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Minou MSS JP Text

May 24th, 2021 (edited)
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  1. 340241-1
  2. <1428年、フランス>
  3. ラピヌ: …今日の戦いは あっけなかったね!
  4. ミヌゥ: 私たちが出ていく前に 敵が潰走しましたから…
  5. ミヌゥ: もう少し、骨のある相手と 聞いていたので
  6. ミヌゥ: わざわざお姉さま方を お呼びしたのですが…
  7. コルボー: いや、確かに結構な数だった
  8. コルボー: 今回は イングランド軍の作戦勝ちだ
  9. コルボー: あの方向から奇襲をかけられれば 敵はなすすべもないだろうさ
  10. ミヌゥ: こちら側の指揮官は タルボットでしたわね
  11. コルボー: あれはいい将だ ただの大食らいじゃなかったな
  12. ラピヌ: ねーねー、それより 一緒に湯浴みにいこーよっ!
  13. ミヌゥ: 今から…ですか?
  14. コルボー: 確かに、戦いが終わったら そうする約束でしたが
  15. コルボー: 明日以降になると 思っておりました
  16. ラピヌ: 早く終わったんだから 今日でいーじゃん!
  17. ミヌゥ: …そうですわね 他にすることもありませんし
  18. コルボー: ミヌゥも賛成か では、決まりだな!
  19. ラピヌ: やったー!
  20. あっ、それでは早速 馬車の手配を…!
  21. ミヌゥ: 不要ですわ
  22. えっ…それでは どのようにして移動を?
  23. ラピヌ: ミヌゥが魔法で、びゅびゅーんと 送り届けてくれるからね!
  24. 魔法…でございますか?
  25. コルボー: そうか、お前は 仕えてまだ日が浅かったな
  26. コルボー: 気にするな そのうちわかる
  27. で、では…お着替えや その他の支度を…
  28. ミヌゥ: 頼みますわ
  29. ラピヌ: へー、気がきく子だねー
  30. ミヌゥ: …では、参りましょう
  31. ラピヌ: いってくるねー!
  32. ミヌゥ: フフ…
  33.  
  34. 340241-2
  35. ラピヌ: ついたー!
  36. コルボー: 最寄りの駐屯地か
  37. ミヌゥ: ええ
  38. ミヌゥ: それでは、湯浴みの手配を してまいります…
  39. ラピヌ: ミヌゥにまかせておけば 安心だねー!
  40. コルボー: いい妹を持って 私も鼻が高いです
  41. ラピヌ: …えっ? まだ使えない?
  42. ミヌゥ: ちょうど清掃の時間だったとか…
  43. ミヌゥ: 準備を急ぐので しばらくお待ちください、と
  44. ラピヌ: そっかー
  45. コルボー: 仕方ありませんね 突然の訪問したのはこちらですし
  46. コルボー: 準備ができるまでの間
  47. コルボー: そのへんを 散策いたしましょうか?
  48. ラピヌ: うん、そーする!
  49. ミヌゥ: 申し訳ありません…
  50. コルボー: ミヌゥ、気にするな お前は何も悪くないんだからな
  51. ミヌゥ: はい…
  52. ラピヌ: おぉ~! ミソサザイが元気に歌ってる~!
  53. コルボー: そういえば お母さまがお好きでしたね
  54. ミヌゥ: お母さまが…? 鳥の歌を?
  55. ラピヌ: うん! そーだよー!
  56. ラピヌ: 小さい頃によく 森や丘に連れて行ってもらって
  57. ラピヌ: いろんな鳥の鳴き声を 教えてもらったよ!
  58. コルボー: 野鳥の歌声に じっと耳を傾けておられましたね
  59. ラピヌ: うん、野鳥だけじゃ物足りなくて
  60. ラピヌ: 外国から珍しい鳥を取り寄せて たくさん飼ってたよね
  61. コルボー: 今もお飼いですよ
  62. コルボー: 最近は、世話の方も 他人にまかせきりですが…
  63. ミヌゥ: ああ…そういえば 大きな庭園や鳥小屋が…
  64. ラピヌ: そうそう! 花も好きだからねー、お母さまは
  65. コルボー: だから私たちを連れて 野山に出かけたのでしょうね
  66. ミヌゥ: …私には、その記憶がありません
  67. ラピヌ: あー、そっか
  68. ラピヌ: ミヌゥが生まれた頃にはもう 行かなくなってたかも
  69. コルボー: お母さまは… 変わってしまわれたからな
  70. ミヌゥ: …………
  71. コルボー: 優しかった あの頃のお母さまは…
  72. コルボー: もう、いなくなってしまった
  73. ミヌゥ: ………… …………
  74. ラピヌ: …どうしたの、ミヌゥ?
  75. ミヌゥ: あっ…
  76. ミヌゥ: いえ、なんでもありません ラピヌお姉さま
  77. ミヌゥ: そろそろ よい時間かと思いまして
  78. ラピヌ: そうだね、戻ろうか!
  79. ミヌゥ: ええ…
  80. コルボー: …ミヌゥ?
  81.  
  82. 340241-3
  83. ちゃぷん
  84. コルボー: ―コルボー― やはり湯浴みはいい 気持ちも一緒に洗われるようだ
  85. ラピヌ: ―ラピヌ― お母さまもよく 身体を洗ってくれたよねー!
  86. ミヌゥ: ―ミヌゥ― お母さまも…?
  87. ラピヌ: 気持ちよかったねー!
  88. コルボー: そうですね
  89. コルボー: 近くに寄ったときには 是非、また参りましょう
  90. ミヌゥ: ………… …………
  91. コルボー: ミヌゥ、どうした?
  92. ミヌゥ: いえ…
  93. ミヌゥ: 昔はお母さまも一緒に 湯浴みをなさっていたのですね
  94. コルボー: ああ…
  95. コルボー: すまなかったな、ミヌゥ 寂しい思いをさせてしまったか…
  96. ミヌゥ: いえ…そういうわけでは ないのですが…
  97. ミヌゥ: お母さまに、私の知らない 側面があったことを知って
  98. ミヌゥ: …少し、驚いてしまいました
  99. コルボー: お母さまは 少しずつ変わっていった
  100. コルボー: 言葉の数が減って
  101. コルボー: だんだん 感情を見せないようになって
  102. コルボー: 私が魔法少女になった頃…
  103. コルボー: いや、思えば ミヌゥが生まれた頃には、もう…
  104. ミヌゥ: ………… …………
  105. ミヌゥ: (「もう、異常だった」とでも 仰りたいのですか…?)
  106. ラピヌ: んー、確かに口数は 少なくなったけど
  107. ラピヌ: 昔は、私の血を分けた子は みんな可愛いってよく言ってたし
  108. ラピヌ: ミヌゥのことも そう思ってるはずだよー?
  109. ミヌゥ: (もちろんそのはずですわ)
  110. ミヌゥ: (私が魔法少女になる前 お母さまは)
  111. ミヌゥ: (私に目を向けることすら しなかった…)
  112. ミヌゥ: (いえ、私だけじゃない お姉さま方に対しても同じ)
  113. ミヌゥ: (でも、今はしっかりと 通じ合えています)
  114. ミヌゥ: (そう、言葉がなくとも…)
  115. ミヌゥ: (コルボーお姉さまは 誤解している)
  116. ミヌゥ: (“あのとき”すべてが 変わってしまったのだと)
  117. ミヌゥ: (でも、それは違う)
  118. ミヌゥ: (お母さまのことを 一番わかっているのは)
  119. ミヌゥ: (そう、この私…)
  120. コルボー: ミヌゥ…
  121.  
  122. 340241-4
  123. ミヌゥ: コルボーお姉さまはこう思っている
  124. ミヌゥ: 「あのとき、お母さまは 魔女になってしまったのだ」
  125. ミヌゥ: 「お母さまの心は、それよりずっと前から 徐々に蝕まれていたのだ」と…
  126. ミヌゥ: (でもそれは、真実ではない)
  127. ミヌゥ: (あのとき、お母さまは…)
  128. イザボー: …ここで……ここで終わる…?
  129. イザボー: そんなことは許されない…!
  130. イザボー: まだ…私は手に入れていないの
  131. イザボー: フランスも…イングランドも… ヨーロッパも…何もかも…!
  132. コルボー: …お母さま…?
  133. コルボー: うっ…!
  134. コルボー: なんてことだ…
  135. コルボー: あれは… もうダメだ…
  136. ラピヌ: 「イヤだっ!」
  137. ラピヌ: 「こんなのヤダよぉっ!」
  138. ラピヌ: 「私も…私も魔法少女になるっ!!」
  139. ラピヌ: 「だからっ!」
  140. ラピヌ: 「だからお母さまを…」
  141. ラピヌ: 「もとに戻してっ!!」
  142. ミヌゥ: (あのとき、コルボーお姉さまが もうダメだ、と仰ったのは)
  143. ミヌゥ: (いちど魔女になってしまったら 心はもとに戻らないという意味)
  144. ミヌゥ: (そう、お姉さまは あのとき諦めてしまった…)
  145. ミヌゥ: (変身して、お母さまから 私たちを庇ったのも)
  146. ミヌゥ: (お母さまが私たちを 殺すと思ったからでしょう…)
  147. ミヌゥ: けれど、そうじゃない
  148. ミヌゥ: (あのとき、お母さまは “羽化”しようとしていた)
  149. ミヌゥ: (ラピヌお姉さまの願いで もとの姿に留まったけれど)
  150. ミヌゥ: (私にはわかった)
  151. ミヌゥ: (その瞬間の真の意味が…)
  152. ミヌゥ: (あれは、単なる “魔女”などではない)
  153. ミヌゥ: (人のあるべき次元を超え…)
  154. ミヌゥ: (万人が畏怖すべきものが 顕現した瞬間…)
  155. ミヌゥ: (そう)
  156. ミヌゥ: (何よりも尊い… 神に限りなく近い存在が)
  157. ミヌゥ: (この世に降臨した 瞬間だったのだから…!)
  158. ミヌゥ: あぁ…素晴らしい
  159.  
  160. 340242-1
  161. ラピヌ: 今日は楽しかったねー
  162. コルボー: ええ、久々に 野山に親しむこともできましたし
  163. ラピヌ: それじゃ コルボー、ミヌゥ
  164. ラピヌ: おやすみなさーい!
  165. ミヌゥ: おやすみなさいませ ラピヌお姉さま
  166. コルボー: 私も床に就くことにするよ
  167. コルボー: おやすみ、ミヌゥ
  168. ミヌゥ: おやすみなさい… コルボーお姉さま
  169. ミヌゥ: ………… …………
  170. …あの、ミヌゥ様
  171. 何か気がかりなことでも?
  172. ミヌゥ: 心配は無用 下がっていなさい
  173. …し、失礼いたしました!
  174. ミヌゥ: そんなに 恐縮することはありません
  175. ミヌゥ: 昔の記憶が いろいろと甦ってきて
  176. ミヌゥ: 少し 考えに暮れていただけですわ
  177. そういうことでしたら
  178. 時にはあえて 思いに沈んでみるのも
  179. 心を健全に保つ上で よろしいかと思います…!
  180. ミヌゥ: (あえて思いに沈んでみる…?)
  181. ミヌゥ: (…差し出がましいことを)
  182. ミヌゥ: ………… …………
  183. ミヌゥ: (そういえば、“あの言葉”を 初めて耳にしたのも)
  184. ミヌゥ: (少しばかり差し出がましい 侍女の口からでしたわね…)
  185.  
  186. 340242-2
  187. ミヌゥ: 『フランスはひとりの女によって滅び ひとりの少女によって救われる』…?
  188. はい…
  189. フランスの民のあいだで
  190. 予言めいた言葉が 飛び交っております…
  191. ミヌゥ: 「あなたはそれをどこで聞いたのかしら?」
  192. その…お仕えがお休みの日
  193. …道徳劇を鑑賞した その帰り道に…
  194. ミヌゥ: 「道徳劇?」
  195. ミヌゥ: 「あまり高尚な趣味とは言えませんわね」
  196. はい、友人に連れられて… こっそりと…
  197. ミヌゥ: …………
  198. ミヌゥ: 「まあ、よいでしょう 言いたいことはわかります」
  199. ミヌゥ: 「“ひとりの女”とはあの方…」
  200. ミヌゥ: 「イザボー・ド・バヴィエール様のことだと」
  201. ミヌゥ: 「そう噂する者がいるのですね」
  202. はい… そのように聞こえました
  203. ミヌゥ: 「愚かしい」
  204. ヒッ…!
  205. ミヌゥ: 「あなたに言ったのではありません」
  206. ミヌゥ: 「おおかた、政敵が流した」
  207. ミヌゥ: 「根も葉もない噂というところでしょう」
  208. ミヌゥ: 「真に受ける必要はありませんが…」
  209. ミヌゥ: 「わざわざ報告するからには かなり広く口にされている噂だと 感じたのでしょう?」
  210. はい… そうみたいです
  211. ミヌゥ: 「たとえくだらぬ予言であっても」
  212. ミヌゥ: 「真に受ける者が出てきた結果 現実になることもあると聞きます」
  213. ミヌゥ: 「よく知らせてくれました 礼を言います」
  214. こ、こちらこそ
  215. お聞きいただいて ありがとうございました…!
  216. ミヌゥ: 『フランスはひとりの女によって滅び ひとりの少女によって救われる』
  217. ミヌゥ: 意味のある予言とは思えない
  218. ミヌゥ: けれど… なぜ、心にひっかかるのでしょう…?
  219. ミヌゥ: 確かに、お母さまの 敵となりうる女はおります
  220. ミヌゥ: ブルゴーニュ派に盾突く アンジュ―公妃ヨランド…
  221. ミヌゥ: あるいは、将来の領土拡大の折には 神聖ローマ皇帝妃バルバラ・ツェリスカも… いつか敵となりうる女かもしれません
  222. ミヌゥ: …が、そうではなく “少女”だと…?
  223. ミヌゥ: …………!
  224. ミヌゥ: …思い出しました! そう、ラピヌお姉さまが仰っていました
  225. ミヌゥ: かつて、お母さまが もっと雄弁であった頃 お母さまが最も恐れていたのは…
  226. ミヌゥ: “他の魔法少女”に 命を狙われることだ…と!
  227. ミヌゥ: ―ミヌゥ― お母さま… 今日はお願いがあって参りました…
  228. ミヌゥ: ―ミヌゥ― 私を魔法少女にしていただけますか?
  229. イザボー: ―イザボー― …奇跡を… …願うと…?
  230. ミヌゥ: ―ミヌゥ― はい、私がお母さまに捧げる願い それは…
  231. ミヌゥ: ―ミヌゥ― 『お母さまがいかなる魔法少女からも 脅かされぬこと』…!
  232.  
  233. 340242-3
  234. ラピヌ: びっくりしたよぉ~
  235. ラピヌ: ミヌゥが魔法少女に なっちゃってるんだもん!
  236. コルボー: ミヌゥまで魔法少女に ならなくても
  237. コルボー: 私がお前たちを守るし お母さまのために働く
  238. コルボー: そのつもりで やってきたんだがな…
  239. ミヌゥ: お姉さま方に相談もせず 申し訳ございませんでした…
  240. ミヌゥ: でも、後悔は一切ありません
  241. ミヌゥ: 私が願いを捧げることで
  242. ミヌゥ: お母さまは何者にも脅かされぬ 存在になったのですから…!
  243. コルボー: ミヌゥ…
  244. ミヌゥ: (コルボーお姉さま)
  245. ミヌゥ: (もうひとつ思い出しました)
  246. ミヌゥ: 『フランスはひとりの女によって滅び ひとりの少女によって救われる』
  247. ミヌゥ: (この言葉が心にひっかかった その理由が…)
  248. ミヌゥ: (そう、お母さまから 私たち姉妹を守ろうと)
  249. ミヌゥ: (コルボーお姉さまが 変身なさったとき…)
  250. ミヌゥ: (私は、恐怖を感じたのです)
  251. ミヌゥ: (母が傷つき 大切なものを失う恐怖を…)
  252. ミヌゥ: (コルボーお姉さまは 姉妹を必死で庇っただけ)
  253. ミヌゥ: (お母さまを傷つけるつもりは なかった)
  254. ミヌゥ: (そのことは わかっているのですが…)
  255. ミヌゥ: (もしも…もしもまた 同じようなことがあれば)
  256. ミヌゥ: (コルボーお姉さまは お母さまよりも…)
  257. ミヌゥ: (私たち姉妹を守ろうとして しまうのでは…?)
  258. ミヌゥ: (“魔法少女”だけが)
  259. ミヌゥ: (お母さまを傷つけうる 存在だということが…)
  260. ミヌゥ: (私の中の恐れとして、ずっと 残っていたのかもしれません)
  261. ミヌゥ: ………… …………
  262. ラピヌ: んんー?
  263. ラピヌ: どうしたの、ふたりとも 黙りこくっちゃって?
  264. ミヌゥ: ――っ!?
  265. ミヌゥ: いえ、その…
  266. コルボー: なんでもありませんよ ラピヌお姉さま
  267. ラピヌ: 本当?
  268. ミヌゥ: もちろんですわ
  269. ミヌゥ: そうそう、それからもうひとつ 報告すべきことがございます
  270. ラピヌ: なにー?
  271. ミヌゥ: 魔法少女になって ひとつ、得たものがございます
  272. ミヌゥ: お母さまと、心が少し つながったようなのです
  273. ラピヌ: うん?
  274. コルボー: どういう意味だ?
  275. ミヌゥ: 文字通りの意味ですわ
  276. ミヌゥ: お母さまの仰りたいこと… そのお言葉の真意が
  277. ミヌゥ: 心に流れ込んでくるように なったのです
  278. ラピヌ: ええっ!?
  279. コルボー: ほう…
  280.  
  281. 340242-4
  282. イザボー: …使者…帰らず…
  283. イザボー: …真なる王…ひとり…
  284. ミヌゥ: …かしこまりました
  285. ミヌゥ: 偉大なるイザボー様の 返答を伝えます
  286. ミヌゥ: 交渉の席にはつかぬ 使者は直ちに殺せ
  287. ミヌゥ: 王太子派には死あるのみ!
  288. ハッ!
  289. ラピヌ: お母さまの言葉 難しいのによくわかるね~
  290. ミヌゥ: 言葉だけではありません
  291. ミヌゥ: “心”がつながっているからこそ お母さまの意志が伝わるのですわ
  292. コルボー: 実際、ミヌゥが 間に入るようになってから
  293. コルボー: お母さまの権力は どんどん増しているしな
  294. ラピヌ: お母さまも満足そうだよね~
  295. コルボー: そうですね
  296. コルボー: ミヌゥのようにはいきませんが 表情ならわかります
  297. コルボー: ミヌゥがお母さまのために 願いを捧げたことで
  298. コルボー: その願いにふさわしい魔力を ミヌゥが得たのでしょう
  299. ミヌゥ: きっと、そういうことですわ コルボーお姉さま
  300. ミヌゥ: ただ私の場合 戦うのはいささか不得手です
  301. ミヌゥ: お姉さま方のような
  302. ミヌゥ: 戦闘向きの力は あまりないようですわ
  303. コルボー: 心配するな、ミヌゥ それは私の仕事なんだろう
  304. コルボー: もっと、いま以上に強くなって ふたりを守ってみせる
  305. コルボー: ラピヌお姉さまもミヌゥも 戦わずに済むくらいにな
  306. ミヌゥ: ………… …………
  307. ミヌゥ: (『ふたりを守ってみせる』 ですか…)
  308. ミヌゥ: …………
  309. ミヌゥ: …本当に、頼もしいですわ コルボーお姉さま
  310. ミヌゥ: (…そう、私はそんな風にして 魔法少女になったのでしたわね)
  311. ミヌゥ: (おかげで、こうして お母さまと心がつながった…)
  312. ミヌゥ: (予言を伝えたあの侍女には 感謝しないといけませんわね)
  313. ミヌゥ: まだまだ 楽しませていただけそうね
  314.  
  315.  
  316. 340243-1
  317. ミヌゥ: …………
  318. ラピヌ: ミヌゥ~?
  319. ラピヌ: ミヌゥ、どうしたの?
  320. ミヌゥ: …………!
  321. ミヌゥ: 申し訳ありません
  322. ミヌゥ: なにやら 胸がざわつく感じがしまして…
  323. ミヌゥ: ――っ!?
  324. ミヌゥ: お母さま!
  325. ラピヌ: ちょっと、ミヌゥ!
  326. コルボー: お母さまに 何かあったようです!
  327. イザボー: ………… …………
  328. ミヌゥ: お母さま…!
  329. ミヌゥ: そのご様子… 何か不快なことでも…?
  330. ミヌゥ: (間違いない… 何かを感じていらっしゃる)
  331. ミヌゥ: どうか、私に お聞かせくださいませ
  332. イザボー: …忌まわしき……光…芽吹く…
  333. イザボー: …………
  334. イザボー: …ドンレミ…
  335. ミヌゥ: …ドンレミ…? 確か…東にある辺境の地名…
  336. ミヌゥ: 忌まわしい光…
  337. ミヌゥ: 我らの敵となる者が そこで芽吹こうとしている…?
  338. ミヌゥ: …お母さま、ご安心ください
  339. ミヌゥ: 必ずや、その“光”… 芽を出す前に潰してみせましょう
  340. イザボー: ………… …………
  341. ラピヌ: えっ、いまから行く気!?
  342. コルボー: 私も行こう
  343. ミヌゥ: ご心配は無用
  344. ミヌゥ: グリーフシードを 置いてくるだけです
  345. ミヌゥ: コルボーお姉さまのお手を わずらわせるまでもありません
  346. ミヌゥ: では…
  347.  
  348. 340243-2
  349. <フランス、ドンレミ村近郊>
  350. ミヌゥ: …………
  351. ミヌゥ: (ドンレミ村…)
  352. ミヌゥ: (ブルゴーニュ派が 優勢な地域にありながら)
  353. ミヌゥ: (反抗を続ける目障りな集落…)
  354. ミヌゥ: (周辺も一枚岩とは言えない 土地柄でしたわね)
  355. ミヌゥ: (ドンレミから芽吹く 忌まわしき光とは…?)
  356. ミヌゥ: 『フランスはひとりの女によって滅び ひとりの少女によって救われる』
  357. ミヌゥ: (まさか…)
  358. ミヌゥ: (ここから魔法少女が?)
  359. ミヌゥ: (いえ…魔法少女であれば)
  360. ミヌゥ: (お母さまを 脅かすことはできない…)
  361. ミヌゥ: なんにせよ…
  362. ミヌゥ: 早めに潰しておくに 越したことはないはず…
  363. ミヌゥ: ふぅ…
  364. ミヌゥ: これで、完了ですわね
  365. ミヌゥ: (軍を展開する時間はなく)
  366. ミヌゥ: (魔女だけで 村を壊滅させるのは難しい)
  367. ミヌゥ: (だから魔女を使って 直接村を襲わせるよりは)
  368. ミヌゥ: (周辺に位置する友軍が 滞りなく進軍できるよう)
  369. ミヌゥ: (周辺の村落を 攪乱しておく方が上策…)
  370. ミヌゥ: (グリーフシードをいくつか 置いてくるだけで)
  371. ミヌゥ: (それが叶うのですから)
  372. ミヌゥ: (最も迅速で 効果的な方法ですわ)
  373. ミヌゥ: (ドンレミ村は友軍の 直接の進路ではないはずですが)
  374. ミヌゥ: (傭兵崩れの夜盗団あたりが)
  375. ミヌゥ: (機を逃さずに 襲撃をかけることでしょう)
  376. ミヌゥ: それでは… 帰還いたしましょう
  377.  
  378. 340243-3
  379. <後日…>
  380. ミヌゥ: …ドンレミ周辺の様子は その後、どうなっていますか?
  381. ハッ!
  382. 我が軍の進軍に伴って 生じた間隙を突いて…
  383. 夜盗団同然の連中が 略奪行為を画策しているようです
  384. 我々に盾突くドンレミ村が 襲撃に遭うのも時間の問題かと…
  385. ミヌゥ: よろしい 報告ご苦労でした
  386. ミヌゥ: (計画通りのようね…)
  387. イザボー: ………… …………
  388. ミヌゥ: お母さま…
  389. ミヌゥ: (あまり…ご気分が 優れない様子)
  390. ミヌゥ: (“芽”は潰したはずなのに… 何故?)
  391. ミヌゥ: …………?
  392. イザボー: …忌まわしき…光…
  393. イザボー: …我が……破滅の…導…
  394. イザボー: …光…あああああっ…!!
  395. ミヌゥ: ――っ!?
  396. ミヌゥ: お母さま…!?
  397. ミヌゥ: お母さまっ…!!
  398. ラピヌ: どうしたの!?
  399. コルボー: いったい、何が…!
  400. ミヌゥ: お母さまっ…! 何があったのです?
  401. ミヌゥ: ――っ!?
  402. ミヌゥ: (…この… 不快な…光は…?)
  403.  
  404. 340243-4
  405. <フランス、ドンレミ村>
  406. タルト: リズさん…
  407. タルト: カトリーヌが… 私を守ろうとして…
  408. タルト: 私…お姉ちゃんなのに…
  409. リズ・ホークウッド: …………
  410. リズ・ホークウッド: 間に合わなくて …ごめんなさい
  411. タルト: ―タルト― 天使様
  412. タルト: ―タルト― 私…決めました
  413. タルト: ―タルト― 同じような悲劇を もう誰にもあわせたくありません
  414. タルト: ―タルト― だから私… 魔法少女になる
  415. キューブ: ―キューブ― そうか、タルト… キミは何を望むんだい?
  416. タルト: ―タルト― フランスに 光をもたらす力を!
  417. リズ・ホークウッド: ――っ!?
  418. リズ・ホークウッド: 空いっぱいに 光が降り注いで…!
  419. キューブ: タルトはまさしく
  420. キューブ: この国の暗雲を打ち払う 希望の光だね
  421. メリッサ・ド・ヴィニョル: …………
  422. エリザ・ツェリスカ: ――っ!?
  423. エリザ・ツェリスカ: (あの光… フランス王国の方で…何かが?)
  424. コルボー: お母さまは…?
  425. ミヌゥ: 今は、静かにお休みですわ
  426. ラピヌ: 何があったの…?
  427. ミヌゥ: …わかりません ただ
  428. ミヌゥ: 破滅を招く光… …忌まわしき光が…
  429. ミヌゥ: 東の地で芽吹いた…
  430. ミヌゥ: そのような内容を 繰り返し、口にしておられます
  431. ラピヌ: 何日か前に 言ってたやつー?
  432. コルボー: まるで予言だな
  433. コルボー: 不吉な何かを感じておられる… ということか?
  434. ミヌゥ: ええ…
  435. ミヌゥ: 未然に 防いだつもりだったのですが…
  436. ミヌゥ: ………… …………
  437. ラピヌ: 大丈夫だよ、ミヌゥ!
  438. ラピヌ: まだ、悪いことが 起きたわけじゃないんだから!
  439. コルボー: 心配するなミヌゥ、もしもそれが 実体のある脅威だとしても
  440. コルボー: この手で私がすり潰してやるさ
  441. ミヌゥ: …………
  442. ミヌゥ: (…確かに)
  443. ミヌゥ: (…何も失われてはいないし 何も終わってはいない)
  444. ミヌゥ: (お姉さま方には 何者にも負けぬだけの力があり)
  445. ミヌゥ: (私には、母を守るという 願いが…そして意志がある)
  446. ミヌゥ: (何より、神に最も近い 存在であるお母さまを)
  447. ミヌゥ: (止められるものなど ありはしない)
  448. ミヌゥ: …………
  449. ミヌゥ: …そうですわね 頼りにしておりますわ
  450. ミヌゥ: ラピヌお姉さま コルボーお姉さま
  451. ミヌゥ: では、ここからが第2幕…
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