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Dec 4th, 2019
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  1. 漂流する日本の医療研究開発
  2. 第3回 次期戦略は5プロなのか6プロなのか、いやそもそもそれは政策なのか
  3. 2019年11月24日
  4.  
  5. 健康・医療戦略の策定から5年、改訂の時期を迎えている。
  6. 新しい戦略では何を目指すのか。司令塔としての健康・医療戦略室の見識が示されよう。
  7.  
  8. 次期戦略は、健康・医療戦略推進本部の参与会合や専門調査会で議論されている。
  9. 11月15日の参与会合での健康・医療戦略室の説明を振り返ってみよう。HPにアップされている資料1-1に主な変更ポイントが示されている。「基本方針」とある通り、重要な変更ポイントであるが、そこには「モダリティ等を軸とした統合プロジェクトの推進」とある。
  10. 「疾患を限定しないモダリティ等の統合プロジェクトに集約することにより、新たな医療技術等を様々な疾患に効果的に展開する。」そうだ。
  11.  
  12. 「3.具体的施策」には、より詳細な記述がある。
  13. 「統合プロジェクトを、モダリティ等に基づき、①医薬品プロジェクト、②医療機器・ヘルスケアプロジェクト、③再生・細胞・遺伝子治療プロジェクト、④ゲノム・データ基盤プロジェクト、⑤研究開発基礎基盤プロジェクトの5つと定める。」とある。
  14.  
  15. 現行の9つの統合プロジェクトは、5つの横断型と4つの疾患領域対応型(がん、精神・神経疾患、感染症、難病)で推進されている。文科省、厚労省、経産省、そして総務省の補助金事業がAMEDを通じて研究現場にファンディングされているが、この9プロジェクトが5プロジェクトに再編されるというわけだ。
  16.  
  17. この間、健康・医療戦略室が、何を目指しているのか見えないという声が関係省でもAMEDでもよく聞かれた。アカデミアからも同様だ。9プロに課題があることは否定しない。しかし、統合プロジェクトの再編について、関係省もなぜ5プロなのか、きちんと説明されていないと口をそろえる。
  18.  
  19. 11月5日の専門調査会でも、次期戦略、次期推進計画が議論はされた。なぜ5つのプロジェクトなのか、現状の課題分析とその課題解決の方向性は本来論理的につながっているはずだが、そうなっていないのではないかと疑義を呈する声もあったが、大勢にはならず、永井座長の「試行錯誤しながら解を見出していく」というとりまとめで収まった。
  20.  
  21. この統合プロジェクト再編を主導した大坪次長は、変更の最大の理由に9プロ体制は重複が多いことを挙げる。また、疾患領域にとらわれすぎているということから疾患ごとのプロジェクトは立てないというのだが、疾患対策は重要であり、そのための新たな治療薬・治療法の開発を加速していかねばならないのではないだろうか。プロジェクトを立てないことが取り組まないことを意味するわけではないが、具体的にどう取り組んでいくのか。特に厚労省や政治家は疾患対策が弱体化するのではないかという社会や患者さんの懸念にどう応えるのか。
  22.  
  23. そもそも、実行レベルのプロジェクトの再編に終始するのではなく、日本の医療・研究開発の政策レベルの議論が必要だと感じるが、どうも本当の政策は置き去りにされているように思われる。それは思い過ごしだろうか。
  24.  
  25. さらにここにきて、状況は混迷を深めてきた。5プロジェクトではなく、6プロジェクトに再編するというのだ。これまでの参与会合、専門調査会の議論はなんだったのか。これらの有識者会議は「アリバイ作り」であって、意思決定のプロセスではないのか。有識者とされる委員達自身も何のために議論をしているのか、という思いに捉われないのだろうか。
  26.  
  27. 上記参与会合の開催は11月15日だが、5プロへの再編を前提に議論された。その前日、6プロへの再編について各省へ検討依頼を出している。しかし、参与会合ではそのことは全く説明されていないのだ。この事実を知れば、委員は馬鹿にされていると怒らないだろうか。
  28.  
  29. しかも5プロではなく6プロにする理由が、次期戦略、次期推進計画の設計思想、哲学を見事に示している。第5の研究開発基礎基盤プロジェクトに整理される事業が多すぎる、プロジェクト予算が大きすぎるから分割せよ、というのだ。そこには課題解決や医療研究開発の高度化や深化、進化という方向性が存在しない。整理学しかないのである。そもそも、第5のプロジェクトに多くの事業や予算が集約されていることは夏の段階でわかっていたことだ。
  30.  
  31. ここで重要な事実を指摘しておきたい。この方針変更がどこで決まったのか。大坪次長が主導した第5プロジェクトの分割案を和泉補佐官に相談し、そこで決まったのである。これを聞かされた健康・医療戦略室内部も大混乱を来したものの、室長たる和泉補佐官の指示として健康・医療戦略室から各省に投げられたのだ。
  32.  
  33. 基本方針の変更が、参与会合や専門調査会の議論を無視して行われている。それは議論するに値しない、些細で些末な変更点だからだとでもいうのか、それとも重要なことは補佐官と大坪次長で決める、ということなのか。
  34.  
  35. 日本の医療研究開発が歪められている。
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