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Yachiyo (Historia ver.) MSS JP Text

Aug 17th, 2023
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  1. FILENAME: text_315021-1.txt
  2. やちよ: 1日…また1日…
  3. やちよ: いろはたちが姿を消した“あの日”から 私は朝を迎えるたびに 心にできた隙間に触れている
  4. やちよ: 月日を指折り数えているうちに 少しずつ隙間は埋まるものかもしれないけど まだ、その日を迎える未来を 私は想像できない
  5. やちよ: それは、私に限った話じゃない
  6. やちよ: みかづき荘のみんなも 神浜市のみんなも いろはたちと出会った人たちはみんな
  7. やちよ: 多かれ少なかれ 同じ想いを背負っていると思う
  8. やちよ: (そして、夜が明けるたびに 思い知るのよね…)
  9. やちよ: (魔法少女以外のみんなが “いろは”を忘れている現実を)
  10. やちよ: ――っ!?
  11. やちよ: 「いろは…?」
  12. フェリシア: ふぉふぁよぉ~
  13. やちよ: おはようじゃないわよ 急がないと遅刻…
  14. やちよ: って、まだパジャマ!? 早く着替えて!
  15. さな: フェリシアさん…! 食事は置いておきますね…!
  16. やちよ: さなは、そろそろ出かける?
  17. さな: はい、今なら始業のチャイムまで 少し余裕があるので…
  18. やちよ: わかったわ
  19. やちよ: というわけで フェリシアも早く!
  20. フェリシア: 1日遅刻したって、 誰も死んだりしねーよ
  21. やちよ: 怒るわよ?
  22. フェリシア: いろは風のハンバーグを 夕飯にしてくれたら頑張る
  23. やちよ: わかったわ、今度ね
  24. フェリシア: おっしゃ! それじゃあ、約束な!
  25. さな: …………
  26. やちよ: …行かないの?
  27. さな: あ、はい 行ってきます!
  28. 鶴乃: よぉし、フェリシア! 学校に出発だー!
  29. フェリシア: 学校ちげーのに なんで来たんだよ
  30. 鶴乃: やちよが2限目からなのを 忘れちゃってて…
  31. 鶴乃: あとは、やっぱり 前の名残、みたいな感じかな…?
  32. 鶴乃: いやあ、ドジだよねぇ
  33. フェリシア: 別に、いろはもういも 学校一緒だったし、仕方ねーよ
  34. フェリシア: あ、そういや今日さ
  35. フェリシア: やちよがいろは風の ハンバーグ作ってくれるんだぞ!
  36. やちよ: 今度よ今度 今日なんて言ってないからね?
  37. フェリシア: え、マジか…!
  38. 鶴乃: ふふっ
  39. 鶴乃: ただ、作ってくれたとしても やちよにあの味が出せるかな?
  40. やちよ: あら、私にだって作れるわよ
  41. やちよ: それより、ふたりとも 遅刻するわよ
  42. 鶴乃: おっと! それじゃあ、行ってきます!
  43. フェリシア: んじゃなー!
  44. やちよ: はあ…
  45. やちよ: (いろはがいなくなった影響は やっぱり大きいわね…)
  46. やちよ: (フェリシアはわからないけど 鶴乃とさなには影が落ちてる…)
  47. やちよ: (十七夜とみふゆに聞いた話だと 他の人も沈んでるみたいだし)
  48. やちよ: (まだまだケアをする必要が ありそうね…)
  49. やちよ: どうすればいいのかしらね…
  50.  
  51. FILENAME: text_315021-2.txt
  52. やちよ: …これで全部かしら
  53. やちよ: ごめんなさい、ありがとう すごく助かったわ
  54. ううん、どういたしまして
  55. ノートを見せて欲しいって 言われた時はビックリしちゃった
  56. 七海さんって何でもしっかりと こなすイメージだったから
  57. やちよ: なんだか考えごとばかりして 講義が入ってこなかったのよ…
  58. もしかして、彼氏…? 一緒に住んでるっていう…?
  59. やちよ: 突っ込んだこと聞くじゃない
  60. やちよ: というより 根も葉もない噂を信じないで
  61. やちよ: 住んでるのは女の子よ? それも中学生のね
  62. やちよ: だから、そうね…うーん… 姉妹への悩みってところかしら…
  63. ピロン♪
  64. ももこ: 鶴乃から聞いたんだけど やちよさん昼まで講義なんだろ? 良かったらお昼休み みんなで弁当にしないか?
  65. やちよ: 私の方が早く着いちゃったわね
  66. やちよ: (ついこの間までは、いろはも ういちゃんも居たのにね…)
  67. やちよ: …………
  68. やちよ: (…良くない 気持ちを切り替えないと…)
  69. ももこの声: ちょ、待て!レナッ!!
  70. やちよ: ――っ!?
  71. かえでの声: 逃げないでよ、レナちゃん!
  72. やちよ: え…
  73. やちよ: …った!
  74. レナ: どいて、やちよさん!
  75. やちよ: そう言われても困るわよ ももこが追って来てるじゃない
  76. レナ: だからどいて欲しいの!
  77. やちよ: 事情を聞かせて
  78. かえで: はぁ、やっと追いついたよぉ…
  79. ももこ: サンキュ、やちよさん… 変身で撒かれたと思った…
  80. やちよ: …それで、どういうことなの?
  81. かえで: レナちゃんがクラスで 暴れて叫んでたみたいでね…
  82. かえで: それで職員室に呼ばれたのに 逃げちゃったんだよ…
  83. レナ: …………
  84. やちよ: 一方的にレナが悪く聞こえるけど 何か事情があるんでしょ…?
  85. レナ: 意味がわかんない… どうしてそんな平気なの…?
  86. やちよ: 平気ってなんの話…?
  87. レナ: いろはが消えて… レナたち以外忘れてんのよ…!?
  88. レナ: ほんと、悪い冗談みたいで 変なイジメみたい…!
  89. レナ: みんな気持ち悪くないの…!? なんで平気な顔してんの…!?
  90. やちよ: 私たちが… 私が平気に思える…?
  91. レナ: …っ
  92. レナ: …ごめんなさい ホントはわかってた…
  93. レナ: みんな、口にしないだけで レナと想いは同じなんだって…
  94. レナ: だけど、レナはみんなみたいに 抑えられない…
  95. レナ: この気持ち悪さを抱えることも 発散することもできないの…
  96. かえで: …わかるよ レナちゃんが言うこと…
  97. かえで: でも、私たちは魔法少女みんなで つらさを分かち合えるんだよ…?
  98. かえで: いろはちゃんが、自分だけ ういちゃんを覚えていたときって
  99. かえで: 誰とも分かち合えないから ひとりで頑張ってた…
  100. ももこ: そう思うと、アタシらは覚えてる 仲間が多いからマシな方だよ
  101. ももこ: 弱音を吐いて泣いてたら 自分が情けなくなるよ
  102. レナ: だからって、 今のままでいいの…?
  103. レナ: 教室で大声出したのは謝るけど… 少なくとも今のままはイヤ…
  104. レナ: せめて、救ってくれた代わりに いろはに何か返したい…
  105. レナ: アイツばっか頑張って 体も張って消えちゃったのに
  106. レナ: 何もできないなんて 悔しいじゃない…
  107. やちよ: ありがとう、レナ それにごめんなさい…
  108. やちよ: 確かに私は納得したフリをして 諦めていたのかもしれない…
  109. やちよ: 私たちにできることは何か みんなで一緒に考えましょう
  110. ももこ: レナの気持ちはわかったよ ただ、職員室には顔を出しとこう
  111. かえで: うん、私も一緒に行くから
  112. レナ: …でも、叫んだ理由なんて どう説明すればいいのよ
  113. ももこ: 道すがら一緒に考えてやるよ
  114. かえで: うんっ
  115. ももこ: というわけで、 誘っといて悪いんだけどさ…
  116. やちよ: お昼のことなら気にしないで
  117. ももこ: どっかでまた埋め合わせするよ!
  118. やちよ: (私たちが覚えていればいい そう思ってたけど…)
  119. やちよ: レナの怒りはどこから来たのか…
  120.  
  121. FILENAME: text_315021-3.txt
  122. みふゆ: 無力感ですか…
  123. やちよ: みんな程度の差はあるけど 抱えているような気がしたのよ
  124. みふゆ: 喪失感を覚えている自覚は ありましたけど
  125. みふゆ: レナさんの話を聞く限りだと 腑に落ちる話ですね
  126. 十七夜: 身を削った環君に 我々は何も返せていないからな
  127. 十七夜: みんなの様子を探るときには 意識した方がいいだろう
  128. 都 ひなの: ドッペルを出すメンバーが 多発しそうな状況だからな…
  129. やちよ: 時間が解決することかも しれないけど…
  130. みふゆ: みんなの身と心を守るのも 年長者としての責務です
  131. やちよ: ええ、念頭に置いてもらえると 助かるわ
  132. やちよ: …………
  133. やちよ: さて、ここからは 気持ちを切り替えましょう
  134. やちよ: 明日に向けてゴミをまとめて
  135. やちよ: リサイクルボックス用の トレーも必要よね
  136. かさっ…
  137. やちよ: ん…?
  138. やちよ: (さなの…絵本のネタ…?)
  139. さな: ただいま帰りましたー…
  140. やちよ: あ…
  141. さな: やちよさん?
  142. やちよ: あぁ、ちがうのよ…?
  143. やちよ: 別にさなのボツになった原稿を あさってたわけじゃなくて…
  144. さな: えっと、大丈夫です…! 明日、ゴミの日ですから…!
  145. やちよ: かえって怪しい反応をしたわ…
  146. さな: ふふ、そうかもしれません…
  147. やちよ: 結構な枚数なのに 捨てちゃっていいの?
  148. さな: 途中まで書き進めてたんですけど
  149. さな: 自分でも何を書いてるんだか わからなくなっちゃって…
  150. やちよ: それならいいけど…
  151. やちよ: …どういう話だったの? 聞いてもいい?
  152. さな: はい…!
  153. さな: 「えと、カエルの子がトカゲの子に 池の国について教える話なんですけど トカゲは池の中を知らないから 話しても全然伝わらないんです…」
  154. さな: 「そこでトカゲの子は何匹か友だちを呼んで 池の国を絵に描いてもらうんですけど みんな違う絵になるから困ってしまったんです」
  155. さな: 「でも、説明していたカエルは ひとつの説明で色んな世界ができるのは面白い 生き物の想像力はすごいって感心するんです」
  156. さな: そんな話を書いてたんですけど 行き詰まっちゃって…
  157. やちよ: 私は少し面白いと思ったけど…?
  158. さな: 私は面白いと 思えなくなったんです…
  159. さな: 千差万別の世界が生まれることは 素敵だと思うんですけど
  160. さな: 私はちゃんとひとつのことを 伝えたいと思っちゃったんです…
  161. やちよ: …………
  162. やちよ: だけどそれは難しいことよね…
  163. さな: はい…
  164. さな: 私の絵本を読んで、誰かの心を 少しでも救えたらって思っても…
  165. さな: 正しく伝わらないかもしれないし 救えないかもしれません…
  166. やちよ: …そう思うのは、いろはと ういちゃんを救えないから?
  167. さな: …っ
  168. さな: なんで言っちゃうんですか…
  169. やちよ: 心配だったのよ 暗くなっていくさなを見て…
  170. やちよ: それに私だって何もできない 不甲斐なさは感じてるわ…
  171. さな: 私…時々考えちゃうんです…
  172. さな: いろはさんもういちゃんも 消えちゃって泣いてるかもって…
  173. さな: みんなに忘れられて 悲しんでいて…
  174. さな: あの時は良かったけど、 今は後悔してるかもって…
  175. やちよ: そう言われると、 私はさなほど悲観的じゃないわ
  176. さな: どうして…ですか…?
  177. やちよ: きっと私はふたりが 不幸だとは思ってないからね
  178. さな: 私はそう考えたとしても 自信はもてません…
  179. やちよ: 私だって、前向きになったのは つい最近のことよ
  180. やちよ: あ、そうだ
  181. やちよ: 明日はお休みだから お出かけしましょうか
  182. さな: え…?
  183.  
  184. FILENAME: text_315021-4.txt
  185. やちよ: ごめんなさい 待たせちゃったわね
  186. 鶴乃: フェリシアが寝坊するから…
  187. フェリシア: 鶴乃が店の仕込み 遅れたからだろ
  188. さな: どっちもですね…
  189. かえで: それで、今日の予定って何なの?
  190. レナ: こっちは弟との約束を断ってまで 来たんだからね
  191. ももこ: 秘密って言うからには 何か言えない理由があるんだろ?
  192. やちよ: 何も知らない状態で どう感じるかが大切だと思ってね
  193. ももこ: んー…よくわからないけど…
  194. やちよ: とりあえず 展望台に上りましょう
  195. フェリシア: ―フェリシア― おぉ…
  196. フェリシア: ―フェリシア― こうやって展望台に上るなんて めっちゃ久しぶりだぞ
  197. レナ: ―レナ― 上から眺めると 神浜市だけでもすごい広さよね
  198. さな: ―さな― これよりとても広い世界を いろはさんは包み込んでくれてるんですよね…
  199. さな: ―さな― …………
  200. さな: ―さな― ごめんなさい… なんかしんみりするようなこと言って…
  201. 鶴乃: ―鶴乃― 別に悪くないよー
  202. 鶴乃: ―鶴乃― わたしだって考えることだし 言われたら…って思って眺めてただけだからね
  203. 鶴乃: そう言ってる間に到着!
  204. かえで: やちよさん このあとはどうするの?
  205. やちよ: 別に何もしないわ ただ、ここに居るだけでいいの
  206. ももこ: いい加減意味がわからないな 何が目的なんだ…?
  207. やちよ: 言ったら意味がないじゃない
  208. フェリシア: でも、わかんねーぞ 景色がいいだけじゃんか…
  209. フェリシア: ――っ!?
  210. さな: …フェリシアさん?
  211. フェリシア: …いろは?
  212. さな: えっ…
  213. さな: …………
  214. さな: 本当です… 微かに感じます…!
  215. フェリシア: ここか…!?
  216. さな: いえ、他の方角からも 感じますよ…!
  217. ももこ: この魔力の反応は 間違いなくいろはちゃんだ…!
  218. かえで: うんっ、うんっ 近くに居るってことだよね!?
  219. レナ: やちよさん、そういうこと!?
  220. 鶴乃: たぶん、半分正解
  221. 鶴乃: 確かにいろはちゃんを感じる… だけど近くない…遠い…かな
  222. やちよ: ええ
  223. やちよ: どこからも いろはの存在を感じられるのは
  224. やちよ: あの子が私たちの上にいるからよ
  225. やちよ: そして、今もずっとういちゃんや 里見さん、柊さんと一緒に
  226. やちよ: 魔法少女たちの穢れを回収して みんなを救い続けているわ
  227. ももこ: …ほんとだ、穢れや呪いが 空に向かって伸びて移動してる
  228. かえで: いろはちゃんが働いてるのを やちよさんは知らせたかったの?
  229. やちよ: 正解だけど、いろはの存在を ただ伝えたかったわけじゃないの
  230. やちよ: 私はみんなにいろはのことを 前向きに捉えてほしかったのよ
  231. やちよ: 私も喪失感を覚えていたし 無力感に苛まれることもあったわ
  232. やちよ: だけど、それはなぜって… いろはを可哀相と思っていたから
  233. レナ: …っ、だってアイツは!
  234. さな: …………
  235. やちよ: こうして目を瞑って 魔力を追いかけてみるとね
  236. やちよ: 私たちの穢れを回収しているのが イブの時と違うのがわかる
  237. やちよ: それは、いろはとういちゃんの 希望から生まれた魔力と
  238. やちよ: それに寄り添うウワサになった 里見さんと柊さんの魔力
  239. やちよ: 何にも支配されずに伸び伸びと 活動しているからよ
  240. やちよ: だから私は、今のいろはたちを 可哀相だとは思わないし
  241. やちよ: あの子が生かしてくれた自分を 自分から無力にはしないわ
  242. 鶴乃: うん…じっくりと時間をかけて こうして追いかけてみると
  243. 鶴乃: 自分の意思で前向きに 活動をしてる気がするね
  244. 鶴乃: なんかやちよの言うこと ちょっとわかるかも…
  245. さな: …胸を張って生きている方が いろはさんを笑顔にできる…
  246. レナ: 空の先でいろはが どういう状態かなんてわからない
  247. レナ: けど…
  248. レナ: レナたちを助けた時の、 アイツは笑顔だった…
  249. ももこ: その笑顔を無駄にしちゃ いけないってことだな…
  250. かえで: うん…
  251. さな: やちよさん 今日はありがとうございました…
  252. さな: いろはさんを感じられて 少しだけ前向きになれました…
  253. やちよ: あれが本当にいろはなのか 私ひとりじゃ説得力がないけれど
  254. やちよ: みんなも感じ取れたなら 間違いはないわよね
  255. やちよ: これから、神浜市のみんなにも 教えてあげるわ
  256. さな: はい、きっと前向きになれる人も 増えるような気がします…!
  257. やちよ: フェリシアが…いない…
  258. やちよ: 私も背筋を伸ばして生きるわね いろは
  259.  
  260. FILENAME: text_315022-1.txt
  261. 鶴乃: うん、フェリシアはまだ みかづき荘には帰らないって…
  262. 鶴乃: …………
  263. 鶴乃: そう言われてもさ、 わたしも理由は聞いてないよ…
  264. 鶴乃: …うん、万々歳に泊まるのは まったく問題ないから
  265. 鶴乃: もう少し様子を見てみる…
  266. 鶴乃: フェリシア、いいの? やちよも心配して待ってるよ?
  267. フェリシア: わかったよ 迷惑なら出てけばいいんだろ?
  268. 鶴乃: うおおい!ちょっと! 迷惑とか言ってないけどぉ!?
  269. やちよ: ごめんなさい ゴタゴタしてしまって…
  270. 結菜: 環さんがいなくなったつらさは、 そちらの方が大きいはずよぉ
  271. 静香: 私たちと比べて付き合いも長いし 当然だとは思うわ
  272. 静香: 私だってかなりこたえたもの…
  273. やちよ: これでも、みんなの心の負担は 軽くなった方なの
  274. やちよ: いろはの魔力反応を 捉えられたおかげでね
  275. ひめな: まあ、いろりんもぶっちゃけ 自分でみんなを助けてるわけだし
  276. ひめな: 勝手に被害者扱いすんなし って話だよね
  277. ラビ: その意見も乱暴かと
  278. ラビ: 自分を加害者にすることで 保たれている心もある
  279. 結菜: あの時は仕方なかったって 当時の自分を肯定できるからねぇ
  280. 結菜: だから、ただ施された側になると とたんに何も掴めなくなる
  281. やちよ: フェリシアのように沈んだ人は 心の置き場をなくしたのね
  282. やちよ: 神浜市以外のみんなは もうみんな立ち直ってる?
  283. 結菜: ひかるを筆頭にして、 0人ではないのは確かねぇ
  284. 静香: うちもちゃるが落ち込んでたから 伝えておいたわ
  285. 静香: 『環さんが前向きなんだから 私たちも未来へ前向きでいよう』
  286. 静香: 『悪鬼になるようなことがあれば 逆に環さんを苦しめるから』って
  287. 結菜: こちらも、ひかるたちに 同じような話をしたわねぇ
  288. ひめな: うちもしぐりんが気にしてるから ちゃんと話した方がいいかも
  289. やちよ: そうね
  290. やちよ: まだ、戦いが終わって間もないし 立て直すまでには時間がかかるわ
  291. やちよ: でも、だからこそ みんなで協力していきましょう
  292. ももこの声: おーい、やちよさーん
  293. 結菜: あら、お呼びみたいよぉ
  294. やちよ: このあと、神浜の学生会議で 打ち合わせがあるんだけど
  295. やちよ: 話し込んでたら もう時間が近づいてたみたい
  296. やちよ: 悪いけど、今日はこの辺りで 失礼させてもらうわね
  297.  
  298. FILENAME: text_315022-2.txt
  299. ももこ: というわけで!
  300. ももこ: 「アタシらは学生会議の発足を伝えて 学生たちから賛同の署名をもらったわけだけど 実際にどれぐらいの学生たちが 参加してくれるのかが課題だった」
  301. かえで: 「だから、みんなにお願いして 各学校でアンケートを取ってもらったんだよね」
  302. レナ: 「それで、今日はようやく 結果を発表できる段取りがついたってわけ」
  303. ももこ: それじゃあ調整屋
  304. みたま: はーい
  305. みたま: パンパカパーン♪
  306. みたま: ここからは 神浜市の学生を対象にとった
  307. みたま: アンケートの結果発表よぉ♪
  308. 月咲: ゴクッ…
  309. 相野 みと: わくわく…
  310. 十七夜: ふむ
  311. 十七夜: 現状、参画を望む学生たちの数が 我々の想定より多いようだな
  312. みたま: え、ちょっと十七夜! 派手に発表したかったのにぃ…
  313. 十七夜: む、すまん 軽い話ではないと思ってな
  314. やちよ: ふふっ、十七夜の言う通りね
  315. やちよ: でも良かったじゃない どの学校にも参加希望者がいて
  316. 十七夜: これでようやく魔法少女だけの 体制から1歩前進しそうだな
  317. みふゆ: ここからはワタシたち以外の 意見が重要になりますね
  318. 月夜: 私と月咲ちゃんのように 身近で東西の交流がある人は
  319. 月夜: 少ないはずでございます
  320. 空穂 夏希: お互いに勘違いしてることが 色々と出てきそうだよね
  321. 月咲: うん、ウチらはレアケースだから 話すところから始めないと
  322. みかげ: ミィだってあした屋さんに 行ってなかったら
  323. みかげ: 西の人たちとおしゃべりなんて ぜーんぜんしなかったもん
  324. 眞尾 ひみか: そう言われると、集まった瞬間 擦れ違いとかありそうですね
  325. 江利 あいみ: その時は間に挟まれた私たちが 仲を取り持つ役割に…!?
  326. 都 ひなの: 東西に挟まれた中央は 損な役回りが多いからなぁ…
  327. 都 ひなの: 東西で魔法少女同士が 争ってた時も大変だった…
  328. やちよ: その節は迷惑をかけたわね…
  329. 十七夜: すまんな、都… 自分からも何も言えん…
  330. 都 ひなの: 過去の話だから気にするな
  331. 都 ひなの: アタシらはアタシらで うまく間で動いてみるし
  332. 都 ひなの: 挟まれる人たちの苦悩を伝える ことも大切になってくるだろ
  333. やちよ: 今後、話を整理していく上でも 発信していく上でも必要になるわ
  334. ももこ: あ、発信って言えばさ やちよさん取材を受けるんだろ?
  335. ももこ: なんだっけ、タウン誌?
  336. やちよ: ええ
  337. やちよ: この間、テレビの中で 学生会議の話をしたでしょ?
  338. やちよ: それで興味を持った人たちがいて 話を聞きたいんですって
  339. かえで: やちよさんも、 神浜市の顔だもんね
  340. やちよ: それは言い過ぎじゃない?
  341. レナ: でも、こうやって やちよさんの人気にあやかれば
  342. レナ: 学生会議の活動も もっと活発になるかも
  343. やちよ: 私は広報の人員になるつもりは ありません
  344. やちよ: それに急に拡大すると怖いわ 地道にやっていきましょ
  345. やちよ: …………
  346. みふゆ: どうしたんですか、やっちゃん そんなニコニコしちゃって
  347. やちよ: みふゆ
  348. やちよ: 別に、ちょっと嬉しくなったのよ
  349. やちよ: 前まで不安定だったのに レナの様子が明るくなってたから
  350. みふゆ: やっちゃんが教えてくれた 電波塔の話
  351. みふゆ: みんな、確認して 気持ちが落ち着いたみたいですね
  352. やちよ: みんなって言われると 少し引っかかっちゃうわね
  353. やちよ: うちの場合はフェリシアが 沈んじゃったから…
  354. みふゆ: そうでしたね みんなは言い過ぎました
  355. やちよ: 今も前向きにいろはたちが 魔法少女を救ってるとはいえ
  356. やちよ: 姿を消したこと自体は現実
  357. みふゆ: …盾になってくれた仲間が 死んでしまったとか
  358. みふゆ: そういう感覚に近いのかも しれませんね…
  359. ~~♪~~♪
  360. やちよ: ん、鶴乃…?
  361. やちよ: どうしたの?
  362. 鶴乃: フェリシアが見つからない!
  363.  
  364. FILENAME: text_315022-3.txt
  365. フェリシア: ある…
  366. フェリシア: ここにもある…
  367. フェリシア: これじゃ忘れられない…
  368. フェリシア: どこに行ったって いろはとの思い出が残ってる…
  369. フェリシア: オレ、どこに行けばいいんだ…?
  370. ピロン♪
  371. やちよ: …だめね
  372. やちよ: みんな捜してくれているけど まだ行方はつかめない…
  373. 鶴乃: フェリシアの行きそうな場所は 十分周ったつもりだけど…
  374. やちよ: 漫画とゲームが関わる場所は お願いしてあるし…
  375. 鶴乃: 前に住んでたマンションにも 行ってみたんだけど…
  376. やちよ: 手がかりはなし…
  377. 鶴乃: スマホの電源さえオンにしてたら 位置がわかるのに…
  378. ~~♪~~♪
  379. やちよ: フェリシア!?
  380. 鶴乃: うぉっ!なんて!?
  381. やちよ: 通話だから聞いてみないと わからないわよ!
  382. やちよ: フェリシア、聞いたわよ! 今どこにいるのよ!?
  383. やちよ: みんな心配するじゃない…!
  384. フェリシア: もうオレを捜さなくていいし 連絡もしなくていい
  385. やちよ: 何を言ってるの…?
  386. フェリシア: オレ、神浜市から出て行ってさ もっかいイチからやりなおす
  387. やちよ: 待って、意味がわからない… ちょっと処理が追いつかないわ…
  388. やちよ: 神浜市から出て行くって何…? 理由があるの…?
  389. フェリシア: いろはに謝りたいのに… もう謝れないから…
  390. フェリシア: だったらもう、 忘れた方がマシだ
  391. やちよ: フェリシア! あの子は謝罪なんて求めてない!
  392. やちよ: 一時の感情で思い出を捨てる方が あの子は絶対に悲しむ…!
  393. フェリシア: でも、このままじゃオレ ドッペルを出しっぱなしになる
  394. フェリシア: そしたら、いろはの仕事が増えて もっと苦しませるじゃん
  395. フェリシア: そうはなりたくねーんだよ
  396. やちよ: 少し落ち着いて まずは話をしましょう
  397. やちよ: えっ、きれ…
  398. やちよ: あの、バカッ…!
  399. 鶴乃: フェリシア、なんて!?
  400. やちよ: 神浜市を出て ひとりでやりなおすって…!
  401. 鶴乃: ワァイ!?何でぇ!?
  402. やちよ: 知らないけど、とりあえず スマホをオンにしてくれたから
  403. やちよ: あの子の位置がわかった
  404. やちよ: そう遠くないから 最寄りの駅に急ぐわよ!
  405. 鶴乃: いる…!いるよやちよ…!
  406. やちよ: 私も感知したけど、 向かったのは上りか下りか…
  407. 鶴乃: 二手に分かれよう!
  408. やちよ: それなら、お願いがあるわ
  409. 鶴乃: ほ?
  410. やちよ: そっちにあの子がいた場合に 伝えて欲しいことがあるの
  411. やちよ: どちらもちょうど電車が来る… 頼んだわよ、鶴乃!
  412. 鶴乃: アイサー!
  413. やちよ: ふう…
  414. やちよ: …………
  415. やちよ: (魔力の反応が離れていく… こっちじゃなかったみたいね…)
  416. やちよ: 頼んだわよ、鶴乃…
  417.  
  418. FILENAME: text_315022-4.txt
  419. 鶴乃: やっと見つけたよ フェリシア
  420. フェリシア: …………
  421. 鶴乃: 神浜市から出て行って やり直すつもりなんでしょ?
  422. 鶴乃: …そんなのやめて帰ろうよ
  423. フェリシア: 無理だ…
  424. フェリシア: だって、いろはのこと… みんなのことを忘れないと…
  425. フェリシア: オレ、いろはに悪かったって 想いで潰されちまう…
  426. 鶴乃: 別にフェリシアは悪くないし 思い詰めなくてもいいんだよ…
  427. 鶴乃: やちよが言ってた通り、 いろはちゃんのことは心配ない
  428. 鶴乃: 救ってくれたことに対して 後ろ向きになってる方が悲しむよ
  429. 鶴乃: それに、忘れることがつらいって 一番よくわかってるはずだよ
  430. フェリシア: でも、覚えてても オレは一生許されないんだ…
  431. フェリシア: いろはとういは、 オレが「ごめんな」って言ったら
  432. フェリシア: 絶対に「いいよ」って言って 許してくれるのはわかってる…
  433. フェリシア: けど、謝っても聞こえてるか 今はわからない
  434. フェリシア: あいつらに聞こえたって オレの耳に言葉は届かねえ…!
  435. フェリシア: オレ…聞きたいんだよ… 「いいよ」って…
  436. 鶴乃: その想いに心が蝕まれて ずっとドッペルを出すぐらいなら
  437. 鶴乃: 忘れた方がいろはちゃんたちの ためになるって思ったんだ
  438. フェリシア: …………うん
  439. 鶴乃: …やちよが言ってたよ
  440. フェリシア: …………
  441. 鶴乃: あの時はいろはちゃん以外に みんなを救える人はいなかった…
  442. 鶴乃: だから、いろはちゃんは 自分から前に出て救ってくれた…
  443. 鶴乃: 「そんな、わたしたちのために頑張ってくれた いろはちゃんたちにかける言葉が “ごめんなさい”だと、みんな悲しい顔をする」
  444. 鶴乃: 「だから、わたしたちはみんなで “ありがとう”って笑顔で言ってあげよう」
  445. 鶴乃: って…
  446. 鶴乃: でもね、そう伝えながらもさ わたしだって後悔してるんだよ
  447. 鶴乃: 最強を自認してる上に いろはちゃんの大先輩なんだから
  448. 鶴乃: でも、わたしが同じ立場だったら 罪悪感なんて覚えて欲しくない
  449. 鶴乃: 笑顔で「助かったよありがとう」 って言ってくれた方が嬉しいな
  450. フェリシア: オレが感じてるこの気持ちって 間違いなのか…?
  451. 鶴乃: ううん、その罪悪感も無力感も わたしたちを強くする気持ちだよ
  452. 鶴乃: だから大切にした方がいい
  453. 鶴乃: 感謝しながら、その想いを糧に 強くなるしかない
  454. 鶴乃: わたしたちにはそのための時間… 未来が与えられたんだから…
  455. フェリシア: そっか… 忘れたら弱いままなのか…
  456. フェリシア: 強くなれば、 同じようなことにはならないし
  457. フェリシア: いろはもういも また取り戻せるかもしれないよな
  458. 鶴乃: そうそう なんたって未来があるんだから
  459. 鶴乃: ねっ?
  460. フェリシア: おう、いつかオレがふたりを 連れ戻してやるぞ
  461. フェリシア: ふんす!
  462. 鶴乃: その勢いだよ! ふんふん!
  463. フェリシア: ただいまー…
  464. 鶴乃: 連れて戻ってきたよー!
  465. さな: フェリシアさん…! もう、心配したんですよ…!?
  466. さな: また、誰かいなくなったら 寂しいじゃないですか…!
  467. フェリシア: うん、ごめんな、さな…
  468. やちよ: 落ち着いた?
  469. フェリシア: おう、オレ… もらった時間に感謝する
  470. フェリシア: んで、その時間を使ってさ いつか連れ戻すんだ
  471. フェリシア: いろはとういを…!
  472. 鶴乃: (灯花とねむは含まれないんだ)
  473. やちよ: ふふっ…
  474. 鶴乃: ま、いっか
  475. やちよ: 毎日、朝を迎えられる… それが私たちの喜びよ
  476.  
  477. FILENAME: text_315023-1.txt
  478. やちよ: いろは、私もあなたたちに与えられた 未来に生かされながら 毎日を前向きに生きている
  479. やちよ: 日々、時間が移ろいでいく中で 無力感や罪悪感に苛まれていた人たちも うつむいていた顔を少しずつ上げて また、新しい1日を歩み出しているわ
  480. やちよ: あなたたちが居なくなってから みふゆや十七夜、都さんからも力を借りて 神浜市の魔法少女たちはみんな 立ち上がり始めている
  481. やちよ: そろそろ、私も忙しく動きまわるのはやめて 落ち着いた時間を過ごそうと思ってるわ
  482. やちよ: 本当、あの電波塔よりも近くに いろはの存在を感じるわ
  483. フェリシア: いろはたちが居る場所に 繋がってる場所だったりしてな
  484. やちよ: 魔力の流れを感じる限りだと その考えは当たってる気がするわ
  485. やちよ: ありがとう、かごめちゃん 教えてくれて
  486. かごめ: いえ、感知してくれたのは アルちゃんなので
  487. アルちゃん: <いろはさんの情報を得ようと 分裂して探した結果だよ>
  488. やちよ: アルちゃんも、ありがとう 本当に感謝しているわ
  489. やちよ: また、みんなを連れて 今度はピクニックでもしましょう
  490. フェリシア: だなっ!
  491. ピロンッ♪
  492. やちよ: …もう少し居たいところだけど 私は次の用事に向かうわね
  493. フェリシア: 取材だろ?
  494. かごめ: 何のですか?
  495. やちよ: 神浜市のタウン誌の取材で 学生会議についての話をするのよ
  496. フェリシア: あっ、帰りに挽肉買って帰るから 忘れんなよ!?
  497. やちよ: わかってるわよ いろはのハンバーグでしょ?
  498. やちよ: それじゃ、行ってくるわね
  499. 女性記者: 七海さんの言う通り 東西の噂はひとり歩きしているし
  500. 女性記者: 交流もないままだと 擦れ違ってばかりだと思います
  501. やちよ: だけど、私たちは偶然とはいえ 東西で関わるようになりました
  502. やちよ: そこで、お互いの人となりや 過去を知る中で
  503. やちよ: 自分たちが聞かされていたことと ズレていると気づいて
  504. やちよ: 今となっては掛け替えのない 友人になったんです
  505. 女性記者: そうした希有な関係を築くのに 切っ掛けはあったんですか?
  506. やちよ: そうですね…
  507. やちよ: 部活に入っている子であれば 神浜市の大会でしょうか…
  508. 女性記者: 七海さんもですか?
  509. やちよ: あ、私の場合は事情が違います
  510. やちよ: (…思えば、いろはがいないと 東西の今はないのかも…)
  511. やちよ: (十七夜とは東西の関係が 険悪なときからの知り合い…)
  512. やちよ: (だけど、いろはが神浜市に来て ういちゃんを捜してないと)
  513. やちよ: (手を取り合いはしなかった…)
  514. やちよ: (そもそも、いろはが願わないと マギウスすら生まれていない…)
  515. やちよ: (手を取り合うための敵すら いなかったのよね…)
  516. 女性記者: どうしました…?
  517. やちよ: いえ、ちょっとひとりの子が 大きな影響与えていたなと…
  518. 女性記者: その人が七海さんが東と関わる きっかけを与えたんですか?
  519. やちよ: 今のメンバーのほとんどが きっかけを与えられてますね
  520. 女性記者: へえ、すごい
  521. 女性記者: ぜひ次は、その方も交えて 取材をさせてください
  522. やちよ: それは難しいかもしれません
  523. 女性記者: あら、シャイなんですか?
  524. やちよ: もう、いないんです… 私のそばには…
  525.  
  526. FILENAME: text_315023-2.txt
  527. やちよ: 落ち着いた自分の時間を 過ごそうなんて考えてみても
  528. やちよ: いざ時間ができてみると 何をすべきかわからないわね…
  529. いろは: せっかくできた時間なんですし 趣味を作るのはどうですか?
  530. やちよ: パッとは思いつかないけど、 新しいチャレンジはいいかもね
  531. いろは: あとは、そろそろ 就職のことを考えてみるとか…?
  532. やちよ: ちょっと… 急に現実的な話をするじゃない…
  533. やちよ: でも、早い子はインターンにも 行ってるみたいだし
  534. やちよ: 私も他人事じゃないのよね…
  535. いろは: やちよさんは、芸能のお仕事を これからも続けるんですか?
  536. やちよ: …就職ではないけど、 そういう選択肢もあるわよね
  537. やちよ: ただ、周りには悪いけど、 最近は熱が入ってない気がして…
  538. いろは: んー、自分のやりたいことって 難しいですね
  539. やちよ: まあ、本音を言えば、 みかづき荘を復活させたいわ
  540. やちよ: 昔みたいに活気のある みかづき荘にね
  541. いろは: いい夢ですね 私、どうなるか楽しみです!
  542. やちよ: あなたがくれた未来のおかげで そういう夢が見られるの
  543. やちよ: だけど、いろはを置いてきぼりに するみたいで、私はつらいわ
  544. やちよ: あなたは、もう日常にはいない…
  545. やちよ: みんなが当たり前に考えるような 未来を想像しても実現できない…
  546. やちよ: 恋人を作ることも… 仕事をすることも…
  547. いろは: 私はそれでも幸せです
  548. やちよ: …いろはなら、そう言うでしょう でも、私は幸せじゃない…
  549. いろは: やちよさん…
  550. やちよ: 私が想像する未来には全部 あなたがいるはずだったのよ
  551. やちよ: このみかづき荘にだって…!
  552. いろは: …………
  553. やちよ: ああ…こんなこと考えたくない… ずっと…忙しくしていたいわ…
  554. フェリシア: ただいまーっ!
  555. やちよ: ――っ!?
  556. さな: そこで会ったので、 一緒に買い物してきました…!
  557. 鶴乃: わたしも呼ばれてきたよ!
  558. 鶴乃: 万々歳の特製メンマもあるから 一緒に食べようよ!
  559. やちよ: …………
  560. やちよ: 今日ってハンバーグよ? そんなメンマなんて合う…?
  561. やちよ: とりあえず準備をするから 材料を持って来て
  562. フェリシア: おう、これな!
  563. やちよ: はい
  564. さな: 私も手伝いますね…
  565. やちよ: ありがとう
  566. 鶴乃: このノートがレシピだったよね?
  567. やちよ: ええ、ハンバーグのレシピを いろはが書いてたはずよ
  568. やちよ: …えーっと、このページ
  569. 鶴乃: ん?やちよ?
  570. やちよ: (いけない、今じゃない… まだ、見ちゃいけなかった…)
  571. いろは: やちよさんっ
  572. いろは: フェリシアちゃんが 味が薄いって言ってたので
  573. いろは: 新しいハンバーグを 考えてみたんですっ!
  574. いろは: どうですか?
  575. やちよ: …………
  576. 鶴乃: ちょっと、やちよ…! なんか顔色が悪いよ…!
  577. フェリシア: 何食ったんだ!?
  578. さな: た、体調を崩してるなら 今日は休んだ方が…
  579. やちよ: そ、そうね…ごめんなさい… 今日はちょっと休むわね…
  580. やちよ: …………
  581. やちよ: (レシピノートを見て 溢れ出してきた…)
  582. やちよ: (これはいけない気持ち… だけど、抑えられない…!)
  583. やちよ: (みんな心の整理をして踏み出していくけど 私はいろはがいる時に縛られたまま…)
  584. やちよ: (自分を納得させる言葉や状況を作っても 溜まっていく想いは溶けていかない…)
  585. やちよ: (またみかづき荘で一緒に暮らしたい… 忘れたみんなにも思い出して欲しい…)
  586. やちよ: (だから、私はいろはを連れ戻したい…)
  587. やちよ: そんなの傲慢よ…やちよ… あなたは自分でなんてみんなに言ったの…
  588. やちよ: だけど…
  589. やちよ: (ああ…みふゆが居なくなったときと同じ… 自分の理性が心の底に沈んでいくのがわかる…)
  590. やちよ: いろは…私は自分が壊れそうで… 怖いわ…
  591.  
  592. FILENAME: text_315023-3.txt
  593. やちよ: そうよ、いろは… 万年桜のうわさにあなたがいる…
  594. やちよ: それなら、 力を合わせればいい…
  595. やちよ: 変えられるわよ 私たちふたりの力で…
  596. さな: リュックにシートに水筒…
  597. 鶴乃: あと必須なのは、 向こうで遊ぶためのアイテム!
  598. さな: あっ、フリスビーですか…? 楽しそうですね…!
  599. 鶴乃: わんわん!
  600. さな: ふふっ、あとはお弁当ができれば ピクニックの準備完了です…!
  601. 鶴乃: ももこたちも、もうすぐ着くって メッセージが来てたよ!
  602. フェリシア: うお、マジかー! ここでハンバーグがくんのかよ!
  603. やちよ: 作るとか言って しばらく作れなかったからね
  604. やちよ: この間も体調を崩して 夕飯にできなかったから
  605. やちよ: ここで挽回しようと思ったのよ
  606. フェリシア: うひょー! 弁当に入るとか最高だぜ!
  607. ももこ: おじゃましまーす
  608. かえで: あっ、すごくいい香り!
  609. レナ: これ、ハンバーグでしょ…!
  610. かえで: ちょっと レナちゃん、よだれ!
  611. レナ: バカ!出てないわよ! 大食いキャラにしないで!
  612. レナ: じゅる…
  613. やちよ: ふふっ、 3人ともいらっしゃい
  614. やちよ: さっそく出かけたいところだけど 少し待ってくれるかしら?
  615. やちよ: お弁当ができたばかりで、 まだ冷めてないのよ
  616. ももこ: ピクニックって言っても 万年桜のうわさだろ?
  617. ももこ: まだ朝で時間も十分あるから のんびりいこうよ
  618. かえで: それにしても、急だったから びっくりしちゃったよぉ
  619. レナ: ほんと、前の展望台のときといい 今回も何かあるわけ?
  620. かえで: かごめちゃんがいろはちゃんの 反応を感知したんだよね?
  621. やちよ: ふたりとも察しがいいのね
  622. やちよ: そう、今日はただみんなで ピクニックに行くわけじゃないわ
  623. 鶴乃: ええっ、そうなの!? わたしだって聞いてないよ!
  624. さな: 私も初耳です…
  625. フェリシア: 何するんだ!? まさかいろはと会えるのか!?
  626. やちよ: ええ、私は万年桜のうわさで いろはを復活させるわ
  627. フェリシア: えっ、おぉ…マジか…!
  628. フェリシア: ん、え? けど、んなことできんのか?
  629. やちよ: もちろんよ
  630. やちよ: 鏡の魔女がいろはと共にあって 時空を越える力を持っているなら
  631. やちよ: 過去へ行く鏡を作ってもらって 今の状況を覆すことができるわ
  632. 鶴乃: いやいや ちょっと待って待って!
  633. 鶴乃: それって問題になってた タイムパラドクスはどうするの?
  634. やちよ: 過去に行って、いろはが 犠牲にならないようにするのよ
  635. やちよ: 最悪、私がいろはの身代わりに なれるだけの力を得れば
  636. やちよ: あの子は空に行かなくていいし あの子の未来を残せる…
  637. ももこ: おいおい、適当すぎるだろ どうしたんだよ、やちよさん…
  638. ももこ: 鶴乃への答えにもなってない
  639. かえで: それに、いろはちゃんから力を 借りられるかもわからないよ
  640. やちよ: いろはなら力を貸してくれる… 理想の未来のためにきっと…
  641. レナ: そんなの無理よ…
  642. レナ: やちよさんが犠牲になるのを アイツは絶対に許さない…
  643. さな: あの…やちよさんはいろはさんの 身代わりでいいんですか…?
  644. やちよ: 当然じゃない
  645. やちよ: あの子が戻って来られるなら 私はそれでいいわ
  646. さな: いろはさんも 同じことを言っちゃいます…!
  647. さな: たとえ成功することでも いろはさんは手伝いませんよ…
  648. やちよ: それでも、私は無理を通す
  649. ももこ: やちよさん頭を冷やそう… なんか考え方が乱暴すぎる…
  650. やちよ: 邪魔しないで…!
  651. やちよ: せっかくみんなで仲良く 良い結果を迎えたかったのに…!
  652. 鶴乃: …っ!やちよ本気だ…
  653. 鶴乃: フェリシア、忘却の能力で やちよを抑えて!
  654. 鶴乃: 下手に過去に行かせたら、 この世界を壊しかねないよ!
  655. フェリシア: んだよ、もう! わけわかんねーぞ…!!
  656. やちよ: さよなら
  657. やちよ: 私ひとりで 万年桜のうわさに行ってくるわ
  658. フェリシア: んな思いつき…! 忘れちまえ、バカヤロー!!
  659.  
  660. FILENAME: text_315023-4.txt
  661. やちよ: ん…? ああ、3人ともいらっしゃい
  662. やちよ: さっそく出かけたいところだけど 少し待ってくれるかしら?
  663. やちよ: お弁当ができたばかりで、 まだ冷めてないのよ
  664. ももこ: あ、ああ
  665. ももこ: まあ、いいんじゃないか? 行くのは万年桜のうわさだしさ
  666. レナ: …………
  667. かえで: …………
  668. やちよ: ふたりとも、どうしたの?
  669. 鶴乃: ねえねえ、3人は なんか遊ぶもの持って来た!?
  670. 鶴乃: どうせなら、向こうで 何ができるか考えようよ!
  671. フェリシア: お、おうっ! オレ、なんかゲームもってこ!
  672. 鶴乃: いや、それだと みんなで遊べないよ!
  673. レナ: …っていうか、レナたちって 何で誘われたんだっけ…
  674. かえで: いろはちゃんの反応を 感知したんだよね…?
  675. やちよ: そうよ?
  676. やちよ: だからいろはたちと一緒に ピクニックをするのよ
  677. やちよ: その方がういちゃんたちも 喜んでくれそうだからね
  678. フェリシア: ふぅ…
  679. さな: 万年桜のうわさまで あと少しですね…
  680. やちよ: …そうね
  681. さな: どうしたんですか…?
  682. やちよ: …何か忘れている気がして…
  683. さな: えっ、あ、忘れ物ですか…!?
  684. やちよ: そうじゃないんだけど、 なんだったかしら…
  685. やちよ: …よくわからないわ
  686. さな: 忘れた頃に 思い出すかもしれませんね
  687. やちよ: ねえ、さな
  688. さな: はい…
  689. やちよ: それに、みんなにも 情けない話をするんだけど…
  690. やちよ: もしも私がおかしくなったら どんな手段でもいいから止めて…
  691. ももこ: なんだよ、 物騒なこと言うじゃないか
  692. やちよ: わかっているのよ…
  693. やちよ: 自分で言うのもなんだけど、 私は見境無く動くときがある…
  694. やちよ: みふゆがいなくなって チームを強制的に解散したり
  695. やちよ: ももこにだって 思い当たる節はあるでしょう?
  696. ももこ: ん…まあな…
  697. やちよ: きっと、冷静じゃなくなると 正しい判断なんてできなくなるわ
  698. やちよ: だから、もしも何かあったときは みんなで私を止めて
  699. 鶴乃: 何かっていろはちゃんに 関連するようなこと…?
  700. やちよ: それだけじゃない…
  701. やちよ: 鶴乃、フェリシア、さな ももこ、レナ、かえで
  702. やちよ: みんな私にとっては 掛け替えのない人たちばかりよ
  703. かえで: 私たちも入るんだ!
  704. レナ: なんか、恥ずかしい…
  705. やちよ: でも、そうよ
  706. やちよ: 今の私は誰が消えても 見境がなくなる自信があるわ
  707. やちよ: だからお願いね 何かあったら止めてちょうだい
  708. やちよ: お願い、私が暴走した時は 止めてちょうだい
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