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- 【ダーリン・イン・ザ・フランキス】第10話 感想 憧れの先に見たものは : あにこ便
- ゾロメ《不思議と同じ夢を何度も見る。なぜかその夢で僕は暗闇の中に居て遠く眩しい光を見て泣いている。悲しいのか嬉しいのか分からないけど止めどなく涙が溢れてくるんだ》
- 《その光はどんどん大きくなって…最後に僕は光に包み込まれ、そして…大きな叫び声を挙げる》
- イチゴ「ストレリチア、トドメを!」
- ゾロメ「ヒロは休んでな!」
- 「ここは俺様の出番!貰ったぁぁぁぁ!」
- ゾロメ「へへー!どんなもんだーい!」
- ミク「ちょ、ちょっと早く離脱――」
- ミク「アンタね…!」
- 「いやいや、なかなか興味深い」
- 「不思議だ。内容はどうあれ、他の部隊にない連携が生まれている」
- 「異なる機体がもたらす揺らぎが全体の個性となり得ると言うのか」
- 「一方それは諸刃の剣。凪のような存在にこそ我がAPEの唱える未来がある」
- 「不完全な存在か、皮肉なものだ」
- 「彼らにはそろそろ次のステージに進んで貰おうと思っている」
- 「彼の地へ、ですか」
- 「最近グランクレバス付近に超深度での叫竜の活動が観測された。13部隊にはコード002をあの地まで届ける役割がある」
- 「ならば作戦は既に進行して、早急に彼らにもラボでのメンテナンスを」
- 「その前に彼らに報奨を与えてみては?」
- 「見返り?コドモ達に?」
- 「古来、報奨は兵を鼓舞する為の常套手段。前時代的な生態が強く見られる彼らであれば、更なる効果が得られましょう」
- ゾロメ「だから!もう良いだろ、謝ったんだからー!」
- ミク「どこがよ!」
- ミク「あれで謝ったつもり!? これっぽっちも心がこもってなかったんですけど!」
- 『まだやってる…』
- ヒロ『ゼロツー?どうかした?』
- ゼロツー『ちょっと、考え事』
- 「みんなー!話があるの。良い話よ」
- ナナ「明日は全員正装着用の上、0900に宿舎前に集合すること。良いわね?」
- フトシ「正装?」
- イチゴ「何があるんですか?」
- ナナ「あなた達のこれまでの戦いをパパは高く評価してくれているの。そしてとても異例のことだけど、あなた達に勲章が授与されることになったわ」
- ミク「えっ!?」
- フトシ「勲章!?」
- ゾロメ「なんだそりゃ?」
- ナナ「授与式は明日。第一庁舎で行われます」
- イチゴ「ナナ姉、ホント!?」
- ゴロー「おい、それって…」
- フトシ「やったぞゾロメ!なあ、おい!」
- ゾロメ「え?どういうこと?」
- ミク「バカね!だから、私達が都市の中に入れて貰えるって事でしょ!」
- ゾロメ「え!」
- ゾロメ「うぉぉぉぉぉ!」
- ミク「うるさい!叫ぶなー!」
- ゴロー「よっぽど嬉しいんだなあいつ」
- フトシ「しょうがないよ、ゾロメはその為にずーっと頑張ってたんだから」
- ナナ「ゼロツー待って」
- 『なに』
- ナナ「丁度いいタイミングだし、明日ついでに検査を受けられるようにしておくわ」
- 『あの検査嫌いなんだよ。受けた後、いっつも気持ち悪くなるし…それに今すごく調子良いんだ。だからしばらく検査はパス』
- ナナ「誰かさんと組むようになってから、だいぶ素直になったと思ったんだけど…」
- 『え』
- ゴロー「これ着るの、入隊式以来だな」
- イチゴ「ゾロメ今日はなんかキマってるね。オトナっぽく見えるよ」
- フトシ「こいつ朝からずっと鏡見てチェックしてたんだぜ」
- ミツル「よくああも飽きもせず見てられますよ」
- ココロ「でも確かにいつもよりカッコいいよ」
- ゾロメ「だっしょだっしょ!」
- ミク「ココロ、おだてちゃダメよ。こいつらすぐ本気にしちゃうんだから」
- ゾロメ「うるせー!」
- ナナ「おはよう!みんな揃ってる?」
- ナナ「ほら、早く」
- ゾロメ「おりゃぁぁぁ!」
- 一同「おー!」
- ゾロメ「すげーー!」
- 「ここに招待されたコドモは皆さんが初めて。これは大変名誉なことです」
- 「今日この日のことをこれからも誇りにし、この名誉に相応しい活躍でこの都市に更なる貢献をしてくれることを願います」
- 「君がチームリーダーかな?」
- イチゴ「はい!コード015です!」
- 「素晴らしい戦果を挙げているね。優秀なリーダーだ」
- イチゴ「ありがとうございます!しかし!私の力ではありません!全員の力です!」
- 「元ナインズの貴女が我が13都市に所属してくれて光栄に思っています。君も大変な機体に良く乗ってくれたね」
- 『あ…ありがとうございます』
- 「オトナを守ってくれてありがとう。パパも喜んでいるよ」
- 「君の働きも素晴らしいね。これからも頑張ってくれたまえ」
- ゾロメ「は、はい!ありがとうございます!」
- ハチ「じゃあ、俺は技術部に顔を出していく。コドモ達を宜しく頼む」
- ナナ「分かったわ」
- ゾロメ「ええっ!?」
- ゾロメ「これで終わり?」
- ゴロー「なんか呆気なかったな」
- フトシ「てっきり…何かご馳走とか出るのかと思った」
- イクノ「残念でした」
- ミク「ねえねえ!せっかくだし歩かない?」
- ココロ「賛成!」
- イチゴ「大した距離じゃなかったし、良いでしょ?ナナ姉!」
- ナナ「もう…しょうがないわね」
- ゾロメ「良いなあー俺もいつかオトナになれたらここで暮らせるようになるんだよな?」
- イチゴ「でも…私達がオトナになるって、なんだかピンと来ないな」
- フトシ「実は俺もなんだよね」
- ミツル「確かな話でもないですからね」
- ゾロメ「そりゃお前らには想像力が足りないからよ」
- フトシ「想像力?」
- イクノ「あんたのは妄想力でしょ」
- ミク「言えてるー!」
- 『ゼロツー前に言ってたよね…ここを死んだような町だって。あれってどういう意味?』
- ゼロツー『そのままの意味だよ』
- ヒロ『ゼロツー、今日少し変だよ?なにかあった?』
- ゼロツー『何も。ただこの町に興味が無いだけ』
- ミク「こんな近くで見るの初めて!」
- ココロ「綺麗だねー」
- ゴロー「あれがこの都市のエネルギーの源なんだよな」
- ゴロー「なあ、イチ――やっぱ…マズかったかな」
- イチゴ「へっ!? な、なにが?」
- ゴロー「気持ち伝えたかったのは…俺の一方的なワガママだ。だから、ホントに気にすんなよ」
- イチゴ「…うん」
- ナナ「そろそろ戻るわよー」
- 一同「はーい」
- ゾロメ「よっ――うわぁ!」
- 「なにぃ!?」
- 「なんて日だ…」
- 「なんで人いないんだろう…もしかして寝てんのかな?」
- 「居た!あの!すいませーーん!」
- 「嘘…なんで?」
- ゾロメ「あっ…うわぁぁぁぁ!」
- 「まあ、気が付いたようね」
- ゾロメ「うわぁぁ!」
- 「良かったわ。治療を済ませたのになかなか目が覚めないので心配だったの」
- 「貴方、私達とは身体とか少し違うでしょ?」
- 「メディカルチェッカーもまともに反応しなかったの。だけど、ペット用の設定なんかを試して、いろいろやってみたら上手くいったわ」
- 「ここって…もしかしてオトナの家!?」
- ゾロメ「あ…ゴ、ゴメンなさい」
- 「まあ…それは大変だったわね」
- ゾロメ「ほんっと薄情な奴らですよ」
- 「安心して。すぐに連絡を取ってあげるわ」
- ゾロメ「あ、あの…」
- 「ん?」
- 「知らせてもらう前に…ちょっとだけ話しちゃダメですか?その…俺、ずっとオトナの人に憧れてて…聞きたい事とか…いっぱいあるって言うか」
- 「…良いわ。それでは少し、お話しましょう」
- ゾロメ「なんですか?」
- 「殺菌しているのよ」
- 「どうぞ。召し上がって」
- 「んんっ!」
- ゾロメ「あ…」
- 「お口に合ったかしら?」
- ゾロメ「貴女は食べないんですか?」
- 「そうね…」
- 「昔は味覚を楽しんでいた頃もあったけど…今はもう良いかしら。身体に必要なものさえ摂れれば、それで充分よ」
- ゾロメ「あ…家広いですね!何人くらい住んでるんですか?」
- 「私とパートナーの二人よ」
- ゾロメ「え、こんな広い部屋に二人だけ?」
- 「そうだけど?」
- ゾロメ「へぇぇ…オトナにもパートナーっているんですね。パートナーって…でもフランクスに乗る為じゃないよなあ」
- ゾロメ「なんのパートナーなんですか?」
- 「そうね。古い慣例に習ってと言うか…便宜上、かしらね」
- ゾロメ「かんれい?」
- 「昔は男女一組で特別な関係を作っていたらしいわ。生活や生殖を目的として、ね」
- 「不自由な時代だったのね」
- ゾロメ「不自由?」
- 「生きる為のさまざまな事にいちいち他人が必要だなんて、とても煩わしいでしょ?」
- 「私のパートナーに会ってみる?」
- ゾロメ「へっ!? 今いるの?」
- 「いらっしゃい」
- 「私のパートナーよ」
- ゾロメ「はあ…」
- ゾロメ「この人すごく笑ってるけど、なんか良い夢でも見てるんですかね?」
- 「夢ではないわ。幸福を摂取しているところよ」
- ゾロメ「え?」
- 「脳の報酬系を活性化させて快楽を得ているの。とっても、そう…とっても良いものなのよ」
- ゾロメ「俺はさっきのお菓子の方が良いなあ…」
- ゾロメ「どうかしました!?」
- 「ちょっと…疲れてしまって…戻りましょう」
- ゾロメ「大丈夫…ですか?」
- 「ごめんなさい…こんなに人と話すのは久しぶりで、慣れないものだから」
- ゾロメ「でも…あの人とは話したりしてるんでしょ?」
- 「いいえ…そう言えばあの人、どんな声だったかしら?」
- ゾロメ「そんなに喋ってないんですか!?」
- 「だって、必要ないでしょう?」
- ゾロメ「仲、悪いんですか?」
- 「いいえ。お互いパートナーに不満はないと思うわ。どちらも干渉しないし…自由に生きていると言えば良いのかしら」
- 「そうなんですか…?俺なんか毎日どんだけパートナーの声聞かされてるか分かんないですよ…。よりによってチームで一番うるさいのが俺のパートナーなんてツイてないっつーか、すぐヒス起こすし。なんかもう喧嘩ばっかりって感じで」
- 「それはマッチングが悪かったのね…相手を変えると良いわ。相手に問題があるのなら、任務にも影響があるのではなくて?」
- ゾロメ「あ…いや…でも。戦ってる時は意外と気にならないっていうか…」
- ゾロメ「あの捻くれに付き合ってやれるのも俺くらいだろうし…他の奴には無理かなって…」
- ゾロメ「問題ないです!ミクだって…あ、俺のパートナー、ミクって言うんですけど」
- 「名前?」
- ゾロメ「あー俺たちなんかあだ名みたいなのがあって。俺はゾロメって言うんです。本当のコードは――」
- 「666」
- ゾロメ「あれ、俺言いましたっけ?」
- 「んで、そのミクって性格は最悪なんだけど顔は悪くないっていうか…いや、黙っていれば結構可愛い方だと思うんだけど…でも叫竜と戦ってる時とかに時々こいつの事を俺が守ってやんなきゃ感じる時があって…」
- 「だから戦えるのかな、とか…ちょっと思ったりして。あれ…だからフランクスって男と女で動くようになってんのかな?」
- ゾロメ「あ!大丈夫ですか!?」
- 「ええ…大丈夫。でも本当に疲れてしまったから…そろそろお迎えを呼ぶわね」
- 「あ…はい。そう、ですよね」
- 「はい。確認もしたので間違いありません」
- 「どうかしたの?」
- ゾロメ「…え?」
- ゾロメ「あれ…」
- 「まだどこか痛むのかしら」
- ゾロメ「いえ…大丈夫です」
- 「じゃあ、どうして?」
- ゾロメ「…分かりません」
- 「なんでか…分かりません。分からないけど…貴女とは今日初めて会ったのに、なんか凄い懐かしい気がして」
- ゾロメ「そしたら…」
- 「何故そう思うの?」
- ゾロメ「…分かりません」
- 「私…本当に貴方と会うのは今日が初めてだと思うのよ」
- ゾロメ「そうなんです」
- ゾロメ「でも…昔から…なんだろう?なんか、こういう…誰かがずっと…見てくれてるような感じがして」
- ゾロメ「優しくて…守ってくれるような…」
- 「では…やっぱり違うわね。私は貴方を守れないもの。貴方が…貴方達が私達を守ってくれているのでしょう?」
- ゾロメ「…ですよね」
- 「そうよ。貴方達がこの都市を守っているの。それは誇るべき事だわ」
- ゾロメ「これからも守るよ。俺もっと戦うから!戦って戦って戦って…叫竜を倒しまくって。そしたらいつか、俺も…オトナになれるんだよね?」
- 「だから…いつか俺がこの都市に住めるようになったら…そしたら…えっと、かぞ――」
- ゾロメ「と、友達になってくれますか?」
- 「そんなの無理に決まってるじゃないの」
- ゾロメ「…無理?」
- 「だって貴方は――」
- 「傷の手当てと、あと…食べ物なんかも与えたのですけれど」
- 「余計な手間を増やすな。ここはお前たち細菌保持者の入って良いところじゃないんだ」
- 「止めておけ。こいつらも被害者みたいなものだ。可哀想な奴らなんだよ」
- イチゴ「ゾロメ、見付かったって」
- ミク「あいつ…みんなに心配掛けやがって」
- ミク「一週間風呂掃除の刑だわ!」
- ゾロメ《俺たちは…可哀想なんかじゃねえ》
- ミク「コルァ!もっと真面目にやんなさいよ!」
- ゾロメ「あぁ!? なに見張ってんだよ!見せもんじゃねーぞ!」
- ゾロメ《あのオトナの女の人に感じた懐かしさはなんだったのか…その後も何度か考えることがあったけど、結局答えは見付からなかった》
- ゾロメ《そのうち考える事も…あの人の事さえも忘れてしまった》
- ゾロメ《そして僕はもう…あの夢を見る事もなくなった》
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