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- 340241-1
- <1428年、フランス>
- ラピヌ: …今日の戦いは あっけなかったね!
- ミヌゥ: 私たちが出ていく前に 敵が潰走しましたから…
- ミヌゥ: もう少し、骨のある相手と 聞いていたので
- ミヌゥ: わざわざお姉さま方を お呼びしたのですが…
- コルボー: いや、確かに結構な数だった
- コルボー: 今回は イングランド軍の作戦勝ちだ
- コルボー: あの方向から奇襲をかけられれば 敵はなすすべもないだろうさ
- ミヌゥ: こちら側の指揮官は タルボットでしたわね
- コルボー: あれはいい将だ ただの大食らいじゃなかったな
- ラピヌ: ねーねー、それより 一緒に湯浴みにいこーよっ!
- ミヌゥ: 今から…ですか?
- コルボー: 確かに、戦いが終わったら そうする約束でしたが
- コルボー: 明日以降になると 思っておりました
- ラピヌ: 早く終わったんだから 今日でいーじゃん!
- ミヌゥ: …そうですわね 他にすることもありませんし
- コルボー: ミヌゥも賛成か では、決まりだな!
- ラピヌ: やったー!
- あっ、それでは早速 馬車の手配を…!
- ミヌゥ: 不要ですわ
- えっ…それでは どのようにして移動を?
- ラピヌ: ミヌゥが魔法で、びゅびゅーんと 送り届けてくれるからね!
- 魔法…でございますか?
- コルボー: そうか、お前は 仕えてまだ日が浅かったな
- コルボー: 気にするな そのうちわかる
- で、では…お着替えや その他の支度を…
- ミヌゥ: 頼みますわ
- ラピヌ: へー、気がきく子だねー
- ミヌゥ: …では、参りましょう
- ラピヌ: いってくるねー!
- ミヌゥ: フフ…
- 340241-2
- ラピヌ: ついたー!
- コルボー: 最寄りの駐屯地か
- ミヌゥ: ええ
- ミヌゥ: それでは、湯浴みの手配を してまいります…
- ラピヌ: ミヌゥにまかせておけば 安心だねー!
- コルボー: いい妹を持って 私も鼻が高いです
- ラピヌ: …えっ? まだ使えない?
- ミヌゥ: ちょうど清掃の時間だったとか…
- ミヌゥ: 準備を急ぐので しばらくお待ちください、と
- ラピヌ: そっかー
- コルボー: 仕方ありませんね 突然の訪問したのはこちらですし
- コルボー: 準備ができるまでの間
- コルボー: そのへんを 散策いたしましょうか?
- ラピヌ: うん、そーする!
- ミヌゥ: 申し訳ありません…
- コルボー: ミヌゥ、気にするな お前は何も悪くないんだからな
- ミヌゥ: はい…
- ラピヌ: おぉ~! ミソサザイが元気に歌ってる~!
- コルボー: そういえば お母さまがお好きでしたね
- ミヌゥ: お母さまが…? 鳥の歌を?
- ラピヌ: うん! そーだよー!
- ラピヌ: 小さい頃によく 森や丘に連れて行ってもらって
- ラピヌ: いろんな鳥の鳴き声を 教えてもらったよ!
- コルボー: 野鳥の歌声に じっと耳を傾けておられましたね
- ラピヌ: うん、野鳥だけじゃ物足りなくて
- ラピヌ: 外国から珍しい鳥を取り寄せて たくさん飼ってたよね
- コルボー: 今もお飼いですよ
- コルボー: 最近は、世話の方も 他人にまかせきりですが…
- ミヌゥ: ああ…そういえば 大きな庭園や鳥小屋が…
- ラピヌ: そうそう! 花も好きだからねー、お母さまは
- コルボー: だから私たちを連れて 野山に出かけたのでしょうね
- ミヌゥ: …私には、その記憶がありません
- ラピヌ: あー、そっか
- ラピヌ: ミヌゥが生まれた頃にはもう 行かなくなってたかも
- コルボー: お母さまは… 変わってしまわれたからな
- ミヌゥ: …………
- コルボー: 優しかった あの頃のお母さまは…
- コルボー: もう、いなくなってしまった
- ミヌゥ: ………… …………
- ラピヌ: …どうしたの、ミヌゥ?
- ミヌゥ: あっ…
- ミヌゥ: いえ、なんでもありません ラピヌお姉さま
- ミヌゥ: そろそろ よい時間かと思いまして
- ラピヌ: そうだね、戻ろうか!
- ミヌゥ: ええ…
- コルボー: …ミヌゥ?
- 340241-3
- ちゃぷん
- コルボー: ―コルボー― やはり湯浴みはいい 気持ちも一緒に洗われるようだ
- ラピヌ: ―ラピヌ― お母さまもよく 身体を洗ってくれたよねー!
- ミヌゥ: ―ミヌゥ― お母さまも…?
- ラピヌ: 気持ちよかったねー!
- コルボー: そうですね
- コルボー: 近くに寄ったときには 是非、また参りましょう
- ミヌゥ: ………… …………
- コルボー: ミヌゥ、どうした?
- ミヌゥ: いえ…
- ミヌゥ: 昔はお母さまも一緒に 湯浴みをなさっていたのですね
- コルボー: ああ…
- コルボー: すまなかったな、ミヌゥ 寂しい思いをさせてしまったか…
- ミヌゥ: いえ…そういうわけでは ないのですが…
- ミヌゥ: お母さまに、私の知らない 側面があったことを知って
- ミヌゥ: …少し、驚いてしまいました
- コルボー: お母さまは 少しずつ変わっていった
- コルボー: 言葉の数が減って
- コルボー: だんだん 感情を見せないようになって
- コルボー: 私が魔法少女になった頃…
- コルボー: いや、思えば ミヌゥが生まれた頃には、もう…
- ミヌゥ: ………… …………
- ミヌゥ: (「もう、異常だった」とでも 仰りたいのですか…?)
- ラピヌ: んー、確かに口数は 少なくなったけど
- ラピヌ: 昔は、私の血を分けた子は みんな可愛いってよく言ってたし
- ラピヌ: ミヌゥのことも そう思ってるはずだよー?
- ミヌゥ: (もちろんそのはずですわ)
- ミヌゥ: (私が魔法少女になる前 お母さまは)
- ミヌゥ: (私に目を向けることすら しなかった…)
- ミヌゥ: (いえ、私だけじゃない お姉さま方に対しても同じ)
- ミヌゥ: (でも、今はしっかりと 通じ合えています)
- ミヌゥ: (そう、言葉がなくとも…)
- ミヌゥ: (コルボーお姉さまは 誤解している)
- ミヌゥ: (“あのとき”すべてが 変わってしまったのだと)
- ミヌゥ: (でも、それは違う)
- ミヌゥ: (お母さまのことを 一番わかっているのは)
- ミヌゥ: (そう、この私…)
- コルボー: ミヌゥ…
- 340241-4
- ミヌゥ: コルボーお姉さまはこう思っている
- ミヌゥ: 「あのとき、お母さまは 魔女になってしまったのだ」
- ミヌゥ: 「お母さまの心は、それよりずっと前から 徐々に蝕まれていたのだ」と…
- ミヌゥ: (でもそれは、真実ではない)
- ミヌゥ: (あのとき、お母さまは…)
- イザボー: …ここで……ここで終わる…?
- イザボー: そんなことは許されない…!
- イザボー: まだ…私は手に入れていないの
- イザボー: フランスも…イングランドも… ヨーロッパも…何もかも…!
- コルボー: …お母さま…?
- コルボー: うっ…!
- コルボー: なんてことだ…
- コルボー: あれは… もうダメだ…
- ラピヌ: 「イヤだっ!」
- ラピヌ: 「こんなのヤダよぉっ!」
- ラピヌ: 「私も…私も魔法少女になるっ!!」
- ラピヌ: 「だからっ!」
- ラピヌ: 「だからお母さまを…」
- ラピヌ: 「もとに戻してっ!!」
- ミヌゥ: (あのとき、コルボーお姉さまが もうダメだ、と仰ったのは)
- ミヌゥ: (いちど魔女になってしまったら 心はもとに戻らないという意味)
- ミヌゥ: (そう、お姉さまは あのとき諦めてしまった…)
- ミヌゥ: (変身して、お母さまから 私たちを庇ったのも)
- ミヌゥ: (お母さまが私たちを 殺すと思ったからでしょう…)
- ミヌゥ: けれど、そうじゃない
- ミヌゥ: (あのとき、お母さまは “羽化”しようとしていた)
- ミヌゥ: (ラピヌお姉さまの願いで もとの姿に留まったけれど)
- ミヌゥ: (私にはわかった)
- ミヌゥ: (その瞬間の真の意味が…)
- ミヌゥ: (あれは、単なる “魔女”などではない)
- ミヌゥ: (人のあるべき次元を超え…)
- ミヌゥ: (万人が畏怖すべきものが 顕現した瞬間…)
- ミヌゥ: (そう)
- ミヌゥ: (何よりも尊い… 神に限りなく近い存在が)
- ミヌゥ: (この世に降臨した 瞬間だったのだから…!)
- ミヌゥ: あぁ…素晴らしい
- 340242-1
- ラピヌ: 今日は楽しかったねー
- コルボー: ええ、久々に 野山に親しむこともできましたし
- ラピヌ: それじゃ コルボー、ミヌゥ
- ラピヌ: おやすみなさーい!
- ミヌゥ: おやすみなさいませ ラピヌお姉さま
- コルボー: 私も床に就くことにするよ
- コルボー: おやすみ、ミヌゥ
- ミヌゥ: おやすみなさい… コルボーお姉さま
- ミヌゥ: ………… …………
- …あの、ミヌゥ様
- 何か気がかりなことでも?
- ミヌゥ: 心配は無用 下がっていなさい
- …し、失礼いたしました!
- ミヌゥ: そんなに 恐縮することはありません
- ミヌゥ: 昔の記憶が いろいろと甦ってきて
- ミヌゥ: 少し 考えに暮れていただけですわ
- そういうことでしたら
- 時にはあえて 思いに沈んでみるのも
- 心を健全に保つ上で よろしいかと思います…!
- ミヌゥ: (あえて思いに沈んでみる…?)
- ミヌゥ: (…差し出がましいことを)
- ミヌゥ: ………… …………
- ミヌゥ: (そういえば、“あの言葉”を 初めて耳にしたのも)
- ミヌゥ: (少しばかり差し出がましい 侍女の口からでしたわね…)
- 340242-2
- ミヌゥ: 『フランスはひとりの女によって滅び ひとりの少女によって救われる』…?
- はい…
- フランスの民のあいだで
- 予言めいた言葉が 飛び交っております…
- ミヌゥ: 「あなたはそれをどこで聞いたのかしら?」
- その…お仕えがお休みの日
- …道徳劇を鑑賞した その帰り道に…
- ミヌゥ: 「道徳劇?」
- ミヌゥ: 「あまり高尚な趣味とは言えませんわね」
- はい、友人に連れられて… こっそりと…
- ミヌゥ: …………
- ミヌゥ: 「まあ、よいでしょう 言いたいことはわかります」
- ミヌゥ: 「“ひとりの女”とはあの方…」
- ミヌゥ: 「イザボー・ド・バヴィエール様のことだと」
- ミヌゥ: 「そう噂する者がいるのですね」
- はい… そのように聞こえました
- ミヌゥ: 「愚かしい」
- ヒッ…!
- ミヌゥ: 「あなたに言ったのではありません」
- ミヌゥ: 「おおかた、政敵が流した」
- ミヌゥ: 「根も葉もない噂というところでしょう」
- ミヌゥ: 「真に受ける必要はありませんが…」
- ミヌゥ: 「わざわざ報告するからには かなり広く口にされている噂だと 感じたのでしょう?」
- はい… そうみたいです
- ミヌゥ: 「たとえくだらぬ予言であっても」
- ミヌゥ: 「真に受ける者が出てきた結果 現実になることもあると聞きます」
- ミヌゥ: 「よく知らせてくれました 礼を言います」
- こ、こちらこそ
- お聞きいただいて ありがとうございました…!
- ミヌゥ: 『フランスはひとりの女によって滅び ひとりの少女によって救われる』
- ミヌゥ: 意味のある予言とは思えない
- ミヌゥ: けれど… なぜ、心にひっかかるのでしょう…?
- ミヌゥ: 確かに、お母さまの 敵となりうる女はおります
- ミヌゥ: ブルゴーニュ派に盾突く アンジュ―公妃ヨランド…
- ミヌゥ: あるいは、将来の領土拡大の折には 神聖ローマ皇帝妃バルバラ・ツェリスカも… いつか敵となりうる女かもしれません
- ミヌゥ: …が、そうではなく “少女”だと…?
- ミヌゥ: …………!
- ミヌゥ: …思い出しました! そう、ラピヌお姉さまが仰っていました
- ミヌゥ: かつて、お母さまが もっと雄弁であった頃 お母さまが最も恐れていたのは…
- ミヌゥ: “他の魔法少女”に 命を狙われることだ…と!
- ミヌゥ: ―ミヌゥ― お母さま… 今日はお願いがあって参りました…
- ミヌゥ: ―ミヌゥ― 私を魔法少女にしていただけますか?
- イザボー: ―イザボー― …奇跡を… …願うと…?
- ミヌゥ: ―ミヌゥ― はい、私がお母さまに捧げる願い それは…
- ミヌゥ: ―ミヌゥ― 『お母さまがいかなる魔法少女からも 脅かされぬこと』…!
- 340242-3
- ラピヌ: びっくりしたよぉ~
- ラピヌ: ミヌゥが魔法少女に なっちゃってるんだもん!
- コルボー: ミヌゥまで魔法少女に ならなくても
- コルボー: 私がお前たちを守るし お母さまのために働く
- コルボー: そのつもりで やってきたんだがな…
- ミヌゥ: お姉さま方に相談もせず 申し訳ございませんでした…
- ミヌゥ: でも、後悔は一切ありません
- ミヌゥ: 私が願いを捧げることで
- ミヌゥ: お母さまは何者にも脅かされぬ 存在になったのですから…!
- コルボー: ミヌゥ…
- ミヌゥ: (コルボーお姉さま)
- ミヌゥ: (もうひとつ思い出しました)
- ミヌゥ: 『フランスはひとりの女によって滅び ひとりの少女によって救われる』
- ミヌゥ: (この言葉が心にひっかかった その理由が…)
- ミヌゥ: (そう、お母さまから 私たち姉妹を守ろうと)
- ミヌゥ: (コルボーお姉さまが 変身なさったとき…)
- ミヌゥ: (私は、恐怖を感じたのです)
- ミヌゥ: (母が傷つき 大切なものを失う恐怖を…)
- ミヌゥ: (コルボーお姉さまは 姉妹を必死で庇っただけ)
- ミヌゥ: (お母さまを傷つけるつもりは なかった)
- ミヌゥ: (そのことは わかっているのですが…)
- ミヌゥ: (もしも…もしもまた 同じようなことがあれば)
- ミヌゥ: (コルボーお姉さまは お母さまよりも…)
- ミヌゥ: (私たち姉妹を守ろうとして しまうのでは…?)
- ミヌゥ: (“魔法少女”だけが)
- ミヌゥ: (お母さまを傷つけうる 存在だということが…)
- ミヌゥ: (私の中の恐れとして、ずっと 残っていたのかもしれません)
- ミヌゥ: ………… …………
- ラピヌ: んんー?
- ラピヌ: どうしたの、ふたりとも 黙りこくっちゃって?
- ミヌゥ: ――っ!?
- ミヌゥ: いえ、その…
- コルボー: なんでもありませんよ ラピヌお姉さま
- ラピヌ: 本当?
- ミヌゥ: もちろんですわ
- ミヌゥ: そうそう、それからもうひとつ 報告すべきことがございます
- ラピヌ: なにー?
- ミヌゥ: 魔法少女になって ひとつ、得たものがございます
- ミヌゥ: お母さまと、心が少し つながったようなのです
- ラピヌ: うん?
- コルボー: どういう意味だ?
- ミヌゥ: 文字通りの意味ですわ
- ミヌゥ: お母さまの仰りたいこと… そのお言葉の真意が
- ミヌゥ: 心に流れ込んでくるように なったのです
- ラピヌ: ええっ!?
- コルボー: ほう…
- 340242-4
- イザボー: …使者…帰らず…
- イザボー: …真なる王…ひとり…
- ミヌゥ: …かしこまりました
- ミヌゥ: 偉大なるイザボー様の 返答を伝えます
- ミヌゥ: 交渉の席にはつかぬ 使者は直ちに殺せ
- ミヌゥ: 王太子派には死あるのみ!
- ハッ!
- ラピヌ: お母さまの言葉 難しいのによくわかるね~
- ミヌゥ: 言葉だけではありません
- ミヌゥ: “心”がつながっているからこそ お母さまの意志が伝わるのですわ
- コルボー: 実際、ミヌゥが 間に入るようになってから
- コルボー: お母さまの権力は どんどん増しているしな
- ラピヌ: お母さまも満足そうだよね~
- コルボー: そうですね
- コルボー: ミヌゥのようにはいきませんが 表情ならわかります
- コルボー: ミヌゥがお母さまのために 願いを捧げたことで
- コルボー: その願いにふさわしい魔力を ミヌゥが得たのでしょう
- ミヌゥ: きっと、そういうことですわ コルボーお姉さま
- ミヌゥ: ただ私の場合 戦うのはいささか不得手です
- ミヌゥ: お姉さま方のような
- ミヌゥ: 戦闘向きの力は あまりないようですわ
- コルボー: 心配するな、ミヌゥ それは私の仕事なんだろう
- コルボー: もっと、いま以上に強くなって ふたりを守ってみせる
- コルボー: ラピヌお姉さまもミヌゥも 戦わずに済むくらいにな
- ミヌゥ: ………… …………
- ミヌゥ: (『ふたりを守ってみせる』 ですか…)
- ミヌゥ: …………
- ミヌゥ: …本当に、頼もしいですわ コルボーお姉さま
- ミヌゥ: (…そう、私はそんな風にして 魔法少女になったのでしたわね)
- ミヌゥ: (おかげで、こうして お母さまと心がつながった…)
- ミヌゥ: (予言を伝えたあの侍女には 感謝しないといけませんわね)
- ミヌゥ: まだまだ 楽しませていただけそうね
- 340243-1
- ミヌゥ: …………
- ラピヌ: ミヌゥ~?
- ラピヌ: ミヌゥ、どうしたの?
- ミヌゥ: …………!
- ミヌゥ: 申し訳ありません
- ミヌゥ: なにやら 胸がざわつく感じがしまして…
- ミヌゥ: ――っ!?
- ミヌゥ: お母さま!
- ラピヌ: ちょっと、ミヌゥ!
- コルボー: お母さまに 何かあったようです!
- イザボー: ………… …………
- ミヌゥ: お母さま…!
- ミヌゥ: そのご様子… 何か不快なことでも…?
- ミヌゥ: (間違いない… 何かを感じていらっしゃる)
- ミヌゥ: どうか、私に お聞かせくださいませ
- イザボー: …忌まわしき……光…芽吹く…
- イザボー: …………
- イザボー: …ドンレミ…
- ミヌゥ: …ドンレミ…? 確か…東にある辺境の地名…
- ミヌゥ: 忌まわしい光…
- ミヌゥ: 我らの敵となる者が そこで芽吹こうとしている…?
- ミヌゥ: …お母さま、ご安心ください
- ミヌゥ: 必ずや、その“光”… 芽を出す前に潰してみせましょう
- イザボー: ………… …………
- ラピヌ: えっ、いまから行く気!?
- コルボー: 私も行こう
- ミヌゥ: ご心配は無用
- ミヌゥ: グリーフシードを 置いてくるだけです
- ミヌゥ: コルボーお姉さまのお手を わずらわせるまでもありません
- ミヌゥ: では…
- 340243-2
- <フランス、ドンレミ村近郊>
- ミヌゥ: …………
- ミヌゥ: (ドンレミ村…)
- ミヌゥ: (ブルゴーニュ派が 優勢な地域にありながら)
- ミヌゥ: (反抗を続ける目障りな集落…)
- ミヌゥ: (周辺も一枚岩とは言えない 土地柄でしたわね)
- ミヌゥ: (ドンレミから芽吹く 忌まわしき光とは…?)
- ミヌゥ: 『フランスはひとりの女によって滅び ひとりの少女によって救われる』
- ミヌゥ: (まさか…)
- ミヌゥ: (ここから魔法少女が?)
- ミヌゥ: (いえ…魔法少女であれば)
- ミヌゥ: (お母さまを 脅かすことはできない…)
- ミヌゥ: なんにせよ…
- ミヌゥ: 早めに潰しておくに 越したことはないはず…
- ミヌゥ: ふぅ…
- ミヌゥ: これで、完了ですわね
- ミヌゥ: (軍を展開する時間はなく)
- ミヌゥ: (魔女だけで 村を壊滅させるのは難しい)
- ミヌゥ: (だから魔女を使って 直接村を襲わせるよりは)
- ミヌゥ: (周辺に位置する友軍が 滞りなく進軍できるよう)
- ミヌゥ: (周辺の村落を 攪乱しておく方が上策…)
- ミヌゥ: (グリーフシードをいくつか 置いてくるだけで)
- ミヌゥ: (それが叶うのですから)
- ミヌゥ: (最も迅速で 効果的な方法ですわ)
- ミヌゥ: (ドンレミ村は友軍の 直接の進路ではないはずですが)
- ミヌゥ: (傭兵崩れの夜盗団あたりが)
- ミヌゥ: (機を逃さずに 襲撃をかけることでしょう)
- ミヌゥ: それでは… 帰還いたしましょう
- 340243-3
- <後日…>
- ミヌゥ: …ドンレミ周辺の様子は その後、どうなっていますか?
- ハッ!
- 我が軍の進軍に伴って 生じた間隙を突いて…
- 夜盗団同然の連中が 略奪行為を画策しているようです
- 我々に盾突くドンレミ村が 襲撃に遭うのも時間の問題かと…
- ミヌゥ: よろしい 報告ご苦労でした
- ミヌゥ: (計画通りのようね…)
- イザボー: ………… …………
- ミヌゥ: お母さま…
- ミヌゥ: (あまり…ご気分が 優れない様子)
- ミヌゥ: (“芽”は潰したはずなのに… 何故?)
- ミヌゥ: …………?
- イザボー: …忌まわしき…光…
- イザボー: …我が……破滅の…導…
- イザボー: …光…あああああっ…!!
- ミヌゥ: ――っ!?
- ミヌゥ: お母さま…!?
- ミヌゥ: お母さまっ…!!
- ラピヌ: どうしたの!?
- コルボー: いったい、何が…!
- ミヌゥ: お母さまっ…! 何があったのです?
- ミヌゥ: ――っ!?
- ミヌゥ: (…この… 不快な…光は…?)
- 340243-4
- <フランス、ドンレミ村>
- タルト: リズさん…
- タルト: カトリーヌが… 私を守ろうとして…
- タルト: 私…お姉ちゃんなのに…
- リズ・ホークウッド: …………
- リズ・ホークウッド: 間に合わなくて …ごめんなさい
- タルト: ―タルト― 天使様
- タルト: ―タルト― 私…決めました
- タルト: ―タルト― 同じような悲劇を もう誰にもあわせたくありません
- タルト: ―タルト― だから私… 魔法少女になる
- キューブ: ―キューブ― そうか、タルト… キミは何を望むんだい?
- タルト: ―タルト― フランスに 光をもたらす力を!
- リズ・ホークウッド: ――っ!?
- リズ・ホークウッド: 空いっぱいに 光が降り注いで…!
- キューブ: タルトはまさしく
- キューブ: この国の暗雲を打ち払う 希望の光だね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …………
- エリザ・ツェリスカ: ――っ!?
- エリザ・ツェリスカ: (あの光… フランス王国の方で…何かが?)
- コルボー: お母さまは…?
- ミヌゥ: 今は、静かにお休みですわ
- ラピヌ: 何があったの…?
- ミヌゥ: …わかりません ただ
- ミヌゥ: 破滅を招く光… …忌まわしき光が…
- ミヌゥ: 東の地で芽吹いた…
- ミヌゥ: そのような内容を 繰り返し、口にしておられます
- ラピヌ: 何日か前に 言ってたやつー?
- コルボー: まるで予言だな
- コルボー: 不吉な何かを感じておられる… ということか?
- ミヌゥ: ええ…
- ミヌゥ: 未然に 防いだつもりだったのですが…
- ミヌゥ: ………… …………
- ラピヌ: 大丈夫だよ、ミヌゥ!
- ラピヌ: まだ、悪いことが 起きたわけじゃないんだから!
- コルボー: 心配するなミヌゥ、もしもそれが 実体のある脅威だとしても
- コルボー: この手で私がすり潰してやるさ
- ミヌゥ: …………
- ミヌゥ: (…確かに)
- ミヌゥ: (…何も失われてはいないし 何も終わってはいない)
- ミヌゥ: (お姉さま方には 何者にも負けぬだけの力があり)
- ミヌゥ: (私には、母を守るという 願いが…そして意志がある)
- ミヌゥ: (何より、神に最も近い 存在であるお母さまを)
- ミヌゥ: (止められるものなど ありはしない)
- ミヌゥ: …………
- ミヌゥ: …そうですわね 頼りにしておりますわ
- ミヌゥ: ラピヌお姉さま コルボーお姉さま
- ミヌゥ: では、ここからが第2幕…
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