Vi_Vi

San Kagura MSS JP Text

Nov 12th, 2021 (edited)
98
0
Never
Not a member of Pastebin yet? Sign Up, it unlocks many cool features!
text 44.20 KB | None | 0 0
  1. FILENAME: text_310311-1.txt
  2. <宝崎市・光塚青年会>
  3. おい、提灯は どこにしまってある?
  4. 倉庫じゃねえの? よく見ろよ
  5. なかったから聞いてんだろ!
  6. 燦: …また喧嘩してるの?
  7. 燦ちゃん!
  8. 燦: 提灯は倉庫から出して
  9. 燦: 修理するものとしないものに 分けて、別室に置いてあるわ
  10. なんだ もうやってくれてたのか
  11. 燦ちゃんは気が利くなぁ うちの嫁に来てほしいくらいだよ
  12. 燦: そういうの、今の時代は セクハラなんだからね!
  13. おー、怖い怖い
  14. こっちは燦ちゃんがベソかいてる ころから知ってるってのに
  15. 燦: やめてよ 私だって大人になったの!
  16. 燦: いつまでも子ども扱いしないで
  17. タツ: 俺たちにとっちゃ 燦は妹みたいなもんだからなぁ
  18. 燦: 妹扱いされてるのは 青年会でだけよ
  19. ミユリ: そうです、そうです!
  20. ミユリ: 青年会以外では
  21. ミユリ: 燦様はクールで冷静だって 評判なんですから!
  22. タツ: それ、別人なんじゃねえの?
  23. 燦: もうっ…無駄話はいいから、 みんな作業に戻って!
  24. 燦: 火祭りも近づいてるんだから!
  25. へいへい
  26. タツ: 燦はずいぶん しっかり者になっちまったなー
  27. 燦: タツ兄たちが雑だからよ
  28. タツ: ははは! そうかもな
  29. 会長の声: 戻ったぞ…
  30. あ、会長!
  31. 燦: お疲れさま
  32. 燦: …どうしたの? すごく疲れてるけど…
  33. 会長: いや、なぁ…
  34. 会長: 光塚青年会が反社と繋がってる なんて噂を流されちまってな…
  35. 燦: え…!
  36. 会長: 誰も信じないと思って タカをくくってたが
  37. 会長: 大口のスポンサーが火祭りの 協賛を降りるって言い始めてよ…
  38. 会長: 根も葉もない噂だって訴えたが 取り付くシマもなくてなぁ…
  39. 燦: 私たちは潔白なのに…!
  40. ミユリ: もしかして、もしかして!
  41. ミユリ: ミユのお父さんの会社も 協賛を降りちゃったんですか…?
  42. 会長: 遊狩さんは大丈夫だ
  43. 会長: 電話で説明させてもらったが 理解してくれてるみたいだったよ
  44. ミユリ: よ、良かったですぅ…
  45. でも、大口の協賛が減ったんじゃ 資金が足りないわよね…
  46. 来年どころか、今年の火祭りも できるか怪しいんじゃない…?
  47. 燦: …………
  48. 会長: …まだツテはあるしな 協賛を募ってみるよ
  49. 燦: お願いね、会長…
  50. タツ: そんなに心配しなくたって 大丈夫だろ
  51. タツ: 前に火祭り廃止が騒がれたときも 何とかなったしさ
  52. ミユリ: そうなんですかぁ…?
  53. 燦: ちょっと楽観的すぎない?
  54. ミユリ: ――っ!?
  55. タツ: カリカリすんなよ
  56. タツ: 伝統ある火祭りを資金難なんかで 潰させたりしないっての
  57. タツ: 兄ちゃんたちに任せとけよ
  58. 燦: じゃあ何をしてくれるの?
  59. タツ: そりゃこれから決めるよ
  60. 燦: お願いだから もっとちゃんと考えてよ…!
  61. 燦: (あのときみたいな奇跡は もう起きないのに…!)
  62. 会長: まぁ落ち着いてくれ
  63. 会長: 心配かけて悪いが… 資金は俺がなんとかする
  64. 会長: だからみんなには 火祭りの準備を進めてほしい
  65. タツ: …会長がこう言ってくれてんだ 俺たちは準備に戻るぞ!
  66. みんな: 「おう!」
  67. 燦: …………
  68. ミユリ: あの…燦様、すみません… ミユ、考えが甘かったですぅ…
  69. 燦: …ねぇ、ミユ 少し時間をちょうだい
  70. 燦: あなたに話しておきたいことが あるの
  71.  
  72. FILENAME: text_310311-2.txt
  73. 燦: …ここまで来れば、みんなには 聞かれないわね
  74. ミユリ: 他の人には聞かれたくない 燦様の秘密…!
  75. ミユリ: ミ、ミユがそんなすごいものを 聞いていいんでしょうか…!?
  76. 燦: ミユだから話すのよ
  77. ミユリ: な、なな…なんでしょう!? ミユが特別扱いされるなんて…!
  78. ミユリ: ミユは燦様のおそばにいられて
  79. ミユリ: そのおみ足を見られるだけで 十分ですのにぃ…!
  80. 燦: …何を勘違いしてるの?
  81. 燦: ミユは青年会の学生部に 所属してるんだから
  82. 燦: 昔起きた、火祭りをめぐる 騒動について話すのは当然でしょ
  83. ミユリ: へっ?
  84. ミユリ: す、すみましぇん…
  85. ミユリ: ミユ、てっきり燦様の秘密を 聞かせてもらえるのかと…!
  86. 燦: …それと関係ある話よ
  87. 燦: 魔法少女で、マギウスの翼だった ミユになら話してもいいわ
  88. ミユリ: えっとえっと…もしかして 燦様の願いが絡んでるとか…?
  89. 燦: その通りよ
  90. 燦: 私の願いには 青年会と火祭りが関係してる
  91. 燦: だから、すべてを語るにはまず…
  92. 燦: 私が青年会に参加した きっかけから話さないとね
  93. 燦: 「私、小学生のときまでは とにかく怖がりで 引っ込み思案だったの」
  94. 燦: 「あるとき、両親が 光塚神社と光塚青年会が主催する火祭りに 連れて行ってくれたんだけど」
  95. 燦: 「初めて見た火祭りの大きな炎も 大人たちの大きな掛け声もすごく怖くてね…」
  96. 燦: 火が…こんな近くに…!?
  97. 燦: うぅっ…うわぁぁん…!
  98. 燦: 怖いよぉ…! おかあさぁん…!
  99. 燦: …ぐすっ…もう帰るぅ…!
  100. タツ: これからが本番だってのに 見ないんじゃ損だぞ、嬢ちゃん
  101. 燦: え…?
  102. タツ: ここにいる青年会のヤツらには 炎の中に神さんが見えててさ
  103. タツ: まずはあの火の中に飛び込んで 神さんを連れ出すんだぜ
  104. タツ: ほら、怖がんないでさ 見てみなよ
  105. 燦: …………
  106. 燦: ―燦― あ…
  107. 燦: ―燦― 火…怖くない… きれい…!
  108. 燦: ―燦― それに、みんなすごい… 格好いい…!
  109. タツ: ―タツ― ハハッ、だろ?
  110. タツ: ―タツ― どうだ 嬢ちゃんには神さんは見えたか?
  111. 燦: ―燦― …うん 見えた気がする…!
  112. タツ: ―タツ― こんな俺にも見えるんだ 嬢ちゃんにも神さんが見えるのは当然だよな
  113. タツ: ―タツ― 来年は一緒に、踊って騒いで 神さんをもてなそうぜ
  114. ミユリ: 青年会のみんなは 普段、あんなに荒々しいのに
  115. ミユリ: 小さかった燦様に優しくした なんて意外ですぅ
  116. 燦: みんな、下町気質だから 荒々しくなりがちなのよね
  117. 燦: 最初はちょっと怖かったけど…
  118. 燦: みんなの格好良さに憧れて 青年会の学生部に参加してね
  119. 燦: 一生懸命話しかけているうちに
  120. 燦: 気がついたら 怖がりを克服できていたのよ
  121. ミユリ: では、では!
  122. ミユリ: いまの燦様があるのは 青年会に入ったからなんですね!
  123. 燦: ええ、そうよ
  124. 燦: 火祭りの演舞と和楽器の演奏に 打ち込むようになったのも
  125. 燦: みんなに憧れたからだし…
  126. 燦: ただ… 私が中学生になったころから
  127. 燦: 世間で、火祭りが槍玉に 挙げられることが多くなったの…
  128. ミユリ: な、なぜですか…!?
  129. 燦: 火の中に飛び込む祭りなんて 野蛮で危険だから、って…
  130. 燦: それに…うちの連中は荒っぽくて たまに喧嘩騒ぎも起こしてたし…
  131. ミユリ: 喧嘩っていっても、仲間内で 揉めてただけじゃないんですか?
  132. 燦: そんなこと、 外部の人間にはわからないでしょ
  133. 燦: 祭りも、関わってる人間も危険だ って偏見は強くなっていって…
  134. 燦: ついに火祭りの廃止運動が 始まったの
  135.  
  136. FILENAME: text_310311-3.txt
  137. 燦: 火祭りの廃止運動は 激しくなっていって
  138. 燦: 私たち青年会は集まって 話し合ったわ
  139. 燦: そもそも火祭りは
  140. 燦: 火に飛び込んで ご神体を取り出すお祭りなのに…
  141. タツ: 火に飛び込ませるのは虐待 なんて言われちゃあ
  142. タツ: たまったもんじゃねえよ
  143. 廃止運動に関わってるヤツら…
  144. あることないこと 吹聴して回りやがって…
  145. 会長: 未成年の飲酒、 不法な賭博、あとは恐喝か…
  146. 会長: 別の連中がやったことが全部 青年会のせいにされてるな
  147. 燦: …どうしよう、会長…
  148. 燦: このままじゃ火祭りが やめさせられちゃう…
  149. 会長: そう心配するな
  150. 会長: こういう逆境こそ 俺たち青年会が団結するときだ
  151. 会長: なぁ、お前ら!
  152. タツ: おう! 俺たちの潔白を見せてやろうぜ
  153. タツ: 火祭りの神さんと 光塚青年会の名誉にかけてな
  154. みんな: 「おーーーー!!!!」
  155. 燦: …………!
  156. 燦: 私たちは私たちらしく 廃止運動に抗議したの
  157. ミユリ: みんな、やるときは やるんですねぇ…!
  158. 燦: ふふ、そうよ
  159. 燦: でも、廃止運動の主軸に 宝崎市の有力者が加わって…
  160. 燦: 青年会は 劣勢になっていった…
  161. ミユリ: なんと、なんと…! ほほ、他に対抗策は…!?
  162. 燦: …もうなかったわ やれることは全部やったもの
  163. 燦: このままじゃ火祭りは廃止で
  164. 燦: その煽りを受けて、青年会も 解散させられるかもしれない…
  165. 燦: そう思うと毎日不安でね ある日、夢を見たの…
  166. 会長: ―会長― 助けてくれ…燦…!!
  167. 燦ちゃん…!!
  168. 燦: ―燦― みんな…!? どうして…早く火から逃げてッ!!
  169. タツ: ―タツ― まだダメだ…! 神さんをここから連れ出さねえと…!
  170. 燦: ―燦― うっ…ゲホゲホ…! やだ…お兄ちゃん…!!
  171. タツ: 「お願いだ、燦…! 火祭りだけは…」
  172. タツ: 「神さんの居場所だけは 守ってやってくれ…!!」
  173. ミユリ: …………
  174. 燦: …ここまで話せば ミユにも想像がつくかしら?
  175. ミユリ: 燦様は…火祭りを守ったんですね 魔法少女になることで…
  176. 燦: そう…
  177. 燦: キュゥべえには、 『火祭りを残して』って願ったわ
  178. 燦: それからすぐに 火祭りの廃止運動は消滅したの
  179. ミユリ: でもでも、おかしいですぅ…!
  180. ミユリ: 燦様がそう願ったのなら
  181. ミユリ: なぜまた青年会の悪い噂が立って スポンサーもいなくなって…
  182. ミユリ: 火祭りがピンチに なってるんですか!?
  183. 燦: 私は当時のピンチを切り抜ける ことだけを考えてた
  184. 燦: 「火祭りがずっと続いてほしい」 って願ったわけじゃなかったから
  185. 燦: いまの状況も不思議ではないわ
  186. ミユリ: そんなぁ…
  187. ミユリ: 燦様はすべてを賭けて 火祭りを守ったのに…
  188. 燦: …それでも、最大のピンチからは 火祭りを救うことができた
  189. 燦: 私はそれで十分よ
  190. ミユリ: では、では!ミユたちはこれから どうすればいいんでしょうか!?
  191. 燦: 火祭りや青年会への偏見は 私たちが変えていくしかない…
  192. 燦: 今回の資金繰りのこともね…
  193.  
  194. FILENAME: text_310311-4.txt
  195. ミユリ: でもでも、どうしたら火祭りの 資金を集められるんでしょう…
  196. 燦: 私も、具体的なことは まだ何も思いついてないの…
  197. 燦: ただ、資金とは別に… 火祭りに対する
  198. 燦: みんなの根本的な部分も 変えないといけないわ…
  199. ミユリ: え、え、どういうことですか…?
  200. 燦: ミユ、火祭りって何だかわかる?
  201. ミユリ: 何って…光塚神社の 神様を祀るお祭りです!
  202. 燦: じゃあ、神様はいると思う?
  203. ミユリ: え?
  204. ミユリ: うーん… そうですね…
  205. ミユリ: 目には見えないけど、いるのかも って思うときはありますよ
  206. 燦: それはどんなとき…?
  207. ミユリ: 愚問、愚問ですぅ! 火祭りのときに決まってますぅ!
  208. 燦: ――っ!?
  209. ミユリ: 燃えたぎる炎に 豪快に飛び込んで
  210. ミユリ: 青年会のみんなが ご神体を取り出す瞬間…
  211. ミユリ: 気迫と熱気をがーっと感じて
  212. ミユリ: 神様がすぐそこにいるような気に なるんですぅ!
  213. 燦: 私も同じよ…!
  214. ミユリ: 燦様もですか!?
  215. 燦: 火祭りにかけるみんなの情熱が 光塚の神様を呼び起こしてる
  216. 燦: そんな感覚になるわよね…!
  217. ミユリ: はいですぅ!
  218. 燦: でもね、火祭りを批判する人は このことがわからないのよ
  219. ミユリ: えぇっ!?
  220. ミユリ: 一度でも火祭りに来れば わかってもらえそうですがぁ…
  221. 燦: きっと見てもわからないのよ
  222. 燦: 彼らの火祭りに対する 根本的な部分…
  223. 燦: 神様への信仰心が 薄れてしまっているから
  224. 燦: 火祭りをただ危険なものとしか 思えないんだと思うの
  225. ミユリ: そんな、そんな!
  226. ミユリ: それじゃいつまでも火祭りへの 批判が消えないですぅ…!
  227. 燦: ええ… でも、方法はあるはずよ
  228. ミユリ: それはどんな…!?
  229. 燦: 神様を信じないから 火祭りを危険だと批判する…
  230. 燦: それならたとえば… 目に見える神様を連れてきて
  231. 燦: 彼らに信じさせることができれば
  232. 燦: みんなが火祭りの意味に気づけて 祭りを残せるかも…
  233. ミユリ: …………
  234. 燦: …なんてね
  235. ミユリ: すごいです燦様! 名案!ナイスアイデアです!
  236. 燦: ちょっとミユ、冗談よ…
  237. ミユリ: え、そうなんですか?
  238. ミユリ: ミユにはそれしかないって 思えるくらいすごい案なのに…
  239. 燦: だって神様を連れてくるなんて いくら何でも不可能よ…
  240. 燦: それより、もっと現実的な方法を 考えていかないとね
  241. 燦: 直近はひとまず、資金繰りを 解決しないといけないし…
  242. タツの声: …おーい、燦!ミユリ!
  243. 燦: あ…
  244. タツ: こんなとこにいたのか
  245. タツ: そろそろ公民館に戻ってこいよ
  246. タツ: 作業からふたりも抜けてたら 火祭りの準備が進まねえって
  247. 燦: ごめん、タツ兄 もう戻るわ
  248. タツ: おう
  249. タツ: ちょっと作業したら、おやつに ベビームーンを出してやるからさ
  250. 燦: 子どもじゃないんだから もう食べないって言ったでしょ?
  251. タツ: え、昔は好きすぎて 腹壊すほど食べてたのに!?
  252. 燦: もうっ、そういうのいちいち 言わなくていいから…!
  253. 燦: …でも、ありがと…
  254. 燦: もう… すぐ子ども扱いするんだから…
  255.  
  256. FILENAME: text_310312-1.txt
  257. 燦: ふぅ…
  258. 燦: ミユ、だいぶいい動きに なってきたじゃない
  259. ミユリ: あ、ありがとうございますぅ…!
  260. 燦: でも、もっと磨きをかけるわよ
  261. 燦: 神様をもてなす演舞にしては まだまだ動きが硬いからね
  262. ミユリ: うぅ…ミユ、燦様のためにも もっともっと頑張りますぅ…!
  263. タツ: 次、山車の修理だ! 張り切りすぎて怪我すんなよ!
  264. みんな: おう!!
  265. ガンッ!ガンッ!
  266. コンコンコンコンコン!!
  267. カンッ、カンッ、カンッ!
  268. 燦: …っと、演舞の稽古は ここまでにしましょうか
  269. ミユリ: えぇっ? ミユ、まだまだ頑張れますよ!?
  270. 「おーい、そっち支えてくれ!」 「自分やります!」
  271. 燦: 山車の修理が始まったみたいだし
  272. 燦: これじゃ、お囃子のテープも 聞こえないでしょう?
  273. ミユリ: 確かにそうですがぁ…
  274. 燦: こうして準備の音が聞こえるのは 順調な証よ
  275. 燦: 私たちも火祭りのために できることをしましょう
  276. ミユリ: それではミユたちは 何をするんですか…?
  277. 燦: ここは現実的に… 募金活動よ
  278. 燦: 会長は何とかするって 言ってくれたけど
  279. 燦: スポンサーが減って 資金繰りは厳しいままだしね
  280. ミユリ: なるほど、なるほど!
  281. ミユリ: 少しでも寄付を集めて 火祭りを支えるんですね!?
  282. 燦: そういうこと まずは行動していかないとね
  283. ミユリ: はい、燦様!
  284. 燦: 光塚の火祭りを開催するための 募金にご協力をお願いしまーす!
  285. ミユリ: お願いしますぅ!
  286. …………
  287. 燦: …………
  288. ミユリ: 燦様ぁ…2時間経っても 募金が集まらないですぅ…
  289. 燦: 困ったわね… さすがにこの状況は想定外よ…
  290. 燦: (こんなにも 興味を持たれないなんて…)
  291. 燦: (目には見えなくても、 神様を信仰している人は)
  292. 燦: (私が思うより はるかに少ないってことよね…)
  293. 燦: …私たちが神様だったら すぐにでも寄付が集まるのかしら
  294. 燦: なんてね…
  295. ミユリ: ――っ!? そういうことですか!
  296. 燦: ちょっとミユ いまのは冗談だからね?
  297. ミユリ: ありがたいものといえば 燦様のおみ足!
  298. ミユリ: そんな燦様に対して 寄付を募るのはどうでしょうか!
  299. ミユリ: ミユならいくらでもお布施… いえ、寄付しますよ!!
  300. 燦: イヤよ
  301. ミユリ: ですよね…
  302. 燦: …まぁ、私たちに人目を惹く 芸なりカリスマ性でもあれば
  303. 燦: 注目も寄付も 集めやすかったかもね
  304. ミユリ: ミユからすれば、燦様は十分 カリスマ的な存在ですけどぉ…
  305. ミユリ: マギウスくらいの存在となると ちょっと怖いですしぃ…
  306. 燦: あぁ…あの3人は 別格だったわね
  307. 燦: 私はあんな風に トップに立つような柄じゃない…
  308. 燦: 新しい「マギウスの翼」を 再始動させた魔法少女がいる
  309. 燦: って噂も聞くけど
  310. 燦: 灯花様たちのように、組織を 引っ張っていけるとは思えないわ
  311. ミユリ: 確かに…想像つかないですぅ…
  312. 燦: …さて、成果もないし 募金活動は一旦やめましょう
  313. ミユリ: では、では 次はどうしましょう…?
  314. 燦: 光塚神社で祀る神様と火祭りを 知ってもらう活動をしましょう
  315. 燦: たとえ神様への信仰が薄くても 関心を持ってくれさえすれば
  316. 燦: 火祭りは危険なだけじゃないって 理解してもらえると思うから
  317. ミユリ: でもミユ、神様や火祭りについて あんまり知らないですぅ…
  318. 燦: 私も細かい部分までは 理解できてないと思うから
  319. 燦: 本職に教えてもらいましょう
  320.  
  321. FILENAME: text_310312-2.txt
  322. 燦: あ、神主さん!
  323. 燦: わざわざ来てくれて ありがとうございます…
  324. 神主: いや、気にしないでいいよ 会長にも用事があったしなぁ
  325. 神主: それで、ワシに相談したいことが あると聞いたが…
  326. 燦: はい、アドバイスが欲しいんです 実は…
  327. 神主: …あの小さかった燦ちゃんから 恋愛相談を受けるとは…
  328. 神主: 月日が過ぎるのは早いなぁ…
  329. 燦: な…!? 全然違うわよ!
  330. ミユリ: 燦様の話を ちゃんと聞いてほしいですぅ!
  331. 神主: はは、冗談だよ
  332. 神主: それで、本題は…
  333. 燦: 信仰の薄い人でも、火祭りに 関心を持ってもらえるように
  334. 燦: 光塚神社で祀る神様や火祭りの ことを世間に広めたくて…
  335. 燦: 神様のことや火祭りの起源を 改めて教えてほしいんです
  336. 神主: おぉ…! もちろん構わないとも
  337. 神主: 若い子がこんなに熱心に 取り組んでくれてるんだからね
  338. ミユリ: では、では! 今すぐ教えてほしいですぅ!
  339. 神主: 今日はこのあと 用事があるから難しいが…
  340. 神主: 明日、いや明後日はどうかな?
  341. ミユリ: 遅い、遅いですぅ!
  342. 燦: 神主さん、何とかならないの…?
  343. 神主: む、そんなに急ぎなら…
  344. 神主: 「光塚の信仰」という本を 読むといい
  345. 神主: 神社の古い資料や地域の伝承を 読みやすくまとめているし
  346. 神主: 図書館にも置いてあるはずだよ
  347. 燦: ありがとう、神主さん! 探してみます!
  348. 燦: …………
  349. ミユリ: 火祭りの起源について ちゃんと調べたのは初めてですぅ
  350. 燦: 神社の案内板にも 由緒は書いてあるけど
  351. 燦: もっと詳しく書いてあるわね…
  352. ある神社が大火で消失した折 ご神体を抱く少女が、炎の中から無傷で現れた
  353. この少女こそが火の神の御使いであるとした 光塚の民により、光塚神社が建立され 年に一度、神を現世に迎える神事として 火祭りが始められた
  354. ミユリ: え、神社で祀っている神様は 女の子だったんですか!?
  355. 燦: そうみたいね
  356. 燦: …でも気にならない? 伝承がもし本当だとしたら…
  357. 燦: …“炎の中にいても 無傷でいられる”
  358. 燦: そんな力を持つ少女が何者か 私たちは見当がつくわよね?
  359. ミユリ: え…
  360. ミユリ: …………あっ!? 魔法少女…!
  361. ミユリ: それなら、それなら!
  362. ミユリ: 光塚神社の神様は魔法少女だった ってことですか…!?
  363. 燦: 大昔、火祭りが始まったころは
  364. 燦: 人間が魔法少女を神として崇めて 導いてもらっていたのかもね
  365. ミユリ: …あれ、そういう話 どこかで聞いた気がします…
  366. 燦: どういう意味…? …あっ!
  367. 灯花: 「わたくしたち魔法少女は 人類の進化の最先端にいる つまり、選ばれた存在って 考えることもできるんだよー」
  368. 灯花: 「人間社会と文明の発展に貢献してきた わたくしたち、魔法少女が人類を導けば もーっと高度な文明を築けるし わたくしたちの存在価値も高められるよー」
  369. 燦: 灯花様が話してた… “魔法少女至上主義”…!?
  370. 燦: かつてこの地域で
  371. 燦: 魔法少女を神様として 受け入れていた時代があった…
  372. 燦: それなら…そうよ…!
  373. 燦: 魔法少女なら 目に見える神様になれる…!
  374. ミユリ: へっ…どういうことですか?
  375. 燦: 神様に成り代われる存在が ここにいるということよ
  376. ミユリ: …あ! 燦様が神様になるんですね…!?
  377. 燦: そうよ、ミユ 私が目に見える神様になれば
  378. 燦: 光塚神社の信仰を取り戻せるし 火祭りも存続させられるわ
  379. ミユリ: 名案、名案ですぅ!
  380. 燦: そのためにも…私たちで 魔法少女至上主義を広めて
  381. 燦: 火祭りを絶対に守りましょう
  382. ミユリ: はいですぅ!
  383. ミユリ: …あ、でもでも燦様!
  384. ミユリ: どうやって魔法少女至上主義を 広めればいいんでしょうか…?
  385. 燦: そうね… 私たちだけじゃ難しいし…
  386. 燦: …例の新しいマギウスの翼と 接触してみましょう
  387.  
  388. FILENAME: text_310312-3.txt
  389. 燦: …………
  390. 時雨: …………
  391. ミユリ: なんとなんと!
  392. ミユリ: 新しいマギウスの翼のリーダーが 宮尾と安積だったとは!
  393. 時雨: …ごめんなさい…
  394. 燦: なんで謝るのよ
  395. 時雨: だって… 期待外れでしょ…?
  396. 燦: …否定はしないわ
  397. 時雨: やっぱり…
  398. 燦: でも、意外だった
  399. 燦: マギウスの翼時代の あなたたちを知っているから
  400. 燦: 中心になって積極的に活動する とは思えなかったし
  401. はぐむ: わ、私たちも向いてないのは わかってるんです…
  402. はぐむ: でも…魔法少女至上主義は 私たちの希望だから…
  403. はぐむ: 諦めたく…ないんです…
  404. 時雨: だからぼくたち… 作ったんだよ…
  405. 時雨: 新しいマギウスの翼… “ネオマギウス”を…
  406. 燦: …………
  407. 燦: (魔法少女至上主義への想いは 本気みたいね)
  408. 燦: 他に仲間はいるの?
  409. はぐむ: あ、はい…たくさん 集まってくれたんですけど…
  410. はぐむ: 灯花様とねむ様を迎えるまで
  411. はぐむ: 私たちだけでみんなを 引っ張れるか、不安で…
  412. 燦: まぁ、そうでしょうね…
  413. 燦: (…私と話すくらいで 震えてるようじゃ、ね…)
  414. 時雨: だから、教官…
  415. 時雨: ネオマギウスとして… 一緒に活動してほしい…
  416. 燦: …………
  417. はぐむ: 教官は強いし… 私たちより頭もいいし…
  418. はぐむ: みんなをもっとうまく 引っ張れると思うんです…
  419. ミユリ: なるほどなるほど!
  420. ミユリ: 安積たちも燦様の素晴らしさを 理解できてるようですね!
  421. ミユリ: どうしますか、燦様?
  422. 燦: …………
  423. 燦: 私じゃネオマギウスの ブレインにはなれないわ
  424. 時雨&ミユリ: え…!?
  425. はぐむ: で、でも…
  426. はぐむ: 教官も魔法少女至上主義を 広めたいんですよね…!?
  427. 燦: 私にはマギウスみたいな カリスマ性も信念もない
  428. 燦: 引っ張ることなんかできないし せいぜい補佐役といったところね
  429. はぐむ: あわわ… 教官に断られるなんて…!
  430. 時雨: どうしよう… 他に当てもないのに…
  431. 燦: あのマギウスですら 実現できなかった計画なんだから
  432. 燦: 中途半端に活動しても 無駄骨に終わるだけ
  433. 燦: それがわかっていて 参加するわけがないわ
  434. 時雨: …ぼくたちは… 中途半端なんかじゃない…
  435. ピロン♪
  436. 燦: (ん…私のスマホ? メッセージが来てる…)
  437. 燦: ――っ!?
  438. はぐむ: あの…教官… どうかしたんですか…?
  439. ミユリ: 燦様…?
  440. 燦: タツ兄が暴力事件に 巻き込まれたって…!
  441. ミユリ: え、え…!?
  442. 燦: 今すぐ公民館に戻るわよ!
  443. 時雨: ま、待って…! ぼくたちの話は…?
  444. 燦: 悪いけど、今度また改めて聞くわ
  445. 時雨: え… 今度って…
  446. 燦: 新しいリーダーが見つかったら 教えなさい
  447. 燦: ネオマギウスへの参加は そのときに改めて考えるから
  448. 時雨: あ…
  449. はぐむ: 行っちゃった…
  450.  
  451. FILENAME: text_310312-4.txt
  452. 燦: 会長…!
  453. 会長: おぉ、ふたりとも来たか
  454. ミユリ: タツさんは大丈夫なんですか!?
  455. 会長: いまは病院にいるが 怪我は大したことないそうだ
  456. 燦: 良かった…
  457. 光塚青年会だからって 絡まれるのなんざ日常茶飯事だ
  458. 放っておきゃよかったのによ…!
  459. 会長: あぁ…難癖をつけられたからって 喧嘩を買っちまうなんてなぁ
  460. 燦: それって…大丈夫なの…!?
  461. 新聞記者も来てたよ 記事にでもされたらマズいよな…
  462. 燦: そんな…
  463. これじゃあ他のスポンサーも 降りちまうかもな…
  464. 会長: 実はもう、スポンサーから いくつか問い合わせが来てる…
  465. マジかよ…!
  466. どうすんだよ、会長…!
  467. 会長: …………
  468. 燦: (魔法少女至上主義を広めれば 火祭りを守れるのに)
  469. 燦: (これじゃその前に 火祭りがなくなっちゃう…!)
  470. ミユリ: さ、燦様ぁ…!
  471. ミユリ: 宮尾たちの活動が成功する前に 火祭りがなくなっちゃいますぅ!
  472. 燦: いいえ…! 絶対にそうはさせないわ…!
  473. ミユリ: でも、でも! 方法がないですよぅ…!
  474. 燦: …………
  475. 燦: 今は、今年の火祭りのことだけを 考えるのよ
  476. ミユリ: …え?
  477. 燦: 火祭りは今年で最後って ことにして
  478. 燦: ミユのお父さんに
  479. 燦: 今年だけは協賛を打ち切らないで ほしいって頼みましょう
  480. 燦: そうすれば 来年までは猶予ができるわ
  481. ミユリ: えぇっ?でも来年は どうするんですかぁ…!?
  482. 燦: 来年までに 魔法少女至上主義を広めれば
  483. 燦: 火祭りは続けられるわ…!
  484. 燦: …会長
  485. 会長: どうした…?
  486. 燦: いまからミユのお父さんに 会いに行きましょう
  487. 燦: 協賛を打ち切らないでほしいって 交渉するの
  488. ミユリ: …み、ミユも行きますぅ…!
  489. 会長: 交渉って言っても こっちには取引材料はないが…
  490. 燦: 無茶かもしれないけど… 考えがあるの…!
  491. 燦: (火祭りを残すには こうするしかない…)
  492. 会長: 夜分に押しかけてすみません
  493. ミユリの父: ええ…それで、話というのは 火祭りの協賛についてですね?
  494. 会長: はい…
  495. 燦: お願いです、協賛を 続けてもらえませんか
  496. ミユリ: お父さん、お父さん!お願い!
  497. ミユリの父: ミユもお世話になっているし そうしてあげたいが…
  498. ミユリの父: 今回みたいな事件を 起こされるとね…
  499. 燦: 来年は協賛を打ち切られても 構いません…!
  500. 燦: だから今年だけは… 協賛を続けてほしいんです…!
  501. 会長: ――っ!?
  502. 燦: 来年の火祭りの協賛は
  503. 燦: 青年会のみんなで信頼を回復して またイチから集めるつもりです
  504. 燦: だからお願いです…!
  505. 燦: 今年だけは…! 火祭りをやらせてください…!
  506. ミユリの父: ちょ…燦ちゃん! 土下座なんかやめてくれ…!
  507. 会長: お願いします、遊狩さん…!
  508. 会長: どうか今年だけでも 若い者の火を消さんでくれ…!
  509. ミユリ: お父さん…お願いだからぁ…!
  510. ミユリの父: …………
  511. ミユリの父: …わかりました
  512. ミユリの父: 今年で協賛は最後だと言えば 周りも納得はしてくれるでしょう
  513. 燦: …………!
  514. 燦: ありがとうございます…!
  515. 燦: これでいい…これでいいのよ…
  516. 燦: 来年には魔法少女至上主義を広めて 私が神になる… そうすれば火祭りを残せる…!
  517. 燦: もう奇跡なんかに頼らないわ…!
  518. 燦: 願いの奇跡は一度だけ… あとは自分で何とかしないとね
  519.  
  520. FILENAME: text_310313-1.txt
  521. 燦: ミユのお父さんに 今年の協賛を打ち切らないでほしいって お願いしに行ってから、しばらくが経った
  522. 燦: 青年会のみんなも 今年の火祭りはとことんやりきる覚悟を決めて 少なくなった資金をやりくりしながら 少しずつ、でも順調に準備を進めていた
  523. タツ: ふぅ… ってて、腰が…
  524. 燦: 大丈夫? さすがに働きすぎだよ…
  525. タツ: これくらいなんてことない
  526. タツ: 火祭りの準備が遅れちまってる っていうのに休んでられねえよ
  527. タツ: それに、みんなに迷惑かけた分 俺が頑張んねーとな
  528. 燦: …そうね、タツ兄がキリキリ 作業しないと間に合わないもの
  529. タツ: おぉ、言うなぁ…燦…
  530. 燦: ふふっ、冗談よ
  531. 燦: 本当に体がきつかったら 言っていいんだからね?
  532. タツ: あぁ、ありがとな
  533. タツ: …よし、もうひと踏ん張り やってくるか!
  534. 燦: …やっぱ私もタツ兄を手伝う!
  535. タツ: サンキュ
  536. ピロン♪
  537. 燦: あ、ちょっと待って…
  538. 燦: ――っ!?
  539. 燦: (宮尾から…)
  540. 時雨: ネオマギウスの新しいリーダー 教官に紹介したい… 宝崎市に行ったら 会ってくれる…?
  541. 燦: …………
  542. タツ: どうした? 用事があるなら手伝わなくても…
  543. 燦: …ううん、大丈夫 何でもないから
  544. 燦: (今は火祭りの準備で忙しいし)
  545. 燦: (あっちから出向いてくれるなら 断る理由はないわ…)
  546. ミユリ: 遅い!遅いですぅ!
  547. ミユリ: 宮尾たちは一体どこで 道草食ってるんでしょうか!
  548. 燦: これで新しいリーダーも 期待外れだったら
  549. 燦: 久しぶりにキレてしまうかも しれないわ…
  550. ミユリ: 天罰、天罰! 燦様の砲弾が炸裂ですぅ!
  551. 燦: ん… ようやくご登場ね…
  552. 燦: そっちから呼び出しておいて、 遅刻なのはいけないわね
  553. ミユリ: ですよね、ですよね! 燦様の言う通りだと思いますぅ!
  554. ???: 燦様ってことは あなたがふたりの教官ってわけ?
  555. ???: 神楽燦と遊狩ミユリっしょ?
  556. 燦: ものを頼みに来た人が 急に呼び捨てとはね
  557. ミユリ: 不躾!不躾ですよぅ!
  558. ???: イミフなんだけど★
  559. はぐむ: ちょっと、藍家さん!
  560. ???: 私チャンはここにいる 全員の天辺になりに来たんだから
  561. ???: 頭こすりつけてお願いする必要は どこにもなくない?
  562. ???: っていうか、初対面から 魔力で気圧してくるとか何なの?
  563. 燦: …嫌いじゃない
  564. 燦: 良いの捕まえたわね 宮尾、安積
  565. ミユリ: 燦様は、藍家ひめなを どう思いましたか…?
  566. 燦: 感触は悪くなかったわ
  567. 燦: 天辺になれるかどうかは このあとのお手並み次第だけどね
  568. ミユリ: むぅ…ミユはあの不躾な態度、 好きじゃありません…
  569. 燦: あれくらいじゃなきゃ
  570. 燦: 魔法少女至上主義を掲げる グループなんか引っ張れないし
  571. 燦: ちょうどいいバランスだと 思うわよ
  572. 燦: (藍家ひめなを信頼できるかは テストの結果次第だけど)
  573. 燦: (見込みは十分にある…)
  574. 燦: (このチャンスは逃さない…!)
  575. 燦: …………
  576. ミユリ: 燦様、喜んでます…?
  577. 燦: ふふっ…わかる?
  578. 燦: 魔法少女至上主義を広める 見込みが立てば
  579. 燦: あとは、今年の火祭りを行うだけ
  580. 燦: ようやく希望の道筋が見えてきた って思うと、嬉しくてね…
  581. ミユリ: ですね、ですね!
  582. ミユリ: 燦様が神様になって 火祭りを残せれば
  583. ミユリ: めでたしめでたしです!
  584. 燦: そのためにも、今年の火祭りは 絶対に成功させましょう
  585. ミユリ: はい、燦様!
  586.  
  587. FILENAME: text_310313-2.txt
  588. 燦: ネオマギウスに現れた新しいリーダー 藍家ひめなと、宮尾と安積によって 宝崎で起きていた異変も解決の糸口が見つかった
  589. 燦: 彼女にリーダーの素質があるのは 疑いようがなかったし 私はネオマギウスへの参加をほぼ決めていた
  590. 燦: 火祭りは、今年で一区切りにはなるけれど 魔法少女至上主義を世界中に広めて 私が神になれば、すぐにでも復活させられる
  591. 燦: すべてが驚くほど順調だった
  592. 燦: でも…運命は暗転した
  593. 燦: 火祭りのために頑張っていた青年会のみんなが 魔女に操られて、騒動を起こしてしまったから…
  594. 燦: その魔女を倒すために ミユたちと一緒に戦ったけど ネオマギウスの仲間をひとり失うことになった…
  595. 燦: どうしてこうなったの…? 私はどこで、何を間違えたの…?
  596. はぐむ: 何をしたの…?
  597. 時雨: わ…わからない…
  598. 三輪 みつね: …………
  599. ひめな: みわりん!みわりん!?
  600. 燦: 息はしてるけど 気を失ってるわね…
  601. 燦: 念のため救急車を呼びましょう
  602. ミユリ: では、では! ミユが電話しますぅ!
  603. 燦: 頼んだわ
  604. ~~♪~~♪
  605. 燦: こんなときに誰…!?
  606. 燦: ――っ!?
  607. 燦: タツ兄…
  608. ひめな: 電話、出た方がよくない?
  609. 燦: ええ…
  610. 燦: (魔女は倒したし…みんな、 正気に戻ってるはずだけど…)
  611. 燦: …………
  612. 燦: もしもし、タツ兄?
  613. タツ: 燦…! いまどこにいるんだ…!?
  614. 燦: えっと…タツ兄こそ どこにいるの…?
  615. タツ: ミユリの親父さんの 会社の前だ…!
  616. タツ: でも、俺も会長も 青年会のみんなも記憶がなくて…
  617. タツ: なぁ、俺らが騒動を起こしたって 本当なのか…!?
  618. 燦: あ…
  619. タツ: 俺たち、本当に記憶がないんだ!
  620. タツ: でも、ミユリの親父さん…
  621. タツ: 俺たちが、ここで抗議活動をした って怒っててさ…!
  622. タツ: 今年の協賛も打ち切るって…!
  623. 燦: ――っ!? そんな…なんで…!?
  624. タツ: 俺だってわかんねえよ…!
  625. タツ: 会長も、ミユリの親父さんの 協賛がないんじゃ無理だって…
  626. 燦: …無理って、火祭りのこと…?
  627. 燦: あんなに準備も進めて… やれること全部やってきたよね?
  628. 燦: 火祭り、やれるよね…? 今年だけでも、やれるよね…?
  629. タツ: …………
  630. タツ: 会長は… 今年の火祭りは…中止だって…
  631. 燦: …………
  632. 燦: イヤ… イヤよ、こんなの…!
  633.  
  634. FILENAME: text_310313-3.txt
  635. <数日後>
  636. タツ: …………
  637. …この箱、どこにしまったら いいっすか?
  638. タツ: 倉庫に入れといてくれ
  639. うす…
  640. …………
  641. …………
  642. ミユリ: 燦様…ミユのほうは 片づけが終わりました
  643. 燦: 私もこの楽器を 倉庫に持って行けば終わりよ
  644. ミユリ: …………
  645. 燦: …みんな、辛気臭いわね
  646. ミユリ: え…?
  647. 燦: ま、それもそうよね
  648. 燦: 記憶がないのに騒動を起こした って言われたら混乱するのに
  649. 燦: その上、今年の火祭りも 中止になっちゃったし…
  650. ミユリ: …ずびっ… ぞうでずね…!
  651. 燦: ミユ、こんなの 泣くほどのことじゃないわよ
  652. 燦: 私も聞いたときは 取り乱したけど…
  653. 燦: 火祭りは、今年できないだけで 来年にはすぐ復活させるんだから
  654. ミユリ: ぐすっ…ですね、ですね…! ミユも信じてます…!
  655. 燦: さぁ、さっさと荷物を運んで 中に集合しましょ
  656. 燦: 会長と神主さんから みんなに話があるらしいし
  657. 会長: 撤収、お疲れさん
  658. 会長: こんなことになっちまって 悪かった…
  659. 会長のせいじゃねーよ
  660. 俺たちみんなのせいだ…
  661. タツ: 記憶はねえけどな…
  662. 会長: …そうは言っても、遊狩さんに 抗議してた俺たちの写真もある
  663. 会長: 前に流された根も葉もない噂とは 比較にならん…
  664. 会長: 悔しいが…今回が 火祭りの区切りになる…
  665. 燦: …………
  666. 燦: (でも、来年には復活させる…)
  667. 燦: (いまは沈んでるけど…みんなも きっとすぐに立ち直るはず…!)
  668. 神主: 今後、火祭りが担っていた祭事は
  669. 神主: 境内でのお焚き上げに 形式を変えようと思っとる
  670. 燦: え、どういうこと…?
  671. 会長: 神主さんとも話してな…
  672. 会長: 今後一切、 火祭りは中止することにした
  673. 燦: ――っ!?
  674. ミユリ: な、なな、なぜですか!?
  675. 燦: このまま諦めるっていうの…!?
  676. 燦: ここからもう一度 みんなで団結して頑張ろうよ…!
  677. 会長: そりゃ、伝統ある行事が なくなるのは寂しいけどなぁ…
  678. 神主: 長年、火祭りには反対の声も 多かったからねぇ…
  679. 神主: 山車で騒がしく練り歩いたり 演舞や演奏で賑やかしたりして
  680. 神主: 神様を祀る時代じゃ なくなったんだよ…
  681. 燦: でも…それは神様が見えない人が 増えてきたからでしょ!?
  682. 燦: ここにいるみんなには見えてて
  683. 燦: 神様を信じてるし もてなしたい気持ちがある
  684. 燦: その気持ちを、尊さを もっと光塚に広めましょうよ!
  685. 神主: 燦ちゃん…
  686. もういいって、燦ちゃん
  687. 火祭りは神様を祀って もてなす祭事…なんて建前だ
  688. 結局俺たちが楽しんでるだけだし 外野から見たら煙たいんだろう
  689. 燦: …………何を言ってるの…?
  690. 燦: (青年会のみんなには 神様が見えてて…)
  691. 燦: (もてなそうと 頑張ってるはずで…!)
  692. タツ: …燦、ごめんな…
  693. 燦: なんでタツ兄が謝るの…?
  694. タツ: 昔、言ったこと…
  695. タツ: 今でも燦が信じてくれてる なんて思わなかったからさ…
  696. タツ: …俺たちさ、 神さんなんか見えたことないんだ
  697. 燦: ――っ!?
  698. タツ: ここにいる青年会のヤツらには 炎の中に神さんが見えててさ
  699. タツ: まずはあの火の中に飛び込んで 神さんを連れ出すんだぜ
  700. タツ: ほら、怖がんないでさ 見てみなよ
  701. 燦: ウソ…
  702. 燦: (こんなの…ウソよ…)
  703. タツ: 神さんが見えようが見えまいが 火祭りがなくなるってのは悔しい
  704. タツ: 悔しいが…これで青年会が 解散ってわけでもねえしな
  705. タツ: これからは他の行事で もっと盛り上がっていこうぜ!
  706. だな!
  707. 会長: タツ、お前なんか企画考えとけ
  708. タツ: えぇ~、俺だけっすか?
  709. 会長: とりあえず酒出してくれれば 集まるからよ
  710. みんな: 「ハハハハハ!」
  711. ミユリ: さ、燦様ぁ…
  712. 燦: …………
  713.  
  714. FILENAME: text_310313-4.txt
  715. ひめな: …そんじゃ、そろそろ みわりんの病院に行こっか
  716. ひめな: しぐりんたちも待たせてるし
  717. ミユリ: あ、ミユは戸締まりを 確認してきます!
  718. 燦: ええ、お願い
  719. ひめな: ねぇ教官
  720. ひめな: 教官がそんだけ火祭りに こだわるのってさ
  721. ひめな: やっぱ魔法少女になった願いが 関係してるとか?
  722. 燦: あぁ…そういえば、姫様には ちゃんと話してなかったわね
  723. 燦: 姫様も教えてくれたんだし 私の願いも話すわ
  724. ひめな: え、気を使わなくていいよ? 無理に聞きたいわけじゃないし…
  725. 燦: ううん、姫様に聞いてほしい
  726. 燦: 私の覚悟を知ってほしいの
  727. ひめな: …そういうことなら、わかった★
  728. 燦: ありがと
  729. 燦: …火祭りは、私に色んな経験や 青年会との繋がりをくれたから
  730. 燦: 私にとってはすごく大切なもの…
  731. 燦: だけど、何年か前に 火祭りの廃止運動が起きて…
  732. 燦: 大切なものをなくすかもしれない って、すごく怖かった…
  733. 燦: だから、願ったの 『火祭りを残して』って…
  734. ひめな: そっか…教官にとって 本当に大切なものだったんだね…
  735. 燦: ええ …でも、子どもじみてるわよね
  736. ひめな: 魔法少女なんてみんなそーじゃん
  737. ひめな: それに、譲れないガンコな想いを 持ってる教官だからこそ
  738. ひめな: ネオマギウスのメンバーに 合ってると思うよ、キャハッ★
  739. 燦: …そう…? じゃあ、いいのよね…
  740. 燦: まだこの悔しさは…想いは… 忘れないでいていいのよね…?
  741. ひめな: ――っ!?
  742. 燦: …実は、姫様が来るさっきまで 青年会のみんなで集まってたの
  743. 燦: みんな、昔みたいに団結して
  744. 燦: 火祭りを復活させるために 立ち直ってくれるって思ってた…
  745. 燦: だけど…私の大好きだった 青年会のみんなは幻で…
  746. 燦: 悔しいけど仕方がないからって 火祭りをもう諦めてたのよ…
  747. ひめな: 教官…
  748. ひめな: …………うまく言えないけど 悲しいよね
  749. ひめな: 大切にしてた自分の根っこが なくなっちゃうのはさ…
  750. 燦: …ええ でも…
  751. 燦: こんな現実 すぐに変えてみせるわ
  752. ひめな: ――っ!?
  753. 燦: 私、青年会のみんなのおかげで 覚悟が決まったの
  754. 燦: 魔法少女至上主義を広めて 私が神になって
  755. 燦: 青年会のみんなに見せつけるの …神様はここにいるんだってね
  756. ひめな: …………!
  757. 燦: そして、神である私の望みとして 火祭りを復活させる
  758. 燦: だから… 畏れられても、嫌われてもいい
  759. 燦: どんな手段を取ってでも… 私は現人神になるわ…!
  760. ひめな: …………キャハッ★
  761. ひめな: 説得するんじゃなくて 力で周りを従わせるって考え
  762. ひめな: 私チャンは好きだよ
  763. 燦: 光栄だわ
  764. ひめな: やっぱ私チャンが感じた通り 教官ってヤバみが深いよね★
  765. 燦: 姫様に言われたくないけどね
  766. ひめな: え、言っとくけどコレ 褒めてるからね!?
  767. 燦: そういうことにしておくわ
  768. ミユリ: 燦様、燦様! お待たせしました!
  769. ミユリ: 戸締まりの確認、完了ですぅ!
  770. 燦: ありがとう、ミユ
  771. 燦: それじゃあ姫様 行きましょうか
  772. 燦: (魔法少女至上主義が広まった 新しい世界…)
  773. 燦: (その天辺を目指して…!)
  774. 燦: 何を犠牲にすることになっても… 私は神になる…!
Add Comment
Please, Sign In to add comment