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Winter Recollection [Event 2; 12/20/2022 ~ 12/31/2022] JP Text

Dec 20th, 2022 (edited)
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  2. ももこ: よっす、クリスマスイベントの 準備はどうだ?
  3. みたま: あらぁ、ももこ、いらっしゃーい
  4. みたま: それが、あんまり進んでないから ちょっと困ってるのよねぇ
  5. みたま: とりあえずは飾りつけでも しようかなと思って
  6. みたま: このみちゃんがリースを 届けてくれるのを待ってるところ
  7. ももこ: ん、じゃあ調整屋にいるのは 準備してる子じゃないのか
  8. みたま: ええ、クシュちゃんは 補習の時間まで寝させてって話で
  9. みたま: 塁ちゃんたちは クリスマスに子ども会で流す
  10. みたま: 映画の編集をしているみたいよ
  11. ももこ: あー、映画ってみふゆさんが 出たってやつか?
  12. 三穂野 せいら: そうです! こんな感じで…!
  13. みふゆの声: さぁ、みんなも! ワタシたちに力を貸して!
  14. みふゆ&塁の声: ホーリーナイト ミラクルフラーッシュ!
  15. ももこ: え、今の声みふゆさん?
  16. ももこ: なんか最近、魔王になったとか 子どもになったとかっていう
  17. ももこ: よくわかんない噂を聞いたけど…
  18. みたま: 実はこの前いろいろあって…
  19. みたま: 「きっかけは このクリスマスイベントの準備だったわ」
  20. みたま: 「年下の子たちに楽しんでもらうために 悩んでいたわたしは、やちよさんとみふゆさんに 何をテーマにすればいいか相談をしていたの」
  21. みたま: 「その中で、ふたりが見つけてきてくれたのが 小学生の頃にみかづき荘のクリスマス会で演じた 劇の脚本だったのよ」
  22. みたま: 「ここからは聞いた話なんだけど…」
  23. みたま: 「タイムカプセルを開いてその脚本を読んだ瞬間 みふゆさんの姿は 物語に出てきた火の魔王になって 心も小学生の頃に戻ってしまったらしいの」
  24. みたま: 「原因はすぐにタイムカプセルに込められた 昔の自分たちの魔力なんじゃないかって 話になったみたいだけど みふゆさんを元の姿に戻さないとでしょ?」
  25. みたま: 「そこで、脚本をなぞる必要があるって 考えたやちよさんたちは 魔王になったみふゆさんに 困りごとを解決してもらいつつ 魔王の望みを叶えようとしたらしいわ」
  26. みたま: 「その結果、いま編集している短編映画に 変身ヒロインとして出演したり」
  27. みたま: 「子ども化学教室では予期せぬ事故から 男の子を守って、本当のヒーローになったり」
  28. みたま: 「最終的には、物語と同じように 前からずっと叶っていた望み… “みんなと仲良くおしゃべりをしたり 当たり前で普通の女の子をすること”に気づいて 元の姿に戻った…っていうあらましね」
  29. ももこ: あー…みふゆさんの家って すごい厳しかったらしいし
  30. ももこ: にしても、なんかすごいことに なってたんだな…
  31. ももこ: 姿が物語の登場人物で 中身が子どもに…なんて
  32. みたま: ええ、でも元に戻ったみたいだし
  33. みたま: イベントのテーマも無事 “童心に帰る”って決まって
  34. みたま: めでたしめでたしよねっ
  35. 鶴乃の声: みーたまぁー! たぁすけてぇー!
  36. ももこ: …もうひと波乱 起きそうな声だな…
  37. ももこ: ただ悪いんだけど、アタシは このあと用事があって…
  38. みたま: ええ、あとは任せて
  39. ももこ: 悪い!なんかあったら 連絡してくれ!
  40. みたま: …つまり、魔法少女に変身したら またその姿になってしまったと…
  41. 水樹 塁: じゃあ、みふゆさん 心が子どもになっちゃった…?
  42. みふゆ: いえ中身は19歳のワタシですよ なので深刻にならないでください
  43. みふゆ: ほら、変身を解除すれば 日常生活にも支障はありません
  44. 鶴乃: とは言え、何かあったら 困るからここに来たんだよー
  45. ピロン♪
  46. 鶴乃: お、いろはちゃんと ういちゃんからだ
  47. みふゆさんのお話 一緒にいる灯花ちゃんとねむちゃんにも 聞いてみたんだけど、やっぱりみたまさんに 確認するのが一番だって言ってたよ
  48. 鶴乃: あー灯花から、みふゆへの 説教文もついてるけど
  49. 鶴乃: それは一旦、置いておいて…
  50. 鶴乃: 灯花たち、こう言ってるんだけど みたまは、どう思う?
  51. みたま: んー… 前回のことを踏まえると…
  52. みたま: やっぱり、あのタイムカプセルと 脚本が原因じゃないかしら?
  53. やちよ: 一応、持ってきてるけど また開けるのが怖いのよね…
  54. フェリシア: へーきだって
  55. フェリシア: みふゆが火の魔王になってるなら これ以上悪くなんねーよ
  56. パカッ
  57. やちよ: あ!コラ…! 何が起きるかわからないのに!
  58. パラパラパラ…
  59. フェリシア: お、今回は脚本の中身が ちゃんと書いてあるぞ
  60. さな: みふゆさんの姿が変わったときは 白紙になっちゃいましたもんね
  61. 鶴乃: 特に何も起きない?
  62. やちよ: なら、読み込んで 中からヒントを探しても…
  63. やちよ: ――っ!? まずい…また…!?
  64. みふゆ: きゃあっ!
  65. やちよ: え…?この格好… 劇でやった氷の女王の衣装…?
  66. 鶴乃: 今度はやちよまで!? もしかして中身も子どもに…!?
  67. やちよ: 何言ってるの…? 私、まだ小学生だけど…
  68. やちよ: え、あれ…でも19歳…のような どうなってるの?
  69. 鶴乃: うわぁ!やちよ、ちょっと変身 解けたりする?
  70. やちよ: えっと…これでいいの?
  71. 鶴乃: やっぱり見た目が戻っても 子どもー!?
  72. フェリシア: オマエは黙ってるけど どうしたんだよ?
  73. 鶴乃: …みふゆ? ちょっと…大丈夫?
  74. みふゆ: ごめんなさい…ワタシ…
  75. やちよ: わぁ…すごい…! 本当に物語の世界だ…!
  76. 鶴乃: わくわくしてる場合じゃないよ!
  77. 鶴乃: いったいどうなってるのー!?
  78.  
  79. FILENAME: text_518010-2_bjKnj.txt
  80. 鶴乃: え、なにこれ!? っていうか、みふゆは!?
  81. 鶴乃: どうなってるのやちよ!?
  82. 鶴乃: …って、やちよも今 子どもなんだったー!
  83. やちよ: む…だからって、役立たずな わけじゃないよ
  84. やちよ: 前にみふゆがこうなったときの 記憶は私にもあるんだからね!
  85. みたま: …………
  86. フェリシア: つーか、オマエも大丈夫か? みたまー、おーい
  87. みたま: 昔々、あるところに
  88. みたま: 火の魔王と氷の女王が 共に治める国がありました
  89. 鶴乃: なんか始まった!?
  90. みたま: 「その国では、民が冬を越せるようにと 魔王様が困りごとを解決して回ることで ホワイトクリスマスがやってくる という風習がありました」
  91. やちよ: …私たちが作った 火の魔王と氷の女王の物語…?
  92. 三穂野 せいら: 語り部分っぽいですね… 聞いておいた方が良さそうです
  93. みたま: 「ですが、その年は民たちで恩返しをするために 魔王の望みを叶えることにしました ところが、望みはまったくわかりません」
  94. みたま: 「そこで民たちは国の魔法使いにお願いして 魔王に過去を思い出してもらいました…」
  95. さな: ここまでは、以前聞いていた話と だいたい同じですね…
  96. 鶴乃: 魔法使いのくだりは、多分 脚本を読んだみふゆが変身して
  97. 鶴乃: 心が子どもになっちゃったことを 言ってるのかな?
  98. みたま: 「それでわかった魔王の望みは “みんなと仲良くしたい”ということ 民たちは魔王の望みが すでに叶っていることに気づきました」
  99. みたま: 「それなら、あとは ホワイトクリスマスが訪れるのを待つばかり ですが、いつまで経っても雪は降りません」
  100. みたま: 「なぜなら、魔王は 魔法で過去を思い出しているうちに 禁断の記憶を思い出してしまったからです…」
  101. みたま: 「魔王が思い出したのは先代の魔王が国を滅ぼし 暴虐の魔王と呼ばれていた事実と 自身もいずれ国を滅ぼす宿命にあるということ」
  102. みたま: 「その、先代の魔王が国を滅ぼし “暴虐の王”と呼ばれていたという歴史は 女王が長らく封印していたものでした」
  103. 水樹 塁: な、流れ変わったね…
  104. みたま: 「自らの宿命を思い出してしまった魔王は 誰も傷つけないようにと姿を消し 国民たちは、その事実にひどく困惑しました」
  105. みたま: 「女王は姿を消した魔王を救うため 過去の苦悩を知る“理解者”になろうと考えると “悩みの欠片”がある彷徨いの森へ向かいました」
  106. みたま: 「ですがそこでは あらゆる試練が女王を待ち受けていたのです」
  107. さな: これって、あの物語の 続きの話…ですか?
  108. 三穂野 せいら: なんだか、急に 不穏な雰囲気になってません?
  109. フェリシア: みたまも、なんか 変になっちまったし何だこれ
  110. やちよ: もしかしたら…
  111. やちよ: みふゆのときは、私たちが 物語に沿う形だったけど
  112. やちよ: あの時とは違って、今度は
  113. やちよ: 私たちも物語に沿って 演じないといけないのかも
  114. やちよ: それも 空間まで変わるような形で…
  115. さな: この空間、現実… って感じじゃないですもんね…
  116. やちよ: …多分、私たちがいるのは みふゆの幻覚の中よ
  117. やちよ: 一瞬だけど、そんな景色が 見えた気がするし…
  118. 水樹 塁: (異世界転生…ではないよね …というか、みんな順応早い…)
  119. 鶴乃: それで、みたまはいったい どうしちゃったの?
  120. 鶴乃: みーたーまーっ!
  121. みたま: はっ…!
  122. みたま: わたし、物語の中の“長老”役に 意識を乗っ取られてたみたい…
  123. フェリシア: あぁ?おかしいと思ったら ジジイになってたのかよ…
  124. やちよ: 私が氷の女王の姿であるように
  125. やちよ: みんなもこの物語の中で 役割を与えられてるみたいね
  126. やちよ: 「魔王に魔法をかけた国の魔法使いたちに」
  127. やちよ: 「左から、兵士、商人、トナカイ」
  128. 鶴乃: え、まさかとは思ったけど ほんとにトナカイ役なの!?
  129. 鶴乃: …まあ、配役はいいとして いま聞いた続きの物語って何?
  130. やちよ: …もしかしたら 没になった後半の話かも…
  131. さな: 没になった後半… が、あったんですか?
  132. ???の声: やはり…ですね
  133. やちよ: …やはりって?
  134. 吉良 てまり: 以前、脚本を読ませて頂いてから ずっと違和感があったんです
  135. 吉良 てまり: 「まず、火の魔王と氷の女王という 対のキャラを出しておきながら 活躍するのは火の魔王ばかりだったことですが …これは、まだ脚本を作る上で起きうる 誤りかと思えたんです」
  136. 吉良 てまり: 「それより、私が気になったのは物語の結末… すべての物語にはテーマがあり 作者が読者に対して何かしら伝えたいことが あるのが自然なのですが…」
  137. 吉良 てまり: 「どうにも、あの物語の結末には それが感じられないどころか 不完全燃焼めいたものを感じました」
  138. 吉良 てまり: この物語には、何か 別の結末があったのでは?
  139. やちよ: 結末…は思い出せないけど 確かに続きがあった…はず…
  140. 鶴乃: (…ん? 今どこかから魔力反応が…?)
  141. 鶴乃: (…あれ、今の記憶、何…? わたしの記憶にこんなもの…)
  142. 三穂野 せいら: あの、すみません横から… ちょっと気になったんですけど
  143. 三穂野 せいら: 先輩方って、いつの間に この世界に迷い込んだんですか?
  144. 古町 みくら: ついさっきね 調整屋に入ったら、急にここへ
  145. 鶴乃: …あれ、それってまずくない? 調整屋に入ったら迷い込むって…
  146. 鶴乃: これからまた、巻き込まれる人が いるかもってことだよね
  147. 三穂野 せいら: え、あの、梓さんの魔法って 幻覚…なんですよね…?
  148. 三穂野 せいら: 現実の世界と幻覚が繋がるって 何かおかしくないですか?
  149. 三穂野 せいら: 夢…みたいなものなんですよね
  150. みたま: それは、ちょっと違うわ
  151. みたま: ここは、みふゆさんの幻覚の中
  152. みたま: ただの夢とは違って みふゆさんに主導権があるの
  153. 鶴乃: …そもそも、みふゆの魔法 アサルトパラノイアって
  154. 鶴乃: 幻覚の世界でダメージを 与えたりする技…だから
  155. 鶴乃: 幻覚とは言っても、夢じゃなくて 現実と地続きと考えた方がいいよ
  156. 水樹 塁: そ、それって、ここで死んだら リアルでも死んじゃう…とか?
  157. みたま: そういうことになるかも…
  158. やちよ: …それに、この空間がみふゆの 魔法なら魔力の限界も心配よね
  159. みたま: 魔女化はしなくても、ドッペルに なれば何が起きるかわからないわ
  160. フェリシア: じゃあ、さっさと何とか しねーとってことだよな!
  161. やちよ: ええ…だから 物語をたどらなくちゃ
  162. やちよ: さっきの筋書きにあったでしょ
  163. みたま: 「自らの宿命を思い出してしまった魔王は 誰も傷つけないようにと姿を消し 国民たちは、その事実にひどく困惑しました」
  164. みたま: 「女王は姿を消した魔王を救うため 過去の苦悩を知る“理解者”になろうと考えると “悩みの欠片”がある彷徨いの森へ向かいました」
  165. みたま: 「ですがそこでは あらゆる試練が女王を待ち受けていたのです」
  166. やちよ: 私が…女王が魔王を 救い出す話なんだから…!
  167. 鶴乃: (また…この魔力…やちよが 物語を思い出すと起きてる?)
  168. 鶴乃: ねぇ、やちよ待って 何かおかしいよ…!
  169. フェリシア: 物語をたどるってことなら やちよは続きを覚えてるのか?
  170. やちよ: 結末は、まだ思い出せないけど 魔王を救うことはわかるの
  171. さな?: あ、あれ…やちよさん私 変な記憶が流れてきて…
  172. 商人: …あれ?
  173. 鶴乃: ダメだよ、やちよ! 物語の続きを思い出したら!
  174. 鶴乃: やちよが 物語を思い出していくたびに
  175. 鶴乃?: わたしたち、なぜか 物語に影響っ…されて…!
  176. トナカイ: ぐ…っ
  177. やちよ: …わかってるよ
  178. やちよ: …でも、みふゆを救うには こうしなきゃいけないの!
  179. やちよ: 私があの子の“理解者”になって 助けてあげなくちゃいけないから
  180. やちよ: だから、みんなごめん
  181. やちよ: 物語を ハッピーエンドにするために
  182. やちよ: これから役になりきって!
  183. やちよ: みふゆを…魔王を救うために!
  184.  
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  186. 魔王が思い出したのは先代の魔王が国を滅ぼし 暴虐の魔王と呼ばれていた事実と 自身もいずれ国を滅ぼす宿命にあるということ
  187. そして、先代の魔王が国を滅ぼし “暴虐の王”と呼ばれていたという歴史は 女王が長らく封印していたものでした
  188. 自らの宿命を思い出してしまった魔王は 誰も傷つけないようにと姿を消し 国民たちは、その事実にひどく困惑しました
  189. トナカイ: 魔王様に、そんな過去が あっただなんて…
  190. 商人: 商人としてこの国へ来たときも 優しくしてくれていたのに…
  191. トナカイ: うん…だからちょっと まだ信じられない気もする…
  192. 兵士: そんなの、今まで 本性を隠してただけだろ
  193. 兵士: おい、長老は知ってたんだろ 暴虐の魔王って呼ばれた先代を
  194. 長老: …ええ、それはそれは 恐ろしい方だったわ…
  195. 長老: だけど、今の魔王様は 国を滅ぼしたりしていない
  196. 商人: …でも、それが宿命なら これから何が起こるか…
  197. 兵士: ああ、何かあってからじゃ おせーんだし
  198. 兵士: オレらで魔王を倒さねーとだろ
  199. ???の声: みんな、落ち着いて
  200. トナカイ: 女王様っ! わたしたち、どうしたら…
  201. 氷の女王: …うん、困惑するのも 無理はないよね
  202. 氷の女王: みんなのためとは言え 今まで魔王のことを隠していて
  203. 氷の女王: 本当にごめんなさい…
  204. 兵士: 女王!聞かせろよ! なんでアイツのことを隠してたか
  205. 氷の女王: …確かに、先代の魔王は 暴虐の王だったわ
  206. 氷の女王: けど、それは先代の話で 今の魔王とは違う人の話よ
  207. 兵士: でもよ…!
  208. 氷の女王: …それじゃあ、聞かせて?
  209. 氷の女王: 今の魔王は、みんなにとって どんな王だった?
  210. 兵士: それは…
  211. 商人: …魔王様は、いつも冬を越す 手伝いをしてくださいました
  212. トナカイ: うん!暖炉に火をつけてくれたり 食べ物をわけてくれたよね!
  213. 長老: 魔王様はいつだって、私たちに 寄り添ってくれる優しい方よ
  214. 氷の女王: …そうね、あなたは?
  215. 兵士: …オレだって、冬だけじゃなく いろいろ助けてもらってる…
  216. 兵士: それに今年はさ、魔王の望みを 叶えるために頑張ったろ?
  217. トナカイ: 望みは、みんなと仲良くすること …だったよね!
  218. 兵士: あれ、ちょっと嬉しかった だから…アイツが国を滅ぼすなら
  219. 兵士: オレが倒してでも、魔王を 止めてやんねーと…って思ってた
  220. 氷の女王: ふふ、優しいんだね
  221. 氷の女王: …ねぇ、お願い 一緒に魔王を救ってほしいの
  222. 氷の女王: 過去を隠していたことは ごめんなさい…でも
  223. 兵士: …いいぜ、どんな過去だろうと 魔王は、魔王だもんな
  224. 商人: はい、みんなが魔王様を 好きな気持ちは変わりません…!
  225. 長老: ええ、だからわたしたちも 魔王様にお供するわ
  226. 氷の女王: …ありがとう、みんな!
  227. 氷の女王: 宿命に苦しめられている魔王を 私たちで助けましょう
  228.  
  229. FILENAME: text_518010-4_bjKnj.txt
  230. 自らの宿命を思い出してしまった魔王は 誰も傷つけないようにと姿を消し 国民たちは、その事実にひどく困惑しました
  231. 女王は姿を消した魔王を救うため 過去の苦悩を知る“理解者”になろうと考えると “悩みの欠片”がある彷徨いの森へ向かいました
  232. ですがそこでは あらゆる試練が女王を待ち受けていたのです
  233. 氷の女王: それで、魔王を救うには “理解者”になる必要があるのね
  234. 長老: そう言い伝えられてるわ
  235. 兵士: んで、ここに来たって訳か …どこだここ?
  236. 長老: ここは“彷徨いの森”と 呼ばれているわ
  237. 商人: あ、聞いたことがあります!
  238. 商人: 悩める人が迷い込む 不思議な森がこの国にはあるって
  239. 長老: ええ…
  240. 長老: だけど、ここへ来るのは 悩みから人を助けたい人も同じ
  241. 長老: そういう人はみんな この森の奥へ行く必要があるの
  242. トナカイ: どういうこと?
  243. 長老: 「彷徨いの森は悩んでいる人の頭と同じ グルグル考え込むのと同様に 立ち入った人もグルグルさまよってしまう」
  244. 兵士: じゃあ、オレたちはこのまま 森から出られないってことか!?
  245. 長老: いいえ、わざわざ来たんだもの 出る方法はあるわ
  246. 長老: 「悩んでいる人の理解者になれば グルグルが解消されて道が開ける… 悩みを知って理解者になるには 試練を乗り越えて、森に散らばっている “悩みの欠片”を拾い集める必要があるわ」
  247. 氷の女王: 悩める人の理解者になることが この森から抜け出す鍵で
  248. 氷の女王: それこそが、魔王を救う 手立てとなるということね
  249. トナカイ: それじゃ、その欠片ってのを みんなで探しに行こう!
  250. ガサガサ…
  251. 氷の女王: ――っ!?
  252. 氷の女王: …そこに、誰かいるの?
  253. ???の声: …どうして
  254. ???: …どうして 女王様がここにいるんですか
  255.  
  256. FILENAME: text_518010-5_bjKnj.txt
  257. ???: …どうして 女王様がここにいるんですか
  258. 氷の女王: …あなたは 火の魔王の従者…
  259. 魔王の従者: ええ、そうです
  260. 魔王の従者: …女王様、失礼ですが 魔王様を救うつもりなら結構です
  261. 魔王の従者: 魔王様は、従者である この私が助け出しますから
  262. 兵士: …おい、オマエ 女王にシツレイなんじゃねーの
  263. 魔王の従者: …だから言ったんです “失礼ですが”って
  264. 兵士: あぁ!?
  265. 氷の女王: …いいから、下がって
  266. 氷の女王: ねぇ、私もあなたも 魔王を救いたい気持ちは同じよね
  267. 氷の女王: それなら、一緒に 助け合うのはダメなの?
  268. 魔王の従者: …女王様のお考えが 私には、わからないの
  269. 氷の女王: 私の…?
  270. 魔王の従者: いつも魔王様を支えてくれるのは とても感謝してるんです
  271. 魔王の従者: …けど魔王様の宿命を隠すことに 私はずっと反対だった
  272. 氷の女王: それは…魔王を守るためには 仕方のないことで…
  273. 魔王の従者: わかっているけど 私は正しくないと思うの
  274. 魔王の従者: …だって、魔王様ならきっと 宿命だって乗り越えられるもの
  275. 魔王の従者: 障害を取り除くことだけが 魔王様のためとは思えない…
  276. 氷の女王: …………
  277. 魔王の従者: …ごめんなさい、女王様
  278. 魔王の従者: だけど、魔王様を心配する 私の気持ちも理解してほしいの…
  279. 氷の女王: …ええ、その気持ちは受け取るわ
  280. 氷の女王: けれど、国の長としてだけでなく ひとりの友人として
  281. 氷の女王: 私も魔王が心配なの …だから手を引くことはできない
  282. 魔王の従者: …わかりました それでは、こうしませんか
  283. 魔王の従者: この森は、悩める人の理解者と なることが脱出の糸口で
  284. 魔王の従者: 魔王様を救う 手立てでもあります
  285. 魔王の従者: だから、本当に魔王様を想うなら 悩みの欠片も見つけられるはず
  286. 魔王の従者: 女王様が、もしも私より 先に欠片を見つけられたのなら
  287. 魔王の従者: 私は、あなたを認めます
  288. 氷の女王: ええ、わかったわ
  289. 氷の女王: あなたたちは 手を出さないでね
  290. 氷の女王: こちらも私ひとりで 探さないと公平じゃないから
  291. 商人: …はいっ、わかりました
  292. トナカイ: 一緒に行くのはいいよね?
  293. 魔王の従者: たとえ人数差があっても 負けないので、いいですよ
  294. 魔王の従者: …それでは、また
  295. 兵士: …なんかヤな感じのやつ
  296. 商人: そう…でしょうか?
  297. 商人: きっと、それだけ魔王様のことが 大切なんだと思います
  298. 商人: それにあの方、町でたまに お花を売っているんですけど
  299. 商人: いつもは、とっても笑顔で お花の説明をしてくれるんですよ
  300. 長老: 従者のお嬢さんは、ああ見えて ずいぶんと昔から
  301. 長老: 魔王様についてらしたからねぇ
  302. 氷の女王: うん、彼女がああ言うのも 仕方のないところだと思う
  303. 氷の女王: …だからこそ 私が、頑張らないとね
  304. トナカイ: それで、悩みの欠片を 探すって話だけどさ
  305. トナカイ: それって どんな形をしているの?
  306. 長老: それが、わからないのよね…
  307. 長老: その人にとって思い入れのある 形になることが多いらしいけど
  308. 兵士: はぁ!?それじゃあ 見つけらんなくねーか!?
  309. 氷の女王: …………
  310. 商人: 女王様…?
  311. 氷の女王: …欠片、あっちにある気がする
  312. 商人: えっ!? 女王様、わかるんですか?
  313. 氷の女王: そんな気がするだけだけど…
  314. トナカイ: じゃあ、その直感に従って 行ってみよー!
  315. 氷の女王: あっ! これ…!
  316. 氷の女王: この箱が 悩みの欠片…なのかも
  317. 長老: …じゃあ、試練も ここに…?
  318. ???の声: 「ええ、そうです!」
  319.  
  320. FILENAME: text_518010-6_bjKnj.txt
  321. ???: よく、ここがわかりましたね
  322. 氷の女王: あなたは…?
  323. 守り人1: 私は、この欠片の番人 守り人…というところですかね
  324. 守り人1: みなさん、悩みの欠片を 探しに来たんですよね?
  325. 氷の女王: ええ、そうよ 渡してもらえる?
  326. 守り人1: それは、私との勝負で勝てば もちろんお渡ししますよ
  327. 氷の女王: 勝負って…?
  328. 守り人1: ここでの試練は魔王様の記憶や 想いから作られているのですが…
  329. 守り人1: 私との勝負は知恵比べですね
  330. 守り人1: 「勝負の内容は至って簡単 相手を傷つけずに身動きを取らせなくすること これが出来た方の勝ちです!」
  331. 守り人1: では、先攻後攻を じゃんけんで決めましょうか
  332. 氷の女王: …じゃあ、私が先攻ね
  333. 守り人1: はい、どこからでも かかってきてください!
  334. 守り人1: ただし、ケガをさせたら 失格ですからね!
  335. 氷の女王: ええ、わかったわ
  336. 氷の女王: …氷よ、雪よ 私に力を貸して…!
  337. ビュゥウゥウ…
  338. トナカイ: うわ、さっむ!
  339. 守り人1: さすが女王様ですね しかしこれくらいなら動け…
  340. 守り人1: …なっ!?靴が凍って 地面に張りついてる…!
  341. 氷の女王: ええ、足下を凍らせたから 靴を脱がなきゃ動けないよ
  342. 守り人1: しかも、手がかじかんで 靴を脱ぐこともできない…
  343. 守り人1: …いやあ、完敗です! お見事と言う他ありません
  344. 兵士: じゃあ、欠片は もらえんのか?
  345. 守り人1: いいえ、次は私の番です
  346. 守り人1: じゃあ、この丸太の上に 手を置いてください
  347. 守り人1: ああ、手の甲が上ですよ
  348. 氷の女王: …ん、これでいい?
  349. 守り人1: はい、そして手の上に
  350. 守り人1: 水がなみなみ入った コップを乗せて…っと
  351. 守り人1: これで、動けませんね 女王様
  352. 兵士: おいやべーじゃん! 動いたら水こぼしちまうぞ
  353. 氷の女王: …………えいっ
  354. カチン
  355. 商人: わ、コップの中のお水が 凍っちゃいました…!
  356. 氷の女王: よいしょ… はい、動けたわよ
  357. 守り人1: おお!お見事です! これは完敗ですね!
  358. 守り人1: ほんの少しの機転で、案外 問題は解決したりするんですよね
  359. 氷の女王: …? 確かに、そうだね
  360. 守り人1: ただ、女王様は氷の魔法の力が あったから解決できた
  361. 守り人1: …では、それがなかったら どうしていたでしょう?
  362. 氷の女王: え…それは…
  363. 守り人1: ふふ、簡単なことですよ そのまま動いちゃえばいいんです
  364. 氷の女王: でも、それじゃあ水が こぼれちゃう…
  365. 守り人1: 「この戦いのルールは 相手を傷つけずに身動きを取らせなくすること つまり、ケガさえさせなければいいんですよ」
  366. 守り人1: こぼしちゃいけないなんてルール 最初からなかったんです
  367. 氷の女王: え…
  368. 兵士: なんか、それってズルくね?
  369. 守り人1: いいんですよ、人間は ちょっとくらいズルい方が
  370. 守り人1: …さて、約束ですから 悩みの欠片をお渡しします
  371. 守り人1: では、この欠片に宿る 魔王様の苦悩をお見せしましょう
  372. 火の魔王: ワタシは暴虐の魔王の血筋… だから、全部壊してしまう…!
  373. 火の魔王: 大好きな国も、町も そこに住む人々もみんな…!
  374. 氷の女王: そんなことない…! あなたは先代とは違う…
  375. 氷の女王: 魔王であることに囚われないで
  376. 氷の女王: 私といるときのあなたは ただのお友だち…そうでしょ?
  377. 守り人1: これは…記憶を封印する前の 出来事ですよね?
  378. 氷の女王: …そう、でも結局ダメで 私は、その記憶を封印した…
  379. 氷の女王: あの子が乗り越えられる 可能性を捨ててズルをしたの
  380. 守り人1: でも、それも魔王様を 救うためのズルじゃないですか
  381. 氷の女王: え…
  382. 守り人1: さて、次の欠片も もちろん探しに行くんですよね?
  383. 守り人1: 私も、行く末を一緒に 見守らせてもらいますよ
  384.  
  385. FILENAME: text_518010-7_bjKnj.txt
  386. 長老: これで、ふたつ目の欠片ねぇ
  387. 氷の女王: どうして場所がわかるのか 私にも、よくわからないけど…
  388. トナカイ: あ…じゃあ、また守り人が 出てくるってことだよね?
  389. ???の声: 「ええ、その通りです」
  390. 守り人1: この声は…!
  391. 守り人2: どうも、こんにちは 守り人がともに居るということは
  392. 守り人2: ひとつ目の試練は 乗り越えたというわけですか
  393. 守り人3: では、説明は不要ね 私たちと勝負よ
  394. 兵士: 今度は、何で勝負するんだ?
  395. 守り人3: 私たちとしてもらうのは トランプの大富豪よ
  396. トナカイ: あれ、でもこっちからは女王様 しか出られないし
  397. 商人: ええ、2対1じゃ不利です
  398. 守り人2: 私たちは完全に個ですから 個人戦…協力はしません
  399. 守り人3: 協力とは、たとえばふたりで 話し合ったり、示し合わせたりね
  400. 守り人2: 信用ならないのであれば 私たちの周りに仲間を置いて
  401. 守り人2: 監視して頂いても構いません
  402. 守り人2: 「そして、女王様の勝利条件は 我々のうちどちらかひとりを負かすこと… つまり、女王様は最下位以外なら勝利」
  403. 守り人2: ということでどうでしょう?
  404. 氷の女王: ええ、わかったわ
  405. 守り人2: では、さっそくですが ゲームを始めましょうか
  406. 守り人3: ルールは、この紙に 書いたから参考にしてね
  407. 氷の女王: 基本ルール…革命あり… うん…他もわかったわ
  408. 守り人2: では、スタートです
  409. 兵士: なぁ、これ今どんな感じだ? 女王やべー顔してるけど
  410. 商人: 少し手札が見えましけど あれは…厳しそうですね…
  411. 長老: ええ…見間違いだと 思いたいくらいよ…
  412. 守り人1: ただでさえ、ふたりは強いのに 運にも見放されたとなると…
  413. トナカイ: わわわ、頑張れ女王様ー!
  414. 守り人2: …少々、本気を 出しすぎたでしょうか?
  415. 守り人3: でも、勝負事で力を抜くのは 相手に失礼だからね
  416. 守り人3: さぁ、そろそろ勝負も 決まるころかな
  417. 氷の女王: ………… いいえ、まだよ
  418. パサッ
  419. 守り人2: ――っ!?
  420. 守り人3: まさか、これって…!
  421. 氷の女王: 「革命」だよ
  422. 兵士: おいおい、なんだ革命って
  423. 長老: そうね… とっても簡単に言うと
  424. 長老: 弱いカードと強いカードが 全部反対になるのよ…!
  425. トナカイ: つまり 逆転のチャンスってことだよ!
  426. 氷の女王: これで… 上がりっ!
  427. 守り人3: あぁー、負けちゃったか… でも、すっごい楽しかったなぁ!
  428. 守り人2: ええ、私もここまで白熱 したのは久しぶりでした
  429. 氷の女王: 私も楽しかったよ ありがとう
  430. 守り人2: …革命は、最初から 戦略の内だったんですか?
  431. 氷の女王: いいえ、たまたま…
  432. 氷の女王: でも、諦めたくなかったから チャンスをずっと探していたの
  433. 守り人3: 劣勢でも女王様は諦めなかった それは、とてもすごいことだね
  434. 守り人2: ええ、諦めなければ 結果はどうにだって変わる…
  435. 守り人2: スタート地点は変えられずとも ゴールは…未来は変えられます
  436. 氷の女王: うん… 確かに、そうかもしれない
  437. 守り人2: では、この悩みの欠片は 女王様にお渡ししますね
  438. 氷の女王: これで、ふたつ
  439. トナカイ: わ…合体した!?
  440. 守り人2: ええ、箱の形をしてるだけで 悩みの欠片は元々ひとつですから
  441. 守り人2: …さて、では私たちからも お見せしましょうか
  442. 守り人3: ええ、魔王様の想い… そのひとつを
  443. 火の魔王: ふぅ…ふぅ…
  444. 氷の女王: …あなた! どうしたの…!?
  445. 火の魔王: …ダメなんです 宿命からは逃げられない
  446. 火の魔王: ワタシが魔王であることは もう変えられないんです…!
  447. 火の魔王: 諦めるしか…ないんです!
  448. 守り人2: …この直後だったようですね 記憶を封印したのは
  449. 氷の女王: ええ、暴走する魔王を抑えて 記憶を封印したわ…
  450. 氷の女王: あの子も、私も…あのとき 諦めてしまったの…
  451. 守り人3: だから今、こうして 救いに行くんでしょう?
  452. 守り人3: 未来を変えるために
  453. 氷の女王: ええ…そうよ! ねぇ、他にも欠片はあるのよね
  454. 守り人3: そうね…でも 多分、そろそろラスト
  455. 守り人3: だから、私たちも 一緒に行っていい?
  456. 氷の女王: ええ、もちろんよ
  457.  
  458. FILENAME: text_518010-8_bjKnj.txt
  459. 氷の女王: 最後は、ここね…
  460. ???の声: 「フフフ…待っていたぞ 女王たちよ」
  461. 守り人4: 守り人最強の、この僕を 倒すことができるかな…?
  462. 氷の女王: ええ、どんな敵だろうと 私は負けないから!
  463. 氷の女王: さあ、次は何をして戦うの
  464. 守り人4: 僕からのミッションは
  465. 守り人4: このuserNameを 捕まえることだ
  466. 兵士: なんだぁ? このちっこい生きもの
  467. 商人: ふふ、ちょっと可愛いですね
  468. userName: モッキュー?
  469. 守り人4: この子は僕の眷属 臆病な代わりに逃げ足が速いんだ
  470. 守り人4: だから、そう簡単に 捕まりっこな…
  471. userName: モキュキューイ!
  472. 氷の女王: わっ…! …あれ、捕まえちゃった…?
  473. トナカイ: ってことは、女王様の 勝ち…だよね!?
  474. 守り人4: な…いつもは そんなことないのに!
  475. userName: モキュゥ?
  476. 守り人4: そうか、僕の知らないうちに 臆病を克服していたのか…
  477. 守り人4: フッ、なら僕はその成長を称えて 奥の手を出すとしよう
  478. 長老: 奥の手…!?
  479. 商人: いったい、何が…!
  480. 守り人4: さあ、出てこい…!
  481. 守り人4: こいつと戦って勝てれば 悩みの欠片を渡そう…!
  482. 守り人4: こんな見た目だけど 結構強いからな、ふふふ
  483. 兵士: さすがに、あんなちっこいの 弱いに決まってるだろ
  484. 兵士: …って、あ!? アイツどこ行った!?
  485. 氷の女王: な…!?
  486. トナカイ: 女王様、危ない…!
  487. 氷の女王: あなた…
  488. ???: たぁっ!
  489. ???: 女王様 とどめを…!
  490. 氷の女王: ええっ!
  491. ???: …遅れてごめんなさい ケガはないですか、女王様…
  492. 氷の女王: ええ、ありがとう …けど、驚いたわ
  493. ???: 寝てたら、外は騒がしいし 女王様も見当たらなかったから…
  494. ???: 町の人たちを落ち着かせて 女王様を追いかけてきたの
  495. 氷の女王: それは助かったわ ありがとうね
  496. ???: ふふ、すごい…?
  497. 氷の女王: ええ、もちろん
  498. トナカイ: えっと、その子って…?
  499. 女王の従者: …私は、女王様の従者 女王様を守るのがお仕事
  500. 兵士: ちっこいのに 大したもんだな!
  501. 女王の従者: …ちっこくは、ないけど…
  502. 氷の女王: ええ、昔から一緒にいるから そんなに子どもじゃないのよ
  503. トナカイ: あ、それより! 悩みの欠片!もらえるんだよね!
  504. 守り人4: …あぁ、負けは負けだ
  505. 守り人4: これで、最後のひとつのはず
  506. 守り人4: …彼女が持っているのと 合わせればね
  507. 氷の女王: 彼女…?
  508. 魔王の従者: …すべて、見つけたんですね
  509. 魔王の従者: 私は、ひとつしか… 見つけられなかったのに
  510. 魔王の従者: 魔王様への気持ちが 足りなかったのかな…
  511. 氷の女王: そんなことない! 私、見てたから
  512. 氷の女王: あなたが魔王を ずっと側で支えていたこと…
  513. 氷の女王: だから、そんな風に言わないで 一緒に魔王を助けに行こう?
  514. 魔王の従者: …っ、ありがとう 女王様…
  515. 魔王の従者: 負けちゃったのは、とっても とっっっても悔しいけど
  516. 魔王の従者: きっと、この欠片の力で魔王様を 救えるのは女王様だけだから…
  517. 魔王の従者: だから、女王様 私の代わりにお願いしたいの
  518. 魔王の従者: どうか、魔王様を 助けてあげて…!
  519. 氷の女王: ええ、任せて…!
  520. 氷の女王: …魔王は、私が助けるわ
  521. 氷の女王: (だから、ごめんなさい)
  522. 氷の女王: (少しだけ、あなたの過去を 覗かせてもらうわね…)
  523.  
  524. FILENAME: text_518010-9_bjKnj.txt
  525. 守り人1: 「悩みの欠片をすべて集めた女王様なら きっと、魔王様の過去と苦悩を知る “理解者”へとなれることでしょう」
  526. 守り人4: 「過去の記憶をたどる旅に幸あらんことを」
  527. 火の魔王: ワタシは暴虐の魔王の血筋… だから、全部壊してしまう…!
  528. 火の魔王: 大好きな国も、町も そこに住む人々もみんな…!
  529. 氷の女王: そんなことない…! あなたは先代とは違う…
  530. 氷の女王: 魔王であることに囚われないで
  531. 氷の女王: 私といるときのあなたは ただのお友だち…そうでしょ?
  532. 氷の女王: これは、さっき見せてもらった記憶…?
  533. みふゆ: ワタシは、梓家の娘… だから全部、仕方ないんです…
  534. みふゆ: お稽古が苦しくても、お母様の 折檻がつらくても我慢しなくちゃ
  535. やちよ: そんなことないよ…!
  536. やちよ: 家がどうだって みふゆはみふゆなんだから
  537. やちよ: 私といるときは ただのみふゆでいられるって
  538. やちよ: そう言ってたじゃない…!
  539. 氷の女王: …あ、れ… 記憶が変わっていく…?
  540. 火の魔王: ふぅ…ふぅ…
  541. 氷の女王: …あなた! どうしたの…!?
  542. 火の魔王: …ダメなんです 宿命からは逃げられない
  543. 火の魔王: ワタシが魔王であることは もう変えられないんです…!
  544. 火の魔王: 諦めるしか…ないんです!
  545. みふゆ: うっ…うぅ…
  546. やちよ: …みふゆ! どうしたの…!?
  547. みふゆ: …ダメなんです 家からは逃げられない…
  548. みふゆ: ワタシが梓家の娘であることは もう変えられないんです…!
  549. みふゆ: 諦めるしか…ないんです!
  550. 氷の女王: 似たような記憶… でも、違う…これは何…?
  551. みふゆ: …ぅ…ぐす…っ うぅ…
  552. やちよ: あの…あなた! 大丈夫…!?
  553. 氷の女王: この記憶… この世界のじゃ、ない…?
  554. 氷の女王: この記憶は、魔王のものじゃない… これは… この、記憶は…!
  555. みふゆ: やっちゃん、ごめんなさい… こんな夜中に相談なんて…
  556. やちよ: 別にいいのよ、これくらい …で、どうかしたの?
  557. 氷の女王: …そう、少し前に私 あの子から相談されたんだ
  558. みふゆ: 問題があるわけじゃないんです 模試の結果も上がってきてますし
  559. みふゆ: 許嫁の彼とも…たまに会って 良好な関係は築けています
  560. やちよ: …なら、あなたの望みは 叶う方に進んでいるんじゃ…
  561. みふゆ: …そうなんです、でも… どこかでブレーキがかかるんです
  562. みふゆ: 情けないことに、前に進もうと 望む自分になろうとするたびに
  563. みふゆ: お母様の言葉が 脳裏に響いて足がすくむんです…
  564. みふゆ: ワタシは“梓家の娘”であって そこからは逃げられない…と
  565. みふゆ: 呪いのように ワタシを縛りつけてるんです
  566. やちよ: でも、みふゆ…もうあなたは ひとりで暮らしているし
  567. やちよ: 立派に自立してるじゃない 子どもの頃とは違うわ
  568. みふゆ: ええ、でもダメなんです…
  569. みふゆ: きっとワタシは最初から 諦めていたから…
  570. みふゆ: 臆病なワタシには 全部、無理なことだったんです
  571. 氷の女王: この、記憶…そうか… そういうことだったんだね…
  572. やちよ: これは魔王の物語じゃなくて みふゆの物語…
  573. 火の魔王: ぐすっ…ぐす…
  574. みふゆ: やっちゃん…
  575. やちよ: (きっとみふゆは、魔王のように 今もどこかで泣いている…)
  576. やちよ: (そう…私は物語をたどって みふゆを助けるために…)
  577. やちよ: (物語を思い出して この世界の住人になった)
  578. やちよ: (でも役になりきっていたはずが 意識まで乗っ取られて…)
  579. やちよ: (私たち、今まで物語の世界に 操られていたのね…)
  580. やちよ: (いえ、それよりも…)
  581. やちよ: (試練を乗り越えたら 物語は終わるはずじゃ…)
  582. やちよ: (…違う、あのとき私が 思い出したのは途中まで…)
  583. やちよ: (当たり前のように ハッピーエンドと思ってたけど)
  584. やちよ: (…この物語の続きは… えっと…なんだったかしら…)
  585. やちよ: …これは… みふゆが書いたプロフ帳…
  586. やちよ: みふゆが書いたプロフ帳にあった 「将来の夢」の欄… そこには、書いては消してを 繰り返した痕跡と、涙の落ちた痕…
  587. やちよ: そう、思い出した…あれは みかづき荘でクリスマス会を開く少し前のこと 私たちは、そこで披露する劇を 下宿のお姉さんたちと一緒に作っていたわ
  588. みふゆ: ―みふゆ― 火の魔王と氷の女王のダブル主演なら それぞれで目立つ場所を作りたいですよね
  589. やちよ: ―やちよ― じゃあ、前半は魔王が活躍して 後半は女王が活躍するのとかはどう?
  590. やちよ: ―やちよ― それで、ラストは少しシリアスにしたいの メリーバッドエンドっていうやつ
  591. みふゆ: ―みふゆ― メリーバッドエンド? メリークリスマス…の仲間ですか?
  592. やちよ: ―やちよ― えっとね、見る人によってハッピーエンドとも バッドエンドとも取れるようなお話のことよ
  593. やちよ: でも、そのエンディングは プロフ帳にまつわって起きた クリスマス直前の ある事件によって没になった
  594. やちよの祖母: それは、可哀想だったねぇ…
  595. やちよ: おばあちゃん みふゆ、どうかした…?
  596. やちよの祖母: それがね、プロフ帳?って いうのに書いた将来の夢を
  597. やちよの祖母: お母さんに見られてしまった みたいでね…
  598. やちよ: なんて書いたの…?
  599. みふゆ: …っう、変身ヒロインって 書きました…
  600. みふゆ: ファンタジーってわかってます それでも、夢を見たくて…
  601. みふゆ: ワタシっ…逃げられないんです 梓家の娘であるということから
  602. みふゆ: ワタシの将来は決まっていて 希望のある未来なんてない…
  603. みふゆ: そう、あの宿命に抗えない 魔王とおんなじように…!
  604. やちよ: これが原因で、あの物語からは 後半の話が消えてラストが変わった
  605. やちよ: …あの物語は本来 メリーバッドエンドに終わるはずだった
  606. やちよ: そして今、私たちを飲みこんだ物語は そのエンディングへの道を進んでいる…
  607.  
  608. FILENAME: text_518010-10_bjKnj.txt
  609. やちよ: (思い出した… この物語はたどっちゃいけない)
  610. やちよ: (このままじゃ、私たちは メリーバッドエンドに…)
  611. やちよ: (それどころか、この状況じゃ ほぼバッドエンドになる…)
  612. やちよ: (だって、このあとの 物語の結末って…)
  613. やちよ: (…そう、どこかに書いて 保管していたはずなのよね)
  614. やちよ: (脚本と別に、タイムカプセルの 中にメモをいれていたような…)
  615. やちよ: (…あった、これね)
  616. パラッ
  617. 氷の女王たちは、国を滅ぼしてしまうという 宿命に苦しむ火の魔王を救うために 彷徨いの森での試練を乗り越え 見事、森を抜けることができたのでした。
  618. ですが、女王たちが魔王の従者の案内で 火の魔王がいるはずの山へと向かっても 誰の姿もありません。
  619. それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
  620. なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
  621. しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
  622. それが魔王の望むことでないと知っている女王は 身を挺して魔王を止めることを決めますが 魔王を助けに行く女王の体は 燃え盛る炎によって次第に溶けていきます。
  623. ふたりは、性格も何もかもずっと正反対。 だけど、みんなの幸せを願うことは一緒でした。 そのためならば、この身などは惜しくないほど。
  624. 女王が魔王のもとに行ったあと ふたりがどうなったのかは、誰も知りません。 ひとつだけわかるのは ふたりが消えて、国には平和と ホワイトクリスマスが訪れたということ。
  625. それから、聖夜に人々は祈ります。 ふたりが残してくれたこの場所が どうかこれからも幸せでありますように。 来年も 素敵なホワイトクリスマスになりますように。
  626. やちよ: (…物語としては いいかもしれないけど…)
  627. やちよ: (…このラストにたどり着けば)
  628. やちよ: (私もみふゆも どうなるかわからないわね…)
  629. 水樹 塁: そ、それって、ここで死んだら リアルでも死んじゃう…とか?
  630. みたま: そういうことになるかも…
  631. やちよ: (さて、どうやってこのエンドを 回避すればいいかしら…)
  632. やちよ: (私以外、物語から解放されてる 様子はないみたいだし…)
  633. やちよ: (ここは、ひとりで なんとかしないといけないわね)
  634. [Part 1 end]
  635. ---
  636. [Part 2 start]
  637. FILENAME: text_518020-1_eErb4.txt
  638. やちよ: 魔王の記憶、もといみふゆの記憶を 見たことによって、私は物語から解放された… とは言え、この世界からは抜けられないし 姿も女王のままで、自我だけを取り戻したみたい
  639. やちよ: そして、私が今までみふゆを助けるために たどっていた物語の行きつく先が メリーバッドエンドだったことを思い出した
  640. 氷の女王たちは、国を滅ぼしてしまうという 宿命に苦しむ火の魔王を救うために 彷徨いの森での試練を乗り越え 見事、森を抜けることができたのでした。
  641. ですが、女王たちが魔王の従者の案内で 火の魔王がいるはずの山へと向かっても 誰の姿もありません。
  642. それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
  643. なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
  644. しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
  645. それが魔王の望むことでないと知っている女王は 身を挺して魔王を止めることを決めますが 魔王を助けに行く女王の体は 燃え盛る炎によって次第に溶けていきます。
  646. ふたりは、性格も何もかもずっと正反対。 だけど、みんなの幸せを願うことは一緒でした。 そのためならば、この身などは惜しくないほど。
  647. 女王が魔王のもとに行ったあと ふたりがどうなったのかは、誰も知りません。 ひとつだけわかるのは ふたりが消えて、国には平和と ホワイトクリスマスが訪れたということ。
  648. それ以来、聖夜になると人々は祈ります。 ふたりが残してくれたこの場所が どうかこれからも幸せでありますように。 来年も 素敵なホワイトクリスマスになりますように。
  649. やちよ: つまり、このまま進めば 私とみふゆは生死不明で行方不明 みんなも噴火に巻き込まれるかもしれない
  650. やちよ: (さて、どうやってこのエンドを 回避すればいいかしら…)
  651. やちよ: (私以外、物語から解放されてる 様子はないみたいだし…)
  652. やちよ: (ここは、ひとりで なんとかしないといけないわね)
  653. やちよ: ここまでの流れは、おおよそ物語と同じ… ただ、救いがあるとすれば すべてが物語通りではないこと
  654. やちよ: 守り人との勝負の内容だったり ひとつひとつのセリフだったり 細部は元の内容と違う…ということは そういったところからラストを変えられるかも…
  655. やちよ: それに、何よりさっき見た記憶… あれは魔王のものでなく、みふゆのものだった
  656. やちよ: なら、この物語の目的は 「魔王の悲しみを晴らすこと」ではなく 「みふゆの悲しみを晴らすこと」になってる…?
  657. やちよ: とは言っても、悲しみを晴らしたあとに メリーバッドエンドが待ってるんだから 同じような優しい言葉をかけても 向かう先は生死不明ってことなのよね…
  658. やちよ: (何か、別の方法を 探さないと…)
  659. 女王の従者: 女王様…? 顔色が悪いみたいだけど…
  660. やちよ: え? ああ、ごめんなさい大丈夫よ
  661. 女王の従者: 疲れちゃったなら、その… 私がおんぶするよ…!
  662. やちよ: …いいえ、ありがとう
  663. 魔王の従者: さあ、女王様は悩みの欠片を集め 魔王様の理解者になったはず
  664. 魔王の従者: さっそく、魔王様に 会いに行きましょう!
  665. 氷の女王たちは、国を滅ぼしてしまうという 宿命に苦しむ火の魔王を救うために 彷徨いの森での試練を乗り越え 見事、森を抜けることができたのでした。
  666. ですが、女王たちが魔王の従者の案内で 火の魔王がいるはずの山へと向かっても 誰の姿もありません。
  667. やちよ: (…まずいわ、順調に 物語に沿わされている…)
  668. やちよ: (なんとかして打開策を 見つけつつ)
  669. やちよ: (鶴乃たちを巻き込まずに 済む方法も考えないと)
  670. やちよ: (また、この中にヒントが あったりしないかしら)
  671. やちよ: (…あ、これって 昔、みふゆが作った…)
  672. やちよ: “祈りが届く”魔法のステッキ…?
  673. みふゆ: じゃーん、見てください!
  674. みふゆ: お姉さんたちに手伝ってもらって 魔法のステッキができました!
  675. みふゆ: 「このステッキは、信じる力で強くなるんです! そして、祈りを込めればそれを 叶えてくれたりもする とーっても、すごいステッキなんです!」
  676. やちよ: あら、作ったの?
  677. やちよ: 万能すぎるし尺も足りないから 脚本では没になっちゃったのに…
  678. みふゆ: えへへ、作りたくなっちゃって…
  679. みふゆ: それに、万能とは言っても 強い想いがなければダメなので!
  680. みふゆ: ファンタジーと言えど そんなに甘くはないんですよ!
  681. やちよ: (祈れば…)
  682. やちよ: (…ハッピーエンドに なりますように…)
  683. やちよ: …………
  684. やちよ: (さすがにこれはズルかしら 願いも大きすぎる気がするし…)
  685. やちよ: (…でも、他の祈りなら?)
  686. やちよ: (たとえば…)
  687. やちよ: (あの木に実る 果物が食べたい…!)
  688. やちよ: んん…!
  689. やちよ: (…なんてね)
  690. ガタッ
  691. やちよ: (…これ、はしご…?)
  692. 長老: あら、そのはしご…ここで 誰かが果物でも採ってたのかしら
  693. 兵士: んじゃ、ちょっくらオレも 採ってくるか!
  694. やちよ: (…祈りが、通じてる…?)
  695. 兵士: ほら、女王も食うだろ?
  696. やちよ: ありがとう…
  697. やちよ: きっと物語を変えるような大きな祈りは 少なくとも、私ひとりの祈りじゃ叶わない… でも、こういった目の前の小さなことなら叶う…
  698. やちよ: それも、その祈りを達成するために 必要なものが現れる…という方法で…?
  699. やちよ: …なら、このステッキは私が使うよりも 鶴乃たちに預けて、身を守る手段として 使ってもらった方がいいのかも
  700. やちよ: “身を守るため”のアイテムがあれば あの子たちが目を覚まさなかったとしても 生き延びる可能性を上げられる
  701. やちよ: それに、強い想い… フェリシアや二葉さん…みんなの想いがあれば この世界から抜け出せる可能性もあるわよね
  702. 魔王の従者: 魔王様、ここに いるはずなんだけど…
  703. ですが、女王たちが魔王の従者の案内で 火の魔王がいるはずの山へと向かっても 誰の姿もありません。
  704. やちよ: (物語の通り魔王はいない… そして…)
  705. やちよ: (みんなは物語に操られたまま 話が進行されている…)
  706. やちよ: (このまま話が進めば…)
  707. それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
  708. なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
  709. しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
  710. やちよ: (幻覚と現実の両方で 全滅して死ぬ恐れもある…)
  711. やちよ: (…エンディングを変えて みふゆを救うならきっと)
  712. やちよ: (ここが、ひとつの転換点…)
  713. 魔王の従者: 魔王様ぁ~! どこにいるんですか~!
  714. みふゆの声: こ、来ないでください!
  715. 魔王の従者: 魔王様…! そこにいるんですね…!
  716. みふゆ: ワタシ、国を壊しちゃうから… ここでひとりでいなくちゃ…
  717. みふゆ: お願い… 誰も傷つけたくないんです
  718. 魔王の従者: 大丈夫です、魔王様 あなたはそんなことしない!
  719. 商人: そうです、私たちはみんな 魔王様に助けられてきたから…
  720. 兵士: ああ! だから戻ってきていいんだぞ!
  721. ふさぎこむ火の魔王に、みんなは声を掛けます。
  722. やちよ: (…このまま優しい言葉を かけ続ければ物語通り…)
  723. やちよ: (だから、ここで物語を変えて 違う道へ進む)
  724. やちよ: …みんな、もういいわ 私が魔王を迎えに行くから
  725. トナカイ: でも、女王様!魔王様は あんなに強い炎の向こうに…!
  726. やちよ: …ええ、だからこそ 私が行かなくちゃいけないの
  727. やちよ: あなたたちじゃ 火傷しちゃうでしょう?
  728. やちよ: それに、私は悩みの欠片を すべて手に入れた理解者…
  729. やちよ: 魔王の心に触れて あの子を取り戻すのなら
  730. やちよ: 私が適任のはずよ
  731. 女王の従者: ダメ…!私は、認められない… 女王様がいなくなったら…私…
  732. 女王の従者: お願い、女王様 私が行く…私に行かせて
  733. やちよ: …それはダメよ 代わりに、あなたにはこれを託す
  734. やちよ: (…そう、これで この子たちを逃がす…)
  735. やちよ: (ステッキでここから 逃げてもらって…)
  736. やちよ: (タイムカプセルは、また ヒントになるかもしれないから)
  737. 女王の従者: 私に…?
  738. やちよ: これは 祈りが届く魔法のステッキよ
  739. やちよ: 信じる力と、祈る力が あなたたちを守ってくれるはずよ
  740. 女王の従者: 女王様…えっと… それはどういう…
  741. しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
  742. やちよ: …これから、きっと町には 魔物が現れて、山も噴火する
  743. やちよ: だから、あなたたちは 国民を連れて、ここから逃げて
  744. やちよ: ステッキに祈れば、そのために 必要なものが現れるから
  745. やちよ: どんなことでも、みんなで祈れば きっとなんとかなるはず
  746. 女王の従者: 嫌、女王様を置いてなんて そんなことできない
  747. やちよ: (…この子たちを 巻き込まないためには…)
  748. やちよ: …………はぁ
  749. やちよ: 足手まといなの だから、早く行ってもらえる
  750. 女王の従者: え…
  751. やちよ: (ごめんなさい、これしか 方法が思いつかなくて…)
  752. 兵士: おい! そんな言い方ねえだろ!
  753. やちよ: …悪いわね
  754. やちよ: あとは頼んだわよ
  755.  
  756. FILENAME: text_518020-2_eErb4.txt
  757. やちよ: (これできっと、あの子たちは 国の外へ出て生き延びられる…)
  758. やちよ: だけど、真に救われるためには この世界から抜け出さないといけない
  759. やちよ: 私が魔王の心を救って ハッピーエンドを作り上げるだけじゃダメ
  760. やちよ: 私がハッピーエンドの果てに みふゆの目を覚まさせて 魔法を解いてもらわないといけないわ
  761. やちよ: (でも…)
  762. やちよ: でも、みふゆ…もうあなたは ひとりで暮らしているし
  763. やちよ: 立派に自立してるじゃない 子どもの頃とは違うわ
  764. みふゆ: ええ、でもダメなんです…
  765. みふゆ: きっとワタシは最初から 諦めていたから…
  766. みふゆ: 臆病なワタシには 全部、無理なことだったんです
  767. やちよ: (あのとき、私の言葉で 何も変わっていなかったのなら)
  768. やちよ: (私、本当に あの子を救えるのかしら…)
  769. やちよ: (…ううん、私が弱気に なってちゃダメよね)
  770. やちよ: (だって、泣き虫な あの子を助けてきたのは)
  771. やちよ: (今も昔も私なんだから)
  772. やちよ: …はぁ、それにしても 本当に溶けそう…
  773. やちよ: さっさとみふゆを 見つけないとまずいわね…
  774. みふゆの声: ぐすっ…すん…
  775. やちよ: …この声
  776. やちよ: 待って…!
  777. やちよ: はぁ…はぁ…みふゆっ 待ちなさい…!
  778. やちよ: 待って、そんなに 逃げちゃ…物語通りに…
  779. 女王が魔王のもとに行ったあと ふたりがどうなったのかは、誰も知りません。 ひとつだけわかるのは ふたりが消えて、国には平和と ホワイトクリスマスが訪れたということ。
  780. やちよ: ああ、そう…そういうこと これが最終決戦ね
  781. やちよ: 物語のラストは ふたりが消えるエンド…
  782. やちよ: 大方、氷の女王は この炎で溶けたんでしょうね
  783. やちよ: …だけど行くしかない
  784. やちよ: 私が溶けて消えたとしても せめてみふゆは助けないと…
  785. やちよ: それに、みふゆがいれば この世界もどうにかなるかも
  786. やちよ: だから、私がしっかりしなきゃ
  787. やちよ: 私ひとりの力で…なんとか
  788. やちよ: …なんだか、昔やった かくれんぼを思い出すわ
  789. やちよ: こういうわかりやすい岩陰に あの子はよく隠れてた
  790. やちよ: みふゆは、かくれんぼが とっても下手だったから
  791. やちよ: な…突然場所が…
  792. みふゆ: あっ、見つかっちゃいました
  793. やちよ: (…ここは、みふゆの 過去の記憶…?夢…?)
  794. やちよ: …ほら、みふゆ そろそろ帰りましょう?
  795. みふゆ: あともう少し… だめですか…?
  796. やちよ: はぁ、仕方ないわね…
  797. みふゆ: あ、でも…ダメです もうこんな時間…
  798. みふゆ: 今日もお稽古ですし お母様に叱られちゃう…
  799. やちよ: …場面が変わった…
  800. みふゆ: ぐすっ…どうしよう またお稽古に遅れちゃいました…
  801. やちよ: みふゆ…!
  802. みふゆ: お家に帰っても叱られるし どうしてワタシ、こんなに…
  803. やちよ: 大丈夫よ、何か方法を…
  804. みふゆ: うっ…うぅ…
  805. やちよ: …私の声が 届いていないの…?
  806. みふゆの母: あなたは、どうしてそんなに 上手にできないのですか?
  807. みふゆの母: 私に恥をかかせるために わざとやってます?
  808. みふゆ: っ、ぁ… そんっ、そんなこと…
  809. みふゆの母: 言い訳はいりません 梓家の恥さらしもいいところです
  810. みふゆ: うぅ…ぐすっ… もう嫌です…誰か…誰か助けて…
  811. みふゆ: っ…やっちゃん…やっちゃんが いてくれたら…うぅ…
  812. やちよ: …みふゆ、私はここよ ねぇ…
  813. やちよ: ごめんなさい、私… 知らなかった
  814. やちよ: 私、あなたを助けてる つもりでいたけど
  815. やちよ: 本当は、何も 助けてあげられてなかったのね
  816. やちよ: あなたが私を呼ぶ声に 気づいてあげられなかった
  817. やちよ: そんな私の言葉なんて 届かなくて当然ね
  818. やちよ: ごめんね、気づけなくて
  819. やちよ: …ごめんね そこから助けてあげられなくて…
  820.  
  821. FILENAME: text_518020-3_eErb4.txt
  822. 女王の従者: 女王様に捨てられちゃった… やっぱり私、使えないから…
  823. 商人: そんなことないですよ…! えっと…元気出してください
  824. 守り人1: 女王様は逃げろと言ってましたが みなさんは、どうしますか…?
  825. 魔王の従者: 私は逃げずに 魔王様が戻るのを待ちたい
  826. 女王の従者: …うん、私も 女王様たちを信じてるから
  827. 女王の従者: でも、本当は 助けに行きたい…!
  828. 魔王の従者: 私も、それは同じ気持ちだよ
  829. トナカイ: そう言われちゃうと わたしだって逃げるのは嫌だけど
  830. トナカイ: うーん…
  831. トナカイ: ほっ、そうだ!
  832. トナカイ: もういっそのこと ふたりを救うことにしようよ
  833. トナカイ: このステッキに祈りを込めれば きっとできるよ!
  834. 長老: 逃げるためじゃなくて救うため… わたしも、その方がいいわ…!
  835. 魔王の従者: はい、そうですね…!
  836. 商人: えっと、なんて祈りますか?
  837. 守り人2: その祈りが叶うのに必要な ものが現れるんですよね
  838. 守り人1: 魔王様と女王様を救うこと… ですかね?
  839. 守り人1: いったい、何が現れるのやら
  840. 女王の従者: あと、女王様の願いも叶える
  841. 守り人3: 女王様の願いって?
  842. 女王の従者: 私たちの身を案じてくれてたから 私たちみんなも救われなきゃ
  843. 魔王の従者: うん、そうだね…!
  844. みんな: 「女王様を、魔王様を… それから私たちみんなが救われるために どうか、力を貸してください…!」
  845. 兵士: …おわ!ステッキから なんか、力が…!
  846. ももこ: …………はぁ!?
  847. トナカイ: ん? あれ…えっと…
  848. 長老: あなた…
  849. 鶴乃&みたま: ももこぉ!?
  850. みたま: ちょっと待って 状況を整理させて…
  851. 鶴乃: わたしたち、あれからずっと 物語に操られてたってこと?
  852. みたま: どうも、そうみたいね…
  853. さな: でも、ふたりはまだ 操られたままみたいですよ…
  854. 魔王の従者: 早く、魔王様たちを 助けに行かないと…
  855. 女王の従者: うん…
  856. 古町 みくら: 端役だった私たちに対して 彼女たちは脇役
  857. 古町 みくら: 役割が重くなってる分 戻す条件も難しいのかもしれない
  858. 鶴乃: 今後、わたしたちがどうするか ふたりをどうすれば戻せるか
  859. 鶴乃: これまでの記憶が残ってるのは 不幸中の幸いかもしれないね
  860. 三穂野 せいら: 気にしてなかったけど 確かに記憶は残ってますね!
  861. 三穂野 せいら: あっ…だから、水樹が あんな感じになってるんだ…
  862. 水樹 塁: (わわわわわ、私みんなの前で 闇塁を解放して…!?)
  863. 水樹 塁: う…う…コロシテ…ァア
  864. パサッ
  865. 水樹 塁: …ん?何…これ びっちり書かれたメモ…?
  866. 鶴乃: 残っている記憶で なんとか解決法を考えないとだね
  867. 水樹 塁: あ、あの…その前にやちよさんが
  868. 水樹 塁: 私たちを逃がそうとしてる 理由…なんですけど…
  869. 鶴乃: 噴火と魔物の被害に 巻き込まないようにだよね
  870. 鶴乃: …って、あれ…そんな話 そもそも物語になかったような?
  871. 水樹 塁: そう…さっき、この紙が タイムカプセルから落ちてて
  872. みたま: これはぁ?
  873. 水樹 塁: 多分、没になったって後半… その結末のメモ…かなって…
  874. 吉良 てまり: ちょっと…いいですか?
  875. ですが、女王たちが魔王の従者の案内で 火の魔王がいるはずの山へと向かっても 誰の姿もありません。
  876. それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
  877. なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
  878. しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
  879. 吉良 てまり: これは…
  880. 三穂野 せいら: 全滅エンド待ったなしですよ!
  881. みたま: じゃあ、やちよさんの 今までの行動って…
  882. みたま: この結末を知った上でのこと…?
  883. 吉良 てまり: ええ、我々が魔王に言葉を かけることを止めたのも
  884. 吉良 てまり: 物語の通りにならないため… 彼女はひとりで物語に対抗してる
  885. 吉良 てまり: 恐らく、既に 目も覚ましていることでしょう
  886. 鶴乃: どうしよう、このままじゃ わたしたちは救われるかもだけど
  887. 鶴乃: やちよとみふゆが いなくなっちゃうかもしれない!
  888. フェリシア: オレらに できることはねーのかよ!
  889. 鶴乃: そもそも、どうしてわたしたちが 正気に戻れたのかも
  890. 鶴乃: なんで、ももこがここに 来たのかもわからないし…
  891. ももこ: そうなんだよな
  892. ももこ: 調整屋と連絡がつかないから 何かあったのかもって
  893. ももこ: 調整屋に向かってる途中で なんか、助けを呼ぶ声が聞こえて
  894. ももこ: それで、調整屋に入ったら ここにいたからな
  895. さな: 調整屋は今、足を踏み入れると ここに来ちゃう仕組みですからね
  896. ももこ: え、いろはちゃんとういちゃんも userNameが居ないって
  897. ももこ: 探してたから、このあと調整屋に 来るかもしれないんだけど…
  898. 鶴乃: それもまずいけど 助けを呼ぶ声って何…?
  899. 三穂野 せいら: …それ、もしかしたら こんなセリフじゃなかったです?
  900. みんな: 「女王様を、魔王様を… それから私たちみんなが救われるために どうか、力を貸してください…!」
  901. ももこ: ああ、そう、そんな感じ!
  902. 鶴乃: あ、そうだよ!
  903. 鶴乃: 目が覚めたことで 気が動転しちゃってたけど
  904. 鶴乃: わたしたちみんなを救うために ステッキに祈って…
  905. みたま: ええ、その祈りが叶うために 必要なものが現れるって話で…
  906. フェリシア: それで、どうして ももこがいんだよ?
  907. ももこ: そりゃ アタシのセリフなんだよな
  908. 三穂野 せいら: 私たちだけ正気に 戻ったのも謎…
  909. 水樹 塁: ふたりは、まだ 物語の中みたいだし…
  910. 三穂野 せいら: なんで、ふたりだけ 戻れなかったんでしょう…?
  911. さな: あ…もしかすると ふたりがまだ戻れてないことにも
  912. さな: 意味があるんじゃないですか?
  913. さな: その…これは、あくまで 推測…なんですけど
  914.  
  915. FILENAME: text_518020-4_eErb4.txt
  916. みたま: …つまり、すべては ステッキに祈った結果で
  917. みたま: この結果こそ、わたしたちが 救われる方法に繋がる…?
  918. フェリシア: んあ?ぜんぜんわかんねーから もっかい説明してくれよ
  919. さな: えっと…
  920. さな: 「このステッキに祈れば それを叶えるために “必要なものが現れる”んでしたよね?」
  921. さな: 「つまり、ももこさんが現れたのも 私たちだけが目覚めたのも “みんなが救われる”という祈りを叶えるために 必要だから起きたことなんですよ」
  922. 鶴乃: つまり、物が現れるだけだと 思ってたけど
  923. 鶴乃: 祈りを叶えるのに必要なものは 全部そろうってことだ!
  924. フェリシア: あ、それならさ このステッキをやちよに渡そうぜ
  925. フェリシア: そしたら最強だろ!
  926. 鶴乃: たしかに!フェリシア天才!
  927. 鶴乃: なるほど… こういう発想のためにも
  928. 鶴乃: わたしたちが 目覚める必要があったんだね
  929. 吉良 てまり: そして逆に、従者のふたりが 目を覚まさなかったことにも
  930. 吉良 てまり: 意味があるのかもしれませんね
  931. 女王の従者: 物語…はよくわからないけど ステッキを渡すのはいい案
  932. さな: きっとふたりは従者として 何かすることがあるんですよね
  933. さな: …多分、それで 目を覚ましてないんだと思うから
  934. 魔王の従者: うん…魔王様は 今、炎の向こうにいるでしょ?
  935. 魔王の従者: 魔王様の炎を越えるには 私たちの力が必要なの
  936. 魔王の従者: 火と氷… ふたつを合わせた力が
  937. 鶴乃: ふたりの力で女王たちの ところまで行って
  938. 鶴乃: ステッキを渡すってことだね!
  939. フェリシア: よくデカゴンボールとかじゃ こういうのにみんなの力~とかを
  940. フェリシア: チャージするとでっけー力に なったりするけど、できんのかな
  941. 魔王の従者: ステッキには祈りを届ける力が あるから
  942. 魔王の従者: みんなの想いを込めれば もっと強くなるはず!
  943. 魔王の従者: 魔王様は宿命に苦しんでるから… 私たちで大丈夫って伝えたら
  944. 魔王の従者: きっと、戻ってきてくれるって 私は、そう信じてるの
  945. 三穂野 せいら: あ…でも、そうやって 言葉を伝えるだけじゃ…
  946. それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
  947. なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
  948. しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
  949. 三穂野 せいら: 物語の通り 上手くいかないんじゃ
  950. 魔王の従者: その物語っていうのは よくわからないんだけど…
  951. 魔王の従者: ステッキで想いを伝えるのと ただ声を掛けるのは違うの
  952. 魔王の従者: ステッキは本当の想いを… 祈りを届けることができるから
  953. フェリシア: あぁ? 言葉と気持ちはおんなじだろ
  954. 鶴乃: んー、フェリシアは そうかもしれないけど
  955. 鶴乃: 確かに、言葉って何かしらで 飾ったり、体裁…とか
  956. 鶴乃: あとは上手く言葉にできないとか 正しく伝わらないことがあるから
  957. 鶴乃: フェリシアだって謝りたいけど 言いづらい…とかあるでしょ?
  958. フェリシア: まあ、確かにあるかも…
  959. 女王の従者: このステッキなら、そういうのも 正しく伝えられると思う
  960. 鶴乃: 魔王の宿命…なんだかみふゆも 似たようなことを言ってたね
  961. ももこ: ああ、家の話だな…
  962. ももこ: アタシらの前じゃ あんま話さないけど
  963. ももこ: 梓家の娘じゃなければって こぼしてることもあるもんな
  964. 鶴乃: …もしかしたら、みふゆも 魔王と同じように悩んでるのかな
  965. さな: なら、私たちからみふゆさんへの 想いも伝えないとですよね
  966. 鶴乃: そっか…そうだね! やってみるっきゃないか!
  967. みたま: ええ、他に方法も見つからないし ここで何もしないよりいいわ
  968. ももこ: 待った待った! んで、アタシの役割は!?
  969. 鶴乃: んー、ももこの魔法って激励だし 応援係…とか?
  970. ももこ: そんな馬鹿あるかよ…
  971. 三穂野 せいら: …あるかもしれません
  972. 三穂野 せいら: 水樹、あの映画のこと覚えてる? なんか似てる気がして
  973. 水樹 塁: うん、私も実は思ってた…
  974. みふゆ: さぁ、みんなも! ワタシたちに力を貸して!
  975. みふゆ&塁: ホーリーナイト ミラクルフラーッシュ!
  976. ももこ: あ、みふゆさんが出たやつか 確かにそんな台詞あったな…
  977. 三穂野 せいら: 多分、私たちの力だけじゃ 足りないので呼ばれたのかと
  978. ももこ: じゃあ、アタシは応援で みんなの力を強化…ってことか?
  979. ももこ: まあ、そういうことなら 全力で応援しとくよ!
  980. フェリシア: んじゃ、さっさとアイツら 助けにいこうぜ!
  981. フェリシア: オマエらが連れてってくれるって 言ってたけど本当に大丈夫か?
  982. 鶴乃: うん…けっこうすごい炎だし わたしたちも加勢した方が…
  983. 魔王の従者: いえ、これは 私たちのお仕事なので!
  984. 女王の従者: これでも、女王様をお守りする身 みんなが思うより強いよ
  985. 魔王の従者: だから、みんなはその間に ステッキに想いを込めておいて
  986. 魔王の従者: そして、女王様に ステッキをお渡しして
  987. 魔王の従者: 最後に女王様から魔王様への 想いを伝えてもらうの
  988. ももこ: んで、アタシはみんなの 祈りの力が強くなるように
  989. ももこ: 応援するってとこだな!
  990. 鶴乃: よっし! じゃあ、それで行こう!
  991. ももこ: みんなで魔王たちを 助けに行くぞー!
  992. みんな: 「おー!」
  993.  
  994. FILENAME: text_518020-5_eErb4.txt
  995. やちよ: …はぁ、このままじゃ みふゆを助ける前に溶けそうね
  996. やちよ: …でも、早くみふゆを 見つけてあげなくちゃ
  997. やちよ: 私は、あの子をまだ知らない
  998. やちよ: あれだけ長い時間を過ごしても まだ見えていないことがあった
  999. やちよ: 今度こそ… 本当の理解者になるから
  1000. やちよ: …みふゆ
  1001. みふゆ: …………
  1002. みふゆ: …やっちゃん、覚えてますか
  1003. みふゆ: ワタシ、あの日 行けなかったんです
  1004. やちよ: …あの日…?
  1005. みふゆ: …かなえさんの、お葬式
  1006. みふゆ: どうして… 行ったらいけないんですか
  1007. みふゆの母: …何度言えばわかるんですか 不良の子のお葬式だなんて
  1008. みふゆの母: 梓家の人間として 許せるわけがないでしょう
  1009. みふゆ: …っ、大切な友人なんです お母様、お願いします
  1010. みふゆの母: 亡くなってしまったのは 残念ですけれど
  1011. みふゆの母: そもそも、そんな人と交流を 持っていたのも許せませんし
  1012. みふゆの母: 亡くなったのも、どうせ 不良同士の喧嘩とかでしょう
  1013. みふゆ: …っ!
  1014. みふゆ: かなえさんは そんなことしません…!
  1015. ガチャ
  1016. みふゆ: うっ…ふぅ…
  1017. みふゆ: ワタシ、ワタシ… 間に合わなかった…
  1018. みふゆ: もっと早く、お母様に 反抗して家を出てたら…
  1019. みふゆ: そしたら、ワタシ 最後に挨拶できたのに…
  1020. みふゆ: ごめんなさい、かなえさん… ごめんなさい…
  1021. やちよ: …あの日の、お葬式… みふゆは来られなかった…
  1022. やちよ: だけど、私も余裕がなくて
  1023. やちよ: ひとりで泣いてたなんて 気づいてあげられなかった…
  1024. みふゆ: …でも、仕方ないんです
  1025. みふゆ: だって、ワタシは 梓家の娘…だから
  1026.  
  1027. FILENAME: text_518020-6_eErb4.txt
  1028. みふゆ: だからワタシは、大切な人を 見送ることもできなかった
  1029. みふゆ: ワタシは無力です
  1030. みふゆ: やっちゃんだって 知っているでしょう?
  1031. みふゆ: 「メルさんのときだってそう… ワタシは、いつだって何もできない」
  1032. みふゆ: 「マギウスの翼でのことは ワタシの弱さが引き起こしたことでもあります」
  1033. みふゆ: ワタシは、ずっと ずっと弱いままです
  1034. やちよ: そんなことない… みふゆはっ…!
  1035. みふゆ: ワタシ、やっちゃんとは違う
  1036. みふゆ: 魔法少女としてだって とっても弱いんです
  1037. みふゆ: 願いによって得た力は 夢を見ること…
  1038. みふゆ: 自分の心を少し慰めて そして、空虚になるだけ
  1039. みふゆ: いくら夢を見たって 現実は何ひとつ変わらない
  1040. みふゆ: …お葬式の夜、夢を見ました もしも、式に間に合ったらって
  1041. みふゆ: だけど、目が覚めたとき ひどく虚しかった…
  1042. みふゆ: ワタシは夢の中で、かなえさんに 許されようとしたんです
  1043. やちよ: みふゆ…
  1044. みふゆ: …わかってます
  1045. みふゆ: 死への冒涜…それ以外の 何物でもないですよね
  1046. やちよ: …誰だって、空想や夢に 逃げたくなることはあるわ
  1047. やちよ: あなたが弱いわけじゃない 私がもっと支えてあげられたら…
  1048. みふゆ: …やっちゃんは強いから そんなこと言えるんです
  1049. みふゆ: それに、やっちゃんは 魔法の力で
  1050. みふゆ: かなえさんやメルさんの 想いを継ぐことができる
  1051. みふゆ: でも、ワタシはせいぜい 夢に見るくらい
  1052. みふゆ: 夢に見るだけ…!
  1053. みふゆ: あの日だって 本気で抵抗したのなら
  1054. みふゆ: お母様を振り切って
  1055. みふゆ: お葬式でかなえさんを 見送ることができたのに…
  1056. みふゆ: それをしなかったのは 紛れもなく自分の弱さなんです
  1057. みふゆ: 今まで家で浴びせられた 言葉がブレーキになって
  1058. みふゆ: ワタシ、足が動かなかった…
  1059. みふゆ: 梓家の娘であるワタシは お母様のいいなり
  1060. みふゆ: 出来損ないは意見するのも 許されません
  1061. みふゆ: ワタシは、その境遇から 一生逃れることなく
  1062. みふゆ: お母様の敷いたレールを 進むしかないと決めつけ
  1063. みふゆ: それができるだけでも ワタシは恵まれていると言われ
  1064. みふゆ: 文句も言えなければ 反抗なんてもってのほか
  1065. みふゆ: そうした“しつけ”には 簡単に逆らえない
  1066. みふゆ: …そんな言い訳を いくつも並べて…
  1067. みふゆ: 自分の弱さを 正当化しようとさえする
  1068. みふゆ: ワタシは そんな弱い人間なんです
  1069.  
  1070. FILENAME: text_518020-7_eErb4.txt
  1071. みふゆ: ワタシは そんな弱い人間なんです
  1072. みふゆ: お母様に縛られて 動くことができないんです
  1073. みふゆ: 体だけ大人になっても 全然成長できませんでしたね
  1074. やちよ: そんなこと…
  1075. みふゆ: ワタシは逃げられない 魔王だって、同じ
  1076. みふゆ: 暴虐の魔王の血筋である という宿命から逃れられずに
  1077. みふゆ: 大好きで大切だった 自分の国を焼いてしまうんです
  1078. みふゆ: 梓家の娘であるということから ワタシは死ぬまで逃れられない
  1079. みふゆ: どんな夢を見たって叶わない
  1080. みふゆ: 希望なんて、夢なんて… 抱くだけ無駄なんです
  1081. やちよ: …そんなことない!
  1082. みふゆ: やっちゃんには わかりっこないですよ!
  1083. やちよ: …っ!
  1084. やちよ: …私だって、いろいろ…!
  1085. やちよ: …………いいえ
  1086. やちよ: …みふゆは、家に縛られて 動けないって言うけど
  1087. やちよ: 少し前、みふゆの 心が子どもになったとき…
  1088. やちよ: そのときに、あなたが 何をしていたか覚えてる?
  1089. みふゆ: …何って、元の姿に戻るために 物語をたどっていただけですよ
  1090. やちよ: その中で、何をしたかよ
  1091. やちよ: 「短編映画の変身ヒロインの役を 自ら進んで演じてみたり」
  1092. やちよ: 「子ども化学教室で事故から子どもを守って 本物のヒーローになったり」
  1093. やちよ: 「好きなことを話して みんなで楽しい時間を過ごしてみたり」
  1094. やちよ: あの時のあなたは 家に縛られてなかったはずよ
  1095. みふゆ: …あ、あれはきっと 火の魔王の力に影響されて…
  1096. やちよ: それでも、あなたはその手で 自分の望みを叶えたじゃない
  1097. やちよ: 自ら欲しいものを手に入れた たとえ小さくても夢を掴んだ
  1098. やちよ: それは、あなたが自由だという 証拠なんじゃないの
  1099. みふゆ: ――っ!?
  1100.  
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  1102. やちよ: 自ら欲しいものを手に入れた たとえ小さくても夢を掴んだ
  1103. やちよ: それは、あなたが自由だという 証拠なんじゃないの
  1104. みふゆ: ――っ!?
  1105. やちよ: あなたの過去は… 家のことは知ってる
  1106. やちよ: …いえ、ちゃんとは 知ってあげられてなかった
  1107. みふゆ: やっちゃん…
  1108. やちよ: …みふゆ、ごめんね
  1109. やちよ: 側にいてほしいって 思ってくれていたのに
  1110. やちよ: 私は、隣に いてあげられなかった
  1111. みふゆ: そんな、やっちゃんは 悪くないんです…!
  1112. みふゆ: ワタシが弱かっただけで…
  1113. やちよ: みふゆは弱くない
  1114. やちよ: だって、私がいなくたって あなたは乗り越えてきたじゃない
  1115. やちよ: そうして今、前を向いて 未来へ進んでる
  1116. やちよ: 大学受験のことも 許嫁とのことも
  1117. やちよ: それから、魔法少女の 未来についてだって
  1118. やちよ: 母親の言葉に縛られていても 時には、踏み出せずにいても
  1119. やちよ: それでも、一歩ずつ 自分の足で前に進んでる
  1120. やちよ: そのあなたから 目を逸らさないでほしいの
  1121. みふゆ: だけど、やっちゃん…
  1122. みふゆ: ワタシが梓家の娘だって その事実は変わらないんです…
  1123. みふゆ: お母様には逆らえない…
  1124. やちよ: そんなこと、誰が決めたの?
  1125. みふゆ: え…
  1126. 守り人1: こぼしちゃいけないなんてルール 最初からなかったんです
  1127. やちよ: 逆らっちゃいけないなんて そんな決まりはないでしょう
  1128. みふゆ: で…でも、家柄からは 逃げるなんてこと…
  1129. 守り人2: ええ、諦めなければ 結果はどうにだって変わる…
  1130. 守り人2: スタート地点は変えられずとも ゴールは…未来は変えられます
  1131. やちよ: 生まれは変えられなくても 生き方は変えられるでしょ
  1132. やちよ: 諦めなければ、きっと
  1133. やちよ: …なんて、全部
  1134. やちよ: ついさっき聞いた話の 受け売りなんだけどね
  1135. みふゆ: …でも、ワタシ そんなに強くなんかないです
  1136. やちよ: …いいえ
  1137. 守り人4: そうか、僕の知らないうちに 臆病を克服していたのか…
  1138. やちよ: みふゆは、強い… 強くなっているのよ
  1139. やちよ: あなたも私も、それに 気づいていなかっただけで…
  1140. やちよ: 私は、あなたを助けなきゃ なんて思ってたし
  1141. やちよ: みふゆは、私に居てほしいって 思ってくれたみたいだけど
  1142. やちよ: あなたは、ひとりでも 本当はずっと強かった
  1143. やちよ: 泣き虫だし、弱いところも たくさんあるけどね…
  1144. やちよ: 弱いからこその強さを あなたは、持ってる
  1145. みふゆ: でも、でもやっちゃん…ワタシ ワタシ何かがおかしい…
  1146. やちよ: みふゆ…?
  1147. みふゆ: 抗えないんです… 魔王の、暴虐の血に…!
  1148. みふゆ: ワタシが家に、逆らえないように 逃げられないように…!
  1149. しかし、宿命は絶対です。
  1150. やちよ: くっ…意地でも物語通りに 進ませようってわけ…!?
  1151. みふゆ: …やっちゃん、お願い ワタシを倒してください
  1152. やちよ: は…何を…
  1153. みふゆ: そうしたらこの世界は消えて 巻き込まれたみなさんも助かる…
  1154. みふゆ: やっちゃんなら、最初から その選択肢に気づいてたはずです
  1155. やちよ: …やめて
  1156. みふゆ: これからのことを考えれば 何が最善か理解してるでしょう?
  1157. みふゆ: 弱いワタシひとりいなくなっても やっちゃんがいれば大丈夫
  1158. やちよ: …やめてって言ってるじゃない! 私だって、本当はひとりじゃ…!
  1159. ドーンッ
  1160. やちよ: え…?
  1161. 女王の従者の声: 女王様!
  1162. 魔王の従者の声: 魔王様!
  1163. 魔王の従者&女王の従者: ―魔王の従者&女王の従者ー いっけぇえええっ!
  1164.  
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  1166. 魔王の従者&女王の従者: ―魔王の従者&女王の従者ー いっけぇえええっ!
  1167. みふゆ: これ、って…
  1168. 魔王の従者: 迎えにきましたよ、魔王様っ
  1169. 女王の従者: …大丈夫?女王様
  1170. やちよ: どうして、ここに…
  1171. 女王の従者: だって私は 女王様の従者だから
  1172. 女王の従者: …どう?見直した?すごい?
  1173. やちよ: …えぇ、ごめんね ありがとう…すごいわ
  1174. 鶴乃: やちよーっ!
  1175. やちよ: 鶴乃…は物語から解放されて…? いったいどうやって…
  1176. やちよ: …じゃなくて、ここは 危ないから逃げてって…
  1177. ももこ: はいはい、説明はあとだよ!
  1178. やちよ: は、ももこ!?
  1179. フェリシア: 受け取れ、やちよ!
  1180. 鶴乃: そのステッキには みんなの祈りが込めてある!
  1181. さな: はい、みふゆさんへの想いと
  1182. 魔王の従者: 魔王様への想い
  1183. 女王の従者: あとは、女王様の想いを込めれば 今度こそちゃんと伝わるよ
  1184. 魔王の従者: 強い想いがあれば宿命なんて なんだって覆せるから!
  1185. ももこ: アタシも手助けするぞ!
  1186. 魔王の従者: はい、魔王様を 救ってあげてください!
  1187. やちよ: でも、それじゃ…
  1188. それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
  1189. なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
  1190. しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
  1191. やちよ: やっぱり物語通りになるんじゃ…
  1192. 女王の従者: 大丈夫、私たちを信じて
  1193. 鶴乃: 物語に干渉するなら 物語のアイテム!
  1194. 鶴乃: ここは奇跡を信じて ステッキで結末を変えちゃおう!
  1195. やちよ: …………
  1196. やちよ: …ええ、わかったわ
  1197. やちよ: みふゆ
  1198. みふゆ: そのステッキ…
  1199. やちよ: …そう、覚えてる?
  1200. みふゆ: じゃーん、見てください!
  1201. みふゆ: お姉さんたちに手伝ってもらって 魔法のステッキができました!
  1202. みふゆ: 「このステッキは、信じる力で強くなるんです! そして、祈りを込めればそれを 叶えてくれたりもする とーっても、すごいステッキなんです!」
  1203. やちよ: あら、作ったの?
  1204. やちよ: 万能すぎるし尺も足りないから 脚本では没になっちゃったのに…
  1205. みふゆ: えへへ、作りたくなっちゃって…
  1206. みふゆ: それに、万能とは言っても 強い想いがなければダメなので!
  1207. みふゆ: ファンタジーと言えど そんなに甘くはないんですよ!
  1208. やちよ: このステッキに込められたのは みんなからのあなたへの強い想い
  1209. やちよ: それから、私からの想いも
  1210. やちよ: あなたは、あなたが思うより ずっと大人で、ずっと頑張ってる
  1211. やちよ: そのことを、私も周りも みんな見ているから
  1212. やちよ: だから、あなた自身も
  1213. やちよ: あなたが乗り越えてきた たくさんのことと
  1214. やちよ: 掴もうとしている未来を もう一度、思い出して
  1215. やちよ: 頑張っている自分を ちゃんと見てあげて
  1216. やちよ: あなたはもう、梓家の娘じゃなく ひとりの女性として
  1217. やちよ: みふゆとして 生きているはずよ
  1218. みふゆ: …………
  1219. みふゆ: …そう、でしたね
  1220. みふゆ: なんだか小さい頃に 戻っていたせいなのか…
  1221. みふゆ: 過去に 引っ張られていたみたいです
  1222. やちよ: …そうね
  1223. みふゆ: 大人になった、今のワタシにも… まだ、課題はたくさんあるけど
  1224. みふゆ: 大学進学も、それ以外のことも ちゃんと頑張ってるんでした
  1225. みふゆ: …ただ、前にもやっちゃんに 相談したことですけど
  1226. みふゆ: そう簡単には…梓という家も 考えも、離れてはくれません…
  1227. やちよ: ええ、わかってる
  1228. やちよ: でも、きっと 少しずつ変わっていくわ
  1229. やちよ: あなたは、前よりずっと 強くなってるもの
  1230. みふゆ: そう…でしょうか?
  1231. やちよ: それにね、みふゆ
  1232. やちよ: あなたはもう、19歳 大人の女性でしょう?
  1233. やちよ: 自分のことは自分で… 進む道は好きに決めていいのよ
  1234. みふゆ: 進む道を、決める…
  1235. やちよ: 過去は変えられないけど 未来なら変えられる
  1236. やちよ: 決められた宿命なんてないって 私が証明してあげる
  1237. みふゆ: え、やっちゃん 何を…!
  1238. やちよ: ステッキを握ったら なんだか力が湧いてきたのよ
  1239. やちよ: 誰か、違うお願いを した子がいるんじゃないかしら
  1240. フェリシア: あ、それオレが早く帰りてーって 祈ったからか?もしかして…
  1241. 鶴乃: まあ、少なからずみんな そういう気持ちはあったかも…
  1242. フェリシア: 早く帰んねーと サンタが来ちまうからな!
  1243. やちよ: 今日だけは その雑念に感謝かもしれないわね
  1244. やちよ: さあ、物語の エンディングを変えるわ
  1245. やちよ: メリーバッドエンドも バッドエンドも乗り越えて
  1246. やちよ: 新しい結末に!
  1247.  
  1248. FILENAME: text_518020-10_eErb4.txt
  1249. 氷の女王が魔法を使うと たちまち、国には雪が降り始め 噴火しそうだった火山はおさまり 町に向かっていた魔物たちも消えていきました。
  1250. そして、国の平和は守られ 安堵した火の魔王は泣き出してしまいました。
  1251. 火の魔王: うぅ…
  1252. 鶴乃: あれ、また魔王に 戻っちゃった…?
  1253. フェリシア: 振り出しに戻ったのか?
  1254. やちよ: …いいえ、私たちはまだ ちゃんとこの子を救ってなかった
  1255. フェリシア: …そっか、そうだよな アイツだって苦しんでたもんな
  1256. やちよ: …ねえ、魔王
  1257. 火の魔王: ぐすっ…ごめんなさい
  1258. 火の魔王: …助けてくれたんですよね ありがとう、女王
  1259. 火の魔王: …でも、ワタシの宿命は 消えたわけじゃない
  1260. 火の魔王: また、同じことが起きたら…
  1261. 鶴乃: そうしたら、また今度も みんなで魔王様を止めるよ!
  1262. 魔王の従者: …魔王様には みんながついてますよ!
  1263. 女王の従者: 強い女王様だっている
  1264. やちよ: だから、大丈夫 あなたはひとりじゃない
  1265. やちよ: みふゆも、あなたも きっと宿命から逃れられる
  1266. 火の魔王: …そっか、そっかぁ それなら安心ですね
  1267. 火の魔王: みんな、ありがとう…!
  1268. みふゆ: …はっ!
  1269. 三穂野 せいら: お、戻りましたかね?
  1270. 鶴乃: みふゆ~!良かったよ~!
  1271. 春名 このみ: リースを届けに来たはずなのに どうしてこんなことに!?
  1272. 春名 このみ: やちよさんにケンカを 売っていたような…!?
  1273. フェリシア: こっちも元に戻ったんだな
  1274. みふゆ: …このみさんにも皆さんにも 迷惑をかけてしまいましたね
  1275. 吉良 てまり: いえ、物語に入るとは なかなか面白い経験でした
  1276. みたま: ということで、一件落着ね!
  1277. さな: はい、そうですね…!
  1278. ももこ: んで、ここってみふゆさんの 幻覚の中…なんだよな
  1279. ももこ: なら、みふゆさんが 戻せるって感じか?
  1280. みふゆ: あ、そう…そうですよね
  1281. みふゆ: …………
  1282. みふゆ: …あれ、おかしい…
  1283. 水樹 塁: …もしかして 戻れない…とか?
  1284. 鶴乃: いやぁ、そんなまさか~
  1285. みふゆ: …そのまさか、かもです…
  1286. みふゆ: どうしましょう、やっちゃん
  1287. やちよ: …………
  1288. みふゆ: …やっちゃん?
  1289. やちよ: …………みふゆばっかり
  1290. みふゆ: えっ、えっ やっちゃん!?
  1291. ビュオォォォ…
  1292. フェリシア: うぉ!? どうなってんだこれ!
  1293. ももこ: てか、さむっ!?
  1294. みたま: …さっき、魔王の力で 山が噴火しそうだったなら
  1295. みたま: 雪山になるってことは やちよさんが何かを…?
  1296. 古町 みくら: ちょっと整理させて… つまり、こういうこと?
  1297. 古町 みくら: 「火の魔王についての問題は解決したけど 今度は何らかの問題が氷の女王にあって その結果、吹雪で山が凍った…みたいな?」
  1298. 鶴乃: うん…そういうことなのかな?
  1299. フェリシア: あぁ!?ホワイトクリスマスで ハッピーエンドじゃねーのかよ
  1300. フェリシア: クリスマスに 間に合わなくなっちまうだろ!
  1301. 三穂野 せいら: まぁ、ホワイトクリスマス っていうか、吹雪いてますからね
  1302. 吉良 てまり: 物語はまだ終わらない… そういうことですか
  1303.  
  1304. FILENAME: text_518020-11_eErb4.txt
  1305. ここは、エンディングの向こう側 誰も筋書きのわからない世界。
  1306. 魔王を救った女王たちでしたが 今度は、女王が消えてしまい 民たちは吹雪の中で困り果てていました。
  1307. さな: もう、たどるべき物語も 抵抗するべき物語もありません…
  1308. みたま: いったい、どうすれば…
  1309. 鶴乃: …………
  1310. フェリシア: おい、鶴乃ー? 凍っちまったのか?
  1311. 鶴乃: …ううん、考えてるの 今まで無視してきたこと…
  1312. 鶴乃: 「まず、最初にみふゆが火の魔王になったとき やちよには何も起こらなかったっていう 不思議から始まって…」
  1313. 鶴乃: ダメだよ、やちよ! 物語の続きを思い出したら!
  1314. 鶴乃: やちよが 物語を思い出していくたびに
  1315. 鶴乃?: わたしたち、なぜか 物語に影響っ…されて…!
  1316. 氷の女王: …欠片、あっちにある気がする
  1317. 商人: えっ!? 女王様、わかるんですか?
  1318. 氷の女王: そんな気がするだけだけど…
  1319. 鶴乃: やちよが物語を思い出して みんなが物語に操られ始めて…
  1320. 鶴乃: なぜか、欠片の位置を 女王だけがわかって…
  1321. 鶴乃: …そして、みふゆの力で 幻覚が解除できない不思議…
  1322. 鶴乃: わたしたち、ここが幻覚の 中だから
  1323. 鶴乃: みふゆが引き起こした ことだって思い込んでたけど…
  1324. 鶴乃: これって、やちよの影響も かなり大きいんじゃ…
  1325. みたま: …ええ、みふゆさんひとりの 魔力でこんな空間を
  1326. みたま: ずっと作り続けるのは 無理があると思うし…
  1327. みたま: 何より、タイムカプセルから やちよさんの強い魔力を感じるの
  1328. 鶴乃: だから、あのとき女王は タイムカプセルの位置を
  1329. 鶴乃: 魔力でたどれてたんだ…!
  1330. フェリシア: じゃあ、これ全部 やちよのせいってことか!?
  1331. みふゆ: …というより、ふたりの力が 合わさった結果…でしょうか
  1332. 水樹 塁: 強い魔法少女ふたりの 最悪の合体技…かも…
  1333. 三穂野 せいら: というか、もしそうなら また急がないとですよね
  1334. 古町 みくら: うん、この空間が続くってことは
  1335. 古町 みくら: やちよさんの魔力もみふゆさんの 魔力も消費し続けることになる
  1336. 春名 このみ: でも、どうやってやちよさんを 見つけ出して助ければいいのかな
  1337. 女王の従者: それなら 私から、説明するよ
  1338. 女王の従者: 女王様は、ずっと ひとりで戦っていたの
  1339. 女王の従者は語ります 彼女がずっと側で見てきた女王の姿を 誰も知らない、女王の苦しみを…。
  1340. 吉良 てまり: …また、新しい物語が始まった?
  1341. 鶴乃: やちよが物語を続けているなら 一番近い従者もまだ、物語の中…
  1342. さな: …とにかく、話を聞いて 物語を進めましょう
  1343. 女王の従者: 女王様は、なんでもできる方で みんなに頼られていた
  1344. 女王の従者: 「魔王様と女王様は、昔から力を合わせて 外から来る敵と戦って国を守っていたけど 魔王様は、国の中の仕事が苦手だったから いつも、女王様が代わりにしていたの」
  1345. 女王の従者: 「女王様は、いつだって 魔王様の代わりにいろんな仕事をして 目立たないところで国を支えていた」
  1346. 女王の従者: 「それに、過去の出来事を封印することで 魔王様のことだって女王様が守ってたんだよ」
  1347. 女王の従者: 「それだけ女王様は大変だったけど 今まで人に弱味を見せたりしたことはなかった」
  1348. 女王の従者: 「だから、誰かを支えて守ってきたとしても 女王様を守ってくれる人は誰もいなかった せいぜい、従者である私ぐらい…」
  1349. 女王の従者: それで、女王様は 疲れてしまったみたい
  1350. 女王の従者: 従者である私がもっと しっかりしていれば…
  1351. みふゆ: …いいえ、ワタシのせいです 助けてもらってばかりでしたから
  1352. 女王の従者: 疲れきった女王様は心を凍らせ 山奥へこもってしまった…
  1353. 女王の従者: そして、その氷はいずれ この国を覆い尽くしてしまう
  1354. 女王の従者: だから、お願い魔王様 女王様を助けて
  1355. 女王の従者: きっと、女王様の氷を 溶かすことができるのは
  1356. 女王の従者: 魔王様の炎だけだから
  1357. みふゆ: …ええ、わかりました
  1358.  
  1359. FILENAME: text_518020-12_eErb4.txt
  1360. 心を凍らせてしまった女王を救うため 魔王は女王の従者と民たちと共に 再び立ち上がりました。
  1361. フェリシア: んで、またサマヨイの森から 始めるのか?
  1362. 女王の従者: いえ、それならここに すべてそろってます
  1363. 女王の従者: 私、従者として半人前だから せめて女王様のことを知りたくて
  1364. 女王の従者: 前に、ひとりで見つけだしたの
  1365. フェリシア: …オマエ、すげえな
  1366. 女王の従者: ということだから 魔王様はこれを
  1367. みふゆ: …はい、わかりました
  1368. 三穂野 せいら: 何か見えましたか?
  1369. みふゆ: …ええ、ワタシがやっちゃんと 出会ってから今まで
  1370. みふゆ: どれだけ支えてもらっていたか…
  1371. みふゆ: 初めて会った頃も ワタシがマギウスの翼にいた頃も
  1372. みふゆ: ずっと支えられて… ずいぶん気苦労を負わせてました
  1373. みふゆ: …それに、これを見て 思い出したんです
  1374. みふゆ: 将来の夢に変身ヒロインと書き お母様に叱られたワタシのせいで
  1375. みふゆ: 脚本の後半が没に なってしまったこと…
  1376. みふゆ: そして、そのときの やっちゃんの想いを…
  1377. みふゆ: 演劇、メリーバッドエンドに するって言ってましたけど
  1378. みふゆ: どんなラストにしますか?
  1379. やちよ: 魔王の宿命のところまでは 前に話したでしょう?
  1380. やちよ: それでね、女王が魔王を 助けに行くんだけど
  1381. やちよ: 結局、ふたりは消えて 代わりに国は守られるの
  1382. みふゆ: なるほど…でもそれって なんだか悲しくないですか?
  1383. やちよ: …うーん、私たち魔法少女って
  1384. やちよ: いつ死んじゃうか わからないでしょ?
  1385. みふゆ: …はい、魔女との戦いは いつも命がけです…
  1386. やちよ: 願いは叶ったけど、私たちは いろんなものを失っちゃった
  1387. やちよ: その先でいつか 死んじゃったとしても
  1388. やちよ: 私たちが魔女と戦ったこととか 誰かを助けたこととかで
  1389. やちよ: 物語みたいに未来への希望を 残すことができたなら
  1390. やちよ: それは、私たちがここで生きた 意味になるんじゃないかなって
  1391. やちよ: …そんな祈りを込めた 物語にしたいなって思ったの
  1392. みふゆ: そんなやっちゃんの 祈りが込められた物語を
  1393. みふゆ: ワタシの都合で なくさせてしまっていた…
  1394. みふゆ: 弱虫なワタシが泣く裏で やっちゃんはいつも我慢して
  1395. みふゆ: 弱いワタシを支えてくれて ずっと、強くあり続けた…
  1396. みふゆ: ずっと、助けられてたんです
  1397. さな: …なくなった後半の物語の世界に こうして私たちが入ったのは
  1398. さな: やちよさんが、その物語を 演じたかったからなんでしょうか
  1399. 鶴乃: でも、自分でそのエンディングを 回避しようとしてたよね…?
  1400. 水樹 塁: 昔とは考え方が変わったから…?
  1401. みふゆ: …それもあるかもしれませんが
  1402. みふゆ: きっと、ワタシや みなさんを助けるため…
  1403. 三穂野 せいら: でも、待ってください 今、こうして物語は続いてる…
  1404. 三穂野 せいら: …というか もう一度、進みだした…
  1405. 古町 みくら: それって…!
  1406. 吉良 てまり: かつて、できなかったエンドを また、演じようとしている?
  1407. 鶴乃: それ…また良くない エンドになるってことだよね
  1408. みふゆ: ええ、だから今度はワタシが やっちゃんを見つける番なんです
  1409. みふゆ: 同じように、想いを伝えて…
  1410. みふゆ: だから、みなさんは町の人たちの 安全確保へ向かってもらえますか
  1411. みふゆ: 幻覚の中とは言え 守らないといけないので
  1412. みふゆ: それに、やっちゃんもみなさんに 幼い頃の想いを知られるのは
  1413. みふゆ: 恥ずかしいでしょうし
  1414. 鶴乃: …うん、わかった でも、なにかあったら…
  1415. みふゆ: ええ、そのときは助けを呼びます ステッキもありますからね
  1416.  
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  1418. 女王の苦労を知った魔王は 民たちと共に女王を探しに行こうとしましたが
  1419. 強くなった吹雪で、民たちは凍えてしまい 魔王ひとりで女王を探すことにしました。
  1420. そして、遂には女王を見つけるのですが 女王は逃げ、隠れてしまいました。
  1421. みふゆ: かくれんぼ…今度は ワタシが鬼ですね
  1422. みふゆ: …見つけましたよ、やっちゃん
  1423. みふゆ: …ごめんなさい、いつも やっちゃんに支えられてたのに…
  1424. みふゆ: ずっと、我慢させて しまっていましたよね…
  1425. やちよ: …別に、みふゆのせいじゃないよ
  1426. やちよ: でも私、ずっと頑張ってたの
  1427. やちよ: あのね、私…本当はずっと 甘えたかったの
  1428. やちよ: だけど…甘えられなかった 両親に心配をかけたくなくて
  1429. やちよ: …それも ただの強がりなんだけどね
  1430. やちよ: 実家が大変って知ってるけど 下宿のお姉さんたちに
  1431. やちよ: 素直に甘えられるあなたが 羨ましかった
  1432. やちよ: かなえとメルがいなくなって…
  1433. やちよ: 本当は、どうしようもなく 悲しくて苦しかったけど
  1434. やちよ: もう、私には後輩が居るから 強くいなきゃって…
  1435. やちよ: それから、おばあちゃんも いなくなってしまって
  1436. やちよ: ずっと、気を張っていたの
  1437. やちよ: みふゆがいなくなってからは より一層…
  1438. みふゆ: …やっちゃん ごめんなさい、ワタシ…
  1439. やちよ: なのに こんな世界を作ってしまった
  1440. やちよ: 私がみふゆを助ける… なんて言っていたのに
  1441. やちよ: 一番、私が迷惑をかけて…
  1442. みふゆ: やっちゃんのせいじゃないです
  1443. みふゆ: ワタシが弱くて、頼りないから
  1444. みふゆ: やっちゃんがひとりで 頑張らなきゃいけなかっただけ
  1445. みふゆ: だから、このステッキの力で やっちゃんも思い出してください
  1446. みふゆ: やっちゃんは ひとりじゃないってこと
  1447. みふゆ: そして、あなたの中の あたたかい記憶を…
  1448. …………
  1449. みふゆ: …あれ、何も起きない…?
  1450. みふゆ: (もしかして、さっきので 力を使い果たして…!?)
  1451. みふゆ: (というか、みなさんの想い 受け取ってきてない…!?)
  1452. みふゆ: (あぁぁ…ワタシのバカバカ…)
  1453. みふゆ: (うぅぅ…誰か、誰かワタシに 力を貸してください…!)
  1454. みふゆ: (…なんて、変身ヒロインじゃ ないんだし…)
  1455. みふゆ: ひゃ…!? ステッキから力が…!?
  1456. 鶴乃: みふゆの“力を貸して”って 声が聞こえたから送ってみたけど
  1457. 春名 このみ: 本当に送れてるのか ちょっとわからないですね…
  1458. フェリシア: つーか、想いを集め忘れるとか ありえねーだろ!
  1459. ももこ: まぁ、気づかなかった アタシたちも悪いんだけどな
  1460. いろは: へ…?あれ、ここどこ…?
  1461. 鶴乃: いろはちゃん!?
  1462. userName: モッキュモキューイ!
  1463. うい: あ!userName こんなところにいたんだね!
  1464. 水樹 塁: キュゥべえは幻覚で 作られたものだと思ってたけど…
  1465. 水樹 塁: ここにいたuserNameって 本物だったの…!?
  1466. 水樹 塁: というか、ふたりとも どうしてここに…!?
  1467. みたま: え、これ…いろはちゃんが祈りで 呼ばれちゃったってこと!?
  1468. 春名 このみ: ここからでも祈りは 届いた証拠ですね?
  1469. いろは: え、あの…それで ここは、いったい…?
  1470. フェリシア: 説明は後だ!あと!
  1471. 鶴乃: とにかく、やちよたちが ピンチだから
  1472. 鶴乃: やちよへの想いを うおおーって念じてみて!
  1473. いろは: あ、わ、わかりました!
  1474. うい: うん!やってみる!
  1475. みふゆ: また…強い力が…!
  1476. みふゆ: もしかして、やっちゃんを想う みんなの力が!?
  1477. みふゆ: …とにかく、みなさんから 受け取った想いも全部ぶつけて
  1478. みふゆ: やっちゃんに わからせてあげます!
  1479. みふゆ: あなたは全然 ひとりじゃないってこと!
  1480. やちよの祖母: やちよ、ほらおいで おばあちゃんがいるからね
  1481. やちよ: おばあちゃん…うぅ… 寂しいけど、でも…
  1482. やちよの祖母: 寂しいときは泣いていいの あなたはまだ子どもなんだし
  1483. やちよの祖母: それに、大人だって たまには泣いたりするのよ
  1484. みふゆ: やっちゃん、クマ出てませんか?
  1485. かなえ: …ちゃんと寝な、やちよ
  1486. メル: 七海せーんぱいっ どうかしたんですか?
  1487. メル: 元気がないのならお話聞きます ボク、占い師ですから
  1488. いろは: やちよさん、その手のケガ いったいどうしたんですか!?
  1489. さな: 大変…ふぇ、フェリシアさん ばんそうこうを…!
  1490. 鶴乃: 先に止血だよ、止血!
  1491. みふゆ: やっちゃんは頑張ってます
  1492. みふゆ: でも、ひとりで頑張らなくても いいんじゃないでしょうか
  1493. みふゆ: 支えようとしてくれる人は 周りにいっぱいいるでしょ?
  1494. みふゆ: その人たちを 見てあげないんですか?
  1495. やちよ: それは、わかってるけど… でもこれ以上甘えたらいけないの
  1496. やちよ: 両親にだって 心配をかけたくないし
  1497. やちよ: 魔法少女の中でも年長者だから 弱いところなんて見せられないし
  1498. やちよ: それに…それに…!
  1499. やちよ: 私、もう大人なのよ 甘えてちゃいけないのよ
  1500. やちよ: なんだってひとりで できないといけないの
  1501. みふゆ: やっちゃん
  1502. やちよ: もう、子どもじゃないから…!
  1503. みふゆ: …やっちゃん こっちを見てください
  1504. やちよ: え…
  1505. やちよ: ―やちよ― きゃ…!
  1506. みふゆ: ―みふゆ― 確かにワタシたちは、あの頃よりも ずいぶんと大きく、大人になりました
  1507. みふゆ: ―みふゆ― やっちゃんは、19歳のワタシに もう大人だからと勇気をくれましたけど
  1508. みふゆ: ―みふゆ― …でもワタシたち、まだ19歳ですよ? 少し、甘い考えかもしれませんけど…
  1509. みふゆ: ―みふゆ― 19歳、まだ大人になりきらなくても 甘えていてもいいんじゃないですか
  1510. みふゆ: 少なくとも、幼馴染の ワタシにくらい…でしょう?
  1511. やちよ: でも、そんな…!
  1512. やちよ: タイムカプセルが 何か見せようとして…!?
  1513. みふゆ: これ、昔の ふたりの記憶が…!
  1514. みふゆ: クリスマス会、楽しかったですね
  1515. やちよ: それに、みふゆの演技良かったよ 私は…まだ修行が必要だけど…
  1516. みふゆ: ふふふ…なんだか今日が 終わらなければと思っちゃいます
  1517. みふゆ: せめて、このことを ずっと忘れたくないなって
  1518. やちよ: うん、大人になっても 今日の思い出を大事にしたいね
  1519. やちよ: …あ、タイムカプセルを 作らない?
  1520. やちよ: 今日の思い出を詰め込んで!
  1521. みふゆ: できましたっ!
  1522. やちよ: じゃあふたりで お願いしましょうか
  1523. みふゆ: そうですね、せーのっ
  1524. やちよ&みふゆ: 「大人になっても 今日のことを忘れませんように!」
  1525.  
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  1527. みふゆ: 大人になっても 忘れないように…
  1528. やちよ: そんなこと、確かに願ったわ
  1529. やちよ: …あのとき、無意識に魔力を 込めてしまったのかも
  1530. やちよ: …その魔力の暴走が この世界…なのかしら
  1531. みふゆ: …ねぇ、やっちゃん
  1532. みふゆ: ワタシは やっちゃんが羨ましかったです
  1533. みふゆ: ご両親のことで寂しい想いを していたのは知っていますが
  1534. みふゆ: ふたりから愛されて大切に されているのがわかったから
  1535. やちよ: 私だって、みふゆのことが 羨ましかった
  1536. やちよ: 家が大変ってわかってたけど あなたが泣けば
  1537. やちよ: おばあちゃんも下宿のお姉さんも みんなあなたを構うんだもの
  1538. やちよ: 私もあなたみたいに 泣き言が言えたらって思ったわ
  1539. みふゆ: でも、やっちゃんは強いから いいじゃないですか
  1540. やちよ: …みふゆは弱いかもしれないけど 誰かが助けてくれるじゃない
  1541. やちよ: …ごめんなさい、言い過ぎた
  1542. みふゆ: いいえ、ワタシもです…
  1543. やちよ: …ふふ、私たち どうして仲良くなったのかしらね
  1544. みふゆ: そうですね、全部正反対で 趣味だって別に合いませんし
  1545. やちよ: でも、今はひとつ 同じ想いがあったわね
  1546. みふゆ: そうですね…
  1547. やちよ&みふゆ: 「魔法少女たちにとって 幸せな未来を作ること」
  1548. みふゆ: 多分、そのためには強くて しっかりもののやっちゃんが
  1549. やちよ: 弱さに寄り添えて…それから 放っておけないようなみふゆが
  1550. やちよ: どっちも、必要なのよね
  1551. やちよ: なんだか、物語と一緒
  1552. ふたりは、性格も何もかもずっと正反対。 だけど、みんなの幸せを願うことは一緒でした。
  1553. みふゆ: でも、ワタシたちの物語には… 人生には、まだ結末がありません
  1554. みふゆ: だからこの物語も ここで終わらせちゃダメです
  1555. やちよ: そうね…
  1556. やちよ: なんだか、大人でいなくちゃって 自分ひとりで頑張らないとって
  1557. やちよ: その考えに囚われていたのかも
  1558. やちよ: それで…情けないけど 逃げたくなっちゃったみたい
  1559. みふゆ: ワタシも、子ども時代に囚われて 動けずにいたから、わかります
  1560. やちよ: 私たちは、まだ 大人と子どもの間…
  1561. みふゆ: ええ、だから一緒にゆっくり 大人になっていきましょう
  1562. みふゆ: ワタシにも、ドーンと 甘えて良いですから!
  1563. やちよ: なんだか、それはちょっと 不服かも、ふふふ
  1564. みふゆ: えぇっ!?
  1565. やちよ: さて、じゃあ物語を ハッピーエンドに連れて行くわよ
  1566. みふゆ: はい…でも、やっちゃんが 求めていたエンディングは…
  1567. やちよ: そうね、死んでも何か残したい… そんな祈りは確かにあるけど
  1568. やちよ: 今考えると、ちょっと 後ろ向きだったわね
  1569. やちよ: だから、これから迎えるエンドは 19歳の私が求める結末
  1570. やちよ: 今なら、もっと違う終わりを 望むと思うから
  1571. みふゆ: それはどんな結末ですか?
  1572. やちよ: 犠牲なんて出さない 完全なハッピーエンドよ!
  1573. みふゆ: ふふ、そうですね じゃあ、やりましょうか
  1574. やちよ: ええ、幸せなエンディングを 迎えましょう!
  1575. こうして、国には ホワイトクリスマスが訪れ…
  1576. 火の魔王と氷の女王は愛する民たちと一緒に いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
  1577. みたま: 無事に戻ってこられて よかったわぁ
  1578. 入名 クシュ: …あれ、私ずっと寝てた? 女王様の従者になる夢で…
  1579. 三穂野 せいら: はー、危うく物語の中で 死んじゃうところだった~
  1580. いろは: 私たちはまだ、何が起きたか よく理解できてないけど…
  1581. うい: とりあえず一件落着?
  1582. ももこ: かな?
  1583. さな: ああ、私からそこら辺は 説明しますね…っ!
  1584. みふゆ: なんとか解決出来て 本当によかったですね
  1585. やちよ: ええ…にしても、やけに 疲れたわね…
  1586. みふゆ: やっちゃん、ひとりでいろいろと 頑張ってましたもんね
  1587. やちよ: そうね… それに、今回は…
  1588. やちよ: いつも支えてくれてた いろはも居なかったし…
  1589. やちよ: なんて、年下の子に 甘えちゃいけないと思ってたけど
  1590. いろは: やちよさん、その手のケガ いったいどうしたんですか!?
  1591. さな: 大変…ふぇ、フェリシアさん ばんそうこうを…!
  1592. 鶴乃: 先に止血だよ、止血!
  1593. やちよ: 私、すごく甘やかされてる …と言うか、心配されてるのね
  1594. やちよ: なんだか不甲斐ないわ…
  1595. みふゆ: いいんじゃないですか、少しは
  1596. みふゆ: 支えて、支えられて… それが仲間で、家族でしょうし
  1597. やちよ: …あなたは、甘えすぎだけどね
  1598. みふゆ: ふふふ みなさん優しいので、つい
  1599. やちよ: まったく…
  1600. さな: …という感じのことに なっていたんです
  1601. いろは: やちよさんたち、そんなに 大変なことになってたの!?
  1602. うい: クリスマス前なのに それじゃあもうヘトヘトだね
  1603. フェリシア: 調整屋のイベントのことも 準備してたし、大人は大変だな…
  1604. さな: あの、そこで私…ちょっと 考えたことがあって…
  1605. フェリシア: いーじゃん、それ! 楽しそうだし!
  1606. うい: うんっ、さっそく他の子たちにも 連絡してみよう!
  1607. やちよ: あら、楽しそうね 何を話してるの?
  1608. さな: わ、わわ…なんでもないです!
  1609. やちよ: そう…? あ、私たちこれから調整屋で
  1610. やちよ: クリスマスイベントの準備を していくんだけど…
  1611. いろは: そのことなら、私たちに 任せてもらえませんか?
  1612. さな: はいっ、あとの準備は私たち 小中学生組がやろうかなって
  1613. うい: うん、やちよさんたちは 休んでて!
  1614. みふゆ: そんな、気をつかわなくても いいんですよ?
  1615. いろは: いえ、私たちがやりたくて… みたまさん、いいですか?
  1616. みたま: ええ、いいわよぉ
  1617. みたま: イベントのテーマは 「童心に帰る」だけど大丈夫?
  1618. いろは: それはもう、もちろん!
  1619. やちよ: …なんだか、やけに 張り切っているわね…
  1620.  
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  1622. <クリスマスイベント当日>
  1623. いろは: えっと、イベントのテーマが “童心に帰る”だと聞いたので
  1624. いろは: 「今回は、私たち小中学生のみんなで いつもお世話になっている年上のみなさんが 童心に帰れるようなイベントを準備しました!」
  1625. みふゆ: あら そういうことだったんですね
  1626. さな: …と言っても、買い出しなどは
  1627. さな: やちよさんたちが既に してくれていたので…
  1628. うい: いろんな子に声をかけて 出し物とかを準備したんだよ
  1629. うい: 灯花ちゃんたちとか 今日、来られない子もいるけど
  1630. いろは: みんなが 手伝ってくれたんです!
  1631. やちよ: すごいわね…
  1632. フェリシア: んじゃ、さっそく 始めちまおうぜ!
  1633. いろは: 最初は劇から!
  1634. 柚希 ほとり: クリスマスはボクたちが 守るよ!
  1635. 柚希 りおん: さあ、あたしたちと一緒に 戦うのよ!
  1636. みふゆ: えっ!?
  1637. やちよ: 参加型にしても強引ね…!
  1638. 三穂野 せいら: うおお!戦うぞ!
  1639. 水樹 塁: ふふ…いいね、こういうの
  1640. 千秋 理子: 今度はピニャータです!
  1641. 胡桃 まなか: まなか特製のお菓子も 入っているので期待してください
  1642. 若菜 つむぎ: すごく美味しいよ!
  1643. みたま: あのお人形を叩き割れば お菓子が出てくるのね!
  1644. 鶴乃: ふんふん! 体力なら任せて!
  1645. やちよ: 意外とっ、あたら、ないわねっ!
  1646. みふゆ: ふふふ、これ面白いですね
  1647. 七瀬 ゆきか: あうっ、頭に飴玉がっ…
  1648. かえで: 次はイス取りゲームだよ!
  1649. レナ: んじゃ、さゆさゆの 曲を流すわね!
  1650. ももこ: イス取りゲームなんて 懐かしい遊びだな!
  1651. 由貴 真里愛: ふふ、ほんとに 子どもに戻ったみたい
  1652. 都 ひなの: 童心に帰る… なかなかいい試みだな
  1653. 桐野 紗枝: そんなこと話してる間に 曲が止まっちゃいますよ?
  1654. ガタタッ
  1655. かえで: 勝ったのは…
  1656. やちよ: あら、私みたいね
  1657. みふゆ: はぁ~… いっぱい遊びましたね
  1658. やちよ: ええ、もう大満足よ ありがとう、いろは、みんな
  1659. いろは: まだ終わりじゃないですよ やちよさんっ!
  1660. さな: はい、みんなで作ったんです!
  1661. やちよ: 作ったって、何を…?
  1662. フェリシア: じゃじゃーん!
  1663. フェリシア: ―フェリシアー オレらみんなで クリスマスケーキを作ったんだよ!
  1664. いろは: ―いろは― いつもお世話になってるから 感謝の気持ちを込めて!
  1665. やちよ: わ…すごいわね…! これを、あなたたちが…?
  1666. さな: じゃあ、やちよさん ここに座ってくださいっ!
  1667. やちよ: え?
  1668. いろは: えっと、今日くらいは 子どもの気持ちになれたら…って
  1669. フェリシア: オレらで、やちよを 甘やかすことにしたぞ!
  1670. やちよ: え、ちょっ…それなら みふゆたちも…!
  1671. みふゆ: ワタシはいつも甘えてるので やっちゃんに譲ります、ふふっ
  1672. やちよ: あなた、ちょっと からかってるでしょ…!
  1673. 鶴乃: じゃあ、わたしも 甘やかす側になろーっと!
  1674. うい: はい、やちよさん 座って座って!
  1675. やちよ: え、ちょっと…もう… 恥ずかしいじゃない…
  1676. みふゆ: ―みふゆ― はい、やっちゃん あーん
  1677. 鶴乃: ―鶴乃― せっかくだからサンタ帽も かぶせちゃおーっと
  1678. うい: ―うい― ジュースもありますよっ!
  1679. さな: ―さな― こぼさないようにお皿 添えておきますね…っ
  1680. フェリシア: ―フェリシアー ほら、今日は上のサンタも やちよが食っていーぞ!
  1681. やちよ: ―やちよ― ちょっとあなたたち…もう…
  1682. いろは: ―いろは― そんなにみんなで一気に渡したら… ああほら、クリームついちゃいますよ
  1683. やちよ: ―やちよ― ふっ、ふふっ…ほんと、甘やかしすぎよ 子どもじゃないんだから…まったく…
  1684. みふゆ: みなさん、帰って早々 疲れて寝てしまいましたか
  1685. やちよ: ふふ、やっぱりまだまだ 子どもなんだから
  1686. みふゆ: …今日、楽しかったですね クリスマスイベント
  1687. やちよ: ええ、たまには子どもに… 童心に帰るのもいいわ
  1688. みふゆ: また来年も、再来年も…
  1689. みふゆ: その先もずっとみんなで クリスマスを祝いましょうね
  1690. やちよ: ええ… 大人になっても、ずっと…
  1691. やちよ: …あ、見て窓の外…
  1692. みふゆ: わぁ、ホワイトクリスマスですね
  1693. これから先も、ずっと幸せでありますように… ホワイトクリスマスにみんなは祈ります。
  1694. それが叶うかどうか…
  1695. その結末は まだどの物語にも記されていない未来。
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