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- FILENAME: text_518010-1_bjKnj.txt
- ももこ: よっす、クリスマスイベントの 準備はどうだ?
- みたま: あらぁ、ももこ、いらっしゃーい
- みたま: それが、あんまり進んでないから ちょっと困ってるのよねぇ
- みたま: とりあえずは飾りつけでも しようかなと思って
- みたま: このみちゃんがリースを 届けてくれるのを待ってるところ
- ももこ: ん、じゃあ調整屋にいるのは 準備してる子じゃないのか
- みたま: ええ、クシュちゃんは 補習の時間まで寝させてって話で
- みたま: 塁ちゃんたちは クリスマスに子ども会で流す
- みたま: 映画の編集をしているみたいよ
- ももこ: あー、映画ってみふゆさんが 出たってやつか?
- 三穂野 せいら: そうです! こんな感じで…!
- みふゆの声: さぁ、みんなも! ワタシたちに力を貸して!
- みふゆ&塁の声: ホーリーナイト ミラクルフラーッシュ!
- ももこ: え、今の声みふゆさん?
- ももこ: なんか最近、魔王になったとか 子どもになったとかっていう
- ももこ: よくわかんない噂を聞いたけど…
- みたま: 実はこの前いろいろあって…
- みたま: 「きっかけは このクリスマスイベントの準備だったわ」
- みたま: 「年下の子たちに楽しんでもらうために 悩んでいたわたしは、やちよさんとみふゆさんに 何をテーマにすればいいか相談をしていたの」
- みたま: 「その中で、ふたりが見つけてきてくれたのが 小学生の頃にみかづき荘のクリスマス会で演じた 劇の脚本だったのよ」
- みたま: 「ここからは聞いた話なんだけど…」
- みたま: 「タイムカプセルを開いてその脚本を読んだ瞬間 みふゆさんの姿は 物語に出てきた火の魔王になって 心も小学生の頃に戻ってしまったらしいの」
- みたま: 「原因はすぐにタイムカプセルに込められた 昔の自分たちの魔力なんじゃないかって 話になったみたいだけど みふゆさんを元の姿に戻さないとでしょ?」
- みたま: 「そこで、脚本をなぞる必要があるって 考えたやちよさんたちは 魔王になったみふゆさんに 困りごとを解決してもらいつつ 魔王の望みを叶えようとしたらしいわ」
- みたま: 「その結果、いま編集している短編映画に 変身ヒロインとして出演したり」
- みたま: 「子ども化学教室では予期せぬ事故から 男の子を守って、本当のヒーローになったり」
- みたま: 「最終的には、物語と同じように 前からずっと叶っていた望み… “みんなと仲良くおしゃべりをしたり 当たり前で普通の女の子をすること”に気づいて 元の姿に戻った…っていうあらましね」
- ももこ: あー…みふゆさんの家って すごい厳しかったらしいし
- ももこ: にしても、なんかすごいことに なってたんだな…
- ももこ: 姿が物語の登場人物で 中身が子どもに…なんて
- みたま: ええ、でも元に戻ったみたいだし
- みたま: イベントのテーマも無事 “童心に帰る”って決まって
- みたま: めでたしめでたしよねっ
- 鶴乃の声: みーたまぁー! たぁすけてぇー!
- ももこ: …もうひと波乱 起きそうな声だな…
- ももこ: ただ悪いんだけど、アタシは このあと用事があって…
- みたま: ええ、あとは任せて
- ももこ: 悪い!なんかあったら 連絡してくれ!
- みたま: …つまり、魔法少女に変身したら またその姿になってしまったと…
- 水樹 塁: じゃあ、みふゆさん 心が子どもになっちゃった…?
- みふゆ: いえ中身は19歳のワタシですよ なので深刻にならないでください
- みふゆ: ほら、変身を解除すれば 日常生活にも支障はありません
- 鶴乃: とは言え、何かあったら 困るからここに来たんだよー
- ピロン♪
- 鶴乃: お、いろはちゃんと ういちゃんからだ
- みふゆさんのお話 一緒にいる灯花ちゃんとねむちゃんにも 聞いてみたんだけど、やっぱりみたまさんに 確認するのが一番だって言ってたよ
- 鶴乃: あー灯花から、みふゆへの 説教文もついてるけど
- 鶴乃: それは一旦、置いておいて…
- 鶴乃: 灯花たち、こう言ってるんだけど みたまは、どう思う?
- みたま: んー… 前回のことを踏まえると…
- みたま: やっぱり、あのタイムカプセルと 脚本が原因じゃないかしら?
- やちよ: 一応、持ってきてるけど また開けるのが怖いのよね…
- フェリシア: へーきだって
- フェリシア: みふゆが火の魔王になってるなら これ以上悪くなんねーよ
- パカッ
- やちよ: あ!コラ…! 何が起きるかわからないのに!
- パラパラパラ…
- フェリシア: お、今回は脚本の中身が ちゃんと書いてあるぞ
- さな: みふゆさんの姿が変わったときは 白紙になっちゃいましたもんね
- 鶴乃: 特に何も起きない?
- やちよ: なら、読み込んで 中からヒントを探しても…
- やちよ: ――っ!? まずい…また…!?
- みふゆ: きゃあっ!
- やちよ: え…?この格好… 劇でやった氷の女王の衣装…?
- 鶴乃: 今度はやちよまで!? もしかして中身も子どもに…!?
- やちよ: 何言ってるの…? 私、まだ小学生だけど…
- やちよ: え、あれ…でも19歳…のような どうなってるの?
- 鶴乃: うわぁ!やちよ、ちょっと変身 解けたりする?
- やちよ: えっと…これでいいの?
- 鶴乃: やっぱり見た目が戻っても 子どもー!?
- フェリシア: オマエは黙ってるけど どうしたんだよ?
- 鶴乃: …みふゆ? ちょっと…大丈夫?
- みふゆ: ごめんなさい…ワタシ…
- やちよ: わぁ…すごい…! 本当に物語の世界だ…!
- 鶴乃: わくわくしてる場合じゃないよ!
- 鶴乃: いったいどうなってるのー!?
- FILENAME: text_518010-2_bjKnj.txt
- 鶴乃: え、なにこれ!? っていうか、みふゆは!?
- 鶴乃: どうなってるのやちよ!?
- 鶴乃: …って、やちよも今 子どもなんだったー!
- やちよ: む…だからって、役立たずな わけじゃないよ
- やちよ: 前にみふゆがこうなったときの 記憶は私にもあるんだからね!
- みたま: …………
- フェリシア: つーか、オマエも大丈夫か? みたまー、おーい
- みたま: 昔々、あるところに
- みたま: 火の魔王と氷の女王が 共に治める国がありました
- 鶴乃: なんか始まった!?
- みたま: 「その国では、民が冬を越せるようにと 魔王様が困りごとを解決して回ることで ホワイトクリスマスがやってくる という風習がありました」
- やちよ: …私たちが作った 火の魔王と氷の女王の物語…?
- 三穂野 せいら: 語り部分っぽいですね… 聞いておいた方が良さそうです
- みたま: 「ですが、その年は民たちで恩返しをするために 魔王の望みを叶えることにしました ところが、望みはまったくわかりません」
- みたま: 「そこで民たちは国の魔法使いにお願いして 魔王に過去を思い出してもらいました…」
- さな: ここまでは、以前聞いていた話と だいたい同じですね…
- 鶴乃: 魔法使いのくだりは、多分 脚本を読んだみふゆが変身して
- 鶴乃: 心が子どもになっちゃったことを 言ってるのかな?
- みたま: 「それでわかった魔王の望みは “みんなと仲良くしたい”ということ 民たちは魔王の望みが すでに叶っていることに気づきました」
- みたま: 「それなら、あとは ホワイトクリスマスが訪れるのを待つばかり ですが、いつまで経っても雪は降りません」
- みたま: 「なぜなら、魔王は 魔法で過去を思い出しているうちに 禁断の記憶を思い出してしまったからです…」
- みたま: 「魔王が思い出したのは先代の魔王が国を滅ぼし 暴虐の魔王と呼ばれていた事実と 自身もいずれ国を滅ぼす宿命にあるということ」
- みたま: 「その、先代の魔王が国を滅ぼし “暴虐の王”と呼ばれていたという歴史は 女王が長らく封印していたものでした」
- 水樹 塁: な、流れ変わったね…
- みたま: 「自らの宿命を思い出してしまった魔王は 誰も傷つけないようにと姿を消し 国民たちは、その事実にひどく困惑しました」
- みたま: 「女王は姿を消した魔王を救うため 過去の苦悩を知る“理解者”になろうと考えると “悩みの欠片”がある彷徨いの森へ向かいました」
- みたま: 「ですがそこでは あらゆる試練が女王を待ち受けていたのです」
- さな: これって、あの物語の 続きの話…ですか?
- 三穂野 せいら: なんだか、急に 不穏な雰囲気になってません?
- フェリシア: みたまも、なんか 変になっちまったし何だこれ
- やちよ: もしかしたら…
- やちよ: みふゆのときは、私たちが 物語に沿う形だったけど
- やちよ: あの時とは違って、今度は
- やちよ: 私たちも物語に沿って 演じないといけないのかも
- やちよ: それも 空間まで変わるような形で…
- さな: この空間、現実… って感じじゃないですもんね…
- やちよ: …多分、私たちがいるのは みふゆの幻覚の中よ
- やちよ: 一瞬だけど、そんな景色が 見えた気がするし…
- 水樹 塁: (異世界転生…ではないよね …というか、みんな順応早い…)
- 鶴乃: それで、みたまはいったい どうしちゃったの?
- 鶴乃: みーたーまーっ!
- みたま: はっ…!
- みたま: わたし、物語の中の“長老”役に 意識を乗っ取られてたみたい…
- フェリシア: あぁ?おかしいと思ったら ジジイになってたのかよ…
- やちよ: 私が氷の女王の姿であるように
- やちよ: みんなもこの物語の中で 役割を与えられてるみたいね
- やちよ: 「魔王に魔法をかけた国の魔法使いたちに」
- やちよ: 「左から、兵士、商人、トナカイ」
- 鶴乃: え、まさかとは思ったけど ほんとにトナカイ役なの!?
- 鶴乃: …まあ、配役はいいとして いま聞いた続きの物語って何?
- やちよ: …もしかしたら 没になった後半の話かも…
- さな: 没になった後半… が、あったんですか?
- ???の声: やはり…ですね
- やちよ: …やはりって?
- 吉良 てまり: 以前、脚本を読ませて頂いてから ずっと違和感があったんです
- 吉良 てまり: 「まず、火の魔王と氷の女王という 対のキャラを出しておきながら 活躍するのは火の魔王ばかりだったことですが …これは、まだ脚本を作る上で起きうる 誤りかと思えたんです」
- 吉良 てまり: 「それより、私が気になったのは物語の結末… すべての物語にはテーマがあり 作者が読者に対して何かしら伝えたいことが あるのが自然なのですが…」
- 吉良 てまり: 「どうにも、あの物語の結末には それが感じられないどころか 不完全燃焼めいたものを感じました」
- 吉良 てまり: この物語には、何か 別の結末があったのでは?
- やちよ: 結末…は思い出せないけど 確かに続きがあった…はず…
- 鶴乃: (…ん? 今どこかから魔力反応が…?)
- 鶴乃: (…あれ、今の記憶、何…? わたしの記憶にこんなもの…)
- 三穂野 せいら: あの、すみません横から… ちょっと気になったんですけど
- 三穂野 せいら: 先輩方って、いつの間に この世界に迷い込んだんですか?
- 古町 みくら: ついさっきね 調整屋に入ったら、急にここへ
- 鶴乃: …あれ、それってまずくない? 調整屋に入ったら迷い込むって…
- 鶴乃: これからまた、巻き込まれる人が いるかもってことだよね
- 三穂野 せいら: え、あの、梓さんの魔法って 幻覚…なんですよね…?
- 三穂野 せいら: 現実の世界と幻覚が繋がるって 何かおかしくないですか?
- 三穂野 せいら: 夢…みたいなものなんですよね
- みたま: それは、ちょっと違うわ
- みたま: ここは、みふゆさんの幻覚の中
- みたま: ただの夢とは違って みふゆさんに主導権があるの
- 鶴乃: …そもそも、みふゆの魔法 アサルトパラノイアって
- 鶴乃: 幻覚の世界でダメージを 与えたりする技…だから
- 鶴乃: 幻覚とは言っても、夢じゃなくて 現実と地続きと考えた方がいいよ
- 水樹 塁: そ、それって、ここで死んだら リアルでも死んじゃう…とか?
- みたま: そういうことになるかも…
- やちよ: …それに、この空間がみふゆの 魔法なら魔力の限界も心配よね
- みたま: 魔女化はしなくても、ドッペルに なれば何が起きるかわからないわ
- フェリシア: じゃあ、さっさと何とか しねーとってことだよな!
- やちよ: ええ…だから 物語をたどらなくちゃ
- やちよ: さっきの筋書きにあったでしょ
- みたま: 「自らの宿命を思い出してしまった魔王は 誰も傷つけないようにと姿を消し 国民たちは、その事実にひどく困惑しました」
- みたま: 「女王は姿を消した魔王を救うため 過去の苦悩を知る“理解者”になろうと考えると “悩みの欠片”がある彷徨いの森へ向かいました」
- みたま: 「ですがそこでは あらゆる試練が女王を待ち受けていたのです」
- やちよ: 私が…女王が魔王を 救い出す話なんだから…!
- 鶴乃: (また…この魔力…やちよが 物語を思い出すと起きてる?)
- 鶴乃: ねぇ、やちよ待って 何かおかしいよ…!
- フェリシア: 物語をたどるってことなら やちよは続きを覚えてるのか?
- やちよ: 結末は、まだ思い出せないけど 魔王を救うことはわかるの
- さな?: あ、あれ…やちよさん私 変な記憶が流れてきて…
- 商人: …あれ?
- 鶴乃: ダメだよ、やちよ! 物語の続きを思い出したら!
- 鶴乃: やちよが 物語を思い出していくたびに
- 鶴乃?: わたしたち、なぜか 物語に影響っ…されて…!
- トナカイ: ぐ…っ
- やちよ: …わかってるよ
- やちよ: …でも、みふゆを救うには こうしなきゃいけないの!
- やちよ: 私があの子の“理解者”になって 助けてあげなくちゃいけないから
- やちよ: だから、みんなごめん
- やちよ: 物語を ハッピーエンドにするために
- やちよ: これから役になりきって!
- やちよ: みふゆを…魔王を救うために!
- FILENAME: text_518010-3_bjKnj.txt
- 魔王が思い出したのは先代の魔王が国を滅ぼし 暴虐の魔王と呼ばれていた事実と 自身もいずれ国を滅ぼす宿命にあるということ
- そして、先代の魔王が国を滅ぼし “暴虐の王”と呼ばれていたという歴史は 女王が長らく封印していたものでした
- 自らの宿命を思い出してしまった魔王は 誰も傷つけないようにと姿を消し 国民たちは、その事実にひどく困惑しました
- トナカイ: 魔王様に、そんな過去が あっただなんて…
- 商人: 商人としてこの国へ来たときも 優しくしてくれていたのに…
- トナカイ: うん…だからちょっと まだ信じられない気もする…
- 兵士: そんなの、今まで 本性を隠してただけだろ
- 兵士: おい、長老は知ってたんだろ 暴虐の魔王って呼ばれた先代を
- 長老: …ええ、それはそれは 恐ろしい方だったわ…
- 長老: だけど、今の魔王様は 国を滅ぼしたりしていない
- 商人: …でも、それが宿命なら これから何が起こるか…
- 兵士: ああ、何かあってからじゃ おせーんだし
- 兵士: オレらで魔王を倒さねーとだろ
- ???の声: みんな、落ち着いて
- トナカイ: 女王様っ! わたしたち、どうしたら…
- 氷の女王: …うん、困惑するのも 無理はないよね
- 氷の女王: みんなのためとは言え 今まで魔王のことを隠していて
- 氷の女王: 本当にごめんなさい…
- 兵士: 女王!聞かせろよ! なんでアイツのことを隠してたか
- 氷の女王: …確かに、先代の魔王は 暴虐の王だったわ
- 氷の女王: けど、それは先代の話で 今の魔王とは違う人の話よ
- 兵士: でもよ…!
- 氷の女王: …それじゃあ、聞かせて?
- 氷の女王: 今の魔王は、みんなにとって どんな王だった?
- 兵士: それは…
- 商人: …魔王様は、いつも冬を越す 手伝いをしてくださいました
- トナカイ: うん!暖炉に火をつけてくれたり 食べ物をわけてくれたよね!
- 長老: 魔王様はいつだって、私たちに 寄り添ってくれる優しい方よ
- 氷の女王: …そうね、あなたは?
- 兵士: …オレだって、冬だけじゃなく いろいろ助けてもらってる…
- 兵士: それに今年はさ、魔王の望みを 叶えるために頑張ったろ?
- トナカイ: 望みは、みんなと仲良くすること …だったよね!
- 兵士: あれ、ちょっと嬉しかった だから…アイツが国を滅ぼすなら
- 兵士: オレが倒してでも、魔王を 止めてやんねーと…って思ってた
- 氷の女王: ふふ、優しいんだね
- 氷の女王: …ねぇ、お願い 一緒に魔王を救ってほしいの
- 氷の女王: 過去を隠していたことは ごめんなさい…でも
- 兵士: …いいぜ、どんな過去だろうと 魔王は、魔王だもんな
- 商人: はい、みんなが魔王様を 好きな気持ちは変わりません…!
- 長老: ええ、だからわたしたちも 魔王様にお供するわ
- 氷の女王: …ありがとう、みんな!
- 氷の女王: 宿命に苦しめられている魔王を 私たちで助けましょう
- FILENAME: text_518010-4_bjKnj.txt
- 自らの宿命を思い出してしまった魔王は 誰も傷つけないようにと姿を消し 国民たちは、その事実にひどく困惑しました
- 女王は姿を消した魔王を救うため 過去の苦悩を知る“理解者”になろうと考えると “悩みの欠片”がある彷徨いの森へ向かいました
- ですがそこでは あらゆる試練が女王を待ち受けていたのです
- 氷の女王: それで、魔王を救うには “理解者”になる必要があるのね
- 長老: そう言い伝えられてるわ
- 兵士: んで、ここに来たって訳か …どこだここ?
- 長老: ここは“彷徨いの森”と 呼ばれているわ
- 商人: あ、聞いたことがあります!
- 商人: 悩める人が迷い込む 不思議な森がこの国にはあるって
- 長老: ええ…
- 長老: だけど、ここへ来るのは 悩みから人を助けたい人も同じ
- 長老: そういう人はみんな この森の奥へ行く必要があるの
- トナカイ: どういうこと?
- 長老: 「彷徨いの森は悩んでいる人の頭と同じ グルグル考え込むのと同様に 立ち入った人もグルグルさまよってしまう」
- 兵士: じゃあ、オレたちはこのまま 森から出られないってことか!?
- 長老: いいえ、わざわざ来たんだもの 出る方法はあるわ
- 長老: 「悩んでいる人の理解者になれば グルグルが解消されて道が開ける… 悩みを知って理解者になるには 試練を乗り越えて、森に散らばっている “悩みの欠片”を拾い集める必要があるわ」
- 氷の女王: 悩める人の理解者になることが この森から抜け出す鍵で
- 氷の女王: それこそが、魔王を救う 手立てとなるということね
- トナカイ: それじゃ、その欠片ってのを みんなで探しに行こう!
- ガサガサ…
- 氷の女王: ――っ!?
- 氷の女王: …そこに、誰かいるの?
- ???の声: …どうして
- ???: …どうして 女王様がここにいるんですか
- FILENAME: text_518010-5_bjKnj.txt
- ???: …どうして 女王様がここにいるんですか
- 氷の女王: …あなたは 火の魔王の従者…
- 魔王の従者: ええ、そうです
- 魔王の従者: …女王様、失礼ですが 魔王様を救うつもりなら結構です
- 魔王の従者: 魔王様は、従者である この私が助け出しますから
- 兵士: …おい、オマエ 女王にシツレイなんじゃねーの
- 魔王の従者: …だから言ったんです “失礼ですが”って
- 兵士: あぁ!?
- 氷の女王: …いいから、下がって
- 氷の女王: ねぇ、私もあなたも 魔王を救いたい気持ちは同じよね
- 氷の女王: それなら、一緒に 助け合うのはダメなの?
- 魔王の従者: …女王様のお考えが 私には、わからないの
- 氷の女王: 私の…?
- 魔王の従者: いつも魔王様を支えてくれるのは とても感謝してるんです
- 魔王の従者: …けど魔王様の宿命を隠すことに 私はずっと反対だった
- 氷の女王: それは…魔王を守るためには 仕方のないことで…
- 魔王の従者: わかっているけど 私は正しくないと思うの
- 魔王の従者: …だって、魔王様ならきっと 宿命だって乗り越えられるもの
- 魔王の従者: 障害を取り除くことだけが 魔王様のためとは思えない…
- 氷の女王: …………
- 魔王の従者: …ごめんなさい、女王様
- 魔王の従者: だけど、魔王様を心配する 私の気持ちも理解してほしいの…
- 氷の女王: …ええ、その気持ちは受け取るわ
- 氷の女王: けれど、国の長としてだけでなく ひとりの友人として
- 氷の女王: 私も魔王が心配なの …だから手を引くことはできない
- 魔王の従者: …わかりました それでは、こうしませんか
- 魔王の従者: この森は、悩める人の理解者と なることが脱出の糸口で
- 魔王の従者: 魔王様を救う 手立てでもあります
- 魔王の従者: だから、本当に魔王様を想うなら 悩みの欠片も見つけられるはず
- 魔王の従者: 女王様が、もしも私より 先に欠片を見つけられたのなら
- 魔王の従者: 私は、あなたを認めます
- 氷の女王: ええ、わかったわ
- 氷の女王: あなたたちは 手を出さないでね
- 氷の女王: こちらも私ひとりで 探さないと公平じゃないから
- 商人: …はいっ、わかりました
- トナカイ: 一緒に行くのはいいよね?
- 魔王の従者: たとえ人数差があっても 負けないので、いいですよ
- 魔王の従者: …それでは、また
- 兵士: …なんかヤな感じのやつ
- 商人: そう…でしょうか?
- 商人: きっと、それだけ魔王様のことが 大切なんだと思います
- 商人: それにあの方、町でたまに お花を売っているんですけど
- 商人: いつもは、とっても笑顔で お花の説明をしてくれるんですよ
- 長老: 従者のお嬢さんは、ああ見えて ずいぶんと昔から
- 長老: 魔王様についてらしたからねぇ
- 氷の女王: うん、彼女がああ言うのも 仕方のないところだと思う
- 氷の女王: …だからこそ 私が、頑張らないとね
- トナカイ: それで、悩みの欠片を 探すって話だけどさ
- トナカイ: それって どんな形をしているの?
- 長老: それが、わからないのよね…
- 長老: その人にとって思い入れのある 形になることが多いらしいけど
- 兵士: はぁ!?それじゃあ 見つけらんなくねーか!?
- 氷の女王: …………
- 商人: 女王様…?
- 氷の女王: …欠片、あっちにある気がする
- 商人: えっ!? 女王様、わかるんですか?
- 氷の女王: そんな気がするだけだけど…
- トナカイ: じゃあ、その直感に従って 行ってみよー!
- 氷の女王: あっ! これ…!
- 氷の女王: この箱が 悩みの欠片…なのかも
- 長老: …じゃあ、試練も ここに…?
- ???の声: 「ええ、そうです!」
- FILENAME: text_518010-6_bjKnj.txt
- ???: よく、ここがわかりましたね
- 氷の女王: あなたは…?
- 守り人1: 私は、この欠片の番人 守り人…というところですかね
- 守り人1: みなさん、悩みの欠片を 探しに来たんですよね?
- 氷の女王: ええ、そうよ 渡してもらえる?
- 守り人1: それは、私との勝負で勝てば もちろんお渡ししますよ
- 氷の女王: 勝負って…?
- 守り人1: ここでの試練は魔王様の記憶や 想いから作られているのですが…
- 守り人1: 私との勝負は知恵比べですね
- 守り人1: 「勝負の内容は至って簡単 相手を傷つけずに身動きを取らせなくすること これが出来た方の勝ちです!」
- 守り人1: では、先攻後攻を じゃんけんで決めましょうか
- 氷の女王: …じゃあ、私が先攻ね
- 守り人1: はい、どこからでも かかってきてください!
- 守り人1: ただし、ケガをさせたら 失格ですからね!
- 氷の女王: ええ、わかったわ
- 氷の女王: …氷よ、雪よ 私に力を貸して…!
- ビュゥウゥウ…
- トナカイ: うわ、さっむ!
- 守り人1: さすが女王様ですね しかしこれくらいなら動け…
- 守り人1: …なっ!?靴が凍って 地面に張りついてる…!
- 氷の女王: ええ、足下を凍らせたから 靴を脱がなきゃ動けないよ
- 守り人1: しかも、手がかじかんで 靴を脱ぐこともできない…
- 守り人1: …いやあ、完敗です! お見事と言う他ありません
- 兵士: じゃあ、欠片は もらえんのか?
- 守り人1: いいえ、次は私の番です
- 守り人1: じゃあ、この丸太の上に 手を置いてください
- 守り人1: ああ、手の甲が上ですよ
- 氷の女王: …ん、これでいい?
- 守り人1: はい、そして手の上に
- 守り人1: 水がなみなみ入った コップを乗せて…っと
- 守り人1: これで、動けませんね 女王様
- 兵士: おいやべーじゃん! 動いたら水こぼしちまうぞ
- 氷の女王: …………えいっ
- カチン
- 商人: わ、コップの中のお水が 凍っちゃいました…!
- 氷の女王: よいしょ… はい、動けたわよ
- 守り人1: おお!お見事です! これは完敗ですね!
- 守り人1: ほんの少しの機転で、案外 問題は解決したりするんですよね
- 氷の女王: …? 確かに、そうだね
- 守り人1: ただ、女王様は氷の魔法の力が あったから解決できた
- 守り人1: …では、それがなかったら どうしていたでしょう?
- 氷の女王: え…それは…
- 守り人1: ふふ、簡単なことですよ そのまま動いちゃえばいいんです
- 氷の女王: でも、それじゃあ水が こぼれちゃう…
- 守り人1: 「この戦いのルールは 相手を傷つけずに身動きを取らせなくすること つまり、ケガさえさせなければいいんですよ」
- 守り人1: こぼしちゃいけないなんてルール 最初からなかったんです
- 氷の女王: え…
- 兵士: なんか、それってズルくね?
- 守り人1: いいんですよ、人間は ちょっとくらいズルい方が
- 守り人1: …さて、約束ですから 悩みの欠片をお渡しします
- 守り人1: では、この欠片に宿る 魔王様の苦悩をお見せしましょう
- 火の魔王: ワタシは暴虐の魔王の血筋… だから、全部壊してしまう…!
- 火の魔王: 大好きな国も、町も そこに住む人々もみんな…!
- 氷の女王: そんなことない…! あなたは先代とは違う…
- 氷の女王: 魔王であることに囚われないで
- 氷の女王: 私といるときのあなたは ただのお友だち…そうでしょ?
- 守り人1: これは…記憶を封印する前の 出来事ですよね?
- 氷の女王: …そう、でも結局ダメで 私は、その記憶を封印した…
- 氷の女王: あの子が乗り越えられる 可能性を捨ててズルをしたの
- 守り人1: でも、それも魔王様を 救うためのズルじゃないですか
- 氷の女王: え…
- 守り人1: さて、次の欠片も もちろん探しに行くんですよね?
- 守り人1: 私も、行く末を一緒に 見守らせてもらいますよ
- FILENAME: text_518010-7_bjKnj.txt
- 長老: これで、ふたつ目の欠片ねぇ
- 氷の女王: どうして場所がわかるのか 私にも、よくわからないけど…
- トナカイ: あ…じゃあ、また守り人が 出てくるってことだよね?
- ???の声: 「ええ、その通りです」
- 守り人1: この声は…!
- 守り人2: どうも、こんにちは 守り人がともに居るということは
- 守り人2: ひとつ目の試練は 乗り越えたというわけですか
- 守り人3: では、説明は不要ね 私たちと勝負よ
- 兵士: 今度は、何で勝負するんだ?
- 守り人3: 私たちとしてもらうのは トランプの大富豪よ
- トナカイ: あれ、でもこっちからは女王様 しか出られないし
- 商人: ええ、2対1じゃ不利です
- 守り人2: 私たちは完全に個ですから 個人戦…協力はしません
- 守り人3: 協力とは、たとえばふたりで 話し合ったり、示し合わせたりね
- 守り人2: 信用ならないのであれば 私たちの周りに仲間を置いて
- 守り人2: 監視して頂いても構いません
- 守り人2: 「そして、女王様の勝利条件は 我々のうちどちらかひとりを負かすこと… つまり、女王様は最下位以外なら勝利」
- 守り人2: ということでどうでしょう?
- 氷の女王: ええ、わかったわ
- 守り人2: では、さっそくですが ゲームを始めましょうか
- 守り人3: ルールは、この紙に 書いたから参考にしてね
- 氷の女王: 基本ルール…革命あり… うん…他もわかったわ
- 守り人2: では、スタートです
- 兵士: なぁ、これ今どんな感じだ? 女王やべー顔してるけど
- 商人: 少し手札が見えましけど あれは…厳しそうですね…
- 長老: ええ…見間違いだと 思いたいくらいよ…
- 守り人1: ただでさえ、ふたりは強いのに 運にも見放されたとなると…
- トナカイ: わわわ、頑張れ女王様ー!
- 守り人2: …少々、本気を 出しすぎたでしょうか?
- 守り人3: でも、勝負事で力を抜くのは 相手に失礼だからね
- 守り人3: さぁ、そろそろ勝負も 決まるころかな
- 氷の女王: ………… いいえ、まだよ
- パサッ
- 守り人2: ――っ!?
- 守り人3: まさか、これって…!
- 氷の女王: 「革命」だよ
- 兵士: おいおい、なんだ革命って
- 長老: そうね… とっても簡単に言うと
- 長老: 弱いカードと強いカードが 全部反対になるのよ…!
- トナカイ: つまり 逆転のチャンスってことだよ!
- 氷の女王: これで… 上がりっ!
- 守り人3: あぁー、負けちゃったか… でも、すっごい楽しかったなぁ!
- 守り人2: ええ、私もここまで白熱 したのは久しぶりでした
- 氷の女王: 私も楽しかったよ ありがとう
- 守り人2: …革命は、最初から 戦略の内だったんですか?
- 氷の女王: いいえ、たまたま…
- 氷の女王: でも、諦めたくなかったから チャンスをずっと探していたの
- 守り人3: 劣勢でも女王様は諦めなかった それは、とてもすごいことだね
- 守り人2: ええ、諦めなければ 結果はどうにだって変わる…
- 守り人2: スタート地点は変えられずとも ゴールは…未来は変えられます
- 氷の女王: うん… 確かに、そうかもしれない
- 守り人2: では、この悩みの欠片は 女王様にお渡ししますね
- 氷の女王: これで、ふたつ
- トナカイ: わ…合体した!?
- 守り人2: ええ、箱の形をしてるだけで 悩みの欠片は元々ひとつですから
- 守り人2: …さて、では私たちからも お見せしましょうか
- 守り人3: ええ、魔王様の想い… そのひとつを
- 火の魔王: ふぅ…ふぅ…
- 氷の女王: …あなた! どうしたの…!?
- 火の魔王: …ダメなんです 宿命からは逃げられない
- 火の魔王: ワタシが魔王であることは もう変えられないんです…!
- 火の魔王: 諦めるしか…ないんです!
- 守り人2: …この直後だったようですね 記憶を封印したのは
- 氷の女王: ええ、暴走する魔王を抑えて 記憶を封印したわ…
- 氷の女王: あの子も、私も…あのとき 諦めてしまったの…
- 守り人3: だから今、こうして 救いに行くんでしょう?
- 守り人3: 未来を変えるために
- 氷の女王: ええ…そうよ! ねぇ、他にも欠片はあるのよね
- 守り人3: そうね…でも 多分、そろそろラスト
- 守り人3: だから、私たちも 一緒に行っていい?
- 氷の女王: ええ、もちろんよ
- FILENAME: text_518010-8_bjKnj.txt
- 氷の女王: 最後は、ここね…
- ???の声: 「フフフ…待っていたぞ 女王たちよ」
- 守り人4: 守り人最強の、この僕を 倒すことができるかな…?
- 氷の女王: ええ、どんな敵だろうと 私は負けないから!
- 氷の女王: さあ、次は何をして戦うの
- 守り人4: 僕からのミッションは
- 守り人4: このuserNameを 捕まえることだ
- 兵士: なんだぁ? このちっこい生きもの
- 商人: ふふ、ちょっと可愛いですね
- userName: モッキュー?
- 守り人4: この子は僕の眷属 臆病な代わりに逃げ足が速いんだ
- 守り人4: だから、そう簡単に 捕まりっこな…
- userName: モキュキューイ!
- 氷の女王: わっ…! …あれ、捕まえちゃった…?
- トナカイ: ってことは、女王様の 勝ち…だよね!?
- 守り人4: な…いつもは そんなことないのに!
- userName: モキュゥ?
- 守り人4: そうか、僕の知らないうちに 臆病を克服していたのか…
- 守り人4: フッ、なら僕はその成長を称えて 奥の手を出すとしよう
- 長老: 奥の手…!?
- 商人: いったい、何が…!
- 守り人4: さあ、出てこい…!
- 守り人4: こいつと戦って勝てれば 悩みの欠片を渡そう…!
- 守り人4: こんな見た目だけど 結構強いからな、ふふふ
- 兵士: さすがに、あんなちっこいの 弱いに決まってるだろ
- 兵士: …って、あ!? アイツどこ行った!?
- 氷の女王: な…!?
- トナカイ: 女王様、危ない…!
- 氷の女王: あなた…
- ???: たぁっ!
- ???: 女王様 とどめを…!
- 氷の女王: ええっ!
- ???: …遅れてごめんなさい ケガはないですか、女王様…
- 氷の女王: ええ、ありがとう …けど、驚いたわ
- ???: 寝てたら、外は騒がしいし 女王様も見当たらなかったから…
- ???: 町の人たちを落ち着かせて 女王様を追いかけてきたの
- 氷の女王: それは助かったわ ありがとうね
- ???: ふふ、すごい…?
- 氷の女王: ええ、もちろん
- トナカイ: えっと、その子って…?
- 女王の従者: …私は、女王様の従者 女王様を守るのがお仕事
- 兵士: ちっこいのに 大したもんだな!
- 女王の従者: …ちっこくは、ないけど…
- 氷の女王: ええ、昔から一緒にいるから そんなに子どもじゃないのよ
- トナカイ: あ、それより! 悩みの欠片!もらえるんだよね!
- 守り人4: …あぁ、負けは負けだ
- 守り人4: これで、最後のひとつのはず
- 守り人4: …彼女が持っているのと 合わせればね
- 氷の女王: 彼女…?
- 魔王の従者: …すべて、見つけたんですね
- 魔王の従者: 私は、ひとつしか… 見つけられなかったのに
- 魔王の従者: 魔王様への気持ちが 足りなかったのかな…
- 氷の女王: そんなことない! 私、見てたから
- 氷の女王: あなたが魔王を ずっと側で支えていたこと…
- 氷の女王: だから、そんな風に言わないで 一緒に魔王を助けに行こう?
- 魔王の従者: …っ、ありがとう 女王様…
- 魔王の従者: 負けちゃったのは、とっても とっっっても悔しいけど
- 魔王の従者: きっと、この欠片の力で魔王様を 救えるのは女王様だけだから…
- 魔王の従者: だから、女王様 私の代わりにお願いしたいの
- 魔王の従者: どうか、魔王様を 助けてあげて…!
- 氷の女王: ええ、任せて…!
- 氷の女王: …魔王は、私が助けるわ
- 氷の女王: (だから、ごめんなさい)
- 氷の女王: (少しだけ、あなたの過去を 覗かせてもらうわね…)
- FILENAME: text_518010-9_bjKnj.txt
- 守り人1: 「悩みの欠片をすべて集めた女王様なら きっと、魔王様の過去と苦悩を知る “理解者”へとなれることでしょう」
- 守り人4: 「過去の記憶をたどる旅に幸あらんことを」
- 火の魔王: ワタシは暴虐の魔王の血筋… だから、全部壊してしまう…!
- 火の魔王: 大好きな国も、町も そこに住む人々もみんな…!
- 氷の女王: そんなことない…! あなたは先代とは違う…
- 氷の女王: 魔王であることに囚われないで
- 氷の女王: 私といるときのあなたは ただのお友だち…そうでしょ?
- 氷の女王: これは、さっき見せてもらった記憶…?
- みふゆ: ワタシは、梓家の娘… だから全部、仕方ないんです…
- みふゆ: お稽古が苦しくても、お母様の 折檻がつらくても我慢しなくちゃ
- やちよ: そんなことないよ…!
- やちよ: 家がどうだって みふゆはみふゆなんだから
- やちよ: 私といるときは ただのみふゆでいられるって
- やちよ: そう言ってたじゃない…!
- 氷の女王: …あ、れ… 記憶が変わっていく…?
- 火の魔王: ふぅ…ふぅ…
- 氷の女王: …あなた! どうしたの…!?
- 火の魔王: …ダメなんです 宿命からは逃げられない
- 火の魔王: ワタシが魔王であることは もう変えられないんです…!
- 火の魔王: 諦めるしか…ないんです!
- みふゆ: うっ…うぅ…
- やちよ: …みふゆ! どうしたの…!?
- みふゆ: …ダメなんです 家からは逃げられない…
- みふゆ: ワタシが梓家の娘であることは もう変えられないんです…!
- みふゆ: 諦めるしか…ないんです!
- 氷の女王: 似たような記憶… でも、違う…これは何…?
- みふゆ: …ぅ…ぐす…っ うぅ…
- やちよ: あの…あなた! 大丈夫…!?
- 氷の女王: この記憶… この世界のじゃ、ない…?
- 氷の女王: この記憶は、魔王のものじゃない… これは… この、記憶は…!
- みふゆ: やっちゃん、ごめんなさい… こんな夜中に相談なんて…
- やちよ: 別にいいのよ、これくらい …で、どうかしたの?
- 氷の女王: …そう、少し前に私 あの子から相談されたんだ
- みふゆ: 問題があるわけじゃないんです 模試の結果も上がってきてますし
- みふゆ: 許嫁の彼とも…たまに会って 良好な関係は築けています
- やちよ: …なら、あなたの望みは 叶う方に進んでいるんじゃ…
- みふゆ: …そうなんです、でも… どこかでブレーキがかかるんです
- みふゆ: 情けないことに、前に進もうと 望む自分になろうとするたびに
- みふゆ: お母様の言葉が 脳裏に響いて足がすくむんです…
- みふゆ: ワタシは“梓家の娘”であって そこからは逃げられない…と
- みふゆ: 呪いのように ワタシを縛りつけてるんです
- やちよ: でも、みふゆ…もうあなたは ひとりで暮らしているし
- やちよ: 立派に自立してるじゃない 子どもの頃とは違うわ
- みふゆ: ええ、でもダメなんです…
- みふゆ: きっとワタシは最初から 諦めていたから…
- みふゆ: 臆病なワタシには 全部、無理なことだったんです
- 氷の女王: この、記憶…そうか… そういうことだったんだね…
- やちよ: これは魔王の物語じゃなくて みふゆの物語…
- 火の魔王: ぐすっ…ぐす…
- みふゆ: やっちゃん…
- やちよ: (きっとみふゆは、魔王のように 今もどこかで泣いている…)
- やちよ: (そう…私は物語をたどって みふゆを助けるために…)
- やちよ: (物語を思い出して この世界の住人になった)
- やちよ: (でも役になりきっていたはずが 意識まで乗っ取られて…)
- やちよ: (私たち、今まで物語の世界に 操られていたのね…)
- やちよ: (いえ、それよりも…)
- やちよ: (試練を乗り越えたら 物語は終わるはずじゃ…)
- やちよ: (…違う、あのとき私が 思い出したのは途中まで…)
- やちよ: (当たり前のように ハッピーエンドと思ってたけど)
- やちよ: (…この物語の続きは… えっと…なんだったかしら…)
- やちよ: …これは… みふゆが書いたプロフ帳…
- やちよ: みふゆが書いたプロフ帳にあった 「将来の夢」の欄… そこには、書いては消してを 繰り返した痕跡と、涙の落ちた痕…
- やちよ: そう、思い出した…あれは みかづき荘でクリスマス会を開く少し前のこと 私たちは、そこで披露する劇を 下宿のお姉さんたちと一緒に作っていたわ
- みふゆ: ―みふゆ― 火の魔王と氷の女王のダブル主演なら それぞれで目立つ場所を作りたいですよね
- やちよ: ―やちよ― じゃあ、前半は魔王が活躍して 後半は女王が活躍するのとかはどう?
- やちよ: ―やちよ― それで、ラストは少しシリアスにしたいの メリーバッドエンドっていうやつ
- みふゆ: ―みふゆ― メリーバッドエンド? メリークリスマス…の仲間ですか?
- やちよ: ―やちよ― えっとね、見る人によってハッピーエンドとも バッドエンドとも取れるようなお話のことよ
- やちよ: でも、そのエンディングは プロフ帳にまつわって起きた クリスマス直前の ある事件によって没になった
- やちよの祖母: それは、可哀想だったねぇ…
- やちよ: おばあちゃん みふゆ、どうかした…?
- やちよの祖母: それがね、プロフ帳?って いうのに書いた将来の夢を
- やちよの祖母: お母さんに見られてしまった みたいでね…
- やちよ: なんて書いたの…?
- みふゆ: …っう、変身ヒロインって 書きました…
- みふゆ: ファンタジーってわかってます それでも、夢を見たくて…
- みふゆ: ワタシっ…逃げられないんです 梓家の娘であるということから
- みふゆ: ワタシの将来は決まっていて 希望のある未来なんてない…
- みふゆ: そう、あの宿命に抗えない 魔王とおんなじように…!
- やちよ: これが原因で、あの物語からは 後半の話が消えてラストが変わった
- やちよ: …あの物語は本来 メリーバッドエンドに終わるはずだった
- やちよ: そして今、私たちを飲みこんだ物語は そのエンディングへの道を進んでいる…
- FILENAME: text_518010-10_bjKnj.txt
- やちよ: (思い出した… この物語はたどっちゃいけない)
- やちよ: (このままじゃ、私たちは メリーバッドエンドに…)
- やちよ: (それどころか、この状況じゃ ほぼバッドエンドになる…)
- やちよ: (だって、このあとの 物語の結末って…)
- やちよ: (…そう、どこかに書いて 保管していたはずなのよね)
- やちよ: (脚本と別に、タイムカプセルの 中にメモをいれていたような…)
- やちよ: (…あった、これね)
- パラッ
- 氷の女王たちは、国を滅ぼしてしまうという 宿命に苦しむ火の魔王を救うために 彷徨いの森での試練を乗り越え 見事、森を抜けることができたのでした。
- ですが、女王たちが魔王の従者の案内で 火の魔王がいるはずの山へと向かっても 誰の姿もありません。
- それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
- なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
- しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
- それが魔王の望むことでないと知っている女王は 身を挺して魔王を止めることを決めますが 魔王を助けに行く女王の体は 燃え盛る炎によって次第に溶けていきます。
- ふたりは、性格も何もかもずっと正反対。 だけど、みんなの幸せを願うことは一緒でした。 そのためならば、この身などは惜しくないほど。
- 女王が魔王のもとに行ったあと ふたりがどうなったのかは、誰も知りません。 ひとつだけわかるのは ふたりが消えて、国には平和と ホワイトクリスマスが訪れたということ。
- それから、聖夜に人々は祈ります。 ふたりが残してくれたこの場所が どうかこれからも幸せでありますように。 来年も 素敵なホワイトクリスマスになりますように。
- やちよ: (…物語としては いいかもしれないけど…)
- やちよ: (…このラストにたどり着けば)
- やちよ: (私もみふゆも どうなるかわからないわね…)
- 水樹 塁: そ、それって、ここで死んだら リアルでも死んじゃう…とか?
- みたま: そういうことになるかも…
- やちよ: (さて、どうやってこのエンドを 回避すればいいかしら…)
- やちよ: (私以外、物語から解放されてる 様子はないみたいだし…)
- やちよ: (ここは、ひとりで なんとかしないといけないわね)
- [Part 1 end]
- ---
- [Part 2 start]
- FILENAME: text_518020-1_eErb4.txt
- やちよ: 魔王の記憶、もといみふゆの記憶を 見たことによって、私は物語から解放された… とは言え、この世界からは抜けられないし 姿も女王のままで、自我だけを取り戻したみたい
- やちよ: そして、私が今までみふゆを助けるために たどっていた物語の行きつく先が メリーバッドエンドだったことを思い出した
- 氷の女王たちは、国を滅ぼしてしまうという 宿命に苦しむ火の魔王を救うために 彷徨いの森での試練を乗り越え 見事、森を抜けることができたのでした。
- ですが、女王たちが魔王の従者の案内で 火の魔王がいるはずの山へと向かっても 誰の姿もありません。
- それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
- なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
- しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
- それが魔王の望むことでないと知っている女王は 身を挺して魔王を止めることを決めますが 魔王を助けに行く女王の体は 燃え盛る炎によって次第に溶けていきます。
- ふたりは、性格も何もかもずっと正反対。 だけど、みんなの幸せを願うことは一緒でした。 そのためならば、この身などは惜しくないほど。
- 女王が魔王のもとに行ったあと ふたりがどうなったのかは、誰も知りません。 ひとつだけわかるのは ふたりが消えて、国には平和と ホワイトクリスマスが訪れたということ。
- それ以来、聖夜になると人々は祈ります。 ふたりが残してくれたこの場所が どうかこれからも幸せでありますように。 来年も 素敵なホワイトクリスマスになりますように。
- やちよ: つまり、このまま進めば 私とみふゆは生死不明で行方不明 みんなも噴火に巻き込まれるかもしれない
- やちよ: (さて、どうやってこのエンドを 回避すればいいかしら…)
- やちよ: (私以外、物語から解放されてる 様子はないみたいだし…)
- やちよ: (ここは、ひとりで なんとかしないといけないわね)
- やちよ: ここまでの流れは、おおよそ物語と同じ… ただ、救いがあるとすれば すべてが物語通りではないこと
- やちよ: 守り人との勝負の内容だったり ひとつひとつのセリフだったり 細部は元の内容と違う…ということは そういったところからラストを変えられるかも…
- やちよ: それに、何よりさっき見た記憶… あれは魔王のものでなく、みふゆのものだった
- やちよ: なら、この物語の目的は 「魔王の悲しみを晴らすこと」ではなく 「みふゆの悲しみを晴らすこと」になってる…?
- やちよ: とは言っても、悲しみを晴らしたあとに メリーバッドエンドが待ってるんだから 同じような優しい言葉をかけても 向かう先は生死不明ってことなのよね…
- やちよ: (何か、別の方法を 探さないと…)
- 女王の従者: 女王様…? 顔色が悪いみたいだけど…
- やちよ: え? ああ、ごめんなさい大丈夫よ
- 女王の従者: 疲れちゃったなら、その… 私がおんぶするよ…!
- やちよ: …いいえ、ありがとう
- 魔王の従者: さあ、女王様は悩みの欠片を集め 魔王様の理解者になったはず
- 魔王の従者: さっそく、魔王様に 会いに行きましょう!
- 氷の女王たちは、国を滅ぼしてしまうという 宿命に苦しむ火の魔王を救うために 彷徨いの森での試練を乗り越え 見事、森を抜けることができたのでした。
- ですが、女王たちが魔王の従者の案内で 火の魔王がいるはずの山へと向かっても 誰の姿もありません。
- やちよ: (…まずいわ、順調に 物語に沿わされている…)
- やちよ: (なんとかして打開策を 見つけつつ)
- やちよ: (鶴乃たちを巻き込まずに 済む方法も考えないと)
- やちよ: (また、この中にヒントが あったりしないかしら)
- やちよ: (…あ、これって 昔、みふゆが作った…)
- やちよ: “祈りが届く”魔法のステッキ…?
- みふゆ: じゃーん、見てください!
- みふゆ: お姉さんたちに手伝ってもらって 魔法のステッキができました!
- みふゆ: 「このステッキは、信じる力で強くなるんです! そして、祈りを込めればそれを 叶えてくれたりもする とーっても、すごいステッキなんです!」
- やちよ: あら、作ったの?
- やちよ: 万能すぎるし尺も足りないから 脚本では没になっちゃったのに…
- みふゆ: えへへ、作りたくなっちゃって…
- みふゆ: それに、万能とは言っても 強い想いがなければダメなので!
- みふゆ: ファンタジーと言えど そんなに甘くはないんですよ!
- やちよ: (祈れば…)
- やちよ: (…ハッピーエンドに なりますように…)
- やちよ: …………
- やちよ: (さすがにこれはズルかしら 願いも大きすぎる気がするし…)
- やちよ: (…でも、他の祈りなら?)
- やちよ: (たとえば…)
- やちよ: (あの木に実る 果物が食べたい…!)
- やちよ: んん…!
- やちよ: (…なんてね)
- ガタッ
- やちよ: (…これ、はしご…?)
- 長老: あら、そのはしご…ここで 誰かが果物でも採ってたのかしら
- 兵士: んじゃ、ちょっくらオレも 採ってくるか!
- やちよ: (…祈りが、通じてる…?)
- 兵士: ほら、女王も食うだろ?
- やちよ: ありがとう…
- やちよ: きっと物語を変えるような大きな祈りは 少なくとも、私ひとりの祈りじゃ叶わない… でも、こういった目の前の小さなことなら叶う…
- やちよ: それも、その祈りを達成するために 必要なものが現れる…という方法で…?
- やちよ: …なら、このステッキは私が使うよりも 鶴乃たちに預けて、身を守る手段として 使ってもらった方がいいのかも
- やちよ: “身を守るため”のアイテムがあれば あの子たちが目を覚まさなかったとしても 生き延びる可能性を上げられる
- やちよ: それに、強い想い… フェリシアや二葉さん…みんなの想いがあれば この世界から抜け出せる可能性もあるわよね
- 魔王の従者: 魔王様、ここに いるはずなんだけど…
- ですが、女王たちが魔王の従者の案内で 火の魔王がいるはずの山へと向かっても 誰の姿もありません。
- やちよ: (物語の通り魔王はいない… そして…)
- やちよ: (みんなは物語に操られたまま 話が進行されている…)
- やちよ: (このまま話が進めば…)
- それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
- なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
- しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
- やちよ: (幻覚と現実の両方で 全滅して死ぬ恐れもある…)
- やちよ: (…エンディングを変えて みふゆを救うならきっと)
- やちよ: (ここが、ひとつの転換点…)
- 魔王の従者: 魔王様ぁ~! どこにいるんですか~!
- みふゆの声: こ、来ないでください!
- 魔王の従者: 魔王様…! そこにいるんですね…!
- みふゆ: ワタシ、国を壊しちゃうから… ここでひとりでいなくちゃ…
- みふゆ: お願い… 誰も傷つけたくないんです
- 魔王の従者: 大丈夫です、魔王様 あなたはそんなことしない!
- 商人: そうです、私たちはみんな 魔王様に助けられてきたから…
- 兵士: ああ! だから戻ってきていいんだぞ!
- ふさぎこむ火の魔王に、みんなは声を掛けます。
- やちよ: (…このまま優しい言葉を かけ続ければ物語通り…)
- やちよ: (だから、ここで物語を変えて 違う道へ進む)
- やちよ: …みんな、もういいわ 私が魔王を迎えに行くから
- トナカイ: でも、女王様!魔王様は あんなに強い炎の向こうに…!
- やちよ: …ええ、だからこそ 私が行かなくちゃいけないの
- やちよ: あなたたちじゃ 火傷しちゃうでしょう?
- やちよ: それに、私は悩みの欠片を すべて手に入れた理解者…
- やちよ: 魔王の心に触れて あの子を取り戻すのなら
- やちよ: 私が適任のはずよ
- 女王の従者: ダメ…!私は、認められない… 女王様がいなくなったら…私…
- 女王の従者: お願い、女王様 私が行く…私に行かせて
- やちよ: …それはダメよ 代わりに、あなたにはこれを託す
- やちよ: (…そう、これで この子たちを逃がす…)
- やちよ: (ステッキでここから 逃げてもらって…)
- やちよ: (タイムカプセルは、また ヒントになるかもしれないから)
- 女王の従者: 私に…?
- やちよ: これは 祈りが届く魔法のステッキよ
- やちよ: 信じる力と、祈る力が あなたたちを守ってくれるはずよ
- 女王の従者: 女王様…えっと… それはどういう…
- しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
- やちよ: …これから、きっと町には 魔物が現れて、山も噴火する
- やちよ: だから、あなたたちは 国民を連れて、ここから逃げて
- やちよ: ステッキに祈れば、そのために 必要なものが現れるから
- やちよ: どんなことでも、みんなで祈れば きっとなんとかなるはず
- 女王の従者: 嫌、女王様を置いてなんて そんなことできない
- やちよ: (…この子たちを 巻き込まないためには…)
- やちよ: …………はぁ
- やちよ: 足手まといなの だから、早く行ってもらえる
- 女王の従者: え…
- やちよ: (ごめんなさい、これしか 方法が思いつかなくて…)
- 兵士: おい! そんな言い方ねえだろ!
- やちよ: …悪いわね
- やちよ: あとは頼んだわよ
- FILENAME: text_518020-2_eErb4.txt
- やちよ: (これできっと、あの子たちは 国の外へ出て生き延びられる…)
- やちよ: だけど、真に救われるためには この世界から抜け出さないといけない
- やちよ: 私が魔王の心を救って ハッピーエンドを作り上げるだけじゃダメ
- やちよ: 私がハッピーエンドの果てに みふゆの目を覚まさせて 魔法を解いてもらわないといけないわ
- やちよ: (でも…)
- やちよ: でも、みふゆ…もうあなたは ひとりで暮らしているし
- やちよ: 立派に自立してるじゃない 子どもの頃とは違うわ
- みふゆ: ええ、でもダメなんです…
- みふゆ: きっとワタシは最初から 諦めていたから…
- みふゆ: 臆病なワタシには 全部、無理なことだったんです
- やちよ: (あのとき、私の言葉で 何も変わっていなかったのなら)
- やちよ: (私、本当に あの子を救えるのかしら…)
- やちよ: (…ううん、私が弱気に なってちゃダメよね)
- やちよ: (だって、泣き虫な あの子を助けてきたのは)
- やちよ: (今も昔も私なんだから)
- やちよ: …はぁ、それにしても 本当に溶けそう…
- やちよ: さっさとみふゆを 見つけないとまずいわね…
- みふゆの声: ぐすっ…すん…
- やちよ: …この声
- やちよ: 待って…!
- やちよ: はぁ…はぁ…みふゆっ 待ちなさい…!
- やちよ: 待って、そんなに 逃げちゃ…物語通りに…
- 女王が魔王のもとに行ったあと ふたりがどうなったのかは、誰も知りません。 ひとつだけわかるのは ふたりが消えて、国には平和と ホワイトクリスマスが訪れたということ。
- やちよ: ああ、そう…そういうこと これが最終決戦ね
- やちよ: 物語のラストは ふたりが消えるエンド…
- やちよ: 大方、氷の女王は この炎で溶けたんでしょうね
- やちよ: …だけど行くしかない
- やちよ: 私が溶けて消えたとしても せめてみふゆは助けないと…
- やちよ: それに、みふゆがいれば この世界もどうにかなるかも
- やちよ: だから、私がしっかりしなきゃ
- やちよ: 私ひとりの力で…なんとか
- やちよ: …なんだか、昔やった かくれんぼを思い出すわ
- やちよ: こういうわかりやすい岩陰に あの子はよく隠れてた
- やちよ: みふゆは、かくれんぼが とっても下手だったから
- やちよ: な…突然場所が…
- みふゆ: あっ、見つかっちゃいました
- やちよ: (…ここは、みふゆの 過去の記憶…?夢…?)
- やちよ: …ほら、みふゆ そろそろ帰りましょう?
- みふゆ: あともう少し… だめですか…?
- やちよ: はぁ、仕方ないわね…
- みふゆ: あ、でも…ダメです もうこんな時間…
- みふゆ: 今日もお稽古ですし お母様に叱られちゃう…
- やちよ: …場面が変わった…
- みふゆ: ぐすっ…どうしよう またお稽古に遅れちゃいました…
- やちよ: みふゆ…!
- みふゆ: お家に帰っても叱られるし どうしてワタシ、こんなに…
- やちよ: 大丈夫よ、何か方法を…
- みふゆ: うっ…うぅ…
- やちよ: …私の声が 届いていないの…?
- みふゆの母: あなたは、どうしてそんなに 上手にできないのですか?
- みふゆの母: 私に恥をかかせるために わざとやってます?
- みふゆ: っ、ぁ… そんっ、そんなこと…
- みふゆの母: 言い訳はいりません 梓家の恥さらしもいいところです
- みふゆ: うぅ…ぐすっ… もう嫌です…誰か…誰か助けて…
- みふゆ: っ…やっちゃん…やっちゃんが いてくれたら…うぅ…
- やちよ: …みふゆ、私はここよ ねぇ…
- やちよ: ごめんなさい、私… 知らなかった
- やちよ: 私、あなたを助けてる つもりでいたけど
- やちよ: 本当は、何も 助けてあげられてなかったのね
- やちよ: あなたが私を呼ぶ声に 気づいてあげられなかった
- やちよ: そんな私の言葉なんて 届かなくて当然ね
- やちよ: ごめんね、気づけなくて
- やちよ: …ごめんね そこから助けてあげられなくて…
- FILENAME: text_518020-3_eErb4.txt
- 女王の従者: 女王様に捨てられちゃった… やっぱり私、使えないから…
- 商人: そんなことないですよ…! えっと…元気出してください
- 守り人1: 女王様は逃げろと言ってましたが みなさんは、どうしますか…?
- 魔王の従者: 私は逃げずに 魔王様が戻るのを待ちたい
- 女王の従者: …うん、私も 女王様たちを信じてるから
- 女王の従者: でも、本当は 助けに行きたい…!
- 魔王の従者: 私も、それは同じ気持ちだよ
- トナカイ: そう言われちゃうと わたしだって逃げるのは嫌だけど
- トナカイ: うーん…
- トナカイ: ほっ、そうだ!
- トナカイ: もういっそのこと ふたりを救うことにしようよ
- トナカイ: このステッキに祈りを込めれば きっとできるよ!
- 長老: 逃げるためじゃなくて救うため… わたしも、その方がいいわ…!
- 魔王の従者: はい、そうですね…!
- 商人: えっと、なんて祈りますか?
- 守り人2: その祈りが叶うのに必要な ものが現れるんですよね
- 守り人1: 魔王様と女王様を救うこと… ですかね?
- 守り人1: いったい、何が現れるのやら
- 女王の従者: あと、女王様の願いも叶える
- 守り人3: 女王様の願いって?
- 女王の従者: 私たちの身を案じてくれてたから 私たちみんなも救われなきゃ
- 魔王の従者: うん、そうだね…!
- みんな: 「女王様を、魔王様を… それから私たちみんなが救われるために どうか、力を貸してください…!」
- 兵士: …おわ!ステッキから なんか、力が…!
- ももこ: …………はぁ!?
- トナカイ: ん? あれ…えっと…
- 長老: あなた…
- 鶴乃&みたま: ももこぉ!?
- みたま: ちょっと待って 状況を整理させて…
- 鶴乃: わたしたち、あれからずっと 物語に操られてたってこと?
- みたま: どうも、そうみたいね…
- さな: でも、ふたりはまだ 操られたままみたいですよ…
- 魔王の従者: 早く、魔王様たちを 助けに行かないと…
- 女王の従者: うん…
- 古町 みくら: 端役だった私たちに対して 彼女たちは脇役
- 古町 みくら: 役割が重くなってる分 戻す条件も難しいのかもしれない
- 鶴乃: 今後、わたしたちがどうするか ふたりをどうすれば戻せるか
- 鶴乃: これまでの記憶が残ってるのは 不幸中の幸いかもしれないね
- 三穂野 せいら: 気にしてなかったけど 確かに記憶は残ってますね!
- 三穂野 せいら: あっ…だから、水樹が あんな感じになってるんだ…
- 水樹 塁: (わわわわわ、私みんなの前で 闇塁を解放して…!?)
- 水樹 塁: う…う…コロシテ…ァア
- パサッ
- 水樹 塁: …ん?何…これ びっちり書かれたメモ…?
- 鶴乃: 残っている記憶で なんとか解決法を考えないとだね
- 水樹 塁: あ、あの…その前にやちよさんが
- 水樹 塁: 私たちを逃がそうとしてる 理由…なんですけど…
- 鶴乃: 噴火と魔物の被害に 巻き込まないようにだよね
- 鶴乃: …って、あれ…そんな話 そもそも物語になかったような?
- 水樹 塁: そう…さっき、この紙が タイムカプセルから落ちてて
- みたま: これはぁ?
- 水樹 塁: 多分、没になったって後半… その結末のメモ…かなって…
- 吉良 てまり: ちょっと…いいですか?
- ですが、女王たちが魔王の従者の案内で 火の魔王がいるはずの山へと向かっても 誰の姿もありません。
- それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
- なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
- しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
- 吉良 てまり: これは…
- 三穂野 せいら: 全滅エンド待ったなしですよ!
- みたま: じゃあ、やちよさんの 今までの行動って…
- みたま: この結末を知った上でのこと…?
- 吉良 てまり: ええ、我々が魔王に言葉を かけることを止めたのも
- 吉良 てまり: 物語の通りにならないため… 彼女はひとりで物語に対抗してる
- 吉良 てまり: 恐らく、既に 目も覚ましていることでしょう
- 鶴乃: どうしよう、このままじゃ わたしたちは救われるかもだけど
- 鶴乃: やちよとみふゆが いなくなっちゃうかもしれない!
- フェリシア: オレらに できることはねーのかよ!
- 鶴乃: そもそも、どうしてわたしたちが 正気に戻れたのかも
- 鶴乃: なんで、ももこがここに 来たのかもわからないし…
- ももこ: そうなんだよな
- ももこ: 調整屋と連絡がつかないから 何かあったのかもって
- ももこ: 調整屋に向かってる途中で なんか、助けを呼ぶ声が聞こえて
- ももこ: それで、調整屋に入ったら ここにいたからな
- さな: 調整屋は今、足を踏み入れると ここに来ちゃう仕組みですからね
- ももこ: え、いろはちゃんとういちゃんも userNameが居ないって
- ももこ: 探してたから、このあと調整屋に 来るかもしれないんだけど…
- 鶴乃: それもまずいけど 助けを呼ぶ声って何…?
- 三穂野 せいら: …それ、もしかしたら こんなセリフじゃなかったです?
- みんな: 「女王様を、魔王様を… それから私たちみんなが救われるために どうか、力を貸してください…!」
- ももこ: ああ、そう、そんな感じ!
- 鶴乃: あ、そうだよ!
- 鶴乃: 目が覚めたことで 気が動転しちゃってたけど
- 鶴乃: わたしたちみんなを救うために ステッキに祈って…
- みたま: ええ、その祈りが叶うために 必要なものが現れるって話で…
- フェリシア: それで、どうして ももこがいんだよ?
- ももこ: そりゃ アタシのセリフなんだよな
- 三穂野 せいら: 私たちだけ正気に 戻ったのも謎…
- 水樹 塁: ふたりは、まだ 物語の中みたいだし…
- 三穂野 せいら: なんで、ふたりだけ 戻れなかったんでしょう…?
- さな: あ…もしかすると ふたりがまだ戻れてないことにも
- さな: 意味があるんじゃないですか?
- さな: その…これは、あくまで 推測…なんですけど
- FILENAME: text_518020-4_eErb4.txt
- みたま: …つまり、すべては ステッキに祈った結果で
- みたま: この結果こそ、わたしたちが 救われる方法に繋がる…?
- フェリシア: んあ?ぜんぜんわかんねーから もっかい説明してくれよ
- さな: えっと…
- さな: 「このステッキに祈れば それを叶えるために “必要なものが現れる”んでしたよね?」
- さな: 「つまり、ももこさんが現れたのも 私たちだけが目覚めたのも “みんなが救われる”という祈りを叶えるために 必要だから起きたことなんですよ」
- 鶴乃: つまり、物が現れるだけだと 思ってたけど
- 鶴乃: 祈りを叶えるのに必要なものは 全部そろうってことだ!
- フェリシア: あ、それならさ このステッキをやちよに渡そうぜ
- フェリシア: そしたら最強だろ!
- 鶴乃: たしかに!フェリシア天才!
- 鶴乃: なるほど… こういう発想のためにも
- 鶴乃: わたしたちが 目覚める必要があったんだね
- 吉良 てまり: そして逆に、従者のふたりが 目を覚まさなかったことにも
- 吉良 てまり: 意味があるのかもしれませんね
- 女王の従者: 物語…はよくわからないけど ステッキを渡すのはいい案
- さな: きっとふたりは従者として 何かすることがあるんですよね
- さな: …多分、それで 目を覚ましてないんだと思うから
- 魔王の従者: うん…魔王様は 今、炎の向こうにいるでしょ?
- 魔王の従者: 魔王様の炎を越えるには 私たちの力が必要なの
- 魔王の従者: 火と氷… ふたつを合わせた力が
- 鶴乃: ふたりの力で女王たちの ところまで行って
- 鶴乃: ステッキを渡すってことだね!
- フェリシア: よくデカゴンボールとかじゃ こういうのにみんなの力~とかを
- フェリシア: チャージするとでっけー力に なったりするけど、できんのかな
- 魔王の従者: ステッキには祈りを届ける力が あるから
- 魔王の従者: みんなの想いを込めれば もっと強くなるはず!
- 魔王の従者: 魔王様は宿命に苦しんでるから… 私たちで大丈夫って伝えたら
- 魔王の従者: きっと、戻ってきてくれるって 私は、そう信じてるの
- 三穂野 せいら: あ…でも、そうやって 言葉を伝えるだけじゃ…
- それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
- なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
- しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
- 三穂野 せいら: 物語の通り 上手くいかないんじゃ
- 魔王の従者: その物語っていうのは よくわからないんだけど…
- 魔王の従者: ステッキで想いを伝えるのと ただ声を掛けるのは違うの
- 魔王の従者: ステッキは本当の想いを… 祈りを届けることができるから
- フェリシア: あぁ? 言葉と気持ちはおんなじだろ
- 鶴乃: んー、フェリシアは そうかもしれないけど
- 鶴乃: 確かに、言葉って何かしらで 飾ったり、体裁…とか
- 鶴乃: あとは上手く言葉にできないとか 正しく伝わらないことがあるから
- 鶴乃: フェリシアだって謝りたいけど 言いづらい…とかあるでしょ?
- フェリシア: まあ、確かにあるかも…
- 女王の従者: このステッキなら、そういうのも 正しく伝えられると思う
- 鶴乃: 魔王の宿命…なんだかみふゆも 似たようなことを言ってたね
- ももこ: ああ、家の話だな…
- ももこ: アタシらの前じゃ あんま話さないけど
- ももこ: 梓家の娘じゃなければって こぼしてることもあるもんな
- 鶴乃: …もしかしたら、みふゆも 魔王と同じように悩んでるのかな
- さな: なら、私たちからみふゆさんへの 想いも伝えないとですよね
- 鶴乃: そっか…そうだね! やってみるっきゃないか!
- みたま: ええ、他に方法も見つからないし ここで何もしないよりいいわ
- ももこ: 待った待った! んで、アタシの役割は!?
- 鶴乃: んー、ももこの魔法って激励だし 応援係…とか?
- ももこ: そんな馬鹿あるかよ…
- 三穂野 せいら: …あるかもしれません
- 三穂野 せいら: 水樹、あの映画のこと覚えてる? なんか似てる気がして
- 水樹 塁: うん、私も実は思ってた…
- みふゆ: さぁ、みんなも! ワタシたちに力を貸して!
- みふゆ&塁: ホーリーナイト ミラクルフラーッシュ!
- ももこ: あ、みふゆさんが出たやつか 確かにそんな台詞あったな…
- 三穂野 せいら: 多分、私たちの力だけじゃ 足りないので呼ばれたのかと
- ももこ: じゃあ、アタシは応援で みんなの力を強化…ってことか?
- ももこ: まあ、そういうことなら 全力で応援しとくよ!
- フェリシア: んじゃ、さっさとアイツら 助けにいこうぜ!
- フェリシア: オマエらが連れてってくれるって 言ってたけど本当に大丈夫か?
- 鶴乃: うん…けっこうすごい炎だし わたしたちも加勢した方が…
- 魔王の従者: いえ、これは 私たちのお仕事なので!
- 女王の従者: これでも、女王様をお守りする身 みんなが思うより強いよ
- 魔王の従者: だから、みんなはその間に ステッキに想いを込めておいて
- 魔王の従者: そして、女王様に ステッキをお渡しして
- 魔王の従者: 最後に女王様から魔王様への 想いを伝えてもらうの
- ももこ: んで、アタシはみんなの 祈りの力が強くなるように
- ももこ: 応援するってとこだな!
- 鶴乃: よっし! じゃあ、それで行こう!
- ももこ: みんなで魔王たちを 助けに行くぞー!
- みんな: 「おー!」
- FILENAME: text_518020-5_eErb4.txt
- やちよ: …はぁ、このままじゃ みふゆを助ける前に溶けそうね
- やちよ: …でも、早くみふゆを 見つけてあげなくちゃ
- やちよ: 私は、あの子をまだ知らない
- やちよ: あれだけ長い時間を過ごしても まだ見えていないことがあった
- やちよ: 今度こそ… 本当の理解者になるから
- やちよ: …みふゆ
- みふゆ: …………
- みふゆ: …やっちゃん、覚えてますか
- みふゆ: ワタシ、あの日 行けなかったんです
- やちよ: …あの日…?
- みふゆ: …かなえさんの、お葬式
- みふゆ: どうして… 行ったらいけないんですか
- みふゆの母: …何度言えばわかるんですか 不良の子のお葬式だなんて
- みふゆの母: 梓家の人間として 許せるわけがないでしょう
- みふゆ: …っ、大切な友人なんです お母様、お願いします
- みふゆの母: 亡くなってしまったのは 残念ですけれど
- みふゆの母: そもそも、そんな人と交流を 持っていたのも許せませんし
- みふゆの母: 亡くなったのも、どうせ 不良同士の喧嘩とかでしょう
- みふゆ: …っ!
- みふゆ: かなえさんは そんなことしません…!
- ガチャ
- みふゆ: うっ…ふぅ…
- みふゆ: ワタシ、ワタシ… 間に合わなかった…
- みふゆ: もっと早く、お母様に 反抗して家を出てたら…
- みふゆ: そしたら、ワタシ 最後に挨拶できたのに…
- みふゆ: ごめんなさい、かなえさん… ごめんなさい…
- やちよ: …あの日の、お葬式… みふゆは来られなかった…
- やちよ: だけど、私も余裕がなくて
- やちよ: ひとりで泣いてたなんて 気づいてあげられなかった…
- みふゆ: …でも、仕方ないんです
- みふゆ: だって、ワタシは 梓家の娘…だから
- FILENAME: text_518020-6_eErb4.txt
- みふゆ: だからワタシは、大切な人を 見送ることもできなかった
- みふゆ: ワタシは無力です
- みふゆ: やっちゃんだって 知っているでしょう?
- みふゆ: 「メルさんのときだってそう… ワタシは、いつだって何もできない」
- みふゆ: 「マギウスの翼でのことは ワタシの弱さが引き起こしたことでもあります」
- みふゆ: ワタシは、ずっと ずっと弱いままです
- やちよ: そんなことない… みふゆはっ…!
- みふゆ: ワタシ、やっちゃんとは違う
- みふゆ: 魔法少女としてだって とっても弱いんです
- みふゆ: 願いによって得た力は 夢を見ること…
- みふゆ: 自分の心を少し慰めて そして、空虚になるだけ
- みふゆ: いくら夢を見たって 現実は何ひとつ変わらない
- みふゆ: …お葬式の夜、夢を見ました もしも、式に間に合ったらって
- みふゆ: だけど、目が覚めたとき ひどく虚しかった…
- みふゆ: ワタシは夢の中で、かなえさんに 許されようとしたんです
- やちよ: みふゆ…
- みふゆ: …わかってます
- みふゆ: 死への冒涜…それ以外の 何物でもないですよね
- やちよ: …誰だって、空想や夢に 逃げたくなることはあるわ
- やちよ: あなたが弱いわけじゃない 私がもっと支えてあげられたら…
- みふゆ: …やっちゃんは強いから そんなこと言えるんです
- みふゆ: それに、やっちゃんは 魔法の力で
- みふゆ: かなえさんやメルさんの 想いを継ぐことができる
- みふゆ: でも、ワタシはせいぜい 夢に見るくらい
- みふゆ: 夢に見るだけ…!
- みふゆ: あの日だって 本気で抵抗したのなら
- みふゆ: お母様を振り切って
- みふゆ: お葬式でかなえさんを 見送ることができたのに…
- みふゆ: それをしなかったのは 紛れもなく自分の弱さなんです
- みふゆ: 今まで家で浴びせられた 言葉がブレーキになって
- みふゆ: ワタシ、足が動かなかった…
- みふゆ: 梓家の娘であるワタシは お母様のいいなり
- みふゆ: 出来損ないは意見するのも 許されません
- みふゆ: ワタシは、その境遇から 一生逃れることなく
- みふゆ: お母様の敷いたレールを 進むしかないと決めつけ
- みふゆ: それができるだけでも ワタシは恵まれていると言われ
- みふゆ: 文句も言えなければ 反抗なんてもってのほか
- みふゆ: そうした“しつけ”には 簡単に逆らえない
- みふゆ: …そんな言い訳を いくつも並べて…
- みふゆ: 自分の弱さを 正当化しようとさえする
- みふゆ: ワタシは そんな弱い人間なんです
- FILENAME: text_518020-7_eErb4.txt
- みふゆ: ワタシは そんな弱い人間なんです
- みふゆ: お母様に縛られて 動くことができないんです
- みふゆ: 体だけ大人になっても 全然成長できませんでしたね
- やちよ: そんなこと…
- みふゆ: ワタシは逃げられない 魔王だって、同じ
- みふゆ: 暴虐の魔王の血筋である という宿命から逃れられずに
- みふゆ: 大好きで大切だった 自分の国を焼いてしまうんです
- みふゆ: 梓家の娘であるということから ワタシは死ぬまで逃れられない
- みふゆ: どんな夢を見たって叶わない
- みふゆ: 希望なんて、夢なんて… 抱くだけ無駄なんです
- やちよ: …そんなことない!
- みふゆ: やっちゃんには わかりっこないですよ!
- やちよ: …っ!
- やちよ: …私だって、いろいろ…!
- やちよ: …………いいえ
- やちよ: …みふゆは、家に縛られて 動けないって言うけど
- やちよ: 少し前、みふゆの 心が子どもになったとき…
- やちよ: そのときに、あなたが 何をしていたか覚えてる?
- みふゆ: …何って、元の姿に戻るために 物語をたどっていただけですよ
- やちよ: その中で、何をしたかよ
- やちよ: 「短編映画の変身ヒロインの役を 自ら進んで演じてみたり」
- やちよ: 「子ども化学教室で事故から子どもを守って 本物のヒーローになったり」
- やちよ: 「好きなことを話して みんなで楽しい時間を過ごしてみたり」
- やちよ: あの時のあなたは 家に縛られてなかったはずよ
- みふゆ: …あ、あれはきっと 火の魔王の力に影響されて…
- やちよ: それでも、あなたはその手で 自分の望みを叶えたじゃない
- やちよ: 自ら欲しいものを手に入れた たとえ小さくても夢を掴んだ
- やちよ: それは、あなたが自由だという 証拠なんじゃないの
- みふゆ: ――っ!?
- FILENAME: text_518020-8_eErb4.txt
- やちよ: 自ら欲しいものを手に入れた たとえ小さくても夢を掴んだ
- やちよ: それは、あなたが自由だという 証拠なんじゃないの
- みふゆ: ――っ!?
- やちよ: あなたの過去は… 家のことは知ってる
- やちよ: …いえ、ちゃんとは 知ってあげられてなかった
- みふゆ: やっちゃん…
- やちよ: …みふゆ、ごめんね
- やちよ: 側にいてほしいって 思ってくれていたのに
- やちよ: 私は、隣に いてあげられなかった
- みふゆ: そんな、やっちゃんは 悪くないんです…!
- みふゆ: ワタシが弱かっただけで…
- やちよ: みふゆは弱くない
- やちよ: だって、私がいなくたって あなたは乗り越えてきたじゃない
- やちよ: そうして今、前を向いて 未来へ進んでる
- やちよ: 大学受験のことも 許嫁とのことも
- やちよ: それから、魔法少女の 未来についてだって
- やちよ: 母親の言葉に縛られていても 時には、踏み出せずにいても
- やちよ: それでも、一歩ずつ 自分の足で前に進んでる
- やちよ: そのあなたから 目を逸らさないでほしいの
- みふゆ: だけど、やっちゃん…
- みふゆ: ワタシが梓家の娘だって その事実は変わらないんです…
- みふゆ: お母様には逆らえない…
- やちよ: そんなこと、誰が決めたの?
- みふゆ: え…
- 守り人1: こぼしちゃいけないなんてルール 最初からなかったんです
- やちよ: 逆らっちゃいけないなんて そんな決まりはないでしょう
- みふゆ: で…でも、家柄からは 逃げるなんてこと…
- 守り人2: ええ、諦めなければ 結果はどうにだって変わる…
- 守り人2: スタート地点は変えられずとも ゴールは…未来は変えられます
- やちよ: 生まれは変えられなくても 生き方は変えられるでしょ
- やちよ: 諦めなければ、きっと
- やちよ: …なんて、全部
- やちよ: ついさっき聞いた話の 受け売りなんだけどね
- みふゆ: …でも、ワタシ そんなに強くなんかないです
- やちよ: …いいえ
- 守り人4: そうか、僕の知らないうちに 臆病を克服していたのか…
- やちよ: みふゆは、強い… 強くなっているのよ
- やちよ: あなたも私も、それに 気づいていなかっただけで…
- やちよ: 私は、あなたを助けなきゃ なんて思ってたし
- やちよ: みふゆは、私に居てほしいって 思ってくれたみたいだけど
- やちよ: あなたは、ひとりでも 本当はずっと強かった
- やちよ: 泣き虫だし、弱いところも たくさんあるけどね…
- やちよ: 弱いからこその強さを あなたは、持ってる
- みふゆ: でも、でもやっちゃん…ワタシ ワタシ何かがおかしい…
- やちよ: みふゆ…?
- みふゆ: 抗えないんです… 魔王の、暴虐の血に…!
- みふゆ: ワタシが家に、逆らえないように 逃げられないように…!
- しかし、宿命は絶対です。
- やちよ: くっ…意地でも物語通りに 進ませようってわけ…!?
- みふゆ: …やっちゃん、お願い ワタシを倒してください
- やちよ: は…何を…
- みふゆ: そうしたらこの世界は消えて 巻き込まれたみなさんも助かる…
- みふゆ: やっちゃんなら、最初から その選択肢に気づいてたはずです
- やちよ: …やめて
- みふゆ: これからのことを考えれば 何が最善か理解してるでしょう?
- みふゆ: 弱いワタシひとりいなくなっても やっちゃんがいれば大丈夫
- やちよ: …やめてって言ってるじゃない! 私だって、本当はひとりじゃ…!
- ドーンッ
- やちよ: え…?
- 女王の従者の声: 女王様!
- 魔王の従者の声: 魔王様!
- 魔王の従者&女王の従者: ―魔王の従者&女王の従者ー いっけぇえええっ!
- FILENAME: text_518020-9_eErb4.txt
- 魔王の従者&女王の従者: ―魔王の従者&女王の従者ー いっけぇえええっ!
- みふゆ: これ、って…
- 魔王の従者: 迎えにきましたよ、魔王様っ
- 女王の従者: …大丈夫?女王様
- やちよ: どうして、ここに…
- 女王の従者: だって私は 女王様の従者だから
- 女王の従者: …どう?見直した?すごい?
- やちよ: …えぇ、ごめんね ありがとう…すごいわ
- 鶴乃: やちよーっ!
- やちよ: 鶴乃…は物語から解放されて…? いったいどうやって…
- やちよ: …じゃなくて、ここは 危ないから逃げてって…
- ももこ: はいはい、説明はあとだよ!
- やちよ: は、ももこ!?
- フェリシア: 受け取れ、やちよ!
- 鶴乃: そのステッキには みんなの祈りが込めてある!
- さな: はい、みふゆさんへの想いと
- 魔王の従者: 魔王様への想い
- 女王の従者: あとは、女王様の想いを込めれば 今度こそちゃんと伝わるよ
- 魔王の従者: 強い想いがあれば宿命なんて なんだって覆せるから!
- ももこ: アタシも手助けするぞ!
- 魔王の従者: はい、魔王様を 救ってあげてください!
- やちよ: でも、それじゃ…
- それでもみんなは 隠れていた火の魔王を見つけて声をかけました。 過去に囚われる火の魔王と違って みんなは過去を知っても魔王を責めません。
- なぜなら、魔王のおかげで冬を越せていたことも 民たちにいつも寄り添ってくれていたことも 全部、知っているからです。 そして、氷の女王に言われて魔王は気づきます。 魔王は、みんなに愛されていたことに。
- しかし、宿命は絶対です。 立ち直った魔王でしたが、宿命に抗えず ついに国を滅ぼそうとしてしまいます。 魔王の悲しみで山は噴火しそうになり 町では、多くの魔物が暴れ…。
- やちよ: やっぱり物語通りになるんじゃ…
- 女王の従者: 大丈夫、私たちを信じて
- 鶴乃: 物語に干渉するなら 物語のアイテム!
- 鶴乃: ここは奇跡を信じて ステッキで結末を変えちゃおう!
- やちよ: …………
- やちよ: …ええ、わかったわ
- やちよ: みふゆ
- みふゆ: そのステッキ…
- やちよ: …そう、覚えてる?
- みふゆ: じゃーん、見てください!
- みふゆ: お姉さんたちに手伝ってもらって 魔法のステッキができました!
- みふゆ: 「このステッキは、信じる力で強くなるんです! そして、祈りを込めればそれを 叶えてくれたりもする とーっても、すごいステッキなんです!」
- やちよ: あら、作ったの?
- やちよ: 万能すぎるし尺も足りないから 脚本では没になっちゃったのに…
- みふゆ: えへへ、作りたくなっちゃって…
- みふゆ: それに、万能とは言っても 強い想いがなければダメなので!
- みふゆ: ファンタジーと言えど そんなに甘くはないんですよ!
- やちよ: このステッキに込められたのは みんなからのあなたへの強い想い
- やちよ: それから、私からの想いも
- やちよ: あなたは、あなたが思うより ずっと大人で、ずっと頑張ってる
- やちよ: そのことを、私も周りも みんな見ているから
- やちよ: だから、あなた自身も
- やちよ: あなたが乗り越えてきた たくさんのことと
- やちよ: 掴もうとしている未来を もう一度、思い出して
- やちよ: 頑張っている自分を ちゃんと見てあげて
- やちよ: あなたはもう、梓家の娘じゃなく ひとりの女性として
- やちよ: みふゆとして 生きているはずよ
- みふゆ: …………
- みふゆ: …そう、でしたね
- みふゆ: なんだか小さい頃に 戻っていたせいなのか…
- みふゆ: 過去に 引っ張られていたみたいです
- やちよ: …そうね
- みふゆ: 大人になった、今のワタシにも… まだ、課題はたくさんあるけど
- みふゆ: 大学進学も、それ以外のことも ちゃんと頑張ってるんでした
- みふゆ: …ただ、前にもやっちゃんに 相談したことですけど
- みふゆ: そう簡単には…梓という家も 考えも、離れてはくれません…
- やちよ: ええ、わかってる
- やちよ: でも、きっと 少しずつ変わっていくわ
- やちよ: あなたは、前よりずっと 強くなってるもの
- みふゆ: そう…でしょうか?
- やちよ: それにね、みふゆ
- やちよ: あなたはもう、19歳 大人の女性でしょう?
- やちよ: 自分のことは自分で… 進む道は好きに決めていいのよ
- みふゆ: 進む道を、決める…
- やちよ: 過去は変えられないけど 未来なら変えられる
- やちよ: 決められた宿命なんてないって 私が証明してあげる
- みふゆ: え、やっちゃん 何を…!
- やちよ: ステッキを握ったら なんだか力が湧いてきたのよ
- やちよ: 誰か、違うお願いを した子がいるんじゃないかしら
- フェリシア: あ、それオレが早く帰りてーって 祈ったからか?もしかして…
- 鶴乃: まあ、少なからずみんな そういう気持ちはあったかも…
- フェリシア: 早く帰んねーと サンタが来ちまうからな!
- やちよ: 今日だけは その雑念に感謝かもしれないわね
- やちよ: さあ、物語の エンディングを変えるわ
- やちよ: メリーバッドエンドも バッドエンドも乗り越えて
- やちよ: 新しい結末に!
- FILENAME: text_518020-10_eErb4.txt
- 氷の女王が魔法を使うと たちまち、国には雪が降り始め 噴火しそうだった火山はおさまり 町に向かっていた魔物たちも消えていきました。
- そして、国の平和は守られ 安堵した火の魔王は泣き出してしまいました。
- 火の魔王: うぅ…
- 鶴乃: あれ、また魔王に 戻っちゃった…?
- フェリシア: 振り出しに戻ったのか?
- やちよ: …いいえ、私たちはまだ ちゃんとこの子を救ってなかった
- フェリシア: …そっか、そうだよな アイツだって苦しんでたもんな
- やちよ: …ねえ、魔王
- 火の魔王: ぐすっ…ごめんなさい
- 火の魔王: …助けてくれたんですよね ありがとう、女王
- 火の魔王: …でも、ワタシの宿命は 消えたわけじゃない
- 火の魔王: また、同じことが起きたら…
- 鶴乃: そうしたら、また今度も みんなで魔王様を止めるよ!
- 魔王の従者: …魔王様には みんながついてますよ!
- 女王の従者: 強い女王様だっている
- やちよ: だから、大丈夫 あなたはひとりじゃない
- やちよ: みふゆも、あなたも きっと宿命から逃れられる
- 火の魔王: …そっか、そっかぁ それなら安心ですね
- 火の魔王: みんな、ありがとう…!
- みふゆ: …はっ!
- 三穂野 せいら: お、戻りましたかね?
- 鶴乃: みふゆ~!良かったよ~!
- 春名 このみ: リースを届けに来たはずなのに どうしてこんなことに!?
- 春名 このみ: やちよさんにケンカを 売っていたような…!?
- フェリシア: こっちも元に戻ったんだな
- みふゆ: …このみさんにも皆さんにも 迷惑をかけてしまいましたね
- 吉良 てまり: いえ、物語に入るとは なかなか面白い経験でした
- みたま: ということで、一件落着ね!
- さな: はい、そうですね…!
- ももこ: んで、ここってみふゆさんの 幻覚の中…なんだよな
- ももこ: なら、みふゆさんが 戻せるって感じか?
- みふゆ: あ、そう…そうですよね
- みふゆ: …………
- みふゆ: …あれ、おかしい…
- 水樹 塁: …もしかして 戻れない…とか?
- 鶴乃: いやぁ、そんなまさか~
- みふゆ: …そのまさか、かもです…
- みふゆ: どうしましょう、やっちゃん
- やちよ: …………
- みふゆ: …やっちゃん?
- やちよ: …………みふゆばっかり
- みふゆ: えっ、えっ やっちゃん!?
- ビュオォォォ…
- フェリシア: うぉ!? どうなってんだこれ!
- ももこ: てか、さむっ!?
- みたま: …さっき、魔王の力で 山が噴火しそうだったなら
- みたま: 雪山になるってことは やちよさんが何かを…?
- 古町 みくら: ちょっと整理させて… つまり、こういうこと?
- 古町 みくら: 「火の魔王についての問題は解決したけど 今度は何らかの問題が氷の女王にあって その結果、吹雪で山が凍った…みたいな?」
- 鶴乃: うん…そういうことなのかな?
- フェリシア: あぁ!?ホワイトクリスマスで ハッピーエンドじゃねーのかよ
- フェリシア: クリスマスに 間に合わなくなっちまうだろ!
- 三穂野 せいら: まぁ、ホワイトクリスマス っていうか、吹雪いてますからね
- 吉良 てまり: 物語はまだ終わらない… そういうことですか
- FILENAME: text_518020-11_eErb4.txt
- ここは、エンディングの向こう側 誰も筋書きのわからない世界。
- 魔王を救った女王たちでしたが 今度は、女王が消えてしまい 民たちは吹雪の中で困り果てていました。
- さな: もう、たどるべき物語も 抵抗するべき物語もありません…
- みたま: いったい、どうすれば…
- 鶴乃: …………
- フェリシア: おい、鶴乃ー? 凍っちまったのか?
- 鶴乃: …ううん、考えてるの 今まで無視してきたこと…
- 鶴乃: 「まず、最初にみふゆが火の魔王になったとき やちよには何も起こらなかったっていう 不思議から始まって…」
- 鶴乃: ダメだよ、やちよ! 物語の続きを思い出したら!
- 鶴乃: やちよが 物語を思い出していくたびに
- 鶴乃?: わたしたち、なぜか 物語に影響っ…されて…!
- 氷の女王: …欠片、あっちにある気がする
- 商人: えっ!? 女王様、わかるんですか?
- 氷の女王: そんな気がするだけだけど…
- 鶴乃: やちよが物語を思い出して みんなが物語に操られ始めて…
- 鶴乃: なぜか、欠片の位置を 女王だけがわかって…
- 鶴乃: …そして、みふゆの力で 幻覚が解除できない不思議…
- 鶴乃: わたしたち、ここが幻覚の 中だから
- 鶴乃: みふゆが引き起こした ことだって思い込んでたけど…
- 鶴乃: これって、やちよの影響も かなり大きいんじゃ…
- みたま: …ええ、みふゆさんひとりの 魔力でこんな空間を
- みたま: ずっと作り続けるのは 無理があると思うし…
- みたま: 何より、タイムカプセルから やちよさんの強い魔力を感じるの
- 鶴乃: だから、あのとき女王は タイムカプセルの位置を
- 鶴乃: 魔力でたどれてたんだ…!
- フェリシア: じゃあ、これ全部 やちよのせいってことか!?
- みふゆ: …というより、ふたりの力が 合わさった結果…でしょうか
- 水樹 塁: 強い魔法少女ふたりの 最悪の合体技…かも…
- 三穂野 せいら: というか、もしそうなら また急がないとですよね
- 古町 みくら: うん、この空間が続くってことは
- 古町 みくら: やちよさんの魔力もみふゆさんの 魔力も消費し続けることになる
- 春名 このみ: でも、どうやってやちよさんを 見つけ出して助ければいいのかな
- 女王の従者: それなら 私から、説明するよ
- 女王の従者: 女王様は、ずっと ひとりで戦っていたの
- 女王の従者は語ります 彼女がずっと側で見てきた女王の姿を 誰も知らない、女王の苦しみを…。
- 吉良 てまり: …また、新しい物語が始まった?
- 鶴乃: やちよが物語を続けているなら 一番近い従者もまだ、物語の中…
- さな: …とにかく、話を聞いて 物語を進めましょう
- 女王の従者: 女王様は、なんでもできる方で みんなに頼られていた
- 女王の従者: 「魔王様と女王様は、昔から力を合わせて 外から来る敵と戦って国を守っていたけど 魔王様は、国の中の仕事が苦手だったから いつも、女王様が代わりにしていたの」
- 女王の従者: 「女王様は、いつだって 魔王様の代わりにいろんな仕事をして 目立たないところで国を支えていた」
- 女王の従者: 「それに、過去の出来事を封印することで 魔王様のことだって女王様が守ってたんだよ」
- 女王の従者: 「それだけ女王様は大変だったけど 今まで人に弱味を見せたりしたことはなかった」
- 女王の従者: 「だから、誰かを支えて守ってきたとしても 女王様を守ってくれる人は誰もいなかった せいぜい、従者である私ぐらい…」
- 女王の従者: それで、女王様は 疲れてしまったみたい
- 女王の従者: 従者である私がもっと しっかりしていれば…
- みふゆ: …いいえ、ワタシのせいです 助けてもらってばかりでしたから
- 女王の従者: 疲れきった女王様は心を凍らせ 山奥へこもってしまった…
- 女王の従者: そして、その氷はいずれ この国を覆い尽くしてしまう
- 女王の従者: だから、お願い魔王様 女王様を助けて
- 女王の従者: きっと、女王様の氷を 溶かすことができるのは
- 女王の従者: 魔王様の炎だけだから
- みふゆ: …ええ、わかりました
- FILENAME: text_518020-12_eErb4.txt
- 心を凍らせてしまった女王を救うため 魔王は女王の従者と民たちと共に 再び立ち上がりました。
- フェリシア: んで、またサマヨイの森から 始めるのか?
- 女王の従者: いえ、それならここに すべてそろってます
- 女王の従者: 私、従者として半人前だから せめて女王様のことを知りたくて
- 女王の従者: 前に、ひとりで見つけだしたの
- フェリシア: …オマエ、すげえな
- 女王の従者: ということだから 魔王様はこれを
- みふゆ: …はい、わかりました
- 三穂野 せいら: 何か見えましたか?
- みふゆ: …ええ、ワタシがやっちゃんと 出会ってから今まで
- みふゆ: どれだけ支えてもらっていたか…
- みふゆ: 初めて会った頃も ワタシがマギウスの翼にいた頃も
- みふゆ: ずっと支えられて… ずいぶん気苦労を負わせてました
- みふゆ: …それに、これを見て 思い出したんです
- みふゆ: 将来の夢に変身ヒロインと書き お母様に叱られたワタシのせいで
- みふゆ: 脚本の後半が没に なってしまったこと…
- みふゆ: そして、そのときの やっちゃんの想いを…
- みふゆ: 演劇、メリーバッドエンドに するって言ってましたけど
- みふゆ: どんなラストにしますか?
- やちよ: 魔王の宿命のところまでは 前に話したでしょう?
- やちよ: それでね、女王が魔王を 助けに行くんだけど
- やちよ: 結局、ふたりは消えて 代わりに国は守られるの
- みふゆ: なるほど…でもそれって なんだか悲しくないですか?
- やちよ: …うーん、私たち魔法少女って
- やちよ: いつ死んじゃうか わからないでしょ?
- みふゆ: …はい、魔女との戦いは いつも命がけです…
- やちよ: 願いは叶ったけど、私たちは いろんなものを失っちゃった
- やちよ: その先でいつか 死んじゃったとしても
- やちよ: 私たちが魔女と戦ったこととか 誰かを助けたこととかで
- やちよ: 物語みたいに未来への希望を 残すことができたなら
- やちよ: それは、私たちがここで生きた 意味になるんじゃないかなって
- やちよ: …そんな祈りを込めた 物語にしたいなって思ったの
- みふゆ: そんなやっちゃんの 祈りが込められた物語を
- みふゆ: ワタシの都合で なくさせてしまっていた…
- みふゆ: 弱虫なワタシが泣く裏で やっちゃんはいつも我慢して
- みふゆ: 弱いワタシを支えてくれて ずっと、強くあり続けた…
- みふゆ: ずっと、助けられてたんです
- さな: …なくなった後半の物語の世界に こうして私たちが入ったのは
- さな: やちよさんが、その物語を 演じたかったからなんでしょうか
- 鶴乃: でも、自分でそのエンディングを 回避しようとしてたよね…?
- 水樹 塁: 昔とは考え方が変わったから…?
- みふゆ: …それもあるかもしれませんが
- みふゆ: きっと、ワタシや みなさんを助けるため…
- 三穂野 せいら: でも、待ってください 今、こうして物語は続いてる…
- 三穂野 せいら: …というか もう一度、進みだした…
- 古町 みくら: それって…!
- 吉良 てまり: かつて、できなかったエンドを また、演じようとしている?
- 鶴乃: それ…また良くない エンドになるってことだよね
- みふゆ: ええ、だから今度はワタシが やっちゃんを見つける番なんです
- みふゆ: 同じように、想いを伝えて…
- みふゆ: だから、みなさんは町の人たちの 安全確保へ向かってもらえますか
- みふゆ: 幻覚の中とは言え 守らないといけないので
- みふゆ: それに、やっちゃんもみなさんに 幼い頃の想いを知られるのは
- みふゆ: 恥ずかしいでしょうし
- 鶴乃: …うん、わかった でも、なにかあったら…
- みふゆ: ええ、そのときは助けを呼びます ステッキもありますからね
- FILENAME: text_518020-13_eErb4.txt
- 女王の苦労を知った魔王は 民たちと共に女王を探しに行こうとしましたが
- 強くなった吹雪で、民たちは凍えてしまい 魔王ひとりで女王を探すことにしました。
- そして、遂には女王を見つけるのですが 女王は逃げ、隠れてしまいました。
- みふゆ: かくれんぼ…今度は ワタシが鬼ですね
- みふゆ: …見つけましたよ、やっちゃん
- みふゆ: …ごめんなさい、いつも やっちゃんに支えられてたのに…
- みふゆ: ずっと、我慢させて しまっていましたよね…
- やちよ: …別に、みふゆのせいじゃないよ
- やちよ: でも私、ずっと頑張ってたの
- やちよ: あのね、私…本当はずっと 甘えたかったの
- やちよ: だけど…甘えられなかった 両親に心配をかけたくなくて
- やちよ: …それも ただの強がりなんだけどね
- やちよ: 実家が大変って知ってるけど 下宿のお姉さんたちに
- やちよ: 素直に甘えられるあなたが 羨ましかった
- やちよ: かなえとメルがいなくなって…
- やちよ: 本当は、どうしようもなく 悲しくて苦しかったけど
- やちよ: もう、私には後輩が居るから 強くいなきゃって…
- やちよ: それから、おばあちゃんも いなくなってしまって
- やちよ: ずっと、気を張っていたの
- やちよ: みふゆがいなくなってからは より一層…
- みふゆ: …やっちゃん ごめんなさい、ワタシ…
- やちよ: なのに こんな世界を作ってしまった
- やちよ: 私がみふゆを助ける… なんて言っていたのに
- やちよ: 一番、私が迷惑をかけて…
- みふゆ: やっちゃんのせいじゃないです
- みふゆ: ワタシが弱くて、頼りないから
- みふゆ: やっちゃんがひとりで 頑張らなきゃいけなかっただけ
- みふゆ: だから、このステッキの力で やっちゃんも思い出してください
- みふゆ: やっちゃんは ひとりじゃないってこと
- みふゆ: そして、あなたの中の あたたかい記憶を…
- …………
- みふゆ: …あれ、何も起きない…?
- みふゆ: (もしかして、さっきので 力を使い果たして…!?)
- みふゆ: (というか、みなさんの想い 受け取ってきてない…!?)
- みふゆ: (あぁぁ…ワタシのバカバカ…)
- みふゆ: (うぅぅ…誰か、誰かワタシに 力を貸してください…!)
- みふゆ: (…なんて、変身ヒロインじゃ ないんだし…)
- みふゆ: ひゃ…!? ステッキから力が…!?
- 鶴乃: みふゆの“力を貸して”って 声が聞こえたから送ってみたけど
- 春名 このみ: 本当に送れてるのか ちょっとわからないですね…
- フェリシア: つーか、想いを集め忘れるとか ありえねーだろ!
- ももこ: まぁ、気づかなかった アタシたちも悪いんだけどな
- いろは: へ…?あれ、ここどこ…?
- 鶴乃: いろはちゃん!?
- userName: モッキュモキューイ!
- うい: あ!userName こんなところにいたんだね!
- 水樹 塁: キュゥべえは幻覚で 作られたものだと思ってたけど…
- 水樹 塁: ここにいたuserNameって 本物だったの…!?
- 水樹 塁: というか、ふたりとも どうしてここに…!?
- みたま: え、これ…いろはちゃんが祈りで 呼ばれちゃったってこと!?
- 春名 このみ: ここからでも祈りは 届いた証拠ですね?
- いろは: え、あの…それで ここは、いったい…?
- フェリシア: 説明は後だ!あと!
- 鶴乃: とにかく、やちよたちが ピンチだから
- 鶴乃: やちよへの想いを うおおーって念じてみて!
- いろは: あ、わ、わかりました!
- うい: うん!やってみる!
- みふゆ: また…強い力が…!
- みふゆ: もしかして、やっちゃんを想う みんなの力が!?
- みふゆ: …とにかく、みなさんから 受け取った想いも全部ぶつけて
- みふゆ: やっちゃんに わからせてあげます!
- みふゆ: あなたは全然 ひとりじゃないってこと!
- やちよの祖母: やちよ、ほらおいで おばあちゃんがいるからね
- やちよ: おばあちゃん…うぅ… 寂しいけど、でも…
- やちよの祖母: 寂しいときは泣いていいの あなたはまだ子どもなんだし
- やちよの祖母: それに、大人だって たまには泣いたりするのよ
- みふゆ: やっちゃん、クマ出てませんか?
- かなえ: …ちゃんと寝な、やちよ
- メル: 七海せーんぱいっ どうかしたんですか?
- メル: 元気がないのならお話聞きます ボク、占い師ですから
- いろは: やちよさん、その手のケガ いったいどうしたんですか!?
- さな: 大変…ふぇ、フェリシアさん ばんそうこうを…!
- 鶴乃: 先に止血だよ、止血!
- みふゆ: やっちゃんは頑張ってます
- みふゆ: でも、ひとりで頑張らなくても いいんじゃないでしょうか
- みふゆ: 支えようとしてくれる人は 周りにいっぱいいるでしょ?
- みふゆ: その人たちを 見てあげないんですか?
- やちよ: それは、わかってるけど… でもこれ以上甘えたらいけないの
- やちよ: 両親にだって 心配をかけたくないし
- やちよ: 魔法少女の中でも年長者だから 弱いところなんて見せられないし
- やちよ: それに…それに…!
- やちよ: 私、もう大人なのよ 甘えてちゃいけないのよ
- やちよ: なんだってひとりで できないといけないの
- みふゆ: やっちゃん
- やちよ: もう、子どもじゃないから…!
- みふゆ: …やっちゃん こっちを見てください
- やちよ: え…
- やちよ: ―やちよ― きゃ…!
- みふゆ: ―みふゆ― 確かにワタシたちは、あの頃よりも ずいぶんと大きく、大人になりました
- みふゆ: ―みふゆ― やっちゃんは、19歳のワタシに もう大人だからと勇気をくれましたけど
- みふゆ: ―みふゆ― …でもワタシたち、まだ19歳ですよ? 少し、甘い考えかもしれませんけど…
- みふゆ: ―みふゆ― 19歳、まだ大人になりきらなくても 甘えていてもいいんじゃないですか
- みふゆ: 少なくとも、幼馴染の ワタシにくらい…でしょう?
- やちよ: でも、そんな…!
- やちよ: タイムカプセルが 何か見せようとして…!?
- みふゆ: これ、昔の ふたりの記憶が…!
- みふゆ: クリスマス会、楽しかったですね
- やちよ: それに、みふゆの演技良かったよ 私は…まだ修行が必要だけど…
- みふゆ: ふふふ…なんだか今日が 終わらなければと思っちゃいます
- みふゆ: せめて、このことを ずっと忘れたくないなって
- やちよ: うん、大人になっても 今日の思い出を大事にしたいね
- やちよ: …あ、タイムカプセルを 作らない?
- やちよ: 今日の思い出を詰め込んで!
- みふゆ: できましたっ!
- やちよ: じゃあふたりで お願いしましょうか
- みふゆ: そうですね、せーのっ
- やちよ&みふゆ: 「大人になっても 今日のことを忘れませんように!」
- FILENAME: text_518020-14_eErb4.txt
- みふゆ: 大人になっても 忘れないように…
- やちよ: そんなこと、確かに願ったわ
- やちよ: …あのとき、無意識に魔力を 込めてしまったのかも
- やちよ: …その魔力の暴走が この世界…なのかしら
- みふゆ: …ねぇ、やっちゃん
- みふゆ: ワタシは やっちゃんが羨ましかったです
- みふゆ: ご両親のことで寂しい想いを していたのは知っていますが
- みふゆ: ふたりから愛されて大切に されているのがわかったから
- やちよ: 私だって、みふゆのことが 羨ましかった
- やちよ: 家が大変ってわかってたけど あなたが泣けば
- やちよ: おばあちゃんも下宿のお姉さんも みんなあなたを構うんだもの
- やちよ: 私もあなたみたいに 泣き言が言えたらって思ったわ
- みふゆ: でも、やっちゃんは強いから いいじゃないですか
- やちよ: …みふゆは弱いかもしれないけど 誰かが助けてくれるじゃない
- やちよ: …ごめんなさい、言い過ぎた
- みふゆ: いいえ、ワタシもです…
- やちよ: …ふふ、私たち どうして仲良くなったのかしらね
- みふゆ: そうですね、全部正反対で 趣味だって別に合いませんし
- やちよ: でも、今はひとつ 同じ想いがあったわね
- みふゆ: そうですね…
- やちよ&みふゆ: 「魔法少女たちにとって 幸せな未来を作ること」
- みふゆ: 多分、そのためには強くて しっかりもののやっちゃんが
- やちよ: 弱さに寄り添えて…それから 放っておけないようなみふゆが
- やちよ: どっちも、必要なのよね
- やちよ: なんだか、物語と一緒
- ふたりは、性格も何もかもずっと正反対。 だけど、みんなの幸せを願うことは一緒でした。
- みふゆ: でも、ワタシたちの物語には… 人生には、まだ結末がありません
- みふゆ: だからこの物語も ここで終わらせちゃダメです
- やちよ: そうね…
- やちよ: なんだか、大人でいなくちゃって 自分ひとりで頑張らないとって
- やちよ: その考えに囚われていたのかも
- やちよ: それで…情けないけど 逃げたくなっちゃったみたい
- みふゆ: ワタシも、子ども時代に囚われて 動けずにいたから、わかります
- やちよ: 私たちは、まだ 大人と子どもの間…
- みふゆ: ええ、だから一緒にゆっくり 大人になっていきましょう
- みふゆ: ワタシにも、ドーンと 甘えて良いですから!
- やちよ: なんだか、それはちょっと 不服かも、ふふふ
- みふゆ: えぇっ!?
- やちよ: さて、じゃあ物語を ハッピーエンドに連れて行くわよ
- みふゆ: はい…でも、やっちゃんが 求めていたエンディングは…
- やちよ: そうね、死んでも何か残したい… そんな祈りは確かにあるけど
- やちよ: 今考えると、ちょっと 後ろ向きだったわね
- やちよ: だから、これから迎えるエンドは 19歳の私が求める結末
- やちよ: 今なら、もっと違う終わりを 望むと思うから
- みふゆ: それはどんな結末ですか?
- やちよ: 犠牲なんて出さない 完全なハッピーエンドよ!
- みふゆ: ふふ、そうですね じゃあ、やりましょうか
- やちよ: ええ、幸せなエンディングを 迎えましょう!
- こうして、国には ホワイトクリスマスが訪れ…
- 火の魔王と氷の女王は愛する民たちと一緒に いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
- みたま: 無事に戻ってこられて よかったわぁ
- 入名 クシュ: …あれ、私ずっと寝てた? 女王様の従者になる夢で…
- 三穂野 せいら: はー、危うく物語の中で 死んじゃうところだった~
- いろは: 私たちはまだ、何が起きたか よく理解できてないけど…
- うい: とりあえず一件落着?
- ももこ: かな?
- さな: ああ、私からそこら辺は 説明しますね…っ!
- みふゆ: なんとか解決出来て 本当によかったですね
- やちよ: ええ…にしても、やけに 疲れたわね…
- みふゆ: やっちゃん、ひとりでいろいろと 頑張ってましたもんね
- やちよ: そうね… それに、今回は…
- やちよ: いつも支えてくれてた いろはも居なかったし…
- やちよ: なんて、年下の子に 甘えちゃいけないと思ってたけど
- いろは: やちよさん、その手のケガ いったいどうしたんですか!?
- さな: 大変…ふぇ、フェリシアさん ばんそうこうを…!
- 鶴乃: 先に止血だよ、止血!
- やちよ: 私、すごく甘やかされてる …と言うか、心配されてるのね
- やちよ: なんだか不甲斐ないわ…
- みふゆ: いいんじゃないですか、少しは
- みふゆ: 支えて、支えられて… それが仲間で、家族でしょうし
- やちよ: …あなたは、甘えすぎだけどね
- みふゆ: ふふふ みなさん優しいので、つい
- やちよ: まったく…
- さな: …という感じのことに なっていたんです
- いろは: やちよさんたち、そんなに 大変なことになってたの!?
- うい: クリスマス前なのに それじゃあもうヘトヘトだね
- フェリシア: 調整屋のイベントのことも 準備してたし、大人は大変だな…
- さな: あの、そこで私…ちょっと 考えたことがあって…
- フェリシア: いーじゃん、それ! 楽しそうだし!
- うい: うんっ、さっそく他の子たちにも 連絡してみよう!
- やちよ: あら、楽しそうね 何を話してるの?
- さな: わ、わわ…なんでもないです!
- やちよ: そう…? あ、私たちこれから調整屋で
- やちよ: クリスマスイベントの準備を していくんだけど…
- いろは: そのことなら、私たちに 任せてもらえませんか?
- さな: はいっ、あとの準備は私たち 小中学生組がやろうかなって
- うい: うん、やちよさんたちは 休んでて!
- みふゆ: そんな、気をつかわなくても いいんですよ?
- いろは: いえ、私たちがやりたくて… みたまさん、いいですか?
- みたま: ええ、いいわよぉ
- みたま: イベントのテーマは 「童心に帰る」だけど大丈夫?
- いろは: それはもう、もちろん!
- やちよ: …なんだか、やけに 張り切っているわね…
- FILENAME: text_518020-15_eErb4.txt
- <クリスマスイベント当日>
- いろは: えっと、イベントのテーマが “童心に帰る”だと聞いたので
- いろは: 「今回は、私たち小中学生のみんなで いつもお世話になっている年上のみなさんが 童心に帰れるようなイベントを準備しました!」
- みふゆ: あら そういうことだったんですね
- さな: …と言っても、買い出しなどは
- さな: やちよさんたちが既に してくれていたので…
- うい: いろんな子に声をかけて 出し物とかを準備したんだよ
- うい: 灯花ちゃんたちとか 今日、来られない子もいるけど
- いろは: みんなが 手伝ってくれたんです!
- やちよ: すごいわね…
- フェリシア: んじゃ、さっそく 始めちまおうぜ!
- いろは: 最初は劇から!
- 柚希 ほとり: クリスマスはボクたちが 守るよ!
- 柚希 りおん: さあ、あたしたちと一緒に 戦うのよ!
- みふゆ: えっ!?
- やちよ: 参加型にしても強引ね…!
- 三穂野 せいら: うおお!戦うぞ!
- 水樹 塁: ふふ…いいね、こういうの
- 千秋 理子: 今度はピニャータです!
- 胡桃 まなか: まなか特製のお菓子も 入っているので期待してください
- 若菜 つむぎ: すごく美味しいよ!
- みたま: あのお人形を叩き割れば お菓子が出てくるのね!
- 鶴乃: ふんふん! 体力なら任せて!
- やちよ: 意外とっ、あたら、ないわねっ!
- みふゆ: ふふふ、これ面白いですね
- 七瀬 ゆきか: あうっ、頭に飴玉がっ…
- かえで: 次はイス取りゲームだよ!
- レナ: んじゃ、さゆさゆの 曲を流すわね!
- ももこ: イス取りゲームなんて 懐かしい遊びだな!
- 由貴 真里愛: ふふ、ほんとに 子どもに戻ったみたい
- 都 ひなの: 童心に帰る… なかなかいい試みだな
- 桐野 紗枝: そんなこと話してる間に 曲が止まっちゃいますよ?
- ガタタッ
- かえで: 勝ったのは…
- やちよ: あら、私みたいね
- みふゆ: はぁ~… いっぱい遊びましたね
- やちよ: ええ、もう大満足よ ありがとう、いろは、みんな
- いろは: まだ終わりじゃないですよ やちよさんっ!
- さな: はい、みんなで作ったんです!
- やちよ: 作ったって、何を…?
- フェリシア: じゃじゃーん!
- フェリシア: ―フェリシアー オレらみんなで クリスマスケーキを作ったんだよ!
- いろは: ―いろは― いつもお世話になってるから 感謝の気持ちを込めて!
- やちよ: わ…すごいわね…! これを、あなたたちが…?
- さな: じゃあ、やちよさん ここに座ってくださいっ!
- やちよ: え?
- いろは: えっと、今日くらいは 子どもの気持ちになれたら…って
- フェリシア: オレらで、やちよを 甘やかすことにしたぞ!
- やちよ: え、ちょっ…それなら みふゆたちも…!
- みふゆ: ワタシはいつも甘えてるので やっちゃんに譲ります、ふふっ
- やちよ: あなた、ちょっと からかってるでしょ…!
- 鶴乃: じゃあ、わたしも 甘やかす側になろーっと!
- うい: はい、やちよさん 座って座って!
- やちよ: え、ちょっと…もう… 恥ずかしいじゃない…
- みふゆ: ―みふゆ― はい、やっちゃん あーん
- 鶴乃: ―鶴乃― せっかくだからサンタ帽も かぶせちゃおーっと
- うい: ―うい― ジュースもありますよっ!
- さな: ―さな― こぼさないようにお皿 添えておきますね…っ
- フェリシア: ―フェリシアー ほら、今日は上のサンタも やちよが食っていーぞ!
- やちよ: ―やちよ― ちょっとあなたたち…もう…
- いろは: ―いろは― そんなにみんなで一気に渡したら… ああほら、クリームついちゃいますよ
- やちよ: ―やちよ― ふっ、ふふっ…ほんと、甘やかしすぎよ 子どもじゃないんだから…まったく…
- みふゆ: みなさん、帰って早々 疲れて寝てしまいましたか
- やちよ: ふふ、やっぱりまだまだ 子どもなんだから
- みふゆ: …今日、楽しかったですね クリスマスイベント
- やちよ: ええ、たまには子どもに… 童心に帰るのもいいわ
- みふゆ: また来年も、再来年も…
- みふゆ: その先もずっとみんなで クリスマスを祝いましょうね
- やちよ: ええ… 大人になっても、ずっと…
- やちよ: …あ、見て窓の外…
- みふゆ: わぁ、ホワイトクリスマスですね
- これから先も、ずっと幸せでありますように… ホワイトクリスマスにみんなは祈ります。
- それが叶うかどうか…
- その結末は まだどの物語にも記されていない未来。
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