの動きって 全く読めないから不安ですよね…
  808. 鶴乃: うん、入り込めたとしても 本当に成功なのかどうか…
  809. やちよ: とりあえず私たちは、 信じて待つしかないわね…
  810.  
  811. FILENAME: text_103101-15_32rIq.txt
  812. 静香: 神浜市が恐怖に満たされる今日が ネオマギウスにとっての正念場
  813. 静香: 今後の動きについては、 必ず指示があるはずよ
  814. さな: 羽根はしばらく待機のようですし 少し探りを入れてみますか…?
  815. 静香: お願いしても良いかしら
  816. 静香: 私が目立ち過ぎると 気づかれる危険性もあるから…
  817. さな: はい、もちろんですっ…!
  818. 静香: …………
  819. ねぇ
  820. 静香: ――っ!? なっ、何…かしら…
  821. 静香: (なんで私なのよ…)
  822. 緊張してるみたいだけど、 やっぱり怖いの…?
  823. 静香: え…?
  824. 魔法少女至上主義を叶えるために 人を巻き込んでるから…
  825. 静香: …わ、私は…ここまできたら やりきろうって思ってるだけで
  826. 静香: そんな、緊張なんて…
  827. 静香: …………あなたは緊張してるの?
  828. うん…私はすごく緊張してる…
  829. 魔法少女が優れてるって 認めてくれないと暗示は解けない
  830. だけど暗示が解けたとしても、 みんなは服従するだけ…
  831. こんな伝え方だと、誰も私たちに 同情なんてしてくれないし
  832. 私たちが抱える宿命の重みなんて 理解してくれないと思う
  833. そう思うと自分のしてることの 何が正しいかわからなくて
  834. 不安というか本当にわからなくて ボンヤリしちゃってるんだ…
  835. 静香: それは…わかるよ…
  836. 静香: (魔法少女が上だと認めたら 神浜市の人は生きられる…)
  837. 静香: (だけど、そこに残るのは、 優れた者たちへの敬いではなく)
  838. 静香: (恐怖で支配する者への服従…)
  839. 静香: (理想とは違う状況だからと 計画を阻止すれば)
  840. 静香: (神浜市の人は死んでしまう…)
  841. 静香: (計画を進めても止めても たどり着く結末は闇…)
  842. 静香: (人の命を天秤にかけて、 協力させてるようなものよね…)
  843. 静香: (救われたい思いが悪を生むなら 今こそまさにその状況…)
  844. 静香: (前までの浅はかだった自分を、 ぶん殴ってやりたくなるわ…)
  845. さな: 静香さん… 白羽根の人に話を聞けました…
  846. さな: そろそろ2階で 打ち合わせが始まるみたいです…
  847. 静香: わかったわ
  848. これから教官たちが話をして、 方針を決めるみたいなんだけど
  849. 静香: あ、飲み物とお菓子は 私が用意します
  850. そう? ありがとう、よろしくね
  851. さな: 「打ち合わせが始まる前に一度 何か話してないか探りを入れてみますね…」
  852. 静香: 何か情報はつかめた…?
  853. さな: いえ…気配を消して、 聞き耳を立ててみたんですけど
  854. さな: 特に今後の動きに関する話は してませんでした…
  855. さな: とりあえず、打ち合わせの開始を 待つしかなさそうです…
  856. 静香: そう…
  857. さな: あの、茶殻ってこのゴミ箱で 良いんでしょうか…
  858. 静香: ええ、確かみんな そのゴミ箱に捨ててたと思うわ
  859. さな: …………
  860. さな: あれっ…?
  861. 静香: どうしたの…?
  862. さな: これ、ビリビリに破られてるの、 伝票の控えじゃないですか…
  863. 静香: でんぴょー?
  864. さな: ええっと…何か荷物を、 送った証拠みたいなものです…
  865. さな: 繋ぎ合わせたら、 何かわかるかもしれません…
  866.  
  867. FILENAME: text_103101-16_32rIq.txt
  868. ピロン♪
  869. さな: 潜入したネオマギウスの拠点で 宅配便の伝票を見つけました
  870. さな: 確認したところ3日前に 大きなテレビ局から カルト系の雑誌を出してる小さい出版社まで 色んなメディアに 何かのディスクを送ってるみたいです
  871. さな: 中身まではわからないですが 何かデータを送ったのかもしれません 画像も添付して送るので確認してみてください
  872. いろは: …………
  873. うい: お姉ちゃん、さなさんからの メッセージ読んだ?
  874. いろは: 3日前に藍家さんが 何か送ってるってやつだよね…?
  875. うい: うん、みんなにも届いてるから、 通話で話してみようよ
  876. いろは: 出てくれるかな…
  877. ~~♪~~♪
  878. やちよ: もしもし? 届いたメッセージについてよね?
  879. いろは: はい、そうです
  880. やちよ: ちょうど読み終えたところよ
  881. 鶴乃: わたしも確認したよ!
  882. フェリシア: オレも読んでたところだぞ!
  883. いろは: どう思いました…?
  884. いろは: 私は神浜市で起きてる件について 送ったのかと思ったんですけど…
  885. フェリシア: あと、あれだろ? しじょーしゅぎの話じゃね?
  886. やちよ: 概ねそんなところでしょうけど、 3日前っていうのが気になるのよ
  887. 鶴乃: あ、それはわたしも! 事前に送ってるのがミソだと思う
  888. フェリシア: あ? 味噌なんて送ってどうすんだよ
  889. 鶴乃: じゃなくて、3日前に発送した 事実に注目したいってこと
  890. フェリシア: つまり、どういうことだよ…?
  891. 鶴乃: 「魔法少女の話を急に送られてきたとしても それを知った人って現実味がなさすぎて 信用することなんてできないと思うんだよ」
  892. 鶴乃: 「だけど、そんな魔法少女の話と一緒に 今、神浜市で起きている事象の予言をしていれば 話は変わってくると思わない?」
  893. 鶴乃: 「現実味がないことが現実になっちゃうから 魔法少女の存在を 信用せざるを得なくなっちゃうんだよ」
  894. フェリシア: えっ、もう魔法少女の話が 広まってるってことか!?
  895. フェリシア: なら、やべーじゃん…!
  896. フェリシア: 魔法少女がみんなでやったって 思われたら、オレら悪者だぞ!?
  897. いろは: まさか…
  898. いろは: アンテナを狙っても、 手応えがなかったのって…
  899. 鶴乃: 仕掛けの効果が 出るのを待ってるだけだから…
  900. いろは: 藍家さんが無理に表に出なくても 魔法少女の存在は広まる
  901. 鶴乃: もちろん、わたしたちのことは、 害悪として目に映ると思うよ…
  902. うい: わたしたち、みんなに怖がられる 怪物みたいになっちゃうの…?
  903. やちよ: まだ悲観的にならなくても 大丈夫だと思うわ
  904. うい: どうして…?
  905. やちよ: 予言や告知だとしたら、 神浜市の惨状が広まった時点で
  906. やちよ: メディアはこぞって 使いたがるような資料になる…
  907. やちよ: けど、魔法少女なんて話は おいそれと表には出せないし
  908. やちよ: 藍家さん自身が解説をするような 映像が入っていたとしても
  909. やちよ: 未成年の姿は簡単に出せない以上 お堅いメディアほど慎重になるわ
  910. やちよ: 対して、ライトなメディアが 公開しても信憑性は低くなるから
  911. やちよ: 急いたところで 都市伝説にしかならないはずよ
  912. いろは: つまり、大丈夫ってことですか?
  913. やちよ: …まだね
  914. やちよ: ただ、彼女は火が点いたときに 燃焼させるための油を撒いたわ…
  915. やちよ: メディアが火をつけるために 必要な情報をつかんでしまえば…
  916. いろは: 一気に燃える…
  917. フェリシア: そしたら、オレら悪者だろ…?
  918. やちよ: そう、フェリシアの言う通り、 私たちは世界の敵になる…
  919.  
  920. FILENAME: text_103101-17_32rIq.txt
  921. 静香: 環さんたちから返事…?
  922. さな: はい
  923. さな: 先手は打たれているけど、 まだ影響は出ていない…
  924. さな: けど、朝までに片づけないと、 状況は一気に悪化するって…
  925. 静香: 手をこまねいている現状を 打開しなくちゃいけないのは
  926. 静香: 変わらないっていうことね…
  927. 静香: よしっ…
  928. 静香: 私がこのまま飲み物とお菓子を 持って行くから
  929. 静香: 二葉さんは 気配を消して付いてきて
  930. 静香: 私がいなくなれば 誰もいないように感じるから
  931. 静香: きっと次の動きを 話し始めると思うわ
  932. さな: わかりましたけど、 静香さんって気づかれませんか?
  933. 静香: 下手に探られるようなマネを しなければ大丈夫よ…きっと…
  934. 静香: それでは、失礼します
  935. 燦: ええ、ありがとう
  936. 姫様の姿が見えませんが、 作戦終了まではひとりですか?
  937. 燦: ええ
  938. 燦: 姫様の居場所をつかまれるのが、 一番痛手になるからね
  939. 燦: 集団で動いて捕捉されるよりも、 隠れてもらった方がいいわ
  940. 燦: ただ、神浜市の放送網を、 破壊されている状況は困ったわ…
  941. 燦: あなたたちだけじゃなくて、 私も要の電波塔をやられてる…
  942. 燦: 朝には姫様の言葉を 世間に向けて発信したいけど
  943. 燦: 状況的にはかなり苦しいわね…
  944. 魔女を放ったり町を混乱させて、 相手の戦力を削いだとしても
  945. 数の問題以前に魔法少女個人の 力量に差があります…
  946. ミユリ: ですねですね… 黒羽根はみんな弱いですから…
  947. 燦: となると、次の手段ね…
  948. ミユリ: 放送網を上手に使えないとなると やっぱり巨大な拡声器ですね!
  949. 燦: ええ、神浜市民会館にある 広報用のスピーカーを使いましょ
  950. あの、お言葉ですが、 それだけだと心許ないです…
  951. 姫様の声を町中に伝えるには、 まったく足りません
  952. 燦: 削られた戦力を分散すれば ただ潰されるだけになってしまう
  953. 燦: 目的を果たす寸前なんだから、 博打はせず、堅実に成功させるわ
  954. ミユリ: あのあの! 天音月咲はどうしますか?
  955. ミユリ: 雲隠れしていてもらった方が 都合がいいと思いますがぁ
  956. 燦: 多少は戦力になるでしょうし、 市民会館に合流させましょう
  957. ミユリ: ではでは、さっそく 連絡をとってみるです!
  958. さな: ふぅ…
  959. 静香: 情報はつかめた…?
  960. さな: はい、私たちがアンテナを壊して 回ってたのは正解でした…
  961. さな: ネオマギウスとしても痛手で、 方針を変えるそうです…
  962. 静香: それなら、次の彼女たちの動きが わかったっていうこと?
  963. さな: 次に向かうのは神浜市民会館…
  964. さな: ネオマギウスはそこから、 藍家さんの声を発信する気です
  965.  
  966. FILENAME: text_103101-18_32rIq.txt
  967. かごめ: ネオマギウスの計画が進む。
  968. かごめ: このまま魔法少女が 人々にとって恐れおののくような存在になれば、 魔法少女至上主義は成立するのかもしれない。
  969. かごめ: だけどそれは、無理に屈服させた結果、 魔法少女を人類の敵にさせてしまう…。
  970. かごめ: それがわかってるから、 魔法少女の存在を広めたいという想いは同じでも いろはさんたちは、ネオマギウスの計画を 必死に止めようとしている。
  971. かごめ: 今、向かっているのは“神浜市民会館”。
  972. かごめ: 一時的に帰宅していた都さんも合流して、 紅晴さんたちプロミストブラッドにも、 その情報が伝わると、 神浜市民会館に移動する魔法少女たちは、 ひとつの大きなうねりになろうとしていた。
  973. みたま: SNSを覗いてみたけど 神浜市の話は広まってるみたいね
  974. 十七夜: 下に見える渋滞は つまるところ野次馬か?
  975. みたま: 神浜市から出ると回復するって 情報に躍らされた
  976. みたま: 可哀相な人たちよ
  977. みたま: 魔法少女に屈服しない限りは、 暗示は解けないはずなんだけど…
  978. 十七夜: 自分たちは、躍らないように しないといけないな
  979. みたま: 送られてきたメッセージの話?
  980. 十七夜: うむ、市長選を乱したのは、 姫君の計画によるものという話だ
  981. みたま: ふふっ、そんなの 連れ戻すための方便よ、きっと…
  982. 十七夜: そもそも姫君の計画がなくとも 遅かれ早かれ分裂していた…
  983. 十七夜: 何百年と続いた東西の関係が、 それを証明している…
  984. みたま: ええ…
  985. みたま: それに、わたしたちが戦うのは、 東西の件だけが理由じゃないわ
  986. 十七夜: うむ…
  987. みたま: 必ず訪れる滅びに抗い続けて、 よりヒドい結末になるぐらいなら
  988. みたま: 今のうちに滅ぼした方が、 神浜市の人たちにとっては幸せよ
  989. 十七夜: 我々を恨んで神浜市の人々は ひとつになれるわけだからな…
  990. 十七夜: 少なくとも意味のある滅びになる
  991. 十七夜: ぐっ…うぅ…
  992. みたま: 十七夜…!
  993. 十七夜: 牧野君を飲み込んだ 悲嘆のキモチか…何をする…!
  994. みたま: キモチの侵食を受けてるなら、 わたしがなんとかしてみるわ
  995. 十七夜: やめろ、危険だ! ブレスレットに触れるな八雲!
  996. みたま: っ!
  997. 見て…大東の制服だよ…
  998. この辺に何の用なんだろ…?
  999. 十七夜の弟: これは…さっき西のヤツに ケンカを売られて…
  1000. 月咲: 願った結果…ウチら姉妹の意識は 変えられたけど…
  1001. 月咲: 育ちの違いへの偏見は… 周りの人の意識までは…
  1002. 月咲: 変えられなかった…
  1003. 十七夜: キモチが、こちらの身を案じて 悲しみを奪おうとするか…
  1004. 十七夜: この鉛のように重い悲しみを 代わりに背負おうとするのか…
  1005. みたま: っ、わたしまで侵食しようと… でも…あなたには奪わせない…
  1006. みたま: 西の子に殺されかけたのも… 全部、わたしの悲しみよ
  1007. 本当、期待してたのに 大東の面汚し
  1008. みたま: …………
  1009. 他の生徒を突き落としたんだって
  1010. みたま: (違う…被害者はわたしよ… 落とそうとしたのは相手よ…)
  1011. みたま: (水名の生徒に…友だちに… わたしが殺されかけたのに…)
  1012. そもそも西の学校に通うって どうなんだよ
  1013. みたま: 東の子たちに 裏切られたことだって…!!
  1014. みたま: 全てわたしが背負うべきもの…!
  1015. 十七夜: この悲しみが生んだ運命の手綱は 自分で握らせてもらう…!
  1016. ∵ゥゥ_ウ…アゥ―
  1017. 十七夜: グゥッ…!
  1018. みたま: 悲しみと共に肉体も奪う気なら…
  1019. みたま: もう、離れないぐらい わたしたちとひとつにすればいい
  1020. 十七夜: 八雲…どうするつもりだ…
  1021. みたま: この場で調整するの
  1022. みたま: そして、わたしたちの悲しみを 魂の一部に入れ込むわ
  1023. みたま: これで、キモチが悲しみを奪えば わたしたちの命も奪うことになる
  1024. みたま: キモチは体が手に入らなくなって 悲しみを奪う理由がなくなるわ
  1025. 十七夜: では、やってくれ…
  1026. みたま: 即決ね…
  1027. 十七夜: そもそも自分たちが 背負うべきものだ
  1028. ∵ヒッ_ウゥ ̄ァァ―アン!!
  1029. 十七夜: ッ…早く!!
  1030. みたま: もう、戻れないわよ!
  1031. 十七夜: はぁっ…はぁ…く… ふ、ふふ…なんという腐臭だ…
  1032. 十七夜: そうだ…これが滅びの果てに 満ちるものだ…
  1033. みたま: だけど、死と滅びの果てには やっぱり新たな喜びがある…
  1034. 十七夜: 「ああ、死すればもう過ちは犯さない」
  1035. みたま: 「骸となれば誰も苦しめることはない」
  1036. 十七夜: 「良いことも悪いこともなく ただ自然体となって見守るその姿こそ」
  1037. みたま: 「救いと呼べる希望の形ね」
  1038. アオ: …………
  1039. アオ: (ターゲットは湯国市の撲滅派)
  1040. アオ: (どんな人たちなんだろ)
  1041. アオ: クスッ
  1042. ―取材記録― 遊狩 ミユリ
  1043. ミユリ: 「ミユの望むことと言えば これからもずっと燦様のおそばに いることですよぉ~」
  1044. ミユリ: 「とは言っても、 あと2年も経てば燦様も学校を卒業… 光塚から出て行くことはないと思いますが 離れ離れになるかもしれないので、 今からビクビクしてしまいます…」
  1045. ミユリ: 「ただ、燦様も気づいているとは思いますが 火祭りのことや光塚の町から いずれミユたちは巣立たなくちゃいけない」
  1046. ミユリ: 「それはいつか、ミユも燦様から離れて 独り立ちしないといけない ということなんですよねぇ…」
  1047. ミユリ: 「だから、正直なところミユは、 自分のこの緊張してしまう性格を 本当にどうにかして治したいんです…」
  1048. ミユリ: 「ちゃんと自分で胸を張って みんなの前に出て 堂々とインラインスケートの競技をやって 普段の生活もひとりで難なくこなせる」
  1049. ミユリ: 「そんな自立した自分になることが 大人になっても燦様の側に居られる 条件のような気がするんですよね…」
  1050.  
  1051. FILENAME: text_103102-1_32rIq.txt [Episode 2]
  1052. かごめ: (うちは神浜市との境目ぐらいに あるから心配だったけど)
  1053. かごめ: (お父さんとお母さんは 平気みたいだった…)
  1054. かごめ: (一応、私も何ともないって 伝えたけど…)
  1055. かごめ: 私も、みんなの体も どうなっちゃうんだろう…
  1056. かごめ: 不安だね、アルちゃん…
  1057. アルちゃん: <心配してるヒマがあるなら 動かないとだよ、かごめちゃん>
  1058. かごめ: うん、そうだよね…!
  1059. かごめ: 家族との関係、学校での出来事、将来の夢… 自然と過ごしている日常の中で 誰かの言動が引き金になって 少女たちは魔法少女の契約を交してしまう
  1060. かごめ: だけど逆に魔法少女の行動が 誰かに影響することだってある…
  1061. かごめ: 今は、その象徴的な出来事の最中…
  1062. かごめ: 下手をすれば魔法少女の存在を広めることで 他人の同情ではなく怒りを買ってしまい その結果、人にとっても魔法少女にとっても 衝突するような不幸を生むかもしれない
  1063. かごめ: 答えはまだわからないけど もしも何事もなく終わるようであれば 今回の一件も教訓としてまとめないと 同じことを繰り返してしまう
  1064. かごめ: だから見て…聞いて…まとめないと… 今の状況を…
  1065. レナ: 急に大東区で合流だって ももこが言うから驚いたけど
  1066. レナ: 東西の学生をひとつにする 「仲良し大作戦」ねぇ…
  1067. かえで: 大東の前に西を回ったんだよね? どんな反応だったの?
  1068. ももこ: わだかまりを解消できるなら 協力したいって感じで
  1069. ももこ: 正直、打率は3割ぐらいだな…
  1070. ももこ: 月夜が事前に連絡をしてた相手は 前向きな反応だったんだけど
  1071. ももこ: アタシの知り合いに声をかけても 話せる状況じゃなくってさ…
  1072. かえで: みんな体に異変が起きてるから それどころじゃないよね…
  1073. レナ: むしろ、 空気読めって感じじゃない?
  1074. ももこ: だな…
  1075. レナ: そう思うと、みかげも月夜も ファインプレーよね
  1076. かえで: 異変が起きる前に動き始めたから 話を聞いてくれたんだもんね
  1077. みかげ: えっへん!
  1078. みかげ: それで、あと東の人たちにも 声をかけたいからね
  1079. みかげ: レナたんたちも協力して!
  1080. レナ: それはいいんだけど、 協力を約束してもらうだけ?
  1081. レナ: メッセージのグループにも 入ってもらうとして
  1082. レナ: なんか、“それで?” って感じがするんだけど…
  1083. ももこ: 痛いところを突くな… まぁ、そうなんだよな…
  1084. ももこ: 何かしら協力してくれる人が 増えてくれるのはいいんだけど…
  1085. みかげ: だからって姉ちゃとなぎたんが 戻って来てくれる気がしない…
  1086. ももこ: 日付もまたいだし、 朝までに何ができるのか…
  1087. みふゆ: はっ…はぁ…
  1088. みふゆ: いろはさんたちの方が 神浜市民会館に近いので
  1089. みふゆ: ワタシたちと比べると、 かなり早く着きそうですね…
  1090. 月夜: 月咲ちゃんが来るなら、 絶対に確保してもらわないと…
  1091. 月夜: でも、無理矢理捕まえても、 私たちを手伝ってはくれない…
  1092. 月夜: どうすれば月咲ちゃんの心が 私たちの元に帰ってくるのかを
  1093. 月夜: 考える必要があるでございます…
  1094. ひかる: う~!
  1095. ひかる: ぜんぜんアオさんから返信が 来ないっすよぉ!
  1096. 樹里: 馬、うるさいぞ
  1097. 結菜: それに、もうずっとでしょ? 今さらの話じゃなぃ…
  1098. ひかる: 結菜さんも樹里さんも 薄情極まりないっすよ
  1099. ひかる: ひかるはアオさんのことを 心配してるっていうのに
  1100. 結菜: 私が心配してないとでも 言うのぉ?
  1101. ひかる: う…申し訳ないっす…
  1102. ひかる: わかってるっすよ 表に出してないだけだって…
  1103. 結菜: …私はひかるに感謝してるわぁ
  1104. 結菜: 私の分まで 感情を出してくれるからねぇ…
  1105. ひかる: なんか子どもっぽいって バカにされてる気もするんすけど
  1106. ひかる: ん…?んん…?
  1107. 樹里: なんだよ、スマホが壊れたのか? 落ち着かねーな…
  1108. ひかる: 樹里さんに 言われたら終わりっす
  1109. ひかる: じゃなくて、これ!
  1110. 樹里: あ?
  1111. 樹里: んだよ、妹のやつがやってる Dotubeのチャンネルだろ?
  1112. ひかる: 生放送前になってるんすよ!
  1113. 樹里: …マジだな アイツ何をしようとしてるんだ
  1114. 樹里: 姉さん、どう思う…?
  1115. 結菜: 藍家ひめなの放送として使う その可能性も十分あるわねぇ…
  1116. はぐむ: なんだか その方がしっくりくる…
  1117. 時雨: そうだね、はぐむん…
  1118. 樹里: なんの話だ?
  1119. はぐむ: ひゃっ…!
  1120. はぐむ: え、えっと、神浜市民会館で 直接ぶつかるのって
  1121. はぐむ: 体育会系っていうか…
  1122. 時雨: なんだか姫らしくないねって はぐむんと話してて…
  1123. 樹里: つまり裏があるって…?
  1124. 時雨: うん… そんな気がする…
  1125. みふゆ: 向こうで、 穏やかじゃない話をしてますね…
  1126. 月夜: 神浜市民会館の話は 誤情報でございますか…?
  1127. みふゆ: わかりませんが、 きな臭さはあるようですね
  1128. 月夜: もしかしたら…
  1129. みふゆ: どうしました…?
  1130. 月夜: …………
  1131. 月夜: やっぱり…!
  1132. 月夜: 月咲ちゃんは大東ではなく 南側にいるようでございます!
  1133. みふゆ: どうしてわかるんですか?
  1134. 月夜: お互いの位置がわかるようにって アプリを入れてたのでございます
  1135. 結菜: …話は聞いてたけど
  1136. 結菜: アプリを終了し忘れるなんて、 そんなうかつなことするかしらぁ
  1137. 結菜: 起動してるなら、日常のルールを 利用されてると思うわよぉ…?
  1138. 月夜: それは私も 最初から思い至ったでございます
  1139. 月夜: でも本当に利用されていたら ショックだから
  1140. 月夜: 怖くてアプリを 見られなかったのでございます…
  1141. 月夜: アプリを終了し忘れている方が 全然マシでございます
  1142. みふゆ: とはいえ、確認をしにいく必要は ありそうですね
  1143. みふゆ: 神浜市民会館に向かうにしても 戦力は十分だと思うので
  1144. みふゆ: ワタシと月夜さんは、 南に向かってもいいでしょうか?
  1145. 結菜: なぜ私に聞くのぉ?
  1146. 結菜: あなたはユニオンなんだから、 私の了承はいらないわぁ
  1147. みふゆ: では、勝手にさせて頂きます 行きましょう、月夜さん
  1148. 月夜: はい!
  1149.  
  1150. FILENAME: text_103102-2_32rIq.txt
  1151. いろは: 紅晴さんから来た話だと、 本当に誤情報かもしれませんね…
  1152. フェリシア: でも、さなの奴が こっそり聞いた話なんだろ?
  1153. フェリシア: さすがに考え過ぎだって!
  1154. やちよ: はぁ…手がかりをつかみたくても 空をつかまされる感覚…
  1155. やちよ: 本当に、苛立つ手合いだわ…
  1156. うい: でも、月咲さんの 魔力反応は感じられないし…
  1157. 鶴乃: 藍家ひめなの反応だって 微塵も感じられないよ
  1158. 鶴乃: 神浜市民会館は近いし、 もう感じ取れないとおかしいよ
  1159. いろは: でも、 知ってる魔力反応はあります…
  1160. やちよ: …十七夜、みたま
  1161. やちよ: コンテナターミナルと同じ布… 同じ轍は踏まないわよ
  1162. 十七夜: 恐れ入った さすがは七海といったところだ
  1163. みたま: 本当、一筋縄ではいかないわぁ
  1164. やちよ: あなたたち…
  1165. いろは: 本当に十七夜さん…? みたまさんも…
  1166. フェリシア: 魔力の反応が今までと違うぞ いや、ちがくねーんだけど…
  1167. うい: 冷たい…
  1168. フェリシア: おう…なんかそんな感じ…
  1169. 鶴乃: ネオマギウスの計画に もう付き合いたくないんだよね?
  1170. 鶴乃: だったら、わたしたちのところに 戻って来てよ
  1171. 鶴乃: みんながダメだって言っても、 わたしはウェルカムだから
  1172. やちよ: 鶴乃!
  1173. やちよ: 問答無用でソウルジェムを 狙ったわね…!
  1174. やちよ: ――っ!?
  1175. やちよ: あなたたち、その姿…!
  1176. いろは: 十七夜さん…!? みたまさん…!?
  1177. フェリシア: コイツらどうしたんだ…
  1178. うい: 何が起きてるの…
  1179. 鶴乃: わからないよ…
  1180. 鶴乃の声: どうして、そんな姿に…!
  1181. みたま: ごめんね、鶴乃ちゃん
  1182. 十七夜: ああ、すまない
  1183. 十七夜: いずれ訪れる滅びであれば 今、滅びを与えなくてはいけない
  1184. みたま: 今なら意味のある滅びにできる
  1185. 十七夜: 皆、死して何者にも苦しみを 与えることがない
  1186. 十七夜&みたま: 「希望のある姿になろう」 「希望のある姿になりましょう」
  1187. いろは: 東西の…選挙戦に関する真相は… まだ読んでないんですか…?
  1188. 十七夜: 読んだ上での結論だ
  1189. みたま: 今さらあんな文字だけで わたしたちの意思は変わらない…
  1190.  
  1191. FILENAME: text_103102-3_32rIq.txt
  1192. いろは: ――っ!?
  1193. みたま: 捕まえたわ…
  1194. いろは: うっ…!
  1195. いろは: でも、まだっ!
  1196. 十七夜: 数手先まで見えている 抵抗は意味をなさないぞ
  1197. うい: 「だめー!」
  1198. 十七夜: っ!
  1199. うい: お姉ちゃん…!
  1200. いろは: はっ…はぁ…
  1201. いろは: ありがとう…うい… ほんとに、殺す気なんだ…
  1202. 十七夜: 読める手数は増えても、 複数人は難しいか
  1203. みたま: そう簡単にはね…
  1204. 鶴乃の声: いい加減にしようよ! 本当に殺し合いになるよ!?
  1205. みたま: …………
  1206. フェリシアの声: ほんとだぞ! 正気に戻れよ早く!
  1207. 十七夜: …………
  1208. やちよの声: あなたはいつだって正しいけど、 いつだって真っすぐ過ぎる…!
  1209. 月咲: …………
  1210. 月咲: …ごめんなさい、十七夜さん…
  1211. 月咲: …ウチは、弱いから…
  1212. 月咲: みんなのために… 神浜のためになんて…
  1213. 月咲: 考えられません…
  1214. やちよ: 身に覚えがあるでしょう!
  1215. やちよ: あなたの考えは正しかったとして 周りのことは考えた!?
  1216. 十七夜: …………
  1217. 十七夜: 東に生まれたというだけで 恐れられ虐げられる…
  1218. 十七夜: そんなことが続かないよう
  1219. 十七夜: 自分にできることは なんでもするつもりだ
  1220. 十七夜: 大東に住む者としても 東をまとめる魔法少女としてもな
  1221. 観鳥 令: …………
  1222. 十七夜: 長い間続いてきた問題である以上 すぐには変えられないが…
  1223. 十七夜: 困った時は 頼ってくれ
  1224. 十七夜: いつでも力になろう
  1225. 観鳥 令: …困った時は、そうします
  1226. 観鳥 令: 十七夜さんって まっすぐ過ぎて…
  1227. 観鳥 令: なんていうか、 観鳥さんには眩しかったんだ…
  1228. 観鳥 令: 特にあの時はね
  1229. 十七夜: 七海の言わんとしてることは わかっている
  1230. 十七夜: 人の気持ちを測るのが下手で 自分に辟易とする時もある
  1231. 十七夜: だが、関係ない
  1232. 十七夜: これまでの自分は “今”を考えて失敗してきた
  1233. 十七夜: だから、今の神浜市を捨てて “未来”を見ることにしたんだ
  1234.  
  1235. FILENAME: text_103102-4_32rIq.txt
  1236. 十七夜: 見えた…
  1237. やちよ: ウソでしょ…!?
  1238. やちよ: 魔力パターンが変わって、 能力まで成長したっていうの…!?
  1239. 十七夜: ふっ…
  1240. やちよ: ァアアッ!
  1241. やちよ: く…ぅぅ…
  1242. やちよ: はぁ…いけない… 今までの経験が役に立たない…!
  1243. 鶴乃: やちよ!
  1244. いろは: 大丈夫ですか…!?
  1245. フェリシア: そこをどけよ!
  1246. フェリシア: やちよをイジメたらな、 さすがにみたまでも許さねえぞ!
  1247. みたま: 許す、許さない なんて言える状況じゃない…
  1248. みたま: わたしたちにとっては、 滅びを成せるか成せないか…
  1249. フェリシア: どけぇええ!
  1250. フェリシア: ――っ!?
  1251. みたま: 確かにわたしは弱いけど 魔法少女が相手なら話は別…
  1252. みたま: 忘れない方が良いわよぉ?
  1253. フェリシア: ニャッ!
  1254. フェリシア: …ぬぅ、力が…
  1255. 十七夜: …来るか
  1256. 鶴乃: 消えた…!?
  1257. いろは: 違う…後ろです…!?
  1258. うい: ツバメさん!守って!!
  1259. みんな: 「ァアアッ!」「ィヤァッ!」「ウァぅ!」
  1260.  
  1261. FILENAME: text_103102-5_32rIq.txt
  1262. 十七夜: ふぅ… 残りは七海だけだな
  1263. やちよ: …殺気を感じるわ
  1264. やちよ: 私が一番厄介ということね
  1265.  
  1266. FILENAME: text_103102-6_32rIq.txt
  1267. やちよ: は…はぁ…ふぅッ…
  1268. 十七夜: 今までご苦労だったな これからは休んでくれ
  1269. 十七夜: 八雲
  1270. みたま: ええ、動きは封じ込めるわ
  1271. みたま: なっ…
  1272. 鶴乃: 最強のわたしは あれぐらいで倒れない!
  1273. 鶴乃: やちよを倒す前に、 わたしを倒してもらうよ…!
  1274. うい: お姉ちゃんも まだ戦えそう…?
  1275. いろは: うん、ういのおかげで、 ダメージは抑えられたからね
  1276. みたま: でも、どこまでもつかしらね…
  1277. やちよ: ふぅ…
  1278. やちよ: (心を無にして…)
  1279. やちよ: …………
  1280. 十七夜: 読む先をなくしたところで 隙を生むだけだ
  1281. 十七夜: ぐっ…!?
  1282. やちよ: 意外と気配だけを読んでも 当たるものね
  1283. 十七夜: 驚いたな
  1284. 十七夜: 七海は今もなお 成長を続けるということか…
  1285. やちよ: まぐれだと思ったら 痛い目を見るかもしれないわね
  1286. 十七夜: ひとりずつ確実に始末したいが、 時間には限りがある…
  1287. 十七夜: …長引くようであれば 退いた方が良さそうだな
  1288. やちよ: えっ…
  1289. みたま: また、会えたら会いましょう
  1290. 鶴乃: ちょぉ!? ちょっと待ってよ!
  1291. いろは: …出ていっちゃいました
  1292. フェリシア: くっそ…待てよこのぉー!
  1293. フェリシア: 次こそ絶対にとっちめる! んで、目を覚まさせる!
  1294. フェリシア: そんな話がデカゴンボールでも あったはずだからな!
  1295. やちよ: いけない、フェリシア!
  1296. やちよ: 今、何か仕掛けたわ! 扉に手をかけないで!
  1297. フェリシア: あっ…
  1298. みふゆ: ダメですね… 月咲さんの反応はありません…
  1299. みふゆ: 今も位置情報の反応は、 この辺りで止まってますか…?
  1300. 月夜: …………
  1301. みふゆ: 月夜さん…?
  1302. 月夜: 月咲ちゃんのスマホだけが、 落ちていたでございます…
  1303. 月夜: うかつに機能をONにしていた わけではなかったでございます…
  1304. 月夜: 私たちふたりの約束を 利用していたのでございます…
  1305. みふゆ: 見つけられなかったのは 残念です…
  1306. みふゆ: でも、厳しいようですが、 泣いてる場合ではありません…
  1307. 月夜: けど、月咲ちゃんに… 繋がりを断たれたようで…
  1308. みふゆ: しっかりしてください 月夜さん
  1309. みふゆ: それなら繋ぎましょう…
  1310. みふゆ: 十七夜さんやみたまさんのことも ワタシたちは繋ごうとしている
  1311. みふゆ: 月咲さんだって同じです
  1312. みふゆ: 切れてしまったものは、 もう一度、繋ぎ直すんですよ
  1313. みふゆ: 月咲さんの魔力はまだ残ってる 追いかけましょう
  1314. 月夜: ぐすっ…はい…
  1315. みふゆ: …………
  1316. 「神浜市からのお願いです 現在、体に変調をきたす問題について 市では政府や各医療機関と連携して 対策を協議しています」
  1317. 「症状のある方は慌てずに自宅で待機し 次に行われる市からの発表をお待ちください」
  1318. 「また現在、点滴や胃ろうによる栄養の補給が 可能であることが確認されています」
  1319. 「画面に映し出された条件に当てはまる方は 優先的な対応が行われていますので お住まいの地域にある保健所に確認してください」
  1320. みふゆ: (少しだけ報道機関の方らしい 姿がありますし…)
  1321. みふゆ: (サイネージを通した放送も、 役立つのかもしれませんね…)
  1322.  
  1323. FILENAME: text_103102-7_32rIq.txt
  1324. 静香: …………
  1325. さな: …………
  1326. さな: いろはさんから来た メッセージ通りだとすると
  1327. さな: 私たちは間違った情報を 伝えてしまったかもしれません…
  1328. 静香: 本当は神浜市民会館の拡声器は、 使わないっていうこと…?
  1329. さな: はい…罠にかけられたのか… 時間を稼がれているのか…
  1330. 静香: それって私たちも危険よね…
  1331. 静香: 素性がバレているから ウソをつかまされたわけだし…
  1332. さな: 次の動きに備えて 仮眠時間になってますし
  1333. さな: 今のうちに抜けだしませんか…?
  1334. 静香: いえ、むしろ仮眠時間だからこそ 与えられる打撃があるわ
  1335. さな: 本気ですか…?
  1336. 静香: 気は進まないけど、 神楽燦がいなくなれば
  1337. 静香: ネオマギウスの動きは悪くなるわ
  1338. さな: 要は寝込みを 襲うってことですよね…
  1339. さな: 捕えて本当の計画について 話を引き出しますか…?
  1340. 静香: そんな簡単に情報を吐くような 相手じゃないから
  1341. 静香: 指示を出せる人を削って、 羽根の士気を落とすのが目的よ
  1342. 静香: それに、神楽燦が動けなくなれば 遊狩ミユリも自然と戦力外になる
  1343. さな: 藍家さんの計画を潰すような 核心は突けないかもしれないけど
  1344. さな: あとで居場所がわかったときの 壁は薄くなりますよね…
  1345. 静香: ええ
  1346. 静香: せめてそういうサポートが できればって思ったのよ…
  1347. さな: わかりました…
  1348. さな: では、気配を消すので、 私の手を取ってください…
  1349. 静香: ありがとう、二葉さん
  1350. さな: 魔力の反応は消してるので 恐らく気づいてないはずです…
  1351. 静香: 暫く動けないぐらいの傷を ここで与えるわ
  1352. 静香: ふっ…!
  1353. 静香: か、かたっ!?
  1354. 燦: ふっ、やっぱり忍び込んでたわね 時女の本家…!
  1355. 燦: それに、ユニオンの二葉さな!
  1356. 燦: 絶対防衛能力を 使っておいて正解だったわ
  1357. 燦: 隙を見せれば 必ず襲ってくると思ってたのよ
  1358. 燦: ミユ、起きなさい
  1359. ミユリ: は、はい、燦しゃま!
  1360. 燦: ふたりをここで片づけるわ!
  1361. 静香: もう1回消えることはできない?
  1362. さな: 私の場合は存在感を消す力なので 一度認識されると…
  1363. 静香: …逃げるしかないわね
  1364.  
  1365. FILENAME: text_103102-8_32rIq.txt
  1366. 燦: 黒羽根、白羽根! 共に起床!
  1367. 燦: 中に時女の本家と みかづき荘の二葉さなが居たわ!
  1368. 燦: 確実に捕らえなさい!
  1369. ミユリ: これはこれは、なかなか激しい 捕物になりそうですぅ…!
  1370.  
  1371. FILENAME: text_103102-9_32rIq.txt
  1372. 舐めたマネをしてくれたこと、 後悔させてあげます
  1373. 今のあなたたちに 逃げる術はありません!
  1374. 静香: っ、囲まれた!
  1375. さな: でも、包囲に穴がある… なんとか抜けられそうです…!
  1376. 燦: それは地獄への抜け道よ
  1377. 燦: 散りなさい!!
  1378. まとめてかかりますよ!
  1379. 静香: 神楽さんの攻撃は 私の固有魔法で防ぐから
  1380. さな: はい、羽根の攻撃はなんとか 私の盾で!
  1381. 静香: ふぅ…
  1382. さな: 耐えきりましたね…
  1383. ミユリ: そそっ、そこで気を抜いたのが、 運の尽きですぅっ!
  1384. 静香: っ!
  1385. ミユリ: あぅっ!
  1386. 静香: すなお!ちゃる!
  1387. すなお: 心配して待機していたのは 正解でした!
  1388. ちはる: 少し前から 悪意が漂ってくるのを感じたから
  1389. ちはる: 時を見計らって静香ちゃんたちを 助けようと思ってたんだよ!
  1390. 時女一族総出で来ているので、 一緒に脱出しましょう!
  1391. 静香: ありがとうみんな!
  1392. 燦: くっ、時女一族の本家を討てる 機会を逃してたまるものですか!
  1393. ミユリ: さ、燦様! ダメですムリですぅ!
  1394. 燦: 止めないで、ミユ!
  1395. ミユリ: 近所の人たちが騒ぎに 気づき始めたみたいですぅ…!!
  1396. 燦: …っ、こんな時に…!
  1397. 静香: それじゃあ失礼するわよ
  1398. 燦: …………
  1399. 燦: 騒ぎが大きくならないうちに 羽根のみんなを公民館に
  1400. 燦: 話は私がするから
  1401. ミユリ: わ、わかりましたぁ…
  1402.  
  1403. FILENAME: text_103102-10_32rIq.txt
  1404. ちはる: 追ってこない…
  1405. 南津 涼子: まぁ、ここまで来りゃあ 大丈夫そうだな
  1406. すなお: はい、周りの家でも、 騒ぎには気づいていたようですし
  1407. すなお: ネオマギウス側も おいそれと動けないはずです
  1408. 静香: みんなありがとう 無様だけど助けられてしまったわ
  1409. 静香: 結局情報を手に入れても偽物で 不意打ちにも失敗…
  1410. 静香: 時女一族の本家として 立つ瀬がないわ…
  1411. さな: …あの
  1412. さな: 私、これから公民館に戻っても 良いでしょうか…?
  1413. 静香: えっ!? 何を言ってるの…?
  1414. すなお: そ、そうです! 殺されに戻るようなものですよ!
  1415. さな: だけど、私たちがいなくなって 相手も油断しているはず…
  1416. さな: 情報を吸上げるには、 今がチャンスだと思うんです…!
  1417. すなお: だけど、次に抜け出す時は、 どうするつもりですか…?
  1418. さな: …これを
  1419. すなお: ハンカチ…?
  1420. さな: ちかさんの力を 貸して欲しいんです
  1421. 青葉 ちか: わ、私ですか?
  1422. さな: はい…
  1423. さな: 工匠区に千秋屋さんっていう お弁当屋さんがあるんですけど
  1424. さな: そこの看板犬に マメジ君っていう子がいるんです
  1425. さな: きっと臭いを辿れるはずなので、 協力をお願いしてもらえると…
  1426. さな: 頭の良いワンちゃんなので、 力になってくれると思いますし
  1427. さな: 時女一族の人がここを離れても、 公民館に辿り着けると思います…
  1428. 青葉 ちか: それで二葉さんを見つけたとして どうやって助ければいいか…
  1429. 南津 涼子: いっそのこと、他の犬たちにも 手伝ってもらうのはどうだ?
  1430. 南津 涼子: 百何匹のわんちゃんたちで、 大騒ぎってわけじゃねぇけど
  1431. 南津 涼子: うまくいけば、 ネオマギウスを混乱させられるし
  1432. 南津 涼子: 細かい指示もいらねぇから 失敗しづらいだろ
  1433. さな: はい、ピンチになったときは
  1434. さな: 周りを攪乱してもらえればって 思ってました…
  1435. ちはる: 騒いでもらうだけだって ワンちゃんには教えればいいし
  1436. ちはる: 覚えやすくていいと思う!
  1437. すなお: 旗振りを、 マメジ君にしてもらうとして…
  1438. すなお: …できますか? ちかさん…
  1439. 青葉 ちか: う~ん…ごめんなさい… やってみるとしか言えないです…
  1440. 青葉 ちか: 準備に時間がかかると思うので、 時間を置いて向かってください
  1441. さな: ありがとうございます…!
  1442.  
  1443. FILENAME: text_103102-11_32rIq.txt
  1444. さな: …………
  1445. さな: (公民館に人の気配はない… もう落ち着いたみたいだけど)
  1446. さな: (あれは…)
  1447. タツ: あんまり公民館で騒ぐなよ
  1448. タツ: 近所の人たちも驚いてんだ 次やったら使用禁止だからな
  1449. 燦: 待って! 話は終わってないわ!
  1450. 燦: 火祭りの神輿を廃棄するって話 本気で言ってるの…?
  1451. 燦: また再開する時のために 残しておかないと…
  1452. 燦: それだけはなんとかするって 約束してくれたのに…!
  1453. タツ: 俺は町内会と青年会で出た結論に ケチはつけられねえよ…
  1454. タツ: 第一、再開の見込みもなけりゃ、 祭り自体が危険だって言われてる
  1455. タツ: しかも祭りを休止させる引き金を 引いたのは、俺たち青年会だ…
  1456. タツ: 不安になる人たちを生んどいて 無理矢理再開なんてできねぇだろ
  1457. タツ: 潮時だよ潮時… 俺たちも次に向かわねえとな…
  1458. タツ: お前も、固執してないで 前を向けよ
  1459. 燦: いや…絶対にイヤ…!
  1460. 燦: 私はこの祭りがあったから 自分を変えて目指すものもできた
  1461. 燦: この青年会があったから、 毎日豊かで楽しい時間を過ごせた
  1462. 燦: 光塚は…青年会は…この祭りは… 私の世界なの…私自身なのよ…
  1463. 燦: この神様に私は救われたんだよ…
  1464. タツ: 言ったろ…神様なんていない… 俺は見たことがねえ…
  1465. 燦: だったら私が神様になる…!
  1466. パシンッ…
  1467. 燦: っ…!
  1468. タツ: 悪いな…けどちったあ目を覚ませ 冷静になって考えろ
  1469. タツ: 俺たちの神様は 町のお上さんでお偉いさんだ
  1470. タツ: 今さら何も覆っちゃくれねえよ …じゃあな
  1471. 燦: 命をかけて私は火祭りを守ったの 魔法少女になってまで…
  1472. 燦: タツ兄…私は冷静よ… 本当に現人神になるんだから…
  1473. さな: …………
  1474. さな: みんなを苦しめていて危険な ネオマギウスが持っている裏の顔…
  1475. さな: いろはさんが言う通り みんな何かに苦しんで救いを求めてる…
  1476. さな: だけど、自分の苦しみを洗い流すために 他人に苦しみを与えちゃいけない
  1477. さな: だから私たちは戦うんですよね いろはさん
  1478. さな: (あれから結構経ったけど、 次の動きに関する話が出ない…)
  1479. さな: (期待しすぎたのかも…)
  1480. さな: ――っ!?
  1481. この中から5人のメンバーに 湯国市へ行ってもらうわ
  1482. 湯国市…ですか?
  1483. 笠音アオと蛇の宮メンバーの フォローに回る仕事よ
  1484. 恐怖を失った彼女が弾みで、 撲滅派を殺さないように
  1485. ブレーキ役になるということね
  1486. その撲滅派のメンバーですが、 動画に出てもらうんですよね?
  1487. 魔法少女を知ってる人間として、 これまでの話をしてもらう予定よ
  1488. それと同時に、彼女たちの 魔法少女に対する不敬を断ずるわ
  1489. 配信の中で痛めつけるんですか…
  1490. だから、やりすぎないように うちからメンバーを送るの
  1491. さな: …………
  1492. さな: (力を示すために、これ以上 誰かを傷つけるつもりなんて…)
  1493. さな: (それも、 生配信で見せつける…?)
  1494. さな: あっ…
  1495. 燦: 何を聞いたのかしら
  1496. さな: っ…
  1497. ミユリ: 使っていた魔法が解けるほどの 衝撃だったってことですね
  1498. 燦: 口を封じるわよ、ミユ
  1499. ミユリ: はいぃ!
  1500.  
  1501. FILENAME: text_103102-12_32rIq.txt
  1502. さな: ケホッ、ケホッ…
  1503. さな: 次、また神楽さんが…!
  1504. さな: 違う!?
  1505. ミユリ: ふっ…!
  1506. ガィン!
  1507. さな: っ、盾が…!
  1508. 燦: よくやったわ、ミユ 盾がなければ蜂の巣よ…!
  1509. さな: ぁあああッ!!
  1510. 燦: とどめ!
  1511. ドンッ!
  1512. 燦: キャッ、な…何…!?
  1513. 燦: え、いぬ…?
  1514. 燦: ――っ!?
  1515. ミユリ: …いぬ…いぬたちが
  1516. 燦: 「きゃぁあああぁあッ!」
  1517. 青葉 ちか: ありがとうございます! よくやりましたね!
  1518. マメジ: クゥ~ン…
  1519. 青葉 ちか: そうですね… 二葉さんの治療を…
  1520. すなお: 私の癒しの力で 多少はマシになると思いますが…
  1521. さな: …………
  1522. さな: …っ、す、なおさん…
  1523. すなお: 二葉さん!
  1524. 静香: 良かった… ケガは酷いけど大丈夫そうね…
  1525. さな: …く…ぅ… みんなに…伝えてください…
  1526.  
  1527. FILENAME: text_103102-13_32rIq.txt
  1528. フェリシア: あー、死ぬかと思ったぞ…
  1529. うい: はぁぁ…
  1530. うい: 鶴乃さんの幸運の力がなかったら 今ごろペチャンコだったかも…
  1531. やちよ: ういちゃんの言う通りね…
  1532. いろは: ほんと、驚きました…
  1533. みたま: また、会えたら会いましょう
  1534. 鶴乃: ちょぉ!? ちょっと待ってよ!
  1535. いろは: …出ていっちゃいました
  1536. フェリシア: くっそ…待てよこのぉー!
  1537. フェリシア: 次こそ絶対にとっちめる! んで、目を覚まさせる!
  1538. フェリシア: そんな話がデカゴンボールでも あったはずだからな!
  1539. やちよ: いけない、フェリシア!
  1540. やちよ: 今、何か仕掛けたわ! 扉に手をかけないで!
  1541. フェリシア: あっ…
  1542. いろは: きっと、フェリシアちゃんが 扉に手をかける一瞬の間に
  1543. いろは: みたまさんが、 何か仕掛けたってことですよね?
  1544. 鶴乃: 事前に準備だけしておいて、 仕上げをしたんだと思う
  1545. 鶴乃: 最後に起爆スイッチだけ 加えたって言えばいいのかも
  1546. 鶴乃: とりあえず、みんな無事だったし 結果オーライだよ
  1547. やちよ: それでも、悔やまれるわね…
  1548. やちよ: 十七夜とみたまに 私たちの声は届かなかったわ…
  1549. いろは: ももこさんたちが みかげちゃんと進めてる
  1550. いろは: 「仲良し大作戦」に 賭けるしかなさそうですね…
  1551. フェリシア: それでも、オレたちは アイツらを追いかけるんだろ…?
  1552. フェリシア: 仲直りはできなくても、 なんとか止めなきゃだからさ…
  1553. やちよ: そうね…
  1554. やちよ: 私たちの動きを止めたつもりで 移動しているなら
  1555. やちよ: 次こそ本命の場所に 向かってるかもしれないわ
  1556. うい: 他にも放送ができる場所が あるっていうこと…?
  1557. やちよ: 恐らくね
  1558. やちよ: みたまの能力なのか、 魔力の反応を消してる…?
  1559. 鶴乃: ほんの少しだけど わたしにはわかるよ
  1560. いろは: え、すごいね 私は全然探れないんだけど…
  1561. 鶴乃: 運良くつかめただけかも しれないけど
  1562. 鶴乃: …………うん
  1563. 鶴乃: 神浜市役所の方角に 向かったかもしれないね
  1564. 鶴乃: 何があるんだろう…
  1565. いろは: …あっ
  1566. 鶴乃: 思い当たる節がある!?
  1567. いろは: たぶんですけど、市役所と言えば 防災無線があったはずです
  1568. うい: ――っ!?
  1569. うい: この間、学校の勉強で、 お姉ちゃんと一緒に調べたやつだ
  1570. いろは: うん、そうそう
  1571. フェリシア: この市民会館と同じように スピーカーを使うってことか?
  1572. いろは: そうなんだけど、 範囲はもっと広いよ
  1573. いろは: 市内全域に声を届けるのが、 防災無線の役割なんだもん
  1574. いろは: 今度こそ止めないと、 町中に声が流れることになるよ
  1575. 鶴乃: 人を誘導するのにも使えるから、 音だけとは言っても危険だし
  1576. 鶴乃: 電波望遠鏡のときと同じように 暗示で使われたらマズイよね…
  1577. やちよ: そうとわかれば、 さっそく追跡しましょう
  1578. やちよ: 場所を移すことになるから、 ももこに連絡しておくわ
  1579. 鶴乃: うん、わかった
  1580. 結菜の声: あら、取り逃がした上に、 ずいぶんやられたみたいねぇ…
  1581. いろは: お疲れさまです、紅晴さん
  1582. 結菜: 急いで来たつもりだったけど 遅れてしまったみたいねぇ
  1583. 樹里: アッハハハ!
  1584. 樹里: なんだよ、ほこりまみれになって クッソ、ダセーな
  1585. フェリシア: んだよ! オレたち大変だったんだぞ!?
  1586. フェリシア: そっちこそ、 なんか、せーかはあったのかよ!
  1587. 樹里: あ? なんだケンカ売ってんのか?
  1588. フェリシア: あ?
  1589. 樹里: あ?
  1590. いろは&結菜: 「フェリシアちゃん」 「樹里」
  1591. 智珠 らんか: ほんと、こっちで争ってる 場合じゃないんだけど…
  1592. 結菜: 私たちだって成果はないんだから 何も言えないわよぉ
  1593. 結菜: …お互いに藍家ひめなの姿は 確認できなかったみたいねぇ
  1594. いろは: はい…月咲ちゃんもいないし、 情報とは全く違いました…
  1595. 結菜: それ… 潜入して得た情報だとしたら…
  1596. いろは: はい…さなちゃんが心配です…
  1597. ~~♪~~♪
  1598. いろは: あっ、噂をすれば! さなちゃんからです!
  1599. 結菜: 無事だったみたいねぇ
  1600. いろは: もしもし、さなちゃん?
  1601. いろは: …えっ、あれ、静香ちゃん…?
  1602. いろは: あの…紅晴さん… 少し外してもいいですか…?
  1603. 結菜: ええ、私のことは気にしないで 向こうの様子を聞いてちょうだぃ
  1604. ひかる: なーんか雲行きが怪しいっすね…
  1605. ひかる: 一番知りたい藍家ひめなの 居場所がわかんない上に
  1606. ひかる: 弄ばれるなんて…
  1607. 樹里: 本当に時雨とはぐむは アイツの計画をしらねーのか?
  1608. 樹里: 居場所ぐらい 実は知ってたりとかさ
  1609. 時雨: そんな今さら疑わなくても… わかってたら教えてるよ…
  1610. はぐむ: 藍家さんを止めたいのは 私だって同じですから…
  1611. うい: あれ?
  1612. はぐむ: どうしたの?
  1613. うい: これ見て、 ユニオンのグループメッセージ
  1614. 鶴乃: ん、ひみかがコメントを入れてて 他の子も反応してるね
  1615.  
  1616. FILENAME: text_103102-14_32rIq.txt
  1617. 眞尾 ひみか: 「新聞の販売店を手伝いに行ったら 折り込みチラシの中に こんなものがありました」
  1618. 眞尾 ひみか: 「写真を添付します 他の人のところに届いたりしてます?」
  1619. 矢宵 かのこ: 「うち、朝刊が届くの早いんだけど 確かに入ってる 絶対にネオマギウスの仕業だね」
  1620. 胡桃 まなか: 「今、ポストを見てみたんですけど 届いてましたよ!」
  1621. 鶴乃: …………これって…
  1622. 神浜市で起きている異変の真相について話します。
  1623. 興味がある方はチラシの下に印刷された QRコードを読み込んで 生放送が開始されるのを待ってください。
  1624. 疑わしいと思う方は、考えてみてください。 折り込みチラシを入れるには準備が必要です。
  1625. つまり私は、神浜市で異変が起きる前に これを書いています。
  1626. うい: 神浜市に異変が起きる前に 藍家さんがチラシを送ってた?
  1627. フェリシア: うおっ、QRコードを読んだら Dotubeのチャンネルがでたぞ!
  1628. ひかる: アオさんのチャンネルっす…
  1629. ひかる: 確かにさっきから 準備中になってたっすけど
  1630. ひかる: こんな折り込みチラシとか 簡単にできるもんすか…?
  1631. 鶴乃: できると思う…
  1632. 鶴乃: 万々歳でも昔に出したことが あったけど
  1633. 鶴乃: 1誌に絞って地域も狭めれば、 そこまで高くないはずだよ
  1634. 結菜: そうねぇ…
  1635. 結菜: ネオマギウスの人数で、 お金を出し合えば
  1636. 結菜: 無理のない範囲で 捻出できる金額になるはずだわぁ
  1637. 智珠 らんか: それに、この神浜市の状況だと SNSで上げたら拡散しそうだし
  1638. 智珠 らんか: 割と安上がりなのかもね
  1639. いろは: 皆さん大変です!!
  1640. 鶴乃: わっ、びっくりしたぁ… 血相を変えてどうしたの…?
  1641. いろは: ネ、ネオマギウスが 魔法少女の力を示すために
  1642. いろは: 直接、誰かを傷つけようと してるみたいなんです!
  1643. うい: えっ…!?
  1644. いろは: しかも、それをネットで 放送するって…静香ちゃんが…!
  1645. ひかる: まさか、アオさんのチャンネルは そのために使うんすか!?
  1646. いろは: 止められないと、 魔法少女の残虐な姿がみんなに…
  1647. ひかる: 意味がわかんないっす! 正気じゃないっすよ!
  1648. 樹里: あんの、妹… マジで懲らしめねえとな…
  1649. 結菜: っ、環さん、場所はどこ!
  1650. いろは: 湯国市って言ってました
  1651. いろは: 標的にされてるのは 撲滅派という人たちみたいです
  1652. 結菜: 樹里、ひかる、らんか!
  1653. 結菜: 今からプロミストブラッドは 湯国市に向かうわぁ!
  1654. ひかる: っす!
  1655. 智珠 らんか: やっとアオの目を覚まさせる チャンスがつかめたってわけね
  1656. 樹里: ああ、樹里サマの炎で、 恐怖を思い出させてやる!
  1657. 結菜: 環さん、悪いけど私たちは アオを優先させてもらうわぁ
  1658. いろは: はい、神浜市は 私たちでなんとかします
  1659. うい: 行っちゃったね
  1660. いろは: 私たちも 神浜市役所に向かわないと…
  1661. やちよ: その話だけど、 私は一度戦線を離脱するわ
  1662. いろは: え、やちよさん 離脱ってどういうことですか?
  1663. やちよ: 今、ももこと話してたんだけど 例の大作戦が順調みたいだから
  1664. やちよ: その状況を加速させるために 私も動こうと思うの
  1665. うい: これから ももこさんの所に行くの?
  1666. やちよ: ううん、これから事務所に寄って 報道系の生配信に出てくるわ
  1667. やちよ: 一度断った手前、 ねじ込んでもらう形になったけど
  1668. やちよ: マネージャーからの情報が こんな形で役立つなんてね
  1669. 鶴乃: えっ!?
  1670. 鶴乃: 「それってコメンテーター!?」
  1671. フェリシア: 「あ?なんだよそれ」
  1672. 鶴乃: 「ニュースとかワイドショーに出て 自分の意見を求められたりする人だよ!」
  1673. フェリシア: 「ふーん? みたまたちを連れ戻すのに意味あんのか?」
  1674. やちよ: 市長の会見もあるから 必ず意味を作ってみせるわ
  1675. いろは: 私たちに できることはありますか?
  1676. やちよ: 協力はしてもらうつもりよ
  1677. やちよ: ただ、番組の台本に従わず 身勝手な行動を取ることになるわ
  1678. やちよ: 業界に居られなくなった上に 事務所からも追い出されたら
  1679. やちよ: みかづき荘の収入源が失われるわ
  1680. やちよ: その時はごめんなさい
  1681. フェリシア: それは困るぞ…
  1682. 那由他: 今、正にネオマギウスとの戦いが 神浜市で続いてる…
  1683. 那由他: どちらも魔法少女の存在を 広めたい気持ちは同じなのに
  1684. 那由他: こうして争っているのは、 なんだか虚しい気がしますの…
  1685. ラビ: 目的が同じでもやり方が違えば 人なんて衝突するものですよ
  1686. ラビ: ただ、こうした衝突もまた 宇宙の意思かもしれませんが
  1687. 那由他: …魔法少女の話を広める人を 減らすということですの…?
  1688. ラビ: はい…
  1689. うらら: ただ、今のところはどこの グループにも
  1690. うらら: 死んだ人はいないみたいなんよ
  1691. 旭: 嬉しい話でありますが、 重要なのは戦いのあとであります
  1692. アレクサンドラ: 勝敗に関わらず、魔法少女の話は 世間に広められますからね
  1693. 那由他: その、都合が悪い状況に 宇宙がどう動くか
  1694. 那由他: パパはそれを確かめたいという ことなんですの…
  1695. 太助: そう、ただ何も起きないことを 祈ってね…
  1696. 太助: 宇宙の自浄作用なんてものは、 勘違いだった方が幸せだよ…
  1697. ―取材記録― 神楽 燦
  1698. 燦: 「こんな隣町にまで 取材に来てくれるなんてご苦労様。 ちょうど茶請けを買ってきたところだから、 良ければゆっくりしていって」
  1699. 燦: 「あ、もしかして、 松竹庵の薄皮まんじゅうのこと知ってた? 実は知る人ぞ知る光塚の銘菓でね、 すっごくお茶にあって美味しいのよ」
  1700. 燦: 「みんなから聞いたけど、 確か将来望んでいることを聞いてるのよね?」
  1701. 燦: 「だったら、ひとつはもう知ってるでしょ? 私が望んでいるのは、 光塚の火祭りを復活させること」
  1702. 燦: 「だけどね、それだけじゃないのよ。 私は私の生まれ育ったこの光塚の町に 古くからある魅力を発掘してきて 日本や世界に伝えるような人になりたいの」
  1703. 燦: 「でも、遊んでると思われるのは嫌だから 大学で町おこしに役立つ知識を身に付けて、 地元の役所に勤めるつもりよ」
  1704. 燦: 「そこで色んなイベントを打ち出して 光塚を日本でも有名な町にしてみせるわ」
  1705. 燦: 「あ、でも火祭りの神が公務員って微妙…? むしろ神様になること自体が 一番の町おこしになるかもしれないわね」
  1706.  
  1707. FILENAME: text_103103-1_32rIq.txt [Episode 3]
  1708. かごめ: 魔法少女たちが忙しなく縦横無尽に動きまわる。
  1709. かごめ: ネオマギウスのやり方で人々が魔法少女を知れば 怨嗟の渦が瞬く間に生じてしまう。 みんなはその結末におびえながら 計画を阻止するために 必死に動いているようだった…。
  1710. かごめ: ネオマギウスの中には、 十七夜さんやみたまさんのように 社会のせいで苦しむ魔法少女たちがいるけど、 神浜市の人たちは魔法少女のせいで苦しんでる。
  1711. かごめ: それはまるで、終わりのない螺旋を紡いで 負のるつぼを作り出しているみたいだ。
  1712. かごめ: そのるつぼの底に堕ちるような感覚こそが、 教授を支配する諦念かもしれないと思いつつも 私はみかげちゃんの動きを知ると、 彼女を追いかけようと思った。
  1713. かごめ: あの、無邪気で屈託がなく素直な明るさの中から 希望が生まれる気がしたから…。
  1714. かごめ: そして私は祈り続ける…。 止まることを知らない争いの中で、 いろはさんたちが無事であることを…。
  1715. さな: う…
  1716. リヴィア: あかん、こんな深手やと 消耗が激しすぎる…
  1717. リヴィア: 体を治すよりも先に 魔力の方が涸渇してまうわ…
  1718. ヨヅル: グリーフシードは使いますか?
  1719. リヴィア: 浄化したらんともたんやろうし、 しゃあないわ…
  1720. 月出里: ふむ、ふむんむふんむ!
  1721. リヴィア: ありがと、月出里
  1722. さな: お代は…あとで… 返しますね…
  1723. ヨヅル: 早く戦線に復帰したいのなら、 黙って治療を受けた方が良いかと
  1724. 静香: 悪鬼の魂魄は私が出すわ
  1725. ヨヅル: 承知しました
  1726. すなお: 本当にリヴィアさんたちと 遭遇して良かったです
  1727. ちはる: うん、ケアトレーラーには いないって聞いてたから
  1728. ちはる: すぐにケガも治せないし、 どうしようって思ってたんだよぅ
  1729. 月出里: ふんむんむむ、 ふむんむふむっむむ
  1730. ヨヅル: 偶然でも出会えて良かったと 月出里が申してます
  1731. リヴィア: ほんまやな
  1732. リヴィア: 私らも用事があって動いてたから 運が良かったとしか言えへんわ
  1733. リヴィア: それに…
  1734. 静香: な、なに…?
  1735. リヴィア: 前にうちに運ばれてきた時は、 潰れてまうかと思ったけど
  1736. リヴィア: なんや吹っ切れたみたいで、 ええ顔になったな
  1737. 静香: …私にはあなたが、 良い人か悪い人かわからないわ
  1738. リヴィア: アンタらが衝突するように、 けしかけたりもしとるわけやし
  1739. リヴィア: 良い人ではないかもしれん
  1740. リヴィア: やけど、やり方は汚くても、 私はみんなの味方のつもりやで
  1741. いろは: …………
  1742. いろは: 紅晴さんたちは、 無事、列車に乗れたそうです
  1743. 鶴乃: もう終電なんてないと思うけど、 どうやって乗れたんだろ?
  1744. いろは: 湯国市に向かう貨物列車があって それに乗り込んだそうです
  1745. 鶴乃: おぉ、なるほどね
  1746. やちよ: それじゃあ、 私も事務所に向かうわ
  1747. いろは: こちらは任せてください
  1748. やちよ: ええ、私は私にできることを やってみるわ
  1749. 時雨: あの、ぼくたちも、 助けてもらったのに悪いんだけど
  1750. はぐむ: うん、別行動させてもらうね
  1751. いろは: ネオマギウスに動きがあるなら、 私たちだって手伝うよ?
  1752. 時雨: …教官にさらわれた三輪さんが、 まだ見つからないんだ
  1753. はぐむ: うん…
  1754. はぐむ: 電波望遠鏡で利用されたら すぐに解放されると思ってたけど
  1755. はぐむ: どこにも姿が見えないから 探しに行きたくて…
  1756. 時雨: だから、別行動でもいいかな…?
  1757. いろは: 私には止められないよ でも、気をつけてね
  1758. 時雨: うん…
  1759. はぐむ: 環さんたちも気をつけてね
  1760. いろは: ありがとう、はぐむちゃん
  1761. フェリシア: じゃあ、オレたちは さっさと市役所に行こうぜ!
  1762. 鶴乃: 防災無線の指令卓を押さえれば、 わたしたちの勝利だからね
  1763. フェリシア: おうっ、ふんす!
  1764. ひめな: じゃ、ありがとうね みわりん
  1765. ひめな: あとはここでゆっくり休んでて
  1766. 三輪 みつね: 藍家さん… 本当に仕掛けを使うつもり…?
  1767. ひめな: うん、設置済だから あとは起動させるだけだよ
  1768. 三輪 みつね: それでどうなるか…
  1769. ひめな: 知ってる、 私チャンは理解してるよ
  1770. ひめな: でも、キモチの石を ぜーんぶ手に入れちゃうには
  1771. ひめな: どうしても必要だから
  1772. 三輪 みつね: 本当にどこまでも、 一線を越え続けるんだね…
  1773. 三輪 みつね: 彼のために…
  1774. ひめな: でも、私チャンのマイメンは、 絶対に見捨てたりしない
  1775. 三輪 みつね: っ、じゃあ、私をわざわざ 神浜市の外に連れ出したのって…
  1776. ひめな: 助けたいからに決まってるじゃん キャハッ★
  1777.  
  1778. FILENAME: text_103103-2_32rIq.txt
  1779. いろは: …やっぱりダメ 私じゃ反応をつかめないみたい…
  1780. フェリシア: オレもみたまと十七夜の魔力反応 全然つかめねーぞ
  1781. うい: 鶴乃さんだけが うまくつかめてるみたいだよね
  1782. 鶴乃: ん、こっち…!
  1783. いろは: やっぱり目指してるのは、 神浜市役所で間違いなさそう?
  1784. 鶴乃: うん、なるべく屋上を使って 直線距離で移動してるし
  1785. 鶴乃: 道に降りてからの移動も、 方角的には市役所で間違いないよ
  1786. いろは: それなら、 もうあと少しで着きそうだね
  1787. フェリシア: おい、これって…
  1788. うい: 仮庁舎に移転しました…?
  1789. いろは: そっか、イブとの戦いで 中央区の被害が大きかったから…
  1790. 鶴乃: 普段、来ることなんてないから 知らなかったよ…
  1791. 鶴乃: わたしとしたことが、情けない…
  1792. うい: で、でもあれだよね? 仮庁舎に行けばいいんだよね?
  1793. 鶴乃: …………
  1794. うい: え、違うの?
  1795. 鶴乃: どこに防災無線の指令卓があるか わからないんだよ
  1796. フェリシア: だから、かりちょーしゃって 場所じゃねーのかよ
  1797. 鶴乃: こういう時はどこに指令卓の 機能があるかわからないんだよ…
  1798. 鶴乃: 消防本部に警察署、 地域毎にある支所だとか
  1799. 鶴乃: どうしても1ヶ所には絞れない…
  1800. いろは: 魔力反応をたどれたとしても 時間がかかっちゃうし
  1801. いろは: そもそも防災無線なんて 関係ないのかも…
  1802. 鶴乃: でも、十七夜とみたまが 何をしようとしてるか
  1803. 鶴乃: 今から考えてるヒマなんてないよ
  1804. 鶴乃: タイムリミットになるぐらいなら 空振りしてもいいから動こう!
  1805. いろは: そうですね…
  1806. いろは: 今なら、神浜市の魔法少女が 動けるかもしれません
  1807. うい: さっきのグループメッセージでも すぐに返信が届いてたし
  1808. うい: 魔女との戦いに戻った人たちも いるって連絡があったよ
  1809. いろは: うん、だから地域毎に散らばって 確認していけば
  1810. いろは: そこまで時間はかからないと思う
  1811. 鶴乃: じゃあ、さっそくみんなに 連絡してみよう!
  1812. いろは: はい!
  1813.  
  1814. FILENAME: text_103103-3_32rIq.txt
  1815. 月夜: ダメでございます…
  1816. 月夜: パッタリと月咲ちゃんの魔力が たどれなくなったでございます…
  1817. みふゆ: なんだか妙ですね…
  1818. みふゆ: 誰かが意図的に消したとしか 思えません…
  1819. 月夜: 月咲ちゃんが揃えば、 神浜市の状況を元に戻せる
  1820. 月夜: それを知ってるネオマギウスの 隠蔽でございますか…?
  1821. みふゆ: そう考えるのが妥当ですね
  1822. ピロン♪
  1823. みふゆ: いろはさんからですね
  1824. みふゆ: …………
  1825. みふゆ: 十七夜さんとみたまさんは 足跡になる魔力の痕跡を消しつつ
  1826. みふゆ: 大東区から中央区へ移動して、 さらに別の場所へと移動…
  1827. みふゆ: 防災無線の指令卓がある場所が、 移動先だと思われるので
  1828. みふゆ: 付近の候補になるポイントを 確認して欲しいようですね
  1829. 月夜: …大東から中央区、 さらに西に向けて動いたとなると
  1830. 月夜: ふたりはこの辺りを、 通ったかもしれないでございます
  1831. みふゆ: 月咲さんを連れ戻されると 具合が悪いのを知っているなら
  1832. みふゆ: 彼女の魔力も消してから移動して 水名に来てる恐れがあります
  1833. みふゆ: もしも中央区から更に西に動いて この水名区に入ったなら…
  1834. 月夜: 近くに支所や警察署がないか 調べてみるでございます
  1835. 月夜: …………
  1836. みふゆ: …………
  1837. みふゆ: …どうですか?
  1838. 月夜: 神浜市の支所が 水名区にあるでございます
  1839. みふゆ: そこまで遠くなさそうですね
  1840. 月夜: 行ってみるでございます
  1841. みふゆ: …………
  1842. みふゆ: まさかのビンゴのようです
  1843. みふゆ: 本当に十七夜さんとみたまさんが いるみたいですね…
  1844. みふゆ: ただ…
  1845. 月夜: 私も感じるでございます… 何か冷たくて…変でございます…
  1846. みふゆ: 今までのおふたりの魔力反応とは 明らかに違いますね…
  1847. 月夜: こっそりと近づいて 確認してみるでございますか…?
  1848. みふゆ: いえ、この距離であれば ワタシたちに気づいてるはずです
  1849. みふゆ: 下手に刺激しないように 正面から姿を見せて近づきます
  1850. みふゆ: ――っ!?
  1851. 十七夜: 来てしまったか…梓…
  1852. みたま: それに、月夜ちゃんも…
  1853. 月夜: その、姿は…
  1854. 十七夜: とりあえず場所を変えるか
  1855.  
  1856. FILENAME: text_103103-4_32rIq.txt
  1857. みふゆ: 姿が変わったということは、 大きく魂が変容したということ…
  1858. みふゆ: ふたりが本気で滅びを 成そうとする証拠とも言えますね
  1859. 十七夜: 邪魔立てをするつもりなのは わかっているぞ、梓
  1860. みふゆ: 防災無線を使おうとしてるのは 明々白々ですからね
  1861. みふゆ: それで、ワタシが止める気なら どうするつもりですか?
  1862. みたま: 決まってるでしょう ここなら人目にもつかないわ
  1863. 月夜: な、なんでございますか!?
  1864. みふゆ: は、速いです!
  1865. みふゆ: ――っ!?
  1866. みふゆ: ウソでしょ…体が…!? 一瞬で動きを封じられた…!?
  1867. 十七夜: 恨むな…梓…!
  1868. 月夜: っ!
  1869. 十七夜&みたま: 「ぬっ!?」 「ひゃっ!?」
  1870. みふゆ: ぅ…すみません月夜さん… 動けるようになりました…
  1871. 月夜: 封じられたのが足だけで 良かったでございます
  1872. 月夜: みふゆさん、ひるんだ隙に…!
  1873. みふゆ: はい、距離を取りましょう!
  1874. みふゆ: それにしても、 全くためらいがないだなんて…
  1875. みふゆ: 東のリーダーも、 ずいぶんと落ちましたね
  1876. 十七夜: 欲に駆られてマギウスの翼に 入った奴が言えたことではない
  1877. みふゆ: そうですね、お互い様です…
  1878. みふゆ: 東西で対立し合っていた時は、 互いに傷つくことを避けてきた
  1879. 十七夜: そうだな 襲撃犯が魔女だと裏が取れた
  1880. 十七夜: 魔法少女たちを納得させるのは 一筋縄ではいかないだろうが…
  1881. みふゆ: はい…ですが、根気よく 説得していきましょう
  1882. みふゆ: もう1年以上も前の話ですが…
  1883. 十七夜: 1年あれば人は変わる 梓も八雲も、そして自分もな
  1884. 月夜: だけど、まだギリギリで 引き返せるでございますよ…!
  1885. 月夜: ネオマギウスの計画を挫いて 町の人たちの暗示を解けば
  1886. 月夜: 最悪の事態にはならないで ございます…!
  1887. 月夜: 月咲ちゃんの居場所を 教えて頂けたら
  1888. 月夜: みんなを救えるでございます
  1889. 月夜: 魔法少女が人を傷つける悪として 広まるのを防げるでございます!
  1890. みたま: まるで、わたしたちが 後悔してるような言い草ね
  1891. みたま: …正直、わたしたちはお姫様の 計画がどうなろうと構わないのよ
  1892. みたま: 成功すればわたしたち魔法少女が 人々の平等を管理すればいいし
  1893. みたま: 失敗すれば神浜市の人たちが たくさん苦しんで
  1894. みたま: 私たちを悪逆無道の存在として 恨みのはけ口にする
  1895. みたま: 神浜市の人が結束するのであれば 私たちの本望だって言えるわ
  1896. 月夜: そんな…
  1897. みたま: そこまでしないと、 東西はひとつにまとまれない
  1898. みふゆ: だから、滅びの願いに従って、 東西をまとめようとするんですね
  1899. みふゆ: 多くの人を殺してまで…
  1900. 十七夜: 人は死すれば何も語らない 何に対しても干渉することはない
  1901. 十七夜: 最も平等であり 未来を見守り続ける存在となる
  1902. 十七夜: そして、生存した東西の人々が 悪たる我々を前に手を結んだとき
  1903. 十七夜: 皆は神浜市の分裂していた過去を 振り返って教訓とし
  1904. 十七夜: 滅んだ者たちこそ 未来の希望を作ったと気づくんだ
  1905. 十七夜: 納得いったか、梓
  1906. みふゆ: そんな横暴な理屈なんて 関係ありません
  1907. みふゆ: みかげさんは諦めてませんよ
  1908. みたま: ――っ!?
  1909. みふゆ: 東西はひとつにできるって、 我武者羅に頑張ってます
  1910. みたま: わたしたちを動揺させるための 方便なんていらないわ
  1911. みふゆ: じゃあ、その様子を ワタシの幻覚で見せてあげます!
  1912. みたま: っ!
  1913. 十七夜: はぁあああッ!!
  1914. みふゆ: くっ!
  1915. 月夜: みふゆさん! 一回、立て直してから
  1916. 月夜: ァアッ!
  1917. みたま: 動きは封じたわ…
  1918. みたま: 十七夜!
  1919. 十七夜: ここで戦友を失うのは残念だが 恨むな…!
  1920. みふゆ: ももこさん!?
  1921. ももこ: はぁっ…はぁ…危なかった… 一足先に飛んで来て良かったよ…
  1922. ももこ: 遠目に見てまさかとは思ったけど やっぱり十七夜さんだったのか
  1923. ももこ: それに調整屋も… 元の姿はどこで忘れてきたんだ…
  1924. 十七夜: 十咎…
  1925. ももこ: まぁいいや
  1926. ももこ: このタイミングが良いのか 悪いのかはわからないけどな
  1927. ももこ: これからアタシたちが、 ふたりの目を覚まさせてやるよ!!
  1928.  
  1929. FILENAME: text_103103-5_32rIq.txt
  1930. みたま: ももこまで邪魔をするのね
  1931. みたま: 最初っから目は覚めてる 冷静に考えた結果よ
  1932. みたま: わたしたちはこれ以上ないぐらい 蔑まれる状況に耐えてきたわ
  1933. みたま: だけど、変わらないなら 自分たちで変えるしかない…!
  1934. みたま: 自分のかけた呪いが大きくなって 人を傷つけてしまうなら
  1935. みたま: せめて、未来のために この町を滅ぼしたい
  1936. みたま: それの何がいけないの…!
  1937. ももこ: 正直、調整屋が言ってることは、 アタシにも理解できるよ
  1938. ももこ: けど、アタシらはさ、 誰かを傷つけるのを否定してきた
  1939. ももこ: マギウスの翼と戦った時から、 キモチの石を巡って争う今まで!
  1940. ももこ: それは、人の命を奪ったりして 苦しめることは
  1941. ももこ: その人の未来や希望を消し去る ってことをわかってたからだ
  1942. ももこ: だからいろはちゃんも、 争いを嫌って
  1943. ももこ: 希望で未来を繋ごうとしてる じゃないと不幸が続くだけだから
  1944. みたま: わたしたちに繋げられる希望が どこにあるっていうの?
  1945. 十七夜: 希望を手繰ろうとした自分たちに 与えられたのは悲しみだった
  1946. 十七夜: ――っ!?
  1947. みかげの声: そんなことない!
  1948. みたま: ミィ…
  1949. みたま: まさか、 みふゆさんが言ってたことは…
  1950. みふゆ: ウソじゃありませんよ
  1951. みふゆ: みんな十七夜さんとみたまさんが 戻って来るようにって
  1952. みふゆ: 希望を手繰り寄せようと してたんです
  1953. みかげ: 姿が変わっちゃうぐらい、 姉ちゃたちはつらかったんだよね
  1954. レナ: 魔力の反応が変わってるから おかしいと思ったけど
  1955. レナ: そんな悲観的に ならなくてもいいわよ
  1956. みかげ: 姉ちゃとなぎたんの未来は、 ミィたちが作ってきたからね
  1957. かえで: うんっ
  1958. かえで: だから十七夜さんも みたまさんも安心して
  1959. かえで: もう、心の中で我慢して、 悲しまなくてもいいんだよ!
  1960. 月夜: もしかして、私が戻ってからも、 みかげちゃんの計画は
  1961. 月夜: ずっと続いていたという ことでございますか…!?
  1962. ももこ: ああ、アタシたちが繋いだ
  1963. ももこ: ふたりが先に動いてくれたから 話が綺麗に進んだんだよ
  1964. みかげ: 姉ちゃ、大丈夫だよ 未来は真っ暗なんかじゃない!
  1965. パシッ
  1966. みたま: わたしは…信じないわ…! たとえミィの言うことでも…!
  1967. 十七夜: 自分たちをだますような 芝居はよせ…!
  1968. みかげ: 姉ちゃ…なぎたん… ミィ、頑張ったのに…
  1969. みかげ: どうして信じてくれないの…?
  1970. みかげ: そんなこと言われたら、 もう耐えられないよ…!?
  1971. ももこ: 大丈夫だよ ふたりとも動揺してるだけだ
  1972. ももこ: はぁ…本当に年下に面倒をかける お姉さんたちだよ…
  1973. ももこ: とりあえず、十七夜さんも 調整屋も聞いてくれ…!
  1974. ももこ: みかげちゃんがしてきたことをさ
  1975. かごめ: いた…
  1976. かごめ: リィちゃん… みんなの会話って聞こえるかな?
  1977. 風の伝道師のウワサ: ……………
  1978. かごめ: うん、私にも聞かせて欲しい
  1979. かごめ: もしかしたら、 希望を見出せるかもしれないから
  1980.  
  1981. FILENAME: text_103103-6_32rIq.txt
  1982. みかげ: 「そう、ももたんの言った通り」
  1983. みかげ: 「ミィはね、神浜市を滅ぼす願いなんて 叶えなくていいんだよって 姉ちゃとなぎたんに証明したかった」
  1984. みかげ: 「だから“仲良し大作戦”を成功させようって みんなと一緒に頑張ってきたんだよ!」
  1985. みかげ: ねえ、お姉ちゃん お願いがあるんだけど
  1986. 月夜: な、なんでしょうか…
  1987. みかげ: 東西のみんなを仲直りさせて、 姉ちゃを安心させたいから
  1988. みかげ: そのお手伝いをして欲しい!
  1989. 月夜: と、唐突でございますね…
  1990. みかげ: ねえ、お願い!
  1991. みかげ: 姉ちゃをネオマギウスから 連れ戻したいの!
  1992. 月夜: …何かよくわかりませんが 連れ戻すという目的は同じ…
  1993. 月夜: 私も月咲ちゃんの件があるので、 詳しい話を聞きたいでございます
  1994. 月夜: 状況はわかったでございます
  1995. 月夜: 選挙や駄菓子屋のことなど、 幾重も不安が積み重なった上に
  1996. 月夜: みたまさんは自身が望んだ滅びが 必ず叶うと信じるようになった…
  1997. 月夜: そして十七夜さんは、 滅びを少しでも未来にいかすため
  1998. 月夜: 自らも滅びの当事者になって、 人々の敵になろうとしている…
  1999. 月夜: それが東西の人たちをまとめる 切っ掛けになると思ってるから…
  2000. みかげ: そんな感じだと思う!
  2001. 月夜: う~ん… みかげちゃんから聞いた限りだと
  2002. 月夜: あした屋さんでみかげちゃんが イジメっ子と仲直りした話を
  2003. 月夜: みたまさんは 知らないようでございますね?
  2004. みかげ: うん、なぎたんも知らないと思う
  2005. 月夜: ただ、おふたりが変わった理由が わからないでございます…
  2006. みかげ: 姉ちゃは自分の願い事と 関係してそうなんだけど…
  2007. みかげ: なぎたんは姉ちゃよりも 人を信じてたから
  2008. みかげ: 何かすごくつらいことがないと、 あんなに変わらないと思う…
  2009. 月夜: …神浜市の人に不信感を抱いたり 敵意を向けるような出来事…
  2010. 月夜: 西の人から攻撃を受けたとか 傷つくことでしょうか…?
  2011. みかげ: うん、だからミィね 逆をやろうと思ってるの
  2012. 月夜: 逆っていうと?
  2013. みかげ: 西の人も東の人も仲良くなれる ひとつになれるって証明する
  2014. みかげ: 「仲良し大作戦」だよ!!
  2015. 月夜: な、なるほど…
  2016. 月夜: 言いたいことは わかるでございますが
  2017. 月夜: 長年かかってできなかったことを 私たちがやってのけるなんて
  2018. 月夜: 無謀中の無謀でございますよ!
  2019. みかげ: 諦めるのは良くないよ お姉ちゃん!
  2020. みかげ: 最後まで希望は捨てずに頑張る それがミィたち魔法少女でしょ?
  2021. 月夜: うっ… 屈託のない笑みを向けられると…
  2022. 月夜: …わかったでございます
  2023. 月夜: 私、天音月夜も同じ船に 乗らせてもらうでございます!
  2024. 月夜: …で、何か手は あるでございますか?
  2025. みかげ: ミィが知ってる東も西も関係なく 人が集まってくるのは
  2026. みかげ: あした屋さんだよ! クスッ
  2027.  
  2028. FILENAME: text_103103-7_32rIq.txt
  2029. はぁ? 仲良し大作戦?
  2030. みかげ: 神浜市の子どもたちを集めて、 手を取り合えば
  2031. みかげ: 今の神浜市はバラバラだとしても 将来はひとつになれるって言える
  2032. みかげ: そうやって今が不安な人たちをね ミィは安心させたいんだよ
  2033. 別にそんなことしなくても、 私はいいけど
  2034. こうやってミィちゃんたちと あした屋で遊べるもんね
  2035. それに、私たち小学生だし
  2036. 神浜市の子どもたちを ひとつになんてできないよ…?
  2037. みかげ: それでもチャレンジしたいから 協力して…!お願い…!
  2038. みかげ: ミィたちだって 最初は仲良くなかったでしょ…?
  2039. う、うん…そうだね…
  2040. 私たちミィちゃんをあした屋から 遠ざけようとしてたし…
  2041. オレなんて、ミィに石投げて ひどいことしたよな…
  2042. みかげ: そういう関係の人たちが、 神浜市にはいっぱいいるんだよ
  2043. 月夜: …子どもたちの間でも
  2044. 月夜: 痛ましい状況になっていたので ございますね…
  2045. 月夜: みかげちゃん…
  2046. 月夜: 西側の年長者として、 謝らせて欲しいでございます…
  2047. みかげ: うーん… そういうところが気になるよね
  2048. 月夜: へ?
  2049. みかげ: 西側の人じゃなくて、みんなで 神浜市の人になっていきたい
  2050. 月夜: …ふふっ、そうでございますね
  2051. ていうか、気になってたんだけど この姉ちゃん誰だよ
  2052. 月夜: あ、水名の天音月夜でございます
  2053. みかげ: 西の方でも動いてもらえるように 協力してもらってるんだよ
  2054. 月夜: 東はみかげちゃんで、西は私 要は分担するのでございます
  2055. そっか、ミィだけじゃなくって こんな姉ちゃんも仲間なんだな
  2056. 私たち小学生だけじゃ 何もできないって思ったけど
  2057. 年上のお姉さんがいるんだったら 何かできるのかも
  2058. うんっ、そうだね
  2059. みかげ: それじゃあみんな!
  2060. うん、ミィちゃんの 「仲良し大作戦」手伝うよ
  2061. 「オレも!」 「私も!」
  2062. ???: あ、いたいた!
  2063. お母さんが寄り道しないで 帰って来いって怒ってたよ?
  2064. あ、お姉ちゃん
  2065. 月夜: ――っ!?
  2066. あれ、明槻先輩 こんなところで奇遇ですね
  2067. みかげ: あれ?このお姉さんは、 月夜さんの知ってる人なの?
  2068. 月夜: はい、箏曲部の部員で 私の後輩でございますよ
  2069. みかげ: じゃあ!
  2070. 月夜: はい
  2071. 急に示し合わせて… あの、私何かしましたか…?
  2072. 月夜: いえ、むしろお願いしたいことが あるのでございます
  2073. な、なんでしょう…
  2074. 月夜: 私たちの「仲良し大作戦」に 協力して欲しいでございます!
  2075.  
  2076. FILENAME: text_103103-8_32rIq.txt
  2077. 明槻先輩が言いたいことは わかりました
  2078. 東西の軋轢に苦しむ人がいるのは 私も知っていたつもりですが
  2079. 普段は東と関わりもないので、 深くは考えていませんでした
  2080. それに正直、私も東に対しては 良い印象は持っていませんし
  2081. 周りの学生たちに訴えても どれだけ響くかはわかりません
  2082. 月夜: 手伝って頂くことは、 難しいでございますか…
  2083. 妹が力になりたいと言って 明槻先輩もその支えになるなら
  2084. 私に否定する理由はありません
  2085. それにこの子からは以前、 東の子に意地悪をしてしまったと
  2086. 相談を受けたことがあったので、 良い機会だと思います
  2087. 月夜: それでは…!
  2088. はい、微力ながら 私もお手伝いいたします
  2089. 月夜: まだ具体的に何をするのかは 決まってないのでございますが
  2090. 月夜: 手を取り合いたい同志を集めて、 動く準備はしたいでございます
  2091. 月夜: なので、まずは水名の箏曲部から 波及させるつもりでございます
  2092. 部の繋がりで新西区や参京区には 簡単に広がりそうですしね
  2093. 月夜: ――っ!?
  2094. どうしましたか?
  2095. 月夜: い、いえ…なんでも…
  2096. みかげ: ねえ、月夜さん 今、変な魔力を感じなかった…?
  2097. 月夜: みかげちゃんもでございますか? 実は私も違和感を覚えて…
  2098. うっ、けほっ…コホッ…!
  2099. みかげ: どうしたの!?
  2100. な、なにこれ…
  2101. 何だよ、急に気持ち悪く…
  2102. どうしたの!?
  2103. お姉ちゃんたちが話してる間に ジュースを飲もうとしたら
  2104. 急に気持ち悪くなって…
  2105. 月夜: そんな…みんな、 急にでございますか…?
  2106. みかげ: 一口もらっていい?
  2107. う、うん…
  2108. 月夜: ちょっと、みかげちゃん 何が入ってるかわからないのに
  2109. みかげ: んくっ…
  2110. みかげ: んー…ミィはなんともない… 月夜さんも飲んでみて
  2111. 月夜: …では、ひとくちだけ
  2112. 月夜: …こくっ
  2113. 月夜: …………
  2114. 月夜: 普通に飲めるでございますね
  2115. みかげ: でしょ?
  2116. 真剣な話をしてるのに、 変ないたずらしないでよ…
  2117. 違うよ、お姉ちゃん本当に…
  2118. じゃあ私も…
  2119. …………っ、うっ…何これ…
  2120. 味は平気だけど、 飲もうとしたら急に吐き気が…
  2121. みかげ: うそ…
  2122. みかげ: じゃあ、飲めるのは ミィと月夜さんだけってこと…?
  2123. 月夜: …魔法少女だけ…?
  2124. ピロン♪
  2125. 月夜: …………
  2126. 月夜: …そんなっ
  2127. 月夜: みかげちゃん 大変でございますよ…
  2128. みかげ: だってこんな状況だもん…
  2129. 月夜: そうじゃなくて、この状況は ネオマギウスのせいでございます
  2130. みかげ: えっ!?
  2131. 月夜: 魔法少女の力を示すために 実行された暗示のせいで
  2132. 月夜: みんな、飲むことも食べることも できなくなったのでございます…
  2133. みかげ: でも、ユニオンのみんなも入れて 頑張ってたんじゃないの…?
  2134. 月夜: どうも、 遅かったようでございます…
  2135. 月夜: あと重要なことがネオマギウスの 時雨さんから…
  2136. みかげ: 何…?
  2137. 月夜: 今回、東西の軋轢を作りあげた 神浜市長選でございますが
  2138. 月夜: あれもネオマギウスが裏で動いて 混乱させたようでございます…
  2139. 月夜: 西の候補… 現市長が東の候補を貶めたのは
  2140. 月夜: 本人の意思ではなく、 藍家ひめなの意思でございます…
  2141. 月夜: みたまさんと十七夜さんに 真実を伝えれば…!
  2142. みかげ: それでも姉ちゃたちは 帰ってこないよ…
  2143. 月夜: だけど、おふたりが戻れば、 ネオマギウスの計画に影響がでて
  2144. 月夜: 神浜市の皆さんを助けられる 可能性があるでございます
  2145. みかげ: だから、姉ちゃとなぎたんが 帰ってくるように
  2146. みかげ: ミィたちはふたりに 希望を見せないとダメなんだよ
  2147. みかげ: そのための 「仲良し大作戦」だもん!
  2148. 月夜: そうでございますね
  2149. 月夜: このまま作戦を続けることが 良いと思うでございます
  2150. 明槻先輩…? 何かありましたか…?
  2151. 月夜: あ、皆さんの症状でございますが 他の方も出ているようで
  2152. 月夜: 一度、家に帰ってご家族の様子を 窺った方が良さそうでございます
  2153. 私たちだけじゃ、ないんですね…
  2154. わかりました 一度帰って様子を見てみます
  2155. 月夜: あの、作戦への協力についても、 引き続きお願いするでございます
  2156. 月夜: 今回の市長選でも、東西の歴史が 利用されてしまった…
  2157. 月夜: 過去のせいで未来が汚されるのを 私は耐えられないでございます
  2158. …………
  2159. ん? どうしたのお姉ちゃん?
  2160. 私も明槻先輩と同じ気持ちです
  2161. 月夜: 私は一度、環さんたちと合流して 行動するでございます
  2162. 月夜: みかげちゃんはどうしますか?
  2163. みかげ: ミィは一度、お家の様子を見て 仲間集めを始めるよ
  2164. 月夜: では、西の方は道すがら 私が連絡を取るでございます
  2165. みかげ: うん、ありがとう 月夜さん!
  2166.  
  2167. FILENAME: text_103103-9_32rIq.txt
  2168. ピロン♪
  2169. ももこ: …………
  2170. ももこ: …ネオマギウスの計画は 神浜市民会館の拡声器を使うのか
  2171. レナ: いろはから?
  2172. ももこ: うん、やちよさんたちで、 神浜市民会館に向かってるらしい
  2173. レナ: 近いけど、レナたちも行く?
  2174. ももこ: いや、プロミストブラッドも みふゆさんも一緒みたいだから
  2175. ももこ: 今は、アタシたちにできることを やっておこう
  2176. かえで: でも「仲良し大作戦」って 内容は決まってないんだよね?
  2177. ももこ: まぁ、協力してくれる人を 集めてるぐらいだな…
  2178. みかげ: うん… それぐらいしかできてないよね…
  2179. ももこ: 本音を言うと、もっと効果的な 方法を見つけたい
  2180. ももこ: なんせ十七夜さんと調整屋を 連れ戻せば
  2181. ももこ: ネオマギウスの計画を阻止できる かもしれないからな…
  2182. かえで: 何だか人を集めても、 今のままだとムダになるかもね…
  2183. みかげ: え、あ、そう、だけど…
  2184. みかげ: …ももたん、どうしよう?
  2185. かえで: あ、ご、ごめんね…!
  2186. かえで: 意地悪を言いたかったわけじゃ ないんだけど…
  2187. かえで: 何もないならって ちょっと提案しようと思って
  2188. レナ: それならそうと 先に言えばいいのに…
  2189. ももこ: この短時間でできること、 何かありそうか?
  2190. かえで: うん、署名サイトを 使ってみるのってどうかな?
  2191. かえで: 状況は大きく変わらないけど、 自分たちの姿勢を示すのに
  2192. かえで: すっごく役に立つと思うよ
  2193. かえで: 私のお家でも森林保護の活動で 署名を集めたりしてるんだけどね
  2194. かえで: ちゃんと役所の人に渡せる 形にだってなるし、どうかな?
  2195. レナ: 渡して反応を待つとか、 それこそ時間がないんじゃない?
  2196. かえで: でも、何人署名をしてるのかは ちゃんと数字になってでてくるし
  2197. かえで: コメントだって入れられるから 賛同者はわかりやすいよ?
  2198. みかげ: 今まで集めた人たちに しょめーしてもらえばいいかな?
  2199. かえで: 東と西の人たちってこんなに 手を取り合おうとしてるんだって
  2200. かえで: みたまさんと十七夜さんに 見せられるかもしれないからね
  2201. みかげ: じゃあそれ!それにする! かえでたんすごいね!
  2202. ももこ: 深夜になったけど、 今日は起きてる人が多い
  2203. ももこ: SNSに張り付いて情報を 探ってる学生も多いはずだから
  2204. ももこ: 連絡を取りつつ 東の方は団地を優先に回ろう
  2205. かえで: レナちゃんは…どう?
  2206. レナ: なんでレナの顔色をうかがうのよ 別に、いいんじゃない…?
  2207. レナ: レナもひみかとかこの辺りの 魔法少女に連絡しといたから
  2208. レナ: 一緒に回ってくれる子は 増えると思うわよ
  2209. みかげ: レナたんもありがとう!
  2210. レナ: レナだって戦いたくないから… あのふたりとは…
  2211. みかげ: うん!
  2212. 昔から長年続いている東と西の問題
  2213. 東は危険な町で粗暴な人たちが集まってるとか 西は東の人を冷遇して追いやろうとしてるとか 何世代にも渡って私たちは お互いの悪いところを見聞きしてきました
  2214. もちろん生活や文化が違って擦れ違うことはある でも、本当に仲良くできないのかな…?
  2215. 昔とは違ってSNSでの交流が増えてきたり 部活を通した交流が増えてくる中で 今まで見たり聞いたりしてきた常識に対して 違和感を覚えている人はいませんか?
  2216. 話してみたら普通だった オフで会ってみたら東と西の関係で驚いた など、みんな経験があると思います
  2217. それなのに、なぜか上の世代の人が言うことや 周りの人たちの雰囲気から強い圧力を感じて 本当のことが言えなくなってしまう
  2218. そんな経験をしたことがある人がいたら 「仲良し大作戦」に賛同してくれませんか? もしも賛同してくれるようであれば リンク先のページで署名してくれると嬉しいです
  2219. 私たちはこれから 「神浜市の未来を作る学生会議」を始めます
  2220. これは賛同してくれた東西の学生が一丸になって 神浜市で手を取り合うための 話し合いをする会議です
  2221. 署名があつまれば神浜市に掛け合いますので どうかご協力をお願いします
  2222. かえで: すごい、 少しずつだけど増えてるね
  2223. ももこ: 署名の数が… とんでもない勢いだな…
  2224. レナ: ていうか、 増えてく速度あがってない?
  2225. かえで: みんなが知り合いに声をかけて、 話が広まってるのかもしれないね
  2226. レナ: 灯花とねむが魔法少女の話を 広めようとしても無理だったのに
  2227. レナ: なんか、わからないもんね
  2228. 十七夜の弟の声: あの…
  2229. みかげ: あ、なぎたんとこの!
  2230. レナ: ん、だれ?弟?
  2231. 十七夜の弟: はい、たぶん皆さんは 姉の友人の方、ですよね…?
  2232. レナ: …友人…? 難しいけど、そうかな…?
  2233. かえで: こういうときは、 友だちってことにしとこうよ
  2234. ももこ: こういうときって言うなよ… 変に勘ぐられてややこしくなる…
  2235. ももこ: あ、あの、気にしないで 仲良くさせてもらってるよ
  2236. 十七夜の弟: …今回の件なんですが、 恐らく姉が関わってますよね…?
  2237. ももこ: ど、どうして?
  2238. 十七夜の弟: 実は俺、この前ケンカをして 病院に運び込まれたんです
  2239. 十七夜の弟: 原因が西のグループのヤツに 襲撃されたからなんですけど
  2240. 十七夜の弟: その事実を知って以来、 姉は変わってしまったんです…
  2241. 十七夜の弟: 努めて暴力を振るうなと言って 自制心の塊みたいだったのに
  2242. 十七夜の弟: 何もかもが吹っ切れたみたいに 家を出て行ってしまって…
  2243. ももこ: …確かに、十七夜さんの 心が揺れた要因になりそうだな…
  2244. みかげ: それでも大丈夫だよ なぎたんは連れ戻してくるから
  2245. 十七夜の弟: …みかげ
  2246. 十七夜の弟: 情けない話だけど俺には 何が起きてるかわからない…
  2247. 十七夜の弟: だから、もし事情を知ってるなら よろしく頼むよ…
  2248. みかげ: うんっ!
  2249.  
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  2251. みかげ: 東の人たちの声かけは 広まってるから
  2252. みかげ: 次は西の方にも行ってみよ!
  2253. ももこ: 月夜が動いてくれたおかげで みんなに広まってるみたいだけど
  2254. ももこ: もっと加速させられそうだしね
  2255. レナ: 要はレナたちの知り合いにも 声をかけていけばいいんでしょ?
  2256. かえで: あんまり友だちがいない人には 難しいかもしれないね…
  2257. レナ: ちょっと…! 急にディスってくるじゃない…
  2258. かえで: うゆっ、わ、私も含めてだよ…
  2259. ももこ: ま、ひとりだけでも構わないさ やることに意味があるってね
  2260. みかげ: クスッ
  2261. ももこ: どうしたの?
  2262. みかげ: ネットってすごいなーって
  2263. みかげ: だって今まで東と西は 嫌い合ってると思ってたのに
  2264. みかげ: 顔を合わせなくていいネットだと しょめーが増えてくんだもん
  2265. レナ: リアルじゃ言いづらいことも、 ネットだと言えちゃったりするし
  2266. レナ: 時代を反映してるって感じは するわね
  2267. かえで: 街頭の募金とか署名って 少し恥ずかしい時があるけど
  2268. かえで: ネットだったら、周りの目を 気にせずにできるもんね
  2269. ももこ: それこそ上の世代や周りからの 圧力がないってことかもな
  2270. みかげ: あ、すごく長いコメントを してくれてる人がいるよ
  2271. 私も署名させてもらいます
  2272. 私は水名で学生をしているのですが 昔、珍しく大東から転入してきた人と 一緒に学ぶ機会がありました
  2273. ですが、当時の私は東の話を鵜呑みにしてた上に 優秀な彼女に嫉妬していました その結果、辛くあたってしまったんです…
  2274. いえ、辛くあたったなんてものじゃない 私は彼女を階段から突き落とそうとしました
  2275. あのときに重ねた罪が署名ひとつで 償えるだなんて思ってはいませんが これを機会に変えていきたい
  2276. 私自身を変えつつ 不幸な人を増やさないようにしたいです
  2277. みかげ: 本当はみんな、素直に本音を 言えなかっただけなのかも
  2278. ももこ: 同じような人が集まったから 多く見えてるだけで
  2279. ももこ: 実際は神浜市の学生の一部だよ
  2280. ももこ: 全人口で考えれば、 本当にまだ些細な数だ…
  2281. みかげ: でも、ももたん
  2282. ももこ: そうっ、少ない数じゃない アタシたちは変わっていけるよ
  2283. みかげ: うんっ
  2284. レナ: ちょ、こんな時に魔女…!?
  2285. かえで: 今は時間がないから後回しに…
  2286. レナ: んなこと、できないわよ
  2287. レナ: それに…
  2288. かえで: 何、見てるの、レナちゃん
  2289. レナ: ちょっと、あれ 飛び降りるんじゃない…?
  2290. かえで: ふゆぅ…!? 魔女の口づけを受けてるかも!?
  2291. みかげ: あ、あの人…!
  2292. かえで: 知り合い!?
  2293. みかげ: 市長さんだ!
  2294. みんな: ええっ!?
  2295.  
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  2297. かえで: はぁ、ふゆぅ…
  2298. レナ: ま、間に合ったぁ~
  2299. 市長: うぅ…
  2300. ももこ: あ、やばっ 気がつくのが早い…!
  2301. 市長: っ…ぅ…あなたたちは…
  2302. ももこ: あ、えーとなんて言うか…
  2303. みかげ: 飛び降りそうだったから、 助けたんだよ
  2304. みかげ: ミィたちが通りかかって 良かったね
  2305. ももこ: どストレートだな…!
  2306. 市長: その制服…大東の子、なのね…
  2307. 市長: ごめんね
  2308. 市長: 私のせいで苦しんでるよね… どうか、許して…
  2309. みかげ: え、えぇ…?
  2310. かえで: ねえねえ、レナちゃん
  2311. かえで: 市長選にネオマギウスが関わって 混乱させたって話だったけど
  2312. かえで: これってもしかして…
  2313. レナ: うん、かけられた暗示が 解けてるのかもしれないわね
  2314. 市長: 自分でもよくわからないのよ
  2315. 市長: どうして正々堂々と選挙で戦わず 東を貶めるマネをしたのか…
  2316. 市長: それまでは、災害を機にひとつに なれるチャンスだと思ってた
  2317. 市長: 東の彼に負けたとしても 西の代表として手を取る気だった
  2318. 市長: なのに、自分の志が 歪んだ理由がわからないのよ…
  2319. 市長: だから…ごめんなさい…
  2320. 市長: 大東のあなたには、 ただ、謝ることしかできなくて…
  2321. みかげ: どこで、 おかしいなって思ったの?
  2322. 市長: 今、神浜市内ではほとんどの人が 体に異常をきたしてるでしょ…?
  2323. 市長: まさか、就任してすぐにこんな 事態が起きるとは思わなくて
  2324. 市長: でも、市民の危機だからこそ、 私が助けないとって思ったとき
  2325. 市長: 急に自分の頭の中で 何かが剥がれたような感じがして
  2326. 市長: 目の前が明るくなったような 気がしたの…
  2327. 市長: それから対策会議を開いたり、 関係各所とやりとりをしてる間に
  2328. 市長: 私は守るべき市民を傷つけていた ことに気づいたの…
  2329. 市長: そして、 気がつけばここにいたわ…
  2330. 市長: …救われた以上、自分の口から 辞意を表明するわ
  2331. 市長: 少なくともそうしないと、 東の人に顔を向けられない…
  2332. みかげ: ねえ、じゃあお願い
  2333. 市長: …………?
  2334. みかげ: ミィたちね、東と西を繋ぐための しょめー活動をしてるんだ
  2335. みかげ: それでね、今みんなに 声をかけてるんだけどね
  2336. みかげ: 市長さんにも参加して欲しいし みんなに伝えてほしい
  2337. 市長: ――っ!?
  2338. 市長: …わかったわ
  2339. 市長: もう少ししたら この事態に対する会見があるから
  2340. 市長: その会見後に、辞意を表明して あなたたちのことを伝えてみるわ
  2341. 市長: それが今、私にできる 償いのひとつになると思うからね
  2342. みかげ: ありがとう、市長さん
  2343. レナ: 何これ、何これ! ちょっと急展開過ぎない!?
  2344. かえで: でも、署名活動を知ってもらう スゴイ機会だよっ!
  2345. ももこ: こうなったら、アタシも やちよさんに手伝ってもらうか
  2346. ももこ: さて、どう言ってくれるかな
  2347. ももこ: なるほど…
  2348. ももこ: 時間までに笠音アオの放送を 止められなかったら
  2349. ももこ: 魔法少女が一般人を傷つける 映像が流されるのか…
  2350. ももこ: …たまったもんじゃないな
  2351. やちよ: 取りあえず、私たちの状況は 話した通りだけど
  2352. やちよ: ももこも私に 話したいことがあるんでしょ?
  2353. ももこ: うん
  2354. ももこ: 実は今さ、魔女の口づけをされた 市長を助けたところなんだよ
  2355. やちよ: 市長…?
  2356. ももこ: そう、それで悪いんだけど やちよさんに協力して欲しい
  2357. やちよ: 私にできることなら 手伝うのは構わないけど…
  2358. ももこ: 報道番組の出演依頼が やちよさんにあったんだろ?
  2359. やちよ: ええ、生配信で 神浜市の異変に関するやつね
  2360. ももこ: それに出演して欲しい!
  2361. やちよ: なっ!ちょっと待って! どういうこと?
  2362. ももこ: 市長が会見後に辞意を表明する
  2363. ももこ: それに合わせて署名の件も 伝えてくれることになってるんだ
  2364. ももこ: だから、やちよさんにも番組で 署名の話を出して欲しい
  2365. やちよ: 無理よ… どう考えても台本にないもの…!
  2366. やちよ: 勝手にそんなことをしたら、 仕事がなくなるわよ…!
  2367. ももこ: …ごめん、そうだよな 無理を言ったよな…
  2368. やちよ: …………いえ、ごめんなさい
  2369. やちよ: 十七夜とみたまを連れ戻すのに、 そんなことは言ってられないわね
  2370. やちよ: …わかった、依頼を受けるわ なんとかやってみせる
  2371. ももこ: ありがとう、やちよさん
  2372. やちよ: それに、ももこに頼られるのも 久しぶりな気がするからね
  2373.  
  2374. FILENAME: text_103103-12_32rIq.txt
  2375. ももこ: 今、話したことは全部事実だ
  2376. みたま: …その話の通りなら、 みんながひとつになろうとしてる
  2377. 十七夜: 自分たちが悪役にならずとも 東西はまとまるというわけか
  2378. 十七夜: むしろ、自分たちが滅びを成せば 可能性を絶つことになる
  2379. みたま: わたしたちの大義名分は 失われるわね
  2380. 十七夜: ただ、それは理屈にすぎん
  2381. ももこ: まだやる気なのか…!?
  2382. ももこ: く…
  2383. 十七夜: 東西の軋轢を無くすなど、 これまでに何度も聞いた言葉だ
  2384. 十七夜: だが、結局は政争に利用され、 堕ちてしまったのが我々の姿だ…
  2385. 十七夜: 今、ここに生きる者たちの口から 正しい言葉が聞けるとは思わん
  2386. みたま: 一度滅んで、何にも干渉されない 希望を得てからでないと
  2387. みたま: わたしたちが信じられる言葉を 聞ける気がしないわ
  2388. 十七夜: 詰まるところ悪いが、 貸すべき耳は持ち合わせていない
  2389. ももこ: っ、やるにしても 多勢に無勢だぞ、十七夜さん!
  2390. 十七夜: 無勢だからなんだ
  2391. みたま: わたしたちはわたしたちの信じる 救いに向かって進むだけよ
  2392. みふゆ: くっ!
  2393. みふゆ: …こうなったら、 証拠を見せつけるしかないですね
  2394. 月夜: 証拠でございますか…?
  2395. みふゆ: ももこさん、会見の時間は いつ頃ですか?
  2396. ももこ: 悪い、もう終わってるはずだ!
  2397. ももこ: けど、まだやちよさんの番組は 続いてる!
  2398. みふゆ: 一か八かになりますが…
  2399. みふゆ: ワタシの幻覚を使って、 やっちゃんの番組を見せます
  2400. みふゆ: 世界全体を作るような アサルトパラノイアではなく
  2401. みふゆ: 部分的な視覚効果であれば、 すぐにできるはずです
  2402. みふゆ: 音に関しては月夜さんの能力で 耳に届くようにしてください
  2403. みふゆ: そして、みかげさんは元となる 番組画面の準備をお願いします!
  2404. 月夜: わ、わかったでございます!
  2405. みかげ: ミィに任せて! パパッと準備するからね!
  2406. みふゆ: その準備が終わるまでは
  2407. みふゆ: ワタシと月夜さんでみたまさんを 押さえます
  2408. みふゆ: ももこさんたちも 十七夜さんを押さえてください!
  2409. 十七夜: 見えすいた動きでは、 自分を止められはせんぞ
  2410. レナ: いや、押さえるって言われても 無理中の無理なんだけど!
  2411. かえで: あぅぅ… 動きを読まれちゃうよ…!
  2412. 十七夜の声: すまない秋野君 始末させてもらうぞ
  2413. かえで: ふぇぇ!?
  2414. ももこ: さっせるかぁああああッ!!
  2415. 十七夜: ぐっ、ぅ、頭突きだと…!?
  2416. 十七夜: 十咎、子どものケンカじゃ…
  2417. ももこ: うるっさい、読まれないように 我武者羅に飛び込んだだけだ!
  2418. 十七夜: 心が、感情がぐちゃぐちゃだぞ
  2419. ももこ: 読みづらいだろ! けど、そんな気持ちなんだよ!
  2420. ももこ: ひとりで突っ走りやがって!
  2421. ももこ: アタシら魔法少女は 色んな人の中で生きてるけどさ!
  2422. ももこ: だからこそ、自分たちが生きる 社会が大切かもしんないけどさ!
  2423. ももこ: 近くでアンタたちを見てるのは アタシら魔法少女だろ!
  2424. ももこ: ちょっとぐらい、こっちを見ろ!
  2425. みたま: くっ!
  2426. 月夜: うまく音の衝撃が 伝わったようでございます
  2427. 月夜: みふゆさん! ひるんでる間に早く!
  2428. みふゆ: これで、少しは 大人しくなってください!!
  2429. みたま: ぐ、ァアッ!
  2430. みふゆ: さすがに十七夜さんと比べると 戦闘力は劣るようですね
  2431. みふゆ: この隙に画面を見せられたら…
  2432. みかげの声: 準備できたよーーーー!
  2433. みふゆ: みかげさん…! グッドタイミングです!
  2434. 月夜: では、みんなの耳に番組の音声を 届けるでございます!
  2435. みふゆ: 皆さん空に注目です! 番組の画面が映し出されますよ!
  2436. みかげ: いつもニコニコしてて、 みんなに優しい姉ちゃだけど
  2437. みかげ: ミィは姉ちゃが一番苦しんでるし 疲れてるって知ってるよ
  2438. みかげ: だからね、一緒にその苦しみを 吹き飛ばしちゃおう
  2439. みかげ: もう、無理にニコニコして 疲れなくてもいいときがね
  2440. みかげ: きっと来るから!
  2441.  
  2442. FILENAME: text_103103-13_32rIq.txt
  2443. レナ: 記者会見のVTRを流してる!
  2444. かえで: これ、終わったらやちよさんに コメントを求めるかも!
  2445. 月夜: 番組を見て署名をする人が、 増えるかもしれないでございます
  2446.  
  2447. FILENAME: text_103103-14_32rIq.txt
  2448. やちよ: 「正直、今回の会見の内容について 私は複雑な気持ちです」
  2449. やちよ: 深夜でも点滴の対応をしてくれる病院の話や 近隣の自治体への協力要請なども含めた 定例会見としての内容に不満はないのですが
  2450. やちよ: やはり市長が反社会的勢力と結びついていた話や それによって辞職をする件については 驚きだけじゃなくて、悲しみを禁じ得ません…
  2451. やちよ: 表だって口にはしませんが、神浜市には古くから 東と西との間で軋轢があって それは私たちの世代にも影響しています
  2452. やちよ: 災害が起きた結果とはいえ ひとつになろうとする姿が私にも見えていたので 市長選の影響で再び溝ができる様子は 見ていて辛いものでした
  2453. やちよ: それを再び埋めるのは難しいことですが 神浜市の学生たちは今 自分たちで結びつきを取り戻そうとしています
  2454. やちよ: 「神浜市の未来を作る学生会議」
  2455. やちよ: 今、それを発足させるための署名活動をしていて 私も参加させてもらうことにしました
  2456. やちよ: 「宣伝みたいになって申し訳ないのですが 協力してくれる方がいれば署名をお願いします もう、東西のことで泣いている友人を 見ていたくはないんです…」
  2457. やちよ: 「だから、私たちの手で変えていけると嬉しいです」
  2458. みかげ: ほら、姉ちゃ…
  2459. みかげ: ミィたちの仲良しの未来は、 まだ繋がってるよ…!
  2460. みたま: ミィ…
  2461. みたま: だけど、こんな署名の数字を 信じろっていうの…?
  2462. 十七夜: それに、手を取り合う未来が こんなもので来るかどうか…
  2463. 十七夜の弟の声: 来るよ、姉さん
  2464. 十七夜: ――っ!? お前…どうしてここに…
  2465. 十七夜の弟: れいらちゃんたち、団地の子から 姉さんの居場所を聞いたんだ
  2466. 十七夜の弟: それで、途中からは環さんたちに ここまで連れてきてもらった
  2467. いろは: はい、途中で合流して ここまで一緒に来たんです
  2468. フェリシア: それに西の方も回ってきたから 人数はこれだけじゃないぞ!
  2469. うい: みたまさんに 伝えたいことがあるんだよね?
  2470. 鶴乃: 話すなら今だよ
  2471. う、うん…
  2472. みたま: あなたは…
  2473. 恨んでる…よね…
  2474. 私があなたを階段から 突き落とそうとしたんだから…
  2475. みたま: …………
  2476. ごめんなさい… すべては私の嫉妬のせいなのに
  2477. あなたが罰を受けて、 学校を退学することになった…
  2478. 私があなたの人生の歯車を 大きく狂わせてしまった…
  2479. その歪みを私がどうにか できるだなんて思わないけど…
  2480. でも、お願いです…
  2481. 同じ不幸の連鎖を止めるために 私も全力で生きるから
  2482. だから力にならせて… みんなの未来のためにも…
  2483. 十七夜の弟: ああ…姉さんが何をする気なのか 俺にはわからないけど
  2484. 十七夜の弟: ひとりで抱えて自暴自棄には ならないで欲しい
  2485. 十七夜の弟: 姉さんは理解されにくいけど その分、俺が支える
  2486. 十七夜の弟: みたまさんと一緒に 東西の関係を変えようとした分
  2487. 十七夜の弟: 今度は俺たちも一緒に頑張る だからさ、ひとりで抱えるなよ
  2488. 十七夜: …………はぁ…
  2489. 十七夜: 自分は…自分は… 不器用すぎたのかもしれんな…
  2490. みたま: 動く人が変われば、 こうも状況が変わるなんてね…
  2491. 十七夜: ああ…
  2492. いろは: …観鳥さんが、 遺した動画の中で言ってました
  2493. いろは: 十七夜さんとみたまさんが 羨ましいって
  2494. いろは: 平等で公平な東を 謳歌できるのは
  2495. いろは: マギウスの翼に入ってまで 望んでたものなんだって
  2496. 十七夜: ―十七夜― そうだ…
  2497. 十七夜: ―十七夜― 自分が東西のことで悲しみを蓄えてきたように 多くの者たちが、この件で悲しんできた…
  2498. 十七夜: ―十七夜― それなのに、自分は己の悲嘆に従って 他の者が抱えている悲嘆を無視してしまった…
  2499. 十七夜: ―十七夜― この悲嘆のキモチも知っているであろう 観鳥君と牧野君の悲嘆も含めて…
  2500. 十七夜: ―十七夜― 神浜市全体のことを見ているようで 一番身近だった者たちの悲しみも忘れていては
  2501. 十七夜: ―十七夜― それは自暴自棄と変わらない…
  2502. 十七夜: ―十七夜― ともなると自分は 諦めの境地にいたのかもしれないが
  2503. 十七夜: ―十七夜― 今は諦める必要がないことがわかった
  2504. 十七夜: ―十七夜― 自分はこれから周りの力も借りて 悲嘆のない未来を築くように努めていこう
  2505. みたま: ―みたま― わたしの願いは滅びという使命を抱えて どこへ行くのかしら…
  2506. みたま: ―みたま― このまま滅びの瞬間を延ばせば延ばすほど 願いは叶えられるために力を大きくして
  2507. みたま: ―みたま― 神浜市を超えた規模の滅びを この世界に与えるかもしれない…
  2508. みたま: ―みたま― 鏡の魔女の肥大化だって わたしの願いのせいかもしれないのよ…?
  2509. みかげ: ―みかげ― それでも、滅びを与える姉ちゃは つらそうだよ?
  2510. みかげ: ―みかげ― だったら つらい方には行かない方がいいよ
  2511. みかげ: ―みかげ― そのときが来たら そのときに考えればいいんだよ
  2512. ももこ: ―ももこ― そう、本当に滅びる時になったらさ アタシも一緒になって必死にあがくからさ
  2513. ももこ: ―ももこ― 自分から滅ぼす必要はない 自分から滅ぼさないでくれよ、調整屋
  2514. みたま: ―みたま― わたしの願いがももこを殺しても 恨んだりしない…?
  2515. ももこ: ―ももこ― 言ってるだろ、一緒にあがくって
  2516. ももこ: ―ももこ― それでも滅ぶっていうなら 恨みっこなしで一緒に滅んでやるよ
  2517.  
  2518. FILENAME: text_103103-15_32rIq.txt
  2519. 十七夜: 環君…
  2520. いろは: はい…
  2521. 十七夜: いつか君の純粋がゆえの愚かさに 魅力を感じると言ったが
  2522. 十七夜: それは自分も 同類だからかもしれん
  2523. 十七夜: 気づかないところで君に 共鳴していたのだろう
  2524. 十七夜: とはいえ、自分は道を違えた…
  2525. 十七夜: 環君は同じ轍を踏まないように 気をつけて欲しい
  2526. いろは: はい…
  2527. みたま: ミィ
  2528. みかげ: うん
  2529. みたま: みんなに栄の1090に向かうよう 伝えてあげて
  2530. みたま: そこがお姫様の本命よ
  2531. ももこ: じゃあ、防災無線は…?
  2532. みたま: 防災無線も放送局への郵送物も アオちゃんの生放送も
  2533. みたま: 全ては1090で行われるお姫様の 放送に繋げるための施策
  2534. みたま: 今は報道の人たちが、 近くで待機してるはずよ
  2535. みたま: 自分たちに送付されてきた内容が 事実かどうかを判断するためにね
  2536. 十七夜: 八雲、自分たちは姫君の仕掛けを 破壊しに行こう
  2537. みたま: ええ、今のわたしたちには、 それぐらいしかできないからね
  2538. 鶴乃: わたしたちと 一緒に来てくれないの?
  2539. みたま: 他に片づけておくことがあるから
  2540. 十七夜: それに、今は由比君たちと共に 肩を並べて歩けない
  2541. 月夜: あの、月咲ちゃんの居場所を ふたりはご存知でございますか?
  2542. 十七夜: 彼女は自分の意思で逃げている
  2543. みたま: ええ、わたしは足跡を消したけど 向かった方角しかわからないわ
  2544. 十七夜: では、失礼する 弟たちのことは頼んだ
  2545. みふゆ: では、ワタシたちは引き続き 月咲さんを探しに行きましょう
  2546. 月夜: そうでございますね…
  2547. 風の伝道師のウワサ: …………
  2548. かごめ: うん、まだドキドキしてる…
  2549. かごめ: 負の螺旋が動きを止めた…
  2550. かごめ: 十七夜さんとみたまさんの心が みんなのところに帰ってきた…
  2551. かごめ: 色んなことが重なって… 本当に奇跡ってあるんだね… 
  2552. 風の伝道師のウワサ: …………
  2553. かごめ: そうだね、希望だと思う
  2554. かごめ: とても重くて抗えない潮流にも 逆らえるってことの証明は
  2555. かごめ: 魔法少女が抱えている宿命からの 解放にも繋がると思う
  2556. ピロン♪
  2557. やちよ: …………
  2558. やちよ: (十七夜とみたまが居た所に 集まってくれた人たちは)
  2559. やちよ: (団地の子たちを含めて 他の魔法少女にお願いして)
  2560. やちよ: (いろはたちは 1090に向かって移動した…)
  2561. やちよ: (これからお叱りを受けて 合流するには時間がかかる…)
  2562. やちよ: さっさと番組のスタッフが 解放してくれたらいいけど…
  2563. やちよ: ん…?
  2564. やちよ: (阿見さんと史乃さんから 返事がきてる…)
  2565. やちよ: …………
  2566. やちよ: (Dotuberのコラボ企画で、 1090に集まって配信ね…)
  2567. やちよ: 藍家さんが種を蒔いていたのが、 インフルエンサーも含んでたら…
  2568. やちよ: 十七夜たちが言ってる話は かなり確度が高そうね…
  2569.  
  2570. FILENAME: text_103103-16_32rIq.txt
  2571. 時雨: はぁ…ふぅ…
  2572. 時雨: 三輪さんの反応があるよ…
  2573. はぐむ: どこにもいないって思ってたけど まさか公民館なんて…
  2574. 時雨: 誰もいないみたいだから、 置いてかれたってことかな…?
  2575. はぐむ: どうかな…もしかしたら、 擦れ違いだったのかも…?
  2576. はぐむ: でも、とりあえず 見つけられて良かったね
  2577. 時雨: うん…
  2578. 時雨: 反応があるっていうことは 生きてるはずだから
  2579. 時雨: きっと無事だよね…
  2580. はぐむ: あっ、いたよ
  2581. 時雨: 三輪さんっ
  2582. 三輪 みつね: 時雨ちゃん、はぐむちゃん…!? どうしてここに…?
  2583. 時雨: ずっと見つからないから 心配して探してたんだよ…
  2584. はぐむ: ケガはない…? 誰に連れてきてもらったの…?
  2585. 三輪 みつね: あ、えと… 藍家さんが連れてきてくれた…
  2586. はぐむ: 藍家さんはどこに行ったの…?
  2587. 三輪 みつね: わからない…
  2588. 三輪 みつね: だけど、仕掛けを作るために 移動したのは確か…
  2589. はぐむ: 仕掛け…?
  2590. 三輪 みつね: …ねえ、お願い 時雨ちゃん、はぐむちゃん…
  2591. 三輪 みつね: 藍家さんを見つけて…! 絶対に止めないといけない…!
  2592. 三輪 みつね: 私を神浜市から連れ出したのは 巻き込まないためだと思うし
  2593. 三輪 みつね: もしかしたら、こうして 私を探しに来ることも想定して
  2594. 三輪 みつね: 時雨ちゃんとはぐむちゃんを 避難させたんだと思う
  2595. 三輪 みつね: もう、あの人の優しさも怖さも 私にはわからないけど…でも…!
  2596. はぐむ: あぁ、はわわ…あのぉ… それはつまりどういうこと…?
  2597. 時雨: ちょ、落ち着いて…三輪さん… そもそも仕掛けが何か…
  2598. はぐむ: うん、まずは説明してくれないと 混乱しちゃうよ…
  2599. 那由他: えっ!?
  2600. ラビ: どうしました…!?
  2601. 那由他: みかげさんからのメッセージで、 お姉さんが帰ってきたって…
  2602. 那由他: 手前の状況が書かれてないので 意味がわからないんですの…
  2603. ラビ: 聞けばいいんじゃないですか?
  2604. 那由他: わ、わかってますの!
  2605. ラビ: ふぅ…
  2606. 旭: どうも時女一族側は、二葉殿の 手当てをしていたようであります
  2607. うらら: プロミストブラッドの方は まだ様子がわからないけど
  2608. うらら: どこもバタバタとしてそうなんよ
  2609. 太助: 神浜市の惨状を踏まえれば、 連絡がつきにくいのは当然だよ
  2610. 太助: うちの兄も他の医療機関に 手伝ってもらいながら
  2611. 太助: なんとか点滴でフォローしている みたいだからね…
  2612. 那由他: ………… みかげさんのお姉さんは
  2613. 那由他: 先ほどまでネオマギウス側に いたそうですが
  2614. 那由他: その切っ掛けになった 神浜市の問題に希望の光が差して
  2615. 那由他: 戻ってきたみたいですの
  2616. ラビ: そうですか…
  2617. 那由他: …微笑みましたの
  2618. うらら: ラビさんは教授と同じで、 完全に希望は捨ててないんよ
  2619. ラビ: 唯一、積極的に争いから遠ざかり 平和を望んでいる環いろはが
  2620. ラビ: 数少ない希望に なり得る可能性があるから
  2621. アレクサンドラ: ひめちゃんが巻き起こしている この惨状も
  2622. アレクサンドラ: 環いろはなら、 止められるということですか…?
  2623. ラビ: それは、わからない…
  2624. ラビ: サーシャは、藍家ひめなを 止められなかったことを
  2625. ラビ: まだ悔いてる…?
  2626. アレクサンドラ: そうですね… でも無理だってわかってます…
  2627. アレクサンドラ: ひめちゃんにとっての1番は 常にヒコ君ですから…
  2628. ラビ: それゆえに、 一縷の望みを託すしかない
  2629. アレクサンドラ: そう、私が大声を出しても 縁を切っても意味がないなら
  2630. アレクサンドラ: 他の誰かが止めてくれるのを 見守るしかないんです…
  2631. 旭: 悔しそうなサーシャの本心は どこでありますか
  2632. 旭: 心が諦念に至るまでは、 足掻いても良いと思うであります
  2633. アレクサンドラ: 私は…
  2634. アレクサンドラ: 私は…やっぱりひめちゃんを このままにはできません…
  2635. アレクサンドラ: ごめんなさい 私は諦めきれない…!
  2636. 那由他: サーシャさん…
  2637. 太助: 行かせてあげればいい
  2638. 太助: そして自分が納得できるように 行動すればいい
  2639. 太助: 諦めるのも諦めないのも、 この宇宙の中では自由だからね
  2640. ―取材記録― 八雲 みたま
  2641. みたま: 「いらっしゃい、調整屋さんへようこそぉ」
  2642. みたま: 「ちょうどコーヒーに合う甘いお菓子を 作ってみたところなんだけど 良ければおひとついかがかしらぁ?」
  2643. みたま: 「あら、いらない?そう?残念だわぁ」
  2644. みたま: 「お話しできることもほとんどないと思うから せめて、八雲みたま流の おもてなしをしてあげようと思ったのに」
  2645. みたま: 「…ええ、話せることはほとんどないわ だって、将来のことでしょぅ? わたしには、将来のことなんてないもの…」
  2646. みたま: 「魔法少女の向かう先には闇しかないし 神浜市がひとつになれると思っても 東西の関係は悪くなってしまうばかり… それに、わたし自身の過ちもあるからね…」
  2647. みたま: 「でも、全てに失望しているなら きっとわたしは調整屋の中で こうして生きてすらいないんでしょうねぇ」
  2648. みたま: 「十七夜に言われた 魔法少女は平等だっていう言葉を信じていて、 ももこやいろはちゃんたちを信じている。 だからこそ、こうして辛うじて 自分の命を繋ぎとめているのかもしれない」
  2649. みたま: 「せめて、あともう少しだけでいいから ミィが幸せになれる世界になって欲しい」
  2650. みたま: 「もう、わたしのことはいいから、 あの子だけでも… それが一番わたしが手放したくない希望よ」
  2651.  
  2652. FILENAME: text_103104-1_32rIq.txt [Episode 4]
  2653. かごめ: 十七夜さんとみたまさんが、 神浜市の未来に希望を見出したとき、 プロミストブラッドの動きにも変化があった。
  2654. かごめ: 笠音さんを追いかけて移動した紅晴さんたちは、 標的になっている撲滅派の人たちを見つけるため 到着した湯国市を探すことにしていた。
  2655. かごめ: ただ海と山に挟まれた大きな町の中で、 どうやって見つければ良いのかがわからない…。
  2656. かごめ: それでも、笠音さんが恐怖を取り戻して、 またプロミストブラッドの三女として 歩んでくれるのを夢見ている私がいる。
  2657. かごめ: きっと、この勢いのままに笠音さんも救われたら 不幸に落ちるしかない魔法少女たちにも、 幸福が訪れる未来があることを実感できるから。
  2658. かごめ: 私は送られてきたメッセージを読みながら、 このあとで聞く報告が幸福に満ちていることを 祈っていた。
  2659. ひかる: ひくしっ!
  2660. 智珠 らんか: っ、きたな! 目の前でやめてよ!
  2661. ひかる: ごめんっす…思わずっす… ずっと外で冷えたんすよぉ…
  2662. 結菜: 高速貨物列車が速いのはいいけど 体は冷えてしまったわねぇ
  2663. 樹里: あっためてやろうか?
  2664. ひかる: 樹里さんの場合、 燃やすの間違いじゃないっすか…
  2665. ピロン♪
  2666. 結菜: …………
  2667. 結菜: …環さんたちの方では、 動きがあったようねぇ
  2668. ひかる: 和泉のことは大事にならなくて 良かったっすけど…むぅ…
  2669. ひかる: アオさんのチャンネルも 1090に繋げて流す気なんすね…
  2670. 結菜: 下手をすればアオの暴力シーンが 報道陣に目撃されるのねぇ…
  2671. ひかる: 想像するだけで ゾッとするっすね…
  2672. 結菜: その前にアオたちの居場所が つかめたらいいんだけど…
  2673. 樹里: まだ、うららからの返事は こねーのか?
  2674. 結菜: 向こうから先にメッセージが 届いていたから返したんだけど
  2675. 結菜: それからは特に 何も返事はないわねぇ…
  2676. 樹里: おいおい、手がかりなしで、 このでかい町の中を探せって?
  2677. 樹里: 森の中に拠点があったりしたら 探しようがないだろ
  2678. 智珠 らんか: その時は森を燃やせば? きっとあぶり出せるって
  2679. 樹里: …お前、頭いいな
  2680. 結菜: 却下よぉ…
  2681. 結菜: とはいえ、樹里が気にすることは もっともねぇ
  2682. 樹里: スマホを通して アイツに殺気を送ってみるか?
  2683. 結菜: ねぇ、馬鹿言ってないで、 真剣に考えてちょうだぃ…
  2684. ピロン♪
  2685. 結菜: …殺気を送られる前に うららから返事が来たわよぉ
  2686. ひかる: 危険を察知したんすかね…
  2687. 樹里: で、あいつから情報はあったか?
  2688. 結菜: ええ、撲滅派の拠点になってる 場所が書いてあるわぁ
  2689. 結菜: ご丁寧に地図の座標まで 添付してね
  2690. 結菜: ただ…
  2691. 樹里: ん?
  2692. 結菜: 今の撲滅派のリーダーは、 うららの元相方…
  2693. 結菜: だから、助けて欲しいそうよぉ
  2694. 樹里: テメエを傷つけたヤツなのにか?
  2695. 結菜: 優しいのよ、あの子は…
  2696.  
  2697. FILENAME: text_103104-2_32rIq.txt
  2698. ひかる: 温泉の香りがするっすね
  2699. ひかる: この辺りから 山に入ればいいんすか?
  2700. 結菜: 地図には載らないような 獣道を進むことになるわねぇ
  2701. 結菜: 他にも山に入る道はあるけど、 ここが一番近いみたいよぉ
  2702. ひかる: アオさんが無事に目を覚まして 戻って来ることがあれば
  2703. ひかる: みんなでお風呂に入ってから 帰りたいっすねぇ…
  2704. 樹里: 気楽なもんだな
  2705. 樹里: そもそもアイツを連れ帰れる 確証なんてねーっつーの
  2706. ひかる: ひかるは一緒に帰れるって 信じてるから言ってるんすよ
  2707. 智珠 らんか: それに神浜市の問題が 片づいてなかったら
  2708. 智珠 らんか: アタシらも戻って、 戦う必要があるんじゃない?
  2709. 智珠 らんか: お風呂だなんて 言ってるヒマは絶対ないって
  2710. ひかる: なんすかふたりとも
  2711. ひかる: 少しぐらい夢を見たって いいじゃないっすか
  2712. ひかる: というか、夢で終わらせちゃ ダメなんすよ
  2713. 樹里: …馬の言いたいことはわかるけど 簡単にはいかねーだろうな
  2714. 樹里: 姉さんは、妹を戻す方法について 何か腹づもりでもあんのか?
  2715. 結菜: あの子の心に対話する方法は、 私が環さんにされたことと同じ
  2716. 結菜: キモチの石を使って 魂と繋がろうと思ってるわぁ
  2717. 樹里: あぁ、ちはるから借りた 恐怖の石の出番っつーことだよな
  2718. 結菜: えぇ
  2719. 結菜: それでキモチがアオに干渉して 感情を支配しているようであれば
  2720. 結菜: 私たちでキモチを倒して あの子を解放してあげるわぁ
  2721. ひかる: …もし、支配とか干渉じゃなくて アオさんの感情が壊れてたら
  2722. ひかる: そのときは、どうするんすか…?
  2723. 結菜: 恐怖を失っているだけなら、 新しく恐怖を植えつけるだけねぇ
  2724. 結菜: 成功するか まるでわからないけど…
  2725. 樹里: 成功してくれねーと 困るっつーの
  2726. 樹里: 妹や馬たち次代に託して お役御免ってことになんねーだろ
  2727. ひかる: なんすか、初耳っすよ お役御免ってどういうことっすか
  2728. 樹里: …隠居だ
  2729. ひかる: 魔法少女で隠居ってなんすか…
  2730.  
  2731. FILENAME: text_103104-3_32rIq.txt
  2732. アオ: まだ、魔力の反応はない?
  2733. 特には
  2734. 結菜さんたちなら、嗅ぎつけても おかしくない頃合いだけどな
  2735. アオ: 朝方まで待機しろとか、 ほんとヒマになっちゃうよ~
  2736. アオ: せめて襲いかかってきたら、 戦ってヒマを潰せるのにね~
  2737. 誰も好んで結菜さんや樹里さんと 戦いたいと思わないって…
  2738. アオ: そっか、クスッ
  2739. …………
  2740. くらら: ねぇ、早くほどいてよ 山小屋に監禁とか犯罪でしょ…?
  2741. アオ: どの口が言ってるの~?
  2742. アオ: 今まで魔法少女を苦しめて、 何人も魔女にしてきたんだよね?
  2743. アオ: 姫様から聞いたよ?
  2744. アオ: ネオマギウスにいた サーシャって人もいじめてたって
  2745. アオ: やり返されないなんて、 そんなのイージーゲーム過ぎるよ
  2746. くらら: っ…
  2747. くらら: やっぱり、魔法少女も魔女も 人間のことを傷つけるのね…
  2748. アオ: 今さら、なに言ってるの?
  2749. アオ: 優しい人の相手ばっかりして マヒしちゃってるんだね
  2750. くらら: だってそうでしょ
  2751. くらら: 口先では人間を助けるとか言って こうして苦しめてるんだから
  2752. アオ: 今度、おまわりさんを 全力でぶん殴って暴れてみなよ
  2753. アオ: 身の危険を感じたら抵抗するし 逮捕だってされるよ
  2754. アオ: 市民を守る人がそうなんだから、 わたしたちだって危険なら守るよ
  2755. アオ: もちろん 予防線を張って先に潰しもする
  2756. くらら: ひっ…
  2757. アオ: 本当ならあなたたちみんな 死んでるはずだよ?
  2758. アオ: だから、本番の時はちゃんと カメラに向かって話してね
  2759. アオ: 魔法少女とどんな関係で、 なんでこんな目に遭ってるか
  2760. くらら: …覚えてなさい…! そのうち仲間が潰しに来るから…
  2761. アオ: 外で転がってる人のこと?
  2762. くらら: えっ…
  2763. パキッ…
  2764. アオ: 聞分けのないことを言ってると
  2765. アオ: この石みたいに 頭を割っちゃうよ?
  2766. アオ: クスッ
  2767. くらら: …………
  2768. アオ: あっ、ねえ、今って怖いよね? 怖いんだよね?
  2769. アオ: わたしも前は同じ顔をしてたのに もうわからなくなっちゃってさ
  2770. アオ、もうやめて どう考えてもやりすぎだって
  2771. この人に正直に話してもらうのが 目的ってだけでしょ?
  2772. 確かに撲滅派のアンタたちは悪い けど安心していい
  2773. 外に転がってるとは言っても 誰も死んじゃいない
  2774. アオ: もう、せっかくいい顔で 出演できるように演出してたのに
  2775. アオ: 邪魔しないでよ
  2776. アオ、さすがにヤバいよ いくらなんでもおかしいって…
  2777. アオ: もう、生放送じゃなくて 録画で放送でもいいんじゃない?
  2778. アオ: ヒマになってきたし
  2779. アオ!
  2780. アオ: だって、別に同じだよ
  2781. アオ: ほら、広告とかのおかげで 視聴待機数も増えてるし
  2782. アオ: ――っ!?
  2783. 来た…結菜さんたちだ…!
  2784. アオ!
  2785. くっそ、もう付き合いきれない…
  2786. 結菜: そこに居るんでしょ、アオ!
  2787. 結菜: 魔力の反応でわかるわぁ 早く出てきなさぃ!
  2788. アオ: もちろんだよ姉さま! 姉ちゃんも一緒だよね~?
  2789. 樹里: おいおい、随分と ヘラヘラしたヤツが出てきたな
  2790. アオ: ちょうどヒマしてたところだから 遊び相手になってよ!
  2791. 樹里: あぶねっ、テメエ…!
  2792. 結菜: 私たちふたりを相手にして 敵うわけがなぃ…
  2793. 結菜: 武器を下ろして 撲滅派の人を解放しなさぃ
  2794. アオ: 姉ちゃんと姉さまの言うことは 絶対に聞かないよ
  2795. アオ: だって、わたしが天辺に行くのに 邪魔な相手なんだから
  2796. アオ: やぁあっ!
  2797. ひかる: こんな戦い方じゃ、 すぐに死ぬっすよ…アオさん…
  2798. アオ: ゲームなんだから 死んでもへーきへーき
  2799. ひかる: 何言ってんすか…!?
  2800. 智珠 らんか: 前よりヒドくなってるじゃない…
  2801. ごめん…アオ…
  2802. 結菜さん!樹里さん! 中に撲滅派のリーダーがいます!
  2803. 彼女はこちらで解放するので、 アオのことはお願いします…!
  2804.  
  2805. FILENAME: text_103104-4_32rIq.txt
  2806. くらら: 私を…解放するの…?
  2807. このままじゃ、脅しなんて 可愛いもんじゃすまない…
  2808. 計画に影響は出てしまうけど、 大事にはならないだろう
  2809. 外にいる人たちも 気絶させて縛ってるだけだから
  2810. みんなを連れてとにかく逃げて
  2811. くらら: …お礼は言わないわ
  2812. 人間と同じで魔法少女だって 一括りにできない…
  2813. それがわかったら今回の一件は 知らぬ存ぜぬを貫きなさい
  2814. 平穏に暮らしていられる 最低限の条件だから
  2815. くらら: 知らぬが仏ってこと…?
  2816. そういうこと
  2817. アオ: ァアアアッ!!
  2818. 樹里: っ、今までの妹とは 全く戦い方が違うな…
  2819. アオ: フッ!
  2820. 結菜: 守りもせずに大ぶりで… ただの戦闘狂みたいよぉ
  2821. アオ: っ…
  2822. 結菜: ただ、突っ込んで来ても…
  2823. 結菜: 対象変更!!
  2824. アオ: グゥッ!
  2825. アオ: ゲホッ…ふっ…
  2826. アオ: あはっ、なんだかドキドキする 楽しくなってきちゃった
  2827. アオ: 次はもっと強烈な一撃を
  2828. アオ: あれ?
  2829. 智珠 らんか: 捕まえたわよ
  2830. 智珠 らんか: 周りばっか気にしてたやつが、 樹里みたいに前しか見てない…
  2831. 智珠 らんか: こんな姿は見たくなかった
  2832. アオ: ちょ、離してよ!
  2833. 智珠 らんか: 結菜さん!樹里! 今のうちになんとかして!
  2834. 樹里: んじゃあ、せっかく借りてきた 恐怖のキモチの石を使って
  2835. 樹里: 思いっきり突っ込んでやるか
  2836. 結菜: えぇ、らんかが作ったチャンスを 活かしましょう
  2837. ひかる: え、なんでひかるだけ 置いてきぼりにするんすかぁ!
  2838. ひかる: ひかるだってアオさんを 助けたいっす!
  2839. 結菜: さあ、いくわよ!
  2840. ひかる: 追いついたっす!
  2841. 樹里: バッカ、なんでいんだよ!
  2842. 結菜: ひかるぅ…なんで来たの…
  2843. ひかる: だって、ひかるもアオさんを…
  2844. 樹里: これじゃあ、 下手なことはできねーな
  2845. ひかる: 下手なことってなんすか…
  2846. 樹里: こっちは自分が死んでも 妹を助けるつもりだったんだよ
  2847. ひかる: うぇ?
  2848. 樹里: 妹がおかしくなったのは、 樹里サマたちのせいでもある
  2849. 樹里: だから、コイツを戻すためなら 命を使っても良いと思ってたんだ
  2850. ひかる: や、やっすよ!
  2851. ひかる: 勝手に死ぬなら 樹里さんだけにして欲しいっす!
  2852. ひかる: 結菜さんは 巻き込まないで欲しいっす!
  2853. 樹里: まあ、 お前はそういうヤツだよな…
  2854. 結菜: ひかるも入ってきた以上 巻き込めなくなったわねぇ…
  2855. 樹里: せっかく覚悟を決めてたのに 台無しだっつーの…
  2856. 樹里: これは、妹の反応だな
  2857. 結菜: それにキモチの反応もあるわぁ…
  2858. アオ: …………
  2859. 結菜: やっぱりキモチに侵食されてる…
  2860. 樹里: 簡単に言えば、コイツを消せば OKってことだよな
  2861. 結菜: 端的に言えばねぇ
  2862. ひかる: 思ったより 簡単に終わりそうっすね
  2863. ひかる: 死ぬ覚悟なんて 必要ないじゃないっすか
  2864. 樹里: 減らず口を叩いてないで潰すぞ
  2865. ひかる: っす!
  2866.  
  2867. FILENAME: text_103104-5_32rIq.txt
  2868. ひかる: やったっす! キモチを剥がしたっすよ!
  2869. 樹里: 馬、喜ぶのははえーぞ 剥がして解決とは限らねーからな
  2870. ひかる: アオさん無事っすか!?
  2871. 樹里: 聞けよ!
  2872. アオ: うっ…
  2873. ひかる: ケガしてないっすか?
  2874. 結菜: ――っ!?
  2875. 結菜: ひかる、離れなさぃ!
  2876. アオ: やぁあっ!
  2877. ひかる: わわっ!
  2878. ひかる: 樹里さんが言う通り、 未解決ってことっすか…
  2879. アオ: あれ…森の中にいたはずなのに、 どうしてこんな所に?
  2880. アオ: でも、いっか
  2881. アオ: 邪魔な下っ端連中もいないし、 姉さまたちを倒せば天辺だもんね
  2882. アオ: テヘッ
  2883. ひかる: うぅ、何も変わってないっすよ…
  2884. 樹里: いっそ殺して楽にしてやるか?
  2885. 結菜: 私たちが死ぬことで 贖罪になるのならともかくとして
  2886. 結菜: アオを殺したところで 何の意味にもならないわぁ…
  2887. アオ: ちょっと、自殺とかやめてよ?
  2888. アオ: 不戦勝でランキングレコードに 載っても意味はない
  2889. アオ: 自分で倒して天辺に行くことに 意味があるんだからね~
  2890. 結菜: それなら…
  2891. ひかる: どうするんすか
  2892. ひかる: キモチを使って、アオさんに 恐怖を植えつけてみるっすか?
  2893. 樹里: 恐怖そのものを感じる心が 壊れてるみてーだしな
  2894. 結菜: いえ、キモチを使って アオに恐怖を植えつけたとしても
  2895. 結菜: キモチの影響を重ねるだけで、 悪影響を及ぼす可能性もある…
  2896. 樹里: じゃあどうすんだよ
  2897. 結菜: ひとつ試したいことがあるわぁ
  2898. ひかる: なんすか?
  2899. 結菜: アオの生まれてからこれまでの 魂の記憶をたどり続けるのよぉ
  2900. ひかる: 言ってる意味がわかんないっす
  2901. 結菜: たとえ恐怖を感じる心を、 壊されてしまったとしても
  2902. 結菜: アオの魂に刻まれた記憶は、 壊されていないかもしれなぃ…
  2903. 結菜: それなら、記憶をさかのぼって、 赤ん坊のアオを見つければ
  2904. 結菜: 恐怖を感じる心が芽生える瞬間も 必ず見つかるはず
  2905. 結菜: だから私たちは、 その恐怖を感じる心が
  2906. 結菜: キモチに壊されないように、 守り続けるのよぉ
  2907. ひかる: それ、アオさんが 14歳になるまで育てるんすか!?
  2908. アオ: 動く気がないなら、 わたしから仕掛けるよ?
  2909. 結菜: アオ、不戦勝が嫌って言うなら、 戦う条件を与えるわぁ
  2910. アオ: いいよ、聞いてあげる
  2911. 結菜: 生まれた時からやりなおして、 私たちと一緒に過ごしましょぅ
  2912. 結菜: それでもまだ、私たちと戦って 天辺に行きたいって言うなら
  2913. 結菜: 私たちは止めはしないから、 試してみないかしらぁ
  2914. アオ: …………
  2915. アオ: …いいよ、やってみる じゃないと自殺する気でしょ?
  2916. 結菜: えぇ
  2917. アオ: その代わり約束は守ってよね
  2918. 結菜: もちろんよぉ
  2919. 結菜: もしもあなたの気持ちが 変わらないなら
  2920. 結菜: 最後に遊んであげるわぁ…
  2921. アオ: じゃあ、3人とも わたしのそばに近づいてきて
  2922. アオ: 「これから、わたし自身の過去を さかのぼっていくから…」
  2923. 樹里: お、ここは…
  2924. 結菜: 恐らくアオの家でしょうねぇ
  2925. 結菜: このために用意された、 イメージかもしれないけど…
  2926. 樹里: なあ、馬がいなくねーか…?
  2927. 結菜: 家族…というか何か別の役割を 与えられたのかしらぁ…?
  2928. 結菜: もしかしたら 入れなかったのかもしれないし
  2929. 結菜: 私にも状況はわからないから、 様子を見守るしかないわねぇ…
  2930. アオの声: ふぇぇ…
  2931. 樹里: 赤ん坊の声がする
  2932. 結菜: ベビーベッドがあるわねぇ…
  2933. 樹里: ―樹里― うわ、なんだこれちっこ! 簡単に潰れそうだな…
  2934. 結菜: ―結菜― ちょ、ちょっと潰さないでよぉ きっとアオ自身のはずだからぁ
  2935. 樹里: ―樹里― あんの憎まれ口を叩いてくるやつも 赤ん坊になれば、なんつーか可愛いもんだな
  2936. 結菜: ―結菜― …そういう感情もあるのねぇ
  2937. 樹里: ―樹里― やめろ、恥ずかしくなるだろ つーか、姉さんは可愛いと思わねーのかよ
  2938. 結菜: ―結菜― 可愛いわ、とてもねぇ
  2939. 樹里: ―樹里― で、こっから樹里サマたちはどうするんだ
  2940. 結菜: ―結菜― あと少し6~9ヶ月ぐらいの頃になると アオに恐怖の感情が芽生える時期になるわぁ
  2941. 樹里: ―樹里― なるほど
  2942. 樹里: ―樹里― で、姉さんがさっき言ってた通り 恐怖を感じる心を守りきったら
  2943. 樹里: ―樹里― 元のアオになってるかもしれねーと
  2944. 結菜: ―結菜― 確証がない希望的観測だけどね
  2945. 樹里: ―樹里― ん、待て、それって樹里サマたちが 14年の時間をかけるってことか…?
  2946. 結菜: ―結菜― そうなるわねぇ
  2947. 樹里: ―樹里― 体感だと1時間とか そういうのじゃねーの?
  2948. 結菜: ―結菜― さぁ
  2949. 樹里: ―樹里― うわ、マジか… えっぐい実験に巻き込まれたな…
  2950. 結菜: ―結菜― だけど、引き返そうにも引き返せない 付き合ってもらうわよぉ、樹里
  2951. 樹里: ―樹里― …わーったよ、仕方ねぇな
  2952.  
  2953. FILENAME: text_103104-6_32rIq.txt
  2954. ∵へ~ ̄ハイ_ええ
  2955. 結菜: ほら、やっぱり
  2956. 結菜: さっそくキモチがアオを狙って 現れたわよぉ
  2957. 樹里: なるほど、つまりコイツから 守ってやりゃいいってわけだな
  2958. ひかる: ひかるもいるっすよ!
  2959. 樹里: お前どこにいたんだよ
  2960. ひかる: どうも、ひかるは 近所のお姉さん役みたいっす!
  2961.  
  2962. FILENAME: text_103104-7_32rIq.txt
  2963. ひかる: …はぁ、あれから何か月っすか
  2964. ひかる: キモチと戦って倒すのは 構わないんすけど
  2965. ひかる: こう何度も続くと、 いつか限界が来そうっすよ…
  2966. 樹里: 魔法少女として戦ってる時より 消耗は微々たるもんだけど
  2967. 樹里: 危険なのは変わりねーからな
  2968. 結菜: もしかすると体感は14年でも 外では短い時間だから
  2969. 結菜: 戦って消耗する魔力も 少ないのかもしれないわねぇ
  2970. 樹里: とはいえ、馬の言う通り、 今のペースだとこっちが死ぬぞ…
  2971. 結菜: 安心して 対策は一応とれそうよぉ?
  2972. 樹里: お、マジか
  2973. 結菜: キモチが現れる条件は単純で アオが恐怖を感じた時だからねぇ
  2974. ひかる: アオさんが怖がらないように 心がければOKってことっすね!
  2975. 結菜: えぇ
  2976. 樹里: つまり過保護に大切に育てて 笑顔にさせろっつーことか
  2977. 樹里: いいご身分だな、このヤロウ…
  2978. アオの声: キャッキャ♪
  2979. 結菜: あなたもねぇ…
  2980. ひかる: うっ…なんか、戦わずとも 結菜さんに限界が来そうっすね…
  2981. 結菜: 樹里との生活だからぁ…
  2982. 結菜: アオが夜泣きしても爆睡していて いつも起きるのは私…
  2983. 結菜: 洗濯も掃除も雑だから いつもやるのは私…
  2984. 結菜: こうして買い物に来てるのも、 アオの粉ミルクが切れたから…
  2985. 結菜: それに気づくのもいつも私
  2986. ひかる: ソウルジェムが穢れるっす! 結菜さんしっかりするっすよ!
  2987. ひかる: そんなときのためにいる 煌里ひかるっすよ!?
  2988. 結菜: あなた、アオと一緒にいつも 遊んでるだけじゃなぃ…
  2989. 結菜: 『おむつは任せるっす』って、 私に押しつけたのは忘れないわぁ
  2990. ひかる: あ、あわ、わ、悪気はないんす 今度からちゃんとやるっす…!
  2991. 樹里: まぁ、馬と比べたら樹里サマは まだ役に立ってる方だろ
  2992. 樹里: これでも親父のために料理したり 火の扱いは完璧だからな
  2993. ひかる: 確かに、ハンバーグもカツ丼も 唐揚げもコロッケも
  2994. ひかる: 樹里さんの手料理のはずなのに 絶品だったっす
  2995. ひかる: あ、ひかるも手伝ってるっす 洗い物はちゃんとしてるっすよ!
  2996. 結菜: それはありがとぅ
  2997. 結菜: ただ、人の作ってくれるものに 文句は言いたくないけどぉ
  2998. 結菜: もう少しお野菜をとりたいわぁ
  2999. ひかる: 結菜さん、肉より野菜の方が 好きっすもんね
  3000. 樹里: 好き嫌いすんな
  3001. 樹里: むしろ姉さんは痩せすぎだし 顔色も悪いんだからいいんだよ
  3002. 樹里: もうちょい、肉と脂で蓄えろ
  3003. 結菜: …………
  3004. 樹里: で、何買いに来たんだっけ
  3005. 結菜: っ!
  3006. 結菜: アオの粉ミルクだって 言ったでしょー!!
  3007. ひかる: ひっ…
  3008. 樹里: 姉さんがキレた…
  3009. アオの声: ふ、ふぇ…
  3010. 結菜: あっ
  3011. アオの声: ふぇえぇぇえええっ…!
  3012. ひかる: マズイっす! キモチが出てくるっすよ
  3013. 結菜: 自分で言っておいて 少しめげそうよぉ…
  3014.  
  3015. FILENAME: text_103104-8_32rIq.txt
  3016. アオ: …………
  3017. 結菜: うん、成績は落とさずに 頑張れてるみたいねぇ
  3018. アオ: じゃあ、お母さん!
  3019. 結菜: お小遣いは500円アップ 約束はちゃんと守るわよぉ
  3020. アオ: ありがとうっ!
  3021. 樹里: それはいいけどよ
  3022. アオ: うっ…
  3023. 樹里: 通信簿と連絡帳に積極性が 足りないって書いてあるぞ?
  3024. 樹里: ひとりで居ることが多くて、 引っ込み思案なところがある
  3025. 樹里: 家じゃ、こんなに明るいのに 信じらんねーな
  3026. アオ: …………
  3027. 樹里: 樹里サマが言えたことじゃねーが ダチは作っといてソンはねーぞ
  3028. アオ: でも、みんなが考えてること アオ、よくわかんないし…
  3029. 樹里: 授業で班を組んだりするだろ それで話せばいいって
  3030. アオ: …で、でもねママ…
  3031. アオ: 話してくれても それで班の中でアオが失敗したら
  3032. アオ: みんなに怒られるでしょ…?
  3033. 樹里: そりゃお前が悪いんだから 反省しろよ
  3034. アオ: だって、難しいんだもん!
  3035. 樹里: おい、逃げんな!
  3036. 結菜: アオ、どこに行くの!?
  3037. アオの声: ひかるちゃんのところ!
  3038. 樹里: せめて、同世代と遊べ! ったく…!
  3039. 結菜: せっかく成績が上がったんだから 褒めてあげてもいいでしょぅ?
  3040. 樹里: あのまま14歳になったら、 アイツ引きこもるぞ
  3041. 結菜: ――っ!?
  3042. 樹里: 怖がらせねーように育てたのは 確かに間違いじゃねーけどな
  3043. 樹里: 怖いものを避けた分、 アオは無知で怖いものしかねぇ…
  3044. 結菜: 確かに私のせいねぇ…
  3045. 結菜: 危険な遊具は避けるようにして 危なそうな子も避けるようにして
  3046. 結菜: 丁寧に丁寧に大切にって 育ててきたつもりだったけど
  3047. 結菜: 代わりにアオは社交性や協調性を 失ってしまったのかも…
  3048. 樹里: 馬にも言っとけ アオをちゃんと突き返せって
  3049. 樹里: ついでに就活しろって伝えとけ
  3050. 結菜: …あの子も根本的には 怠け者だからねぇ
  3051. アオ: 遊ぼう、ひかるちゃん!
  3052. ひかる: んー
  3053. ひかる: そろそろアオちゃんも ひかるとばかりじゃなくって
  3054. ひかる: クラスの子とかと 遊んだ方がいいと思うっすよ?
  3055. アオ: ひかるちゃんも しゅーかつがあるから…?
  3056. ひかる: それもゼロではないっすけど… アオちゃんが心配なんすよ
  3057. アオ: でも、友だちって どうやって作ればいいのかな…
  3058. ひかる: ルールなんてないっすからねぇ
  3059. ひかる: よしっ、それなら 公園で遊んでる子もいるし
  3060. ひかる: ひかると一緒に突撃するっす!
  3061. ひかる: そして、怖いものをひとつずつ なくしていくっすよ!
  3062. アオ: しゅーかつはいいの?
  3063. ひかる: それは…あとまわしっす…
  3064.  
  3065. FILENAME: text_103104-9_32rIq.txt
  3066. アオ: ごめんなさい…
  3067. 結菜: もう二度とやらないって お母さんとママに約束して
  3068. アオ: はい… もう絶対に万引きはしません…
  3069. 樹里: コッチはオイルまみれになって 仕事してるっつーのに
  3070. 樹里: 電話がかかってきたと思ったら コレだもんなぁ…
  3071. 結菜: こっちも先生の答弁資料を 作ってるところだったわぁ…
  3072. 結菜: それで、どうして万引きなんて しようとしたの…
  3073. 結菜: ひかるが見つけなかったら 未遂じゃすまなかったわよぉ
  3074. アオ: だって…
  3075. アオ: 怖いものを無くさないといけない って思って…
  3076. アオ: それで、万引きが成功したら、 少しは度胸がつくのかなって…
  3077. アオ: そしたら周りのみんなも 怖くなくなるのかなって思って…
  3078. 樹里: ばーか
  3079. 樹里: それで身につくのは、 不要な万能感と見栄を張るクセだ
  3080. 樹里: 実は周りと距離を作ってるだけで あとで後悔すんぞ
  3081. 結菜: そもそも、誰かを傷つける度胸は 身につけなくてもいいものよぉ
  3082. アオ: うん…
  3083. 結菜: 取りあえず今日は寝なさぃ
  3084. アオ: はい…
  3085. 樹里: しっかし、やり口を変えてきたな
  3086. 結菜: ええ、私たちの守りに気づいて、 恐怖心を壊すのではなく
  3087. 結菜: 罪悪感を排除していくことで、 恐怖心を欠如させようとしてる…
  3088. 樹里: ああ、キモチの存在ってやつを ヒシヒシと感じる
  3089. 樹里: 姿を現しな
  3090. 樹里: さあ、やるか姉さん
  3091. 結菜: ほんと、この歳になっても 魔法少女をやるだなんてねぇ…
  3092. ひかる: キモチもあの手この手で 恐怖心を潰そうとするっすね…
  3093. 結菜: 万引きをしたかと思えば 今度はケンカでケガをさせるし…
  3094. 結菜: キモチがしぶといのは 覚悟していたけど
  3095. 結菜: なるべく未然に防いで 力は蓄えておきたいのよねぇ…
  3096. 樹里: 樹里サマとしてはストレスを 発散できるからいいんだが
  3097. 樹里: 最後の敵がわかってる手前、 確かに消耗は避けたいよな
  3098. 結菜: ええ…
  3099. ひかる: アオちゃんも 学校生活がうまくいかないから
  3100. ひかる: 苦しんでるんすよ…
  3101. ひかる: そこで、ひかるに妙案があるっす
  3102. 結菜: 妙案だなんて珍しい 何か対策があるのぉ…?
  3103. ひかる: アオさんと言えばやっぱり いや、これは秘密っす!
  3104. ひかる: アオちゃん ひかるからのプレゼントっす!
  3105. アオ: おっきい箱! 開けてみてもいい?
  3106. ひかる: もちろんすよ!
  3107. アオ: …………
  3108. アオ: わぁっ、これ最近でたゲーム機! やってみたかったの!
  3109. ひかる: ソフトもそろえてきたから、 いっぱい楽しむといいっすよ
  3110. ひかる: ストレスがたまった時は、 ゲームで発散が一番す!
  3111. アオ: ありがとう、ひかるちゃん!
  3112. 樹里: おい、馬、やってくれたな
  3113. ひかる: な、なんすか!
  3114. 結菜: あの子はゲームに依存するし、 逃避に利用するからって
  3115. 結菜: なるべく与えないように してたのよぉ
  3116. ひかる: い、言ってくれないと ひかるもわからないっすよ!
  3117. ひかる: でも、この方が アオさんらしいっす
  3118. アオ: お母さん、ママ 1回遊んでみてもいい?
  3119. 結菜: …いいわよぉ
  3120. 樹里: 好きにしろ
  3121.  
  3122. FILENAME: text_103104-10_32rIq.txt
  3123. 樹里: おい、夕飯の時間だぞ! さっさとゲームやめろ!
  3124. アオの声: あと、3分で終わる!
  3125. アオの声: 今抜けたら、マッチングした人に 迷惑かけちゃうから!
  3126. 樹里: 家族への迷惑はいいのか、おい!
  3127. 樹里: 次、メシ前に終わってなかったら ゲーム機ウェルダンにすんぞ!
  3128. アオの声: わたしだけじゃなくて、 ひかるちゃんも悲しむよ~?
  3129. 樹里: こいつ、ゲーム始めてから、 口が減らなくなったのか…!
  3130. 結菜: ゲームを通して大人との交流が 増えたのかしらぁ
  3131. 樹里: 隠居したみたいに のんびりと微笑んでる場合か?
  3132. 結菜: 引っ込み思案だった時と比べると 今の方がいいものぉ
  3133. 結菜: それに、今はゲーム以上に 問題があるでしょぅ
  3134. 樹里: アオが魔法少女になったことか
  3135. 結菜: ええ…
  3136. 結菜: いよいよ終わりが迫ってる証拠で 最大の敵の登場でもあるわぁ
  3137. 樹里: 門前橋の蝙蝠は 先手を打ってぶっ潰した
  3138. 結菜: つまり、アオが最も恐れる相手が 現れるということよぉ…
  3139. ピンポーン
  3140. ひかる: お邪魔するっすよ
  3141. 樹里: 合鍵で入ってくるなら、 最初からインターホン鳴らすなよ
  3142. ひかる: 一応、形式っすよ で、何の用っすか、結菜さん
  3143. 結菜: 今日の夜だけど、 アオと遊んでもらっていい?
  3144. ひかる: というと…?
  3145. 結菜: 魔法少女になってから あの子も夜に出歩くようになった
  3146. 結菜: 今日は私たちも出るから 遭遇するのを避けたいのよぉ
  3147. ひかる: …そっか、アオちゃんも中学生 もう、そんな時期なんすね
  3148. 結菜: ええ、最後はしぶとい相手でも なんとか倒さないと
  3149. 結菜: それも、できれば 私と樹里の手で倒したいわぁ
  3150. 樹里: テメーのケツはテメーで拭く じゃねーと過去を潰せねーからな
  3151. ひかる: 何度も聞いたんで ひかるも理解はしてるっす
  3152. ひかる: アオちゃんのことは任せて ふたりで行ってくるっすよ
  3153. 結菜: “当時の私たち”が来たわねぇ
  3154. 樹里: 標的になっているアオの前に 現れるっていう姉さんの読みは
  3155. 樹里: 間違いなかったみたいだな
  3156. 結菜: ええ、あのまま戦場に行っても 遭遇できなかったはず
  3157. 結菜: うちの子に何か用かしらぁ
  3158. ???: 二木市の平和のために、 力を持った魔法少女を消すのよぉ
  3159. 結菜: うちの子が魔法少女だなんて 誰から聞いたのかしらぁ
  3160. 結菜: ボロを出すのが早すぎて 面白みに欠けるわぁ
  3161. 樹里: ウェルダンにして余るほど 魔力を溜め込んできてるな
  3162. ???: ニヒッ、たりめーだっつーの
  3163. ???: 蛇の宮のリーダーとやり合うのは 楽しそうだからな
  3164. 樹里: けど悪いな アオは樹里サマたちの娘だ
  3165. 樹里: アオの心は潰させねーよ
  3166. 結菜: 天辺に上らなくちゃいけない 理由も作らせないわぁ
  3167.  
  3168. FILENAME: text_103104-11_32rIq.txt
  3169. 結菜: はぁ…はっ…はぁ…
  3170. 樹里: っ…くそ、我ながらツエーな…
  3171. 結菜: 樹里、魔力は…
  3172. 樹里: ふぅ…ほとんど使い切った…
  3173. 樹里: 最後に全力でかまさねーと 倒し切れなかった…
  3174. 結菜: 私もよぉ… 対象変更を使い過ぎたわぁ…
  3175. 樹里: 歳のせいじゃねーよな?
  3176. 結菜: 年数は重ねても 魂は10代のままだものぉ…
  3177. 結菜: でも、そろそろ限界ねぇ
  3178. 樹里: 14年間頑張ったよ
  3179. 結菜: お互いねぇ…
  3180. 結菜: だけど、最後に残ってる
  3181. 樹里: あぁ…
  3182. 樹里: コイツを倒しきらないと、 うちの娘は解放されねぇ…
  3183. 結菜: ひかるには悪いけど、 命を賭した最後の戦いよぉ
  3184. 樹里: 1回は捨てた命だ 構わねぇよ
  3185. 結菜: 本当のアオを返してもらうわよぉ
  3186.  
  3187. FILENAME: text_103104-12_32rIq.txt
  3188. 樹里: ぐっ…く… はっ、こりゃマジでやばいな…
  3189. 樹里: 生きてっか姉さん…
  3190. 結菜: なんとか、ね…
  3191. 結菜: 死ぬ気で倒さないといけない 相手だっていうのに
  3192. 結菜: どこかに未練でもあるのかしらぁ 全力を出してない気がするわぁ
  3193. 樹里: 樹里サマも同じかもしんねーな けど、ここまで消耗すりゃ同じだ
  3194. 結菜: えぇ、もう…力も入らないけど… 命の灯火を燃やしきる…
  3195. 樹里: あとのことは馬と妹に任せるか…
  3196. 結菜: ええ、アオが戻れば大丈夫…
  3197. 結菜: 二木市の魔法少女たちを 引っ張ってくれるわぁ
  3198. 結菜: ――っ!?
  3199. 樹里: 来るぞ!
  3200. 結菜: ふたりともあとは任せたわよぉ
  3201. アオ: お母さんもママも、 なに勝手に死のうとしてるの!?
  3202. 結菜: アオ
  3203. 樹里: お前…
  3204. アオ: わたしも魔法少女になってから 気づいてたよ…
  3205. アオ: ふたりから魔力を感じて、 同じ魔法少女なんだって…
  3206. アオ: それに、同じ立場になって 気づいたよ
  3207. アオ: わたしは、お母さんとママと ひかるちゃんに
  3208. アオ: ずっと守ってもらってたって
  3209. 樹里: じゃあ、そこをどけ
  3210. 樹里: これは樹里サマたちが片づける 最初から決めてたことだ
  3211. 結菜: ええ、 あなたを傷つけさせはしない
  3212. 結菜: 必ず助けてみせるわぁ
  3213. アオ: それで、わたしを狙ってた コイツを倒せたとしても
  3214. アオ: わたしは嫌だ!
  3215. アオ: ふたりがいない世界で生きるのは 絶対に嫌だ!
  3216. アオ: だから、わたしも戦う! 守ってもらった分だけ戦うんだ!
  3217. 結菜: 怒りがアオに共鳴してる…
  3218. アオ: お母さんとママが何も気づかずに 飛び込もうとする姿を見て
  3219. アオ: カッと怒りが湧いてきた…
  3220. アオ: それで気づいたよ
  3221. アオ: この長い時間の中で 色んな怖さを知って来たけど
  3222. アオ: 一番怖いのは、一緒に過ごした 3人が消えることなんだって
  3223. ひかるの声: っすよ、結菜さん、樹里さん!
  3224. ひかる: ひかるはあくまで サポート役の馬なんすから
  3225. ひかる: 勝手に未来を託して死ぬのは 禁止っすよ!
  3226. アオ: この敵を倒して ふたりを助けよう、ひかるちゃん
  3227. ひかる: っす!
  3228. ひかる: 全員無事に帰還するっすよ!
  3229. 樹里: おい!
  3230. 結菜: いえ、これで正しいのかも…
  3231. 結菜: これはアオ自身の心
  3232. 結菜: だから自分の心を守るために、 最後は自分で戦うべきなのよぉ
  3233. 樹里: で、その心を守るためには 怒りが必要だったって?
  3234. 結菜: という推理だけど、どう思う?
  3235. 樹里: さー、悪くねーんじゃねーの?
  3236.  
  3237. FILENAME: text_103104-13_32rIq.txt
  3238. アオ: はぁ…はぁ… や、った、倒した…!
  3239. アオ: ゲームクリアのトゥルーエンド!
  3240. ひかる: 長い14年の旅が ようやく終わるっすね…
  3241. 樹里: …樹里サマみてーなのは 死んだ方がためになるんだけどな
  3242. 結菜: …私もこれでは赦される理由に 到底ならないわぁ…
  3243. アオ: わたしも許す気はなかったけど…
  3244. アオ: ここまでして助けてくれた “姉さまと姉ちゃん”を
  3245. アオ: 嫌いになんてなれないよ
  3246. 樹里: 妹、お前…
  3247. 結菜: 気づいたのねぇ…
  3248. アオ: うん…ごめんね… いっぱい迷惑かけちゃった…
  3249. 結菜: ここは… 戻って来た…みたいねぇ…
  3250. 樹里: あぁ、体の自由が利かねえ… 鉛みてーだ…
  3251. ひかる: アオさん…無事っすか…
  3252. アオ: うん…
  3253. アオ: まだ何が現実で何が夢なのか、 よくわからないや
  3254. アオ: ただ…
  3255. アオ: お母さんもママもひかるちゃんも いなかったらどうしようって
  3256. アオ: すごく不安で、怖かった…
  3257. 樹里: 姉さまと姉ちゃんだろ
  3258. アオ: あっ…
  3259. 結菜: ひとまずは元通り… おかえりなさい、アオ…
  3260. 智珠 らんか: じゃないわよ!
  3261. 智珠 らんか: こっちはめっちゃくちゃ 心配したんだから!
  3262. 智珠 らんか: ソウルジェムは濁ってくのに なんか浄化できないし
  3263. 智珠 らんか: それに、4人そろって ボロボロになってるんだから…!
  3264. 智珠 らんか: グリーフシードで浄化したら 山を下りるからね
  3265. 智珠 らんか: 何があったか聞かせてよ!?
  3266. とりあえず皆さんは 私たちにつかまってください
  3267. 結菜: …そう
  3268. 結菜: 記憶が混濁してて悪いけど、 他の動きはどうなってるのぉ?
  3269. 智珠 らんか: アオの放送を止めて、 防災無線も使えなくなったけど
  3270. 智珠 らんか: 本命の藍家ひめなの居場所だけは つかめてないみたい
  3271. 智珠 らんか: 1090近くのサイネージを使って 放送をするみたいで
  3272. 智珠 らんか: 事前に資料を送られてきた メディアの人たちが来てるから
  3273. 智珠 らんか: そこを止めないと 意味がないみたいね
  3274. 結菜: そう…
  3275. 樹里: んなら、樹里サマたちも…
  3276. 智珠 らんか: その体で行く気?
  3277. アオ: 怒るよ、姉ちゃん
  3278. 樹里: …だよな
  3279. ひかる: 藍家ひめなも他の人と同じで 武器を下ろせたらいいんすけど…
  3280. アオ: …………
  3281. アオ: 難しい気がする
  3282. アオ: わたし、藍家さんだけは、 救われない気がする…
  3283. ピロン♪
  3284. 噂をすればアオさんに 藍家ひめなからのメッセージが…
  3285. アオ: …読んで
  3286. …………
  3287. ネオマギウス全体に宛てた メッセージです
  3288. ひめな: これは私チャンからネオマギウスのみんなに出す 最後の指示だよ
  3289. ひめな: みんなに伝えた通り 最後の指示には絶対に従うように!
  3290. ひめな: 放送開始まで残り1.5時間 1分1秒でも早くネオマギウスのメンバーは “神浜市から出て行ってね”
  3291. ひめな: 以上★
  3292. ―取材記録― 紅晴 結菜
  3293. 結菜: 「私は魔法少女同士が争わない そんな二木市にしたいわねぇ」
  3294. 結菜: 「アオが私たちのところに戻って来て、 暴走する樹里をなんとか大人しくさせて 私もちゃんとみんなを引っ張っていける…」
  3295. 結菜: 「そして、自動浄化システムのおかげで 魔女にならずに衝突することもない そんな二木市になっていけば ようやく普通の学生に戻れる気がするわぁ」
  3296. 結菜: 「今回、プロミストブラッドとして 虎屋町と竜ケ崎と蛇の宮がひとつになって 共に過ごすことの喜びを感じたのよぉ」
  3297. 結菜: 「神浜市や他の子との戦いはあったけど、 環さんが二木市を含む多くの魔法少女を 救ってくれた暁には、 その他の少女たちとの衝突もなくなって ただ共に過ごす喜びだけが残ることになる」
  3298. 結菜: 「他の子がどうかは知らないけど、 私にとってその未来は とても魅力的に映ったわぁ」
  3299. 結菜: 「ただ、私は魔法少女になってからこれまで 血にまみれなかったことがないほど、 平穏というものを味わってこなかった…」
  3300. 結菜: 「血の染みついた生き方しか知らない私が 平穏な未来で生きていけるとは思えなぃ」
  3301. 結菜: 「だから、望むことがあっても思うわ… いっそ二木市の未来はアオとひかるに譲って 私は世を乱さないためにも 死ぬべきなんじゃないかって…」
  3302.  
  3303. FILENAME: text_103105-1_32rIq.txt [Episode 5]
  3304. 旭: 人々の命が握られた、この戦い 勝敗は見えないでありますな
  3305. うらら: プロミストブラッドの人から来た メッセージを読んだ感じだと
  3306. うらら: ネオマギウスの方が圧倒的に 劣勢な感じがするんよ
  3307. ラビ: ただ、それが意図的に作られた 状況なら話は別
  3308. 旭: 藍家ひめなの話を聞く限りだと 番狂わせが起きそうであります…
  3309. 太助: …………
  3310. ラビ: 長かったキモチの石を巡る争いも ようやく決着がつきそうですね…
  3311. 太助: 私たちにとっては 最後の審判となりそうだね
  3312. ラビ: 魔法少女が救われるか 救われないか…
  3313. 那由他: …………
  3314. 那由他: ラビさん
  3315. ラビ: なんでしょうか?
  3316. 那由他: みかげさんの居場所も わかったことですし
  3317. 那由他: サーシャさんがそうしたように
  3318. 那由他: 私は友だちがケガをしないように 追いかけることにしますの
  3319. ラビ: …………
  3320. 那由他: ラビさんはどうしますか?
  3321. 那由他: 私たちの行動で審判の結果に 影響は出ないはずですの
  3322. 那由他: ラビさんが何もかも 諦めていても構いませんの
  3323. 那由他: ただ、その心でくすぶっている 本心には従って欲しいですの
  3324. ラビ: …教授
  3325. 太助: 私たちは何をしても変わらない 未来を観察するだけだよ
  3326. 太助: だから何をしてもいい
  3327. 太助: 自分の気持ちに従っても 誰もとがめはしないよ
  3328. アレクサンドラ: はぁ…はぁ…
  3329. アレクサンドラ: ひめちゃん…!
  3330. アレクサンドラ: うららちゃんから聞きました
  3331. アレクサンドラ: プロミストブラッドの三女に させていた動きも失敗したって
  3332. ひめな: でも、私チャン的には、 とりま目的は達成してるんだよね
  3333. ひめな: だってサーシャをいじめてた人を ボコボコにできたんだから
  3334. アレクサンドラ: …私のためって言いたいんですか
  3335. ひめな: そうだよ、キャハッ★
  3336. ひめな: マイメンを傷つけるような人は 誰であっても許さないからね
  3337. アレクサンドラ: 私はそんな過激な報復なんて 望んでません…!
  3338. アレクサンドラ: それに今回の作戦だって、 本当に実行しちゃうだなんて…!
  3339. ひめな: サーシャが悪いんでしょ
  3340. ひめな: 行かないでって頼んだのに、 私チャンの前から消えるんだから
  3341. アレクサンドラ: …ヒコ君が1番である以上、 私の言うことは聞いてくれない
  3342. アレクサンドラ: きっといつか、今回の作戦を 実行してしまうと思ってました…
  3343. アレクサンドラ: だから、私はひめちゃんの前から 本気で消えようと思った…
  3344. アレクサンドラ: 目の前にいる私を想ってくれたら やめてくれると信じてたから
  3345. ひめな: …ごめんね
  3346. ひめな: サーシャが思ってるような 私チャンじゃなくて
  3347. ひめな: もう、遅いから神浜市を離れて
  3348. ひめな: みんながいたら、なんのために 突き放したかわからなくなるから
  3349. アレクサンドラ: ひめちゃん!
  3350. アレクサンドラ: っ…!
  3351. アレクサンドラ: (あの時、私は去るんじゃなくて 向き合うべきだったのかも…)
  3352. アレクサンドラ: (友だちとして、ひめちゃんと ケンカするために…)
  3353. いろは: 十七夜さんたちから聞いた話だと 藍家さんは栄区にいます
  3354. いろは: 手の空いた人から 順番に探しにいってください!
  3355. 鶴乃: 魔法少女がいるっていう 信憑性を高めるために
  3356. 鶴乃: 映像だけじゃなくて 本人も姿を出すはずだから
  3357. 鶴乃: まずは、みんなで1090の近くを 探してくれると嬉しいかも!
  3358. ももこ: こういうときに心が読める 十七夜さんがいれば
  3359. ももこ: 幹部と接触したときに、 情報をつかめるんだけどなぁ
  3360. レナ: 他の仕掛けを潰しに行くって 言ってたから仕方ないわよ
  3361. かえで: うん、今はとりあえず 魔力を追いかけてみよう!
  3362. 月夜: あ、あと月咲ちゃんの居場所も 一緒に調べて欲しいでございます
  3363. みふゆ: はい
  3364. みふゆ: 藍家ひめなの思惑を断っても、 暗示の解除という課題が残ります
  3365. みふゆ: 皆さまには申し訳ないですが、 お力添えをいただけると…
  3366. みかげ: もっちろん!
  3367. みかげ: ミィはなゆたんと一緒に なゆたんパパを探してきたし
  3368. みかげ: 人を探すのは得意中の得意だよ!
  3369. 都 ひなの: 神浜市にいた魔女については 大方片づいたって報告は受けてる
  3370. 都 ひなの: みんな分散して行動する前に いちどアタシの所に寄ってくれ
  3371. 都 ひなの: 回収したグリーフシードを分けて チーム毎に渡しておく
  3372. いろは: すみません、ひなのさん 事務的な仕事をお願いしちゃって
  3373. 都 ひなの: 家から出られなくて遅れたからな
  3374. 都 ひなの: 状況を把握できてない分 他の仕事で返すってだけだぞ
  3375. フェリシア: おーい、いろは!
  3376. いろは: なにー?
  3377. フェリシア: ちゃるがお前に電話したけど でねーって言ってるぞ!
  3378. いろは: あ、ごめんね! ずっとバタバタしてて…!
  3379. フェリシア: オレの方で聞いといたけどさ
  3380. フェリシア: 時女一族のやつらも みんなオレたちと合流するって
  3381. いろは: ほんと!?
  3382. 鶴乃: 今は人数が欲しいから助かるね!
  3383. いろは: うんっ
  3384. うい: あ、でも、さなさんはケガをして 動けないみたい…
  3385. うい: 途中でリヴィアさんと会って 助けてもらったみたいなんだけど
  3386. うい: 今も調整屋からは 動かさない方がいいって…
  3387. いろは: そんなに、ひどいんだ…
  3388. いろは: 紅晴さんたちも 動けなくなったみたいだし
  3389. いろは: 神浜市の魔法少女も 魔女と戦い続けて疲れてる…
  3390. うい: みんなが頑張ってくれたぶん、 わたしたちで藍家さんを止めよう
  3391. いろは: そうだね
  3392. いろは: それに、藍家さんを苦しみから 救ってあげられたらいいけど…
  3393.  
  3394. FILENAME: text_103105-2_32rIq.txt
  3395. かごめ: 笠音さんも元の自分を取り戻して 喜びの連鎖が続いていく。
  3396. かごめ: このまま神浜市の人たちの暗示も解けて、 ひめなさんの抱えている苦しみも 解決するかもしれないって期待する自分がいる。
  3397. かごめ: だけど、1時間半後の夜明けに始まる放送が ジワジワと迫っている。
  3398. かごめ: 周りの魔法少女たちもみんな 最悪の結末を回避できそうな状況に 多少の安堵を覚えつつも、 それを打ち消すような焦りに急き立てられて ひめなさんを探している。
  3399. かごめ: もしも自分の計画が阻止されたら ひめなさんはどうするんだろう…。
  3400. かごめ: 自棄になって 集まっている人たちに牙を剥いて 攻撃を仕掛けるかもしれないし、 素直に投降するのかもしれない…。
  3401. かごめ: 誰も結末は想像できないまま走り続ける。 それは私も同じだった。
  3402. いろは: …………
  3403. 鶴乃: 夜遊びをしてるような 人たちじゃないね
  3404. フェリシア: お、見ろよ なんかでけーカメラがあるぞ
  3405. うい: ほんとだ テレビで使うやつだよね?
  3406. フェリシア: すげー、初めて見た
  3407. 鶴乃: 感心してる場合じゃないよ…
  3408. いろは: もしかしてみんな、 藍家さんの放送を待ってる…?
  3409. 鶴乃: さなの話だと色んなメディアに 何か送ってるみたいだから
  3410. 鶴乃: その真偽を見極めるって ところかもしれないね…
  3411. レナ: げ…あんなヤツもいるの…?
  3412. かえで: なんか有名な人…?
  3413. レナ: 炎上ネタで有名な Dotuberよ…
  3414. レナ: 報道カメラの前で変なことをして 放送できなくするみたいな
  3415. かえで: それ、犯罪じゃないの…?
  3416. ももこ: 向こうには時事ネタで有名な 芸人Dotuberもいるみたいだし
  3417. ももこ: もはや、より取り見取りだな…
  3418. 鶴乃: むぅ…
  3419. いろは: どう、鶴乃ちゃん…?
  3420. 鶴乃: やっぱり味方以外の魔力反応は どこにもないね…
  3421. フェリシア: 逃げたんじゃねーか?
  3422. 鶴乃: あーどうしよう もう時間が全然ないよ…!
  3423. フェリシア: じゃあ、この辺りのモニター 全部ぶっ壊そうぜ!
  3424. 鶴乃: それこそ、 真夜中の少女たちの蛮行って
  3425. 鶴乃: 見出しを飾っちゃうよ!
  3426. いろは: それに放送できなくなると 本人が何をするかわからないし
  3427. いろは: さすがに最終手段かも…
  3428. みふゆ: いろはさん、藍家さんの反応は 見つかりましたか…!?
  3429. いろは: いえ、それが全くで…
  3430. いろは: 藍家さんも月咲ちゃんも、 見つかりそうにありません…
  3431. いろは: 1090だけじゃなくて 範囲を広げるべきでしょうか?
  3432. みふゆ: 家から戻ってきた人も含めれば 人数はいると思いますけど
  3433. みふゆ: 残された時間で探せる場所は 限られてると思います…
  3434. いろは: そうですよね…
  3435. みふゆ: 広げられたとしても栄区全体から 中央区ぐらい…いかがですか?
  3436. いろは: 鶴乃ちゃんはどう思う?
  3437. 鶴乃: うん、みふゆの話が妥当だと思う
  3438. いろは: では、もう少し範囲を広げて 探しましょう
  3439.  
  3440. FILENAME: text_103105-3_32rIq.txt
  3441. 静香: ふぅ…ようやく着いたわね…
  3442. 静香: 二葉さんの容体について 何か連絡は入ってる?
  3443. ちはる: すなおちゃんの癒やしの力と 残った分家の子の力で
  3444. ちはる: ケガはなんとかなりそうだって
  3445. 静香: 良かった
  3446. 静香: このまま助けられっぱなしじゃ 合わせる顔がないからね…
  3447. 南津 涼子: とりあえず怪しいからって 立入禁止区域に来てみたが…
  3448. 南津 涼子: なるほど、こりゃあ静香の読みは 当たってるかもしれねぇな
  3449. 青葉 ちか: はい、魔法少女の魔力反応が いくつもありますね
  3450. 南津 涼子: ただ、この数 おおよそ、罠かもしんねぇな
  3451. 静香: 本来なら戦闘禁止の中立地帯
  3452. 静香: だけど今は、ピュエラケアの人が 留守みたいだからね
  3453. 静香: やり合うには打ってつけの環境 むしろ罠なら読み通りよ
  3454. ちはる: きた…!!
  3455. ちはる: 撤退命令があったって聞いたけど それはウソってことかな!?
  3456. それは本当だよ 残ってるのは私たちの勝手だから
  3457. ちはる: 素直に聞いてくれたらいいのに!
  3458. 月咲さんもうまく逃げてるし、 放送まであと少しなの…!
  3459. 姫様は失敗したと思って 逃がしてくれたんだと思うけど
  3460. どうせ失敗するなら、 退かずに失敗した方がマシ!
  3461. ちはる: っ、甘い!
  3462. ちはる: どんな辛いことがあっても 悪事に手を染めちゃダメなんだよ
  3463. ちはる: そういう手合いは、 この広江ちはるが御用だぁ!
  3464. ウァアッ!
  3465. 青葉 ちか: まだ、何人もいます 皆さん気をつけてください!
  3466. 静香: 四方八方から囲まれたわね…
  3467. 南津 涼子: まさに窮地ってやつだな
  3468. 時女静香…
  3469. ネオマギウスの一員だったなら 私たちの苦しみも理解できるはず
  3470. さっさと降伏してください
  3471. 静香: 我ながら面の皮が厚いと思うけど それはできないわ
  3472. 罠にかかっておいて強気ですね
  3473. 静香: 当たり前でしょ 罠にかかりに来たんだから
  3474. ――っ!?
  3475. 静香: 日の本の民が 善であろうと悪であろうと
  3476. 静香: 清濁併せ呑んで 全ての民を救うことこそが
  3477. 静香: 私たち時女一族の使命!
  3478. 静香: なればこそ、先に手駒を倒して 確実に藍家ひめなを討つ!
  3479. っ…
  3480. そうだとしても、 どうせ藍家さんは見つからない
  3481. 神浜市中を捜したところで 見つかるでしょうか…
  3482. ちはる: わたしはあの人の演説を 聞いてるからわかるよ!
  3483. ちはる: あの手の人は 自分が広告塔だから
  3484. ちはる: 絶対にメディアの人の前に 出る気満々だよ!
  3485. ちはる: わたしの中の等々力耕一も 言ってるから間違いないね!
  3486.  
  3487. FILENAME: text_103105-4_32rIq.txt
  3488. 月夜: この辺りもいないでございます…
  3489. みふゆ: 王手まであと少しなのに 最後の一手が出せませんね…
  3490. 月夜: 時女の皆さんが羽根たちを 止めている間に
  3491. 月夜: 月咲ちゃんを 見つけたいのでございますが…
  3492. ピロン♪
  3493. みふゆ: …………
  3494. みふゆ: 他の皆さんも、ワタシたちと 状況は変わらないようですね…
  3495. みふゆ: ももこさんたちも廃ビルなどを 調べて探してるようですが
  3496. みふゆ: 結果はかんばしくないようですし
  3497. みふゆ: 他の子たちも近くの施設などを 探しているようですが
  3498. みふゆ: そちらも空振りのようです
  3499. 月夜: そうでございますか…
  3500. 月夜: せめて教官たちが見つかれば 情報を得られそうでございますが
  3501. 月夜: それすら手がかりがないとなると 先が見えないでございます…
  3502. みふゆ: …確かに 月夜さんの言う通りですね…
  3503. みふゆ: 撤退命令が出たあとも、 羽根たちは残ってる様子ですし
  3504. みふゆ: 幹部の教官やミユリさんがいても おかしくありませんね
  3505. みふゆ: それに、羽根と比べて 何か知ってる可能性が高いです
  3506. みふゆ: …もし、1090から離れずに 藍家ひめなが潜伏していて
  3507. みふゆ: 教官も近くで 守りを固めているとすれば…
  3508. みふゆ: それに加えて、 彼女の戦い方を考慮すると…
  3509. みふゆ: …………
  3510. 月夜: 私が言ったこと、何かヒントに なったでございますか…?
  3511. みふゆ: …月夜さん
  3512. 月夜: はい
  3513. みふゆ: すみませんが月咲さんを探すのは お任せしても良いですか?
  3514. みふゆ: 教官の居場所が 分かったかもしれません
  3515. 月夜: 本当でございますか!?
  3516. みふゆ: これでも彼女の先輩です なんとなく考えが読めました
  3517. みふゆ: ガトリングという武器の特性上 教官は広い場所を好みます
  3518. みふゆ: 精密射撃もできますが、 どちらかと言えば
  3519. みふゆ: 派手で大味な戦い方が、 教官の好きなスタイルでしょう
  3520. みふゆ: それを踏まえた上で 1090へのヘルプが可能でかつ
  3521. みふゆ: 誘い込めば自分が有利に動ける 場所となると
  3522. みふゆ: ここしかありません
  3523. 月夜: …なるほど! 栄総合学園でございますか!
  3524. みふゆ: はい、校庭ほどやりやすい場所は ないと思います
  3525. 月夜: でも、場所がわかったとはいえ ひとりでは危険でございます…
  3526. みふゆ: 大丈夫ですよ
  3527. みふゆ: いろはさんたちと合流して 向かうことにします
  3528. みふゆ: 月夜さんには申し訳ないですが
  3529. みふゆ: 教官を破るとなると ワタシの力が必要になりますし
  3530. みふゆ: ワタシ自身、 彼女には一矢報いたいので…
  3531. 月夜: わかったでございます
  3532. 月夜: その間に私は、月咲ちゃんを 見つけるでございます
  3533.  
  3534. FILENAME: text_103105-5_32rIq.txt
  3535. いろは: います… 羽根たちかもしれません…
  3536. 鶴乃: みふゆの読みはビンゴだね!
  3537. みふゆ: 教官とミユリさんの 魔力反応もありますので
  3538. みふゆ: 間違いなさそうですね
  3539. フェリシア: うい!危ねえ!
  3540. ミユリ: ふぅっ…!
  3541. フェリシア: っ、インラインスケートで 顔面切られるところだったぞ…
  3542. うい: あ、ありがとう フェリシアさん!
  3543. フェリシア: おう!
  3544. フェリシア: あ、おいっ、逃げんなよ!
  3545. 燦: 姫様に近づかれたタイミングで 背後を突こうと思ってたけど
  3546. 燦: まさか、私たちの居場所の方が 先に気づかれるなんてね
  3547. みふゆ: マギウスの翼に居た時から、 付き合いがありますからね
  3548. 燦: そうね、みふゆさん相手なら 考えが読まれても仕方ないわ
  3549. みふゆ: 教官…
  3550. 燦: 話をする気はないわ
  3551. 燦: 今の私たちは遭遇した敵を 駆逐するだけよ
  3552. みふゆ: っ!
  3553. 燦: 逃がしはしないわよ! 姫様の作戦は成功させる!
  3554. 燦: みんな、攻めなさい!
  3555. 鶴乃: うわっ、意外と数がいる!
  3556. 鶴乃: けど、これでやられてたら、 最強の名が廃るよ!
  3557. くっ…
  3558. 鶴乃: ぉおっ!?耐えた!?
  3559. 負けられない… ここまで来たんだもん…!
  3560. フェリシア: 気をつけろ! コイツら意外とやるぞ!
  3561. うい: フェリシアさん サポートするね!
  3562. フェリシア: おう、ありがとな!
  3563. いろは: それに…!
  3564. 今です教官!!
  3565. いろは: く…神楽さんの弾が、 隙間を縫って飛び込んでくる…
  3566. ひるんだ隙にッ!!
  3567. いろは: ッ、まだっ!
  3568. ガッ…く…
  3569. いろは: 藍家さんから羽根に 撤退命令があったんじゃ…
  3570. 最後の最後まで、 姫様に頼りたくはないの…!
  3571. 燦: なぜ急に撤退だなんて 言い出したのかはわからない…
  3572. 燦: 姫様が言うことには 何か意味があるはずよ
  3573. 燦: だけど、だからといって ここで退いてしまえば
  3574. 燦: 私たちは自分が望む幸福な未来を 彼女だけに背負わせてしまう
  3575. 燦: みんな同じ想いよ ここまで来れば失敗は許されない
  3576. 燦: なら、自分たちの幸せのために 最後まで自分で抗う!
  3577. 燦: はぁあああああッ!!
  3578. みふゆ: ふっ
  3579. みふゆ: くっ
  3580. みふゆ: やっ…!
  3581. みふゆ: せやァアッ!
  3582. みふゆ: ふぅっ、ふぅっ…
  3583. 燦の声: ミユ!
  3584. ミユリ: ふっッ!
  3585. みふゆ: っ!
  3586. 燦: 意味がわからないわね… ほとんど全てかわされた…
  3587. 燦: さっきもそうだったけど
  3588. 燦: マギウスの翼に居たころの 弱っていたあなたはどこに…
  3589. みふゆ: 知りませんよ!
  3590. みふゆ: 言えるのは、最近のワタシは 絶好調ということだけです!
  3591. 燦: ぐっ!
  3592. みふゆ: 教官に薬を盛られなければ あのときも負けませんでした!
  3593. 燦: アゥッ!
  3594. みふゆ: 教官、もうやめましょう!
  3595. みふゆ: 藍家ひめなの作戦が成功しても、 それで残るのは怨嗟だけ!
  3596. みふゆ: 魔法少女に対して投げかけられる 人々の恨みだけですよ!
  3597. 燦: それをねじ伏せるのが、 神になる私たちなのよ!!
  3598.  
  3599. FILENAME: text_103105-6_32rIq.txt
  3600. フェリシア: しゃあっ!
  3601. フェリシア: こっちは倒したから 最後はきょーかんを倒してやる!
  3602. 鶴乃: 乗った! 一気に畳みかけるよ!
  3603. いろは: うい、フェリシアちゃんたちが 攻撃をするタイミングで
  3604. いろは: 私たちは神楽さんの隙を作るよ!
  3605. うい: うん、ツバメさんたちに 囲んでもらったら
  3606. うい: 動きだって止められるかも
  3607. うい: あっ…!
  3608. いろは: 止まって!
  3609. ミユリ: フゥ…フゥ…
  3610. いろは: 手応えがない…
  3611. うい: まずはこの人を倒さないと…
  3612. いろは: うん… 神楽さんには近づけないね…
  3613. フェリシアの声: りゃぁああああっ!
  3614. 鶴乃の声: 最強のコンビネーション アターーーーック!!
  3615. ガィン…!
  3616. フェリシア: ぅぁあああっ、かってぇ! しびれたぁ…!
  3617. 鶴乃: ウソでしょ!? 全然効いてないッ!?
  3618. 燦: そんな真っ直ぐな攻撃は、 私には通用しないわよ
  3619. みふゆ: 「鶴乃さん、フェリシアさん 退がってください」
  3620. 鶴乃: う、うんっ!
  3621. フェリシア: おうっ
  3622. 燦: 的になりに来たの?
  3623. みふゆ: あなたが戦うのをやめないなら ワタシはもう許しません
  3624. 燦: ひとりで私を相手にして 勝つつもり?
  3625. みふゆ: どれだけ殴ったところで、 勝てないでしょう
  3626. みふゆ: ですが、心はどうでしょう
  3627. 燦: ――っ!?
  3628. みふゆ: あなたはワタシの幻覚の力を 人を苦しめるために利用した…
  3629. みふゆ: ワタシ、あなたのことが 心の底から許せないんですよね…
  3630. 燦: あなたが私の手の内を知るように 私もあなたの手の内を知ってるわ
  3631. 燦: 幻覚なんて効かないわよ
  3632. みふゆ: マギウスの翼にいたときの ワタシとは違います
  3633. みふゆ: かつての実力を超えるほどの 絶好調なんですから!
  3634. みふゆ: 覚悟してください
  3635. みふゆ: あなたが人々を苦しめた幻覚で 今度はあなたが苦しむ番です!
  3636. 燦: っ!
  3637. みふゆ: 遅い!
  3638. みふゆ: 後輩のあなたが抱える悩みは ワタシも知っている
  3639. みふゆ: それを忘れないでくださいね
  3640.  
  3641. FILENAME: text_103105-7_32rIq.txt
  3642. 燦: この光景は…光塚の火祭り…
  3643. 燦: 燃え盛る炎は少し離れた所でも感じるくらいの 熱気を放っていて 目も鼻も口も全てを焼いてしまいそう…
  3644. 燦: 最初は怖いと思ったけど 激しく燃える炎の向こう側に神様がいると思うと 目の前の炎が光り輝く神の御業のようで 舞っている火の粉の粒子のひとつひとつが まるで宝石のように見えた
  3645. 燦: そう、これは私を神楽燦として形作った場所だ
  3646. 燦: …………
  3647. 燦: (どうしてだろう…)
  3648. 燦: (いつもより、ずっと懐かしくて 愛おしい気持ちが湧いてくる)
  3649. 燦: (どこの町にもあるものだとは 思うけど)
  3650. 燦: (私は光塚の少しだけ乾いた ほこりっぽい空気も)
  3651. 燦: (少しずつ混ざった家庭の香りも すべてが大好き)
  3652. 燦: (特に今は夕食の準備を始めて 色んな香りが混ざりあってる)
  3653. 燦: (色濃く人の気配を感じる 光塚の町が今日も生きてる証だ)
  3654. 燦: ふふっ
  3655. 燦: おじさん、 いつものメンチカツちょうだい
  3656. ☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  3657. 燦: ありがとう、 はい、110円ね
  3658. ☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  3659. 燦: うん、次に来るときは、 ミユも一緒に連れてくるわね
  3660. ☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆
  3661. 燦: あ、お婆ちゃんこんにちは もう腰は平気?
  3662. ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  3663. 燦: そっか、病院の先生が言うなら きっと治るし、治って欲しい
  3664. 燦: だって、次の火祭りの舞台も 見に来て欲しいもの
  3665. 燦: ここは私を育ててくれた揺り籠
  3666. 燦: 毎日がどれだけ淡々としていて面白みがなくて ずっと同じことを繰り返していたとしても 私はこの世界があるだけで幸せ
  3667. 燦: 時間が過ぎていくことは仕方ないことだけど 本当は誰も死んで欲しくないし ずっと変わらず、私に笑顔を向けていて欲しい
  3668. 燦: 私はずっと、ここから離れたくないから
  3669. 燦: あっ、会長!タツ兄!
  3670. 燦: なっ!?
  3671. 燦: ちょっ、みんな何やってるの!?
  3672. 会長: …………
  3673. タツ: …………
  3674. 燦: やめて、なんで神輿を壊すの!? 今度の火祭りで使うのに!
  3675. 燦: っ、かい…ちょう…?
  3676. 会長: ||||||||||| |||||
  3677. 燦: 違う、火祭りは終わってない!
  3678. タツ: |||||||||
  3679. 燦: お前はここに居られないって どういうこと…!?
  3680. 燦: ここは、光塚の町は私にとって!
  3681. タツ: |||||| |||
  3682. 燦: なんで… 私は立ち止まってない…
  3683. 燦: 火祭りを続ける未来のために あがき続けてる…!
  3684. 会長: |||||||
  3685. 燦: それなのにどうして、 私を避けるの…?
  3686. 燦: みんなは私の居場所なのに…
  3687. 会長: |||||||
  3688. タツ: || ||||||||||
  3689. 燦: 無理じゃない!幻じゃない! 私は祭りを生かし続ける!
  3690. 燦: やめて…!
  3691. 燦: 私の世界を壊さないで!
  3692. 燦: 「壊さないで!」
  3693.  
  3694. FILENAME: text_103105-8_32rIq.txt
  3695. 燦: ダメ…消させない…
  3696. 燦: 光塚も火祭りも、私という存在を かたどる全てなのよ…
  3697. 燦: だから…!
  3698. 燦: 消させるもんですか!!
  3699. 燦: はぁ…はぁ…
  3700. 燦: また、私の世界を壊すの…? お願いだから壊さないでよ…
  3701. 燦: 私の心が壊れちゃう…
  3702. 会長: ☆☆☆☆
  3703. 燦: どうして悲しそうな顔で見るの…
  3704. タツ: ☆☆☆☆☆☆☆☆
  3705. 燦: 一緒に越えたいって言われても、 離れていくのはタツ兄だよ
  3706. 燦: 私は火祭りがなくなる苦難を 乗り越えようとしてるんだから…
  3707. タツ: …………
  3708. 燦: どこを見てるの…?
  3709. 燦: ここにあるのは暗闇 ただ、何もない無でしかない…
  3710. 燦: …………キレイ…
  3711. 会長: ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  3712. 燦: 越えていけ…? どういうこと…?
  3713. タツ: ☆☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  3714. 燦: ――っ!?
  3715. 燦: 燃えているのは神輿… 守りたかった私の神様…
  3716. 燦: でも、どうして… どうしてこんなにキレイなの…
  3717. 燦: あぁ…そう…そうだった…
  3718. 燦: 火の神様はすべてを燃やし 次に備える糧を作る…
  3719. 燦: もし、火祭りを大切に思うなら…
  3720. 燦: 私も私を捕らえる今を燃やして 未来に進むべきなのね…
  3721. 会長: ☆☆☆☆☆☆
  3722. 燦: それが、 私が信じてきた火祭りの姿
  3723. 燦: ただ守るだけではない 次を示してくれる、私の神様…
  3724. タツ: ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆
  3725. 燦: あぁ…そうだ…
  3726. 燦: あの時の私も神火を通して 新しい自分を得た…
  3727. 燦: それなら…
  3728. 燦: うん、本当に火祭りを信じるなら 私は越えて行くわ…
  3729. 燦: 現実に抗わず…今を…
  3730. 燦: …………
  3731. 燦: 私は…
  3732. ミユリ: 燦様!燦様! 気を確かにしてください!
  3733. 燦: ミユ… 私は帰ってきた…のね…
  3734. ミユリ: いったい燦様に何をしたんですか みふゆさん!
  3735. みふゆ: 最悪の幻覚と共に 未来へ歩めるような幻覚を…
  3736. ミユリ: どういうことですか!
  3737. みふゆ: …失われゆくものを乗り越える
  3738. みふゆ: かつて 光塚の火祭りの起源である少女は
  3739. みふゆ: 確かにご神体を守って、 人々に安寧をもたらせた…
  3740. みふゆ: ですが、今はその鉄壁の守りが、 あなたの未来を阻んでます
  3741. 燦: …わかってる
  3742. 燦: みんなもう、火祭りのことに 固執してないって…
  3743. 燦: でも、それは諦めじゃない 新しい道を歩み出した証なのね…
  3744. みふゆ: それでもきっと光塚の人たちは、 あなたを気にかけてくれている
  3745. みふゆ: それは、固執するあなたを 突き放しているんじゃなくて
  3746. みふゆ: あなたと一緒に 変わっていきたいんですよ、教官
  3747. 燦: なんだか…わかったわ…
  3748. ミユリ: さ、燦様…
  3749. みふゆ: ミユリさんも、ただ献身的で 従順であることだけが
  3750. みふゆ: 愛じゃありませんよ
  3751. ミユリ: う、うぅ、うるさいです!
  3752. フェリシア: おしっ、こっちも終わったぞ! 早くゴールをみつけねーと!
  3753. 鶴乃: 乱暴なマネはしたくないけど、 タイムリミットが迫ってるからね
  3754. いろは: お願いです、藍家さんの居場所を 教えてください
  3755. 燦: いやよ…
  3756. いろは: 神楽さん…!
  3757. 燦: …負けは認める…けど、 姫様の想いは守らせてもらうわ
  3758. フェリシア: うぅ、もういいカゲンにしろよ! 本気でズガンだぞ!?
  3759. やめてください!
  3760. うわさがあった廃博物館 そこに姫様がいます!
  3761. 燦: あなた…!
  3762. もう十分です…十分やりました…
  3763. 燦: っ…
  3764. いろは: 罠だとしても 乗っかるしかないですね
  3765. うい: うん、みんなで行こう!
  3766. はぐむ: 間に合うかな…時雨ちゃん
  3767. 時雨: 間に合わせないといけないんだよ はぐむん…
  3768. はぐむ: 藍家さんのメッセージ…
  3769. はぐむ: 神浜市から出て行けって 絶対におかしいもんね
  3770. 時雨: 三輪さんが言ってた話だと
  3771. 時雨: 新しく改竄を合成したものを 作ってたみたいだけど
  3772. はぐむ: 神浜市全体に何をする気なのかは わからないって言ってた…
  3773. はぐむ: 追い詰められてるのに、 それでもひとりで残るとしたら…
  3774. 時雨: うん…
  3775. 時雨: 姫は逆転するために 今度は魔法少女に何かする気だ…
  3776.  
  3777. FILENAME: text_103105-9_32rIq.txt
  3778. 月咲: (どうして… ウチはここに来たんだろう…)
  3779. 月咲: (人が多く集まる場所だから?)
  3780. 月咲: (ここなら見つかったとしても、 戦うことなんてできないから?)
  3781. 月咲: (みんな体の異変を感じて、 診察に来てるみたいだから?)
  3782. 月咲: (…きっと、それだけじゃない)
  3783. 月咲: …………
  3784. 月咲: 月夜ちゃん…
  3785. 月夜: 月咲ちゃん…
  3786. 月咲: ウチら本当に 双子だったんだね…
  3787. 月夜: はい…
  3788. 月咲: (せっかく水名神社を避けて ここに来たのに…)
  3789. 月咲: (ここも、ウチらが双子だって 気づいた、大切な場所…)
  3790. 月咲: ウチは見つけて欲しいのかな 月夜ちゃんに…
  3791. 月咲: ――っ!?
  3792. 十七夜: ここに居たとは、 ずいぶんと探したぞ
  3793. みたま: メッセージを送ったけど、 反応がないから心配したわよ
  3794. 月咲: …月夜ちゃんを撒くために、 スマホを捨ててきて…
  3795. みたま: あら、大胆ね
  3796. 月咲: ネオマギウスの様子は… 作戦は成功しそうですか…?
  3797. 十七夜: …すまない月咲君
  3798. 十七夜: その話だが、自分と八雲は ネオマギウスと手を切った
  3799. 月咲: えっ!?
  3800. 十七夜: 勝手な話で申し訳ないが、 希望を見せられてしまった
  3801. 月咲: でも、今さら東西の関係が 変わることなんて…
  3802. 月咲: ウチらだって 西に引き取られた月夜ちゃんと
  3803. 月咲: 東に残ったウチが 会ったりしないようにって
  3804. 月咲: 軟禁されてたのに…
  3805. みたま: だけど、その月夜ちゃんも ミィと一緒に動いていたのよ…
  3806. みたま: 東西を繋ぐために…
  3807. みたま: ほら、これを見て
  3808. 月咲: …神浜市の未来を作る学生会議?
  3809. みたま: 今も増え続けてる署名はね、 神浜市の東西の学生たちばかりよ
  3810. みたま: これまでは歴史や周囲を気にして 若者は誰も発言してこなかった…
  3811. みたま: だけどね、一部だったとしても、 声をあげる人が出てきたの…
  3812. みたま: 東西の関係を変えるために…
  3813. 月咲: これは…本当なんですか…?
  3814. 十七夜: 自分の弟も含めて、 署名してくれた学生の姿を見た…
  3815. 十七夜: ならば、滅びの果てにあるのは、 東西が手を取り合う未来ではない
  3816. 十七夜: 単なる破壊によって 希望が断たれた虚しい未来だ…
  3817. 十七夜: しかも滑稽な話だが
  3818. 十七夜: 神浜市長選挙で、現市長が 東を貶める動きを見せたのは
  3819. 十七夜: どうもネオマギウスの策略で 藍家ひめなが関わっているらしい
  3820. 月咲: え…
  3821. 十七夜: 自分たちが伝えられるのは以上だ
  3822. みたま: これからわたしと十七夜は、 自分たちにできることをするわ
  3823. みたま: 月咲ちゃんも、今の話を聞いて もう一度だけ考えて
  3824. 十七夜: 振り回してしまったことを 自分たちは謝ることしかできない
  3825. 月咲: ううん…
  3826. 月咲: ネオマギウスにつくって 決めたのはウチ自身
  3827. 月咲: だから、十七夜さんたちが謝る 必要はありません…
  3828. 月咲: ただ、今の話が本当だとすると、 ウチがしたことは…
  3829. 十七夜: …………
  3830. 十七夜: 梓と月夜君が君を探している
  3831. 十七夜: 協力すれば神浜市の人の暗示を 解けるだろう
  3832. 月咲: ――っ!?
  3833. 十七夜: 伝えたかったのはそれだけだ
  3834. 十七夜: 足早になってしまって悪いが こちらも時間がないのでな
  3835. みたま: じゃあね、月咲ちゃん
  3836. 月咲: ふたりは、どうするつもり?
  3837. みたま: わたしたちも 責任を取るつもりよ
  3838.  
  3839. FILENAME: text_103105-10_32rIq.txt
  3840. 月夜: (もしかしたらと思って、 来てみたでございますが…)
  3841. 月夜: …………
  3842. 月夜: (月咲ちゃんの反応はない… 立ち寄ってないでございます…)
  3843. 月夜: (あと、可能性があるとすれば)
  3844. 月夜: (そう、私たちにとって 大切な場所がもう1ヶ所…)
  3845. タケの声: え、月咲…ちゃん…?
  3846. 月夜: ひゃっ!?
  3847. 月夜: って、今の声は…どこから…?
  3848. 月夜: (行き倒れてるでございます!)
  3849. 月夜: 大丈夫でございますか!?
  3850. タケ: ああ、良かった…月咲、ちゃん… やっぱ、ここかぁ…
  3851. タケ: 姉ちゃんと会ってるって、 おやっさんに、バレて…
  3852. タケ: ここで会ってたって… 言ってたもん、な…
  3853. 月夜: あぁあの、ちょっと… 私は…月咲ちゃんでは…
  3854. タケ: 帰ろう…みんな、心配してる…
  3855. 月夜: ――っ!?
  3856. 月夜: (意識がもうろうとしてる!?)
  3857. 月夜: (口が渇いて…熱も…脱水…? 早すぎるでございます…)
  3858. タケ: …食べられなかったから…
  3859. 月夜: え…?
  3860. タケ: また、俺の好物、作ってくれたら 嬉しい…な…
  3861. タケ: …………
  3862. 月夜: ちょ、ちょっと! しっかりするでございます!
  3863. 月夜: (間違いなく、天音竹工房の方)
  3864. 月夜: (それも月咲ちゃんのことを 想ってくれる希有な…!)
  3865. 月夜: (あぁ、早くこの方を病院に…)
  3866. 月夜: この近くで点滴の対応をしてる 病院があるとすれば
  3867. 月夜: 里見メディカルセンターで ございます…
  3868. 月夜: …………
  3869. 月咲: …………
  3870. 月咲: 月夜ちゃん…
  3871. 月夜: 月咲ちゃん…
  3872. 月咲: ウチら本当に 双子だったんだね…
  3873. 月夜: はい…
  3874. 月夜: 思い出した…
  3875. 月夜: きっと月咲ちゃんも、 いるはずでございます…
  3876.  
  3877. FILENAME: text_103105-11_32rIq.txt
  3878. 月夜: 見つけたでございます…
  3879. 月咲: …………
  3880. 月咲: 見つかっちゃったね 月夜ちゃん…
  3881. 月夜: やっぱり、 この病院にいたのでございますね
  3882. 月咲: 月夜ちゃんも思い出したんだ
  3883. 月夜: 半分は月咲ちゃんの 知り合いのおかげでございます
  3884. 月咲: ウチの…?
  3885. 月夜: 月咲ちゃんのことを必死に探して 神社で倒れていたのでございます
  3886. 月咲: お父ちゃん…?
  3887. 月夜: いえ、若い男性でございます
  3888. 月夜: 病院まで連れて来たものの、 名前までは…
  3889. 月夜: ただ、言ってたでございます
  3890. 月夜: 食べられなかった好きな料理を また作って欲しいって
  3891. 月夜: だから、天音竹工房の方で 間違いないはずでございますよ
  3892. 月咲: ――っ!?
  3893. 月咲: …あぁ、タケさんだ
  3894. 月咲: ウチ、自分のことばかり考えて、 ヒドいことしちゃった…
  3895. 月咲: タケさんが倒れてたなら、 お父ちゃんだって…
  3896. 月夜: 確かに月咲ちゃんがしたことは ヒドいことですが
  3897. 月夜: 私は月咲ちゃんの考えが わかるでございます…
  3898. 月夜: きっと、私と月咲ちゃんの ふたりの未来のために
  3899. 月夜: 神浜市の東西の件で 動いてくれたと思うでございます
  3900. 月咲: だけど、空回りだった…
  3901. 月咲: 黒幕はネオマギウスで…
  3902. 月咲: ウチはそのグループの中で みんなを殺そうとした殺人鬼…
  3903. 月咲: 月夜ちゃん…
  3904. 月夜: そうでございます…
  3905. 月夜: 月咲ちゃんからネオマギウスへの 情報提供は痛手でございました
  3906. 月夜: 変えられない過ちでございます
  3907. 月夜: それでも、過去は変えられずとも できることはあるでございます
  3908. 月咲: …………そうだね
  3909. 月夜: みふゆさんとも合流して、 みんなの暗示を解くでございます
  3910. 月咲: …うん
  3911. 月咲: どうせなら1090の放送に乗せて 日本中に広げる気持ちで
  3912. 月夜: はい、その意気でございますよ!
  3913. ピロン♪
  3914. 月夜: …………
  3915. 月夜: 放送の場所は…
  3916. 月夜: 藍家ひめなの居場所は、 栄区の廃博物館でございます…!
  3917. かごめ: はぁ…はぁ…
  3918. 風の伝道師のウワサ: …………
  3919. かごめ: うん、みんなの反応を感じる
  3920. かごめ: 「真っ先に廃博物館に到着しそうなのは さっきまで栄総合学園にいたいろはさんたち」
  3921. かごめ: 「ももこさんたちはそれに続くように動いてる」
  3922. かごめ: 「他の子たちも移動してきてることを考えると いよいよ、ひめなさんは包囲されてしまうし」
  3923. かごめ: 「時女一族の人たちも加わると さすがにひとたまりもないはず…」
  3924. かごめ: (みんなが追い詰めてる…)
  3925. かごめ: (危険な形で魔法少女の存在が 伝えられないように…)
  3926. かごめ: だけど、もう時間がない…
  3927.  
  3928. FILENAME: text_103105-12_32rIq.txt
  3929. いろは: 見つけました! 魔法少女の魔力反応があります!
  3930. 鶴乃: うん、ネオマギウスの…
  3931. 鶴乃: あのときに感じた リーダーの反応と同じだよ!
  3932. フェリシア: 町を滅茶苦茶にしやがって、 ぜってーに許さねえ!
  3933. やちよの声: ええ、東西のことも含めて、 ひっかき回してくれたからね
  3934. フェリシア: おっ、やちよだ!
  3935. 鶴乃: おかえり、おつかれさま!
  3936. やちよ: 番組の出演よりも、各方面への 謝罪に時間をとられたわ…
  3937. いろは: でも、十七夜さんとみたまさんが 帰ってきました
  3938. いろは: やちよさんのおかげですよ
  3939. いろは: それに、まだ署名も増えてるって 言ってました
  3940. やちよ: それなら、出演したかいもあるわ
  3941. やちよ: 藍家ひめなのせいで、 再び関係は崩れてしまったけど
  3942. やちよ: その分、これからは 強固な絆になれば嬉しいわね
  3943. みふゆ: その未来のためにも、 現状を打破しないといけません
  3944. みふゆ: 放送までの残り時間も あとわずかです
  3945. うい: 博物館ってあそこ!? なんだか崩れちゃってるけど…
  3946. いろは: マギウスの翼との戦いで 爆発が起きちゃったからね
  3947. うい: 中に藍家さんが…
  3948. いろは: うん、止めよう これだけいれば大丈夫だよ
  3949. 鶴乃: さあ、やっと見つけたよ! 藍家ひめな!
  3950. フェリシア: 魔法少女を悪者にするような ほーそーをするんだろ!?
  3951. やちよ: 恐怖で縛りつけて力を示しても 人を治めることはできないわ
  3952. みふゆ: もう終わりにしましょう 早く出てきてください
  3953. ひめな: はぁ~あ
  3954. ひめな: 放送直前に見つかるとか マジでサがる展開なんだけど
  3955. ひめな: しかも、 最初っからディスってくるじゃん
  3956. いろは: 魔法少女を知ってもらうことを、 私は否定してません
  3957. いろは: でも、誰かの未来を奪うことは、 してほしくない
  3958. いろは: 魔法少女が人の上に立って 支配するなんて考えたくないです
  3959. いろは: 強制的に理解させなくても わかってくれる人はいます
  3960. いろは: そうすれば、手を取り合って 支え合うこともできるはずです
  3961. ひめな: フッ…キャッハハハハッ★
  3962. ひめな: マジでさ、 いろりんはわかってなさすぎ
  3963. ひめな: 人間なんて表面ばっか繕って 理解してくれる人はいないって
  3964. ひめな: そもそも、なんでもかんでも 都合良く受け入れてくんないよ
  3965. ひめな: だから私チャンは人間を支配して 誰も逆らえない神になるの
  3966. ひめな: わかる?
  3967. 鶴乃: 説得したいところだけど、 この様子じゃ難しそうだね
  3968. みふゆ: はい…
  3969. みふゆ: 残念ですが、時間をかける余裕は ワタシたちにはありません…
  3970. ひめな: 大人の相手をしたことがあるなら ぶっちゃけわかるっしょ
  3971. ひめな: みんな理解したフリをするだけで 心の中じゃ全く信じてない
  3972. ひめな: あとで心に傷を負うのは、 いっつも私チャンたちじゃん
  3973. ひめな: そんなヤツらに手を差し延べても いつか背中を刺されるだけ
  3974. ひめな: 今の私チャンも同じだから わかるんだよね
  3975. ひめな: みんな感情があるだけで 本音はなんも言わない
  3976. ひめな: キュゥべえと 同じようなもんだって
  3977. フェリシア: おぉ、大人って キュゥべえなのか…!?
  3978. やちよ: 彼女にとってはね
  3979. やちよ: そもそも、どんな理由を並べても 人の命を狙うのは卑劣だわ
  3980. いろは: …最後です、藍家さん
  3981. いろは: もう、十七夜さんもみたまさんも 笠音さんも動きません…
  3982. いろは: 私たちで止めました…
  3983. ひめな: 話には聞いてるよ
  3984. いろは: …魔法少女は誰もが 救いを求めてあがいていて
  3985. いろは: 今の状況だって藍家さんが 救いを求めた結果だと思います
  3986. いろは: その、藍家さんにとっての救いを 私たちがダメにしてしまうなら
  3987. いろは: 私は一緒に探します
  3988. いろは: 藍家さんが救われる他の方法を 一緒に探しますから…!
  3989. ひめな: キャハッ★ どちゃクソ、ハートにくる台詞
  3990. ひめな: だけど、私チャンが 救われたいのは今だから!
  3991. いろは: 藍家さん!
  3992. ひめな: 私チャンも限界なの! だから…だから!
  3993. ひめな: ひとりでも戦う!
  3994. いろは: 藍家さん!!
  3995.  
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  3997. やちよ: っ…この人数相手に挑むなんて 正気の沙汰とは思えないわ…!
  3998. フェリシアの声: 記憶ごと吹っ飛べ! ドッカーーーーーン!!
  3999. フェリシア: なっ…!いねえぞ!
  4000. フェリシア: なぅ!?
  4001. ひめな: あざまる★ 忘却の力はもらったから
  4002. やちよ: フェリシア!!
  4003. ひめな: いまっ!
  4004. やちよ: ぐっ…!?
  4005. やちよ: …あれ、私は今
  4006. ひめな: これで、どうだっ!
  4007. やちよ: クッ!
  4008. いろは: 人の能力を 他のものに合成して使ってる!?
  4009. うい: こんなに色んな魔法使われたら、 どうすればいいか…
  4010. みふゆ: ですが、死角からであれば!
  4011. ひめな: ここで、由比鶴乃の幸運!
  4012. みふゆ: まさか、さっき鶴乃さんに 触れたときに合成を…!?
  4013. ひめな: 続けて、あなたの幻覚で みんなまとめて悪夢の底に!
  4014. やちよ: させないわ!
  4015. ひめな: った! マジ、やなタイミングで…!
  4016. みふゆ: すみませんやっちゃん
  4017. やちよ: 動きは速くないけど、 魔法の組み合わせが厄介ね…
  4018. みふゆ: もう時間が…
  4019. 鶴乃: …………
  4020. みふゆ: 鶴乃さん…?
  4021. 鶴乃: たぶん大丈夫だよ わたしたちの勝ちだと思う…!
  4022. 鶴乃: なっ…今度は何の魔法…!? すごい魔力を感じる…!
  4023. やちよ: どこにそんな力を隠して… 違う、まさか…!
  4024. ひめな: あなたたちの攻撃を受けつつ 環ういの回収で魔力を集めてたの
  4025. ひめな: じゃーね このまままとめて倒してや
  4026. ひめな: るっ…!?
  4027. ドサッ…
  4028. ひめな: ケホッ… く…いったぁ…
  4029. フェリシア: な、あ? どうしたんだよコイツ…
  4030. いろは: ソウルジェムが濁ってる…
  4031. うい: それって、魔力の使い過ぎって いうこと…?
  4032. いろは: 色んな魔法を連続で使う上に 合成して使うってなると…
  4033. やちよ: 普通に使うよりも 消耗が激しくなるのね…
  4034. ひめな: あーあ…
  4035. ひめな: 私チャン的には、もう少し 早く片づけられると思ったのに
  4036. やちよ: 読み違えたわね
  4037. ひめな: とりま、そういうことみたい
  4038. 鶴乃: もう、変身を解いて諦めてよ これ以上はわたしたちも…
  4039. ひめな: 本当はやりたくなかったけど 最終手段かな…
  4040. ひめな: ていうか、ぶっちゃけ本命?
  4041. 鶴乃: え…?
  4042. ひめな: こんな状況でも 私チャンの勝ち確は変わらない
  4043. 鶴乃: もう何もできないはずだよ…!
  4044. ひめな: 私チャン的に8つのキモチの石は 最後に奪うつもりだったんだよね
  4045. ひめな: 1つずつ戦って奪ってくとか やってらんないし
  4046. ひめな: とりま、みんなが集めたあとで 丸っともらう方が楽じゃん
  4047. ひめな: そうすれば、小さなキュゥべえは もう手にいれてあるから
  4048. ひめな: あとは自動浄化システムを キュゥべえから奪うだけってね
  4049. やちよ: ハッタリはやめなさい
  4050. フェリシア: もう、無駄なてーこーだぞ!
  4051. ひめな: 「神浜市に張り巡らされてる送電網 その母線となる変電所にね ボタンひとつで発動する仕掛けを作った」
  4052. ひめな: 「それを使って電波望遠鏡のときと同じように 魔法少女のアンタたちの意識を改竄する」
  4053. やちよ: まさか、あなたは…!
  4054. ひめな: 「ソウルジェムを割って死んで」
  4055. ひめな: ばーか
  4056.  
  4057. FILENAME: text_103105-14_32rIq.txt
  4058. 十七夜: 八雲、姫君が設置した仕掛けは 近くにあるはずだ
  4059. みたま: ええ、強い反応があるわ だけど…あれって…
  4060. リヴィア: ぐっ…くぅ…!
  4061. リヴィア: こんな仕掛けひとつに、 なんて魔力詰め込んでるんや!
  4062. みたま: 先生!?
  4063. リヴィア: ちょうどええ! あんたらふたりとも手を貸し!
  4064. リヴィア: ヨヅルと月出里が伸びてもうて ヤバいところやったんや!
  4065. リヴィア: ここで止められへんかったら 姫さんの作戦が成功してまうで!
  4066. みたま: わ、わかりました!
  4067. 十七夜: 致し方ない!
  4068.  
  4069. FILENAME: text_103105-15_32rIq.txt
  4070. リヴィア: はぁ…はぁ…すまん… 手足が言う事きかへんわ…
  4071. 十七夜: 3人がかりで潰されるとは、 恐れ入ったな…
  4072. みたま: この遠隔操作の仕掛けは、 お姫様の肝入りだったもの…
  4073. ヨヅル: 3人とも動かないでください
  4074. ヨヅル: 私と月出里で回復を促さないと 魔力が足りなくなります
  4075. 月出里: ふむんふむんむんむふむっむ ふむむふむんむんむむ
  4076. ヨヅル: そう、こういうときに助けるのが 優しさのようですよ
  4077. ヨヅル: しかし、 調整していて気づいたのですが
  4078. ヨヅル: 3人とも今回の仕掛けを防ぐのに 死ぬ気でいましたね?
  4079. 十七夜: 姫君の仕掛けが発動すれば、 身ひとつでは持たないからな
  4080. ヨヅル: 先生も本来は私たちを 手伝わせるつもりはなかった
  4081. リヴィア: 魔法少女を皆殺しにするなんて 仕掛けは絶対に潰さなあかん
  4082. リヴィア: せやけど、それで防ぐにも 犠牲が出るってわかってたら
  4083. リヴィア: 将来有望な弟子が死ぬより 師匠が死ぬ方が順番的にええやろ
  4084. みたま: 今回のお姫様の仕掛けは 気づいてたんですね
  4085. リヴィア: あの子を調整したときに 目的が見えて、ずっと調べとった
  4086. リヴィア: さすがに魔法少女を救うのに、 全滅されたらかなわんからな…
  4087. 十七夜: 我々が生きているということは 防げたということか…
  4088. みたま: ええ、1回目はね
  4089. ひめな: …………
  4090. ひめな: …………どうして
  4091. ひめなの声: 「どうして ソウルジェムを壊さないの!?」
  4092. やちよ: ハッタリではなく、 本当に失敗したみたいね
  4093. いろは: まさか、魔法少女を まとめて殺すつもりだったなんて
  4094. 鶴乃: …………
  4095. ひめな: マジで意味がわかんない 最後の確認までしたのに…!
  4096. 鶴乃の声: 次に何を仕掛けてくるか わからないよ!
  4097. 鶴乃の声: フェリシア 一緒にズガンとやっちゃおう!
  4098. ひめな: ――っ!?
  4099. フェリシア: 今度はお前が忘れる番だ!
  4100. 鶴乃: 食らえぇえッ!!
  4101. ひめな: ま、まだ!
  4102. ひめな: はぁっ…はぁ…
  4103. ひめな: ごめん…ヒコ君… こんなことになるなんて…
  4104. うい: もう、魔力もないんでしょ…?
  4105. うい: 苦しめたりなんてしないから、 お願いだから捕まって
  4106. ひめな: だれが!
  4107. ひめな: それに、失敗を想定しないなんて そんなザルじゃないし
  4108. いろは: 藍家さん!
  4109. ひめな: バックアップで仕掛けた分なら、 すぐには死なないけど…!
  4110. やちよ: みんな、彼女のスマホを奪って! あれで発信しようとしてるわ!
  4111. フェリシア: 次こそ本気だ!
  4112. 鶴乃: せーの!
  4113. フェリシア&鶴乃: 「どかーーーーん!!」
  4114. ひめな: ァアアアッ!!
  4115. 鶴乃: ッ、まだスマホは放してない…!
  4116. ひめな: ぃ、たぁ…
  4117. やちよ: …もう、やめましょう 私たちだって戦いたくないわ
  4118. いろは: そのスマホを…渡してください…
  4119. ひめな: 死ね!
  4120. やちよ: はぁあッ!
  4121. やちよ: ―やちよ― なっ!?
  4122. ひめな: ―ひめな― え、何…?
  4123. ひめな: ―ひめな― ウソ、意味わかんない…?
  4124. ひめな: ―ひめな― どうして教官とみゆりんがいるの…?
  4125. ひめな: ―ひめな― 私チャン言ったよね 最後の指示は絶対に聞いてって…
  4126. ひめな: ―ひめな― 指示もメッセージで送ったのに…
  4127. ひめな: ―ひめな― それに、しぐりんとはぐりんも… ネオマギウスから抜けたんじゃないの…?
  4128.  
  4129. FILENAME: text_103105-16_32rIq.txt
  4130. ひめな: ―ひめな― みんな、私チャンのところに 駆けつけるはずないのに…
  4131. 時雨: ―時雨― ぼ、ぼくにもわからないよ… 駆けつけて姫と戦う気だったんだ…!
  4132. 時雨: ―時雨― 絶対に電波望遠鏡のときと同じように みんなを危ない目に遭わせるって思ってたから…
  4133. 時雨: ―時雨― でも、勝手に体が動いたんだ…!
  4134. はぐむ: ―はぐむ― …私はほんの少しだけわかる気がするよ 時雨ちゃん…
  4135. はぐむ: ―はぐむ― きっとね、みんなを傷つけてる藍家さんと ネオマギウスのみんなを逃がす藍家さんは同じで
  4136. はぐむ: ―はぐむ― その優しい藍家さんを私たちは知ってるから こうやって助けちゃったんだと思う…
  4137. はぐむ: ―はぐむ― 魔法少女至上主義を広めるのも自分のためだけど 私たちのためにも頑張ってくれてたでしょ…?
  4138. 時雨: ―時雨― そうかも…だからぼくは… 姫のやり方が許せなくても、悔しくなったんだ…
  4139. 時雨: ―時雨― 姫を裏切ったのに… ここで、このまま負けてほしくないって…!
  4140. ひめな: ―ひめな― しぐりん…はぐりん…
  4141. 燦: ―燦― こんなやり方に巻き込みたくないからって 安積と宮尾を遠ざけるようにしたのに
  4142. 燦: ―燦― こうして戻って来られたんじゃ意味がないわね
  4143. ひめな: ―ひめな― 教官とみゆりんも同じだって…! 何言ってんの…!?
  4144. 燦: ―燦― 私もね、自分の目的を叶えるためではあるけど ここで散る姫様は見たくなかったのよ
  4145. ミユリ: ―ミユリ― だから残ろうってミユからも燦様に言ったんです
  4146. ミユリ: ―ミユリ― た、確かに怖いし、どうなるかわからない… けけ、けどっ!
  4147. ミユリ: ―ミユリ― ここまでネオマギウスとして積み上げたものが 崩れるのを見ていたくないですから!
  4148. 燦: ―燦― 前の私なら素直に姫様の指示を聞いてたけど 思ったよりあなたのことが好きだったみたいね
  4149. はぐむ: ―はぐむ― 私も…
  4150. 時雨: ―時雨― ぼくも…なのかも…
  4151. やちよ: それで、味方が増えたから、 放送まで耐えるって…?
  4152. みふゆ: さすがに難しいでしょう…
  4153. いろは: この反応…さなちゃん!
  4154. 静香: ごめんなさい、遅くなったわ
  4155. さな: 時女の皆さんの力を借りて、 少し動けるようになりました…!
  4156. ももこ: こっちも遅ればせながら到着だ
  4157. レナ: みかげたちも もうすぐこっちに着くはずよ
  4158. ひめな: …………
  4159. ミユリ: 姫様…ミユたちの負けです…
  4160. 燦: 姫様…
  4161. 燦: ここで放送しても 私たちが見せたいものは防がれる
  4162. 燦: 人の天辺に立つ証明が難しい以上 今回は諦めるしかないと思うわ…
  4163. ミユリ: 次は、もう少し穏やかな方法で、 理解してもらいましょう…
  4164. 時雨: ねえ、姫… 遊狩さんの言う通りだよ…
  4165. 時雨: やり方を変えて、 ぼくたちでまた頑張ろうよ…
  4166. はぐむ: 魔法少女至上主義はそのままに、 伝え方だけを変えて…
  4167. 時雨: その方が、優しい神様になれるし いいと思うよ…
  4168. ひめな: ムリ…
  4169. 時雨: え、なんで…?
  4170. ひめな: しぐりんたちと私チャンとでは、 事情が全然違うじゃん!
  4171. 時雨: でも…
  4172. ひめな: 「ぶっちゃけ、しぐりんとはぐりんはね 私チャンたちといてメッチャ強くなったよ! 今はもう誰からも馬鹿にされないぐらい すっごく真っすぐで自信を持ってる」
  4173. ひめな: 「魔法少女至上主義なんてもう必要ないよ ふたりは自然と胸を張って生きられるよ」
  4174. はぐむ: そんなこと…
  4175. ひめな: 「教官が抱えてる火祭りへの想いだって きっと大人になれば向き合い方が変わる 子どもが外野で言ってる文句じゃなくて 大人の意見としてぶつけて戦えるようになる」
  4176. 燦: …………
  4177. ひめな: 「静香ちゃんは仲間たちに許されて ちゃんと自分が望む日の本を守る道を見つけて 東のふたりだって未来の可能性を見つけた そして、プロミストブラッドの三女も 苦しみを理解してくれる人に解放された」
  4178. 静香: あなたも日の本の一員 私にできることがあれば…
  4179. ひめな: 何もないよ
  4180. ひめな: 私チャンが認めて欲しいのはね 地元にいる友だち
  4181. ひめな: 学校の先生…
  4182. ひめな: それにママ…
  4183. ひめな: 「人助けで誰が認めてくれると思う?」
  4184. ひめな: 「私チャンの中にいるヒコ君のことを…」
  4185. ひめな: 「誰に言っても認めてくれなかったし どう考えてもムリでしょ…?」
  4186. ひめな: 「私の頭の中にはもうひとりいて それが私チャンの彼なんですって」
  4187. ひめな: 「やっぱ、あたおか扱いされて終わり」
  4188. ひめな: 「だったら、それが普通のことだって どうやって認めさせればいいと思う…?」
  4189. ひめな: 「言葉でムリなら力で従わせるしかないじゃん」
  4190. ひめな: だから私チャンは最後まであがく それしかないんだよ
  4191.  
  4192. FILENAME: text_103105-17_32rIq.txt
  4193. ひめな: あ…ぅ…
  4194. 燦: 姫様、もうやめて…!
  4195. ミユリ: これ以上、 魔力を使ったら魔女に…
  4196. 燦: そう、今の神浜市で ドッペルは出ないのよ…!?
  4197. ひめな: 「は…はぁ…」
  4198. ヒコ: …………
  4199. ひめな: 「そうだね…」
  4200. ひめな: 「今ならもう1つの仕掛けを使って みんなをまとめて潰せると思う」
  4201. ヒコ: …………
  4202. ひめな: 「でも、ごめんね、ヒコ君… 今回だけはヒコ君の言うこと…聞けない…」
  4203. ひめな: 「ネオマギウスのみんなが 神浜市に残ってるってわかっちゃったから…」
  4204. 時雨: もう立たないでよ、姫…!
  4205. はぐむ: 今回は諦めましょうよ 藍家さん…!
  4206. ひめな: それなら、やるだけやって 散った方がマシだから…
  4207. いろは: 使ってください グリーフシードです!
  4208. いろは: やったことは許されないけど、 抱えてる苦しみは本物のはずです
  4209. いろは: だから、ここで救われない道を 選ぶ必要なんてありません…
  4210. いろは: 誰も傷つけずに藍家さんが 救われる方法はあるはずだから
  4211. いろは: みんなのために生きてください
  4212. ひめな: いらない
  4213. ひめな: 浄化したら人間に力を示すために 私チャンはまた暴走する
  4214. ひめな: そしてまた限界に達するのを 繰り返すだけになる
  4215. いろは: どうしてそこまでして…
  4216. ひめな: もう、待ちたくないんだよ
  4217. ひめな: 1分1秒たりとも、 今の環境で生きてたくないんだよ
  4218. ひめな: 私チャンのヒコ君が 認められないなんてもうムリ…
  4219. ひめな: それが地獄で一番の絶望…
  4220. いろは: 一緒に救われる方法を探します 私も味方でいます
  4221. いろは: それだと意味はない、ですよね…
  4222. ひめな: …誰も争わず、手を取り合って みんなで救われていく
  4223. ひめな: それ自体はステキだけど… こぼれるものもあるよ…いろりん
  4224. ひめな: …………キュゥべえ!
  4225. いろは: ――っ!?
  4226. キュゥべえ: 劣勢のようだね、藍家ひめな
  4227. ひめな: どうせ、ずっと見てたんでしょ…
  4228. キュゥべえ: もちろんだよ
  4229. キュゥべえ: キミが考えていた予定からは どうも外れてしまったみたいだね
  4230. ひめな: あなたが望んでいた通り、 もうひと波乱させたんだからさ
  4231. ひめな: 自動浄化システムをいじって 私チャンのドッペルを出して
  4232. ひめな: 今、支配してるのはアンタでしょ
  4233. やちよ: なっ…
  4234. みふゆ: 裏でキュゥべえと 繋がっていたということですか…
  4235. ひめな: だけど、それはキュゥべえには ムリみが深い話かな…
  4236. キュゥべえ: そうだね
  4237. キュゥべえ: ドッペルによるエネルギー回収が 非効率的だとわかった以上
  4238. キュゥべえ: 同じ条件下で魔女になったときの エネルギー回収量を調べるのは
  4239. キュゥべえ: ボクにとって重要なことだからね
  4240. キュゥべえ: キミがサンプルになるのは、 大歓迎だよ
  4241. ひめな: あの小さなキュゥべえを イイカンジに使う方法を聞いたり
  4242. ひめな: 割と私チャンたちは 良いタッグだと思ってたけど
  4243. ひめな: そう、うまくはいかないか
  4244. キュゥべえ: キミと組んだ覚えはないし
  4245. キュゥべえ: ボクは最初からサンプルを もらうつもりだったよ
  4246. ひめな: さすがに万事休すかなぁ…
  4247. ひめな: いろりん…
  4248. いろは: はい…
  4249. ひめな: グリーフシードを使わないで みんな、殺しちゃうから
  4250. いろは: …………
  4251. ひめな: あの小さなキュゥべえは、 公民館の中で捕らえてある…
  4252. いろは: ――っ!?
  4253. ひめな: あの子がいれば環ういなしでも とりま大丈夫
  4254. ひめな: ハブになってもらえばキモチと 自動浄化システムのコアになれる
  4255. いろは: どうして…
  4256. ひめな: 私チャンは死ぬけど、 いろりんのことは応援してる
  4257. ひめな: だから、しぐりんたちを よろしくね
  4258. ひめな: ぐっ…ぅ… もう、だめか…
  4259. キュゥべえ: 限界がやってきたようだね
  4260. ひめな: せめて、ちゃんと宇宙のために 役立ててよね…
  4261. ひめな: じゃあね… しぐりん、はぐりん、教官、みゆりん
  4262. ひめな: 今まで、ありがとう…
  4263. ひめな: みわりんにはゴメンって言っといて
  4264. ひめな: 後悔は多い、けど…ほんと…
  4265. ひめな: サイッテーでサイッコーの青春だった
  4266. ひめな: 私チャン頑張ったよ…ヒコ君…
  4267.  
  4268. FILENAME: text_103105-18_32rIq.txt
  4269. みんな: 「姫ーー!」 「藍家さーん!」 「姫様!!」 「姫様ーー!」
  4270. ひめな: …サー…シャ?
  4271. アレクサンドラ: いずれ、ひめちゃんは死ぬと 予言しておいて
  4272. アレクサンドラ: 私はその結果を 変えてしまいました
  4273. ひめな: なんなの…?
  4274. ひめな: 浄化したってことは、 殺されるまで戦えってこと…?
  4275. アレクサンドラ: 違います… 生かすために浄化したんです…!
  4276. アレクサンドラ: 私はひめちゃんから逃げた… でも逃げるべきじゃなかった…
  4277. アレクサンドラ: 過激になっていくあなたを 友だちとして叱るべきだった
  4278. アレクサンドラ: 叱ってもダメなら、 ケンカをするべきだった!
  4279. ひめな: でも今さらできることなんて…
  4280. ひめな: 私チャンの前にあるのは、 否定されるだけの毎日なんだよ?
  4281. アレクサンドラ: 時間はかかるかもしれないけど、 私が一緒に変えます…
  4282. アレクサンドラ: ひめちゃんが暴走して、 耐えられなくなるって言うなら
  4283. アレクサンドラ: その苦しみが癒えるまで 私がちゃんと受け止めます
  4284. アレクサンドラ: だから、ひめちゃんの そばに居させてください
  4285. アレクサンドラ: ひめちゃんがここで踏み止まって 平穏無事に終わらせてくれたら
  4286. アレクサンドラ: それは、私にとっても かけがえのない希望になるんです
  4287. ひめな: 本当に暴走して たくさんの人を殺そうとするかも
  4288. アレクサンドラ: 私が止めます
  4289. ひめな: ひどいこと考えるかも…
  4290. アレクサンドラ: 私が叱ります
  4291. ひめな: 耐えられなくて泣いちゃうかも…
  4292. アレクサンドラ: 私が癒やします
  4293. アレクサンドラ: それがひめちゃんに希望を与えた 私の責任だと思います
  4294. アレクサンドラ: いえ、その言い方は違いますね… 友だちだから勝手にやるんです
  4295. アレクサンドラ: 私はひめちゃんのマイメンだから
  4296. ひめな: …………
  4297. ひめな: 私チャンはみんなのことを 利用しようと思ってた
  4298. ひめな: けど、ネオマギウスのみんなが 神浜市に残ってるってわかったら
  4299. ひめな: ボタンを押せなくなった
  4300. ひめな: そしてサーシャが来てくれて
  4301. ひめな: 嬉しくて息ができないくらい 胸が苦しくなった…
  4302. ひめな: もう、簡単に誰も傷つけることが できなくなっちゃった…
  4303. ひめな: だけどいつ人の道を 踏み外すかもしれないから
  4304. ひめな: そばにいて、サーシャ… それに、みんなも…
  4305. アレクサンドラ: はい、ちゃんと支え続けます
  4306. 燦: 今回のことも含めて、 裁かれるときは一緒に裁かれるわ
  4307. 燦: そして許されるなら また、肩を並べて歩くつもりよ
  4308. ひめな: ありがと
  4309. ひめな: そして、ごめんねキュゥべえ
  4310. ひめな: 魔女になるって約束してたけど、 生き残っちゃった
  4311. キュゥべえ: 気にする必要はないよ 藍家ひめな
  4312. キュゥべえ: ボクはあくまで この環境下で魔女になった場合の
  4313. キュゥべえ: エネルギー回収量を 調べたかっただけだからね
  4314. キュゥべえ: 今は自動浄化システムを 手に入れてあるから
  4315. キュゥべえ: 効率的に魔女にする方法を 考えることにするよ
  4316. ひめな: ほんと、食えないやつ
  4317. ひめな: あと、いろりんもごめんね
  4318. ひめな: ネオマギウスのみんなはさ、 やっぱ私チャンとマイメンだから
  4319. いろは: 私は藍家さんが生きてくれるなら それで構いません
  4320. ひめな: そっか、あざお
  4321. ひめな: じゃあ、私チャンがしたことで すごく悪いんだけど…
  4322. ひめな: とりま、この状況を解決して みんなを助けないといけないよね
  4323. みふゆ: 月夜さんと月咲さんの反応です
  4324. やちよ: あのふたりがいれば、 暗示を解くことができそうね
  4325. みかげ: ふぅ…ひぃ… お姉ちゃんたち連れてきた…!
  4326. 月咲: 月夜ちゃんがわかるって言うから ついてきたのにぃ…!
  4327. 月夜: 災害で道が変わってるのは 考えてなかってございます…
  4328. 月夜: あぁ!?
  4329. 月夜: 放送まであと5分しか ないでございます!?
  4330. みふゆ: 3人そろいましたね これから神浜市の人の暗示を
  4331. ひめな: あ、ちょっと待ってくんない?
  4332. みふゆ: なんですか!?
  4333. ひめな: 敵だった私チャンが、 一番サガることをやってもらうの
  4334. ひめな: つまり、一番効果的に 暗示を解いてもらうってこと
  4335. ひめな: 深月フェリシア、こっち来て
  4336. フェリシア: あ? なんだよ、こえーことする気か?
  4337. いろは: たぶん大丈夫だと思う 手伝ってあげてフェリシアちゃん
  4338. フェリシア: …いろはがそう言うなら…
  4339. フェリシア: オレにひどいことすると、 やちよがダマってねーからな!?
  4340. ひめな: もう、うるさいなぁ
  4341. みふゆ: なるほど、 能力を合成するんですね
  4342. ひめな: そういうこと!
  4343. 月夜&月咲: 「何か入って来たでございます」 「何か入ってきたよ!?」
  4344. ひめな: 深月フェリシアの忘却と 梓みふゆの幻覚をひとつにして
  4345. ひめな: 神浜中の人の体調を戻しつつ、 今回の記憶が消えるようになった
  4346. ひめな: 幻覚を上手く組み合わせれば
  4347. ひめな: 都合の悪い事件の部分だけ 記憶を吹っ飛ばせるかもよ
  4348. ラビの声: それでは、もうひとつ力を加えて 効果が確実に出るようにします
  4349. ひめな: だれ…?
  4350. アレクサンドラ: ラビちゃん!
  4351. ひめな: サーシャの知り合い…?
  4352. ラビ: はい
  4353. ラビ: 神浜市の騒動が、 綺麗にまとまろうとしているなら
  4354. ラビ: 何事もなく終わることが私の望み そして救いでもある
  4355. 那由他: せっかくみかげさんに 場所を教えてもらったんだから
  4356. 那由他: もう少し 素直になって欲しいですの
  4357. ラビ: …………
  4358. ラビ: とりあえず時間がないので 笛のおふたりの力を向上させます
  4359. 月夜: な、なんでございますか!? すごく力が沸いてくるような…!
  4360. 月咲: これ、 今ならすごい音が出せそうだよ!
  4361. ラビ: 概念強化
  4362. ラビ: 私の魔法でふたりの固有魔法と 合成された魔法が強くなりました
  4363. ラビ: この夜に起きたこと全ての記憶が 消えるのは都合が悪いはず
  4364. ラビ: メディアの人たちだけでも 今回の一件が消えてしまうように
  4365. ラビ: 条件付けをしてみてください
  4366. みかげ: お姉ちゃんたち、早く笛吹いて!
  4367. 鶴乃: あと10秒だよ!
  4368. ちはる: 急いで!
  4369. みふゆ: お願いします!
  4370. 月夜&月咲: はっ、はぃぃぃ!
  4371. 月夜&月咲: で、ではっ…!
  4372. 月夜&月咲: せーのっ
  4373.  
  4374. FILENAME: text_103105-19_32rIq.txt
  4375. かごめ: 水平線から顔を覗かせた朝の輝きが 神浜市を照らすとき、 博物館から放たれた音も一緒に町を包んだ。
  4376. かごめ: 餓えと渇きにあえぐ人たちも、 事の真相を探ろうとしていた人たちも、 誰もが白昼夢を見ていたように 自分たちの身に何が起きたのかを忘れていた。
  4377. かごめ: だけどネットワーク上には 神浜市の異変を示す膨大なデータが残されていて この半日に起きた理解できない状況を 改めて不自然な形で示していた。
  4378. かごめ: 細部を覚えていない神浜市の人たちと 連絡を取り合っていた外の町の人たちとの間では 混乱が生まれたまま何も答えを出せずにいて
  4379. かごめ: 最後に魔法少女という言葉を出そうとしていた ひめなさんの計画も失敗したので どこからも魔法少女を疑う言葉は聞こえてこない。
  4380. かごめ: 日本中が持ちきりになっている話題の 真相を知る私と魔法少女たちは、 その詳細を語るわけにもいかずに口を閉ざし、 ただ、自分たちの生活を取り戻そうとしていた。
  4381. かごめ: そう、キモチの石はすべてそろい、 キュゥべえに奪われた自動浄化システムを 奪い返す方法もわかった。
  4382. かごめ: ようやく訪れた静かな時間の中で、 魔法少女たちは束の間の平穏を享受していた。
  4383. かごめ: そして今日、 かつて私に魔法少女のことを広めることの 重要性を教えてくれた那由他さんのお父さん… 教授のおじさんに 私は会いに行くことになっていた。
  4384. ひめな: (ごめんね、ヒコ君… 私チャンは逝けなかった…)
  4385. ひめな: (今回の作戦が失敗するようなら 終わりにしようと思ったけど…)
  4386. ひめな: 私チャンのことを必要としてくれて 私チャンも必要とするような仲間ができたから
  4387. ひめな: 私チャンを叱ってくれて 一緒に泣いてくれて 未来に可能性を見出してくれる仲間もいるから
  4388. ひめな: だから、あと少しだけ 私チャンに時間をちょうだい
  4389. ひめな: ふたりの関係が認められるまで 焦らずに戦ってみるから
  4390. ひめな: …………
  4391. ひめな: うん…ありがとう…
  4392. 時雨: ヒコ君との話は終わった…?
  4393. ひめな: うん、とりまおけまるだって
  4394. はぐむ: 良かったです
  4395. うわ、またひめなが来てるよ
  4396. てか、メッチャ引き連れて何…?
  4397. 頭で声が聞こえる奴らの集い?
  4398. ははっ、ウケる
  4399. はぐむ: 藍家さん…
  4400. ひめな: もう、あんなのに キレるような私チャンじゃないよ
  4401. 燦: さて、次は光塚の公民館よ
  4402. ミユリ: 使わせてもらった分は 片づけないとですね
  4403. 時雨: 教官は大丈夫…?
  4404. 燦: これからは青年会の人たちと、 足並みをそろえて歩いてみるわ
  4405. 燦: そして火祭りを復活させるような 大人になってみせるの
  4406. アレクサンドラ: あと、ひめちゃん スマホを買いに行きませんか?
  4407. アレクサンドラ: ヤバみが深いアイテムだからって 捨てちゃいましたよね?
  4408. ひめな: みんなを殺す機能が入ってたしね
  4409. ひめな: でも、買いに行くにしても ママの怒りが収まってからかなぁ
  4410. 樹里: そ、それでアオのやつ うどんをぶちまけたんだよ
  4411. 智珠 らんか: ひっ、ひ~ ダメ、お腹痛い…
  4412. アオ: それ、わたしが 赤ちゃんのころの話でしょ!?
  4413. アオ: どうせ偽物の記憶なんだから 掘り起こさないでよ~
  4414. アオ: 姉ちゃんがそのネタを出すなら 姉さまとのケンカの話
  4415. 樹里: 樹里サマにイタい話はねーよ
  4416. アオ: バイクに姉さまを乗せてたら
  4417. 樹里: おい、それは卑怯だ
  4418. アオ: サービスエリアに 姉さまを忘れて帰ってきて
  4419. 智珠 らんか: うわ、えっぐ…
  4420. 結菜: 懐かしい話をしてるわねぇ 忘れてないわよぉ
  4421. 樹里: な、なんだよ 夢の話で怒るなよ…
  4422. 樹里: で、なんの用だ
  4423. 智珠 らんか: 話題を変えた…
  4424. 結菜: これ、みかづき荘の七海さんから あなたにって
  4425. 樹里: なんだこの封筒… 文通する趣味なんてねーぞ…
  4426. ひかる: 窓ガラス割った請求書っすよ
  4427. 樹里: なっ!?
  4428. フェリシア: たっだいまーーーーー!
  4429. さな: あぁ、なんだか懐かしい みかづき荘の香りがします…
  4430. うい: うんっ
  4431. うい: なんだか、みかづき荘も 待っててくれた気がするね
  4432. いろは: ふふっ、そうだね
  4433. いろは: まずは、しばらくあけてたから、 お部屋のお掃除とかしないと
  4434. さな: 寂しい思いをさせた分は ちゃんとキレイにしないとですね
  4435. いろは: ねっ
  4436. いろは: やちよさん、 窓ガラスはどうですか?
  4437. やちよ: キレイに元通りになってるし、 特に悪いところはなさそうよ
  4438. やちよ: ガスや電気も通ってるから、 さっそく普通に生活できるわね
  4439. やちよ: あ、そういえば請求書だけど 紅晴さんに渡してくれた?
  4440. いろは: はい、今頃は大庭さんに 届いてると思います
  4441. ダダダダダ!
  4442. 鶴乃: どうも!いつも陽気な万々歳! 今日も元気に出前でっす!
  4443. 鶴乃: みかづき荘への復帰 おめでとーございます!
  4444. 鶴乃: withわたしに対しても!
  4445. やちよ: ふふ、なにを言ってるのやら お父さんは無事だった?
  4446. 鶴乃: うん、ピンピンして 今日も普通に営業してるよ
  4447. いろは: これで、もうほとんどの家の 無事は確認できましたね
  4448. フェリシア: 十七夜とみたまも 見つかったのか!?
  4449. やちよ: いえ、まだふたりは 見つかってないわ
  4450. フェリシア: マジか… キモチの石を持ってるし
  4451. フェリシア: これじゃ8つそろわねーぞ…
  4452. やちよ: 連絡はとれてるんだけどね…
  4453.  
  4454. FILENAME: text_103105-20_32rIq.txt
  4455. リヴィア: ったぁ!
  4456. リヴィア: もうちょい丁寧に調整したってや こんなん死んでまうわ…
  4457. ヨヅル: 大げさですね
  4458. リヴィア: でた、心ないヨヅルの言葉…
  4459. 月出里: ふんむむ…
  4460. ヨヅル: 月出里も大げさだと 言ってますが…?
  4461. リヴィア: あんまりケガせん人が、 消毒するときに痛がるんと同じや
  4462. リヴィア: 普段はこのケアトレーラーの中で 戦いとは無縁やから
  4463. リヴィア: いざというときにケガをすると、 こうなるんや
  4464. ヨヅル: つまり大げさということですね
  4465. リヴィア: せやな
  4466. リヴィア: しっかし、あのふたりは いったいどこへ行ったんやろ…
  4467. ヨヅル: 一緒に藍家ひめなの仕掛けを 防いだのは良かったのですが
  4468. ヨヅル: 追いかけるにしても先生の体が ボロボロでしたので
  4469. ヨヅル: そちらを優先するように 判断するしかありませんでした
  4470. リヴィア: マニュアル通りの優しさで 結構なこった
  4471. ヨヅル: それに、先生を調整したせいで 私と月出里も気分を悪くしました
  4472. ヨヅル: 精神的に動ける状態では ありませんでした
  4473. 月出里: ふむっ?!
  4474. 月出里: ゥゥゥゥ…!
  4475. リヴィア: 私の過去が見えて倒れるんなら ムリせんでええで…?
  4476. リヴィア: 私が“悪そのもの”になるんを 願うような過去や…
  4477. リヴィア: 気分も悪いやろ…
  4478. 月出里: ふむ…ふむんふむんむんむむ、 ふむっむふむむん…
  4479. ヨヅル: 早く治さないと 探しに行けないと申しております
  4480. リヴィア: せやな
  4481. リヴィア: 私らで追いかけなあかんな みたまと十七夜を
  4482. かごめ: それじゃあ、皆さんの 答えは変わったんですか…?
  4483. 太助: 神浜市で起きている キモチの石を巡る争いと
  4484. 太助: 今回のネオマギウスによる 大規模な計画が
  4485. 太助: 私たちが宇宙に縛られているかを 判断する指標だったからね
  4486. ラビ: はい、湯国市で魔法少女の存在を 知らせようとしていたときは
  4487. ラビ: 今回と比べても規模は小さかった
  4488. ラビ: だから、全員が平穏無事とは いかずとも
  4489. ラビ: 今の被害だけで済んだのは 私たちにとっての希望になった
  4490. ラビ: 湯国市で多くが死んで傷ついた 過去を、必然や運命ではなく
  4491. ラビ: 自分たちに責任があっても 偶然と思うことができるから
  4492. かごめ: それで、少しずつ皆さんも 未来を見始めたんですね…
  4493. 太助: 少なくともサーシャは、 ネオマギウスとの未来を見ている
  4494. 太助: 今もここに姿がないからね
  4495. かごめ: 嬉しいこと…ですよね?
  4496. 太助: そうだね
  4497. ラビ: それに未来を見ているのは サーシャだけじゃない
  4498. 旭: 我は時女一族と共に真っすぐ 生きる未来を望んだであります
  4499. うらら: ウチは結菜さんたちが生きてる 未来を望んだんよ
  4500. ラビ: そして、私は那由他様や みかげさんたちと共に過ごす
  4501. ラビ: 変わらない日々を望んだ…
  4502. 太助: 魔法少女は救われない 宇宙の意思に飲まれてしまう
  4503. 太助: そう考えていた私たちの心に 一筋の光が差し込んだからね
  4504. かごめ: では、教授も魔法少女を 救うための活動に戻るんですか?
  4505. 太助: うん
  4506. 太助: 「魔法少女 その希望と絶望」の 下巻をまとめるよ
  4507. 那由他: そして私はまたパパと一緒に 魔法少女のことを広めるんですの
  4508. 太助: そこに、キミも加わってくれると 心強いよ佐鳥かごめ君
  4509. かごめ: …そんな、ありがとうございます
  4510. 太助: (だが、この胸騒ぎはなんだ…)
  4511. 太助: (油断できないということか…)
  4512. 太助: 確かに彼女たちが諦念に沈んでいったのも こうした高揚感に満たされているときだった
  4513. 太助: まだ、気を緩めることはできない 見えざる敵は忘れた頃にやってくるはずだ
  4514. かごめ: どうしたの、キュゥべえ…
  4515. キュゥべえ: キミはもう自分の願いの形が 見えてるような気がしたんだ
  4516. かごめ: ――っ!?
  4517. キュゥべえ: どうやら、ボクの気のせいじゃ なかったみたいだね
  4518. キュゥべえ: キミさえよければ すぐに願いを叶えてあげるよ
  4519. かごめ: ううん、まだ大丈夫
  4520. かごめ: 本当は今回の戦いの中で 願いを叶えようと思ってたけど
  4521. かごめ: 今じゃないと思ったから
  4522. キュゥべえ: どうしてだい?
  4523. キュゥべえ: キミは他の魔法少女と比べると 強い因果を持っている
  4524. キュゥべえ: 多くの魔法少女たちから 希望を委ねられてきたキミだから
  4525. キュゥべえ: それだけの素質を キミは持っていると思うんだ
  4526. キュゥべえ: 今回の件だって キミの願いで止められたはずだよ
  4527. かごめ: それでも、私が魔法少女になると 悲しむ人がいると思ったから
  4528. かごめ: 私が願いを叶えるときは 魔法少女の笑顔を作れるとき
  4529. キュゥべえ: その笑顔を作る願いは どんな内容なんだい?
  4530. かごめ: それは、秘密だよ キュゥべえ
  4531. 御園 かりん: …………
  4532. ―取材記録― 藍家 ひめな
  4533. ひめな: 「んー、私チャンの望む未来ねー」
  4534. ひめな: 「まぁ、ぶっちゃけて言うと 多すぎて絞れないって感じなんだよね」
  4535. ひめな: 「絶対に鉄板でこれしか勝たんってのが やっぱりヒコ君の復活かな。 んで、ふたりでアオハルを満喫しまくって 同じ学校に進学はぶっちゃけムリだから やっぱ遠距離になんのかなぁ」
  4536. ひめな: 「えっ、私チャン的に遠距離とか マジでムリみが深すぎるんだけど! だったらせめてヒコ君の近くの学校に通う!」
  4537. ひめな: 「ちょっと待って!遠距離で近い…って! それってつまり…」
  4538. ひめな: 「同棲とかワンチャンあるじゃん! ヤッバ、マジでヤバヤバのヤバなんだけど! 私チャン、ヒコ君のためにメッチャ料理頑張る」
  4539. ひめな: 「あー、このままイイ感じに付き合って ヒコ君が卒業したら結婚して 子どもはふたりぐらいがいいのかなー 30歳とか40歳過ぎてもラブラブがいいけど ヒコ君シャイだから付き合ってくれるかなぁ」
  4540. ひめな: 「えっ、何…ヒコ君」
  4541. ひめな: 「うん…うん… 現実的じゃない話はやめようってなに!? 幸せな未来を描いてただけなのに!」
  4542. ひめな: 「っていうか、 これまだ望む未来パートワンだよね!?」
  4543. ひめな: 「まだ時間ある!? 話したいことメッチャあってさ!」
  4544. ひめな: 「しぐりんとの話とか、はぐりんとの話とか 教官との話とか、みゆりんとの話とか みわりんもいるし他の羽根とかもさ。 いや、ホントいろいろありすぎなんだって!」
  4545. ひめな: 「とりま、どれから聞きたいか教えて!」
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