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- FILENAME: text_103101-1_32rIq.txt [Episode 1]
- 那由他: パパが魔法少女を救うことを諦めてると知って ラビさんたちと一緒に湯国市に行って みんなが経験してきたことを聞けたんですの…
- 那由他: ラビさんたちは 魔法少女の存在を友だちに知ってもらうことで 救われようとしていたのに なぜか湯国市の学生を傷つけて恨まれてしまった
- 那由他: パパは魔法少女と思われる女性を調べる中で 誰もが魔法少女として知られていない事実を知り 宇宙にとって都合が悪いことは ねじ伏せられるという現実に気づいたんですの
- 那由他: それは、今の私たちが魔法少女として 世間に知られることも同じ
- 那由他: 私たちが救われて希望と絶望の差が縮まると 宇宙にとっては自分の体を維持する エネルギーを得られないことになるから…
- 那由他: 宇宙の意思に運命が握られているから 救われるのを諦めるだなんて 私は素直に納得して頷けないですの
- 那由他: だから私も確認しないといけないんですの 魔法少女の存在が広められようとする神浜市で いったい何が起きるのか
- 那由他: だけど確認とはいっても 未来への希望を感じるようであれば 私はそれをつかみに行くつもりなんですの
- ラビ: 宮尾時雨からサーシャに届いた メッセージの内容が本当であれば
- ラビ: 魔法少女の存在を知らせるために 藍家ひめなが動いたということ…
- アレクサンドラ: 本当に飲むことも食べることも できないようにするなんて…
- 旭: …人と魔法少女の差を 理解させるには十分でありますが
- 旭: 慰めの言葉を求める者たちとは 一線を画している行為…
- 旭: 魔法少女の存在が知られても、 埋まらない溝が生じるであります
- アレクサンドラ: 魔法少女至上主義を成立させて、 誰も逆らえない天辺にいく
- アレクサンドラ: その目的を果たそうとした結果が 今の惨状なんです…
- うらら: これだと魔法少女にとっての 慰めにはならないから
- うらら: 宇宙の自浄作用も 起きないかもしれないんよ
- 太助: いや…
- 太助: 人々が魔法少女に恐怖を感じて 契約数が減ることになれば
- 太助: 宇宙にとっては、エネルギーが 得られない要因になる
- 太助: どちらに転んだとしても、 宇宙は身を守ろうとするはずだよ
- 旭: これほど事態が大きくなれば、 悲惨な結末になりそうであります
- うらら: ウチらのときよりも…
- アレクサンドラ: 私たちのときは多くの人が 火に包まれ、心を壊した…
- うらら: それを超えるということなのん?
- ラビ: ただ、環いろはは今も 宇宙の意思に抗い続けている…
- ラビ: 魔法少女同士の争いを否定し続け 愚直に手を取ろうとすれば
- ラビ: 穏やかな未来になる可能性は、 まだあるのかもしれない…
- 月出里: ふむっむ!
- ヨヅル: 魔力を消していたようですが ようやくつかめましたね
- リヴィア: 姫さんのことやし、 みたまの調整能力でも使って
- リヴィア: 足取りをわからんように しとったんやろな
- リヴィア: せやけど、尻尾はつかんだで
- リヴィア: あの子がやろうとしとることは 私らで潰したる
- ヨヅル&月出里: 「はい」 「ふむっ!」
- ひめな: よっし、 とりまこれでオッケーかな
- 燦: まさか、宮尾からのメッセージに ずっと返信してたの?
- ひめな: だって、しぐりんが 次から次に質問してくるんだもん
- 燦: じゃあ、全部伝えたのね
- 燦: 三輪にお願いして 神浜市長の目的を改竄したことも
- 燦: 最初から神浜市の人たちを 巻き込むつもりだったことも…
- ひめな: そ、全部ぶっちゃけちゃった
- 燦: それで愛想を尽かしてくれた方が 姫様としては楽っていうこと?
- ひめな: 私チャンとしては ぴえんどころじゃないんだけど…
- ひめな: でも、ふたりが望む優しい未来を 私チャンは作れないからね…
- ひめな: だって、ママや周りの人たちが ディスってくる度に思うもん
- ひめな: 黒でも白だって言わせるぐらいの 強い圧力をかけないと
- ひめな: 私チャンとヒコ君の恋仲は 誰からも認めてもらえないって
- 燦: それで私とミユにも ぶっちゃけトークをして
- 燦: 抜けさせようとしたんでしょ?
- ひめな: そういうこと
- ひめな: だけど、こうして残るんだから ビックリしちゃったけどね
- ミユリ: 燦様だって姫様と一緒に 神様になるんですから当然ですぅ
- 燦: 私も火祭りの神になるために 姫様の作戦が必要だったし
- 燦: 姫様が悪神で私が善神になる話も 承知してくれたからね
- 燦: 今さらネオマギウスを 抜ける必要なんてなかったわ
- 燦: おかげで宮尾と安積を追い詰めて ユニオンに逃がせたし
- 燦: 姫様としては 良かったんじゃないかしら
- ミユリ: ミユとしては宮尾と安積には 戻ってきて欲しかったのですが…
- ミユリ: 最初からふたりが抜けるように 考えてたんですよね…
- 燦: ただ、ここまではいいとして、 今の状況で勝算はあるの?
- ミユリ: 宮尾と安積と同じように 事情を知った羽根が抜けてますし
- ミユリ: あ、確かに割とまずいような…
- ひめな: ヒコ君的にはおけまるっぽいよ
- ひめな: とりま、静香ちゃんも 時間を稼いでくれたから勝ち確!
- ひめな: 何十人、何百人の魔法少女たちが 私チャンを襲って窮地になっても
- ひめな: もう、状況は覆らないってさ
- ミユリ: 姫様とヒコ様がそう言うなら、 間違いないですねぇ
- ひめな: そっ、仕掛けも打ってあるから 問題なし★
- 燦: ただね姫様 これだけは約束してくれる?
- ひめな: 何?
- 燦: 光塚の人たちには手を出さないで
- ひめな: うんっ、もちろんおけまるだよ!
- ミユリ: はぁぁ~、今日も燦様は 凛々しくてステキですぅ~
- ひめな: 「というわけで とりまバイブスを上げるために そろそろ号令をかけちゃおっかな!」
- ひめな: 「みんな!」
- ひめな: 「ここまで残ってくれた羽根の人は この神浜市の状況を見ても 自分たちが理想とする未来を見てると思う!」
- ひめな: 「私チャンたちの存在が伝わるまで 残り11時間! 絶対に魔法少女至上主義を広めて 天辺に行くからね!」
- ひめな: 「でも、ひとつだけみんなにお願い! 最後に出す私チャンからの指示には みんな必ず従うように!」
- ひめな: 「それじゃあ、最後まで頑張ろ!」
- FILENAME: text_103101-2_32rIq.txt
- かごめ: お茶を飲もうとすると 急に胸が気持ち悪くなって飲み込めない…。
- かごめ: 胃をねじるような不快感が広がるのと同時に 自分の命が脅かされている実感が湧いてくると、 体が震えて心臓も早鐘を打つのがわかる…。
- かごめ: 自分に落ち着けと命令しているのに、 こういう時に限ってかえって鼓動が速くなるから 私は自分の体に悪態をつきたくなった。
- かごめ: けど、そんな自分を落ち着かせてくれたのは、 近くに居たいろはさんの 『大丈夫だよ、かごめちゃん』という なんでもない言葉だった。
- かごめ: それから時間を置いて、ネオマギウスを抜けてきた 時雨ちゃんとはぐむさんの話を聞いて知ったのは 十七夜さんやみたまさんを含む 東の人を苦しめていた神浜市長選の真相…。
- かごめ: 今の市長が東を貶めるような動きをして 東西の問題を再燃させたのは、 ひめなさんがみつねさんの改竄能力を利用して 市長の動きを操作したのが原因だった…。
- かごめ: 神浜市に居る人が何も飲めず食べられず 苦しんでいる状況だけでなく、 明かされていく真相に、頭も心も追いつかない。
- かごめ: それでも、いや、だからこそ ここにいる魔法少女たちはみんな 状況の厳しさを理解している。
- かごめ: キモチの石をそろえて自動浄化システムを奪取し 魔女にならない世界を構築することが 一番優先したいことだけど
- かごめ: 今は苦しんでいる神浜市の人たちを 救うために、魔法少女としてできる行動を 始めないといけないって…。
- かごめ: 被害に遭っている 何万人…何十万人という人たちの中には 魔法少女たちの家族もいるから…。
- やちよ: まったく…!
- やちよ: とんでもないことを しでかしてくれたわね…
- 鶴乃: ど、どうしようやちよ…!
- 鶴乃: 万々歳も開いてる時間だから 今ごろお父さんもお客さんも…!
- いろは: …それに、みんなの家族も 同じ状況になってるはずです…
- やちよ: 十七夜とみたまが歪んだのは 藍家ひめなのせいだとしても
- やちよ: この惨状が想像できていたのに 協力したと思うと
- やちよ: さすがに心が苦しいわね
- いろは: …ねえ、 時雨ちゃん、はぐむちゃん
- はぐむ: あぁ、あの…私たちは本当に、 ここまでするなんて知らなくて…
- 時雨: うん…ぼくたちだって じいじが死んだりしたら嫌だから
- 時雨: …でも、そんなの言い訳だよね…
- はぐむ: 私たちは加害者側だもんね…
- いろは: ううん、それでも私は信じるよ ふたりが知らなかったって
- いろは: もちろん、私たちに 協力してくれることもね
- うい: すごく必死に、ネオマギウスから 逃げてきてくれたもんね
- 鶴乃: ねえ、ふたりとも教えてよ! 次に藍家ひめなは何をするの!?
- 鶴乃: 神浜市の人たちを 助けないといけないし
- 鶴乃: 十七夜やみたまだって 連れ戻さないといけない
- 鶴乃: それにプロミストブラッドの 三女だってそっちにいる
- 鶴乃: やらないといけないことが いっぱいあるんだよ!
- ももこ: せめて十七夜さんと調整屋の 居場所がわかればな…
- ももこ: 神浜市長選の真実を教えれば、 目を覚ますかもしれない
- ももこ: そうすればふたりが戦う理由は なくなるはずだし
- ももこ: アタシらにとっては 次の一手に繋がるかもしれない
- みふゆ: ネオマギウスに関する情報が 手に入るかもしれませんからね
- いろは: お願いふたりとも 知ってることがあれば教えて…
- はぐむ: ネオマギウスの目的は魔法少女の 存在をみんなに知ってもらって
- はぐむ: 私たちが優れてるっていうことを 示すことにあります
- 時雨: うん… だから姫はすぐには動かない…
- いろは: どうして…?
- 時雨: みんなが体の異変に気づいて、 その状況が町中に浸透して
- 時雨: みんなの不安がピークになった時 姫は動くと思う…
- はぐむ: そうだね…
- はぐむ: だから、魔法少女の存在を広める 仕掛けを動かすとしたら
- はぐむ: みんなが注目してくれるまで 時間が経ったあとだと思います
- 時雨: ぼくの知ってる姫なら夜… ううん、それじゃ早いかも…
- 時雨: 寝て…起きて…朝になったら 魔法少女の存在を広めるかも…
- 時雨: 家にいる時間だから、 テレビ局とかを使って…
- フェリシア: しゃあっ!
- フェリシア: そうとわかったら、 朝までに邪魔しに行こうぜ!
- フェリシア: テレビ局を潰せばいいんだろ?
- 智珠 らんか: 待って
- 智珠 らんか: 話は聞いてたけど それは目立ち過ぎてマズくない?
- 智珠 らんか: 他にヒントがないから 今ある情報で動くのはいいけどさ
- 智珠 らんか: 情報をカットしたら、 町の人たちが混乱するでしょ
- 結菜: らんかの言う通りねぇ
- 結菜: 「神浜市の放送網をいつでも遮断できるように アンテナや電源がある場所を掌握する」
- 結菜: というのが、私たちの ミッションじゃないかしらぁ…?
- ひかる: さすが結菜さん! わかりやすいっす!
- 樹里: ニヒッ、なるほどな
- 樹里: シンプルに掌握ってのがいい 敵を潰してスッキリできそうだな
- やちよ: 今は宮尾さんと安積さんの 情報が頼りだし
- やちよ: ひとまず、紅晴さんがまとめた 方向性で決まりでしょうね
- ~~♪~~♪
- 都 ひなの: …そうだな
- 都 ひなの: さっそく親から 連絡が来てるからな…
- レナ: レナも…弟から連絡が来てる…
- かえで: うちも…お父さんとお母さんが 病院行ってみるって…
- かごめ: …………
- かごめ: (私に異変が起きたのは ちょうど日が沈む直前だった…)
- かごめ: (夕飯時になって、 みんな異変に気づいたのかな…)
- FILENAME: text_103101-3_32rIq.txt
- ~~♪~~♪
- さな: 胡桃さんも若菜さんも、 家に戻ってもいいかって連絡が…
- いろは: 私にも雫ちゃんたちから…
- ひかる: 神浜市に家族がいる 魔法少女にとっては悲惨っすね
- 結菜: 神浜市の魔法少女たちが 慌てふためくのは構わないけど
- 結菜: 藍家ひめなの思うツボなのは 癪に障るわねぇ…
- いろは: ネオマギウスが放った魔女が まだ残っているので
- いろは: 対応に当たれる人が減ると、 町の人たちが心配です…
- 樹里: つっても、 こっちだって時間もねーんだ
- 樹里: 樹里サマたちにできるのは、 道すがら魔女を倒すぐれーだぞ?
- 静香: それなら、神浜市の魔女の対処は 時女一族に任せて!
- いろは: 静香ちゃん!
- 静香: 人の善と悪を飲み込んで 戦うことを決めた私たちにとって
- 静香: この上ない役割だわ!
- すなお: それに、分家も戻ってきた以上、 こちらの巫はたくさんいます
- ちはる: 町のみんなが不安になってる時に 呪いを振りまかれたら危ないし
- ちはる: ここはわたしたちの出番だよ!
- いろは: 3人とも、ありがとう!
- やちよ: それなら、レナたちも帰って、 家族の様子を見てきなさい
- やちよ: もちろん、ももこもね
- ももこ: でも、やちよさん… ただでさえ時間がないのに…
- やちよ: むしろ今は手探りなんだから 帰れるうちに帰りなさい
- やちよ: 家族を安心させてあげる方が いいと思うわ
- ももこ: …ごめん、ありがとう
- いろは: 鶴乃ちゃんは大丈夫…? 万々歳に戻らなくても…
- 鶴乃: …うんっ
- 鶴乃: うちはお父さんの安全が 確認できたからね
- 鶴乃: むしろ今は前線で戦わせてよ
- 時雨: あの、ぼくたちも戦う!
- 時雨: じいじと母のこと心配だけど、 ぼくたちのせいだし…
- 時雨: 今は逃げない… 姫のことを止めたいんだ…!
- 樹里: んじゃ、こっちに来い 一緒に放送網を掌握するぞ
- 樹里: テメーも来るんだろはぐむ また、仲良くやろうぜ
- はぐむ: は、はいぃっ…!
- いろは: では、時雨ちゃんとはぐむちゃん プロミストブラッドで1チーム
- いろは: みふゆさんを入れたみかづき荘で 1チームになって
- いろは: 藍家さんの放送を止めましょう
- みふゆ: あの、ワタシは途中で 別行動をさせてもらえませんか?
- みふゆ: 今回の事態を招いた責任は ワタシにもあります…
- みふゆ: なのでワタシの手で 神浜市の人たちを助けたいんです
- やちよ: 構わないけど、 どうするつもり…?
- みふゆ: 天音姉妹がそろえば神浜市中に 音を放つことが可能なので
- みふゆ: ワタシの幻覚と合わせると 暗示が解けると思います
- やちよ: だけど妹の方はネオマギウスに いるじゃない…
- みふゆ: なので、 今はやっちゃんたちと行動して
- みふゆ: 月咲さんを連れ戻せたら、 別で行動をさせてもらいます
- やちよ: そういうこと 理解したわ
- 都 ひなの: じゃあ、一度帰宅する身としては 申し訳ないが、あとは頼んだぞ
- レナ: レナたちもなるべく早く戻るから それまでは頑張ってよね
- 静香: ええ、日の本に生きる者たちは 私たち時女一族が守るわ
- 結菜: 暴れるのが得意な連中は多いから 任せておきなさぃ
- 鶴乃: となったら、さっそく動こう!
- フェリシア: 準備はとっくにできてるからな!
- やちよ: ええ! それじゃあ、みんな行くわよ!
- いろは: かごめちゃん 体調は平気なの…?
- かごめ: はい…リィちゃんの魔力が 私を支えてくれてるみたいです…
- かごめ: 二木市でケガをした時も含めて 助けられてばかりです…
- かごめ: 私が生きてるのは、灯花ちゃんと ねむちゃんのおかげかも…
- かごめ: ふたりが死のうとした理由は今もわからない
- かごめ: 私が魔法少女の存在を広めることで 救われるかどうかもわからない
- かごめ: 悪事を働く魔法少女を救う意味はあるのか 悪事を働く人間を救う意味はあるのか この世界を救う意味はあるのか
- かごめ: わからないことだらけだけど 誰もが少しだけ優しくなるだけで世界は変わるし 善悪に囚われずに救うことを決めた人が 私の目の前にいる
- かごめ: 意味なんて考えずに信じることが 誰かへの最大級の優しさで 誰かを救うことなのかもしれない
- 静香: あの、ごめんなさい
- 結菜: なに、気持ち悪ぃ…
- 静香: 私もあなたと同じように 利己的な悪で救われたい人だった
- 結菜: ふっ…
- 結菜: …似た者同士でしょぅ?
- 静香: 認めたくないけどね
- FILENAME: text_103101-4_32rIq.txt
- ミユリ: 燦様、羽根たちの配置は 終わりました
- 燦: 私も終わったわ
- ミユリ: 本当にユニオンの連中は、 電波塔に来るんでしょうか?
- 燦: 宮尾と安積が向こうに移った以上 私たちの動きは読まれてる
- 燦: 魔法少女の存在を広める前に、 その方法を潰しにかかるはずよ
- 燦: 神浜中にテレビの電波を飛ばす この電波塔は必ず狙われるから
- 燦: 今は警戒して待ちましょう
- ミユリ: はぁ、今日も組んだおみ足が ステキですね、燦様ぁ
- 燦: ちょっと、 急に緩まないでくれる…?
- ピロン♪
- 燦: …………
- ミユリ: 青年会の人たちですか?
- 燦: 電波の影響を受けてないか 確認してたのよ
- 燦: メッセージを読む限りだと 光塚の人たちは無事みたいね
- ミユリ: でも、神浜市の噂は どんどん広まってるみたいですよ
- ミユリ: さっきSNSを見てたら、 神浜市が話題になってました…
- ミユリ: 想定していた通りだとは言っても やっぱり罪悪感はありますね…
- 燦: 姫様の心のランキングに 照らし合わせれば仕方ないことよ
- 燦: 1番はヒコ様で 2番目がサーシャ
- 燦: そして私たちネオマギウスが 3番目に来て
- 燦: 他の魔法少女たちが 4番目だとすると
- 燦: それより下の人間っていうのは、 姫様にとっては有象無象
- 燦: ネオマギウスでは仲間想いでも 他の魔法少女に対しては冷徹
- 燦: そんな姫様が 人間相手にやることなんだから
- 燦: 人間に愛情を持つ私たちが 複雑な気持ちになるのは自然だわ
- ミユリ: サーシャさんが姫様を 止められなかったのも納得です…
- ミユリ: ヒコ様が1番だと、 どうしようもないですよね…
- 燦: 中止させるのはムリ 時期を遅らせるので精一杯よ
- 燦: ヒコ様との関係をおとしめられる 状況を早く変えたい
- 燦: そんな姫様の想いは ヒシヒシと感じてたからね…
- 燦: 私にとっては急いでくれた方が 歓迎できる状況だったから
- 燦: サーシャのストッパーが外れて 助かったわ
- ミユリ: 燦様にとっても、 時間はないですからね…
- 燦: ええ、悠長に構えている間に 火祭りの文化は消えてしまうわ…
- やちよ: はぁ…
- いろは: どうしたんですか… 何か変な電話だったんですか…?
- やちよ: マネージャーからの安否確認よ
- やちよ: あと、神浜市を特集した ネットの報道番組に出ないかって
- やちよ: それもリアルタイムに届けるため 深夜帯ですって…
- やちよ: 仕事の幅を広げるチャンスだけど そんなヒマないわよ…
- いろは: マネージャーさんは私たちの状況 知らないですからね…
- うい: ねえ、お姉ちゃん あの奧に見えるタワーが電波塔?
- いろは: うん、TV神浜も近くにあるから まずはあれを押さえないと
- 鶴乃: ネオマギウスにとって 重要な場所だと思うから
- 鶴乃: 絶対に羽根たちが 出てくるはずだよ!
- さな: まだ魔力の反応はないので
- さな: もしかしたら、電波塔の近くで 待ってるかもしれません…
- さな: なるべく分散しないように してるのかも…
- フェリシア: ま、とりあえず敵が出てきたら、 みんなが戦ってる間に
- フェリシア: オレがズッガーンって アンテナをぶっ壊してやるよ
- さな: えっ、それはちょっと…
- フェリシア: んだよ、 サクッと終わっていいだろ?
- 鶴乃: そんなことをしたら目立つし 今はまだ押さえるだけだよ
- 鶴乃: 壊しちゃうと神浜市の人たちが 混乱しちゃうからね
- フェリシア: えー…めんどっちいの
- いろは: あっ
- いろは: レナちゃんの家族 みんな無事だったみたいですよ
- やちよ: そうみたいね ももこからも連絡が来たわ
- いろは: ただ、この状況で帰ると、 家から出るのが大変そうですね
- やちよ: ええ、改めて合流するには もう少し時間がかかりそうだわ…
- 月夜の声: 皆さーん! お待たせしたでございます!
- みふゆ: あっ、月夜さん! こっちです!
- 月夜: はぁ、はぁ… やっと追いついたでございます…
- みふゆ: 移動しながらの合流になって すみませんでした
- みふゆ: それで、月咲さんと連絡は とれましたか?
- 月夜: いえ…当然と言うか、 出てくれなかったでございます…
- みふゆ: そうですか…
- みふゆ: やはり今は、敵と接触して 尻尾をつかむしかなさそうですね
- 月夜: はい
- うい: ねえ、月夜さん…
- うい: 月咲さんが戻って来たら、 神浜市のみんなのことをお願いね
- いろは: はい、みふゆさんたちと一緒に どうか助けてあげてください
- 月夜: もちろんでございますよ
- 月夜: 妹の不始末でございますから その尻を拭うのは
- 月夜: 姉として 当然のことでございます!
- いろは: この反応…
- さな: 恐らくネオマギウスです
- みふゆ: 教官たちもいる…!
- みふゆ: ワタシの能力を利用された屈辱は 必ず晴らします
- FILENAME: text_103101-5_32rIq.txt
- 隙が見えた…!
- ここで連携を断ち切る!
- うい: きゃぁっ!
- いろは: うい!
- いろは: もう次の羽根が…! このままじゃういと離される…!
- うい: 大丈夫だよ、お姉ちゃん! わたしだってもう弱くないよ!
- いろは: でも、束でかかってこられたら いくらなんでも…!
- やちよ: 羽根の奴ら、スリーマンセルでの 連携がうまいわ…
- フェリシア: くそっ、こっちも離されたぞ…
- さな: 大丈夫ですか、 フェリシアさん…!
- フェリシア: おう、こんな奴らにやられる へなちょこじゃないからなっ!
- やちよ: どうも、私たちに連携されたら 面倒だからって
- やちよ: 確実に分断しに来てるわね
- 鶴乃: はいはい!我に策あり!!
- やちよ: どうしたの、うちの孔明さん!
- 鶴乃: 前にわたしたちを分断して 潰そうとした
- 鶴乃: プロミストブラッドのやり方から ひとつ学ばせてもらおうよ!
- 鶴乃: 二木市と違って神浜市なら、 わたしたちに地の利があるからね
- 鶴乃: というわけで!
- 鶴乃: みんな円を描くように移動して、 これから画像で送る場所に来て!
- やちよ: あぁ、なるほどね
- やちよ: 逃げるフリをして1ヶ所に集めて まとめて叩こうっていうことね
- 鶴乃: 大正解!ふんふん!
- いろは: それじゃあ、最後に残った羽根は 私が引きつけるので
- いろは: その先にいる神楽さんたちは みふゆさんにお願いします!
- みふゆ: ええ、任せてください!
- フェリシア: ちょっと待て! オレがよくわかってねーぞ!
- 鶴乃: じゃあ、フェリシアには リアルタイムで指示するから!
- フェリシア: おう!
- いろは: (私は羽根を、 こっちに引き込まないと…!)
- あんなところに 環いろはが…
- ひとりでいるだなんて うかつね…!
- みふゆ: では、行きますよ月夜さん!
- 月夜: 必ず月咲ちゃんの居場所を 聞き出すでございます!
- 燦: みふゆさんが来る…
- ミユリ: あぁ…マギウスの翼の幹部と、 本気で戦うことになるなんてぇ…
- ミユリ: こんなの、こんなの、 緊張して…ミユ…
- 燦: だから、 今のうちにトンじゃいなさい
- ミユリ: …はぁ…ふぅ…
- ミユリ: はい…
- FILENAME: text_103101-6_32rIq.txt
- おかしい…
- 追い詰めてるはずなのに、 同じ場所を走らされてるような…
- この場所、さっきも見ました 勘違いじゃありません!
- まずい…翻弄されてる…!?
- それに私たちも分散したなら、 教官たちは今ごろ…!
- うい: だ、だめだよ! 助けになんて行かせないからね!
- 鶴乃: プロミストブラッドの作戦を マネしたから嬉しくはないけど
- フェリシア: こうなったら 骸のネズミだぁっ!
- さな: むくろって、 もう死んでますよ…!?
- フェリシア: かくごしろよ!
- FILENAME: text_103101-7_32rIq.txt
- あ、どうしてみんなここに…?
- まさか、逃げてるフリをして 私たちを集めるのが目的なんて…
- やちよ: 袋のネズミっていうことは、 骸になる恐れもあるってことよね
- やちよ: これで終わりよ!
- 鶴乃: ちゃぁらぁッッ!!
- うい: ごめんね!!
- う…
- うい: だ、大丈夫かな…?
- いろは: しばらく動けないと思うけど、 平気だと思うよ
- やちよ: さすがに骸にするわけには いかないからね
- いろは: でも、鶴乃ちゃんすごいね とっさに作戦を思いつくなんて
- 鶴乃: 中央区は神浜市の魔法少女が 争ってた時の主戦場だったからね
- 鶴乃: 地元じゃなかったとしても、 知ってる場所が多いんだよ
- やちよ: 十七夜も含めて、 何度も衝突した場所だものね
- やちよ: とりあえず、 次はネオマギウスの幹部
- 鶴乃: うんっ、今後の計画を 洗いざらい聞かないと!
- みふゆ: ふぅ…
- 燦: なっ…今の弾を全部 円月輪でさばいたっていうの!?
- 燦: 私が知ってる梓みふゆじゃない そもそも弱ってたはずじゃ…
- みふゆ: ワタシにもよくわからないです
- みふゆ: ただ、マギウスの翼が崩壊した あとから調子がいいんですよ
- 燦: それだけ戦えるなら 救われる必要なんてありませんね
- みふゆ: 勘違いしないでください
- みふゆ: ワタシが望んでいるのは、 普通の女の子になることです
- 燦: 速いわね…
- みふゆ: さあ、早く月咲さんの居場所を 教えてください
- 燦: ふっ、足元が留守になってるわよ
- みふゆ: ひゃっ!?
- 燦: ゼロ距離で粉々にする!
- みふゆ: はぁ…はぁ…間一髪です…
- 月夜の声: きゃぁあああッ!!
- みふゆ: った!
- 月夜: みふゆさん、 申し訳ないでございます…
- 月夜: 教官の秘密兵器には、 私ひとりではどうしても…
- みふゆ: 意識を飛ばしたミユリさんが 強敵なのは承知しています
- みふゆ: それに、ワタシも苦戦しています
- みふゆ: 教官から月咲さんの居場所を 聞けてませんからね
- 燦: 少なくとも 私たちの近くにはいないわよ
- 燦: 簡単に連れ戻されるわけにも いかないからね
- みふゆ: 月咲さんも他の黒羽根よりは 十分に強いはず
- みふゆ: それなのに 隠そうとするということは
- みふゆ: 連れ戻されると都合が悪い理由が あるんですね
- 燦: 勘ぐられやすいから、 知り合いが敵って嫌なのよね…
- 燦: ミユ、私たちふたりなら勝てるわ みふゆさんたちを押さえるわよ
- ミユリ: はぃ…
- FILENAME: text_103101-8_32rIq.txt
- 燦: ユニオンたちは放送網の破壊を 目論んで行動するはずよ
- 燦: 一番目立つ電波塔を狙うのが 定石だと思うから
- 燦: あなたはあまり目立たない ラジオ局で待機してちょうだい
- 月咲: わかりました
- 月咲: …………
- 神浜市で起きた原因不明の集団摂食障害 異変を重く受け止めた神浜市が 臨時対策会議を設け 政府と協議を続けている模様
- 里見メディカルセンターでは 生命を脅かす異常事態だとして 原因究明よりも先に 対処方法の検討が続いている
- 月咲: はぁ…
- 月咲: (浅はかで感情に従った 自分の馬鹿さ加減に呆れる…)
- 月咲: (神浜市の東西の問題が変わらず 自分たちの間を隔てて)
- 月咲: (ウチと月夜ちゃんの未来が 闇に閉ざされるなら)
- 月咲: (自分が悪になってでも 町から縁を切られたいと思った)
- 月咲: (十七夜さんとみたまさんが)
- 月咲: (この東西の変わらない状況に 虚しさを感じているなら)
- 月咲: (ウチも自分の虚しさに従って 状況を変えようと思った…)
- 月咲: (だけど、ネオマギウスの計画は そんな覚悟を一瞬で消し去った)
- 月咲: …………
- 月咲: 怖い…
- 月咲: (町の静けさが… 人の声がしない静寂の帳が…)
- 月咲: (自分が招いた死の結果に思えて 吐きそう…)
- ???: あ、あの…
- 月咲: ――っ!?
- マギウスの翼で白羽根だった 天音姉妹の月咲さんですよね?
- 月咲: う、うん… ウチのこと知ってるってことは
- はい、マギウスの翼では、 今と同じで黒羽根でした
- こうしてまた 一緒に戦えて嬉しいです
- 月咲: みんなは怖くないの…? こんな状況になって…
- 私は平気です
- 以前、灯花様も言ってましたけど 魔法少女は人を超えた存在です
- それを説明するためには これぐらいしないとわかりません
- 月咲: 飲む事も食べることもできないと 死ぬかもしれないのに?
- 朝になれば姫様が表に出てきて 魔法少女の存在を周知します
- そうすれば人々は 魔法少女を信じるしかないですし
- 自分たちより優れている存在って 認めざるを得なくなります
- 自然と暗示は解けますよ
- 月咲: でも素直に従えない人たちは、 死ぬことになるんだよね…?
- ――っ!?
- 月咲: みんなが本能的に従うように 恐怖を植えつけても
- 月咲: 神浜市の人たちはたくさんいて きっと死ぬ人もいる…
- 月咲: いくら強制的に従わせても、 罪悪感は消えないよ…
- 月咲: 教官が言ってたより早い…!
- 月咲: みんな、気をつけて…
- 月咲: たぶん相手は、 プロミストブラッドだから…!
- 結菜: つかんだ… ラジオ局を守ってるようねぇ…
- 樹里: あんまりやり合って 楽しそうな奴はいなさそうだな
- 結菜: ただ、この反応は居るわねぇ… ひかる、伝えてちょうだぃ
- ひかる: っす!
- ひかる: 聞こえるっすか環さん!
- いろは: うん、大丈夫 何か動きがあったの?
- ひかる: ネオマギウスの動きを 参京区のラジオ局でつかんだっす
- ひかる: しかも天音月咲の反応もあるから 一石二鳥っすよ!
- いろは: ほんとに!?
- いろは: それなら、みふゆさんたちにも 声をかけておくから
- いろは: それまで月咲ちゃんのことを 見失わないようにしてくれる?
- ひかる: お安い御用っすよ
- ひかる: なんなら、すまきにして 捕まえておくっす!
- いろは: その場に留めておくだけで 構わないんだけどなぁ…
- いろは: とりあえず、対応の仕方は そっちに任せるね
- ひかる: っす!
- 樹里: しゃあ、燃やしてやるっつーの!
- 智珠 らんか: ここは先手必勝のコンボを 狙ってやるから!
- ひかる: 結菜さん!
- 結菜: わかってる 天音月咲は捕えましょぅ…
- みふゆ: わかりました
- みふゆ: では教官との戦いは預けて ワタシと月夜さんは移動します
- いろは: はいっ
- 燦: 意外と早く見つけたようだけど 簡単には捕まらないはずよ
- 燦: ミユ…私たちも適当なところで…
- ミユリ: はい…
- FILENAME: text_103101-9_32rIq.txt
- 樹里: へっ、アンテナは押えた 潰そうと思えばいつでも潰せるぞ
- 智珠 らんか: んじゃ、何人かうちのメンバーに 待機させて終わりかな
- 智珠 らんか: 気合を入れたってのに なーんか手応えがなくて拍子抜け
- 結菜: それなら、あとは羽根を退けて 天音月咲に狙いを絞る
- 結菜: 神楽燦も遊狩ミユリもいないなら 敵の力量は高が知れてるわ
- 月咲: ッ…これは危ないかも…
- ひかる: かもではなく、 もう危険は目の前っすよ!
- ひかる: 一般人を傷つけるだなんて 魔法少女の風上にも置けないっす
- ひかる: あんたのせいでもあるんすから、 さっさと責任を取るっすよ!
- FILENAME: text_103101-10_32rIq.txt
- 樹里: へっ、逃げ込みやがったな
- 智珠 らんか: 前にキモチと戦った場所だし、 詳しい場所なのかもね
- ひかる: こちらと距離が取れない以上は 逃げたって無意味っす!
- ひかる: ひかるの足をもってすれば
- ひかる: 懐に入るのは余裕っすからね!
- 月咲: っ、ぅぅっ! ま、まだ、耐えられるよ…!!
- ひかる: ぬぁあ! もうっ、なんすか逃げてばかり!
- 結菜: 迷路にはなってないようだけど、 どこかで撒くつもりねぇ…
- 結菜: ひかる、 地上のメンバーに連絡をとって
- 結菜: 天音月咲が出てきたら 捕えるように伝えてちょうだぃ
- ひかる: っす!
- ひかる: じゃあ、追い詰めるのは 樹里さんに任せるっす!
- 樹里: 馬が樹里サマに 命令してんじゃねーっつーの
- 樹里: 遠くには逃げてねーな…
- 樹里: っつーか止まってる…?
- 智珠 らんか: 前に来たときとは別の場所に 逃げ込んだのかもね
- 樹里: ニヒッ
- 樹里: 行き止まりみてーだし 万事休すじゃねーか…?
- 樹里: いや、ここは前にも来た…! 何か考えてやがるな…!?
- 智珠 らんか: 樹里、あそこ!
- 月咲: ここは、ウチが月夜ちゃんと うわさを守った場所
- 月咲: そして、自分たちの武器と 相性がいい場所でもあるんだよ
- 樹里: つまり、ここを墓場にしたいって わけじゃなさそうだな…
- 月咲: 当たり前でしょ!
- 月咲: むしろ、ここで足止めを させてもらうつもりだからね!
- 結菜: …………武器は笛…
- 結菜: それでいてこの空間…
- 結菜: いけない! みんな退がって!!
- 月咲: もう遅いよ!
- 結菜: ふっ、ぅうっ…!
- ひかる: 結菜さん!
- 結菜: 近づか…ないで、ひかる… 巻き…込まれるわよ…!
- 樹里: んだこれ、頭が、割れる…!
- 月咲: 音叉のように長く続く不快な音は この空間で反射して増幅される
- 樹里: …聞こえねえよ
- 月咲: 音が消える前に、 ここから逃げさせてもらうから
- 月咲: ふぅ…
- 月咲: うそっ、待ち伏せ…!?
- 月咲: …………
- 月咲: (…ウチだって人を巻き込んで 後悔してる…)
- 月咲: (それならいっそウチも… 捕まった方が楽なのかも…)
- 月咲: ――っ!?
- ここは私が食い止めるので、 月咲さんは逃げてください!
- 月咲: どうして…
- 教官が月咲さんに逃げるように 伝えてたのはきっと
- ユニオン側に捕まれば 作戦が失敗するからだと思います
- 私もたくさんの人たちを 巻き込んで後悔してますけど
- でも、だからこそ魔法少女の方が 優れてるって認めさせないと
- みんな暗示を解く機会すら 失ってしまいます…!
- 月咲: (ウチだって後悔して、 どうすればいいのかわからない)
- 月咲: (でも、そう…今は…)
- 月咲: (魔法少女至上主義の成立が 命を救うことになるんだ…)
- 月咲: ごめんね、ありがとう!
- FILENAME: text_103101-11_32rIq.txt
- 月夜: はぁ…ふぅ…
- 月夜: それでは、月咲ちゃんは 見つけたけど…そのまま…
- 結菜: …取り逃がしてしまったわぁ
- 結菜: 天音月咲ぐらいと思っていた 私たちのおごりが招いた失敗よぉ
- 樹里: 捕まえるのに成功してたら、 暗示は解けてたんだろ?
- みふゆ: 3人で力を合わせられたら 恐らくは…
- 樹里: ただでさえ時間がねーのに やっちまったな…
- みふゆ: でも、何があったんですか…?
- みふゆ: このメンバーで逃げられるなんて 不自然と言いますか…
- ひかる: なんか変な地下空間に 逃げられたんすよ
- ひかる: それで反響する音に攻撃されて 身動きがとれなかったんす…
- 智珠 らんか: 前に同じ場所で遭遇したときは そんな攻撃はしてこなかった
- 智珠 らんか: 言い訳がましいけど、 正直、全然想定してなかった…
- みふゆ: 反響する音… そういうことですか…
- みふゆ: うわさがあった場所を使うなんて 考えましたね…
- 月夜: みふゆさん、早く月咲ちゃんを 追いかけるでございますよ
- 月夜: 3人の力で暗示が解ける可能性に 気づいてないはずでございます
- 月夜: 早く伝えてあげないと、 月咲ちゃんが自暴自棄に…!
- 樹里: テメーの気持ちもわかるけどな ちょっと落ち着け
- 樹里: 不完全燃焼でイラつく上に 釈然としねーんだよ…
- みふゆ: そんなに おかしな状況でしょうか…?
- 結菜: そうねぇ
- 結菜: 彼女たちにとって重要な施設なら もっと粘ってもいいはず
- 結菜: どちらかと言えば 最後の仕上げに必要な時間を
- 結菜: 稼がれただけのような 気がするわねぇ…
- ひかる: もどかしいっすね…
- ひかる: アオさんの魔力反応も、 撤退してからつかめないし…
- ひかる: 元のレールに戻してあげる チャンスすらないっすよ
- 結菜: …………
- 結菜: アオが別働隊として動いてるなら それが本命かもしれないわねぇ…
- 樹里: あぁ、樹里サマも そう思ってたところだ…
- やちよ: アンテナの周辺を確保したわ!
- やちよ: これでいつでもケーブルを切って 使えなくできるわよ!
- いろは: 神楽さん 守るものはなくなったはずです
- いろは: これ以上の争いはやめましょう
- うい: あと、ご飯を食べられるように、 みんなを戻してあげて…!
- うい: お腹が空いてつらいと思うし ノドだってカラカラになっちゃう
- うい: それに、魔法少女がやったのが 知られたら悪者になるよ…!?
- 燦: 百も承知よ
- 燦: 薄っぺらい説得で転身するほど 軽い気持ちで動いてないわ
- 燦: 敵わない悪神と それに抗う善神であっていいのよ
- 燦: ミユ! 残ってるみんなも行くわよ!
- ミユリ: はい…
- フェリシア: なっ、おい! 逃げんのかよ
- さな: アンテナが使えなくなれば 放送はできませんし
- さな: 私たちが押えた時点で 諦めたのかもしれませんね…
- いろは: でも、なんだろう… あっさりしてたような…
- 鶴乃: うーん、わたしも同感
- やちよの声: …ネオマギウスの連中は、 どうも逃げていったみたいね
- 鶴乃: あ、お疲れ、やちよ
- やちよ: 私たちがいなくなったあとで 戻って来られると困るから
- やちよ: 誰かに待機してもらえるように 手配しておきましょう
- 鶴乃: やちよに行ってもらって よかったよ
- 鶴乃: フェリシアだったら 壊してたかもしれないからね…
- フェリシア: な、オレだってちょっとは てーねーに調べられるぞ!
- やちよ: ふふ、話半分に聞いておくわ
- やちよ: それにしても、 ちょっと手ぬるい感じがしたわね
- 鶴乃: そうそう、 順調すぎるって話してたんだよ
- いろは: ただの時間稼ぎだったとか 他に目的があるんでしょうか…
- 鶴乃: そもそも、メディアって テレビ以外にも色々あるからね
- いろは: フェリシアちゃんが見てる配信? とかもありますよね?
- 鶴乃: 衛星放送なんていう手段だって あるかもしれないよ
- フェリシア: えっ!? じゃあもしかしてさ!
- フェリシア: オレたち宇宙で戦うのか…!?
- 鶴乃: そうそう、デカゴンボールの ストーリーみたいにって
- 鶴乃: いや、さすがにそれはムリだよ…
- やちよ: 選択肢が多いのはわかってたから どう絞り込むかが問題よね
- いろは: 何かヒントがあれば いいんですけど…
- さな: あの、今なら羽根たちの魔力を 追うこともできるので
- さな: 私、潜入してきましょうか…!
- さな: 幸い倒した羽根たちがいるので 衣装を借りられますし…
- さな: 私の能力を使えば、気づかれずに 話を聞けるかもしれません…
- やちよ: 確かに二葉さんの能力で 存在感を消すことはできるけど…
- やちよ: 常に気配を消し続けるには 消耗が激しすぎるから
- やちよ: ネオマギウスの内部を 知ってる人が一緒じゃないと
- やちよ: 動きで怪しまれると思うわ…
- さな: それなら、静香さんに お願いできないでしょうか…?
- やちよ: ――っ!?
- やちよ: 確かに彼女なら戻ったばかりで、 内側を知ってるはずだし
- やちよ: あの大所帯に入ってから すぐに抜けて戻ってきてるから
- やちよ: 他の羽根に、魔力パターンを 覚えられてないかもしれないわね
- かごめ: ねぇ、リィちゃん
- かごめ: リィちゃんは魔法少女の存在を 広めるのが役目なんだよね…?
- かごめ: それって、 どんなやり方でもいいの?
- かごめ: ひめなさんみたいに乱暴な方法で 魔法少女が嫌われても…
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: そうだよね
- かごめ: リィちゃんも、魔法少女のことを 助けたいんだもんね…
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: うん、私はひめなさんのやり方で 魔法少女は救われないと思う…
- かごめ: 何もつかみどころを見つけられないまま 針は無情にも時を刻んでいく
- かごめ: 家族や神浜市の人たちを心配して 魔法少女たちが焦りを募らせていたとしても
- かごめ: プロミストブラッドの人たちが 笠音さんを心配していても
- かごめ: 神浜マギアユニオンの人たちが 十七夜さんとみたまさんが戻ることを 祈り続けていても…
- FILENAME: text_103101-12_32rIq.txt
- ももこ: …………
- ももこ: まぁ、居るわけないんだよな…
- ももこ: あれっ…
- ももこ: みかげちゃん?
- みかげ: あっ、ももたんっ!
- ももこ: どうして、ここに?
- みかげ: 家に姉ちゃがいなかったから ここなら居るかなーって思ったの
- みかげ: 前に来たときも いなかったんだけどねー
- ももこ: ま、理由は同じようなもんだよな
- ももこ: アタシも中に入ったら 調整屋が居ると思ってさ
- ももこ: あら、ももこ、いらっしゃい とか言ってな
- ももこ: だけど、よく家から抜け出せたね 親に止められなかったの?
- みかげ: パパとママが寝たら治るかもって お布団に入っちゃったからね
- みかげ: その隙にこっそり 抜け出してきたんだよ
- ももこ: なるほどね
- ももこ: うちは親が病院に出かけたから その間に抜け出してきたよ
- ももこ: けっこうみんな起きてるよな
- みかげ: 寝る人とテレビに張り付く人で わかれてるみたいだよね
- ももこ: SNSに張り付いてる人もいるし 今夜は夜更かしする人が多そうだ
- ももこ: それで、みかげちゃんはこれから どうするの?
- ももこ: 一緒にユニオンと合流して ネオマギウスと戦う?
- みかげ: ううん
- みかげ: ミィにはミィのできることを 続けるつもり!
- ももこ: できることを続ける…?
- みかげ: あ、そうだ! ももたんもミィを手伝ってよ!
- ももこ: 待って待って!どういうこと? まったく話が見えない
- みかげ: 実は今ね、月夜さんって人にも 手伝ってもらって
- みかげ: 姉ちゃを連れ戻すための 「仲良し大作戦」をしてるの!
- ももこ: ん、あれ?
- ももこ: 天音の姉はみふゆさんと合流して 動いてるんじゃないっけ…?
- みかげ: 途中まではミィと一緒に 「仲良し大作戦」を進めてたよ
- みかげ: でも、パパとママが心配になって ミィが帰ってからは
- みかげ: 月夜さんがひとりで西の人に 声をかけてくれてたと思う
- みかげ: だから今度は ももたんに力になって欲しい!
- みかげ: これから東の人に声をかけるのに 手伝ってくれる人がいないから!
- ももこ: 一晩で東西が手を取り合うなんて 無理な話だと思うけど…
- みかげ: そんなこと言わないでお願いっ!
- ももこ: …………確かにな…
- ももこ: なんだか、このまま調整屋と 十七夜さんと遭遇して
- ももこ: 戻って来いって言うだけなのも 違うような気がするし…
- みかげ: ももたんっ!
- ももこ: わかった…!
- ももこ: みかげちゃん、ここはアタシも 一肌脱がせてもらうよ!
- やちよ: ふん…
- うい: やちよさん、どうしたの?
- やちよ: みかげちゃんと行動するって ももこからメッセージが届いたの
- 鶴乃: ほっ? なんか面白い組合わせだね
- やちよ: みたまを連れ戻すために、 「仲良し大作戦」を進めるそうよ
- やちよ: こちらもネオマギウスの動きが 読めてない上に
- やちよ: みたまと十七夜のことも 解決しなきゃいけないから
- やちよ: 何か他に手があるのなら、 別で動いてくれた方が良さそうね
- いろは: あ、さなちゃん
- さな: はいっ…
- いろは: 静香ちゃんから メッセージが返ってきたよ
- いろは: ネオマギウスの拠点もわかるから 一緒に潜入してくれるって
- ひめな: うん…うん… そうだね計画はうまくいってる…
- ひめな: 寂しいけど、ここからは何人 私チャンから離れていっても同じ
- ひめな: それに、最後はもう みんなに離れてもらいたいから
- ひめな: …………
- ひめな: 追い詰められるとは思うけど、 必ず勝てるよ
- ひめな: ありがとうヒコ君 私チャンの体を心配してくれて
- ひめな: でも、平気 絶対にやりきってみせる
- ひめな: …ママにも先生にも友だちにも ずっと否定されるのはイヤ
- ひめな: 必ず認めさせるよ 私チャンとヒコ君の関係を…
- FILENAME: text_103101-13_32rIq.txt
- いろは: なので、ネオマギウスとの 接触はできたんですが
- いろは: 何か状況が良くなったわけでは ありません…
- うい: なんだか、ずーっと 霧の中を歩いてるみたいだよね…
- すなお: 私たちも魔女を倒しきれなくて 順調とは言えないんですが
- すなお: 苦戦してるのは どこも同じのようですね…
- 結菜: 最終的な目的はわかっていても 実行する手段がわからないから
- 結菜: 次に自分たちがどうするべきか 手探りになってる状況ねぇ…
- ちはる: もう、さなちゃんと静香ちゃんは 合流してる頃だよね
- ちはる: ネオマギウスの拠点で 何かつかんでくれたらいいけど…
- 南津 涼子: こればかりは時間もないから、 神に祈るしかねぇか…
- 南津 涼子: っと、いけねぇ あたしの場合は仏だよな
- すなお: …あの、もしよろしければ、 みかづき荘の皆さんに
- すなお: 魔女の対応を代わって頂いても 構いませんか?
- すなお: 静香たちに何かあった時のため フォローにまわりたいんです
- 鶴乃: わたしはいいと思うよ
- 鶴乃: さなと静香ちゃんを 時女一族に守ってもらう代わりに
- 鶴乃: 土地勘のあるわたしたちが 魔女を倒して
- 鶴乃: 放送網はプロミストブラッドが 破壊していく
- 鶴乃: いい振り分けだと思うよ! ふんふん!
- やちよ: 神浜市の魔法少女も 戻ってきてるみたいだからね
- いろは: 紅晴さんたちはどうですか?
- 結菜: 放送網を潰していくにしても それが正しいかはわからない以上
- 結菜: こちらに 人数を割く理由はないわぁ
- ひかる: ただ、アオさんが出てきた時は そっちを優先するっすからね!
- いろは: うん、もちろんだよ
- ちはる: あ、そうだそうだ!
- ちはる: それなら、このキモチの石を 大庭さんに渡しとくね
- 樹里: ん?樹里サマに?
- ちはる: わたしたちが敬愛のキモチの石を 渡してもらったように
- ちはる: 今度はわたしから大庭さんに 恐怖のキモチの石を渡しとく!
- 樹里: へっ、妹のやつから消えた恐怖を これで植え付けるってことか?
- ちはる: そういうことだね
- 樹里: わーった 有り難く受け取っておく
- 静香: 公民館の中に入ってすぐの部屋は 羽根たちが待機するための部屋
- 静香: 2階が幹部たちがいる部屋で、 今後の動きとかを話し合ってるわ
- 静香: その2階にお茶を入れる 狭い部屋があるんだけど
- 静香: そうした用向き以外で上がると 不審に思われるから注意して
- 静香: あと、公民館に羽根が入る時は、 必ずピンポンを鳴らすとか
- 静香: 少し細かい決まりがあるから、 それは近づいたら説明するわ
- さな: ありがとうございます 本当に助かります…
- さな: あとは静香さんが居るって 気づかれないか心配です…
- 静香: ぜんぜん平気よ
- 静香: ネオマギウスの羽根は お互いの素性がバレないように
- 静香: 魔力の反応を探ったりしないのが 暗黙の了解になってたもの
- さな: その辺りは、マギウスの翼の時と 同じなんですね…
- さな: ただ、相手が藍家さんや 幹部の人になると…
- 静香: むしろ気をつける相手は それぐらいってことよ
- さな: もしも危険だと思ったら 言ってくださいね
- さな: 一応、私と接触してる限りは、 魔力の気配も消せるので…
- 静香: ありがとう
- 静香: ただ、今回は二葉さんへの 恩返しのつもりでもあるから
- 静香: 全力で挑むつもりよ
- さな: …私、何かしましたか?
- 静香: 私のために 絵本を描いてくれたでしょ?
- さな: あ、はい
- 静香: おかげで人を信じ続けるという 時女の本懐に気づけたの
- 静香: これでお返しをしても 足りないぐらいだと思うわ
- FILENAME: text_103101-14_32rIq.txt
- 静香: ―静香― 気配を消せるって言っても 魔法だから魔力を使うのよね…?
- さな: ―さな― はい…
- さな: ―さな― ドッペルも出せないですし 浄化を続けるのも限界があるので
- さな: ―さな― できれば 最小限で済ませたいです…
- 静香: ―静香― じゃあ、本当に2階にあがって 話を聞く時に使うぐらいね
- 静香: ―さな― はい…
- ピンポーン♪
- …………
- 静香: 中央区・電波塔防衛で離脱した 白羽根と黒羽根が各1名
- 静香: W03・B21…照合願います… “つけみのろひのひ”
- カチャリ
- さな: 変な人が混じらないように 番号を照合すると思うんですけど
- さな: 最後のは合言葉…ですか…?
- 静香: 元は「たかみなるはねへ」って 合言葉なんだけど
- 静香: それを毎週送られてくる 1から5の8桁の数字に合わせて
- 静香: 五十音順をずらして 合言葉を更新してるのよ
- 静香: 今回だと「たかみなるはねへ」に 「34153224」だから
- 静香: 「た×3=つ」「か×4=け」 「み×1=み」「な×5=の」で
- 静香: 最後には 「つけみのろひのひ」になるの
- さな: あ、理解できました…!
- さな: …こういう規則を覚えるのって 大変じゃないですか…?
- 静香: 理解するのに時間がかかったわ…
- 静香: 2階で話し合いが始まるまでは ここで待機しておきましょう
- 静香: 用もないのに動くと 怪しまれるから
- さな: わかりました
- 静香: たぶん、飲み物とか軽食を 用意して持って行くはずなのよね
- さな: あ、2階にあるのって 給湯室のことなんですね…
- 静香: そう、確かそんな名前の 部屋だったはずよ
- いろは: リヴィアさんたちは、 まだ戻ってないみたいですね…
- やちよ: 調整屋にとっては稼ぎ時だろうし いると思ったんだけど…変ね…
- フェリシア: また、あとで来ることにして、 魔女を倒しにいこーぜ!
- うい: うん、待ってる間に 魔女が悪さしたら大変だもんね
- 鶴乃: …………
- うい: …鶴乃さん元気ない?
- 鶴乃: え、あぁあ、違う違う すっごく元気!
- 鶴乃: さなから潜入できたって 連絡は来たけど、大丈夫かなって
- いろは: 藍家さんたちの動きって 全く読めないから不安ですよね…
- 鶴乃: うん、入り込めたとしても 本当に成功なのかどうか…
- やちよ: とりあえず私たちは、 信じて待つしかないわね…
- FILENAME: text_103101-15_32rIq.txt
- 静香: 神浜市が恐怖に満たされる今日が ネオマギウスにとっての正念場
- 静香: 今後の動きについては、 必ず指示があるはずよ
- さな: 羽根はしばらく待機のようですし 少し探りを入れてみますか…?
- 静香: お願いしても良いかしら
- 静香: 私が目立ち過ぎると 気づかれる危険性もあるから…
- さな: はい、もちろんですっ…!
- 静香: …………
- ねぇ
- 静香: ――っ!? なっ、何…かしら…
- 静香: (なんで私なのよ…)
- 緊張してるみたいだけど、 やっぱり怖いの…?
- 静香: え…?
- 魔法少女至上主義を叶えるために 人を巻き込んでるから…
- 静香: …わ、私は…ここまできたら やりきろうって思ってるだけで
- 静香: そんな、緊張なんて…
- 静香: …………あなたは緊張してるの?
- うん…私はすごく緊張してる…
- 魔法少女が優れてるって 認めてくれないと暗示は解けない
- だけど暗示が解けたとしても、 みんなは服従するだけ…
- こんな伝え方だと、誰も私たちに 同情なんてしてくれないし
- 私たちが抱える宿命の重みなんて 理解してくれないと思う
- そう思うと自分のしてることの 何が正しいかわからなくて
- 不安というか本当にわからなくて ボンヤリしちゃってるんだ…
- 静香: それは…わかるよ…
- 静香: (魔法少女が上だと認めたら 神浜市の人は生きられる…)
- 静香: (だけど、そこに残るのは、 優れた者たちへの敬いではなく)
- 静香: (恐怖で支配する者への服従…)
- 静香: (理想とは違う状況だからと 計画を阻止すれば)
- 静香: (神浜市の人は死んでしまう…)
- 静香: (計画を進めても止めても たどり着く結末は闇…)
- 静香: (人の命を天秤にかけて、 協力させてるようなものよね…)
- 静香: (救われたい思いが悪を生むなら 今こそまさにその状況…)
- 静香: (前までの浅はかだった自分を、 ぶん殴ってやりたくなるわ…)
- さな: 静香さん… 白羽根の人に話を聞けました…
- さな: そろそろ2階で 打ち合わせが始まるみたいです…
- 静香: わかったわ
- これから教官たちが話をして、 方針を決めるみたいなんだけど
- 静香: あ、飲み物とお菓子は 私が用意します
- そう? ありがとう、よろしくね
- さな: 「打ち合わせが始まる前に一度 何か話してないか探りを入れてみますね…」
- 静香: 何か情報はつかめた…?
- さな: いえ…気配を消して、 聞き耳を立ててみたんですけど
- さな: 特に今後の動きに関する話は してませんでした…
- さな: とりあえず、打ち合わせの開始を 待つしかなさそうです…
- 静香: そう…
- さな: あの、茶殻ってこのゴミ箱で 良いんでしょうか…
- 静香: ええ、確かみんな そのゴミ箱に捨ててたと思うわ
- さな: …………
- さな: あれっ…?
- 静香: どうしたの…?
- さな: これ、ビリビリに破られてるの、 伝票の控えじゃないですか…
- 静香: でんぴょー?
- さな: ええっと…何か荷物を、 送った証拠みたいなものです…
- さな: 繋ぎ合わせたら、 何かわかるかもしれません…
- FILENAME: text_103101-16_32rIq.txt
- ピロン♪
- さな: 潜入したネオマギウスの拠点で 宅配便の伝票を見つけました
- さな: 確認したところ3日前に 大きなテレビ局から カルト系の雑誌を出してる小さい出版社まで 色んなメディアに 何かのディスクを送ってるみたいです
- さな: 中身まではわからないですが 何かデータを送ったのかもしれません 画像も添付して送るので確認してみてください
- いろは: …………
- うい: お姉ちゃん、さなさんからの メッセージ読んだ?
- いろは: 3日前に藍家さんが 何か送ってるってやつだよね…?
- うい: うん、みんなにも届いてるから、 通話で話してみようよ
- いろは: 出てくれるかな…
- ~~♪~~♪
- やちよ: もしもし? 届いたメッセージについてよね?
- いろは: はい、そうです
- やちよ: ちょうど読み終えたところよ
- 鶴乃: わたしも確認したよ!
- フェリシア: オレも読んでたところだぞ!
- いろは: どう思いました…?
- いろは: 私は神浜市で起きてる件について 送ったのかと思ったんですけど…
- フェリシア: あと、あれだろ? しじょーしゅぎの話じゃね?
- やちよ: 概ねそんなところでしょうけど、 3日前っていうのが気になるのよ
- 鶴乃: あ、それはわたしも! 事前に送ってるのがミソだと思う
- フェリシア: あ? 味噌なんて送ってどうすんだよ
- 鶴乃: じゃなくて、3日前に発送した 事実に注目したいってこと
- フェリシア: つまり、どういうことだよ…?
- 鶴乃: 「魔法少女の話を急に送られてきたとしても それを知った人って現実味がなさすぎて 信用することなんてできないと思うんだよ」
- 鶴乃: 「だけど、そんな魔法少女の話と一緒に 今、神浜市で起きている事象の予言をしていれば 話は変わってくると思わない?」
- 鶴乃: 「現実味がないことが現実になっちゃうから 魔法少女の存在を 信用せざるを得なくなっちゃうんだよ」
- フェリシア: えっ、もう魔法少女の話が 広まってるってことか!?
- フェリシア: なら、やべーじゃん…!
- フェリシア: 魔法少女がみんなでやったって 思われたら、オレら悪者だぞ!?
- いろは: まさか…
- いろは: アンテナを狙っても、 手応えがなかったのって…
- 鶴乃: 仕掛けの効果が 出るのを待ってるだけだから…
- いろは: 藍家さんが無理に表に出なくても 魔法少女の存在は広まる
- 鶴乃: もちろん、わたしたちのことは、 害悪として目に映ると思うよ…
- うい: わたしたち、みんなに怖がられる 怪物みたいになっちゃうの…?
- やちよ: まだ悲観的にならなくても 大丈夫だと思うわ
- うい: どうして…?
- やちよ: 予言や告知だとしたら、 神浜市の惨状が広まった時点で
- やちよ: メディアはこぞって 使いたがるような資料になる…
- やちよ: けど、魔法少女なんて話は おいそれと表には出せないし
- やちよ: 藍家さん自身が解説をするような 映像が入っていたとしても
- やちよ: 未成年の姿は簡単に出せない以上 お堅いメディアほど慎重になるわ
- やちよ: 対して、ライトなメディアが 公開しても信憑性は低くなるから
- やちよ: 急いたところで 都市伝説にしかならないはずよ
- いろは: つまり、大丈夫ってことですか?
- やちよ: …まだね
- やちよ: ただ、彼女は火が点いたときに 燃焼させるための油を撒いたわ…
- やちよ: メディアが火をつけるために 必要な情報をつかんでしまえば…
- いろは: 一気に燃える…
- フェリシア: そしたら、オレら悪者だろ…?
- やちよ: そう、フェリシアの言う通り、 私たちは世界の敵になる…
- FILENAME: text_103101-17_32rIq.txt
- 静香: 環さんたちから返事…?
- さな: はい
- さな: 先手は打たれているけど、 まだ影響は出ていない…
- さな: けど、朝までに片づけないと、 状況は一気に悪化するって…
- 静香: 手をこまねいている現状を 打開しなくちゃいけないのは
- 静香: 変わらないっていうことね…
- 静香: よしっ…
- 静香: 私がこのまま飲み物とお菓子を 持って行くから
- 静香: 二葉さんは 気配を消して付いてきて
- 静香: 私がいなくなれば 誰もいないように感じるから
- 静香: きっと次の動きを 話し始めると思うわ
- さな: わかりましたけど、 静香さんって気づかれませんか?
- 静香: 下手に探られるようなマネを しなければ大丈夫よ…きっと…
- 静香: それでは、失礼します
- 燦: ええ、ありがとう
- 姫様の姿が見えませんが、 作戦終了まではひとりですか?
- 燦: ええ
- 燦: 姫様の居場所をつかまれるのが、 一番痛手になるからね
- 燦: 集団で動いて捕捉されるよりも、 隠れてもらった方がいいわ
- 燦: ただ、神浜市の放送網を、 破壊されている状況は困ったわ…
- 燦: あなたたちだけじゃなくて、 私も要の電波塔をやられてる…
- 燦: 朝には姫様の言葉を 世間に向けて発信したいけど
- 燦: 状況的にはかなり苦しいわね…
- 魔女を放ったり町を混乱させて、 相手の戦力を削いだとしても
- 数の問題以前に魔法少女個人の 力量に差があります…
- ミユリ: ですねですね… 黒羽根はみんな弱いですから…
- 燦: となると、次の手段ね…
- ミユリ: 放送網を上手に使えないとなると やっぱり巨大な拡声器ですね!
- 燦: ええ、神浜市民会館にある 広報用のスピーカーを使いましょ
- あの、お言葉ですが、 それだけだと心許ないです…
- 姫様の声を町中に伝えるには、 まったく足りません
- 燦: 削られた戦力を分散すれば ただ潰されるだけになってしまう
- 燦: 目的を果たす寸前なんだから、 博打はせず、堅実に成功させるわ
- ミユリ: あのあの! 天音月咲はどうしますか?
- ミユリ: 雲隠れしていてもらった方が 都合がいいと思いますがぁ
- 燦: 多少は戦力になるでしょうし、 市民会館に合流させましょう
- ミユリ: ではでは、さっそく 連絡をとってみるです!
- さな: ふぅ…
- 静香: 情報はつかめた…?
- さな: はい、私たちがアンテナを壊して 回ってたのは正解でした…
- さな: ネオマギウスとしても痛手で、 方針を変えるそうです…
- 静香: それなら、次の彼女たちの動きが わかったっていうこと?
- さな: 次に向かうのは神浜市民会館…
- さな: ネオマギウスはそこから、 藍家さんの声を発信する気です
- FILENAME: text_103101-18_32rIq.txt
- かごめ: ネオマギウスの計画が進む。
- かごめ: このまま魔法少女が 人々にとって恐れおののくような存在になれば、 魔法少女至上主義は成立するのかもしれない。
- かごめ: だけどそれは、無理に屈服させた結果、 魔法少女を人類の敵にさせてしまう…。
- かごめ: それがわかってるから、 魔法少女の存在を広めたいという想いは同じでも いろはさんたちは、ネオマギウスの計画を 必死に止めようとしている。
- かごめ: 今、向かっているのは“神浜市民会館”。
- かごめ: 一時的に帰宅していた都さんも合流して、 紅晴さんたちプロミストブラッドにも、 その情報が伝わると、 神浜市民会館に移動する魔法少女たちは、 ひとつの大きなうねりになろうとしていた。
- みたま: SNSを覗いてみたけど 神浜市の話は広まってるみたいね
- 十七夜: 下に見える渋滞は つまるところ野次馬か?
- みたま: 神浜市から出ると回復するって 情報に躍らされた
- みたま: 可哀相な人たちよ
- みたま: 魔法少女に屈服しない限りは、 暗示は解けないはずなんだけど…
- 十七夜: 自分たちは、躍らないように しないといけないな
- みたま: 送られてきたメッセージの話?
- 十七夜: うむ、市長選を乱したのは、 姫君の計画によるものという話だ
- みたま: ふふっ、そんなの 連れ戻すための方便よ、きっと…
- 十七夜: そもそも姫君の計画がなくとも 遅かれ早かれ分裂していた…
- 十七夜: 何百年と続いた東西の関係が、 それを証明している…
- みたま: ええ…
- みたま: それに、わたしたちが戦うのは、 東西の件だけが理由じゃないわ
- 十七夜: うむ…
- みたま: 必ず訪れる滅びに抗い続けて、 よりヒドい結末になるぐらいなら
- みたま: 今のうちに滅ぼした方が、 神浜市の人たちにとっては幸せよ
- 十七夜: 我々を恨んで神浜市の人々は ひとつになれるわけだからな…
- 十七夜: 少なくとも意味のある滅びになる
- 十七夜: ぐっ…うぅ…
- みたま: 十七夜…!
- 十七夜: 牧野君を飲み込んだ 悲嘆のキモチか…何をする…!
- みたま: キモチの侵食を受けてるなら、 わたしがなんとかしてみるわ
- 十七夜: やめろ、危険だ! ブレスレットに触れるな八雲!
- みたま: っ!
- 見て…大東の制服だよ…
- この辺に何の用なんだろ…?
- 十七夜の弟: これは…さっき西のヤツに ケンカを売られて…
- 月咲: 願った結果…ウチら姉妹の意識は 変えられたけど…
- 月咲: 育ちの違いへの偏見は… 周りの人の意識までは…
- 月咲: 変えられなかった…
- 十七夜: キモチが、こちらの身を案じて 悲しみを奪おうとするか…
- 十七夜: この鉛のように重い悲しみを 代わりに背負おうとするのか…
- みたま: っ、わたしまで侵食しようと… でも…あなたには奪わせない…
- みたま: 西の子に殺されかけたのも… 全部、わたしの悲しみよ
- 本当、期待してたのに 大東の面汚し
- みたま: …………
- 他の生徒を突き落としたんだって
- みたま: (違う…被害者はわたしよ… 落とそうとしたのは相手よ…)
- みたま: (水名の生徒に…友だちに… わたしが殺されかけたのに…)
- そもそも西の学校に通うって どうなんだよ
- みたま: 東の子たちに 裏切られたことだって…!!
- みたま: 全てわたしが背負うべきもの…!
- 十七夜: この悲しみが生んだ運命の手綱は 自分で握らせてもらう…!
- ∵ゥゥ_ウ…アゥ―
- 十七夜: グゥッ…!
- みたま: 悲しみと共に肉体も奪う気なら…
- みたま: もう、離れないぐらい わたしたちとひとつにすればいい
- 十七夜: 八雲…どうするつもりだ…
- みたま: この場で調整するの
- みたま: そして、わたしたちの悲しみを 魂の一部に入れ込むわ
- みたま: これで、キモチが悲しみを奪えば わたしたちの命も奪うことになる
- みたま: キモチは体が手に入らなくなって 悲しみを奪う理由がなくなるわ
- 十七夜: では、やってくれ…
- みたま: 即決ね…
- 十七夜: そもそも自分たちが 背負うべきものだ
- ∵ヒッ_ウゥ ̄ァァ―アン!!
- 十七夜: ッ…早く!!
- みたま: もう、戻れないわよ!
- 十七夜: はぁっ…はぁ…く… ふ、ふふ…なんという腐臭だ…
- 十七夜: そうだ…これが滅びの果てに 満ちるものだ…
- みたま: だけど、死と滅びの果てには やっぱり新たな喜びがある…
- 十七夜: 「ああ、死すればもう過ちは犯さない」
- みたま: 「骸となれば誰も苦しめることはない」
- 十七夜: 「良いことも悪いこともなく ただ自然体となって見守るその姿こそ」
- みたま: 「救いと呼べる希望の形ね」
- アオ: …………
- アオ: (ターゲットは湯国市の撲滅派)
- アオ: (どんな人たちなんだろ)
- アオ: クスッ
- ―取材記録― 遊狩 ミユリ
- ミユリ: 「ミユの望むことと言えば これからもずっと燦様のおそばに いることですよぉ~」
- ミユリ: 「とは言っても、 あと2年も経てば燦様も学校を卒業… 光塚から出て行くことはないと思いますが 離れ離れになるかもしれないので、 今からビクビクしてしまいます…」
- ミユリ: 「ただ、燦様も気づいているとは思いますが 火祭りのことや光塚の町から いずれミユたちは巣立たなくちゃいけない」
- ミユリ: 「それはいつか、ミユも燦様から離れて 独り立ちしないといけない ということなんですよねぇ…」
- ミユリ: 「だから、正直なところミユは、 自分のこの緊張してしまう性格を 本当にどうにかして治したいんです…」
- ミユリ: 「ちゃんと自分で胸を張って みんなの前に出て 堂々とインラインスケートの競技をやって 普段の生活もひとりで難なくこなせる」
- ミユリ: 「そんな自立した自分になることが 大人になっても燦様の側に居られる 条件のような気がするんですよね…」
- FILENAME: text_103102-1_32rIq.txt [Episode 2]
- かごめ: (うちは神浜市との境目ぐらいに あるから心配だったけど)
- かごめ: (お父さんとお母さんは 平気みたいだった…)
- かごめ: (一応、私も何ともないって 伝えたけど…)
- かごめ: 私も、みんなの体も どうなっちゃうんだろう…
- かごめ: 不安だね、アルちゃん…
- アルちゃん: <心配してるヒマがあるなら 動かないとだよ、かごめちゃん>
- かごめ: うん、そうだよね…!
- かごめ: 家族との関係、学校での出来事、将来の夢… 自然と過ごしている日常の中で 誰かの言動が引き金になって 少女たちは魔法少女の契約を交してしまう
- かごめ: だけど逆に魔法少女の行動が 誰かに影響することだってある…
- かごめ: 今は、その象徴的な出来事の最中…
- かごめ: 下手をすれば魔法少女の存在を広めることで 他人の同情ではなく怒りを買ってしまい その結果、人にとっても魔法少女にとっても 衝突するような不幸を生むかもしれない
- かごめ: 答えはまだわからないけど もしも何事もなく終わるようであれば 今回の一件も教訓としてまとめないと 同じことを繰り返してしまう
- かごめ: だから見て…聞いて…まとめないと… 今の状況を…
- レナ: 急に大東区で合流だって ももこが言うから驚いたけど
- レナ: 東西の学生をひとつにする 「仲良し大作戦」ねぇ…
- かえで: 大東の前に西を回ったんだよね? どんな反応だったの?
- ももこ: わだかまりを解消できるなら 協力したいって感じで
- ももこ: 正直、打率は3割ぐらいだな…
- ももこ: 月夜が事前に連絡をしてた相手は 前向きな反応だったんだけど
- ももこ: アタシの知り合いに声をかけても 話せる状況じゃなくってさ…
- かえで: みんな体に異変が起きてるから それどころじゃないよね…
- レナ: むしろ、 空気読めって感じじゃない?
- ももこ: だな…
- レナ: そう思うと、みかげも月夜も ファインプレーよね
- かえで: 異変が起きる前に動き始めたから 話を聞いてくれたんだもんね
- みかげ: えっへん!
- みかげ: それで、あと東の人たちにも 声をかけたいからね
- みかげ: レナたんたちも協力して!
- レナ: それはいいんだけど、 協力を約束してもらうだけ?
- レナ: メッセージのグループにも 入ってもらうとして
- レナ: なんか、“それで?” って感じがするんだけど…
- ももこ: 痛いところを突くな… まぁ、そうなんだよな…
- ももこ: 何かしら協力してくれる人が 増えてくれるのはいいんだけど…
- みかげ: だからって姉ちゃとなぎたんが 戻って来てくれる気がしない…
- ももこ: 日付もまたいだし、 朝までに何ができるのか…
- みふゆ: はっ…はぁ…
- みふゆ: いろはさんたちの方が 神浜市民会館に近いので
- みふゆ: ワタシたちと比べると、 かなり早く着きそうですね…
- 月夜: 月咲ちゃんが来るなら、 絶対に確保してもらわないと…
- 月夜: でも、無理矢理捕まえても、 私たちを手伝ってはくれない…
- 月夜: どうすれば月咲ちゃんの心が 私たちの元に帰ってくるのかを
- 月夜: 考える必要があるでございます…
- ひかる: う~!
- ひかる: ぜんぜんアオさんから返信が 来ないっすよぉ!
- 樹里: 馬、うるさいぞ
- 結菜: それに、もうずっとでしょ? 今さらの話じゃなぃ…
- ひかる: 結菜さんも樹里さんも 薄情極まりないっすよ
- ひかる: ひかるはアオさんのことを 心配してるっていうのに
- 結菜: 私が心配してないとでも 言うのぉ?
- ひかる: う…申し訳ないっす…
- ひかる: わかってるっすよ 表に出してないだけだって…
- 結菜: …私はひかるに感謝してるわぁ
- 結菜: 私の分まで 感情を出してくれるからねぇ…
- ひかる: なんか子どもっぽいって バカにされてる気もするんすけど
- ひかる: ん…?んん…?
- 樹里: なんだよ、スマホが壊れたのか? 落ち着かねーな…
- ひかる: 樹里さんに 言われたら終わりっす
- ひかる: じゃなくて、これ!
- 樹里: あ?
- 樹里: んだよ、妹のやつがやってる Dotubeのチャンネルだろ?
- ひかる: 生放送前になってるんすよ!
- 樹里: …マジだな アイツ何をしようとしてるんだ
- 樹里: 姉さん、どう思う…?
- 結菜: 藍家ひめなの放送として使う その可能性も十分あるわねぇ…
- はぐむ: なんだか その方がしっくりくる…
- 時雨: そうだね、はぐむん…
- 樹里: なんの話だ?
- はぐむ: ひゃっ…!
- はぐむ: え、えっと、神浜市民会館で 直接ぶつかるのって
- はぐむ: 体育会系っていうか…
- 時雨: なんだか姫らしくないねって はぐむんと話してて…
- 樹里: つまり裏があるって…?
- 時雨: うん… そんな気がする…
- みふゆ: 向こうで、 穏やかじゃない話をしてますね…
- 月夜: 神浜市民会館の話は 誤情報でございますか…?
- みふゆ: わかりませんが、 きな臭さはあるようですね
- 月夜: もしかしたら…
- みふゆ: どうしました…?
- 月夜: …………
- 月夜: やっぱり…!
- 月夜: 月咲ちゃんは大東ではなく 南側にいるようでございます!
- みふゆ: どうしてわかるんですか?
- 月夜: お互いの位置がわかるようにって アプリを入れてたのでございます
- 結菜: …話は聞いてたけど
- 結菜: アプリを終了し忘れるなんて、 そんなうかつなことするかしらぁ
- 結菜: 起動してるなら、日常のルールを 利用されてると思うわよぉ…?
- 月夜: それは私も 最初から思い至ったでございます
- 月夜: でも本当に利用されていたら ショックだから
- 月夜: 怖くてアプリを 見られなかったのでございます…
- 月夜: アプリを終了し忘れている方が 全然マシでございます
- みふゆ: とはいえ、確認をしにいく必要は ありそうですね
- みふゆ: 神浜市民会館に向かうにしても 戦力は十分だと思うので
- みふゆ: ワタシと月夜さんは、 南に向かってもいいでしょうか?
- 結菜: なぜ私に聞くのぉ?
- 結菜: あなたはユニオンなんだから、 私の了承はいらないわぁ
- みふゆ: では、勝手にさせて頂きます 行きましょう、月夜さん
- 月夜: はい!
- FILENAME: text_103102-2_32rIq.txt
- いろは: 紅晴さんから来た話だと、 本当に誤情報かもしれませんね…
- フェリシア: でも、さなの奴が こっそり聞いた話なんだろ?
- フェリシア: さすがに考え過ぎだって!
- やちよ: はぁ…手がかりをつかみたくても 空をつかまされる感覚…
- やちよ: 本当に、苛立つ手合いだわ…
- うい: でも、月咲さんの 魔力反応は感じられないし…
- 鶴乃: 藍家ひめなの反応だって 微塵も感じられないよ
- 鶴乃: 神浜市民会館は近いし、 もう感じ取れないとおかしいよ
- いろは: でも、 知ってる魔力反応はあります…
- やちよ: …十七夜、みたま
- やちよ: コンテナターミナルと同じ布… 同じ轍は踏まないわよ
- 十七夜: 恐れ入った さすがは七海といったところだ
- みたま: 本当、一筋縄ではいかないわぁ
- やちよ: あなたたち…
- いろは: 本当に十七夜さん…? みたまさんも…
- フェリシア: 魔力の反応が今までと違うぞ いや、ちがくねーんだけど…
- うい: 冷たい…
- フェリシア: おう…なんかそんな感じ…
- 鶴乃: ネオマギウスの計画に もう付き合いたくないんだよね?
- 鶴乃: だったら、わたしたちのところに 戻って来てよ
- 鶴乃: みんながダメだって言っても、 わたしはウェルカムだから
- やちよ: 鶴乃!
- やちよ: 問答無用でソウルジェムを 狙ったわね…!
- やちよ: ――っ!?
- やちよ: あなたたち、その姿…!
- いろは: 十七夜さん…!? みたまさん…!?
- フェリシア: コイツらどうしたんだ…
- うい: 何が起きてるの…
- 鶴乃: わからないよ…
- 鶴乃の声: どうして、そんな姿に…!
- みたま: ごめんね、鶴乃ちゃん
- 十七夜: ああ、すまない
- 十七夜: いずれ訪れる滅びであれば 今、滅びを与えなくてはいけない
- みたま: 今なら意味のある滅びにできる
- 十七夜: 皆、死して何者にも苦しみを 与えることがない
- 十七夜&みたま: 「希望のある姿になろう」 「希望のある姿になりましょう」
- いろは: 東西の…選挙戦に関する真相は… まだ読んでないんですか…?
- 十七夜: 読んだ上での結論だ
- みたま: 今さらあんな文字だけで わたしたちの意思は変わらない…
- FILENAME: text_103102-3_32rIq.txt
- いろは: ――っ!?
- みたま: 捕まえたわ…
- いろは: うっ…!
- いろは: でも、まだっ!
- 十七夜: 数手先まで見えている 抵抗は意味をなさないぞ
- うい: 「だめー!」
- 十七夜: っ!
- うい: お姉ちゃん…!
- いろは: はっ…はぁ…
- いろは: ありがとう…うい… ほんとに、殺す気なんだ…
- 十七夜: 読める手数は増えても、 複数人は難しいか
- みたま: そう簡単にはね…
- 鶴乃の声: いい加減にしようよ! 本当に殺し合いになるよ!?
- みたま: …………
- フェリシアの声: ほんとだぞ! 正気に戻れよ早く!
- 十七夜: …………
- やちよの声: あなたはいつだって正しいけど、 いつだって真っすぐ過ぎる…!
- 月咲: …………
- 月咲: …ごめんなさい、十七夜さん…
- 月咲: …ウチは、弱いから…
- 月咲: みんなのために… 神浜のためになんて…
- 月咲: 考えられません…
- やちよ: 身に覚えがあるでしょう!
- やちよ: あなたの考えは正しかったとして 周りのことは考えた!?
- 十七夜: …………
- 十七夜: 東に生まれたというだけで 恐れられ虐げられる…
- 十七夜: そんなことが続かないよう
- 十七夜: 自分にできることは なんでもするつもりだ
- 十七夜: 大東に住む者としても 東をまとめる魔法少女としてもな
- 観鳥 令: …………
- 十七夜: 長い間続いてきた問題である以上 すぐには変えられないが…
- 十七夜: 困った時は 頼ってくれ
- 十七夜: いつでも力になろう
- 観鳥 令: …困った時は、そうします
- 観鳥 令: 十七夜さんって まっすぐ過ぎて…
- 観鳥 令: なんていうか、 観鳥さんには眩しかったんだ…
- 観鳥 令: 特にあの時はね
- 十七夜: 七海の言わんとしてることは わかっている
- 十七夜: 人の気持ちを測るのが下手で 自分に辟易とする時もある
- 十七夜: だが、関係ない
- 十七夜: これまでの自分は “今”を考えて失敗してきた
- 十七夜: だから、今の神浜市を捨てて “未来”を見ることにしたんだ
- FILENAME: text_103102-4_32rIq.txt
- 十七夜: 見えた…
- やちよ: ウソでしょ…!?
- やちよ: 魔力パターンが変わって、 能力まで成長したっていうの…!?
- 十七夜: ふっ…
- やちよ: ァアアッ!
- やちよ: く…ぅぅ…
- やちよ: はぁ…いけない… 今までの経験が役に立たない…!
- 鶴乃: やちよ!
- いろは: 大丈夫ですか…!?
- フェリシア: そこをどけよ!
- フェリシア: やちよをイジメたらな、 さすがにみたまでも許さねえぞ!
- みたま: 許す、許さない なんて言える状況じゃない…
- みたま: わたしたちにとっては、 滅びを成せるか成せないか…
- フェリシア: どけぇええ!
- フェリシア: ――っ!?
- みたま: 確かにわたしは弱いけど 魔法少女が相手なら話は別…
- みたま: 忘れない方が良いわよぉ?
- フェリシア: ニャッ!
- フェリシア: …ぬぅ、力が…
- 十七夜: …来るか
- 鶴乃: 消えた…!?
- いろは: 違う…後ろです…!?
- うい: ツバメさん!守って!!
- みんな: 「ァアアッ!」「ィヤァッ!」「ウァぅ!」
- FILENAME: text_103102-5_32rIq.txt
- 十七夜: ふぅ… 残りは七海だけだな
- やちよ: …殺気を感じるわ
- やちよ: 私が一番厄介ということね
- FILENAME: text_103102-6_32rIq.txt
- やちよ: は…はぁ…ふぅッ…
- 十七夜: 今までご苦労だったな これからは休んでくれ
- 十七夜: 八雲
- みたま: ええ、動きは封じ込めるわ
- みたま: なっ…
- 鶴乃: 最強のわたしは あれぐらいで倒れない!
- 鶴乃: やちよを倒す前に、 わたしを倒してもらうよ…!
- うい: お姉ちゃんも まだ戦えそう…?
- いろは: うん、ういのおかげで、 ダメージは抑えられたからね
- みたま: でも、どこまでもつかしらね…
- やちよ: ふぅ…
- やちよ: (心を無にして…)
- やちよ: …………
- 十七夜: 読む先をなくしたところで 隙を生むだけだ
- 十七夜: ぐっ…!?
- やちよ: 意外と気配だけを読んでも 当たるものね
- 十七夜: 驚いたな
- 十七夜: 七海は今もなお 成長を続けるということか…
- やちよ: まぐれだと思ったら 痛い目を見るかもしれないわね
- 十七夜: ひとりずつ確実に始末したいが、 時間には限りがある…
- 十七夜: …長引くようであれば 退いた方が良さそうだな
- やちよ: えっ…
- みたま: また、会えたら会いましょう
- 鶴乃: ちょぉ!? ちょっと待ってよ!
- いろは: …出ていっちゃいました
- フェリシア: くっそ…待てよこのぉー!
- フェリシア: 次こそ絶対にとっちめる! んで、目を覚まさせる!
- フェリシア: そんな話がデカゴンボールでも あったはずだからな!
- やちよ: いけない、フェリシア!
- やちよ: 今、何か仕掛けたわ! 扉に手をかけないで!
- フェリシア: あっ…
- みふゆ: ダメですね… 月咲さんの反応はありません…
- みふゆ: 今も位置情報の反応は、 この辺りで止まってますか…?
- 月夜: …………
- みふゆ: 月夜さん…?
- 月夜: 月咲ちゃんのスマホだけが、 落ちていたでございます…
- 月夜: うかつに機能をONにしていた わけではなかったでございます…
- 月夜: 私たちふたりの約束を 利用していたのでございます…
- みふゆ: 見つけられなかったのは 残念です…
- みふゆ: でも、厳しいようですが、 泣いてる場合ではありません…
- 月夜: けど、月咲ちゃんに… 繋がりを断たれたようで…
- みふゆ: しっかりしてください 月夜さん
- みふゆ: それなら繋ぎましょう…
- みふゆ: 十七夜さんやみたまさんのことも ワタシたちは繋ごうとしている
- みふゆ: 月咲さんだって同じです
- みふゆ: 切れてしまったものは、 もう一度、繋ぎ直すんですよ
- みふゆ: 月咲さんの魔力はまだ残ってる 追いかけましょう
- 月夜: ぐすっ…はい…
- みふゆ: …………
- 「神浜市からのお願いです 現在、体に変調をきたす問題について 市では政府や各医療機関と連携して 対策を協議しています」
- 「症状のある方は慌てずに自宅で待機し 次に行われる市からの発表をお待ちください」
- 「また現在、点滴や胃ろうによる栄養の補給が 可能であることが確認されています」
- 「画面に映し出された条件に当てはまる方は 優先的な対応が行われていますので お住まいの地域にある保健所に確認してください」
- みふゆ: (少しだけ報道機関の方らしい 姿がありますし…)
- みふゆ: (サイネージを通した放送も、 役立つのかもしれませんね…)
- FILENAME: text_103102-7_32rIq.txt
- 静香: …………
- さな: …………
- さな: いろはさんから来た メッセージ通りだとすると
- さな: 私たちは間違った情報を 伝えてしまったかもしれません…
- 静香: 本当は神浜市民会館の拡声器は、 使わないっていうこと…?
- さな: はい…罠にかけられたのか… 時間を稼がれているのか…
- 静香: それって私たちも危険よね…
- 静香: 素性がバレているから ウソをつかまされたわけだし…
- さな: 次の動きに備えて 仮眠時間になってますし
- さな: 今のうちに抜けだしませんか…?
- 静香: いえ、むしろ仮眠時間だからこそ 与えられる打撃があるわ
- さな: 本気ですか…?
- 静香: 気は進まないけど、 神楽燦がいなくなれば
- 静香: ネオマギウスの動きは悪くなるわ
- さな: 要は寝込みを 襲うってことですよね…
- さな: 捕えて本当の計画について 話を引き出しますか…?
- 静香: そんな簡単に情報を吐くような 相手じゃないから
- 静香: 指示を出せる人を削って、 羽根の士気を落とすのが目的よ
- 静香: それに、神楽燦が動けなくなれば 遊狩ミユリも自然と戦力外になる
- さな: 藍家さんの計画を潰すような 核心は突けないかもしれないけど
- さな: あとで居場所がわかったときの 壁は薄くなりますよね…
- 静香: ええ
- 静香: せめてそういうサポートが できればって思ったのよ…
- さな: わかりました…
- さな: では、気配を消すので、 私の手を取ってください…
- 静香: ありがとう、二葉さん
- さな: 魔力の反応は消してるので 恐らく気づいてないはずです…
- 静香: 暫く動けないぐらいの傷を ここで与えるわ
- 静香: ふっ…!
- 静香: か、かたっ!?
- 燦: ふっ、やっぱり忍び込んでたわね 時女の本家…!
- 燦: それに、ユニオンの二葉さな!
- 燦: 絶対防衛能力を 使っておいて正解だったわ
- 燦: 隙を見せれば 必ず襲ってくると思ってたのよ
- 燦: ミユ、起きなさい
- ミユリ: は、はい、燦しゃま!
- 燦: ふたりをここで片づけるわ!
- 静香: もう1回消えることはできない?
- さな: 私の場合は存在感を消す力なので 一度認識されると…
- 静香: …逃げるしかないわね
- FILENAME: text_103102-8_32rIq.txt
- 燦: 黒羽根、白羽根! 共に起床!
- 燦: 中に時女の本家と みかづき荘の二葉さなが居たわ!
- 燦: 確実に捕らえなさい!
- ミユリ: これはこれは、なかなか激しい 捕物になりそうですぅ…!
- FILENAME: text_103102-9_32rIq.txt
- 舐めたマネをしてくれたこと、 後悔させてあげます
- 今のあなたたちに 逃げる術はありません!
- 静香: っ、囲まれた!
- さな: でも、包囲に穴がある… なんとか抜けられそうです…!
- 燦: それは地獄への抜け道よ
- 燦: 散りなさい!!
- まとめてかかりますよ!
- 静香: 神楽さんの攻撃は 私の固有魔法で防ぐから
- さな: はい、羽根の攻撃はなんとか 私の盾で!
- 静香: ふぅ…
- さな: 耐えきりましたね…
- ミユリ: そそっ、そこで気を抜いたのが、 運の尽きですぅっ!
- 静香: っ!
- ミユリ: あぅっ!
- 静香: すなお!ちゃる!
- すなお: 心配して待機していたのは 正解でした!
- ちはる: 少し前から 悪意が漂ってくるのを感じたから
- ちはる: 時を見計らって静香ちゃんたちを 助けようと思ってたんだよ!
- 時女一族総出で来ているので、 一緒に脱出しましょう!
- 静香: ありがとうみんな!
- 燦: くっ、時女一族の本家を討てる 機会を逃してたまるものですか!
- ミユリ: さ、燦様! ダメですムリですぅ!
- 燦: 止めないで、ミユ!
- ミユリ: 近所の人たちが騒ぎに 気づき始めたみたいですぅ…!!
- 燦: …っ、こんな時に…!
- 静香: それじゃあ失礼するわよ
- 燦: …………
- 燦: 騒ぎが大きくならないうちに 羽根のみんなを公民館に
- 燦: 話は私がするから
- ミユリ: わ、わかりましたぁ…
- FILENAME: text_103102-10_32rIq.txt
- ちはる: 追ってこない…
- 南津 涼子: まぁ、ここまで来りゃあ 大丈夫そうだな
- すなお: はい、周りの家でも、 騒ぎには気づいていたようですし
- すなお: ネオマギウス側も おいそれと動けないはずです
- 静香: みんなありがとう 無様だけど助けられてしまったわ
- 静香: 結局情報を手に入れても偽物で 不意打ちにも失敗…
- 静香: 時女一族の本家として 立つ瀬がないわ…
- さな: …あの
- さな: 私、これから公民館に戻っても 良いでしょうか…?
- 静香: えっ!? 何を言ってるの…?
- すなお: そ、そうです! 殺されに戻るようなものですよ!
- さな: だけど、私たちがいなくなって 相手も油断しているはず…
- さな: 情報を吸上げるには、 今がチャンスだと思うんです…!
- すなお: だけど、次に抜け出す時は、 どうするつもりですか…?
- さな: …これを
- すなお: ハンカチ…?
- さな: ちかさんの力を 貸して欲しいんです
- 青葉 ちか: わ、私ですか?
- さな: はい…
- さな: 工匠区に千秋屋さんっていう お弁当屋さんがあるんですけど
- さな: そこの看板犬に マメジ君っていう子がいるんです
- さな: きっと臭いを辿れるはずなので、 協力をお願いしてもらえると…
- さな: 頭の良いワンちゃんなので、 力になってくれると思いますし
- さな: 時女一族の人がここを離れても、 公民館に辿り着けると思います…
- 青葉 ちか: それで二葉さんを見つけたとして どうやって助ければいいか…
- 南津 涼子: いっそのこと、他の犬たちにも 手伝ってもらうのはどうだ?
- 南津 涼子: 百何匹のわんちゃんたちで、 大騒ぎってわけじゃねぇけど
- 南津 涼子: うまくいけば、 ネオマギウスを混乱させられるし
- 南津 涼子: 細かい指示もいらねぇから 失敗しづらいだろ
- さな: はい、ピンチになったときは
- さな: 周りを攪乱してもらえればって 思ってました…
- ちはる: 騒いでもらうだけだって ワンちゃんには教えればいいし
- ちはる: 覚えやすくていいと思う!
- すなお: 旗振りを、 マメジ君にしてもらうとして…
- すなお: …できますか? ちかさん…
- 青葉 ちか: う~ん…ごめんなさい… やってみるとしか言えないです…
- 青葉 ちか: 準備に時間がかかると思うので、 時間を置いて向かってください
- さな: ありがとうございます…!
- FILENAME: text_103102-11_32rIq.txt
- さな: …………
- さな: (公民館に人の気配はない… もう落ち着いたみたいだけど)
- さな: (あれは…)
- タツ: あんまり公民館で騒ぐなよ
- タツ: 近所の人たちも驚いてんだ 次やったら使用禁止だからな
- 燦: 待って! 話は終わってないわ!
- 燦: 火祭りの神輿を廃棄するって話 本気で言ってるの…?
- 燦: また再開する時のために 残しておかないと…
- 燦: それだけはなんとかするって 約束してくれたのに…!
- タツ: 俺は町内会と青年会で出た結論に ケチはつけられねえよ…
- タツ: 第一、再開の見込みもなけりゃ、 祭り自体が危険だって言われてる
- タツ: しかも祭りを休止させる引き金を 引いたのは、俺たち青年会だ…
- タツ: 不安になる人たちを生んどいて 無理矢理再開なんてできねぇだろ
- タツ: 潮時だよ潮時… 俺たちも次に向かわねえとな…
- タツ: お前も、固執してないで 前を向けよ
- 燦: いや…絶対にイヤ…!
- 燦: 私はこの祭りがあったから 自分を変えて目指すものもできた
- 燦: この青年会があったから、 毎日豊かで楽しい時間を過ごせた
- 燦: 光塚は…青年会は…この祭りは… 私の世界なの…私自身なのよ…
- 燦: この神様に私は救われたんだよ…
- タツ: 言ったろ…神様なんていない… 俺は見たことがねえ…
- 燦: だったら私が神様になる…!
- パシンッ…
- 燦: っ…!
- タツ: 悪いな…けどちったあ目を覚ませ 冷静になって考えろ
- タツ: 俺たちの神様は 町のお上さんでお偉いさんだ
- タツ: 今さら何も覆っちゃくれねえよ …じゃあな
- 燦: 命をかけて私は火祭りを守ったの 魔法少女になってまで…
- 燦: タツ兄…私は冷静よ… 本当に現人神になるんだから…
- さな: …………
- さな: みんなを苦しめていて危険な ネオマギウスが持っている裏の顔…
- さな: いろはさんが言う通り みんな何かに苦しんで救いを求めてる…
- さな: だけど、自分の苦しみを洗い流すために 他人に苦しみを与えちゃいけない
- さな: だから私たちは戦うんですよね いろはさん
- さな: (あれから結構経ったけど、 次の動きに関する話が出ない…)
- さな: (期待しすぎたのかも…)
- さな: ――っ!?
- この中から5人のメンバーに 湯国市へ行ってもらうわ
- 湯国市…ですか?
- 笠音アオと蛇の宮メンバーの フォローに回る仕事よ
- 恐怖を失った彼女が弾みで、 撲滅派を殺さないように
- ブレーキ役になるということね
- その撲滅派のメンバーですが、 動画に出てもらうんですよね?
- 魔法少女を知ってる人間として、 これまでの話をしてもらう予定よ
- それと同時に、彼女たちの 魔法少女に対する不敬を断ずるわ
- 配信の中で痛めつけるんですか…
- だから、やりすぎないように うちからメンバーを送るの
- さな: …………
- さな: (力を示すために、これ以上 誰かを傷つけるつもりなんて…)
- さな: (それも、 生配信で見せつける…?)
- さな: あっ…
- 燦: 何を聞いたのかしら
- さな: っ…
- ミユリ: 使っていた魔法が解けるほどの 衝撃だったってことですね
- 燦: 口を封じるわよ、ミユ
- ミユリ: はいぃ!
- FILENAME: text_103102-12_32rIq.txt
- さな: ケホッ、ケホッ…
- さな: 次、また神楽さんが…!
- さな: 違う!?
- ミユリ: ふっ…!
- ガィン!
- さな: っ、盾が…!
- 燦: よくやったわ、ミユ 盾がなければ蜂の巣よ…!
- さな: ぁあああッ!!
- 燦: とどめ!
- ドンッ!
- 燦: キャッ、な…何…!?
- 燦: え、いぬ…?
- 燦: ――っ!?
- ミユリ: …いぬ…いぬたちが
- 燦: 「きゃぁあああぁあッ!」
- 青葉 ちか: ありがとうございます! よくやりましたね!
- マメジ: クゥ~ン…
- 青葉 ちか: そうですね… 二葉さんの治療を…
- すなお: 私の癒しの力で 多少はマシになると思いますが…
- さな: …………
- さな: …っ、す、なおさん…
- すなお: 二葉さん!
- 静香: 良かった… ケガは酷いけど大丈夫そうね…
- さな: …く…ぅ… みんなに…伝えてください…
- FILENAME: text_103102-13_32rIq.txt
- フェリシア: あー、死ぬかと思ったぞ…
- うい: はぁぁ…
- うい: 鶴乃さんの幸運の力がなかったら 今ごろペチャンコだったかも…
- やちよ: ういちゃんの言う通りね…
- いろは: ほんと、驚きました…
- みたま: また、会えたら会いましょう
- 鶴乃: ちょぉ!? ちょっと待ってよ!
- いろは: …出ていっちゃいました
- フェリシア: くっそ…待てよこのぉー!
- フェリシア: 次こそ絶対にとっちめる! んで、目を覚まさせる!
- フェリシア: そんな話がデカゴンボールでも あったはずだからな!
- やちよ: いけない、フェリシア!
- やちよ: 今、何か仕掛けたわ! 扉に手をかけないで!
- フェリシア: あっ…
- いろは: きっと、フェリシアちゃんが 扉に手をかける一瞬の間に
- いろは: みたまさんが、 何か仕掛けたってことですよね?
- 鶴乃: 事前に準備だけしておいて、 仕上げをしたんだと思う
- 鶴乃: 最後に起爆スイッチだけ 加えたって言えばいいのかも
- 鶴乃: とりあえず、みんな無事だったし 結果オーライだよ
- やちよ: それでも、悔やまれるわね…
- やちよ: 十七夜とみたまに 私たちの声は届かなかったわ…
- いろは: ももこさんたちが みかげちゃんと進めてる
- いろは: 「仲良し大作戦」に 賭けるしかなさそうですね…
- フェリシア: それでも、オレたちは アイツらを追いかけるんだろ…?
- フェリシア: 仲直りはできなくても、 なんとか止めなきゃだからさ…
- やちよ: そうね…
- やちよ: 私たちの動きを止めたつもりで 移動しているなら
- やちよ: 次こそ本命の場所に 向かってるかもしれないわ
- うい: 他にも放送ができる場所が あるっていうこと…?
- やちよ: 恐らくね
- やちよ: みたまの能力なのか、 魔力の反応を消してる…?
- 鶴乃: ほんの少しだけど わたしにはわかるよ
- いろは: え、すごいね 私は全然探れないんだけど…
- 鶴乃: 運良くつかめただけかも しれないけど
- 鶴乃: …………うん
- 鶴乃: 神浜市役所の方角に 向かったかもしれないね
- 鶴乃: 何があるんだろう…
- いろは: …あっ
- 鶴乃: 思い当たる節がある!?
- いろは: たぶんですけど、市役所と言えば 防災無線があったはずです
- うい: ――っ!?
- うい: この間、学校の勉強で、 お姉ちゃんと一緒に調べたやつだ
- いろは: うん、そうそう
- フェリシア: この市民会館と同じように スピーカーを使うってことか?
- いろは: そうなんだけど、 範囲はもっと広いよ
- いろは: 市内全域に声を届けるのが、 防災無線の役割なんだもん
- いろは: 今度こそ止めないと、 町中に声が流れることになるよ
- 鶴乃: 人を誘導するのにも使えるから、 音だけとは言っても危険だし
- 鶴乃: 電波望遠鏡のときと同じように 暗示で使われたらマズイよね…
- やちよ: そうとわかれば、 さっそく追跡しましょう
- やちよ: 場所を移すことになるから、 ももこに連絡しておくわ
- 鶴乃: うん、わかった
- 結菜の声: あら、取り逃がした上に、 ずいぶんやられたみたいねぇ…
- いろは: お疲れさまです、紅晴さん
- 結菜: 急いで来たつもりだったけど 遅れてしまったみたいねぇ
- 樹里: アッハハハ!
- 樹里: なんだよ、ほこりまみれになって クッソ、ダセーな
- フェリシア: んだよ! オレたち大変だったんだぞ!?
- フェリシア: そっちこそ、 なんか、せーかはあったのかよ!
- 樹里: あ? なんだケンカ売ってんのか?
- フェリシア: あ?
- 樹里: あ?
- いろは&結菜: 「フェリシアちゃん」 「樹里」
- 智珠 らんか: ほんと、こっちで争ってる 場合じゃないんだけど…
- 結菜: 私たちだって成果はないんだから 何も言えないわよぉ
- 結菜: …お互いに藍家ひめなの姿は 確認できなかったみたいねぇ
- いろは: はい…月咲ちゃんもいないし、 情報とは全く違いました…
- 結菜: それ… 潜入して得た情報だとしたら…
- いろは: はい…さなちゃんが心配です…
- ~~♪~~♪
- いろは: あっ、噂をすれば! さなちゃんからです!
- 結菜: 無事だったみたいねぇ
- いろは: もしもし、さなちゃん?
- いろは: …えっ、あれ、静香ちゃん…?
- いろは: あの…紅晴さん… 少し外してもいいですか…?
- 結菜: ええ、私のことは気にしないで 向こうの様子を聞いてちょうだぃ
- ひかる: なーんか雲行きが怪しいっすね…
- ひかる: 一番知りたい藍家ひめなの 居場所がわかんない上に
- ひかる: 弄ばれるなんて…
- 樹里: 本当に時雨とはぐむは アイツの計画をしらねーのか?
- 樹里: 居場所ぐらい 実は知ってたりとかさ
- 時雨: そんな今さら疑わなくても… わかってたら教えてるよ…
- はぐむ: 藍家さんを止めたいのは 私だって同じですから…
- うい: あれ?
- はぐむ: どうしたの?
- うい: これ見て、 ユニオンのグループメッセージ
- 鶴乃: ん、ひみかがコメントを入れてて 他の子も反応してるね
- FILENAME: text_103102-14_32rIq.txt
- 眞尾 ひみか: 「新聞の販売店を手伝いに行ったら 折り込みチラシの中に こんなものがありました」
- 眞尾 ひみか: 「写真を添付します 他の人のところに届いたりしてます?」
- 矢宵 かのこ: 「うち、朝刊が届くの早いんだけど 確かに入ってる 絶対にネオマギウスの仕業だね」
- 胡桃 まなか: 「今、ポストを見てみたんですけど 届いてましたよ!」
- 鶴乃: …………これって…
- 神浜市で起きている異変の真相について話します。
- 興味がある方はチラシの下に印刷された QRコードを読み込んで 生放送が開始されるのを待ってください。
- 疑わしいと思う方は、考えてみてください。 折り込みチラシを入れるには準備が必要です。
- つまり私は、神浜市で異変が起きる前に これを書いています。
- うい: 神浜市に異変が起きる前に 藍家さんがチラシを送ってた?
- フェリシア: うおっ、QRコードを読んだら Dotubeのチャンネルがでたぞ!
- ひかる: アオさんのチャンネルっす…
- ひかる: 確かにさっきから 準備中になってたっすけど
- ひかる: こんな折り込みチラシとか 簡単にできるもんすか…?
- 鶴乃: できると思う…
- 鶴乃: 万々歳でも昔に出したことが あったけど
- 鶴乃: 1誌に絞って地域も狭めれば、 そこまで高くないはずだよ
- 結菜: そうねぇ…
- 結菜: ネオマギウスの人数で、 お金を出し合えば
- 結菜: 無理のない範囲で 捻出できる金額になるはずだわぁ
- 智珠 らんか: それに、この神浜市の状況だと SNSで上げたら拡散しそうだし
- 智珠 らんか: 割と安上がりなのかもね
- いろは: 皆さん大変です!!
- 鶴乃: わっ、びっくりしたぁ… 血相を変えてどうしたの…?
- いろは: ネ、ネオマギウスが 魔法少女の力を示すために
- いろは: 直接、誰かを傷つけようと してるみたいなんです!
- うい: えっ…!?
- いろは: しかも、それをネットで 放送するって…静香ちゃんが…!
- ひかる: まさか、アオさんのチャンネルは そのために使うんすか!?
- いろは: 止められないと、 魔法少女の残虐な姿がみんなに…
- ひかる: 意味がわかんないっす! 正気じゃないっすよ!
- 樹里: あんの、妹… マジで懲らしめねえとな…
- 結菜: っ、環さん、場所はどこ!
- いろは: 湯国市って言ってました
- いろは: 標的にされてるのは 撲滅派という人たちみたいです
- 結菜: 樹里、ひかる、らんか!
- 結菜: 今からプロミストブラッドは 湯国市に向かうわぁ!
- ひかる: っす!
- 智珠 らんか: やっとアオの目を覚まさせる チャンスがつかめたってわけね
- 樹里: ああ、樹里サマの炎で、 恐怖を思い出させてやる!
- 結菜: 環さん、悪いけど私たちは アオを優先させてもらうわぁ
- いろは: はい、神浜市は 私たちでなんとかします
- うい: 行っちゃったね
- いろは: 私たちも 神浜市役所に向かわないと…
- やちよ: その話だけど、 私は一度戦線を離脱するわ
- いろは: え、やちよさん 離脱ってどういうことですか?
- やちよ: 今、ももこと話してたんだけど 例の大作戦が順調みたいだから
- やちよ: その状況を加速させるために 私も動こうと思うの
- うい: これから ももこさんの所に行くの?
- やちよ: ううん、これから事務所に寄って 報道系の生配信に出てくるわ
- やちよ: 一度断った手前、 ねじ込んでもらう形になったけど
- やちよ: マネージャーからの情報が こんな形で役立つなんてね
- 鶴乃: えっ!?
- 鶴乃: 「それってコメンテーター!?」
- フェリシア: 「あ?なんだよそれ」
- 鶴乃: 「ニュースとかワイドショーに出て 自分の意見を求められたりする人だよ!」
- フェリシア: 「ふーん? みたまたちを連れ戻すのに意味あんのか?」
- やちよ: 市長の会見もあるから 必ず意味を作ってみせるわ
- いろは: 私たちに できることはありますか?
- やちよ: 協力はしてもらうつもりよ
- やちよ: ただ、番組の台本に従わず 身勝手な行動を取ることになるわ
- やちよ: 業界に居られなくなった上に 事務所からも追い出されたら
- やちよ: みかづき荘の収入源が失われるわ
- やちよ: その時はごめんなさい
- フェリシア: それは困るぞ…
- 那由他: 今、正にネオマギウスとの戦いが 神浜市で続いてる…
- 那由他: どちらも魔法少女の存在を 広めたい気持ちは同じなのに
- 那由他: こうして争っているのは、 なんだか虚しい気がしますの…
- ラビ: 目的が同じでもやり方が違えば 人なんて衝突するものですよ
- ラビ: ただ、こうした衝突もまた 宇宙の意思かもしれませんが
- 那由他: …魔法少女の話を広める人を 減らすということですの…?
- ラビ: はい…
- うらら: ただ、今のところはどこの グループにも
- うらら: 死んだ人はいないみたいなんよ
- 旭: 嬉しい話でありますが、 重要なのは戦いのあとであります
- アレクサンドラ: 勝敗に関わらず、魔法少女の話は 世間に広められますからね
- 那由他: その、都合が悪い状況に 宇宙がどう動くか
- 那由他: パパはそれを確かめたいという ことなんですの…
- 太助: そう、ただ何も起きないことを 祈ってね…
- 太助: 宇宙の自浄作用なんてものは、 勘違いだった方が幸せだよ…
- ―取材記録― 神楽 燦
- 燦: 「こんな隣町にまで 取材に来てくれるなんてご苦労様。 ちょうど茶請けを買ってきたところだから、 良ければゆっくりしていって」
- 燦: 「あ、もしかして、 松竹庵の薄皮まんじゅうのこと知ってた? 実は知る人ぞ知る光塚の銘菓でね、 すっごくお茶にあって美味しいのよ」
- 燦: 「みんなから聞いたけど、 確か将来望んでいることを聞いてるのよね?」
- 燦: 「だったら、ひとつはもう知ってるでしょ? 私が望んでいるのは、 光塚の火祭りを復活させること」
- 燦: 「だけどね、それだけじゃないのよ。 私は私の生まれ育ったこの光塚の町に 古くからある魅力を発掘してきて 日本や世界に伝えるような人になりたいの」
- 燦: 「でも、遊んでると思われるのは嫌だから 大学で町おこしに役立つ知識を身に付けて、 地元の役所に勤めるつもりよ」
- 燦: 「そこで色んなイベントを打ち出して 光塚を日本でも有名な町にしてみせるわ」
- 燦: 「あ、でも火祭りの神が公務員って微妙…? むしろ神様になること自体が 一番の町おこしになるかもしれないわね」
- FILENAME: text_103103-1_32rIq.txt [Episode 3]
- かごめ: 魔法少女たちが忙しなく縦横無尽に動きまわる。
- かごめ: ネオマギウスのやり方で人々が魔法少女を知れば 怨嗟の渦が瞬く間に生じてしまう。 みんなはその結末におびえながら 計画を阻止するために 必死に動いているようだった…。
- かごめ: ネオマギウスの中には、 十七夜さんやみたまさんのように 社会のせいで苦しむ魔法少女たちがいるけど、 神浜市の人たちは魔法少女のせいで苦しんでる。
- かごめ: それはまるで、終わりのない螺旋を紡いで 負のるつぼを作り出しているみたいだ。
- かごめ: そのるつぼの底に堕ちるような感覚こそが、 教授を支配する諦念かもしれないと思いつつも 私はみかげちゃんの動きを知ると、 彼女を追いかけようと思った。
- かごめ: あの、無邪気で屈託がなく素直な明るさの中から 希望が生まれる気がしたから…。
- かごめ: そして私は祈り続ける…。 止まることを知らない争いの中で、 いろはさんたちが無事であることを…。
- さな: う…
- リヴィア: あかん、こんな深手やと 消耗が激しすぎる…
- リヴィア: 体を治すよりも先に 魔力の方が涸渇してまうわ…
- ヨヅル: グリーフシードは使いますか?
- リヴィア: 浄化したらんともたんやろうし、 しゃあないわ…
- 月出里: ふむ、ふむんむふんむ!
- リヴィア: ありがと、月出里
- さな: お代は…あとで… 返しますね…
- ヨヅル: 早く戦線に復帰したいのなら、 黙って治療を受けた方が良いかと
- 静香: 悪鬼の魂魄は私が出すわ
- ヨヅル: 承知しました
- すなお: 本当にリヴィアさんたちと 遭遇して良かったです
- ちはる: うん、ケアトレーラーには いないって聞いてたから
- ちはる: すぐにケガも治せないし、 どうしようって思ってたんだよぅ
- 月出里: ふんむんむむ、 ふむんむふむっむむ
- ヨヅル: 偶然でも出会えて良かったと 月出里が申してます
- リヴィア: ほんまやな
- リヴィア: 私らも用事があって動いてたから 運が良かったとしか言えへんわ
- リヴィア: それに…
- 静香: な、なに…?
- リヴィア: 前にうちに運ばれてきた時は、 潰れてまうかと思ったけど
- リヴィア: なんや吹っ切れたみたいで、 ええ顔になったな
- 静香: …私にはあなたが、 良い人か悪い人かわからないわ
- リヴィア: アンタらが衝突するように、 けしかけたりもしとるわけやし
- リヴィア: 良い人ではないかもしれん
- リヴィア: やけど、やり方は汚くても、 私はみんなの味方のつもりやで
- いろは: …………
- いろは: 紅晴さんたちは、 無事、列車に乗れたそうです
- 鶴乃: もう終電なんてないと思うけど、 どうやって乗れたんだろ?
- いろは: 湯国市に向かう貨物列車があって それに乗り込んだそうです
- 鶴乃: おぉ、なるほどね
- やちよ: それじゃあ、 私も事務所に向かうわ
- いろは: こちらは任せてください
- やちよ: ええ、私は私にできることを やってみるわ
- 時雨: あの、ぼくたちも、 助けてもらったのに悪いんだけど
- はぐむ: うん、別行動させてもらうね
- いろは: ネオマギウスに動きがあるなら、 私たちだって手伝うよ?
- 時雨: …教官にさらわれた三輪さんが、 まだ見つからないんだ
- はぐむ: うん…
- はぐむ: 電波望遠鏡で利用されたら すぐに解放されると思ってたけど
- はぐむ: どこにも姿が見えないから 探しに行きたくて…
- 時雨: だから、別行動でもいいかな…?
- いろは: 私には止められないよ でも、気をつけてね
- 時雨: うん…
- はぐむ: 環さんたちも気をつけてね
- いろは: ありがとう、はぐむちゃん
- フェリシア: じゃあ、オレたちは さっさと市役所に行こうぜ!
- 鶴乃: 防災無線の指令卓を押さえれば、 わたしたちの勝利だからね
- フェリシア: おうっ、ふんす!
- ひめな: じゃ、ありがとうね みわりん
- ひめな: あとはここでゆっくり休んでて
- 三輪 みつね: 藍家さん… 本当に仕掛けを使うつもり…?
- ひめな: うん、設置済だから あとは起動させるだけだよ
- 三輪 みつね: それでどうなるか…
- ひめな: 知ってる、 私チャンは理解してるよ
- ひめな: でも、キモチの石を ぜーんぶ手に入れちゃうには
- ひめな: どうしても必要だから
- 三輪 みつね: 本当にどこまでも、 一線を越え続けるんだね…
- 三輪 みつね: 彼のために…
- ひめな: でも、私チャンのマイメンは、 絶対に見捨てたりしない
- 三輪 みつね: っ、じゃあ、私をわざわざ 神浜市の外に連れ出したのって…
- ひめな: 助けたいからに決まってるじゃん キャハッ★
- FILENAME: text_103103-2_32rIq.txt
- いろは: …やっぱりダメ 私じゃ反応をつかめないみたい…
- フェリシア: オレもみたまと十七夜の魔力反応 全然つかめねーぞ
- うい: 鶴乃さんだけが うまくつかめてるみたいだよね
- 鶴乃: ん、こっち…!
- いろは: やっぱり目指してるのは、 神浜市役所で間違いなさそう?
- 鶴乃: うん、なるべく屋上を使って 直線距離で移動してるし
- 鶴乃: 道に降りてからの移動も、 方角的には市役所で間違いないよ
- いろは: それなら、 もうあと少しで着きそうだね
- フェリシア: おい、これって…
- うい: 仮庁舎に移転しました…?
- いろは: そっか、イブとの戦いで 中央区の被害が大きかったから…
- 鶴乃: 普段、来ることなんてないから 知らなかったよ…
- 鶴乃: わたしとしたことが、情けない…
- うい: で、でもあれだよね? 仮庁舎に行けばいいんだよね?
- 鶴乃: …………
- うい: え、違うの?
- 鶴乃: どこに防災無線の指令卓があるか わからないんだよ
- フェリシア: だから、かりちょーしゃって 場所じゃねーのかよ
- 鶴乃: こういう時はどこに指令卓の 機能があるかわからないんだよ…
- 鶴乃: 消防本部に警察署、 地域毎にある支所だとか
- 鶴乃: どうしても1ヶ所には絞れない…
- いろは: 魔力反応をたどれたとしても 時間がかかっちゃうし
- いろは: そもそも防災無線なんて 関係ないのかも…
- 鶴乃: でも、十七夜とみたまが 何をしようとしてるか
- 鶴乃: 今から考えてるヒマなんてないよ
- 鶴乃: タイムリミットになるぐらいなら 空振りしてもいいから動こう!
- いろは: そうですね…
- いろは: 今なら、神浜市の魔法少女が 動けるかもしれません
- うい: さっきのグループメッセージでも すぐに返信が届いてたし
- うい: 魔女との戦いに戻った人たちも いるって連絡があったよ
- いろは: うん、だから地域毎に散らばって 確認していけば
- いろは: そこまで時間はかからないと思う
- 鶴乃: じゃあ、さっそくみんなに 連絡してみよう!
- いろは: はい!
- FILENAME: text_103103-3_32rIq.txt
- 月夜: ダメでございます…
- 月夜: パッタリと月咲ちゃんの魔力が たどれなくなったでございます…
- みふゆ: なんだか妙ですね…
- みふゆ: 誰かが意図的に消したとしか 思えません…
- 月夜: 月咲ちゃんが揃えば、 神浜市の状況を元に戻せる
- 月夜: それを知ってるネオマギウスの 隠蔽でございますか…?
- みふゆ: そう考えるのが妥当ですね
- ピロン♪
- みふゆ: いろはさんからですね
- みふゆ: …………
- みふゆ: 十七夜さんとみたまさんは 足跡になる魔力の痕跡を消しつつ
- みふゆ: 大東区から中央区へ移動して、 さらに別の場所へと移動…
- みふゆ: 防災無線の指令卓がある場所が、 移動先だと思われるので
- みふゆ: 付近の候補になるポイントを 確認して欲しいようですね
- 月夜: …大東から中央区、 さらに西に向けて動いたとなると
- 月夜: ふたりはこの辺りを、 通ったかもしれないでございます
- みふゆ: 月咲さんを連れ戻されると 具合が悪いのを知っているなら
- みふゆ: 彼女の魔力も消してから移動して 水名に来てる恐れがあります
- みふゆ: もしも中央区から更に西に動いて この水名区に入ったなら…
- 月夜: 近くに支所や警察署がないか 調べてみるでございます
- 月夜: …………
- みふゆ: …………
- みふゆ: …どうですか?
- 月夜: 神浜市の支所が 水名区にあるでございます
- みふゆ: そこまで遠くなさそうですね
- 月夜: 行ってみるでございます
- みふゆ: …………
- みふゆ: まさかのビンゴのようです
- みふゆ: 本当に十七夜さんとみたまさんが いるみたいですね…
- みふゆ: ただ…
- 月夜: 私も感じるでございます… 何か冷たくて…変でございます…
- みふゆ: 今までのおふたりの魔力反応とは 明らかに違いますね…
- 月夜: こっそりと近づいて 確認してみるでございますか…?
- みふゆ: いえ、この距離であれば ワタシたちに気づいてるはずです
- みふゆ: 下手に刺激しないように 正面から姿を見せて近づきます
- みふゆ: ――っ!?
- 十七夜: 来てしまったか…梓…
- みたま: それに、月夜ちゃんも…
- 月夜: その、姿は…
- 十七夜: とりあえず場所を変えるか
- FILENAME: text_103103-4_32rIq.txt
- みふゆ: 姿が変わったということは、 大きく魂が変容したということ…
- みふゆ: ふたりが本気で滅びを 成そうとする証拠とも言えますね
- 十七夜: 邪魔立てをするつもりなのは わかっているぞ、梓
- みふゆ: 防災無線を使おうとしてるのは 明々白々ですからね
- みふゆ: それで、ワタシが止める気なら どうするつもりですか?
- みたま: 決まってるでしょう ここなら人目にもつかないわ
- 月夜: な、なんでございますか!?
- みふゆ: は、速いです!
- みふゆ: ――っ!?
- みふゆ: ウソでしょ…体が…!? 一瞬で動きを封じられた…!?
- 十七夜: 恨むな…梓…!
- 月夜: っ!
- 十七夜&みたま: 「ぬっ!?」 「ひゃっ!?」
- みふゆ: ぅ…すみません月夜さん… 動けるようになりました…
- 月夜: 封じられたのが足だけで 良かったでございます
- 月夜: みふゆさん、ひるんだ隙に…!
- みふゆ: はい、距離を取りましょう!
- みふゆ: それにしても、 全くためらいがないだなんて…
- みふゆ: 東のリーダーも、 ずいぶんと落ちましたね
- 十七夜: 欲に駆られてマギウスの翼に 入った奴が言えたことではない
- みふゆ: そうですね、お互い様です…
- みふゆ: 東西で対立し合っていた時は、 互いに傷つくことを避けてきた
- 十七夜: そうだな 襲撃犯が魔女だと裏が取れた
- 十七夜: 魔法少女たちを納得させるのは 一筋縄ではいかないだろうが…
- みふゆ: はい…ですが、根気よく 説得していきましょう
- みふゆ: もう1年以上も前の話ですが…
- 十七夜: 1年あれば人は変わる 梓も八雲も、そして自分もな
- 月夜: だけど、まだギリギリで 引き返せるでございますよ…!
- 月夜: ネオマギウスの計画を挫いて 町の人たちの暗示を解けば
- 月夜: 最悪の事態にはならないで ございます…!
- 月夜: 月咲ちゃんの居場所を 教えて頂けたら
- 月夜: みんなを救えるでございます
- 月夜: 魔法少女が人を傷つける悪として 広まるのを防げるでございます!
- みたま: まるで、わたしたちが 後悔してるような言い草ね
- みたま: …正直、わたしたちはお姫様の 計画がどうなろうと構わないのよ
- みたま: 成功すればわたしたち魔法少女が 人々の平等を管理すればいいし
- みたま: 失敗すれば神浜市の人たちが たくさん苦しんで
- みたま: 私たちを悪逆無道の存在として 恨みのはけ口にする
- みたま: 神浜市の人が結束するのであれば 私たちの本望だって言えるわ
- 月夜: そんな…
- みたま: そこまでしないと、 東西はひとつにまとまれない
- みふゆ: だから、滅びの願いに従って、 東西をまとめようとするんですね
- みふゆ: 多くの人を殺してまで…
- 十七夜: 人は死すれば何も語らない 何に対しても干渉することはない
- 十七夜: 最も平等であり 未来を見守り続ける存在となる
- 十七夜: そして、生存した東西の人々が 悪たる我々を前に手を結んだとき
- 十七夜: 皆は神浜市の分裂していた過去を 振り返って教訓とし
- 十七夜: 滅んだ者たちこそ 未来の希望を作ったと気づくんだ
- 十七夜: 納得いったか、梓
- みふゆ: そんな横暴な理屈なんて 関係ありません
- みふゆ: みかげさんは諦めてませんよ
- みたま: ――っ!?
- みふゆ: 東西はひとつにできるって、 我武者羅に頑張ってます
- みたま: わたしたちを動揺させるための 方便なんていらないわ
- みふゆ: じゃあ、その様子を ワタシの幻覚で見せてあげます!
- みたま: っ!
- 十七夜: はぁあああッ!!
- みふゆ: くっ!
- 月夜: みふゆさん! 一回、立て直してから
- 月夜: ァアッ!
- みたま: 動きは封じたわ…
- みたま: 十七夜!
- 十七夜: ここで戦友を失うのは残念だが 恨むな…!
- みふゆ: ももこさん!?
- ももこ: はぁっ…はぁ…危なかった… 一足先に飛んで来て良かったよ…
- ももこ: 遠目に見てまさかとは思ったけど やっぱり十七夜さんだったのか
- ももこ: それに調整屋も… 元の姿はどこで忘れてきたんだ…
- 十七夜: 十咎…
- ももこ: まぁいいや
- ももこ: このタイミングが良いのか 悪いのかはわからないけどな
- ももこ: これからアタシたちが、 ふたりの目を覚まさせてやるよ!!
- FILENAME: text_103103-5_32rIq.txt
- みたま: ももこまで邪魔をするのね
- みたま: 最初っから目は覚めてる 冷静に考えた結果よ
- みたま: わたしたちはこれ以上ないぐらい 蔑まれる状況に耐えてきたわ
- みたま: だけど、変わらないなら 自分たちで変えるしかない…!
- みたま: 自分のかけた呪いが大きくなって 人を傷つけてしまうなら
- みたま: せめて、未来のために この町を滅ぼしたい
- みたま: それの何がいけないの…!
- ももこ: 正直、調整屋が言ってることは、 アタシにも理解できるよ
- ももこ: けど、アタシらはさ、 誰かを傷つけるのを否定してきた
- ももこ: マギウスの翼と戦った時から、 キモチの石を巡って争う今まで!
- ももこ: それは、人の命を奪ったりして 苦しめることは
- ももこ: その人の未来や希望を消し去る ってことをわかってたからだ
- ももこ: だからいろはちゃんも、 争いを嫌って
- ももこ: 希望で未来を繋ごうとしてる じゃないと不幸が続くだけだから
- みたま: わたしたちに繋げられる希望が どこにあるっていうの?
- 十七夜: 希望を手繰ろうとした自分たちに 与えられたのは悲しみだった
- 十七夜: ――っ!?
- みかげの声: そんなことない!
- みたま: ミィ…
- みたま: まさか、 みふゆさんが言ってたことは…
- みふゆ: ウソじゃありませんよ
- みふゆ: みんな十七夜さんとみたまさんが 戻って来るようにって
- みふゆ: 希望を手繰り寄せようと してたんです
- みかげ: 姿が変わっちゃうぐらい、 姉ちゃたちはつらかったんだよね
- レナ: 魔力の反応が変わってるから おかしいと思ったけど
- レナ: そんな悲観的に ならなくてもいいわよ
- みかげ: 姉ちゃとなぎたんの未来は、 ミィたちが作ってきたからね
- かえで: うんっ
- かえで: だから十七夜さんも みたまさんも安心して
- かえで: もう、心の中で我慢して、 悲しまなくてもいいんだよ!
- 月夜: もしかして、私が戻ってからも、 みかげちゃんの計画は
- 月夜: ずっと続いていたという ことでございますか…!?
- ももこ: ああ、アタシたちが繋いだ
- ももこ: ふたりが先に動いてくれたから 話が綺麗に進んだんだよ
- みかげ: 姉ちゃ、大丈夫だよ 未来は真っ暗なんかじゃない!
- パシッ
- みたま: わたしは…信じないわ…! たとえミィの言うことでも…!
- 十七夜: 自分たちをだますような 芝居はよせ…!
- みかげ: 姉ちゃ…なぎたん… ミィ、頑張ったのに…
- みかげ: どうして信じてくれないの…?
- みかげ: そんなこと言われたら、 もう耐えられないよ…!?
- ももこ: 大丈夫だよ ふたりとも動揺してるだけだ
- ももこ: はぁ…本当に年下に面倒をかける お姉さんたちだよ…
- ももこ: とりあえず、十七夜さんも 調整屋も聞いてくれ…!
- ももこ: みかげちゃんがしてきたことをさ
- かごめ: いた…
- かごめ: リィちゃん… みんなの会話って聞こえるかな?
- 風の伝道師のウワサ: ……………
- かごめ: うん、私にも聞かせて欲しい
- かごめ: もしかしたら、 希望を見出せるかもしれないから
- FILENAME: text_103103-6_32rIq.txt
- みかげ: 「そう、ももたんの言った通り」
- みかげ: 「ミィはね、神浜市を滅ぼす願いなんて 叶えなくていいんだよって 姉ちゃとなぎたんに証明したかった」
- みかげ: 「だから“仲良し大作戦”を成功させようって みんなと一緒に頑張ってきたんだよ!」
- みかげ: ねえ、お姉ちゃん お願いがあるんだけど
- 月夜: な、なんでしょうか…
- みかげ: 東西のみんなを仲直りさせて、 姉ちゃを安心させたいから
- みかげ: そのお手伝いをして欲しい!
- 月夜: と、唐突でございますね…
- みかげ: ねえ、お願い!
- みかげ: 姉ちゃをネオマギウスから 連れ戻したいの!
- 月夜: …何かよくわかりませんが 連れ戻すという目的は同じ…
- 月夜: 私も月咲ちゃんの件があるので、 詳しい話を聞きたいでございます
- 月夜: 状況はわかったでございます
- 月夜: 選挙や駄菓子屋のことなど、 幾重も不安が積み重なった上に
- 月夜: みたまさんは自身が望んだ滅びが 必ず叶うと信じるようになった…
- 月夜: そして十七夜さんは、 滅びを少しでも未来にいかすため
- 月夜: 自らも滅びの当事者になって、 人々の敵になろうとしている…
- 月夜: それが東西の人たちをまとめる 切っ掛けになると思ってるから…
- みかげ: そんな感じだと思う!
- 月夜: う~ん… みかげちゃんから聞いた限りだと
- 月夜: あした屋さんでみかげちゃんが イジメっ子と仲直りした話を
- 月夜: みたまさんは 知らないようでございますね?
- みかげ: うん、なぎたんも知らないと思う
- 月夜: ただ、おふたりが変わった理由が わからないでございます…
- みかげ: 姉ちゃは自分の願い事と 関係してそうなんだけど…
- みかげ: なぎたんは姉ちゃよりも 人を信じてたから
- みかげ: 何かすごくつらいことがないと、 あんなに変わらないと思う…
- 月夜: …神浜市の人に不信感を抱いたり 敵意を向けるような出来事…
- 月夜: 西の人から攻撃を受けたとか 傷つくことでしょうか…?
- みかげ: うん、だからミィね 逆をやろうと思ってるの
- 月夜: 逆っていうと?
- みかげ: 西の人も東の人も仲良くなれる ひとつになれるって証明する
- みかげ: 「仲良し大作戦」だよ!!
- 月夜: な、なるほど…
- 月夜: 言いたいことは わかるでございますが
- 月夜: 長年かかってできなかったことを 私たちがやってのけるなんて
- 月夜: 無謀中の無謀でございますよ!
- みかげ: 諦めるのは良くないよ お姉ちゃん!
- みかげ: 最後まで希望は捨てずに頑張る それがミィたち魔法少女でしょ?
- 月夜: うっ… 屈託のない笑みを向けられると…
- 月夜: …わかったでございます
- 月夜: 私、天音月夜も同じ船に 乗らせてもらうでございます!
- 月夜: …で、何か手は あるでございますか?
- みかげ: ミィが知ってる東も西も関係なく 人が集まってくるのは
- みかげ: あした屋さんだよ! クスッ
- FILENAME: text_103103-7_32rIq.txt
- はぁ? 仲良し大作戦?
- みかげ: 神浜市の子どもたちを集めて、 手を取り合えば
- みかげ: 今の神浜市はバラバラだとしても 将来はひとつになれるって言える
- みかげ: そうやって今が不安な人たちをね ミィは安心させたいんだよ
- 別にそんなことしなくても、 私はいいけど
- こうやってミィちゃんたちと あした屋で遊べるもんね
- それに、私たち小学生だし
- 神浜市の子どもたちを ひとつになんてできないよ…?
- みかげ: それでもチャレンジしたいから 協力して…!お願い…!
- みかげ: ミィたちだって 最初は仲良くなかったでしょ…?
- う、うん…そうだね…
- 私たちミィちゃんをあした屋から 遠ざけようとしてたし…
- オレなんて、ミィに石投げて ひどいことしたよな…
- みかげ: そういう関係の人たちが、 神浜市にはいっぱいいるんだよ
- 月夜: …子どもたちの間でも
- 月夜: 痛ましい状況になっていたので ございますね…
- 月夜: みかげちゃん…
- 月夜: 西側の年長者として、 謝らせて欲しいでございます…
- みかげ: うーん… そういうところが気になるよね
- 月夜: へ?
- みかげ: 西側の人じゃなくて、みんなで 神浜市の人になっていきたい
- 月夜: …ふふっ、そうでございますね
- ていうか、気になってたんだけど この姉ちゃん誰だよ
- 月夜: あ、水名の天音月夜でございます
- みかげ: 西の方でも動いてもらえるように 協力してもらってるんだよ
- 月夜: 東はみかげちゃんで、西は私 要は分担するのでございます
- そっか、ミィだけじゃなくって こんな姉ちゃんも仲間なんだな
- 私たち小学生だけじゃ 何もできないって思ったけど
- 年上のお姉さんがいるんだったら 何かできるのかも
- うんっ、そうだね
- みかげ: それじゃあみんな!
- うん、ミィちゃんの 「仲良し大作戦」手伝うよ
- 「オレも!」 「私も!」
- ???: あ、いたいた!
- お母さんが寄り道しないで 帰って来いって怒ってたよ?
- あ、お姉ちゃん
- 月夜: ――っ!?
- あれ、明槻先輩 こんなところで奇遇ですね
- みかげ: あれ?このお姉さんは、 月夜さんの知ってる人なの?
- 月夜: はい、箏曲部の部員で 私の後輩でございますよ
- みかげ: じゃあ!
- 月夜: はい
- 急に示し合わせて… あの、私何かしましたか…?
- 月夜: いえ、むしろお願いしたいことが あるのでございます
- な、なんでしょう…
- 月夜: 私たちの「仲良し大作戦」に 協力して欲しいでございます!
- FILENAME: text_103103-8_32rIq.txt
- 明槻先輩が言いたいことは わかりました
- 東西の軋轢に苦しむ人がいるのは 私も知っていたつもりですが
- 普段は東と関わりもないので、 深くは考えていませんでした
- それに正直、私も東に対しては 良い印象は持っていませんし
- 周りの学生たちに訴えても どれだけ響くかはわかりません
- 月夜: 手伝って頂くことは、 難しいでございますか…
- 妹が力になりたいと言って 明槻先輩もその支えになるなら
- 私に否定する理由はありません
- それにこの子からは以前、 東の子に意地悪をしてしまったと
- 相談を受けたことがあったので、 良い機会だと思います
- 月夜: それでは…!
- はい、微力ながら 私もお手伝いいたします
- 月夜: まだ具体的に何をするのかは 決まってないのでございますが
- 月夜: 手を取り合いたい同志を集めて、 動く準備はしたいでございます
- 月夜: なので、まずは水名の箏曲部から 波及させるつもりでございます
- 部の繋がりで新西区や参京区には 簡単に広がりそうですしね
- 月夜: ――っ!?
- どうしましたか?
- 月夜: い、いえ…なんでも…
- みかげ: ねえ、月夜さん 今、変な魔力を感じなかった…?
- 月夜: みかげちゃんもでございますか? 実は私も違和感を覚えて…
- うっ、けほっ…コホッ…!
- みかげ: どうしたの!?
- な、なにこれ…
- 何だよ、急に気持ち悪く…
- どうしたの!?
- お姉ちゃんたちが話してる間に ジュースを飲もうとしたら
- 急に気持ち悪くなって…
- 月夜: そんな…みんな、 急にでございますか…?
- みかげ: 一口もらっていい?
- う、うん…
- 月夜: ちょっと、みかげちゃん 何が入ってるかわからないのに
- みかげ: んくっ…
- みかげ: んー…ミィはなんともない… 月夜さんも飲んでみて
- 月夜: …では、ひとくちだけ
- 月夜: …こくっ
- 月夜: …………
- 月夜: 普通に飲めるでございますね
- みかげ: でしょ?
- 真剣な話をしてるのに、 変ないたずらしないでよ…
- 違うよ、お姉ちゃん本当に…
- じゃあ私も…
- …………っ、うっ…何これ…
- 味は平気だけど、 飲もうとしたら急に吐き気が…
- みかげ: うそ…
- みかげ: じゃあ、飲めるのは ミィと月夜さんだけってこと…?
- 月夜: …魔法少女だけ…?
- ピロン♪
- 月夜: …………
- 月夜: …そんなっ
- 月夜: みかげちゃん 大変でございますよ…
- みかげ: だってこんな状況だもん…
- 月夜: そうじゃなくて、この状況は ネオマギウスのせいでございます
- みかげ: えっ!?
- 月夜: 魔法少女の力を示すために 実行された暗示のせいで
- 月夜: みんな、飲むことも食べることも できなくなったのでございます…
- みかげ: でも、ユニオンのみんなも入れて 頑張ってたんじゃないの…?
- 月夜: どうも、 遅かったようでございます…
- 月夜: あと重要なことがネオマギウスの 時雨さんから…
- みかげ: 何…?
- 月夜: 今回、東西の軋轢を作りあげた 神浜市長選でございますが
- 月夜: あれもネオマギウスが裏で動いて 混乱させたようでございます…
- 月夜: 西の候補… 現市長が東の候補を貶めたのは
- 月夜: 本人の意思ではなく、 藍家ひめなの意思でございます…
- 月夜: みたまさんと十七夜さんに 真実を伝えれば…!
- みかげ: それでも姉ちゃたちは 帰ってこないよ…
- 月夜: だけど、おふたりが戻れば、 ネオマギウスの計画に影響がでて
- 月夜: 神浜市の皆さんを助けられる 可能性があるでございます
- みかげ: だから、姉ちゃとなぎたんが 帰ってくるように
- みかげ: ミィたちはふたりに 希望を見せないとダメなんだよ
- みかげ: そのための 「仲良し大作戦」だもん!
- 月夜: そうでございますね
- 月夜: このまま作戦を続けることが 良いと思うでございます
- 明槻先輩…? 何かありましたか…?
- 月夜: あ、皆さんの症状でございますが 他の方も出ているようで
- 月夜: 一度、家に帰ってご家族の様子を 窺った方が良さそうでございます
- 私たちだけじゃ、ないんですね…
- わかりました 一度帰って様子を見てみます
- 月夜: あの、作戦への協力についても、 引き続きお願いするでございます
- 月夜: 今回の市長選でも、東西の歴史が 利用されてしまった…
- 月夜: 過去のせいで未来が汚されるのを 私は耐えられないでございます
- …………
- ん? どうしたのお姉ちゃん?
- 私も明槻先輩と同じ気持ちです
- 月夜: 私は一度、環さんたちと合流して 行動するでございます
- 月夜: みかげちゃんはどうしますか?
- みかげ: ミィは一度、お家の様子を見て 仲間集めを始めるよ
- 月夜: では、西の方は道すがら 私が連絡を取るでございます
- みかげ: うん、ありがとう 月夜さん!
- FILENAME: text_103103-9_32rIq.txt
- ピロン♪
- ももこ: …………
- ももこ: …ネオマギウスの計画は 神浜市民会館の拡声器を使うのか
- レナ: いろはから?
- ももこ: うん、やちよさんたちで、 神浜市民会館に向かってるらしい
- レナ: 近いけど、レナたちも行く?
- ももこ: いや、プロミストブラッドも みふゆさんも一緒みたいだから
- ももこ: 今は、アタシたちにできることを やっておこう
- かえで: でも「仲良し大作戦」って 内容は決まってないんだよね?
- ももこ: まぁ、協力してくれる人を 集めてるぐらいだな…
- みかげ: うん… それぐらいしかできてないよね…
- ももこ: 本音を言うと、もっと効果的な 方法を見つけたい
- ももこ: なんせ十七夜さんと調整屋を 連れ戻せば
- ももこ: ネオマギウスの計画を阻止できる かもしれないからな…
- かえで: 何だか人を集めても、 今のままだとムダになるかもね…
- みかげ: え、あ、そう、だけど…
- みかげ: …ももたん、どうしよう?
- かえで: あ、ご、ごめんね…!
- かえで: 意地悪を言いたかったわけじゃ ないんだけど…
- かえで: 何もないならって ちょっと提案しようと思って
- レナ: それならそうと 先に言えばいいのに…
- ももこ: この短時間でできること、 何かありそうか?
- かえで: うん、署名サイトを 使ってみるのってどうかな?
- かえで: 状況は大きく変わらないけど、 自分たちの姿勢を示すのに
- かえで: すっごく役に立つと思うよ
- かえで: 私のお家でも森林保護の活動で 署名を集めたりしてるんだけどね
- かえで: ちゃんと役所の人に渡せる 形にだってなるし、どうかな?
- レナ: 渡して反応を待つとか、 それこそ時間がないんじゃない?
- かえで: でも、何人署名をしてるのかは ちゃんと数字になってでてくるし
- かえで: コメントだって入れられるから 賛同者はわかりやすいよ?
- みかげ: 今まで集めた人たちに しょめーしてもらえばいいかな?
- かえで: 東と西の人たちってこんなに 手を取り合おうとしてるんだって
- かえで: みたまさんと十七夜さんに 見せられるかもしれないからね
- みかげ: じゃあそれ!それにする! かえでたんすごいね!
- ももこ: 深夜になったけど、 今日は起きてる人が多い
- ももこ: SNSに張り付いて情報を 探ってる学生も多いはずだから
- ももこ: 連絡を取りつつ 東の方は団地を優先に回ろう
- かえで: レナちゃんは…どう?
- レナ: なんでレナの顔色をうかがうのよ 別に、いいんじゃない…?
- レナ: レナもひみかとかこの辺りの 魔法少女に連絡しといたから
- レナ: 一緒に回ってくれる子は 増えると思うわよ
- みかげ: レナたんもありがとう!
- レナ: レナだって戦いたくないから… あのふたりとは…
- みかげ: うん!
- 昔から長年続いている東と西の問題
- 東は危険な町で粗暴な人たちが集まってるとか 西は東の人を冷遇して追いやろうとしてるとか 何世代にも渡って私たちは お互いの悪いところを見聞きしてきました
- もちろん生活や文化が違って擦れ違うことはある でも、本当に仲良くできないのかな…?
- 昔とは違ってSNSでの交流が増えてきたり 部活を通した交流が増えてくる中で 今まで見たり聞いたりしてきた常識に対して 違和感を覚えている人はいませんか?
- 話してみたら普通だった オフで会ってみたら東と西の関係で驚いた など、みんな経験があると思います
- それなのに、なぜか上の世代の人が言うことや 周りの人たちの雰囲気から強い圧力を感じて 本当のことが言えなくなってしまう
- そんな経験をしたことがある人がいたら 「仲良し大作戦」に賛同してくれませんか? もしも賛同してくれるようであれば リンク先のページで署名してくれると嬉しいです
- 私たちはこれから 「神浜市の未来を作る学生会議」を始めます
- これは賛同してくれた東西の学生が一丸になって 神浜市で手を取り合うための 話し合いをする会議です
- 署名があつまれば神浜市に掛け合いますので どうかご協力をお願いします
- かえで: すごい、 少しずつだけど増えてるね
- ももこ: 署名の数が… とんでもない勢いだな…
- レナ: ていうか、 増えてく速度あがってない?
- かえで: みんなが知り合いに声をかけて、 話が広まってるのかもしれないね
- レナ: 灯花とねむが魔法少女の話を 広めようとしても無理だったのに
- レナ: なんか、わからないもんね
- 十七夜の弟の声: あの…
- みかげ: あ、なぎたんとこの!
- レナ: ん、だれ?弟?
- 十七夜の弟: はい、たぶん皆さんは 姉の友人の方、ですよね…?
- レナ: …友人…? 難しいけど、そうかな…?
- かえで: こういうときは、 友だちってことにしとこうよ
- ももこ: こういうときって言うなよ… 変に勘ぐられてややこしくなる…
- ももこ: あ、あの、気にしないで 仲良くさせてもらってるよ
- 十七夜の弟: …今回の件なんですが、 恐らく姉が関わってますよね…?
- ももこ: ど、どうして?
- 十七夜の弟: 実は俺、この前ケンカをして 病院に運び込まれたんです
- 十七夜の弟: 原因が西のグループのヤツに 襲撃されたからなんですけど
- 十七夜の弟: その事実を知って以来、 姉は変わってしまったんです…
- 十七夜の弟: 努めて暴力を振るうなと言って 自制心の塊みたいだったのに
- 十七夜の弟: 何もかもが吹っ切れたみたいに 家を出て行ってしまって…
- ももこ: …確かに、十七夜さんの 心が揺れた要因になりそうだな…
- みかげ: それでも大丈夫だよ なぎたんは連れ戻してくるから
- 十七夜の弟: …みかげ
- 十七夜の弟: 情けない話だけど俺には 何が起きてるかわからない…
- 十七夜の弟: だから、もし事情を知ってるなら よろしく頼むよ…
- みかげ: うんっ!
- FILENAME: text_103103-10_32rIq.txt
- みかげ: 東の人たちの声かけは 広まってるから
- みかげ: 次は西の方にも行ってみよ!
- ももこ: 月夜が動いてくれたおかげで みんなに広まってるみたいだけど
- ももこ: もっと加速させられそうだしね
- レナ: 要はレナたちの知り合いにも 声をかけていけばいいんでしょ?
- かえで: あんまり友だちがいない人には 難しいかもしれないね…
- レナ: ちょっと…! 急にディスってくるじゃない…
- かえで: うゆっ、わ、私も含めてだよ…
- ももこ: ま、ひとりだけでも構わないさ やることに意味があるってね
- みかげ: クスッ
- ももこ: どうしたの?
- みかげ: ネットってすごいなーって
- みかげ: だって今まで東と西は 嫌い合ってると思ってたのに
- みかげ: 顔を合わせなくていいネットだと しょめーが増えてくんだもん
- レナ: リアルじゃ言いづらいことも、 ネットだと言えちゃったりするし
- レナ: 時代を反映してるって感じは するわね
- かえで: 街頭の募金とか署名って 少し恥ずかしい時があるけど
- かえで: ネットだったら、周りの目を 気にせずにできるもんね
- ももこ: それこそ上の世代や周りからの 圧力がないってことかもな
- みかげ: あ、すごく長いコメントを してくれてる人がいるよ
- 私も署名させてもらいます
- 私は水名で学生をしているのですが 昔、珍しく大東から転入してきた人と 一緒に学ぶ機会がありました
- ですが、当時の私は東の話を鵜呑みにしてた上に 優秀な彼女に嫉妬していました その結果、辛くあたってしまったんです…
- いえ、辛くあたったなんてものじゃない 私は彼女を階段から突き落とそうとしました
- あのときに重ねた罪が署名ひとつで 償えるだなんて思ってはいませんが これを機会に変えていきたい
- 私自身を変えつつ 不幸な人を増やさないようにしたいです
- みかげ: 本当はみんな、素直に本音を 言えなかっただけなのかも
- ももこ: 同じような人が集まったから 多く見えてるだけで
- ももこ: 実際は神浜市の学生の一部だよ
- ももこ: 全人口で考えれば、 本当にまだ些細な数だ…
- みかげ: でも、ももたん
- ももこ: そうっ、少ない数じゃない アタシたちは変わっていけるよ
- みかげ: うんっ
- レナ: ちょ、こんな時に魔女…!?
- かえで: 今は時間がないから後回しに…
- レナ: んなこと、できないわよ
- レナ: それに…
- かえで: 何、見てるの、レナちゃん
- レナ: ちょっと、あれ 飛び降りるんじゃない…?
- かえで: ふゆぅ…!? 魔女の口づけを受けてるかも!?
- みかげ: あ、あの人…!
- かえで: 知り合い!?
- みかげ: 市長さんだ!
- みんな: ええっ!?
- FILENAME: text_103103-11_32rIq.txt
- かえで: はぁ、ふゆぅ…
- レナ: ま、間に合ったぁ~
- 市長: うぅ…
- ももこ: あ、やばっ 気がつくのが早い…!
- 市長: っ…ぅ…あなたたちは…
- ももこ: あ、えーとなんて言うか…
- みかげ: 飛び降りそうだったから、 助けたんだよ
- みかげ: ミィたちが通りかかって 良かったね
- ももこ: どストレートだな…!
- 市長: その制服…大東の子、なのね…
- 市長: ごめんね
- 市長: 私のせいで苦しんでるよね… どうか、許して…
- みかげ: え、えぇ…?
- かえで: ねえねえ、レナちゃん
- かえで: 市長選にネオマギウスが関わって 混乱させたって話だったけど
- かえで: これってもしかして…
- レナ: うん、かけられた暗示が 解けてるのかもしれないわね
- 市長: 自分でもよくわからないのよ
- 市長: どうして正々堂々と選挙で戦わず 東を貶めるマネをしたのか…
- 市長: それまでは、災害を機にひとつに なれるチャンスだと思ってた
- 市長: 東の彼に負けたとしても 西の代表として手を取る気だった
- 市長: なのに、自分の志が 歪んだ理由がわからないのよ…
- 市長: だから…ごめんなさい…
- 市長: 大東のあなたには、 ただ、謝ることしかできなくて…
- みかげ: どこで、 おかしいなって思ったの?
- 市長: 今、神浜市内ではほとんどの人が 体に異常をきたしてるでしょ…?
- 市長: まさか、就任してすぐにこんな 事態が起きるとは思わなくて
- 市長: でも、市民の危機だからこそ、 私が助けないとって思ったとき
- 市長: 急に自分の頭の中で 何かが剥がれたような感じがして
- 市長: 目の前が明るくなったような 気がしたの…
- 市長: それから対策会議を開いたり、 関係各所とやりとりをしてる間に
- 市長: 私は守るべき市民を傷つけていた ことに気づいたの…
- 市長: そして、 気がつけばここにいたわ…
- 市長: …救われた以上、自分の口から 辞意を表明するわ
- 市長: 少なくともそうしないと、 東の人に顔を向けられない…
- みかげ: ねえ、じゃあお願い
- 市長: …………?
- みかげ: ミィたちね、東と西を繋ぐための しょめー活動をしてるんだ
- みかげ: それでね、今みんなに 声をかけてるんだけどね
- みかげ: 市長さんにも参加して欲しいし みんなに伝えてほしい
- 市長: ――っ!?
- 市長: …わかったわ
- 市長: もう少ししたら この事態に対する会見があるから
- 市長: その会見後に、辞意を表明して あなたたちのことを伝えてみるわ
- 市長: それが今、私にできる 償いのひとつになると思うからね
- みかげ: ありがとう、市長さん
- レナ: 何これ、何これ! ちょっと急展開過ぎない!?
- かえで: でも、署名活動を知ってもらう スゴイ機会だよっ!
- ももこ: こうなったら、アタシも やちよさんに手伝ってもらうか
- ももこ: さて、どう言ってくれるかな
- ももこ: なるほど…
- ももこ: 時間までに笠音アオの放送を 止められなかったら
- ももこ: 魔法少女が一般人を傷つける 映像が流されるのか…
- ももこ: …たまったもんじゃないな
- やちよ: 取りあえず、私たちの状況は 話した通りだけど
- やちよ: ももこも私に 話したいことがあるんでしょ?
- ももこ: うん
- ももこ: 実は今さ、魔女の口づけをされた 市長を助けたところなんだよ
- やちよ: 市長…?
- ももこ: そう、それで悪いんだけど やちよさんに協力して欲しい
- やちよ: 私にできることなら 手伝うのは構わないけど…
- ももこ: 報道番組の出演依頼が やちよさんにあったんだろ?
- やちよ: ええ、生配信で 神浜市の異変に関するやつね
- ももこ: それに出演して欲しい!
- やちよ: なっ!ちょっと待って! どういうこと?
- ももこ: 市長が会見後に辞意を表明する
- ももこ: それに合わせて署名の件も 伝えてくれることになってるんだ
- ももこ: だから、やちよさんにも番組で 署名の話を出して欲しい
- やちよ: 無理よ… どう考えても台本にないもの…!
- やちよ: 勝手にそんなことをしたら、 仕事がなくなるわよ…!
- ももこ: …ごめん、そうだよな 無理を言ったよな…
- やちよ: …………いえ、ごめんなさい
- やちよ: 十七夜とみたまを連れ戻すのに、 そんなことは言ってられないわね
- やちよ: …わかった、依頼を受けるわ なんとかやってみせる
- ももこ: ありがとう、やちよさん
- やちよ: それに、ももこに頼られるのも 久しぶりな気がするからね
- FILENAME: text_103103-12_32rIq.txt
- ももこ: 今、話したことは全部事実だ
- みたま: …その話の通りなら、 みんながひとつになろうとしてる
- 十七夜: 自分たちが悪役にならずとも 東西はまとまるというわけか
- 十七夜: むしろ、自分たちが滅びを成せば 可能性を絶つことになる
- みたま: わたしたちの大義名分は 失われるわね
- 十七夜: ただ、それは理屈にすぎん
- ももこ: まだやる気なのか…!?
- ももこ: く…
- 十七夜: 東西の軋轢を無くすなど、 これまでに何度も聞いた言葉だ
- 十七夜: だが、結局は政争に利用され、 堕ちてしまったのが我々の姿だ…
- 十七夜: 今、ここに生きる者たちの口から 正しい言葉が聞けるとは思わん
- みたま: 一度滅んで、何にも干渉されない 希望を得てからでないと
- みたま: わたしたちが信じられる言葉を 聞ける気がしないわ
- 十七夜: 詰まるところ悪いが、 貸すべき耳は持ち合わせていない
- ももこ: っ、やるにしても 多勢に無勢だぞ、十七夜さん!
- 十七夜: 無勢だからなんだ
- みたま: わたしたちはわたしたちの信じる 救いに向かって進むだけよ
- みふゆ: くっ!
- みふゆ: …こうなったら、 証拠を見せつけるしかないですね
- 月夜: 証拠でございますか…?
- みふゆ: ももこさん、会見の時間は いつ頃ですか?
- ももこ: 悪い、もう終わってるはずだ!
- ももこ: けど、まだやちよさんの番組は 続いてる!
- みふゆ: 一か八かになりますが…
- みふゆ: ワタシの幻覚を使って、 やっちゃんの番組を見せます
- みふゆ: 世界全体を作るような アサルトパラノイアではなく
- みふゆ: 部分的な視覚効果であれば、 すぐにできるはずです
- みふゆ: 音に関しては月夜さんの能力で 耳に届くようにしてください
- みふゆ: そして、みかげさんは元となる 番組画面の準備をお願いします!
- 月夜: わ、わかったでございます!
- みかげ: ミィに任せて! パパッと準備するからね!
- みふゆ: その準備が終わるまでは
- みふゆ: ワタシと月夜さんでみたまさんを 押さえます
- みふゆ: ももこさんたちも 十七夜さんを押さえてください!
- 十七夜: 見えすいた動きでは、 自分を止められはせんぞ
- レナ: いや、押さえるって言われても 無理中の無理なんだけど!
- かえで: あぅぅ… 動きを読まれちゃうよ…!
- 十七夜の声: すまない秋野君 始末させてもらうぞ
- かえで: ふぇぇ!?
- ももこ: さっせるかぁああああッ!!
- 十七夜: ぐっ、ぅ、頭突きだと…!?
- 十七夜: 十咎、子どものケンカじゃ…
- ももこ: うるっさい、読まれないように 我武者羅に飛び込んだだけだ!
- 十七夜: 心が、感情がぐちゃぐちゃだぞ
- ももこ: 読みづらいだろ! けど、そんな気持ちなんだよ!
- ももこ: ひとりで突っ走りやがって!
- ももこ: アタシら魔法少女は 色んな人の中で生きてるけどさ!
- ももこ: だからこそ、自分たちが生きる 社会が大切かもしんないけどさ!
- ももこ: 近くでアンタたちを見てるのは アタシら魔法少女だろ!
- ももこ: ちょっとぐらい、こっちを見ろ!
- みたま: くっ!
- 月夜: うまく音の衝撃が 伝わったようでございます
- 月夜: みふゆさん! ひるんでる間に早く!
- みふゆ: これで、少しは 大人しくなってください!!
- みたま: ぐ、ァアッ!
- みふゆ: さすがに十七夜さんと比べると 戦闘力は劣るようですね
- みふゆ: この隙に画面を見せられたら…
- みかげの声: 準備できたよーーーー!
- みふゆ: みかげさん…! グッドタイミングです!
- 月夜: では、みんなの耳に番組の音声を 届けるでございます!
- みふゆ: 皆さん空に注目です! 番組の画面が映し出されますよ!
- みかげ: いつもニコニコしてて、 みんなに優しい姉ちゃだけど
- みかげ: ミィは姉ちゃが一番苦しんでるし 疲れてるって知ってるよ
- みかげ: だからね、一緒にその苦しみを 吹き飛ばしちゃおう
- みかげ: もう、無理にニコニコして 疲れなくてもいいときがね
- みかげ: きっと来るから!
- FILENAME: text_103103-13_32rIq.txt
- レナ: 記者会見のVTRを流してる!
- かえで: これ、終わったらやちよさんに コメントを求めるかも!
- 月夜: 番組を見て署名をする人が、 増えるかもしれないでございます
- FILENAME: text_103103-14_32rIq.txt
- やちよ: 「正直、今回の会見の内容について 私は複雑な気持ちです」
- やちよ: 深夜でも点滴の対応をしてくれる病院の話や 近隣の自治体への協力要請なども含めた 定例会見としての内容に不満はないのですが
- やちよ: やはり市長が反社会的勢力と結びついていた話や それによって辞職をする件については 驚きだけじゃなくて、悲しみを禁じ得ません…
- やちよ: 表だって口にはしませんが、神浜市には古くから 東と西との間で軋轢があって それは私たちの世代にも影響しています
- やちよ: 災害が起きた結果とはいえ ひとつになろうとする姿が私にも見えていたので 市長選の影響で再び溝ができる様子は 見ていて辛いものでした
- やちよ: それを再び埋めるのは難しいことですが 神浜市の学生たちは今 自分たちで結びつきを取り戻そうとしています
- やちよ: 「神浜市の未来を作る学生会議」
- やちよ: 今、それを発足させるための署名活動をしていて 私も参加させてもらうことにしました
- やちよ: 「宣伝みたいになって申し訳ないのですが 協力してくれる方がいれば署名をお願いします もう、東西のことで泣いている友人を 見ていたくはないんです…」
- やちよ: 「だから、私たちの手で変えていけると嬉しいです」
- みかげ: ほら、姉ちゃ…
- みかげ: ミィたちの仲良しの未来は、 まだ繋がってるよ…!
- みたま: ミィ…
- みたま: だけど、こんな署名の数字を 信じろっていうの…?
- 十七夜: それに、手を取り合う未来が こんなもので来るかどうか…
- 十七夜の弟の声: 来るよ、姉さん
- 十七夜: ――っ!? お前…どうしてここに…
- 十七夜の弟: れいらちゃんたち、団地の子から 姉さんの居場所を聞いたんだ
- 十七夜の弟: それで、途中からは環さんたちに ここまで連れてきてもらった
- いろは: はい、途中で合流して ここまで一緒に来たんです
- フェリシア: それに西の方も回ってきたから 人数はこれだけじゃないぞ!
- うい: みたまさんに 伝えたいことがあるんだよね?
- 鶴乃: 話すなら今だよ
- う、うん…
- みたま: あなたは…
- 恨んでる…よね…
- 私があなたを階段から 突き落とそうとしたんだから…
- みたま: …………
- ごめんなさい… すべては私の嫉妬のせいなのに
- あなたが罰を受けて、 学校を退学することになった…
- 私があなたの人生の歯車を 大きく狂わせてしまった…
- その歪みを私がどうにか できるだなんて思わないけど…
- でも、お願いです…
- 同じ不幸の連鎖を止めるために 私も全力で生きるから
- だから力にならせて… みんなの未来のためにも…
- 十七夜の弟: ああ…姉さんが何をする気なのか 俺にはわからないけど
- 十七夜の弟: ひとりで抱えて自暴自棄には ならないで欲しい
- 十七夜の弟: 姉さんは理解されにくいけど その分、俺が支える
- 十七夜の弟: みたまさんと一緒に 東西の関係を変えようとした分
- 十七夜の弟: 今度は俺たちも一緒に頑張る だからさ、ひとりで抱えるなよ
- 十七夜: …………はぁ…
- 十七夜: 自分は…自分は… 不器用すぎたのかもしれんな…
- みたま: 動く人が変われば、 こうも状況が変わるなんてね…
- 十七夜: ああ…
- いろは: …観鳥さんが、 遺した動画の中で言ってました
- いろは: 十七夜さんとみたまさんが 羨ましいって
- いろは: 平等で公平な東を 謳歌できるのは
- いろは: マギウスの翼に入ってまで 望んでたものなんだって
- 十七夜: ―十七夜― そうだ…
- 十七夜: ―十七夜― 自分が東西のことで悲しみを蓄えてきたように 多くの者たちが、この件で悲しんできた…
- 十七夜: ―十七夜― それなのに、自分は己の悲嘆に従って 他の者が抱えている悲嘆を無視してしまった…
- 十七夜: ―十七夜― この悲嘆のキモチも知っているであろう 観鳥君と牧野君の悲嘆も含めて…
- 十七夜: ―十七夜― 神浜市全体のことを見ているようで 一番身近だった者たちの悲しみも忘れていては
- 十七夜: ―十七夜― それは自暴自棄と変わらない…
- 十七夜: ―十七夜― ともなると自分は 諦めの境地にいたのかもしれないが
- 十七夜: ―十七夜― 今は諦める必要がないことがわかった
- 十七夜: ―十七夜― 自分はこれから周りの力も借りて 悲嘆のない未来を築くように努めていこう
- みたま: ―みたま― わたしの願いは滅びという使命を抱えて どこへ行くのかしら…
- みたま: ―みたま― このまま滅びの瞬間を延ばせば延ばすほど 願いは叶えられるために力を大きくして
- みたま: ―みたま― 神浜市を超えた規模の滅びを この世界に与えるかもしれない…
- みたま: ―みたま― 鏡の魔女の肥大化だって わたしの願いのせいかもしれないのよ…?
- みかげ: ―みかげ― それでも、滅びを与える姉ちゃは つらそうだよ?
- みかげ: ―みかげ― だったら つらい方には行かない方がいいよ
- みかげ: ―みかげ― そのときが来たら そのときに考えればいいんだよ
- ももこ: ―ももこ― そう、本当に滅びる時になったらさ アタシも一緒になって必死にあがくからさ
- ももこ: ―ももこ― 自分から滅ぼす必要はない 自分から滅ぼさないでくれよ、調整屋
- みたま: ―みたま― わたしの願いがももこを殺しても 恨んだりしない…?
- ももこ: ―ももこ― 言ってるだろ、一緒にあがくって
- ももこ: ―ももこ― それでも滅ぶっていうなら 恨みっこなしで一緒に滅んでやるよ
- FILENAME: text_103103-15_32rIq.txt
- 十七夜: 環君…
- いろは: はい…
- 十七夜: いつか君の純粋がゆえの愚かさに 魅力を感じると言ったが
- 十七夜: それは自分も 同類だからかもしれん
- 十七夜: 気づかないところで君に 共鳴していたのだろう
- 十七夜: とはいえ、自分は道を違えた…
- 十七夜: 環君は同じ轍を踏まないように 気をつけて欲しい
- いろは: はい…
- みたま: ミィ
- みかげ: うん
- みたま: みんなに栄の1090に向かうよう 伝えてあげて
- みたま: そこがお姫様の本命よ
- ももこ: じゃあ、防災無線は…?
- みたま: 防災無線も放送局への郵送物も アオちゃんの生放送も
- みたま: 全ては1090で行われるお姫様の 放送に繋げるための施策
- みたま: 今は報道の人たちが、 近くで待機してるはずよ
- みたま: 自分たちに送付されてきた内容が 事実かどうかを判断するためにね
- 十七夜: 八雲、自分たちは姫君の仕掛けを 破壊しに行こう
- みたま: ええ、今のわたしたちには、 それぐらいしかできないからね
- 鶴乃: わたしたちと 一緒に来てくれないの?
- みたま: 他に片づけておくことがあるから
- 十七夜: それに、今は由比君たちと共に 肩を並べて歩けない
- 月夜: あの、月咲ちゃんの居場所を ふたりはご存知でございますか?
- 十七夜: 彼女は自分の意思で逃げている
- みたま: ええ、わたしは足跡を消したけど 向かった方角しかわからないわ
- 十七夜: では、失礼する 弟たちのことは頼んだ
- みふゆ: では、ワタシたちは引き続き 月咲さんを探しに行きましょう
- 月夜: そうでございますね…
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: うん、まだドキドキしてる…
- かごめ: 負の螺旋が動きを止めた…
- かごめ: 十七夜さんとみたまさんの心が みんなのところに帰ってきた…
- かごめ: 色んなことが重なって… 本当に奇跡ってあるんだね…
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: そうだね、希望だと思う
- かごめ: とても重くて抗えない潮流にも 逆らえるってことの証明は
- かごめ: 魔法少女が抱えている宿命からの 解放にも繋がると思う
- ピロン♪
- やちよ: …………
- やちよ: (十七夜とみたまが居た所に 集まってくれた人たちは)
- やちよ: (団地の子たちを含めて 他の魔法少女にお願いして)
- やちよ: (いろはたちは 1090に向かって移動した…)
- やちよ: (これからお叱りを受けて 合流するには時間がかかる…)
- やちよ: さっさと番組のスタッフが 解放してくれたらいいけど…
- やちよ: ん…?
- やちよ: (阿見さんと史乃さんから 返事がきてる…)
- やちよ: …………
- やちよ: (Dotuberのコラボ企画で、 1090に集まって配信ね…)
- やちよ: 藍家さんが種を蒔いていたのが、 インフルエンサーも含んでたら…
- やちよ: 十七夜たちが言ってる話は かなり確度が高そうね…
- FILENAME: text_103103-16_32rIq.txt
- 時雨: はぁ…ふぅ…
- 時雨: 三輪さんの反応があるよ…
- はぐむ: どこにもいないって思ってたけど まさか公民館なんて…
- 時雨: 誰もいないみたいだから、 置いてかれたってことかな…?
- はぐむ: どうかな…もしかしたら、 擦れ違いだったのかも…?
- はぐむ: でも、とりあえず 見つけられて良かったね
- 時雨: うん…
- 時雨: 反応があるっていうことは 生きてるはずだから
- 時雨: きっと無事だよね…
- はぐむ: あっ、いたよ
- 時雨: 三輪さんっ
- 三輪 みつね: 時雨ちゃん、はぐむちゃん…!? どうしてここに…?
- 時雨: ずっと見つからないから 心配して探してたんだよ…
- はぐむ: ケガはない…? 誰に連れてきてもらったの…?
- 三輪 みつね: あ、えと… 藍家さんが連れてきてくれた…
- はぐむ: 藍家さんはどこに行ったの…?
- 三輪 みつね: わからない…
- 三輪 みつね: だけど、仕掛けを作るために 移動したのは確か…
- はぐむ: 仕掛け…?
- 三輪 みつね: …ねえ、お願い 時雨ちゃん、はぐむちゃん…
- 三輪 みつね: 藍家さんを見つけて…! 絶対に止めないといけない…!
- 三輪 みつね: 私を神浜市から連れ出したのは 巻き込まないためだと思うし
- 三輪 みつね: もしかしたら、こうして 私を探しに来ることも想定して
- 三輪 みつね: 時雨ちゃんとはぐむちゃんを 避難させたんだと思う
- 三輪 みつね: もう、あの人の優しさも怖さも 私にはわからないけど…でも…!
- はぐむ: あぁ、はわわ…あのぉ… それはつまりどういうこと…?
- 時雨: ちょ、落ち着いて…三輪さん… そもそも仕掛けが何か…
- はぐむ: うん、まずは説明してくれないと 混乱しちゃうよ…
- 那由他: えっ!?
- ラビ: どうしました…!?
- 那由他: みかげさんからのメッセージで、 お姉さんが帰ってきたって…
- 那由他: 手前の状況が書かれてないので 意味がわからないんですの…
- ラビ: 聞けばいいんじゃないですか?
- 那由他: わ、わかってますの!
- ラビ: ふぅ…
- 旭: どうも時女一族側は、二葉殿の 手当てをしていたようであります
- うらら: プロミストブラッドの方は まだ様子がわからないけど
- うらら: どこもバタバタとしてそうなんよ
- 太助: 神浜市の惨状を踏まえれば、 連絡がつきにくいのは当然だよ
- 太助: うちの兄も他の医療機関に 手伝ってもらいながら
- 太助: なんとか点滴でフォローしている みたいだからね…
- 那由他: ………… みかげさんのお姉さんは
- 那由他: 先ほどまでネオマギウス側に いたそうですが
- 那由他: その切っ掛けになった 神浜市の問題に希望の光が差して
- 那由他: 戻ってきたみたいですの
- ラビ: そうですか…
- 那由他: …微笑みましたの
- うらら: ラビさんは教授と同じで、 完全に希望は捨ててないんよ
- ラビ: 唯一、積極的に争いから遠ざかり 平和を望んでいる環いろはが
- ラビ: 数少ない希望に なり得る可能性があるから
- アレクサンドラ: ひめちゃんが巻き起こしている この惨状も
- アレクサンドラ: 環いろはなら、 止められるということですか…?
- ラビ: それは、わからない…
- ラビ: サーシャは、藍家ひめなを 止められなかったことを
- ラビ: まだ悔いてる…?
- アレクサンドラ: そうですね… でも無理だってわかってます…
- アレクサンドラ: ひめちゃんにとっての1番は 常にヒコ君ですから…
- ラビ: それゆえに、 一縷の望みを託すしかない
- アレクサンドラ: そう、私が大声を出しても 縁を切っても意味がないなら
- アレクサンドラ: 他の誰かが止めてくれるのを 見守るしかないんです…
- 旭: 悔しそうなサーシャの本心は どこでありますか
- 旭: 心が諦念に至るまでは、 足掻いても良いと思うであります
- アレクサンドラ: 私は…
- アレクサンドラ: 私は…やっぱりひめちゃんを このままにはできません…
- アレクサンドラ: ごめんなさい 私は諦めきれない…!
- 那由他: サーシャさん…
- 太助: 行かせてあげればいい
- 太助: そして自分が納得できるように 行動すればいい
- 太助: 諦めるのも諦めないのも、 この宇宙の中では自由だからね
- ―取材記録― 八雲 みたま
- みたま: 「いらっしゃい、調整屋さんへようこそぉ」
- みたま: 「ちょうどコーヒーに合う甘いお菓子を 作ってみたところなんだけど 良ければおひとついかがかしらぁ?」
- みたま: 「あら、いらない?そう?残念だわぁ」
- みたま: 「お話しできることもほとんどないと思うから せめて、八雲みたま流の おもてなしをしてあげようと思ったのに」
- みたま: 「…ええ、話せることはほとんどないわ だって、将来のことでしょぅ? わたしには、将来のことなんてないもの…」
- みたま: 「魔法少女の向かう先には闇しかないし 神浜市がひとつになれると思っても 東西の関係は悪くなってしまうばかり… それに、わたし自身の過ちもあるからね…」
- みたま: 「でも、全てに失望しているなら きっとわたしは調整屋の中で こうして生きてすらいないんでしょうねぇ」
- みたま: 「十七夜に言われた 魔法少女は平等だっていう言葉を信じていて、 ももこやいろはちゃんたちを信じている。 だからこそ、こうして辛うじて 自分の命を繋ぎとめているのかもしれない」
- みたま: 「せめて、あともう少しだけでいいから ミィが幸せになれる世界になって欲しい」
- みたま: 「もう、わたしのことはいいから、 あの子だけでも… それが一番わたしが手放したくない希望よ」
- FILENAME: text_103104-1_32rIq.txt [Episode 4]
- かごめ: 十七夜さんとみたまさんが、 神浜市の未来に希望を見出したとき、 プロミストブラッドの動きにも変化があった。
- かごめ: 笠音さんを追いかけて移動した紅晴さんたちは、 標的になっている撲滅派の人たちを見つけるため 到着した湯国市を探すことにしていた。
- かごめ: ただ海と山に挟まれた大きな町の中で、 どうやって見つければ良いのかがわからない…。
- かごめ: それでも、笠音さんが恐怖を取り戻して、 またプロミストブラッドの三女として 歩んでくれるのを夢見ている私がいる。
- かごめ: きっと、この勢いのままに笠音さんも救われたら 不幸に落ちるしかない魔法少女たちにも、 幸福が訪れる未来があることを実感できるから。
- かごめ: 私は送られてきたメッセージを読みながら、 このあとで聞く報告が幸福に満ちていることを 祈っていた。
- ひかる: ひくしっ!
- 智珠 らんか: っ、きたな! 目の前でやめてよ!
- ひかる: ごめんっす…思わずっす… ずっと外で冷えたんすよぉ…
- 結菜: 高速貨物列車が速いのはいいけど 体は冷えてしまったわねぇ
- 樹里: あっためてやろうか?
- ひかる: 樹里さんの場合、 燃やすの間違いじゃないっすか…
- ピロン♪
- 結菜: …………
- 結菜: …環さんたちの方では、 動きがあったようねぇ
- ひかる: 和泉のことは大事にならなくて 良かったっすけど…むぅ…
- ひかる: アオさんのチャンネルも 1090に繋げて流す気なんすね…
- 結菜: 下手をすればアオの暴力シーンが 報道陣に目撃されるのねぇ…
- ひかる: 想像するだけで ゾッとするっすね…
- 結菜: その前にアオたちの居場所が つかめたらいいんだけど…
- 樹里: まだ、うららからの返事は こねーのか?
- 結菜: 向こうから先にメッセージが 届いていたから返したんだけど
- 結菜: それからは特に 何も返事はないわねぇ…
- 樹里: おいおい、手がかりなしで、 このでかい町の中を探せって?
- 樹里: 森の中に拠点があったりしたら 探しようがないだろ
- 智珠 らんか: その時は森を燃やせば? きっとあぶり出せるって
- 樹里: …お前、頭いいな
- 結菜: 却下よぉ…
- 結菜: とはいえ、樹里が気にすることは もっともねぇ
- 樹里: スマホを通して アイツに殺気を送ってみるか?
- 結菜: ねぇ、馬鹿言ってないで、 真剣に考えてちょうだぃ…
- ピロン♪
- 結菜: …殺気を送られる前に うららから返事が来たわよぉ
- ひかる: 危険を察知したんすかね…
- 樹里: で、あいつから情報はあったか?
- 結菜: ええ、撲滅派の拠点になってる 場所が書いてあるわぁ
- 結菜: ご丁寧に地図の座標まで 添付してね
- 結菜: ただ…
- 樹里: ん?
- 結菜: 今の撲滅派のリーダーは、 うららの元相方…
- 結菜: だから、助けて欲しいそうよぉ
- 樹里: テメエを傷つけたヤツなのにか?
- 結菜: 優しいのよ、あの子は…
- FILENAME: text_103104-2_32rIq.txt
- ひかる: 温泉の香りがするっすね
- ひかる: この辺りから 山に入ればいいんすか?
- 結菜: 地図には載らないような 獣道を進むことになるわねぇ
- 結菜: 他にも山に入る道はあるけど、 ここが一番近いみたいよぉ
- ひかる: アオさんが無事に目を覚まして 戻って来ることがあれば
- ひかる: みんなでお風呂に入ってから 帰りたいっすねぇ…
- 樹里: 気楽なもんだな
- 樹里: そもそもアイツを連れ帰れる 確証なんてねーっつーの
- ひかる: ひかるは一緒に帰れるって 信じてるから言ってるんすよ
- 智珠 らんか: それに神浜市の問題が 片づいてなかったら
- 智珠 らんか: アタシらも戻って、 戦う必要があるんじゃない?
- 智珠 らんか: お風呂だなんて 言ってるヒマは絶対ないって
- ひかる: なんすかふたりとも
- ひかる: 少しぐらい夢を見たって いいじゃないっすか
- ひかる: というか、夢で終わらせちゃ ダメなんすよ
- 樹里: …馬の言いたいことはわかるけど 簡単にはいかねーだろうな
- 樹里: 姉さんは、妹を戻す方法について 何か腹づもりでもあんのか?
- 結菜: あの子の心に対話する方法は、 私が環さんにされたことと同じ
- 結菜: キモチの石を使って 魂と繋がろうと思ってるわぁ
- 樹里: あぁ、ちはるから借りた 恐怖の石の出番っつーことだよな
- 結菜: えぇ
- 結菜: それでキモチがアオに干渉して 感情を支配しているようであれば
- 結菜: 私たちでキモチを倒して あの子を解放してあげるわぁ
- ひかる: …もし、支配とか干渉じゃなくて アオさんの感情が壊れてたら
- ひかる: そのときは、どうするんすか…?
- 結菜: 恐怖を失っているだけなら、 新しく恐怖を植えつけるだけねぇ
- 結菜: 成功するか まるでわからないけど…
- 樹里: 成功してくれねーと 困るっつーの
- 樹里: 妹や馬たち次代に託して お役御免ってことになんねーだろ
- ひかる: なんすか、初耳っすよ お役御免ってどういうことっすか
- 樹里: …隠居だ
- ひかる: 魔法少女で隠居ってなんすか…
- FILENAME: text_103104-3_32rIq.txt
- アオ: まだ、魔力の反応はない?
- 特には
- 結菜さんたちなら、嗅ぎつけても おかしくない頃合いだけどな
- アオ: 朝方まで待機しろとか、 ほんとヒマになっちゃうよ~
- アオ: せめて襲いかかってきたら、 戦ってヒマを潰せるのにね~
- 誰も好んで結菜さんや樹里さんと 戦いたいと思わないって…
- アオ: そっか、クスッ
- …………
- くらら: ねぇ、早くほどいてよ 山小屋に監禁とか犯罪でしょ…?
- アオ: どの口が言ってるの~?
- アオ: 今まで魔法少女を苦しめて、 何人も魔女にしてきたんだよね?
- アオ: 姫様から聞いたよ?
- アオ: ネオマギウスにいた サーシャって人もいじめてたって
- アオ: やり返されないなんて、 そんなのイージーゲーム過ぎるよ
- くらら: っ…
- くらら: やっぱり、魔法少女も魔女も 人間のことを傷つけるのね…
- アオ: 今さら、なに言ってるの?
- アオ: 優しい人の相手ばっかりして マヒしちゃってるんだね
- くらら: だってそうでしょ
- くらら: 口先では人間を助けるとか言って こうして苦しめてるんだから
- アオ: 今度、おまわりさんを 全力でぶん殴って暴れてみなよ
- アオ: 身の危険を感じたら抵抗するし 逮捕だってされるよ
- アオ: 市民を守る人がそうなんだから、 わたしたちだって危険なら守るよ
- アオ: もちろん 予防線を張って先に潰しもする
- くらら: ひっ…
- アオ: 本当ならあなたたちみんな 死んでるはずだよ?
- アオ: だから、本番の時はちゃんと カメラに向かって話してね
- アオ: 魔法少女とどんな関係で、 なんでこんな目に遭ってるか
- くらら: …覚えてなさい…! そのうち仲間が潰しに来るから…
- アオ: 外で転がってる人のこと?
- くらら: えっ…
- パキッ…
- アオ: 聞分けのないことを言ってると
- アオ: この石みたいに 頭を割っちゃうよ?
- アオ: クスッ
- くらら: …………
- アオ: あっ、ねえ、今って怖いよね? 怖いんだよね?
- アオ: わたしも前は同じ顔をしてたのに もうわからなくなっちゃってさ
- アオ、もうやめて どう考えてもやりすぎだって
- この人に正直に話してもらうのが 目的ってだけでしょ?
- 確かに撲滅派のアンタたちは悪い けど安心していい
- 外に転がってるとは言っても 誰も死んじゃいない
- アオ: もう、せっかくいい顔で 出演できるように演出してたのに
- アオ: 邪魔しないでよ
- アオ、さすがにヤバいよ いくらなんでもおかしいって…
- アオ: もう、生放送じゃなくて 録画で放送でもいいんじゃない?
- アオ: ヒマになってきたし
- アオ!
- アオ: だって、別に同じだよ
- アオ: ほら、広告とかのおかげで 視聴待機数も増えてるし
- アオ: ――っ!?
- 来た…結菜さんたちだ…!
- アオ!
- くっそ、もう付き合いきれない…
- 結菜: そこに居るんでしょ、アオ!
- 結菜: 魔力の反応でわかるわぁ 早く出てきなさぃ!
- アオ: もちろんだよ姉さま! 姉ちゃんも一緒だよね~?
- 樹里: おいおい、随分と ヘラヘラしたヤツが出てきたな
- アオ: ちょうどヒマしてたところだから 遊び相手になってよ!
- 樹里: あぶねっ、テメエ…!
- 結菜: 私たちふたりを相手にして 敵うわけがなぃ…
- 結菜: 武器を下ろして 撲滅派の人を解放しなさぃ
- アオ: 姉ちゃんと姉さまの言うことは 絶対に聞かないよ
- アオ: だって、わたしが天辺に行くのに 邪魔な相手なんだから
- アオ: やぁあっ!
- ひかる: こんな戦い方じゃ、 すぐに死ぬっすよ…アオさん…
- アオ: ゲームなんだから 死んでもへーきへーき
- ひかる: 何言ってんすか…!?
- 智珠 らんか: 前よりヒドくなってるじゃない…
- ごめん…アオ…
- 結菜さん!樹里さん! 中に撲滅派のリーダーがいます!
- 彼女はこちらで解放するので、 アオのことはお願いします…!
- FILENAME: text_103104-4_32rIq.txt
- くらら: 私を…解放するの…?
- このままじゃ、脅しなんて 可愛いもんじゃすまない…
- 計画に影響は出てしまうけど、 大事にはならないだろう
- 外にいる人たちも 気絶させて縛ってるだけだから
- みんなを連れてとにかく逃げて
- くらら: …お礼は言わないわ
- 人間と同じで魔法少女だって 一括りにできない…
- それがわかったら今回の一件は 知らぬ存ぜぬを貫きなさい
- 平穏に暮らしていられる 最低限の条件だから
- くらら: 知らぬが仏ってこと…?
- そういうこと
- アオ: ァアアアッ!!
- 樹里: っ、今までの妹とは 全く戦い方が違うな…
- アオ: フッ!
- 結菜: 守りもせずに大ぶりで… ただの戦闘狂みたいよぉ
- アオ: っ…
- 結菜: ただ、突っ込んで来ても…
- 結菜: 対象変更!!
- アオ: グゥッ!
- アオ: ゲホッ…ふっ…
- アオ: あはっ、なんだかドキドキする 楽しくなってきちゃった
- アオ: 次はもっと強烈な一撃を
- アオ: あれ?
- 智珠 らんか: 捕まえたわよ
- 智珠 らんか: 周りばっか気にしてたやつが、 樹里みたいに前しか見てない…
- 智珠 らんか: こんな姿は見たくなかった
- アオ: ちょ、離してよ!
- 智珠 らんか: 結菜さん!樹里! 今のうちになんとかして!
- 樹里: んじゃあ、せっかく借りてきた 恐怖のキモチの石を使って
- 樹里: 思いっきり突っ込んでやるか
- 結菜: えぇ、らんかが作ったチャンスを 活かしましょう
- ひかる: え、なんでひかるだけ 置いてきぼりにするんすかぁ!
- ひかる: ひかるだってアオさんを 助けたいっす!
- 結菜: さあ、いくわよ!
- ひかる: 追いついたっす!
- 樹里: バッカ、なんでいんだよ!
- 結菜: ひかるぅ…なんで来たの…
- ひかる: だって、ひかるもアオさんを…
- 樹里: これじゃあ、 下手なことはできねーな
- ひかる: 下手なことってなんすか…
- 樹里: こっちは自分が死んでも 妹を助けるつもりだったんだよ
- ひかる: うぇ?
- 樹里: 妹がおかしくなったのは、 樹里サマたちのせいでもある
- 樹里: だから、コイツを戻すためなら 命を使っても良いと思ってたんだ
- ひかる: や、やっすよ!
- ひかる: 勝手に死ぬなら 樹里さんだけにして欲しいっす!
- ひかる: 結菜さんは 巻き込まないで欲しいっす!
- 樹里: まあ、 お前はそういうヤツだよな…
- 結菜: ひかるも入ってきた以上 巻き込めなくなったわねぇ…
- 樹里: せっかく覚悟を決めてたのに 台無しだっつーの…
- 樹里: これは、妹の反応だな
- 結菜: それにキモチの反応もあるわぁ…
- アオ: …………
- 結菜: やっぱりキモチに侵食されてる…
- 樹里: 簡単に言えば、コイツを消せば OKってことだよな
- 結菜: 端的に言えばねぇ
- ひかる: 思ったより 簡単に終わりそうっすね
- ひかる: 死ぬ覚悟なんて 必要ないじゃないっすか
- 樹里: 減らず口を叩いてないで潰すぞ
- ひかる: っす!
- FILENAME: text_103104-5_32rIq.txt
- ひかる: やったっす! キモチを剥がしたっすよ!
- 樹里: 馬、喜ぶのははえーぞ 剥がして解決とは限らねーからな
- ひかる: アオさん無事っすか!?
- 樹里: 聞けよ!
- アオ: うっ…
- ひかる: ケガしてないっすか?
- 結菜: ――っ!?
- 結菜: ひかる、離れなさぃ!
- アオ: やぁあっ!
- ひかる: わわっ!
- ひかる: 樹里さんが言う通り、 未解決ってことっすか…
- アオ: あれ…森の中にいたはずなのに、 どうしてこんな所に?
- アオ: でも、いっか
- アオ: 邪魔な下っ端連中もいないし、 姉さまたちを倒せば天辺だもんね
- アオ: テヘッ
- ひかる: うぅ、何も変わってないっすよ…
- 樹里: いっそ殺して楽にしてやるか?
- 結菜: 私たちが死ぬことで 贖罪になるのならともかくとして
- 結菜: アオを殺したところで 何の意味にもならないわぁ…
- アオ: ちょっと、自殺とかやめてよ?
- アオ: 不戦勝でランキングレコードに 載っても意味はない
- アオ: 自分で倒して天辺に行くことに 意味があるんだからね~
- 結菜: それなら…
- ひかる: どうするんすか
- ひかる: キモチを使って、アオさんに 恐怖を植えつけてみるっすか?
- 樹里: 恐怖そのものを感じる心が 壊れてるみてーだしな
- 結菜: いえ、キモチを使って アオに恐怖を植えつけたとしても
- 結菜: キモチの影響を重ねるだけで、 悪影響を及ぼす可能性もある…
- 樹里: じゃあどうすんだよ
- 結菜: ひとつ試したいことがあるわぁ
- ひかる: なんすか?
- 結菜: アオの生まれてからこれまでの 魂の記憶をたどり続けるのよぉ
- ひかる: 言ってる意味がわかんないっす
- 結菜: たとえ恐怖を感じる心を、 壊されてしまったとしても
- 結菜: アオの魂に刻まれた記憶は、 壊されていないかもしれなぃ…
- 結菜: それなら、記憶をさかのぼって、 赤ん坊のアオを見つければ
- 結菜: 恐怖を感じる心が芽生える瞬間も 必ず見つかるはず
- 結菜: だから私たちは、 その恐怖を感じる心が
- 結菜: キモチに壊されないように、 守り続けるのよぉ
- ひかる: それ、アオさんが 14歳になるまで育てるんすか!?
- アオ: 動く気がないなら、 わたしから仕掛けるよ?
- 結菜: アオ、不戦勝が嫌って言うなら、 戦う条件を与えるわぁ
- アオ: いいよ、聞いてあげる
- 結菜: 生まれた時からやりなおして、 私たちと一緒に過ごしましょぅ
- 結菜: それでもまだ、私たちと戦って 天辺に行きたいって言うなら
- 結菜: 私たちは止めはしないから、 試してみないかしらぁ
- アオ: …………
- アオ: …いいよ、やってみる じゃないと自殺する気でしょ?
- 結菜: えぇ
- アオ: その代わり約束は守ってよね
- 結菜: もちろんよぉ
- 結菜: もしもあなたの気持ちが 変わらないなら
- 結菜: 最後に遊んであげるわぁ…
- アオ: じゃあ、3人とも わたしのそばに近づいてきて
- アオ: 「これから、わたし自身の過去を さかのぼっていくから…」
- 樹里: お、ここは…
- 結菜: 恐らくアオの家でしょうねぇ
- 結菜: このために用意された、 イメージかもしれないけど…
- 樹里: なあ、馬がいなくねーか…?
- 結菜: 家族…というか何か別の役割を 与えられたのかしらぁ…?
- 結菜: もしかしたら 入れなかったのかもしれないし
- 結菜: 私にも状況はわからないから、 様子を見守るしかないわねぇ…
- アオの声: ふぇぇ…
- 樹里: 赤ん坊の声がする
- 結菜: ベビーベッドがあるわねぇ…
- 樹里: ―樹里― うわ、なんだこれちっこ! 簡単に潰れそうだな…
- 結菜: ―結菜― ちょ、ちょっと潰さないでよぉ きっとアオ自身のはずだからぁ
- 樹里: ―樹里― あんの憎まれ口を叩いてくるやつも 赤ん坊になれば、なんつーか可愛いもんだな
- 結菜: ―結菜― …そういう感情もあるのねぇ
- 樹里: ―樹里― やめろ、恥ずかしくなるだろ つーか、姉さんは可愛いと思わねーのかよ
- 結菜: ―結菜― 可愛いわ、とてもねぇ
- 樹里: ―樹里― で、こっから樹里サマたちはどうするんだ
- 結菜: ―結菜― あと少し6~9ヶ月ぐらいの頃になると アオに恐怖の感情が芽生える時期になるわぁ
- 樹里: ―樹里― なるほど
- 樹里: ―樹里― で、姉さんがさっき言ってた通り 恐怖を感じる心を守りきったら
- 樹里: ―樹里― 元のアオになってるかもしれねーと
- 結菜: ―結菜― 確証がない希望的観測だけどね
- 樹里: ―樹里― ん、待て、それって樹里サマたちが 14年の時間をかけるってことか…?
- 結菜: ―結菜― そうなるわねぇ
- 樹里: ―樹里― 体感だと1時間とか そういうのじゃねーの?
- 結菜: ―結菜― さぁ
- 樹里: ―樹里― うわ、マジか… えっぐい実験に巻き込まれたな…
- 結菜: ―結菜― だけど、引き返そうにも引き返せない 付き合ってもらうわよぉ、樹里
- 樹里: ―樹里― …わーったよ、仕方ねぇな
- FILENAME: text_103104-6_32rIq.txt
- ∵へ~ ̄ハイ_ええ
- 結菜: ほら、やっぱり
- 結菜: さっそくキモチがアオを狙って 現れたわよぉ
- 樹里: なるほど、つまりコイツから 守ってやりゃいいってわけだな
- ひかる: ひかるもいるっすよ!
- 樹里: お前どこにいたんだよ
- ひかる: どうも、ひかるは 近所のお姉さん役みたいっす!
- FILENAME: text_103104-7_32rIq.txt
- ひかる: …はぁ、あれから何か月っすか
- ひかる: キモチと戦って倒すのは 構わないんすけど
- ひかる: こう何度も続くと、 いつか限界が来そうっすよ…
- 樹里: 魔法少女として戦ってる時より 消耗は微々たるもんだけど
- 樹里: 危険なのは変わりねーからな
- 結菜: もしかすると体感は14年でも 外では短い時間だから
- 結菜: 戦って消耗する魔力も 少ないのかもしれないわねぇ
- 樹里: とはいえ、馬の言う通り、 今のペースだとこっちが死ぬぞ…
- 結菜: 安心して 対策は一応とれそうよぉ?
- 樹里: お、マジか
- 結菜: キモチが現れる条件は単純で アオが恐怖を感じた時だからねぇ
- ひかる: アオさんが怖がらないように 心がければOKってことっすね!
- 結菜: えぇ
- 樹里: つまり過保護に大切に育てて 笑顔にさせろっつーことか
- 樹里: いいご身分だな、このヤロウ…
- アオの声: キャッキャ♪
- 結菜: あなたもねぇ…
- ひかる: うっ…なんか、戦わずとも 結菜さんに限界が来そうっすね…
- 結菜: 樹里との生活だからぁ…
- 結菜: アオが夜泣きしても爆睡していて いつも起きるのは私…
- 結菜: 洗濯も掃除も雑だから いつもやるのは私…
- 結菜: こうして買い物に来てるのも、 アオの粉ミルクが切れたから…
- 結菜: それに気づくのもいつも私
- ひかる: ソウルジェムが穢れるっす! 結菜さんしっかりするっすよ!
- ひかる: そんなときのためにいる 煌里ひかるっすよ!?
- 結菜: あなた、アオと一緒にいつも 遊んでるだけじゃなぃ…
- 結菜: 『おむつは任せるっす』って、 私に押しつけたのは忘れないわぁ
- ひかる: あ、あわ、わ、悪気はないんす 今度からちゃんとやるっす…!
- 樹里: まぁ、馬と比べたら樹里サマは まだ役に立ってる方だろ
- 樹里: これでも親父のために料理したり 火の扱いは完璧だからな
- ひかる: 確かに、ハンバーグもカツ丼も 唐揚げもコロッケも
- ひかる: 樹里さんの手料理のはずなのに 絶品だったっす
- ひかる: あ、ひかるも手伝ってるっす 洗い物はちゃんとしてるっすよ!
- 結菜: それはありがとぅ
- 結菜: ただ、人の作ってくれるものに 文句は言いたくないけどぉ
- 結菜: もう少しお野菜をとりたいわぁ
- ひかる: 結菜さん、肉より野菜の方が 好きっすもんね
- 樹里: 好き嫌いすんな
- 樹里: むしろ姉さんは痩せすぎだし 顔色も悪いんだからいいんだよ
- 樹里: もうちょい、肉と脂で蓄えろ
- 結菜: …………
- 樹里: で、何買いに来たんだっけ
- 結菜: っ!
- 結菜: アオの粉ミルクだって 言ったでしょー!!
- ひかる: ひっ…
- 樹里: 姉さんがキレた…
- アオの声: ふ、ふぇ…
- 結菜: あっ
- アオの声: ふぇえぇぇえええっ…!
- ひかる: マズイっす! キモチが出てくるっすよ
- 結菜: 自分で言っておいて 少しめげそうよぉ…
- FILENAME: text_103104-8_32rIq.txt
- アオ: …………
- 結菜: うん、成績は落とさずに 頑張れてるみたいねぇ
- アオ: じゃあ、お母さん!
- 結菜: お小遣いは500円アップ 約束はちゃんと守るわよぉ
- アオ: ありがとうっ!
- 樹里: それはいいけどよ
- アオ: うっ…
- 樹里: 通信簿と連絡帳に積極性が 足りないって書いてあるぞ?
- 樹里: ひとりで居ることが多くて、 引っ込み思案なところがある
- 樹里: 家じゃ、こんなに明るいのに 信じらんねーな
- アオ: …………
- 樹里: 樹里サマが言えたことじゃねーが ダチは作っといてソンはねーぞ
- アオ: でも、みんなが考えてること アオ、よくわかんないし…
- 樹里: 授業で班を組んだりするだろ それで話せばいいって
- アオ: …で、でもねママ…
- アオ: 話してくれても それで班の中でアオが失敗したら
- アオ: みんなに怒られるでしょ…?
- 樹里: そりゃお前が悪いんだから 反省しろよ
- アオ: だって、難しいんだもん!
- 樹里: おい、逃げんな!
- 結菜: アオ、どこに行くの!?
- アオの声: ひかるちゃんのところ!
- 樹里: せめて、同世代と遊べ! ったく…!
- 結菜: せっかく成績が上がったんだから 褒めてあげてもいいでしょぅ?
- 樹里: あのまま14歳になったら、 アイツ引きこもるぞ
- 結菜: ――っ!?
- 樹里: 怖がらせねーように育てたのは 確かに間違いじゃねーけどな
- 樹里: 怖いものを避けた分、 アオは無知で怖いものしかねぇ…
- 結菜: 確かに私のせいねぇ…
- 結菜: 危険な遊具は避けるようにして 危なそうな子も避けるようにして
- 結菜: 丁寧に丁寧に大切にって 育ててきたつもりだったけど
- 結菜: 代わりにアオは社交性や協調性を 失ってしまったのかも…
- 樹里: 馬にも言っとけ アオをちゃんと突き返せって
- 樹里: ついでに就活しろって伝えとけ
- 結菜: …あの子も根本的には 怠け者だからねぇ
- アオ: 遊ぼう、ひかるちゃん!
- ひかる: んー
- ひかる: そろそろアオちゃんも ひかるとばかりじゃなくって
- ひかる: クラスの子とかと 遊んだ方がいいと思うっすよ?
- アオ: ひかるちゃんも しゅーかつがあるから…?
- ひかる: それもゼロではないっすけど… アオちゃんが心配なんすよ
- アオ: でも、友だちって どうやって作ればいいのかな…
- ひかる: ルールなんてないっすからねぇ
- ひかる: よしっ、それなら 公園で遊んでる子もいるし
- ひかる: ひかると一緒に突撃するっす!
- ひかる: そして、怖いものをひとつずつ なくしていくっすよ!
- アオ: しゅーかつはいいの?
- ひかる: それは…あとまわしっす…
- FILENAME: text_103104-9_32rIq.txt
- アオ: ごめんなさい…
- 結菜: もう二度とやらないって お母さんとママに約束して
- アオ: はい… もう絶対に万引きはしません…
- 樹里: コッチはオイルまみれになって 仕事してるっつーのに
- 樹里: 電話がかかってきたと思ったら コレだもんなぁ…
- 結菜: こっちも先生の答弁資料を 作ってるところだったわぁ…
- 結菜: それで、どうして万引きなんて しようとしたの…
- 結菜: ひかるが見つけなかったら 未遂じゃすまなかったわよぉ
- アオ: だって…
- アオ: 怖いものを無くさないといけない って思って…
- アオ: それで、万引きが成功したら、 少しは度胸がつくのかなって…
- アオ: そしたら周りのみんなも 怖くなくなるのかなって思って…
- 樹里: ばーか
- 樹里: それで身につくのは、 不要な万能感と見栄を張るクセだ
- 樹里: 実は周りと距離を作ってるだけで あとで後悔すんぞ
- 結菜: そもそも、誰かを傷つける度胸は 身につけなくてもいいものよぉ
- アオ: うん…
- 結菜: 取りあえず今日は寝なさぃ
- アオ: はい…
- 樹里: しっかし、やり口を変えてきたな
- 結菜: ええ、私たちの守りに気づいて、 恐怖心を壊すのではなく
- 結菜: 罪悪感を排除していくことで、 恐怖心を欠如させようとしてる…
- 樹里: ああ、キモチの存在ってやつを ヒシヒシと感じる
- 樹里: 姿を現しな
- 樹里: さあ、やるか姉さん
- 結菜: ほんと、この歳になっても 魔法少女をやるだなんてねぇ…
- ひかる: キモチもあの手この手で 恐怖心を潰そうとするっすね…
- 結菜: 万引きをしたかと思えば 今度はケンカでケガをさせるし…
- 結菜: キモチがしぶといのは 覚悟していたけど
- 結菜: なるべく未然に防いで 力は蓄えておきたいのよねぇ…
- 樹里: 樹里サマとしてはストレスを 発散できるからいいんだが
- 樹里: 最後の敵がわかってる手前、 確かに消耗は避けたいよな
- 結菜: ええ…
- ひかる: アオちゃんも 学校生活がうまくいかないから
- ひかる: 苦しんでるんすよ…
- ひかる: そこで、ひかるに妙案があるっす
- 結菜: 妙案だなんて珍しい 何か対策があるのぉ…?
- ひかる: アオさんと言えばやっぱり いや、これは秘密っす!
- ひかる: アオちゃん ひかるからのプレゼントっす!
- アオ: おっきい箱! 開けてみてもいい?
- ひかる: もちろんすよ!
- アオ: …………
- アオ: わぁっ、これ最近でたゲーム機! やってみたかったの!
- ひかる: ソフトもそろえてきたから、 いっぱい楽しむといいっすよ
- ひかる: ストレスがたまった時は、 ゲームで発散が一番す!
- アオ: ありがとう、ひかるちゃん!
- 樹里: おい、馬、やってくれたな
- ひかる: な、なんすか!
- 結菜: あの子はゲームに依存するし、 逃避に利用するからって
- 結菜: なるべく与えないように してたのよぉ
- ひかる: い、言ってくれないと ひかるもわからないっすよ!
- ひかる: でも、この方が アオさんらしいっす
- アオ: お母さん、ママ 1回遊んでみてもいい?
- 結菜: …いいわよぉ
- 樹里: 好きにしろ
- FILENAME: text_103104-10_32rIq.txt
- 樹里: おい、夕飯の時間だぞ! さっさとゲームやめろ!
- アオの声: あと、3分で終わる!
- アオの声: 今抜けたら、マッチングした人に 迷惑かけちゃうから!
- 樹里: 家族への迷惑はいいのか、おい!
- 樹里: 次、メシ前に終わってなかったら ゲーム機ウェルダンにすんぞ!
- アオの声: わたしだけじゃなくて、 ひかるちゃんも悲しむよ~?
- 樹里: こいつ、ゲーム始めてから、 口が減らなくなったのか…!
- 結菜: ゲームを通して大人との交流が 増えたのかしらぁ
- 樹里: 隠居したみたいに のんびりと微笑んでる場合か?
- 結菜: 引っ込み思案だった時と比べると 今の方がいいものぉ
- 結菜: それに、今はゲーム以上に 問題があるでしょぅ
- 樹里: アオが魔法少女になったことか
- 結菜: ええ…
- 結菜: いよいよ終わりが迫ってる証拠で 最大の敵の登場でもあるわぁ
- 樹里: 門前橋の蝙蝠は 先手を打ってぶっ潰した
- 結菜: つまり、アオが最も恐れる相手が 現れるということよぉ…
- ピンポーン
- ひかる: お邪魔するっすよ
- 樹里: 合鍵で入ってくるなら、 最初からインターホン鳴らすなよ
- ひかる: 一応、形式っすよ で、何の用っすか、結菜さん
- 結菜: 今日の夜だけど、 アオと遊んでもらっていい?
- ひかる: というと…?
- 結菜: 魔法少女になってから あの子も夜に出歩くようになった
- 結菜: 今日は私たちも出るから 遭遇するのを避けたいのよぉ
- ひかる: …そっか、アオちゃんも中学生 もう、そんな時期なんすね
- 結菜: ええ、最後はしぶとい相手でも なんとか倒さないと
- 結菜: それも、できれば 私と樹里の手で倒したいわぁ
- 樹里: テメーのケツはテメーで拭く じゃねーと過去を潰せねーからな
- ひかる: 何度も聞いたんで ひかるも理解はしてるっす
- ひかる: アオちゃんのことは任せて ふたりで行ってくるっすよ
- 結菜: “当時の私たち”が来たわねぇ
- 樹里: 標的になっているアオの前に 現れるっていう姉さんの読みは
- 樹里: 間違いなかったみたいだな
- 結菜: ええ、あのまま戦場に行っても 遭遇できなかったはず
- 結菜: うちの子に何か用かしらぁ
- ???: 二木市の平和のために、 力を持った魔法少女を消すのよぉ
- 結菜: うちの子が魔法少女だなんて 誰から聞いたのかしらぁ
- 結菜: ボロを出すのが早すぎて 面白みに欠けるわぁ
- 樹里: ウェルダンにして余るほど 魔力を溜め込んできてるな
- ???: ニヒッ、たりめーだっつーの
- ???: 蛇の宮のリーダーとやり合うのは 楽しそうだからな
- 樹里: けど悪いな アオは樹里サマたちの娘だ
- 樹里: アオの心は潰させねーよ
- 結菜: 天辺に上らなくちゃいけない 理由も作らせないわぁ
- FILENAME: text_103104-11_32rIq.txt
- 結菜: はぁ…はっ…はぁ…
- 樹里: っ…くそ、我ながらツエーな…
- 結菜: 樹里、魔力は…
- 樹里: ふぅ…ほとんど使い切った…
- 樹里: 最後に全力でかまさねーと 倒し切れなかった…
- 結菜: 私もよぉ… 対象変更を使い過ぎたわぁ…
- 樹里: 歳のせいじゃねーよな?
- 結菜: 年数は重ねても 魂は10代のままだものぉ…
- 結菜: でも、そろそろ限界ねぇ
- 樹里: 14年間頑張ったよ
- 結菜: お互いねぇ…
- 結菜: だけど、最後に残ってる
- 樹里: あぁ…
- 樹里: コイツを倒しきらないと、 うちの娘は解放されねぇ…
- 結菜: ひかるには悪いけど、 命を賭した最後の戦いよぉ
- 樹里: 1回は捨てた命だ 構わねぇよ
- 結菜: 本当のアオを返してもらうわよぉ
- FILENAME: text_103104-12_32rIq.txt
- 樹里: ぐっ…く… はっ、こりゃマジでやばいな…
- 樹里: 生きてっか姉さん…
- 結菜: なんとか、ね…
- 結菜: 死ぬ気で倒さないといけない 相手だっていうのに
- 結菜: どこかに未練でもあるのかしらぁ 全力を出してない気がするわぁ
- 樹里: 樹里サマも同じかもしんねーな けど、ここまで消耗すりゃ同じだ
- 結菜: えぇ、もう…力も入らないけど… 命の灯火を燃やしきる…
- 樹里: あとのことは馬と妹に任せるか…
- 結菜: ええ、アオが戻れば大丈夫…
- 結菜: 二木市の魔法少女たちを 引っ張ってくれるわぁ
- 結菜: ――っ!?
- 樹里: 来るぞ!
- 結菜: ふたりともあとは任せたわよぉ
- アオ: お母さんもママも、 なに勝手に死のうとしてるの!?
- 結菜: アオ
- 樹里: お前…
- アオ: わたしも魔法少女になってから 気づいてたよ…
- アオ: ふたりから魔力を感じて、 同じ魔法少女なんだって…
- アオ: それに、同じ立場になって 気づいたよ
- アオ: わたしは、お母さんとママと ひかるちゃんに
- アオ: ずっと守ってもらってたって
- 樹里: じゃあ、そこをどけ
- 樹里: これは樹里サマたちが片づける 最初から決めてたことだ
- 結菜: ええ、 あなたを傷つけさせはしない
- 結菜: 必ず助けてみせるわぁ
- アオ: それで、わたしを狙ってた コイツを倒せたとしても
- アオ: わたしは嫌だ!
- アオ: ふたりがいない世界で生きるのは 絶対に嫌だ!
- アオ: だから、わたしも戦う! 守ってもらった分だけ戦うんだ!
- 結菜: 怒りがアオに共鳴してる…
- アオ: お母さんとママが何も気づかずに 飛び込もうとする姿を見て
- アオ: カッと怒りが湧いてきた…
- アオ: それで気づいたよ
- アオ: この長い時間の中で 色んな怖さを知って来たけど
- アオ: 一番怖いのは、一緒に過ごした 3人が消えることなんだって
- ひかるの声: っすよ、結菜さん、樹里さん!
- ひかる: ひかるはあくまで サポート役の馬なんすから
- ひかる: 勝手に未来を託して死ぬのは 禁止っすよ!
- アオ: この敵を倒して ふたりを助けよう、ひかるちゃん
- ひかる: っす!
- ひかる: 全員無事に帰還するっすよ!
- 樹里: おい!
- 結菜: いえ、これで正しいのかも…
- 結菜: これはアオ自身の心
- 結菜: だから自分の心を守るために、 最後は自分で戦うべきなのよぉ
- 樹里: で、その心を守るためには 怒りが必要だったって?
- 結菜: という推理だけど、どう思う?
- 樹里: さー、悪くねーんじゃねーの?
- FILENAME: text_103104-13_32rIq.txt
- アオ: はぁ…はぁ… や、った、倒した…!
- アオ: ゲームクリアのトゥルーエンド!
- ひかる: 長い14年の旅が ようやく終わるっすね…
- 樹里: …樹里サマみてーなのは 死んだ方がためになるんだけどな
- 結菜: …私もこれでは赦される理由に 到底ならないわぁ…
- アオ: わたしも許す気はなかったけど…
- アオ: ここまでして助けてくれた “姉さまと姉ちゃん”を
- アオ: 嫌いになんてなれないよ
- 樹里: 妹、お前…
- 結菜: 気づいたのねぇ…
- アオ: うん…ごめんね… いっぱい迷惑かけちゃった…
- 結菜: ここは… 戻って来た…みたいねぇ…
- 樹里: あぁ、体の自由が利かねえ… 鉛みてーだ…
- ひかる: アオさん…無事っすか…
- アオ: うん…
- アオ: まだ何が現実で何が夢なのか、 よくわからないや
- アオ: ただ…
- アオ: お母さんもママもひかるちゃんも いなかったらどうしようって
- アオ: すごく不安で、怖かった…
- 樹里: 姉さまと姉ちゃんだろ
- アオ: あっ…
- 結菜: ひとまずは元通り… おかえりなさい、アオ…
- 智珠 らんか: じゃないわよ!
- 智珠 らんか: こっちはめっちゃくちゃ 心配したんだから!
- 智珠 らんか: ソウルジェムは濁ってくのに なんか浄化できないし
- 智珠 らんか: それに、4人そろって ボロボロになってるんだから…!
- 智珠 らんか: グリーフシードで浄化したら 山を下りるからね
- 智珠 らんか: 何があったか聞かせてよ!?
- とりあえず皆さんは 私たちにつかまってください
- 結菜: …そう
- 結菜: 記憶が混濁してて悪いけど、 他の動きはどうなってるのぉ?
- 智珠 らんか: アオの放送を止めて、 防災無線も使えなくなったけど
- 智珠 らんか: 本命の藍家ひめなの居場所だけは つかめてないみたい
- 智珠 らんか: 1090近くのサイネージを使って 放送をするみたいで
- 智珠 らんか: 事前に資料を送られてきた メディアの人たちが来てるから
- 智珠 らんか: そこを止めないと 意味がないみたいね
- 結菜: そう…
- 樹里: んなら、樹里サマたちも…
- 智珠 らんか: その体で行く気?
- アオ: 怒るよ、姉ちゃん
- 樹里: …だよな
- ひかる: 藍家ひめなも他の人と同じで 武器を下ろせたらいいんすけど…
- アオ: …………
- アオ: 難しい気がする
- アオ: わたし、藍家さんだけは、 救われない気がする…
- ピロン♪
- 噂をすればアオさんに 藍家ひめなからのメッセージが…
- アオ: …読んで
- …………
- ネオマギウス全体に宛てた メッセージです
- ひめな: これは私チャンからネオマギウスのみんなに出す 最後の指示だよ
- ひめな: みんなに伝えた通り 最後の指示には絶対に従うように!
- ひめな: 放送開始まで残り1.5時間 1分1秒でも早くネオマギウスのメンバーは “神浜市から出て行ってね”
- ひめな: 以上★
- ―取材記録― 紅晴 結菜
- 結菜: 「私は魔法少女同士が争わない そんな二木市にしたいわねぇ」
- 結菜: 「アオが私たちのところに戻って来て、 暴走する樹里をなんとか大人しくさせて 私もちゃんとみんなを引っ張っていける…」
- 結菜: 「そして、自動浄化システムのおかげで 魔女にならずに衝突することもない そんな二木市になっていけば ようやく普通の学生に戻れる気がするわぁ」
- 結菜: 「今回、プロミストブラッドとして 虎屋町と竜ケ崎と蛇の宮がひとつになって 共に過ごすことの喜びを感じたのよぉ」
- 結菜: 「神浜市や他の子との戦いはあったけど、 環さんが二木市を含む多くの魔法少女を 救ってくれた暁には、 その他の少女たちとの衝突もなくなって ただ共に過ごす喜びだけが残ることになる」
- 結菜: 「他の子がどうかは知らないけど、 私にとってその未来は とても魅力的に映ったわぁ」
- 結菜: 「ただ、私は魔法少女になってからこれまで 血にまみれなかったことがないほど、 平穏というものを味わってこなかった…」
- 結菜: 「血の染みついた生き方しか知らない私が 平穏な未来で生きていけるとは思えなぃ」
- 結菜: 「だから、望むことがあっても思うわ… いっそ二木市の未来はアオとひかるに譲って 私は世を乱さないためにも 死ぬべきなんじゃないかって…」
- FILENAME: text_103105-1_32rIq.txt [Episode 5]
- 旭: 人々の命が握られた、この戦い 勝敗は見えないでありますな
- うらら: プロミストブラッドの人から来た メッセージを読んだ感じだと
- うらら: ネオマギウスの方が圧倒的に 劣勢な感じがするんよ
- ラビ: ただ、それが意図的に作られた 状況なら話は別
- 旭: 藍家ひめなの話を聞く限りだと 番狂わせが起きそうであります…
- 太助: …………
- ラビ: 長かったキモチの石を巡る争いも ようやく決着がつきそうですね…
- 太助: 私たちにとっては 最後の審判となりそうだね
- ラビ: 魔法少女が救われるか 救われないか…
- 那由他: …………
- 那由他: ラビさん
- ラビ: なんでしょうか?
- 那由他: みかげさんの居場所も わかったことですし
- 那由他: サーシャさんがそうしたように
- 那由他: 私は友だちがケガをしないように 追いかけることにしますの
- ラビ: …………
- 那由他: ラビさんはどうしますか?
- 那由他: 私たちの行動で審判の結果に 影響は出ないはずですの
- 那由他: ラビさんが何もかも 諦めていても構いませんの
- 那由他: ただ、その心でくすぶっている 本心には従って欲しいですの
- ラビ: …教授
- 太助: 私たちは何をしても変わらない 未来を観察するだけだよ
- 太助: だから何をしてもいい
- 太助: 自分の気持ちに従っても 誰もとがめはしないよ
- アレクサンドラ: はぁ…はぁ…
- アレクサンドラ: ひめちゃん…!
- アレクサンドラ: うららちゃんから聞きました
- アレクサンドラ: プロミストブラッドの三女に させていた動きも失敗したって
- ひめな: でも、私チャン的には、 とりま目的は達成してるんだよね
- ひめな: だってサーシャをいじめてた人を ボコボコにできたんだから
- アレクサンドラ: …私のためって言いたいんですか
- ひめな: そうだよ、キャハッ★
- ひめな: マイメンを傷つけるような人は 誰であっても許さないからね
- アレクサンドラ: 私はそんな過激な報復なんて 望んでません…!
- アレクサンドラ: それに今回の作戦だって、 本当に実行しちゃうだなんて…!
- ひめな: サーシャが悪いんでしょ
- ひめな: 行かないでって頼んだのに、 私チャンの前から消えるんだから
- アレクサンドラ: …ヒコ君が1番である以上、 私の言うことは聞いてくれない
- アレクサンドラ: きっといつか、今回の作戦を 実行してしまうと思ってました…
- アレクサンドラ: だから、私はひめちゃんの前から 本気で消えようと思った…
- アレクサンドラ: 目の前にいる私を想ってくれたら やめてくれると信じてたから
- ひめな: …ごめんね
- ひめな: サーシャが思ってるような 私チャンじゃなくて
- ひめな: もう、遅いから神浜市を離れて
- ひめな: みんながいたら、なんのために 突き放したかわからなくなるから
- アレクサンドラ: ひめちゃん!
- アレクサンドラ: っ…!
- アレクサンドラ: (あの時、私は去るんじゃなくて 向き合うべきだったのかも…)
- アレクサンドラ: (友だちとして、ひめちゃんと ケンカするために…)
- いろは: 十七夜さんたちから聞いた話だと 藍家さんは栄区にいます
- いろは: 手の空いた人から 順番に探しにいってください!
- 鶴乃: 魔法少女がいるっていう 信憑性を高めるために
- 鶴乃: 映像だけじゃなくて 本人も姿を出すはずだから
- 鶴乃: まずは、みんなで1090の近くを 探してくれると嬉しいかも!
- ももこ: こういうときに心が読める 十七夜さんがいれば
- ももこ: 幹部と接触したときに、 情報をつかめるんだけどなぁ
- レナ: 他の仕掛けを潰しに行くって 言ってたから仕方ないわよ
- かえで: うん、今はとりあえず 魔力を追いかけてみよう!
- 月夜: あ、あと月咲ちゃんの居場所も 一緒に調べて欲しいでございます
- みふゆ: はい
- みふゆ: 藍家ひめなの思惑を断っても、 暗示の解除という課題が残ります
- みふゆ: 皆さまには申し訳ないですが、 お力添えをいただけると…
- みかげ: もっちろん!
- みかげ: ミィはなゆたんと一緒に なゆたんパパを探してきたし
- みかげ: 人を探すのは得意中の得意だよ!
- 都 ひなの: 神浜市にいた魔女については 大方片づいたって報告は受けてる
- 都 ひなの: みんな分散して行動する前に いちどアタシの所に寄ってくれ
- 都 ひなの: 回収したグリーフシードを分けて チーム毎に渡しておく
- いろは: すみません、ひなのさん 事務的な仕事をお願いしちゃって
- 都 ひなの: 家から出られなくて遅れたからな
- 都 ひなの: 状況を把握できてない分 他の仕事で返すってだけだぞ
- フェリシア: おーい、いろは!
- いろは: なにー?
- フェリシア: ちゃるがお前に電話したけど でねーって言ってるぞ!
- いろは: あ、ごめんね! ずっとバタバタしてて…!
- フェリシア: オレの方で聞いといたけどさ
- フェリシア: 時女一族のやつらも みんなオレたちと合流するって
- いろは: ほんと!?
- 鶴乃: 今は人数が欲しいから助かるね!
- いろは: うんっ
- うい: あ、でも、さなさんはケガをして 動けないみたい…
- うい: 途中でリヴィアさんと会って 助けてもらったみたいなんだけど
- うい: 今も調整屋からは 動かさない方がいいって…
- いろは: そんなに、ひどいんだ…
- いろは: 紅晴さんたちも 動けなくなったみたいだし
- いろは: 神浜市の魔法少女も 魔女と戦い続けて疲れてる…
- うい: みんなが頑張ってくれたぶん、 わたしたちで藍家さんを止めよう
- いろは: そうだね
- いろは: それに、藍家さんを苦しみから 救ってあげられたらいいけど…
- FILENAME: text_103105-2_32rIq.txt
- かごめ: 笠音さんも元の自分を取り戻して 喜びの連鎖が続いていく。
- かごめ: このまま神浜市の人たちの暗示も解けて、 ひめなさんの抱えている苦しみも 解決するかもしれないって期待する自分がいる。
- かごめ: だけど、1時間半後の夜明けに始まる放送が ジワジワと迫っている。
- かごめ: 周りの魔法少女たちもみんな 最悪の結末を回避できそうな状況に 多少の安堵を覚えつつも、 それを打ち消すような焦りに急き立てられて ひめなさんを探している。
- かごめ: もしも自分の計画が阻止されたら ひめなさんはどうするんだろう…。
- かごめ: 自棄になって 集まっている人たちに牙を剥いて 攻撃を仕掛けるかもしれないし、 素直に投降するのかもしれない…。
- かごめ: 誰も結末は想像できないまま走り続ける。 それは私も同じだった。
- いろは: …………
- 鶴乃: 夜遊びをしてるような 人たちじゃないね
- フェリシア: お、見ろよ なんかでけーカメラがあるぞ
- うい: ほんとだ テレビで使うやつだよね?
- フェリシア: すげー、初めて見た
- 鶴乃: 感心してる場合じゃないよ…
- いろは: もしかしてみんな、 藍家さんの放送を待ってる…?
- 鶴乃: さなの話だと色んなメディアに 何か送ってるみたいだから
- 鶴乃: その真偽を見極めるって ところかもしれないね…
- レナ: げ…あんなヤツもいるの…?
- かえで: なんか有名な人…?
- レナ: 炎上ネタで有名な Dotuberよ…
- レナ: 報道カメラの前で変なことをして 放送できなくするみたいな
- かえで: それ、犯罪じゃないの…?
- ももこ: 向こうには時事ネタで有名な 芸人Dotuberもいるみたいだし
- ももこ: もはや、より取り見取りだな…
- 鶴乃: むぅ…
- いろは: どう、鶴乃ちゃん…?
- 鶴乃: やっぱり味方以外の魔力反応は どこにもないね…
- フェリシア: 逃げたんじゃねーか?
- 鶴乃: あーどうしよう もう時間が全然ないよ…!
- フェリシア: じゃあ、この辺りのモニター 全部ぶっ壊そうぜ!
- 鶴乃: それこそ、 真夜中の少女たちの蛮行って
- 鶴乃: 見出しを飾っちゃうよ!
- いろは: それに放送できなくなると 本人が何をするかわからないし
- いろは: さすがに最終手段かも…
- みふゆ: いろはさん、藍家さんの反応は 見つかりましたか…!?
- いろは: いえ、それが全くで…
- いろは: 藍家さんも月咲ちゃんも、 見つかりそうにありません…
- いろは: 1090だけじゃなくて 範囲を広げるべきでしょうか?
- みふゆ: 家から戻ってきた人も含めれば 人数はいると思いますけど
- みふゆ: 残された時間で探せる場所は 限られてると思います…
- いろは: そうですよね…
- みふゆ: 広げられたとしても栄区全体から 中央区ぐらい…いかがですか?
- いろは: 鶴乃ちゃんはどう思う?
- 鶴乃: うん、みふゆの話が妥当だと思う
- いろは: では、もう少し範囲を広げて 探しましょう
- FILENAME: text_103105-3_32rIq.txt
- 静香: ふぅ…ようやく着いたわね…
- 静香: 二葉さんの容体について 何か連絡は入ってる?
- ちはる: すなおちゃんの癒やしの力と 残った分家の子の力で
- ちはる: ケガはなんとかなりそうだって
- 静香: 良かった
- 静香: このまま助けられっぱなしじゃ 合わせる顔がないからね…
- 南津 涼子: とりあえず怪しいからって 立入禁止区域に来てみたが…
- 南津 涼子: なるほど、こりゃあ静香の読みは 当たってるかもしれねぇな
- 青葉 ちか: はい、魔法少女の魔力反応が いくつもありますね
- 南津 涼子: ただ、この数 おおよそ、罠かもしんねぇな
- 静香: 本来なら戦闘禁止の中立地帯
- 静香: だけど今は、ピュエラケアの人が 留守みたいだからね
- 静香: やり合うには打ってつけの環境 むしろ罠なら読み通りよ
- ちはる: きた…!!
- ちはる: 撤退命令があったって聞いたけど それはウソってことかな!?
- それは本当だよ 残ってるのは私たちの勝手だから
- ちはる: 素直に聞いてくれたらいいのに!
- 月咲さんもうまく逃げてるし、 放送まであと少しなの…!
- 姫様は失敗したと思って 逃がしてくれたんだと思うけど
- どうせ失敗するなら、 退かずに失敗した方がマシ!
- ちはる: っ、甘い!
- ちはる: どんな辛いことがあっても 悪事に手を染めちゃダメなんだよ
- ちはる: そういう手合いは、 この広江ちはるが御用だぁ!
- ウァアッ!
- 青葉 ちか: まだ、何人もいます 皆さん気をつけてください!
- 静香: 四方八方から囲まれたわね…
- 南津 涼子: まさに窮地ってやつだな
- 時女静香…
- ネオマギウスの一員だったなら 私たちの苦しみも理解できるはず
- さっさと降伏してください
- 静香: 我ながら面の皮が厚いと思うけど それはできないわ
- 罠にかかっておいて強気ですね
- 静香: 当たり前でしょ 罠にかかりに来たんだから
- ――っ!?
- 静香: 日の本の民が 善であろうと悪であろうと
- 静香: 清濁併せ呑んで 全ての民を救うことこそが
- 静香: 私たち時女一族の使命!
- 静香: なればこそ、先に手駒を倒して 確実に藍家ひめなを討つ!
- っ…
- そうだとしても、 どうせ藍家さんは見つからない
- 神浜市中を捜したところで 見つかるでしょうか…
- ちはる: わたしはあの人の演説を 聞いてるからわかるよ!
- ちはる: あの手の人は 自分が広告塔だから
- ちはる: 絶対にメディアの人の前に 出る気満々だよ!
- ちはる: わたしの中の等々力耕一も 言ってるから間違いないね!
- FILENAME: text_103105-4_32rIq.txt
- 月夜: この辺りもいないでございます…
- みふゆ: 王手まであと少しなのに 最後の一手が出せませんね…
- 月夜: 時女の皆さんが羽根たちを 止めている間に
- 月夜: 月咲ちゃんを 見つけたいのでございますが…
- ピロン♪
- みふゆ: …………
- みふゆ: 他の皆さんも、ワタシたちと 状況は変わらないようですね…
- みふゆ: ももこさんたちも廃ビルなどを 調べて探してるようですが
- みふゆ: 結果はかんばしくないようですし
- みふゆ: 他の子たちも近くの施設などを 探しているようですが
- みふゆ: そちらも空振りのようです
- 月夜: そうでございますか…
- 月夜: せめて教官たちが見つかれば 情報を得られそうでございますが
- 月夜: それすら手がかりがないとなると 先が見えないでございます…
- みふゆ: …確かに 月夜さんの言う通りですね…
- みふゆ: 撤退命令が出たあとも、 羽根たちは残ってる様子ですし
- みふゆ: 幹部の教官やミユリさんがいても おかしくありませんね
- みふゆ: それに、羽根と比べて 何か知ってる可能性が高いです
- みふゆ: …もし、1090から離れずに 藍家ひめなが潜伏していて
- みふゆ: 教官も近くで 守りを固めているとすれば…
- みふゆ: それに加えて、 彼女の戦い方を考慮すると…
- みふゆ: …………
- 月夜: 私が言ったこと、何かヒントに なったでございますか…?
- みふゆ: …月夜さん
- 月夜: はい
- みふゆ: すみませんが月咲さんを探すのは お任せしても良いですか?
- みふゆ: 教官の居場所が 分かったかもしれません
- 月夜: 本当でございますか!?
- みふゆ: これでも彼女の先輩です なんとなく考えが読めました
- みふゆ: ガトリングという武器の特性上 教官は広い場所を好みます
- みふゆ: 精密射撃もできますが、 どちらかと言えば
- みふゆ: 派手で大味な戦い方が、 教官の好きなスタイルでしょう
- みふゆ: それを踏まえた上で 1090へのヘルプが可能でかつ
- みふゆ: 誘い込めば自分が有利に動ける 場所となると
- みふゆ: ここしかありません
- 月夜: …なるほど! 栄総合学園でございますか!
- みふゆ: はい、校庭ほどやりやすい場所は ないと思います
- 月夜: でも、場所がわかったとはいえ ひとりでは危険でございます…
- みふゆ: 大丈夫ですよ
- みふゆ: いろはさんたちと合流して 向かうことにします
- みふゆ: 月夜さんには申し訳ないですが
- みふゆ: 教官を破るとなると ワタシの力が必要になりますし
- みふゆ: ワタシ自身、 彼女には一矢報いたいので…
- 月夜: わかったでございます
- 月夜: その間に私は、月咲ちゃんを 見つけるでございます
- FILENAME: text_103105-5_32rIq.txt
- いろは: います… 羽根たちかもしれません…
- 鶴乃: みふゆの読みはビンゴだね!
- みふゆ: 教官とミユリさんの 魔力反応もありますので
- みふゆ: 間違いなさそうですね
- フェリシア: うい!危ねえ!
- ミユリ: ふぅっ…!
- フェリシア: っ、インラインスケートで 顔面切られるところだったぞ…
- うい: あ、ありがとう フェリシアさん!
- フェリシア: おう!
- フェリシア: あ、おいっ、逃げんなよ!
- 燦: 姫様に近づかれたタイミングで 背後を突こうと思ってたけど
- 燦: まさか、私たちの居場所の方が 先に気づかれるなんてね
- みふゆ: マギウスの翼に居た時から、 付き合いがありますからね
- 燦: そうね、みふゆさん相手なら 考えが読まれても仕方ないわ
- みふゆ: 教官…
- 燦: 話をする気はないわ
- 燦: 今の私たちは遭遇した敵を 駆逐するだけよ
- みふゆ: っ!
- 燦: 逃がしはしないわよ! 姫様の作戦は成功させる!
- 燦: みんな、攻めなさい!
- 鶴乃: うわっ、意外と数がいる!
- 鶴乃: けど、これでやられてたら、 最強の名が廃るよ!
- くっ…
- 鶴乃: ぉおっ!?耐えた!?
- 負けられない… ここまで来たんだもん…!
- フェリシア: 気をつけろ! コイツら意外とやるぞ!
- うい: フェリシアさん サポートするね!
- フェリシア: おう、ありがとな!
- いろは: それに…!
- 今です教官!!
- いろは: く…神楽さんの弾が、 隙間を縫って飛び込んでくる…
- ひるんだ隙にッ!!
- いろは: ッ、まだっ!
- ガッ…く…
- いろは: 藍家さんから羽根に 撤退命令があったんじゃ…
- 最後の最後まで、 姫様に頼りたくはないの…!
- 燦: なぜ急に撤退だなんて 言い出したのかはわからない…
- 燦: 姫様が言うことには 何か意味があるはずよ
- 燦: だけど、だからといって ここで退いてしまえば
- 燦: 私たちは自分が望む幸福な未来を 彼女だけに背負わせてしまう
- 燦: みんな同じ想いよ ここまで来れば失敗は許されない
- 燦: なら、自分たちの幸せのために 最後まで自分で抗う!
- 燦: はぁあああああッ!!
- みふゆ: ふっ
- みふゆ: くっ
- みふゆ: やっ…!
- みふゆ: せやァアッ!
- みふゆ: ふぅっ、ふぅっ…
- 燦の声: ミユ!
- ミユリ: ふっッ!
- みふゆ: っ!
- 燦: 意味がわからないわね… ほとんど全てかわされた…
- 燦: さっきもそうだったけど
- 燦: マギウスの翼に居たころの 弱っていたあなたはどこに…
- みふゆ: 知りませんよ!
- みふゆ: 言えるのは、最近のワタシは 絶好調ということだけです!
- 燦: ぐっ!
- みふゆ: 教官に薬を盛られなければ あのときも負けませんでした!
- 燦: アゥッ!
- みふゆ: 教官、もうやめましょう!
- みふゆ: 藍家ひめなの作戦が成功しても、 それで残るのは怨嗟だけ!
- みふゆ: 魔法少女に対して投げかけられる 人々の恨みだけですよ!
- 燦: それをねじ伏せるのが、 神になる私たちなのよ!!
- FILENAME: text_103105-6_32rIq.txt
- フェリシア: しゃあっ!
- フェリシア: こっちは倒したから 最後はきょーかんを倒してやる!
- 鶴乃: 乗った! 一気に畳みかけるよ!
- いろは: うい、フェリシアちゃんたちが 攻撃をするタイミングで
- いろは: 私たちは神楽さんの隙を作るよ!
- うい: うん、ツバメさんたちに 囲んでもらったら
- うい: 動きだって止められるかも
- うい: あっ…!
- いろは: 止まって!
- ミユリ: フゥ…フゥ…
- いろは: 手応えがない…
- うい: まずはこの人を倒さないと…
- いろは: うん… 神楽さんには近づけないね…
- フェリシアの声: りゃぁああああっ!
- 鶴乃の声: 最強のコンビネーション アターーーーック!!
- ガィン…!
- フェリシア: ぅぁあああっ、かってぇ! しびれたぁ…!
- 鶴乃: ウソでしょ!? 全然効いてないッ!?
- 燦: そんな真っ直ぐな攻撃は、 私には通用しないわよ
- みふゆ: 「鶴乃さん、フェリシアさん 退がってください」
- 鶴乃: う、うんっ!
- フェリシア: おうっ
- 燦: 的になりに来たの?
- みふゆ: あなたが戦うのをやめないなら ワタシはもう許しません
- 燦: ひとりで私を相手にして 勝つつもり?
- みふゆ: どれだけ殴ったところで、 勝てないでしょう
- みふゆ: ですが、心はどうでしょう
- 燦: ――っ!?
- みふゆ: あなたはワタシの幻覚の力を 人を苦しめるために利用した…
- みふゆ: ワタシ、あなたのことが 心の底から許せないんですよね…
- 燦: あなたが私の手の内を知るように 私もあなたの手の内を知ってるわ
- 燦: 幻覚なんて効かないわよ
- みふゆ: マギウスの翼にいたときの ワタシとは違います
- みふゆ: かつての実力を超えるほどの 絶好調なんですから!
- みふゆ: 覚悟してください
- みふゆ: あなたが人々を苦しめた幻覚で 今度はあなたが苦しむ番です!
- 燦: っ!
- みふゆ: 遅い!
- みふゆ: 後輩のあなたが抱える悩みは ワタシも知っている
- みふゆ: それを忘れないでくださいね
- FILENAME: text_103105-7_32rIq.txt
- 燦: この光景は…光塚の火祭り…
- 燦: 燃え盛る炎は少し離れた所でも感じるくらいの 熱気を放っていて 目も鼻も口も全てを焼いてしまいそう…
- 燦: 最初は怖いと思ったけど 激しく燃える炎の向こう側に神様がいると思うと 目の前の炎が光り輝く神の御業のようで 舞っている火の粉の粒子のひとつひとつが まるで宝石のように見えた
- 燦: そう、これは私を神楽燦として形作った場所だ
- 燦: …………
- 燦: (どうしてだろう…)
- 燦: (いつもより、ずっと懐かしくて 愛おしい気持ちが湧いてくる)
- 燦: (どこの町にもあるものだとは 思うけど)
- 燦: (私は光塚の少しだけ乾いた ほこりっぽい空気も)
- 燦: (少しずつ混ざった家庭の香りも すべてが大好き)
- 燦: (特に今は夕食の準備を始めて 色んな香りが混ざりあってる)
- 燦: (色濃く人の気配を感じる 光塚の町が今日も生きてる証だ)
- 燦: ふふっ
- 燦: おじさん、 いつものメンチカツちょうだい
- ☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
- 燦: ありがとう、 はい、110円ね
- ☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
- 燦: うん、次に来るときは、 ミユも一緒に連れてくるわね
- ☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆
- 燦: あ、お婆ちゃんこんにちは もう腰は平気?
- ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
- 燦: そっか、病院の先生が言うなら きっと治るし、治って欲しい
- 燦: だって、次の火祭りの舞台も 見に来て欲しいもの
- 燦: ここは私を育ててくれた揺り籠
- 燦: 毎日がどれだけ淡々としていて面白みがなくて ずっと同じことを繰り返していたとしても 私はこの世界があるだけで幸せ
- 燦: 時間が過ぎていくことは仕方ないことだけど 本当は誰も死んで欲しくないし ずっと変わらず、私に笑顔を向けていて欲しい
- 燦: 私はずっと、ここから離れたくないから
- 燦: あっ、会長!タツ兄!
- 燦: なっ!?
- 燦: ちょっ、みんな何やってるの!?
- 会長: …………
- タツ: …………
- 燦: やめて、なんで神輿を壊すの!? 今度の火祭りで使うのに!
- 燦: っ、かい…ちょう…?
- 会長: ||||||||||| |||||
- 燦: 違う、火祭りは終わってない!
- タツ: |||||||||
- 燦: お前はここに居られないって どういうこと…!?
- 燦: ここは、光塚の町は私にとって!
- タツ: |||||| |||
- 燦: なんで… 私は立ち止まってない…
- 燦: 火祭りを続ける未来のために あがき続けてる…!
- 会長: |||||||
- 燦: それなのにどうして、 私を避けるの…?
- 燦: みんなは私の居場所なのに…
- 会長: |||||||
- タツ: || ||||||||||
- 燦: 無理じゃない!幻じゃない! 私は祭りを生かし続ける!
- 燦: やめて…!
- 燦: 私の世界を壊さないで!
- 燦: 「壊さないで!」
- FILENAME: text_103105-8_32rIq.txt
- 燦: ダメ…消させない…
- 燦: 光塚も火祭りも、私という存在を かたどる全てなのよ…
- 燦: だから…!
- 燦: 消させるもんですか!!
- 燦: はぁ…はぁ…
- 燦: また、私の世界を壊すの…? お願いだから壊さないでよ…
- 燦: 私の心が壊れちゃう…
- 会長: ☆☆☆☆
- 燦: どうして悲しそうな顔で見るの…
- タツ: ☆☆☆☆☆☆☆☆
- 燦: 一緒に越えたいって言われても、 離れていくのはタツ兄だよ
- 燦: 私は火祭りがなくなる苦難を 乗り越えようとしてるんだから…
- タツ: …………
- 燦: どこを見てるの…?
- 燦: ここにあるのは暗闇 ただ、何もない無でしかない…
- 燦: …………キレイ…
- 会長: ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
- 燦: 越えていけ…? どういうこと…?
- タツ: ☆☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
- 燦: ――っ!?
- 燦: 燃えているのは神輿… 守りたかった私の神様…
- 燦: でも、どうして… どうしてこんなにキレイなの…
- 燦: あぁ…そう…そうだった…
- 燦: 火の神様はすべてを燃やし 次に備える糧を作る…
- 燦: もし、火祭りを大切に思うなら…
- 燦: 私も私を捕らえる今を燃やして 未来に進むべきなのね…
- 会長: ☆☆☆☆☆☆
- 燦: それが、 私が信じてきた火祭りの姿
- 燦: ただ守るだけではない 次を示してくれる、私の神様…
- タツ: ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆
- 燦: あぁ…そうだ…
- 燦: あの時の私も神火を通して 新しい自分を得た…
- 燦: それなら…
- 燦: うん、本当に火祭りを信じるなら 私は越えて行くわ…
- 燦: 現実に抗わず…今を…
- 燦: …………
- 燦: 私は…
- ミユリ: 燦様!燦様! 気を確かにしてください!
- 燦: ミユ… 私は帰ってきた…のね…
- ミユリ: いったい燦様に何をしたんですか みふゆさん!
- みふゆ: 最悪の幻覚と共に 未来へ歩めるような幻覚を…
- ミユリ: どういうことですか!
- みふゆ: …失われゆくものを乗り越える
- みふゆ: かつて 光塚の火祭りの起源である少女は
- みふゆ: 確かにご神体を守って、 人々に安寧をもたらせた…
- みふゆ: ですが、今はその鉄壁の守りが、 あなたの未来を阻んでます
- 燦: …わかってる
- 燦: みんなもう、火祭りのことに 固執してないって…
- 燦: でも、それは諦めじゃない 新しい道を歩み出した証なのね…
- みふゆ: それでもきっと光塚の人たちは、 あなたを気にかけてくれている
- みふゆ: それは、固執するあなたを 突き放しているんじゃなくて
- みふゆ: あなたと一緒に 変わっていきたいんですよ、教官
- 燦: なんだか…わかったわ…
- ミユリ: さ、燦様…
- みふゆ: ミユリさんも、ただ献身的で 従順であることだけが
- みふゆ: 愛じゃありませんよ
- ミユリ: う、うぅ、うるさいです!
- フェリシア: おしっ、こっちも終わったぞ! 早くゴールをみつけねーと!
- 鶴乃: 乱暴なマネはしたくないけど、 タイムリミットが迫ってるからね
- いろは: お願いです、藍家さんの居場所を 教えてください
- 燦: いやよ…
- いろは: 神楽さん…!
- 燦: …負けは認める…けど、 姫様の想いは守らせてもらうわ
- フェリシア: うぅ、もういいカゲンにしろよ! 本気でズガンだぞ!?
- やめてください!
- うわさがあった廃博物館 そこに姫様がいます!
- 燦: あなた…!
- もう十分です…十分やりました…
- 燦: っ…
- いろは: 罠だとしても 乗っかるしかないですね
- うい: うん、みんなで行こう!
- はぐむ: 間に合うかな…時雨ちゃん
- 時雨: 間に合わせないといけないんだよ はぐむん…
- はぐむ: 藍家さんのメッセージ…
- はぐむ: 神浜市から出て行けって 絶対におかしいもんね
- 時雨: 三輪さんが言ってた話だと
- 時雨: 新しく改竄を合成したものを 作ってたみたいだけど
- はぐむ: 神浜市全体に何をする気なのかは わからないって言ってた…
- はぐむ: 追い詰められてるのに、 それでもひとりで残るとしたら…
- 時雨: うん…
- 時雨: 姫は逆転するために 今度は魔法少女に何かする気だ…
- FILENAME: text_103105-9_32rIq.txt
- 月咲: (どうして… ウチはここに来たんだろう…)
- 月咲: (人が多く集まる場所だから?)
- 月咲: (ここなら見つかったとしても、 戦うことなんてできないから?)
- 月咲: (みんな体の異変を感じて、 診察に来てるみたいだから?)
- 月咲: (…きっと、それだけじゃない)
- 月咲: …………
- 月咲: 月夜ちゃん…
- 月夜: 月咲ちゃん…
- 月咲: ウチら本当に 双子だったんだね…
- 月夜: はい…
- 月咲: (せっかく水名神社を避けて ここに来たのに…)
- 月咲: (ここも、ウチらが双子だって 気づいた、大切な場所…)
- 月咲: ウチは見つけて欲しいのかな 月夜ちゃんに…
- 月咲: ――っ!?
- 十七夜: ここに居たとは、 ずいぶんと探したぞ
- みたま: メッセージを送ったけど、 反応がないから心配したわよ
- 月咲: …月夜ちゃんを撒くために、 スマホを捨ててきて…
- みたま: あら、大胆ね
- 月咲: ネオマギウスの様子は… 作戦は成功しそうですか…?
- 十七夜: …すまない月咲君
- 十七夜: その話だが、自分と八雲は ネオマギウスと手を切った
- 月咲: えっ!?
- 十七夜: 勝手な話で申し訳ないが、 希望を見せられてしまった
- 月咲: でも、今さら東西の関係が 変わることなんて…
- 月咲: ウチらだって 西に引き取られた月夜ちゃんと
- 月咲: 東に残ったウチが 会ったりしないようにって
- 月咲: 軟禁されてたのに…
- みたま: だけど、その月夜ちゃんも ミィと一緒に動いていたのよ…
- みたま: 東西を繋ぐために…
- みたま: ほら、これを見て
- 月咲: …神浜市の未来を作る学生会議?
- みたま: 今も増え続けてる署名はね、 神浜市の東西の学生たちばかりよ
- みたま: これまでは歴史や周囲を気にして 若者は誰も発言してこなかった…
- みたま: だけどね、一部だったとしても、 声をあげる人が出てきたの…
- みたま: 東西の関係を変えるために…
- 月咲: これは…本当なんですか…?
- 十七夜: 自分の弟も含めて、 署名してくれた学生の姿を見た…
- 十七夜: ならば、滅びの果てにあるのは、 東西が手を取り合う未来ではない
- 十七夜: 単なる破壊によって 希望が断たれた虚しい未来だ…
- 十七夜: しかも滑稽な話だが
- 十七夜: 神浜市長選挙で、現市長が 東を貶める動きを見せたのは
- 十七夜: どうもネオマギウスの策略で 藍家ひめなが関わっているらしい
- 月咲: え…
- 十七夜: 自分たちが伝えられるのは以上だ
- みたま: これからわたしと十七夜は、 自分たちにできることをするわ
- みたま: 月咲ちゃんも、今の話を聞いて もう一度だけ考えて
- 十七夜: 振り回してしまったことを 自分たちは謝ることしかできない
- 月咲: ううん…
- 月咲: ネオマギウスにつくって 決めたのはウチ自身
- 月咲: だから、十七夜さんたちが謝る 必要はありません…
- 月咲: ただ、今の話が本当だとすると、 ウチがしたことは…
- 十七夜: …………
- 十七夜: 梓と月夜君が君を探している
- 十七夜: 協力すれば神浜市の人の暗示を 解けるだろう
- 月咲: ――っ!?
- 十七夜: 伝えたかったのはそれだけだ
- 十七夜: 足早になってしまって悪いが こちらも時間がないのでな
- みたま: じゃあね、月咲ちゃん
- 月咲: ふたりは、どうするつもり?
- みたま: わたしたちも 責任を取るつもりよ
- FILENAME: text_103105-10_32rIq.txt
- 月夜: (もしかしたらと思って、 来てみたでございますが…)
- 月夜: …………
- 月夜: (月咲ちゃんの反応はない… 立ち寄ってないでございます…)
- 月夜: (あと、可能性があるとすれば)
- 月夜: (そう、私たちにとって 大切な場所がもう1ヶ所…)
- タケの声: え、月咲…ちゃん…?
- 月夜: ひゃっ!?
- 月夜: って、今の声は…どこから…?
- 月夜: (行き倒れてるでございます!)
- 月夜: 大丈夫でございますか!?
- タケ: ああ、良かった…月咲、ちゃん… やっぱ、ここかぁ…
- タケ: 姉ちゃんと会ってるって、 おやっさんに、バレて…
- タケ: ここで会ってたって… 言ってたもん、な…
- 月夜: あぁあの、ちょっと… 私は…月咲ちゃんでは…
- タケ: 帰ろう…みんな、心配してる…
- 月夜: ――っ!?
- 月夜: (意識がもうろうとしてる!?)
- 月夜: (口が渇いて…熱も…脱水…? 早すぎるでございます…)
- タケ: …食べられなかったから…
- 月夜: え…?
- タケ: また、俺の好物、作ってくれたら 嬉しい…な…
- タケ: …………
- 月夜: ちょ、ちょっと! しっかりするでございます!
- 月夜: (間違いなく、天音竹工房の方)
- 月夜: (それも月咲ちゃんのことを 想ってくれる希有な…!)
- 月夜: (あぁ、早くこの方を病院に…)
- 月夜: この近くで点滴の対応をしてる 病院があるとすれば
- 月夜: 里見メディカルセンターで ございます…
- 月夜: …………
- 月咲: …………
- 月咲: 月夜ちゃん…
- 月夜: 月咲ちゃん…
- 月咲: ウチら本当に 双子だったんだね…
- 月夜: はい…
- 月夜: 思い出した…
- 月夜: きっと月咲ちゃんも、 いるはずでございます…
- FILENAME: text_103105-11_32rIq.txt
- 月夜: 見つけたでございます…
- 月咲: …………
- 月咲: 見つかっちゃったね 月夜ちゃん…
- 月夜: やっぱり、 この病院にいたのでございますね
- 月咲: 月夜ちゃんも思い出したんだ
- 月夜: 半分は月咲ちゃんの 知り合いのおかげでございます
- 月咲: ウチの…?
- 月夜: 月咲ちゃんのことを必死に探して 神社で倒れていたのでございます
- 月咲: お父ちゃん…?
- 月夜: いえ、若い男性でございます
- 月夜: 病院まで連れて来たものの、 名前までは…
- 月夜: ただ、言ってたでございます
- 月夜: 食べられなかった好きな料理を また作って欲しいって
- 月夜: だから、天音竹工房の方で 間違いないはずでございますよ
- 月咲: ――っ!?
- 月咲: …あぁ、タケさんだ
- 月咲: ウチ、自分のことばかり考えて、 ヒドいことしちゃった…
- 月咲: タケさんが倒れてたなら、 お父ちゃんだって…
- 月夜: 確かに月咲ちゃんがしたことは ヒドいことですが
- 月夜: 私は月咲ちゃんの考えが わかるでございます…
- 月夜: きっと、私と月咲ちゃんの ふたりの未来のために
- 月夜: 神浜市の東西の件で 動いてくれたと思うでございます
- 月咲: だけど、空回りだった…
- 月咲: 黒幕はネオマギウスで…
- 月咲: ウチはそのグループの中で みんなを殺そうとした殺人鬼…
- 月咲: 月夜ちゃん…
- 月夜: そうでございます…
- 月夜: 月咲ちゃんからネオマギウスへの 情報提供は痛手でございました
- 月夜: 変えられない過ちでございます
- 月夜: それでも、過去は変えられずとも できることはあるでございます
- 月咲: …………そうだね
- 月夜: みふゆさんとも合流して、 みんなの暗示を解くでございます
- 月咲: …うん
- 月咲: どうせなら1090の放送に乗せて 日本中に広げる気持ちで
- 月夜: はい、その意気でございますよ!
- ピロン♪
- 月夜: …………
- 月夜: 放送の場所は…
- 月夜: 藍家ひめなの居場所は、 栄区の廃博物館でございます…!
- かごめ: はぁ…はぁ…
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: うん、みんなの反応を感じる
- かごめ: 「真っ先に廃博物館に到着しそうなのは さっきまで栄総合学園にいたいろはさんたち」
- かごめ: 「ももこさんたちはそれに続くように動いてる」
- かごめ: 「他の子たちも移動してきてることを考えると いよいよ、ひめなさんは包囲されてしまうし」
- かごめ: 「時女一族の人たちも加わると さすがにひとたまりもないはず…」
- かごめ: (みんなが追い詰めてる…)
- かごめ: (危険な形で魔法少女の存在が 伝えられないように…)
- かごめ: だけど、もう時間がない…
- FILENAME: text_103105-12_32rIq.txt
- いろは: 見つけました! 魔法少女の魔力反応があります!
- 鶴乃: うん、ネオマギウスの…
- 鶴乃: あのときに感じた リーダーの反応と同じだよ!
- フェリシア: 町を滅茶苦茶にしやがって、 ぜってーに許さねえ!
- やちよの声: ええ、東西のことも含めて、 ひっかき回してくれたからね
- フェリシア: おっ、やちよだ!
- 鶴乃: おかえり、おつかれさま!
- やちよ: 番組の出演よりも、各方面への 謝罪に時間をとられたわ…
- いろは: でも、十七夜さんとみたまさんが 帰ってきました
- いろは: やちよさんのおかげですよ
- いろは: それに、まだ署名も増えてるって 言ってました
- やちよ: それなら、出演したかいもあるわ
- やちよ: 藍家ひめなのせいで、 再び関係は崩れてしまったけど
- やちよ: その分、これからは 強固な絆になれば嬉しいわね
- みふゆ: その未来のためにも、 現状を打破しないといけません
- みふゆ: 放送までの残り時間も あとわずかです
- うい: 博物館ってあそこ!? なんだか崩れちゃってるけど…
- いろは: マギウスの翼との戦いで 爆発が起きちゃったからね
- うい: 中に藍家さんが…
- いろは: うん、止めよう これだけいれば大丈夫だよ
- 鶴乃: さあ、やっと見つけたよ! 藍家ひめな!
- フェリシア: 魔法少女を悪者にするような ほーそーをするんだろ!?
- やちよ: 恐怖で縛りつけて力を示しても 人を治めることはできないわ
- みふゆ: もう終わりにしましょう 早く出てきてください
- ひめな: はぁ~あ
- ひめな: 放送直前に見つかるとか マジでサがる展開なんだけど
- ひめな: しかも、 最初っからディスってくるじゃん
- いろは: 魔法少女を知ってもらうことを、 私は否定してません
- いろは: でも、誰かの未来を奪うことは、 してほしくない
- いろは: 魔法少女が人の上に立って 支配するなんて考えたくないです
- いろは: 強制的に理解させなくても わかってくれる人はいます
- いろは: そうすれば、手を取り合って 支え合うこともできるはずです
- ひめな: フッ…キャッハハハハッ★
- ひめな: マジでさ、 いろりんはわかってなさすぎ
- ひめな: 人間なんて表面ばっか繕って 理解してくれる人はいないって
- ひめな: そもそも、なんでもかんでも 都合良く受け入れてくんないよ
- ひめな: だから私チャンは人間を支配して 誰も逆らえない神になるの
- ひめな: わかる?
- 鶴乃: 説得したいところだけど、 この様子じゃ難しそうだね
- みふゆ: はい…
- みふゆ: 残念ですが、時間をかける余裕は ワタシたちにはありません…
- ひめな: 大人の相手をしたことがあるなら ぶっちゃけわかるっしょ
- ひめな: みんな理解したフリをするだけで 心の中じゃ全く信じてない
- ひめな: あとで心に傷を負うのは、 いっつも私チャンたちじゃん
- ひめな: そんなヤツらに手を差し延べても いつか背中を刺されるだけ
- ひめな: 今の私チャンも同じだから わかるんだよね
- ひめな: みんな感情があるだけで 本音はなんも言わない
- ひめな: キュゥべえと 同じようなもんだって
- フェリシア: おぉ、大人って キュゥべえなのか…!?
- やちよ: 彼女にとってはね
- やちよ: そもそも、どんな理由を並べても 人の命を狙うのは卑劣だわ
- いろは: …最後です、藍家さん
- いろは: もう、十七夜さんもみたまさんも 笠音さんも動きません…
- いろは: 私たちで止めました…
- ひめな: 話には聞いてるよ
- いろは: …魔法少女は誰もが 救いを求めてあがいていて
- いろは: 今の状況だって藍家さんが 救いを求めた結果だと思います
- いろは: その、藍家さんにとっての救いを 私たちがダメにしてしまうなら
- いろは: 私は一緒に探します
- いろは: 藍家さんが救われる他の方法を 一緒に探しますから…!
- ひめな: キャハッ★ どちゃクソ、ハートにくる台詞
- ひめな: だけど、私チャンが 救われたいのは今だから!
- いろは: 藍家さん!
- ひめな: 私チャンも限界なの! だから…だから!
- ひめな: ひとりでも戦う!
- いろは: 藍家さん!!
- FILENAME: text_103105-13_32rIq.txt
- やちよ: っ…この人数相手に挑むなんて 正気の沙汰とは思えないわ…!
- フェリシアの声: 記憶ごと吹っ飛べ! ドッカーーーーーン!!
- フェリシア: なっ…!いねえぞ!
- フェリシア: なぅ!?
- ひめな: あざまる★ 忘却の力はもらったから
- やちよ: フェリシア!!
- ひめな: いまっ!
- やちよ: ぐっ…!?
- やちよ: …あれ、私は今
- ひめな: これで、どうだっ!
- やちよ: クッ!
- いろは: 人の能力を 他のものに合成して使ってる!?
- うい: こんなに色んな魔法使われたら、 どうすればいいか…
- みふゆ: ですが、死角からであれば!
- ひめな: ここで、由比鶴乃の幸運!
- みふゆ: まさか、さっき鶴乃さんに 触れたときに合成を…!?
- ひめな: 続けて、あなたの幻覚で みんなまとめて悪夢の底に!
- やちよ: させないわ!
- ひめな: った! マジ、やなタイミングで…!
- みふゆ: すみませんやっちゃん
- やちよ: 動きは速くないけど、 魔法の組み合わせが厄介ね…
- みふゆ: もう時間が…
- 鶴乃: …………
- みふゆ: 鶴乃さん…?
- 鶴乃: たぶん大丈夫だよ わたしたちの勝ちだと思う…!
- 鶴乃: なっ…今度は何の魔法…!? すごい魔力を感じる…!
- やちよ: どこにそんな力を隠して… 違う、まさか…!
- ひめな: あなたたちの攻撃を受けつつ 環ういの回収で魔力を集めてたの
- ひめな: じゃーね このまままとめて倒してや
- ひめな: るっ…!?
- ドサッ…
- ひめな: ケホッ… く…いったぁ…
- フェリシア: な、あ? どうしたんだよコイツ…
- いろは: ソウルジェムが濁ってる…
- うい: それって、魔力の使い過ぎって いうこと…?
- いろは: 色んな魔法を連続で使う上に 合成して使うってなると…
- やちよ: 普通に使うよりも 消耗が激しくなるのね…
- ひめな: あーあ…
- ひめな: 私チャン的には、もう少し 早く片づけられると思ったのに
- やちよ: 読み違えたわね
- ひめな: とりま、そういうことみたい
- 鶴乃: もう、変身を解いて諦めてよ これ以上はわたしたちも…
- ひめな: 本当はやりたくなかったけど 最終手段かな…
- ひめな: ていうか、ぶっちゃけ本命?
- 鶴乃: え…?
- ひめな: こんな状況でも 私チャンの勝ち確は変わらない
- 鶴乃: もう何もできないはずだよ…!
- ひめな: 私チャン的に8つのキモチの石は 最後に奪うつもりだったんだよね
- ひめな: 1つずつ戦って奪ってくとか やってらんないし
- ひめな: とりま、みんなが集めたあとで 丸っともらう方が楽じゃん
- ひめな: そうすれば、小さなキュゥべえは もう手にいれてあるから
- ひめな: あとは自動浄化システムを キュゥべえから奪うだけってね
- やちよ: ハッタリはやめなさい
- フェリシア: もう、無駄なてーこーだぞ!
- ひめな: 「神浜市に張り巡らされてる送電網 その母線となる変電所にね ボタンひとつで発動する仕掛けを作った」
- ひめな: 「それを使って電波望遠鏡のときと同じように 魔法少女のアンタたちの意識を改竄する」
- やちよ: まさか、あなたは…!
- ひめな: 「ソウルジェムを割って死んで」
- ひめな: ばーか
- FILENAME: text_103105-14_32rIq.txt
- 十七夜: 八雲、姫君が設置した仕掛けは 近くにあるはずだ
- みたま: ええ、強い反応があるわ だけど…あれって…
- リヴィア: ぐっ…くぅ…!
- リヴィア: こんな仕掛けひとつに、 なんて魔力詰め込んでるんや!
- みたま: 先生!?
- リヴィア: ちょうどええ! あんたらふたりとも手を貸し!
- リヴィア: ヨヅルと月出里が伸びてもうて ヤバいところやったんや!
- リヴィア: ここで止められへんかったら 姫さんの作戦が成功してまうで!
- みたま: わ、わかりました!
- 十七夜: 致し方ない!
- FILENAME: text_103105-15_32rIq.txt
- リヴィア: はぁ…はぁ…すまん… 手足が言う事きかへんわ…
- 十七夜: 3人がかりで潰されるとは、 恐れ入ったな…
- みたま: この遠隔操作の仕掛けは、 お姫様の肝入りだったもの…
- ヨヅル: 3人とも動かないでください
- ヨヅル: 私と月出里で回復を促さないと 魔力が足りなくなります
- 月出里: ふむんふむんむんむふむっむ ふむむふむんむんむむ
- ヨヅル: そう、こういうときに助けるのが 優しさのようですよ
- ヨヅル: しかし、 調整していて気づいたのですが
- ヨヅル: 3人とも今回の仕掛けを防ぐのに 死ぬ気でいましたね?
- 十七夜: 姫君の仕掛けが発動すれば、 身ひとつでは持たないからな
- ヨヅル: 先生も本来は私たちを 手伝わせるつもりはなかった
- リヴィア: 魔法少女を皆殺しにするなんて 仕掛けは絶対に潰さなあかん
- リヴィア: せやけど、それで防ぐにも 犠牲が出るってわかってたら
- リヴィア: 将来有望な弟子が死ぬより 師匠が死ぬ方が順番的にええやろ
- みたま: 今回のお姫様の仕掛けは 気づいてたんですね
- リヴィア: あの子を調整したときに 目的が見えて、ずっと調べとった
- リヴィア: さすがに魔法少女を救うのに、 全滅されたらかなわんからな…
- 十七夜: 我々が生きているということは 防げたということか…
- みたま: ええ、1回目はね
- ひめな: …………
- ひめな: …………どうして
- ひめなの声: 「どうして ソウルジェムを壊さないの!?」
- やちよ: ハッタリではなく、 本当に失敗したみたいね
- いろは: まさか、魔法少女を まとめて殺すつもりだったなんて
- 鶴乃: …………
- ひめな: マジで意味がわかんない 最後の確認までしたのに…!
- 鶴乃の声: 次に何を仕掛けてくるか わからないよ!
- 鶴乃の声: フェリシア 一緒にズガンとやっちゃおう!
- ひめな: ――っ!?
- フェリシア: 今度はお前が忘れる番だ!
- 鶴乃: 食らえぇえッ!!
- ひめな: ま、まだ!
- ひめな: はぁっ…はぁ…
- ひめな: ごめん…ヒコ君… こんなことになるなんて…
- うい: もう、魔力もないんでしょ…?
- うい: 苦しめたりなんてしないから、 お願いだから捕まって
- ひめな: だれが!
- ひめな: それに、失敗を想定しないなんて そんなザルじゃないし
- いろは: 藍家さん!
- ひめな: バックアップで仕掛けた分なら、 すぐには死なないけど…!
- やちよ: みんな、彼女のスマホを奪って! あれで発信しようとしてるわ!
- フェリシア: 次こそ本気だ!
- 鶴乃: せーの!
- フェリシア&鶴乃: 「どかーーーーん!!」
- ひめな: ァアアアッ!!
- 鶴乃: ッ、まだスマホは放してない…!
- ひめな: ぃ、たぁ…
- やちよ: …もう、やめましょう 私たちだって戦いたくないわ
- いろは: そのスマホを…渡してください…
- ひめな: 死ね!
- やちよ: はぁあッ!
- やちよ: ―やちよ― なっ!?
- ひめな: ―ひめな― え、何…?
- ひめな: ―ひめな― ウソ、意味わかんない…?
- ひめな: ―ひめな― どうして教官とみゆりんがいるの…?
- ひめな: ―ひめな― 私チャン言ったよね 最後の指示は絶対に聞いてって…
- ひめな: ―ひめな― 指示もメッセージで送ったのに…
- ひめな: ―ひめな― それに、しぐりんとはぐりんも… ネオマギウスから抜けたんじゃないの…?
- FILENAME: text_103105-16_32rIq.txt
- ひめな: ―ひめな― みんな、私チャンのところに 駆けつけるはずないのに…
- 時雨: ―時雨― ぼ、ぼくにもわからないよ… 駆けつけて姫と戦う気だったんだ…!
- 時雨: ―時雨― 絶対に電波望遠鏡のときと同じように みんなを危ない目に遭わせるって思ってたから…
- 時雨: ―時雨― でも、勝手に体が動いたんだ…!
- はぐむ: ―はぐむ― …私はほんの少しだけわかる気がするよ 時雨ちゃん…
- はぐむ: ―はぐむ― きっとね、みんなを傷つけてる藍家さんと ネオマギウスのみんなを逃がす藍家さんは同じで
- はぐむ: ―はぐむ― その優しい藍家さんを私たちは知ってるから こうやって助けちゃったんだと思う…
- はぐむ: ―はぐむ― 魔法少女至上主義を広めるのも自分のためだけど 私たちのためにも頑張ってくれてたでしょ…?
- 時雨: ―時雨― そうかも…だからぼくは… 姫のやり方が許せなくても、悔しくなったんだ…
- 時雨: ―時雨― 姫を裏切ったのに… ここで、このまま負けてほしくないって…!
- ひめな: ―ひめな― しぐりん…はぐりん…
- 燦: ―燦― こんなやり方に巻き込みたくないからって 安積と宮尾を遠ざけるようにしたのに
- 燦: ―燦― こうして戻って来られたんじゃ意味がないわね
- ひめな: ―ひめな― 教官とみゆりんも同じだって…! 何言ってんの…!?
- 燦: ―燦― 私もね、自分の目的を叶えるためではあるけど ここで散る姫様は見たくなかったのよ
- ミユリ: ―ミユリ― だから残ろうってミユからも燦様に言ったんです
- ミユリ: ―ミユリ― た、確かに怖いし、どうなるかわからない… けけ、けどっ!
- ミユリ: ―ミユリ― ここまでネオマギウスとして積み上げたものが 崩れるのを見ていたくないですから!
- 燦: ―燦― 前の私なら素直に姫様の指示を聞いてたけど 思ったよりあなたのことが好きだったみたいね
- はぐむ: ―はぐむ― 私も…
- 時雨: ―時雨― ぼくも…なのかも…
- やちよ: それで、味方が増えたから、 放送まで耐えるって…?
- みふゆ: さすがに難しいでしょう…
- いろは: この反応…さなちゃん!
- 静香: ごめんなさい、遅くなったわ
- さな: 時女の皆さんの力を借りて、 少し動けるようになりました…!
- ももこ: こっちも遅ればせながら到着だ
- レナ: みかげたちも もうすぐこっちに着くはずよ
- ひめな: …………
- ミユリ: 姫様…ミユたちの負けです…
- 燦: 姫様…
- 燦: ここで放送しても 私たちが見せたいものは防がれる
- 燦: 人の天辺に立つ証明が難しい以上 今回は諦めるしかないと思うわ…
- ミユリ: 次は、もう少し穏やかな方法で、 理解してもらいましょう…
- 時雨: ねえ、姫… 遊狩さんの言う通りだよ…
- 時雨: やり方を変えて、 ぼくたちでまた頑張ろうよ…
- はぐむ: 魔法少女至上主義はそのままに、 伝え方だけを変えて…
- 時雨: その方が、優しい神様になれるし いいと思うよ…
- ひめな: ムリ…
- 時雨: え、なんで…?
- ひめな: しぐりんたちと私チャンとでは、 事情が全然違うじゃん!
- 時雨: でも…
- ひめな: 「ぶっちゃけ、しぐりんとはぐりんはね 私チャンたちといてメッチャ強くなったよ! 今はもう誰からも馬鹿にされないぐらい すっごく真っすぐで自信を持ってる」
- ひめな: 「魔法少女至上主義なんてもう必要ないよ ふたりは自然と胸を張って生きられるよ」
- はぐむ: そんなこと…
- ひめな: 「教官が抱えてる火祭りへの想いだって きっと大人になれば向き合い方が変わる 子どもが外野で言ってる文句じゃなくて 大人の意見としてぶつけて戦えるようになる」
- 燦: …………
- ひめな: 「静香ちゃんは仲間たちに許されて ちゃんと自分が望む日の本を守る道を見つけて 東のふたりだって未来の可能性を見つけた そして、プロミストブラッドの三女も 苦しみを理解してくれる人に解放された」
- 静香: あなたも日の本の一員 私にできることがあれば…
- ひめな: 何もないよ
- ひめな: 私チャンが認めて欲しいのはね 地元にいる友だち
- ひめな: 学校の先生…
- ひめな: それにママ…
- ひめな: 「人助けで誰が認めてくれると思う?」
- ひめな: 「私チャンの中にいるヒコ君のことを…」
- ひめな: 「誰に言っても認めてくれなかったし どう考えてもムリでしょ…?」
- ひめな: 「私の頭の中にはもうひとりいて それが私チャンの彼なんですって」
- ひめな: 「やっぱ、あたおか扱いされて終わり」
- ひめな: 「だったら、それが普通のことだって どうやって認めさせればいいと思う…?」
- ひめな: 「言葉でムリなら力で従わせるしかないじゃん」
- ひめな: だから私チャンは最後まであがく それしかないんだよ
- FILENAME: text_103105-17_32rIq.txt
- ひめな: あ…ぅ…
- 燦: 姫様、もうやめて…!
- ミユリ: これ以上、 魔力を使ったら魔女に…
- 燦: そう、今の神浜市で ドッペルは出ないのよ…!?
- ひめな: 「は…はぁ…」
- ヒコ: …………
- ひめな: 「そうだね…」
- ひめな: 「今ならもう1つの仕掛けを使って みんなをまとめて潰せると思う」
- ヒコ: …………
- ひめな: 「でも、ごめんね、ヒコ君… 今回だけはヒコ君の言うこと…聞けない…」
- ひめな: 「ネオマギウスのみんなが 神浜市に残ってるってわかっちゃったから…」
- 時雨: もう立たないでよ、姫…!
- はぐむ: 今回は諦めましょうよ 藍家さん…!
- ひめな: それなら、やるだけやって 散った方がマシだから…
- いろは: 使ってください グリーフシードです!
- いろは: やったことは許されないけど、 抱えてる苦しみは本物のはずです
- いろは: だから、ここで救われない道を 選ぶ必要なんてありません…
- いろは: 誰も傷つけずに藍家さんが 救われる方法はあるはずだから
- いろは: みんなのために生きてください
- ひめな: いらない
- ひめな: 浄化したら人間に力を示すために 私チャンはまた暴走する
- ひめな: そしてまた限界に達するのを 繰り返すだけになる
- いろは: どうしてそこまでして…
- ひめな: もう、待ちたくないんだよ
- ひめな: 1分1秒たりとも、 今の環境で生きてたくないんだよ
- ひめな: 私チャンのヒコ君が 認められないなんてもうムリ…
- ひめな: それが地獄で一番の絶望…
- いろは: 一緒に救われる方法を探します 私も味方でいます
- いろは: それだと意味はない、ですよね…
- ひめな: …誰も争わず、手を取り合って みんなで救われていく
- ひめな: それ自体はステキだけど… こぼれるものもあるよ…いろりん
- ひめな: …………キュゥべえ!
- いろは: ――っ!?
- キュゥべえ: 劣勢のようだね、藍家ひめな
- ひめな: どうせ、ずっと見てたんでしょ…
- キュゥべえ: もちろんだよ
- キュゥべえ: キミが考えていた予定からは どうも外れてしまったみたいだね
- ひめな: あなたが望んでいた通り、 もうひと波乱させたんだからさ
- ひめな: 自動浄化システムをいじって 私チャンのドッペルを出して
- ひめな: 今、支配してるのはアンタでしょ
- やちよ: なっ…
- みふゆ: 裏でキュゥべえと 繋がっていたということですか…
- ひめな: だけど、それはキュゥべえには ムリみが深い話かな…
- キュゥべえ: そうだね
- キュゥべえ: ドッペルによるエネルギー回収が 非効率的だとわかった以上
- キュゥべえ: 同じ条件下で魔女になったときの エネルギー回収量を調べるのは
- キュゥべえ: ボクにとって重要なことだからね
- キュゥべえ: キミがサンプルになるのは、 大歓迎だよ
- ひめな: あの小さなキュゥべえを イイカンジに使う方法を聞いたり
- ひめな: 割と私チャンたちは 良いタッグだと思ってたけど
- ひめな: そう、うまくはいかないか
- キュゥべえ: キミと組んだ覚えはないし
- キュゥべえ: ボクは最初からサンプルを もらうつもりだったよ
- ひめな: さすがに万事休すかなぁ…
- ひめな: いろりん…
- いろは: はい…
- ひめな: グリーフシードを使わないで みんな、殺しちゃうから
- いろは: …………
- ひめな: あの小さなキュゥべえは、 公民館の中で捕らえてある…
- いろは: ――っ!?
- ひめな: あの子がいれば環ういなしでも とりま大丈夫
- ひめな: ハブになってもらえばキモチと 自動浄化システムのコアになれる
- いろは: どうして…
- ひめな: 私チャンは死ぬけど、 いろりんのことは応援してる
- ひめな: だから、しぐりんたちを よろしくね
- ひめな: ぐっ…ぅ… もう、だめか…
- キュゥべえ: 限界がやってきたようだね
- ひめな: せめて、ちゃんと宇宙のために 役立ててよね…
- ひめな: じゃあね… しぐりん、はぐりん、教官、みゆりん
- ひめな: 今まで、ありがとう…
- ひめな: みわりんにはゴメンって言っといて
- ひめな: 後悔は多い、けど…ほんと…
- ひめな: サイッテーでサイッコーの青春だった
- ひめな: 私チャン頑張ったよ…ヒコ君…
- FILENAME: text_103105-18_32rIq.txt
- みんな: 「姫ーー!」 「藍家さーん!」 「姫様!!」 「姫様ーー!」
- ひめな: …サー…シャ?
- アレクサンドラ: いずれ、ひめちゃんは死ぬと 予言しておいて
- アレクサンドラ: 私はその結果を 変えてしまいました
- ひめな: なんなの…?
- ひめな: 浄化したってことは、 殺されるまで戦えってこと…?
- アレクサンドラ: 違います… 生かすために浄化したんです…!
- アレクサンドラ: 私はひめちゃんから逃げた… でも逃げるべきじゃなかった…
- アレクサンドラ: 過激になっていくあなたを 友だちとして叱るべきだった
- アレクサンドラ: 叱ってもダメなら、 ケンカをするべきだった!
- ひめな: でも今さらできることなんて…
- ひめな: 私チャンの前にあるのは、 否定されるだけの毎日なんだよ?
- アレクサンドラ: 時間はかかるかもしれないけど、 私が一緒に変えます…
- アレクサンドラ: ひめちゃんが暴走して、 耐えられなくなるって言うなら
- アレクサンドラ: その苦しみが癒えるまで 私がちゃんと受け止めます
- アレクサンドラ: だから、ひめちゃんの そばに居させてください
- アレクサンドラ: ひめちゃんがここで踏み止まって 平穏無事に終わらせてくれたら
- アレクサンドラ: それは、私にとっても かけがえのない希望になるんです
- ひめな: 本当に暴走して たくさんの人を殺そうとするかも
- アレクサンドラ: 私が止めます
- ひめな: ひどいこと考えるかも…
- アレクサンドラ: 私が叱ります
- ひめな: 耐えられなくて泣いちゃうかも…
- アレクサンドラ: 私が癒やします
- アレクサンドラ: それがひめちゃんに希望を与えた 私の責任だと思います
- アレクサンドラ: いえ、その言い方は違いますね… 友だちだから勝手にやるんです
- アレクサンドラ: 私はひめちゃんのマイメンだから
- ひめな: …………
- ひめな: 私チャンはみんなのことを 利用しようと思ってた
- ひめな: けど、ネオマギウスのみんなが 神浜市に残ってるってわかったら
- ひめな: ボタンを押せなくなった
- ひめな: そしてサーシャが来てくれて
- ひめな: 嬉しくて息ができないくらい 胸が苦しくなった…
- ひめな: もう、簡単に誰も傷つけることが できなくなっちゃった…
- ひめな: だけどいつ人の道を 踏み外すかもしれないから
- ひめな: そばにいて、サーシャ… それに、みんなも…
- アレクサンドラ: はい、ちゃんと支え続けます
- 燦: 今回のことも含めて、 裁かれるときは一緒に裁かれるわ
- 燦: そして許されるなら また、肩を並べて歩くつもりよ
- ひめな: ありがと
- ひめな: そして、ごめんねキュゥべえ
- ひめな: 魔女になるって約束してたけど、 生き残っちゃった
- キュゥべえ: 気にする必要はないよ 藍家ひめな
- キュゥべえ: ボクはあくまで この環境下で魔女になった場合の
- キュゥべえ: エネルギー回収量を 調べたかっただけだからね
- キュゥべえ: 今は自動浄化システムを 手に入れてあるから
- キュゥべえ: 効率的に魔女にする方法を 考えることにするよ
- ひめな: ほんと、食えないやつ
- ひめな: あと、いろりんもごめんね
- ひめな: ネオマギウスのみんなはさ、 やっぱ私チャンとマイメンだから
- いろは: 私は藍家さんが生きてくれるなら それで構いません
- ひめな: そっか、あざお
- ひめな: じゃあ、私チャンがしたことで すごく悪いんだけど…
- ひめな: とりま、この状況を解決して みんなを助けないといけないよね
- みふゆ: 月夜さんと月咲さんの反応です
- やちよ: あのふたりがいれば、 暗示を解くことができそうね
- みかげ: ふぅ…ひぃ… お姉ちゃんたち連れてきた…!
- 月咲: 月夜ちゃんがわかるって言うから ついてきたのにぃ…!
- 月夜: 災害で道が変わってるのは 考えてなかってございます…
- 月夜: あぁ!?
- 月夜: 放送まであと5分しか ないでございます!?
- みふゆ: 3人そろいましたね これから神浜市の人の暗示を
- ひめな: あ、ちょっと待ってくんない?
- みふゆ: なんですか!?
- ひめな: 敵だった私チャンが、 一番サガることをやってもらうの
- ひめな: つまり、一番効果的に 暗示を解いてもらうってこと
- ひめな: 深月フェリシア、こっち来て
- フェリシア: あ? なんだよ、こえーことする気か?
- いろは: たぶん大丈夫だと思う 手伝ってあげてフェリシアちゃん
- フェリシア: …いろはがそう言うなら…
- フェリシア: オレにひどいことすると、 やちよがダマってねーからな!?
- ひめな: もう、うるさいなぁ
- みふゆ: なるほど、 能力を合成するんですね
- ひめな: そういうこと!
- 月夜&月咲: 「何か入って来たでございます」 「何か入ってきたよ!?」
- ひめな: 深月フェリシアの忘却と 梓みふゆの幻覚をひとつにして
- ひめな: 神浜中の人の体調を戻しつつ、 今回の記憶が消えるようになった
- ひめな: 幻覚を上手く組み合わせれば
- ひめな: 都合の悪い事件の部分だけ 記憶を吹っ飛ばせるかもよ
- ラビの声: それでは、もうひとつ力を加えて 効果が確実に出るようにします
- ひめな: だれ…?
- アレクサンドラ: ラビちゃん!
- ひめな: サーシャの知り合い…?
- ラビ: はい
- ラビ: 神浜市の騒動が、 綺麗にまとまろうとしているなら
- ラビ: 何事もなく終わることが私の望み そして救いでもある
- 那由他: せっかくみかげさんに 場所を教えてもらったんだから
- 那由他: もう少し 素直になって欲しいですの
- ラビ: …………
- ラビ: とりあえず時間がないので 笛のおふたりの力を向上させます
- 月夜: な、なんでございますか!? すごく力が沸いてくるような…!
- 月咲: これ、 今ならすごい音が出せそうだよ!
- ラビ: 概念強化
- ラビ: 私の魔法でふたりの固有魔法と 合成された魔法が強くなりました
- ラビ: この夜に起きたこと全ての記憶が 消えるのは都合が悪いはず
- ラビ: メディアの人たちだけでも 今回の一件が消えてしまうように
- ラビ: 条件付けをしてみてください
- みかげ: お姉ちゃんたち、早く笛吹いて!
- 鶴乃: あと10秒だよ!
- ちはる: 急いで!
- みふゆ: お願いします!
- 月夜&月咲: はっ、はぃぃぃ!
- 月夜&月咲: で、ではっ…!
- 月夜&月咲: せーのっ
- FILENAME: text_103105-19_32rIq.txt
- かごめ: 水平線から顔を覗かせた朝の輝きが 神浜市を照らすとき、 博物館から放たれた音も一緒に町を包んだ。
- かごめ: 餓えと渇きにあえぐ人たちも、 事の真相を探ろうとしていた人たちも、 誰もが白昼夢を見ていたように 自分たちの身に何が起きたのかを忘れていた。
- かごめ: だけどネットワーク上には 神浜市の異変を示す膨大なデータが残されていて この半日に起きた理解できない状況を 改めて不自然な形で示していた。
- かごめ: 細部を覚えていない神浜市の人たちと 連絡を取り合っていた外の町の人たちとの間では 混乱が生まれたまま何も答えを出せずにいて
- かごめ: 最後に魔法少女という言葉を出そうとしていた ひめなさんの計画も失敗したので どこからも魔法少女を疑う言葉は聞こえてこない。
- かごめ: 日本中が持ちきりになっている話題の 真相を知る私と魔法少女たちは、 その詳細を語るわけにもいかずに口を閉ざし、 ただ、自分たちの生活を取り戻そうとしていた。
- かごめ: そう、キモチの石はすべてそろい、 キュゥべえに奪われた自動浄化システムを 奪い返す方法もわかった。
- かごめ: ようやく訪れた静かな時間の中で、 魔法少女たちは束の間の平穏を享受していた。
- かごめ: そして今日、 かつて私に魔法少女のことを広めることの 重要性を教えてくれた那由他さんのお父さん… 教授のおじさんに 私は会いに行くことになっていた。
- ひめな: (ごめんね、ヒコ君… 私チャンは逝けなかった…)
- ひめな: (今回の作戦が失敗するようなら 終わりにしようと思ったけど…)
- ひめな: 私チャンのことを必要としてくれて 私チャンも必要とするような仲間ができたから
- ひめな: 私チャンを叱ってくれて 一緒に泣いてくれて 未来に可能性を見出してくれる仲間もいるから
- ひめな: だから、あと少しだけ 私チャンに時間をちょうだい
- ひめな: ふたりの関係が認められるまで 焦らずに戦ってみるから
- ひめな: …………
- ひめな: うん…ありがとう…
- 時雨: ヒコ君との話は終わった…?
- ひめな: うん、とりまおけまるだって
- はぐむ: 良かったです
- うわ、またひめなが来てるよ
- てか、メッチャ引き連れて何…?
- 頭で声が聞こえる奴らの集い?
- ははっ、ウケる
- はぐむ: 藍家さん…
- ひめな: もう、あんなのに キレるような私チャンじゃないよ
- 燦: さて、次は光塚の公民館よ
- ミユリ: 使わせてもらった分は 片づけないとですね
- 時雨: 教官は大丈夫…?
- 燦: これからは青年会の人たちと、 足並みをそろえて歩いてみるわ
- 燦: そして火祭りを復活させるような 大人になってみせるの
- アレクサンドラ: あと、ひめちゃん スマホを買いに行きませんか?
- アレクサンドラ: ヤバみが深いアイテムだからって 捨てちゃいましたよね?
- ひめな: みんなを殺す機能が入ってたしね
- ひめな: でも、買いに行くにしても ママの怒りが収まってからかなぁ
- 樹里: そ、それでアオのやつ うどんをぶちまけたんだよ
- 智珠 らんか: ひっ、ひ~ ダメ、お腹痛い…
- アオ: それ、わたしが 赤ちゃんのころの話でしょ!?
- アオ: どうせ偽物の記憶なんだから 掘り起こさないでよ~
- アオ: 姉ちゃんがそのネタを出すなら 姉さまとのケンカの話
- 樹里: 樹里サマにイタい話はねーよ
- アオ: バイクに姉さまを乗せてたら
- 樹里: おい、それは卑怯だ
- アオ: サービスエリアに 姉さまを忘れて帰ってきて
- 智珠 らんか: うわ、えっぐ…
- 結菜: 懐かしい話をしてるわねぇ 忘れてないわよぉ
- 樹里: な、なんだよ 夢の話で怒るなよ…
- 樹里: で、なんの用だ
- 智珠 らんか: 話題を変えた…
- 結菜: これ、みかづき荘の七海さんから あなたにって
- 樹里: なんだこの封筒… 文通する趣味なんてねーぞ…
- ひかる: 窓ガラス割った請求書っすよ
- 樹里: なっ!?
- フェリシア: たっだいまーーーーー!
- さな: あぁ、なんだか懐かしい みかづき荘の香りがします…
- うい: うんっ
- うい: なんだか、みかづき荘も 待っててくれた気がするね
- いろは: ふふっ、そうだね
- いろは: まずは、しばらくあけてたから、 お部屋のお掃除とかしないと
- さな: 寂しい思いをさせた分は ちゃんとキレイにしないとですね
- いろは: ねっ
- いろは: やちよさん、 窓ガラスはどうですか?
- やちよ: キレイに元通りになってるし、 特に悪いところはなさそうよ
- やちよ: ガスや電気も通ってるから、 さっそく普通に生活できるわね
- やちよ: あ、そういえば請求書だけど 紅晴さんに渡してくれた?
- いろは: はい、今頃は大庭さんに 届いてると思います
- ダダダダダ!
- 鶴乃: どうも!いつも陽気な万々歳! 今日も元気に出前でっす!
- 鶴乃: みかづき荘への復帰 おめでとーございます!
- 鶴乃: withわたしに対しても!
- やちよ: ふふ、なにを言ってるのやら お父さんは無事だった?
- 鶴乃: うん、ピンピンして 今日も普通に営業してるよ
- いろは: これで、もうほとんどの家の 無事は確認できましたね
- フェリシア: 十七夜とみたまも 見つかったのか!?
- やちよ: いえ、まだふたりは 見つかってないわ
- フェリシア: マジか… キモチの石を持ってるし
- フェリシア: これじゃ8つそろわねーぞ…
- やちよ: 連絡はとれてるんだけどね…
- FILENAME: text_103105-20_32rIq.txt
- リヴィア: ったぁ!
- リヴィア: もうちょい丁寧に調整したってや こんなん死んでまうわ…
- ヨヅル: 大げさですね
- リヴィア: でた、心ないヨヅルの言葉…
- 月出里: ふんむむ…
- ヨヅル: 月出里も大げさだと 言ってますが…?
- リヴィア: あんまりケガせん人が、 消毒するときに痛がるんと同じや
- リヴィア: 普段はこのケアトレーラーの中で 戦いとは無縁やから
- リヴィア: いざというときにケガをすると、 こうなるんや
- ヨヅル: つまり大げさということですね
- リヴィア: せやな
- リヴィア: しっかし、あのふたりは いったいどこへ行ったんやろ…
- ヨヅル: 一緒に藍家ひめなの仕掛けを 防いだのは良かったのですが
- ヨヅル: 追いかけるにしても先生の体が ボロボロでしたので
- ヨヅル: そちらを優先するように 判断するしかありませんでした
- リヴィア: マニュアル通りの優しさで 結構なこった
- ヨヅル: それに、先生を調整したせいで 私と月出里も気分を悪くしました
- ヨヅル: 精神的に動ける状態では ありませんでした
- 月出里: ふむっ?!
- 月出里: ゥゥゥゥ…!
- リヴィア: 私の過去が見えて倒れるんなら ムリせんでええで…?
- リヴィア: 私が“悪そのもの”になるんを 願うような過去や…
- リヴィア: 気分も悪いやろ…
- 月出里: ふむ…ふむんふむんむんむむ、 ふむっむふむむん…
- ヨヅル: 早く治さないと 探しに行けないと申しております
- リヴィア: せやな
- リヴィア: 私らで追いかけなあかんな みたまと十七夜を
- かごめ: それじゃあ、皆さんの 答えは変わったんですか…?
- 太助: 神浜市で起きている キモチの石を巡る争いと
- 太助: 今回のネオマギウスによる 大規模な計画が
- 太助: 私たちが宇宙に縛られているかを 判断する指標だったからね
- ラビ: はい、湯国市で魔法少女の存在を 知らせようとしていたときは
- ラビ: 今回と比べても規模は小さかった
- ラビ: だから、全員が平穏無事とは いかずとも
- ラビ: 今の被害だけで済んだのは 私たちにとっての希望になった
- ラビ: 湯国市で多くが死んで傷ついた 過去を、必然や運命ではなく
- ラビ: 自分たちに責任があっても 偶然と思うことができるから
- かごめ: それで、少しずつ皆さんも 未来を見始めたんですね…
- 太助: 少なくともサーシャは、 ネオマギウスとの未来を見ている
- 太助: 今もここに姿がないからね
- かごめ: 嬉しいこと…ですよね?
- 太助: そうだね
- ラビ: それに未来を見ているのは サーシャだけじゃない
- 旭: 我は時女一族と共に真っすぐ 生きる未来を望んだであります
- うらら: ウチは結菜さんたちが生きてる 未来を望んだんよ
- ラビ: そして、私は那由他様や みかげさんたちと共に過ごす
- ラビ: 変わらない日々を望んだ…
- 太助: 魔法少女は救われない 宇宙の意思に飲まれてしまう
- 太助: そう考えていた私たちの心に 一筋の光が差し込んだからね
- かごめ: では、教授も魔法少女を 救うための活動に戻るんですか?
- 太助: うん
- 太助: 「魔法少女 その希望と絶望」の 下巻をまとめるよ
- 那由他: そして私はまたパパと一緒に 魔法少女のことを広めるんですの
- 太助: そこに、キミも加わってくれると 心強いよ佐鳥かごめ君
- かごめ: …そんな、ありがとうございます
- 太助: (だが、この胸騒ぎはなんだ…)
- 太助: (油断できないということか…)
- 太助: 確かに彼女たちが諦念に沈んでいったのも こうした高揚感に満たされているときだった
- 太助: まだ、気を緩めることはできない 見えざる敵は忘れた頃にやってくるはずだ
- かごめ: どうしたの、キュゥべえ…
- キュゥべえ: キミはもう自分の願いの形が 見えてるような気がしたんだ
- かごめ: ――っ!?
- キュゥべえ: どうやら、ボクの気のせいじゃ なかったみたいだね
- キュゥべえ: キミさえよければ すぐに願いを叶えてあげるよ
- かごめ: ううん、まだ大丈夫
- かごめ: 本当は今回の戦いの中で 願いを叶えようと思ってたけど
- かごめ: 今じゃないと思ったから
- キュゥべえ: どうしてだい?
- キュゥべえ: キミは他の魔法少女と比べると 強い因果を持っている
- キュゥべえ: 多くの魔法少女たちから 希望を委ねられてきたキミだから
- キュゥべえ: それだけの素質を キミは持っていると思うんだ
- キュゥべえ: 今回の件だって キミの願いで止められたはずだよ
- かごめ: それでも、私が魔法少女になると 悲しむ人がいると思ったから
- かごめ: 私が願いを叶えるときは 魔法少女の笑顔を作れるとき
- キュゥべえ: その笑顔を作る願いは どんな内容なんだい?
- かごめ: それは、秘密だよ キュゥべえ
- 御園 かりん: …………
- ―取材記録― 藍家 ひめな
- ひめな: 「んー、私チャンの望む未来ねー」
- ひめな: 「まぁ、ぶっちゃけて言うと 多すぎて絞れないって感じなんだよね」
- ひめな: 「絶対に鉄板でこれしか勝たんってのが やっぱりヒコ君の復活かな。 んで、ふたりでアオハルを満喫しまくって 同じ学校に進学はぶっちゃけムリだから やっぱ遠距離になんのかなぁ」
- ひめな: 「えっ、私チャン的に遠距離とか マジでムリみが深すぎるんだけど! だったらせめてヒコ君の近くの学校に通う!」
- ひめな: 「ちょっと待って!遠距離で近い…って! それってつまり…」
- ひめな: 「同棲とかワンチャンあるじゃん! ヤッバ、マジでヤバヤバのヤバなんだけど! 私チャン、ヒコ君のためにメッチャ料理頑張る」
- ひめな: 「あー、このままイイ感じに付き合って ヒコ君が卒業したら結婚して 子どもはふたりぐらいがいいのかなー 30歳とか40歳過ぎてもラブラブがいいけど ヒコ君シャイだから付き合ってくれるかなぁ」
- ひめな: 「えっ、何…ヒコ君」
- ひめな: 「うん…うん… 現実的じゃない話はやめようってなに!? 幸せな未来を描いてただけなのに!」
- ひめな: 「っていうか、 これまだ望む未来パートワンだよね!?」
- ひめな: 「まだ時間ある!? 話したいことメッチャあってさ!」
- ひめな: 「しぐりんとの話とか、はぐりんとの話とか 教官との話とか、みゆりんとの話とか みわりんもいるし他の羽根とかもさ。 いや、ホントいろいろありすぎなんだって!」
- ひめな: 「とりま、どれから聞きたいか教えて!」
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