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- ???
- ……ああ、もう。セイバー。
- 見知らぬ人にすぐ真名を明かしちゃうんだ、君は。
- ???
- 言ったじゃないか。話したじゃないか。
- 名乗るのならばせいぜいクラスにしておこう、って。
- ???
- わかるかい?
- 真名が露呈すれば性能が露見するのと同じだ。
- ???
- だからこそ、通常の聖杯戦争では
- 真名というものは秘匿されるものなんだ。
- ???
- それなのに、君というひとは
- 比較的気軽に真名を明かしてしまって……
- Mordred
- いいだろ、別に。とっくにこれは、
- おまえの言う[#聖杯戦争]なんかじゃないんだし。
- Mordred
- 英霊は七騎でも十四騎でもなければマスターもなし。
- なあ、シードルないか? のど渇いたぞ。
- ???
- あっ、それは僕お気に入りの個人用ソファ……
- いいけどね。シードルはもう冷やしてあるよ。
- Mordred
- 普及前だってのに冷蔵庫あるんだもんな、
- いいねえ、[#碩学:せきがく]さまってのは。
- ???
- 低温保存の必要がある薬品もあるからね。
- [#碩学:せきがく]にはまあ、必要なものではあるけど。
- Mordred
- はいはい。
- Mordred
- ……ん、ん、ぷはっ。
- あー、生き返る。[#魔霧:まきり]から上がったらコレにかぎる!
- Mordred
- ん
- Mordred
- なんだ、おまえら。
- ぼーっとしてないで適当にくつろげよ。
- Mordred
- ま、自分の家だと思っていいぜ。
- ここはオレの当座の拠点だ。
- Mashu
- あっ、はい……。
- 先輩、どうしましょう。良いんでしょうか?
- ?1:いいんじゃないかな
- ?2:そこの眼鏡の人、いいですか?
- ?!
- ???
- ……はは。まあ、うん、構わないよ。
- セイバーが信頼したなら君たちも同志のはずだし。
- ???
- 自己紹介がまだだったね。
- 僕は、ヘンリー・ジキルという。
- Jekyll
- ロンドンで[#碩学:せきがく]
- 科学者をしている。
- 正式な魔術師ではないが、霊薬調合の心得があってね。
- Jekyll
- 気付けば、あっという間に
- ロンドンはこの霧に覆われていてね。大変だったよ。
- Jekyll
- 霧が魔力を含んでいるところまでは突き止めたんだけど、
- どうにもできずに困っていたところ……。
- Mordred
- オレと出会った。
- で、協力関係を構築した。
- Mordred
- こいつ、魔術師としちゃ頼りないが
- まあ、一応それなりには役に立つからな。
- Mordred
- だから、主に実働はオレ。
- 調査と解析がこいつ。
- Jekyll
- そういうこと。
- Mashu
- あの
- すみません、ミスター・ヘンリー・ジキル?
- Mashu
- その名前は、ええと……
- Dr. Roman
- 小説の登場人物と同姓同名だね。偶然か?
- いや、それとも、そのモデルとなった人物だったり?
- Dr. Roman
- マシュ、サーヴァントの気配はわかるかい。
- こっちは駄目だ。屋内でもまるで屋外と同じだよ。
- Mashu
- わたしもです、ドクター。
- 気配では人間と区別が付きません。
- Jekyll
- まさか。僕は正真正銘、人間さ。
- サーヴァントだったら外に出て調査してるよ。
- Jekyll
- それに、何の話をしているんだい?
- 小説の話?
- Mashu
- ……はい。この年代から少し前に出版された書籍です。
- あなたと同姓同名の主人公が登場しています。
- Jekyll
- 覚えがないな。
- 僕、小説は結構読むほうなんだけど。
- Jekyll
- 主人公と名前も同じ? 本当に?
- うーん、それなら忘れるはずないんだけどな。
- Jekyll
- まあ、僕の名前は置いておこう。
- どこにでもある名前だしね。
- Jekyll
- 改めて、僕はヘンリー・ジキル。
- 故郷の都市が荒らされるのを止めたいだけの男さ。
- Jekyll
- それよりも、今は君たちだ。
- 君たちは僕らとは少し違うようだね?
- Mordred
- ふぅん。特異点、ね。
- Jekyll
- 世界に打ち込まれた七つのボルトのひとつ。
- それが、この時代のこのロンドン、という訳か。
- Mashu
- はい。そしてわたしたちは、
- 特異点の原因であると思われる聖杯を探しています。
- Jekyll
- そちらの事情はおおむね理解したよ。
- では、僕らの知るかぎりでの、都市の状況を伝えよう。
- Jekyll
- およそ三日前から、夜毎に、
- 生物の命を奪うほどの霧が都市に満ちている。
- Jekyll
- 霧が薄い場所ならなんとか、
- マスクで覆ったりすれば死ぬことはないだろう。
- Jekyll
- でも、濃い場所は駄目だ。
- 吸い込んだだけで通常の生物は魔力に侵されてしまう。
- Jekyll
- 素質や体質によるだろうけれど、
- ひどければ、一時間もすれば死んでしまう。
- Jekyll
- 正確な数はわからないが、
- 僕の試算では数十万単位で死亡者が出ているはずだ。
- Jekyll
- 既に、完全な廃墟と化した地区もある。
- イーストエンドはほぼ全滅している。
- Jekyll
- 都市の全てが完全な廃墟と化すのも、
- もう時間の問題だろう。
- Jekyll
- すべて、あの霧が原因だ。
- あまりに濃厚な魔力を帯びた常ならざる濃霧
- Jekyll
- 仮に僕らは、
- これを魔霧と呼んでいる。
- Mashu
- 死の霧に覆われるロンドン……。
- 二十世紀に発生するはずの事件に少し似ていますね。
- Dr. Roman
- 一世紀ずれてる、のか……?
- それが特異点になっている……んだろうけど……
- Dr. Roman
- 二十世紀の事件もこちらで調査しておこう。
- 都市ひとつで済むと思いきや、色々とややこしそうだ。
- Jekyll
- 魔霧だけではないよ。
- 君たちも、遭遇、戦闘をしたはずだね。
- Jekyll
- この三日間
- 魔霧に加えて、
- ロンドンには他にも脅威の類が満ちている。
- Jekyll
- 魔霧に紛れて凶行を繰り返すものたちだ。
- 魔術で形作られた[#自動人形:オートマタ]、殺人ホムンクルス……
- Jekyll
- [#不明の怪機械:ヘルタースケルター]
- Jekyll
- そして、連続殺人鬼。
- [#切り裂きジャック:ジャック・ザ・リッパー]と報道されていたものだ。
- Mashu
- 報道……ですか?
- Jekyll
- ああ、魔霧発生の初日はまだ、
- 新聞が発行されていたから……もう、届かないが。
- Jekyll
- [#ロンドン警視庁:スコットランドヤード]も政府も、
- 当然ながら事態を把握できていないようだ。
- Jekyll
- 実質的には、既に政府機能は麻痺しつつある。外からの救援も魔霧に阻まれ、ロンドンは孤立状態だ。
- Jekyll
- 早くも、発生から三日。
- 閉じこもった市民も長くは保たないだろう。
- Jekyll
- 魔霧は屋内には入り込まない性質がある、が、
- 水や食糧がなくなれば、ロンドンは全滅だ。
- Dr. Roman
- ……酷いな、事態は急を要するようだね。
- では、ミスター・ジキル。モードレッド。
- Dr. Roman
- ボクらからの提案だ。
- 事態の発生源と思しい聖杯の探索に協力して貰いたい。
- Jekyll
- こちらとしては願ったり叶ったりだ。
- なあ、セイバー?
- Mordred
- いいぜ。
- それが最善、みたいだしな。
- Dr. Roman
- 良かった、実に助かる!
- 二重の意味で!
- Dr. Roman
- と言う訳で
- マシュ、[%1][&君:ちゃん]!
- 運の良いことにこのアパルトメントは[#霊脈の上]にある!
- ?1:はい?
- ?2:ターミナルポイントを設置できるね
- ?!
- Fou
- フォーウ!
- Mashu
- はい、先輩。フォウさん。
- この部屋で召喚サークルを確立させることが可能です。
- Mashu
- もしかして、ジキルさんは
- 霊脈の存在を知った上で工房を作られたのですか?
- Jekyll
- いいや、僕は正規の魔術師じゃないから、
- ここは魔術工房って訳じゃない。ただの自室だよ。
- Jekyll
- ともあれ自由に使ってくれて構わない。
- 何をするんだい?
- Dr. Roman
- 霊脈上にサーヴァントの召喚サークルを確立させて、
- [%1][&君:ちゃん]とマシュの戦力を底上げする。
- Dr. Roman
- サークルを経由したサーヴァントたちは必ずしも
- 常時行動って訳じゃないけど戦闘時には大いに役に立つ!
- Dr. Roman
- と言う訳で!
- 確立開始といこう!
- Mashu
- 了解です。
- ターミナルポイント、作成します
- Da Vinci
- と言う訳で。
- サークル確立の間の暇潰しを私がしてあげよう。
- Da Vinci
- 以前、サーヴァントのクラス相性について話を
- したけど、今回はその延長といこう。
- Da Vinci
- 英霊にはそれぞれ逸話があるように、
- どのように生まれたものか、という分類があるんだ。
- Da Vinci
- それが天・地・人の三属性。
- たいていのサーヴァントはこのいずれかに分類される。
- Da Vinci
- 天は神霊が英霊にランクダウンしたもの、
- あるいは神の子や、伝承の具現化。
- Da Vinci
- 地はその土地に定着した伝説の英雄、
- 妖精や魔獣もこのカテゴリに入る。
- Da Vinci
- 人はいわゆる実在した英雄偉人たちだ。
- 例えば私がそうだね。実在した偉大なる[#芸術家:アーティスト]。
- Da Vinci
- 天は地に強く、人に弱い。
- 地は人に強く、天に弱い。
- Da Vinci
- そして人は天に強く、地に弱い。
- Da Vinci
- ……人は神を信仰する。だが、その一方で神は
- 信仰されなければ、「存在しないもの」になる。
- Da Vinci
- 土着の英雄や妖精などは信仰など無関係だ。
- けれどその一方で、彼らは自分を作り出した神に敵わない。
- Da Vinci
- ……そして。この三属性に含まれない、
- 特殊な英霊も希に存在する。
- Da Vinci
- 例外中の[#例外:エクストラ]。
- それこそが
- 星の英霊たちだ。
- Da Vinci
- 天でもなく、地でもなく、人でもなく。
- しかして天の下、地に在って、人から生まれしモノたち。
- Da Vinci
- 星のサーヴァントたちは天・地・人の三すくみには
- 一切関わりがない。何せ例外だからねえ。
- Da Vinci
- とはいえ、所詮は単なるカテゴリ分け。
- Da Vinci
- クラス相性ほどの効果はでないから、
- わざわざ作戦に組み込むほどの話じゃない。
- Da Vinci
- ……っと、こんなところで今回は終わり。
- 召喚サークル確立完了。この時代でも頑張ってね!
- Dr. Roman
- ありがとう、ダ・ヴィンチちゃんありがとう!
- 今回もありがとう!!
- Jekyll
- 今の、誰だい?
- 綺麗な人だったけど……実体じゃなかったのかな?
- Fou
- フォウ、フォーウ!
- Jekyll
- ??
- Mordred
- ……ん。こいつどっかで見覚えあるな。
- 幻想種か?
- Fou
- フォ、フォウウゥ……
- Mashu
- フォウさん??
- Jekyll
- アフリカあたりの稀少動物じゃないのかい?
- それよりも、セイバー。そしてマシュ、[%1]。
- Jekyll
- 早速だけど
- 君たちに頼みたいことがある。
- Mordred
- 戻ったと思ったらまた魔霧の中か。
- やれやれだな。
- Mashu
- すみません、案内を頼んでしまって。
- わたしたち、ロンドン市街にはまだ不慣れで。
- Mordred
- あー、いいって、気にすんな。
- おまえらが来なければ、オレの仕事だったんだ。
- Mordred
- むしろ礼を言っとくぜ。
- 悪いな。あやふやな話に付き合わせて。
- Mashu
- いえ、モードレッドさん。そんなことは……
- Dr. Roman
- ジキル氏の協力者の一人、スイス人[#碩学:せきがく]、
- フランケンシュタイン氏の保護、か。
- Dr. Roman
- 何でも今朝から連絡が取れないらしいね。
- 普段、君たちは無線で連絡を取り合っているのかい?
- Mordred
- ジキルがな。奴の情報網なんだとさ。
- オレはよくわからん。
- Mordred
- 都市のあちこちに協力者がいて、
- そいつらとしょっちゅう無線でやり取りしてるぜ。
- Mordred
- ヴィクターのじいさんは、
- 昨日までは少なくとも無事だったんだけどな。
- Dr. Roman
- ヴィクター・フランケンシュタイン、か
- またも小説の登場人物と思いきや[#血縁者]とはね。
- Mashu
- あの小説のモデルとなった魔術師の孫、
- というのがミスター・ジキルのお話でしたね。
- Mashu
- 確かに、意外でした。[r]メアリ・シェリーの小説の描写では……。
- Mashu
- フランケンシュタイン博士は科学者でした。
- けれど、モデルとなった人物は実在の魔術師だった。
- Mashu
- 事実は小説より奇なり、
- という極東の慣用句を想起しますね。
- ?1:そんなに変かな
- ?2:科学者と魔術師はそんなに違う?
- ?!
- Mashu
- はい。本来であれば、
- 魔術は科学とは相反する技術ですから。
- Mashu
- カルデアの存在はきわめて例外的ですし、
- そう考えれば、やはり、世界的・歴史的には
- Dr. Roman
- ああ、うん。でもね。例外は何にでもある。
- ある時代では、科学と魔術はほぼ同義だった。
- Dr. Roman
- 神代なり古代なりではなくてもね、
- たとえば、錬金術は化学の源流であるとも言うし。
- Dr. Roman
- 高名な科学者、化学者、学者として知られる人間が
- 魔術師であった例は結構あるよ。
- Dr. Roman
- そもそも、ほら。
- ダ・ヴィンチちゃんだってそうだし。
- Mashu
- あっ
- Da Vinci
- ん。呼んだ?
- Da Vinci
- ああ、科学と魔術の話。
- 私は駄目だよ。だって、ね。
- Da Vinci
- 私、万能だから。
- 誰とも比較できないね。残念だね。じゃあね。
- Mashu
- あっ。通信途絶しました。
- ?1:何なんだあのひとは
- ?2:ダ・ヴィンチちゃん自由すぎるよ…
- ?!
- Mashu
- はい……。
- Mordred
- ソーホーあたりはもうすぐだ。
- おまえたち、気を抜くなよ。そろそろ来るぞ。
- Mordred
- ジキルのアパルトメントがある
- シティエリアの端は、比較的に穏やかだけどな。
- Mordred
- このへんになると、駄目だ。
- 連中の縄張りだ。
- Dr. Roman
- 確かにそのようだ。
- 動体反応が多数。戦闘になるな、警戒したまえ!
- Mashu
- はい。マスター、指示を!
- ==
- Mordred
- ……ったく。
- また来たぞ。宝具を好き勝手にぶっ放せりゃあな。
- Mashu
- ここは街中です。
- すみませんが、短気は抑えて下さい。
- Mordred
- わかってるよ盾ヤロウ。
- ああもう、何か、おまえに言われると変な気分だ。
- Mashu
- 待ってください。
- 盾ヤロウ、とはわたしの事でしょうか……!?
- Mordred
- あー? だって盾ヤロウだろ、おまえ。
- 盾で守って、盾でぶん殴ってるんだから。
- Mordred
- それとも盾オンナの方がいいか?
- どっちでもいいぞ、オレは。
- Mashu
- ……いいです。
- 盾ヤロウ、でお願いします……
- Dr. Roman
- 敵はどうやら左右からの挟撃を狙っているようだ。
- 右は頼めるかな、セイバー・モードレッド?
- Mordred
- 任せろ。
- いつもは全部ひとりでやってた。
- Mordred
- そっちの準備はいいか、[%1]?
- ?1:ああ、任せ[&ろ:て]!
- ?2:左の敵を叩く!
- ?!
- Mashu
- 了解です。敵性体との戦闘を開始します!
- ==
- Mashu
- ……あの。
- 少しだけお話、良いでしょうか。
- Mashu
- …………ええ、と。
- Mordred
- 何だ。ハッキリ言え。
- 言いたいことがあるならまず言えって。
- Mashu
- ……はい。
- Mashu
- あなたに質問があります。
- あなたは、何故、ここで戦っているのですか?
- Mashu
- ミスター・ジキルは故郷の都市を守るため、と。
- では、あなたは何のために
- Mordred
- もう言っただろ?
- 父上の愛した[#ブリテンの都市:ロンディニウム]の危機に馳せ参じた。
- Mashu
- ええ、と……その……
- Mashu
- はい。出会った時、既にそのお話は聞いています。
- それはそうなんですが……
- Mashu
- 怒らないで聞いて欲しいんですが、
- 何故か、私……何か……違うような気がして。
- Mordred
- ……ったく。
- Mordred
- わかったよ。
- ジキルにも言ってねえんだけどな、コレ。
- Mordred
- オレは
- Mordred
- ああ、[#そう]だ。このオレは、
- オレ以外の奴がブリテンの地を[#穢:けが]すのを許さねえ。
- Mordred
- [#父上:アーサー王]の愛したブリテンの大地を穢していいのは、
- このオレだけだ。それだけは、他の誰にも任せやしない。
- ?1:……。
- ?2:歪んでる……
- ?!
- Mordred
- ん? なにか言ったか?
- ?1:いいえ、何も
- ?2:いいえ、特に
- ?!
- Mordred
- 言いたいことあるならハッキリ言えっての。
- ま、ともかく、だ。
- Mordred
- 安心しろ。
- 見付けた聖杯はおまえたちにくれてやるぜ。
- Mordred
- やっぱオレも欲しい
- なんて言わねえし、言っても意味ないだろうしな。
- Mordred
- オレは叛逆の騎士モードレッド。
- でもな、今回は特別に守る側に回ってやる。
- Mordred
- 実際ちょっとは迷ってたんだけどな。
- おまえらと会ってスッキリできたぜ。
- Mashu
- それは、どういう……?
- Mordred
- ようやく持ち主に相応しいのがやってきたってコト。
- 聖杯はくれてやるよ。
- Mashu
- ??
- Mordred
- お喋りはこのへんで終わりだ。
- この話題、蒸し返すなよ。
- Mordred
- あと少しで屋敷ってトコで、また敵が来やがった。
- さて。んじゃ、バラバラにしてやるか!
- Dr. Roman
- モードレッドの感知能力は凄いなあ。直感スキルか?
- こちらも敵性反応を確認、第一波から三波まで来るぞ!
- Mashu
- 了解しました。
- マスター、指示をお願いします!
- ==
- Mordred
- よっし、到着したな。
- このでかい建物がヴィクターじいさんの屋敷だ。
- Mordred
- ジキルみたいな半端な奴とは違って
- 正真正銘の魔術師だから、気を付けろよ。
- Mordred
- あれこれと結界やら何やら仕掛けてやがって、
- 知らずにあちこち触ると、サーヴァントでも多少痛い。
- Mordred
- 初めて様子を見に来た時は、
- そりゃあもう、さんざんな目に遭った。
- Mashu
- そうなんですね。
- はい、わたしも気を付けます。
- Dr. Roman
- 市街地にそんなデス・アトラクション工房を……。
- なかなか、肝の据わりすぎた用心深い老人らしいね。
- Mordred
- まずは入口の扉だ。
- ほら、見ろよ。でかい扉の
- Mordred
- クソ、遅かったか。
- Mashu
- 建物の入口に誰か……。
- 背の高い、あの人影は……[#道化師:ピエロ]……?
- Mordred
- おい、そこのカカシ。それともリビングスタチューか?
- どっちでもいいや。おまえさ、
- Mordred
- アホみたいに匂うぞ。
- 血と臓物と火の匂いだ。
- Mordred
- 後、じいさんの好きだった元素魔術の触媒。
- ここまでぷんぷん匂ってくる。
- Mordred
- 殺したな、おまえ。
- ヴィクター・フランケンシュタインを。
- Mephistopheles
- ええ、はい
- ああいえ、どうでしょうか。少しお待ち下さいませ。
- Mephistopheles
- 確かに、確かに。かの[#老爺:ろうや]は二度と口を開かず
- 歯を磨かず物を食べず、息をしないでしょうけれど。
- Mephistopheles
- ええ、ええ。
- 有り体に言えば絶命しているのでしょう。
- Mephistopheles
- 残念なことです。
- 彼は「計画」に参加することを最後まで拒んだ。
- Mephistopheles
- しかししかし。だが、けれどもしかし。
- 誰がヴィクター・フランケンシュタインを殺したか?
- Mephistopheles
- それはとても難しい質問かも知れません。
- 何故なら、彼は[#ひとりでに爆発した]のですからね!
- Mashu
- ……ッ!
- Mephistopheles
- おやおや。
- 美しいお嬢さんを怖がらせてしまいましたか?
- Mephistopheles
- これは失礼いたしました。
- わたくし、見ての通りの悪魔でございます[line 3]
- Mephistopheles
- というのは冗談でして、
- ご期待に背くようで残念ですが、英霊にございます。
- Mephistopheles
- 貴方様と同じくサーヴァント。
- クラスは、キャスターにてございます。
- Mephistopheles
- ……おや?
- おやおや皆様、おわかりでない?
- Mordred
- もういい。黙れ。
- Mephistopheles
- いえいえ、おわかりでしょう。
- 何故わたくしがこうも容易く真名を明かしたか?
- Mephistopheles
- この聖杯戦争ならぬ聖杯戦争では道理というもの。
- 少なくとも、そちらのお嬢さんはおわかりでしょう!
- Mephistopheles
- 遭遇、すなわち即座の総力戦!
- 我らはマスターなきサーヴァントなれば
- Mephistopheles
- およそ地上に在って最強の戦力と呼べましょう。
- しかし……
- Mephistopheles
- そちらには哀れにもマスターがいる模様。
- ようくお守りなさい。でなければ、あっという間に……
- Mordred
- 御託はいい。
- そのニヤけた口元を今すぐに[#止:や]めろ。
- Mephistopheles
- はい?
- Mordred
- ニヤニヤニヤニヤと! 鬱陶しいんだよ!
- ジジイを[#殺:ヤ]るのがそんなに[#楽しかった]のか!
- Mephistopheles
- まあ、ええ
- Mephistopheles
- 我らの「計画」を阻む者なれば、まあ、言ってみれば仕事のようなものでしたので。
- Mashu
- 計画……?
- Mephistopheles
- ねばならない、というのは、また、
- これでなかなかに厄介なもの。ええ、実に。
- Mephistopheles
- ですがそれでも、極力、楽しむ。
- 仕事を楽しむ。そのためにあれこれ苦心しましたから。
- Mephistopheles
- 最後の瞬間のあの、表情。
- 生から死への切り替わりを理解してしまった人間の顔!
- Mephistopheles
- 絶望!
- 嘆き! ああ! それこそが!
- Mephistopheles
- というわけで、まあ、ええ
- Mephistopheles
- 退屈しのぎ、程度には?
- なりました、でしょうか?
- Mordred
- ……そうか。
- Mordred
- 移民だろうが何だろうがあのジジイもブリテンの民だ。
- いいか、それを、テメエは……。
- Mordred
- 無断で[#オレのもの]に手を出した。
- 後はわかるな?
- Mephistopheles
- はて?
- Mordred
- おまえを殺す、って言ってんだよ。道化野郎!
- Mephistopheles
- いやはやなかなか!
- 殺しますか、私を! 殺せますか、私を!
- Mephistopheles
- 貴方様は血の気の多いお人であるようだ!
- よろしい、ええとも、ではご期待には応えましょう!
- Mephistopheles
- せいぜい、爆発にはお気を付けくださいませ!
- 我が宝具は既に[#設置済み]!
- Mephistopheles
- 我が真名メフィストフェレスの名に懸けて!
- 皆様を面白可笑しく絶望に叩き込んでくれましょう!
- Dr. Roman
- 仕掛けたって、何をだ!?
- くそ、霧のためか奴の能力なのか、感知不可能!
- Mashu
- マスター、敵性サーヴァントが来ます!
- どうか指示を
- ?1:奴を、倒せ!
- ?2:宝具に注意しながら戦おう!
- ?!
- Mashu
- …………はい!
- ==
- Mephistopheles
- 実に、実に……口惜しい……!
- 今回の現界ではそれほど楽しめませんでしたね……。
- Mephistopheles
- やはり、マスターは必要なのでしょう……。
- そう、マスターとサーヴァントとの絆の力が……。
- Mephistopheles
- どうこう……。
- では、なくて。ええ、そうではなくて。
- Mephistopheles
- 切なる願いを叶えると決めたマスターに、
- 子供一人くらいは手に掛けさせなくては、ね。
- Mephistopheles
- 聖杯戦争の醍醐味を味わえないというもの。
- ああ、貴方様が妬ましい……盾のサーヴァント……。
- Mephistopheles
- 貴方は、これから先、幾度でも……。
- マスターを裏切り、絶望へ落とす機会がある……!
- Mephistopheles
- なんと……妬ましい……!
- Mordred
- 黙れ。
- Mordred
- ……なにか見付かったか?
- Mashu
- はい。博士の遺したメモが。
- これを書いている最中に、襲われたようです。
- Mordred
- そっか。
- 最期まで締まらねえじいさんだったぜ。まったく。
- Mashu
- ……読み上げますね。
- Mashu
- 『私はひとつの計画の存在を突き止めた。
- 名は「魔霧計画」。実態は、未だ不明なままだが』
- Mashu
- 『計画主導者は「P」「B」「M」の三名。
- いずれも人智を超えた魔術を操る、恐らくは英霊だ』
- Mordred
- 「M」ってのはさっきの奴か?
- まあ、持って帰ってジキルにも読ませよう。
- Mordred
- で。だ。
- オレもひとつ面白いものを見付けたぞ。
- Mordred
- おい、こっち来い。
- ???
- ……ゥ。
- Mashu
- ……女の子?
- ?1:ツノがあるね
- Mashu
- ありますね。ツノ……。
- ?2:人間かな? サーヴァント?
- Mashu
- どうでしょう。
- それは、本人に尋ねてみるのが良いでしょうね。
- ?!
- Mashu
- あなたは人間ですか?
- それとも、わたしたちと同じサーヴァント?
- ???
- ……ゥゥ。
- Mashu
- ?
- Dr. Roman
- んー、こちらでは判別できないな……
- 生体反応と動体反応までしか判らない。
- Dr. Roman
- 魔霧による感知関係の影響は屋内にも及ぶようだ。
- マシュはどうだい?
- [charaFace A 4]
- Mashu
- わかりません、わたしにも。
- モードレッドさんは、どうですか?
- Mordred
- 気配だけじゃなんとも言えないな。
- ま、外の魔霧のせいだろ。
- Mordred
- で、こいつが何なのかって?
- そんなのサーヴァントに決まってるだろ
- Mordred
- って言いたいとこなんだがな。
- ……オレの記憶じゃそのはずだったし……。
- Mordred
- まあ、うん。
- こいつは人造人間。らしい。
- Mashu
- 人造、人間
- ですか。
- Mordred
- 奥の部屋の棺に入ってたんだけど。
- 説明書きがくっついてたんだよ。ええとな。
- Mordred
- 祖父ヴィクター・フランケンシュタインの制作した
- 一体目の人造人間、だったかな。
- Dr. Roman
- フランケンシュタインの怪物、だね。
- でも、小説に依れば最後は燃え尽きていたような?
- Dr. Roman
- ボクの声は聞こえるかな。
- ええと、君は、フランケンシュタインの怪物かい?
- ???
- ……ゥゥ、ァ……ゥゥ……。
- Mordred
- ん?
- Mashu
- 言語機能が備わっていないようですね。
- でも、どことなくわかります。
- ???
- ……。
- ……。
- Mashu
- 名前、でしょうか。
- 怪物
- という呼称ではやっぱり嫌ですよね。
- ???
- ……ゥゥ。
- ?1:じゃあ、フラン、でどうかな?
- ?!
- ???
- ……ゥ……。
- Mashu
- あ、喜んでいるみたいです。
- じゃあ、あなたはフランさん、ですね。
- Fran
- ……ゥ……。
- Mashu
- あなたは人造人間……で合っていますか?
- Fran
- ……ゥ、ゥ……。
- Mordred
- サーヴァントじゃない、か。
- あー、成る程。[#生前]ってことなのか?
- Mordred
- やっと合点がいったぜ。
- そっか、そりゃあ見た目で分からない訳だ。
- Mashu
- ?
- Mordred
- いいや、こっちの話。
- Mordred
- ここに置いといても何だし、
- 取りあえず、ジキルのとこに連れて帰ろうぜ。
- Fran
- ……ゥ、ゥ……。
- Mordred
- お前の主人はもうここにはいない。
- だから、まあ、お前は何処に行ってもいいんだ。
- Mordred
- 取りあえずジキルのとこに置いてやる。
- 行くぞ。人造人間なら、魔霧の影響はないだろ。
- Mashu
- そう……でしょうか。
- そうとは限りません。危険な行為です。
- Mordred
- 大丈夫だって、こいつ呼吸してねーもん。
- な。フラン。
- Fran
- ……ゥ。
- Mordred
- ほらな。頷いてる。
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