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- FILENAME: text_310311-1.txt
- <宝崎市・光塚青年会>
- おい、提灯は どこにしまってある?
- 倉庫じゃねえの? よく見ろよ
- なかったから聞いてんだろ!
- 燦: …また喧嘩してるの?
- 燦ちゃん!
- 燦: 提灯は倉庫から出して
- 燦: 修理するものとしないものに 分けて、別室に置いてあるわ
- なんだ もうやってくれてたのか
- 燦ちゃんは気が利くなぁ うちの嫁に来てほしいくらいだよ
- 燦: そういうの、今の時代は セクハラなんだからね!
- おー、怖い怖い
- こっちは燦ちゃんがベソかいてる ころから知ってるってのに
- 燦: やめてよ 私だって大人になったの!
- 燦: いつまでも子ども扱いしないで
- タツ: 俺たちにとっちゃ 燦は妹みたいなもんだからなぁ
- 燦: 妹扱いされてるのは 青年会でだけよ
- ミユリ: そうです、そうです!
- ミユリ: 青年会以外では
- ミユリ: 燦様はクールで冷静だって 評判なんですから!
- タツ: それ、別人なんじゃねえの?
- 燦: もうっ…無駄話はいいから、 みんな作業に戻って!
- 燦: 火祭りも近づいてるんだから!
- へいへい
- タツ: 燦はずいぶん しっかり者になっちまったなー
- 燦: タツ兄たちが雑だからよ
- タツ: ははは! そうかもな
- 会長の声: 戻ったぞ…
- あ、会長!
- 燦: お疲れさま
- 燦: …どうしたの? すごく疲れてるけど…
- 会長: いや、なぁ…
- 会長: 光塚青年会が反社と繋がってる なんて噂を流されちまってな…
- 燦: え…!
- 会長: 誰も信じないと思って タカをくくってたが
- 会長: 大口のスポンサーが火祭りの 協賛を降りるって言い始めてよ…
- 会長: 根も葉もない噂だって訴えたが 取り付くシマもなくてなぁ…
- 燦: 私たちは潔白なのに…!
- ミユリ: もしかして、もしかして!
- ミユリ: ミユのお父さんの会社も 協賛を降りちゃったんですか…?
- 会長: 遊狩さんは大丈夫だ
- 会長: 電話で説明させてもらったが 理解してくれてるみたいだったよ
- ミユリ: よ、良かったですぅ…
- でも、大口の協賛が減ったんじゃ 資金が足りないわよね…
- 来年どころか、今年の火祭りも できるか怪しいんじゃない…?
- 燦: …………
- 会長: …まだツテはあるしな 協賛を募ってみるよ
- 燦: お願いね、会長…
- タツ: そんなに心配しなくたって 大丈夫だろ
- タツ: 前に火祭り廃止が騒がれたときも 何とかなったしさ
- ミユリ: そうなんですかぁ…?
- 燦: ちょっと楽観的すぎない?
- ミユリ: ――っ!?
- タツ: カリカリすんなよ
- タツ: 伝統ある火祭りを資金難なんかで 潰させたりしないっての
- タツ: 兄ちゃんたちに任せとけよ
- 燦: じゃあ何をしてくれるの?
- タツ: そりゃこれから決めるよ
- 燦: お願いだから もっとちゃんと考えてよ…!
- 燦: (あのときみたいな奇跡は もう起きないのに…!)
- 会長: まぁ落ち着いてくれ
- 会長: 心配かけて悪いが… 資金は俺がなんとかする
- 会長: だからみんなには 火祭りの準備を進めてほしい
- タツ: …会長がこう言ってくれてんだ 俺たちは準備に戻るぞ!
- みんな: 「おう!」
- 燦: …………
- ミユリ: あの…燦様、すみません… ミユ、考えが甘かったですぅ…
- 燦: …ねぇ、ミユ 少し時間をちょうだい
- 燦: あなたに話しておきたいことが あるの
- FILENAME: text_310311-2.txt
- 燦: …ここまで来れば、みんなには 聞かれないわね
- ミユリ: 他の人には聞かれたくない 燦様の秘密…!
- ミユリ: ミ、ミユがそんなすごいものを 聞いていいんでしょうか…!?
- 燦: ミユだから話すのよ
- ミユリ: な、なな…なんでしょう!? ミユが特別扱いされるなんて…!
- ミユリ: ミユは燦様のおそばにいられて
- ミユリ: そのおみ足を見られるだけで 十分ですのにぃ…!
- 燦: …何を勘違いしてるの?
- 燦: ミユは青年会の学生部に 所属してるんだから
- 燦: 昔起きた、火祭りをめぐる 騒動について話すのは当然でしょ
- ミユリ: へっ?
- ミユリ: す、すみましぇん…
- ミユリ: ミユ、てっきり燦様の秘密を 聞かせてもらえるのかと…!
- 燦: …それと関係ある話よ
- 燦: 魔法少女で、マギウスの翼だった ミユになら話してもいいわ
- ミユリ: えっとえっと…もしかして 燦様の願いが絡んでるとか…?
- 燦: その通りよ
- 燦: 私の願いには 青年会と火祭りが関係してる
- 燦: だから、すべてを語るにはまず…
- 燦: 私が青年会に参加した きっかけから話さないとね
- 燦: 「私、小学生のときまでは とにかく怖がりで 引っ込み思案だったの」
- 燦: 「あるとき、両親が 光塚神社と光塚青年会が主催する火祭りに 連れて行ってくれたんだけど」
- 燦: 「初めて見た火祭りの大きな炎も 大人たちの大きな掛け声もすごく怖くてね…」
- 燦: 火が…こんな近くに…!?
- 燦: うぅっ…うわぁぁん…!
- 燦: 怖いよぉ…! おかあさぁん…!
- 燦: …ぐすっ…もう帰るぅ…!
- タツ: これからが本番だってのに 見ないんじゃ損だぞ、嬢ちゃん
- 燦: え…?
- タツ: ここにいる青年会のヤツらには 炎の中に神さんが見えててさ
- タツ: まずはあの火の中に飛び込んで 神さんを連れ出すんだぜ
- タツ: ほら、怖がんないでさ 見てみなよ
- 燦: …………
- 燦: ―燦― あ…
- 燦: ―燦― 火…怖くない… きれい…!
- 燦: ―燦― それに、みんなすごい… 格好いい…!
- タツ: ―タツ― ハハッ、だろ?
- タツ: ―タツ― どうだ 嬢ちゃんには神さんは見えたか?
- 燦: ―燦― …うん 見えた気がする…!
- タツ: ―タツ― こんな俺にも見えるんだ 嬢ちゃんにも神さんが見えるのは当然だよな
- タツ: ―タツ― 来年は一緒に、踊って騒いで 神さんをもてなそうぜ
- ミユリ: 青年会のみんなは 普段、あんなに荒々しいのに
- ミユリ: 小さかった燦様に優しくした なんて意外ですぅ
- 燦: みんな、下町気質だから 荒々しくなりがちなのよね
- 燦: 最初はちょっと怖かったけど…
- 燦: みんなの格好良さに憧れて 青年会の学生部に参加してね
- 燦: 一生懸命話しかけているうちに
- 燦: 気がついたら 怖がりを克服できていたのよ
- ミユリ: では、では!
- ミユリ: いまの燦様があるのは 青年会に入ったからなんですね!
- 燦: ええ、そうよ
- 燦: 火祭りの演舞と和楽器の演奏に 打ち込むようになったのも
- 燦: みんなに憧れたからだし…
- 燦: ただ… 私が中学生になったころから
- 燦: 世間で、火祭りが槍玉に 挙げられることが多くなったの…
- ミユリ: な、なぜですか…!?
- 燦: 火の中に飛び込む祭りなんて 野蛮で危険だから、って…
- 燦: それに…うちの連中は荒っぽくて たまに喧嘩騒ぎも起こしてたし…
- ミユリ: 喧嘩っていっても、仲間内で 揉めてただけじゃないんですか?
- 燦: そんなこと、 外部の人間にはわからないでしょ
- 燦: 祭りも、関わってる人間も危険だ って偏見は強くなっていって…
- 燦: ついに火祭りの廃止運動が 始まったの
- FILENAME: text_310311-3.txt
- 燦: 火祭りの廃止運動は 激しくなっていって
- 燦: 私たち青年会は集まって 話し合ったわ
- 燦: そもそも火祭りは
- 燦: 火に飛び込んで ご神体を取り出すお祭りなのに…
- タツ: 火に飛び込ませるのは虐待 なんて言われちゃあ
- タツ: たまったもんじゃねえよ
- 廃止運動に関わってるヤツら…
- あることないこと 吹聴して回りやがって…
- 会長: 未成年の飲酒、 不法な賭博、あとは恐喝か…
- 会長: 別の連中がやったことが全部 青年会のせいにされてるな
- 燦: …どうしよう、会長…
- 燦: このままじゃ火祭りが やめさせられちゃう…
- 会長: そう心配するな
- 会長: こういう逆境こそ 俺たち青年会が団結するときだ
- 会長: なぁ、お前ら!
- タツ: おう! 俺たちの潔白を見せてやろうぜ
- タツ: 火祭りの神さんと 光塚青年会の名誉にかけてな
- みんな: 「おーーーー!!!!」
- 燦: …………!
- 燦: 私たちは私たちらしく 廃止運動に抗議したの
- ミユリ: みんな、やるときは やるんですねぇ…!
- 燦: ふふ、そうよ
- 燦: でも、廃止運動の主軸に 宝崎市の有力者が加わって…
- 燦: 青年会は 劣勢になっていった…
- ミユリ: なんと、なんと…! ほほ、他に対抗策は…!?
- 燦: …もうなかったわ やれることは全部やったもの
- 燦: このままじゃ火祭りは廃止で
- 燦: その煽りを受けて、青年会も 解散させられるかもしれない…
- 燦: そう思うと毎日不安でね ある日、夢を見たの…
- 会長: ―会長― 助けてくれ…燦…!!
- 燦ちゃん…!!
- 燦: ―燦― みんな…!? どうして…早く火から逃げてッ!!
- タツ: ―タツ― まだダメだ…! 神さんをここから連れ出さねえと…!
- 燦: ―燦― うっ…ゲホゲホ…! やだ…お兄ちゃん…!!
- タツ: 「お願いだ、燦…! 火祭りだけは…」
- タツ: 「神さんの居場所だけは 守ってやってくれ…!!」
- ミユリ: …………
- 燦: …ここまで話せば ミユにも想像がつくかしら?
- ミユリ: 燦様は…火祭りを守ったんですね 魔法少女になることで…
- 燦: そう…
- 燦: キュゥべえには、 『火祭りを残して』って願ったわ
- 燦: それからすぐに 火祭りの廃止運動は消滅したの
- ミユリ: でもでも、おかしいですぅ…!
- ミユリ: 燦様がそう願ったのなら
- ミユリ: なぜまた青年会の悪い噂が立って スポンサーもいなくなって…
- ミユリ: 火祭りがピンチに なってるんですか!?
- 燦: 私は当時のピンチを切り抜ける ことだけを考えてた
- 燦: 「火祭りがずっと続いてほしい」 って願ったわけじゃなかったから
- 燦: いまの状況も不思議ではないわ
- ミユリ: そんなぁ…
- ミユリ: 燦様はすべてを賭けて 火祭りを守ったのに…
- 燦: …それでも、最大のピンチからは 火祭りを救うことができた
- 燦: 私はそれで十分よ
- ミユリ: では、では!ミユたちはこれから どうすればいいんでしょうか!?
- 燦: 火祭りや青年会への偏見は 私たちが変えていくしかない…
- 燦: 今回の資金繰りのこともね…
- FILENAME: text_310311-4.txt
- ミユリ: でもでも、どうしたら火祭りの 資金を集められるんでしょう…
- 燦: 私も、具体的なことは まだ何も思いついてないの…
- 燦: ただ、資金とは別に… 火祭りに対する
- 燦: みんなの根本的な部分も 変えないといけないわ…
- ミユリ: え、え、どういうことですか…?
- 燦: ミユ、火祭りって何だかわかる?
- ミユリ: 何って…光塚神社の 神様を祀るお祭りです!
- 燦: じゃあ、神様はいると思う?
- ミユリ: え?
- ミユリ: うーん… そうですね…
- ミユリ: 目には見えないけど、いるのかも って思うときはありますよ
- 燦: それはどんなとき…?
- ミユリ: 愚問、愚問ですぅ! 火祭りのときに決まってますぅ!
- 燦: ――っ!?
- ミユリ: 燃えたぎる炎に 豪快に飛び込んで
- ミユリ: 青年会のみんなが ご神体を取り出す瞬間…
- ミユリ: 気迫と熱気をがーっと感じて
- ミユリ: 神様がすぐそこにいるような気に なるんですぅ!
- 燦: 私も同じよ…!
- ミユリ: 燦様もですか!?
- 燦: 火祭りにかけるみんなの情熱が 光塚の神様を呼び起こしてる
- 燦: そんな感覚になるわよね…!
- ミユリ: はいですぅ!
- 燦: でもね、火祭りを批判する人は このことがわからないのよ
- ミユリ: えぇっ!?
- ミユリ: 一度でも火祭りに来れば わかってもらえそうですがぁ…
- 燦: きっと見てもわからないのよ
- 燦: 彼らの火祭りに対する 根本的な部分…
- 燦: 神様への信仰心が 薄れてしまっているから
- 燦: 火祭りをただ危険なものとしか 思えないんだと思うの
- ミユリ: そんな、そんな!
- ミユリ: それじゃいつまでも火祭りへの 批判が消えないですぅ…!
- 燦: ええ… でも、方法はあるはずよ
- ミユリ: それはどんな…!?
- 燦: 神様を信じないから 火祭りを危険だと批判する…
- 燦: それならたとえば… 目に見える神様を連れてきて
- 燦: 彼らに信じさせることができれば
- 燦: みんなが火祭りの意味に気づけて 祭りを残せるかも…
- ミユリ: …………
- 燦: …なんてね
- ミユリ: すごいです燦様! 名案!ナイスアイデアです!
- 燦: ちょっとミユ、冗談よ…
- ミユリ: え、そうなんですか?
- ミユリ: ミユにはそれしかないって 思えるくらいすごい案なのに…
- 燦: だって神様を連れてくるなんて いくら何でも不可能よ…
- 燦: それより、もっと現実的な方法を 考えていかないとね
- 燦: 直近はひとまず、資金繰りを 解決しないといけないし…
- タツの声: …おーい、燦!ミユリ!
- 燦: あ…
- タツ: こんなとこにいたのか
- タツ: そろそろ公民館に戻ってこいよ
- タツ: 作業からふたりも抜けてたら 火祭りの準備が進まねえって
- 燦: ごめん、タツ兄 もう戻るわ
- タツ: おう
- タツ: ちょっと作業したら、おやつに ベビームーンを出してやるからさ
- 燦: 子どもじゃないんだから もう食べないって言ったでしょ?
- タツ: え、昔は好きすぎて 腹壊すほど食べてたのに!?
- 燦: もうっ、そういうのいちいち 言わなくていいから…!
- 燦: …でも、ありがと…
- 燦: もう… すぐ子ども扱いするんだから…
- FILENAME: text_310312-1.txt
- 燦: ふぅ…
- 燦: ミユ、だいぶいい動きに なってきたじゃない
- ミユリ: あ、ありがとうございますぅ…!
- 燦: でも、もっと磨きをかけるわよ
- 燦: 神様をもてなす演舞にしては まだまだ動きが硬いからね
- ミユリ: うぅ…ミユ、燦様のためにも もっともっと頑張りますぅ…!
- タツ: 次、山車の修理だ! 張り切りすぎて怪我すんなよ!
- みんな: おう!!
- ガンッ!ガンッ!
- コンコンコンコンコン!!
- カンッ、カンッ、カンッ!
- 燦: …っと、演舞の稽古は ここまでにしましょうか
- ミユリ: えぇっ? ミユ、まだまだ頑張れますよ!?
- 「おーい、そっち支えてくれ!」 「自分やります!」
- 燦: 山車の修理が始まったみたいだし
- 燦: これじゃ、お囃子のテープも 聞こえないでしょう?
- ミユリ: 確かにそうですがぁ…
- 燦: こうして準備の音が聞こえるのは 順調な証よ
- 燦: 私たちも火祭りのために できることをしましょう
- ミユリ: それではミユたちは 何をするんですか…?
- 燦: ここは現実的に… 募金活動よ
- 燦: 会長は何とかするって 言ってくれたけど
- 燦: スポンサーが減って 資金繰りは厳しいままだしね
- ミユリ: なるほど、なるほど!
- ミユリ: 少しでも寄付を集めて 火祭りを支えるんですね!?
- 燦: そういうこと まずは行動していかないとね
- ミユリ: はい、燦様!
- 燦: 光塚の火祭りを開催するための 募金にご協力をお願いしまーす!
- ミユリ: お願いしますぅ!
- …………
- 燦: …………
- ミユリ: 燦様ぁ…2時間経っても 募金が集まらないですぅ…
- 燦: 困ったわね… さすがにこの状況は想定外よ…
- 燦: (こんなにも 興味を持たれないなんて…)
- 燦: (目には見えなくても、 神様を信仰している人は)
- 燦: (私が思うより はるかに少ないってことよね…)
- 燦: …私たちが神様だったら すぐにでも寄付が集まるのかしら
- 燦: なんてね…
- ミユリ: ――っ!? そういうことですか!
- 燦: ちょっとミユ いまのは冗談だからね?
- ミユリ: ありがたいものといえば 燦様のおみ足!
- ミユリ: そんな燦様に対して 寄付を募るのはどうでしょうか!
- ミユリ: ミユならいくらでもお布施… いえ、寄付しますよ!!
- 燦: イヤよ
- ミユリ: ですよね…
- 燦: …まぁ、私たちに人目を惹く 芸なりカリスマ性でもあれば
- 燦: 注目も寄付も 集めやすかったかもね
- ミユリ: ミユからすれば、燦様は十分 カリスマ的な存在ですけどぉ…
- ミユリ: マギウスくらいの存在となると ちょっと怖いですしぃ…
- 燦: あぁ…あの3人は 別格だったわね
- 燦: 私はあんな風に トップに立つような柄じゃない…
- 燦: 新しい「マギウスの翼」を 再始動させた魔法少女がいる
- 燦: って噂も聞くけど
- 燦: 灯花様たちのように、組織を 引っ張っていけるとは思えないわ
- ミユリ: 確かに…想像つかないですぅ…
- 燦: …さて、成果もないし 募金活動は一旦やめましょう
- ミユリ: では、では 次はどうしましょう…?
- 燦: 光塚神社で祀る神様と火祭りを 知ってもらう活動をしましょう
- 燦: たとえ神様への信仰が薄くても 関心を持ってくれさえすれば
- 燦: 火祭りは危険なだけじゃないって 理解してもらえると思うから
- ミユリ: でもミユ、神様や火祭りについて あんまり知らないですぅ…
- 燦: 私も細かい部分までは 理解できてないと思うから
- 燦: 本職に教えてもらいましょう
- FILENAME: text_310312-2.txt
- 燦: あ、神主さん!
- 燦: わざわざ来てくれて ありがとうございます…
- 神主: いや、気にしないでいいよ 会長にも用事があったしなぁ
- 神主: それで、ワシに相談したいことが あると聞いたが…
- 燦: はい、アドバイスが欲しいんです 実は…
- 神主: …あの小さかった燦ちゃんから 恋愛相談を受けるとは…
- 神主: 月日が過ぎるのは早いなぁ…
- 燦: な…!? 全然違うわよ!
- ミユリ: 燦様の話を ちゃんと聞いてほしいですぅ!
- 神主: はは、冗談だよ
- 神主: それで、本題は…
- 燦: 信仰の薄い人でも、火祭りに 関心を持ってもらえるように
- 燦: 光塚神社で祀る神様や火祭りの ことを世間に広めたくて…
- 燦: 神様のことや火祭りの起源を 改めて教えてほしいんです
- 神主: おぉ…! もちろん構わないとも
- 神主: 若い子がこんなに熱心に 取り組んでくれてるんだからね
- ミユリ: では、では! 今すぐ教えてほしいですぅ!
- 神主: 今日はこのあと 用事があるから難しいが…
- 神主: 明日、いや明後日はどうかな?
- ミユリ: 遅い、遅いですぅ!
- 燦: 神主さん、何とかならないの…?
- 神主: む、そんなに急ぎなら…
- 神主: 「光塚の信仰」という本を 読むといい
- 神主: 神社の古い資料や地域の伝承を 読みやすくまとめているし
- 神主: 図書館にも置いてあるはずだよ
- 燦: ありがとう、神主さん! 探してみます!
- 燦: …………
- ミユリ: 火祭りの起源について ちゃんと調べたのは初めてですぅ
- 燦: 神社の案内板にも 由緒は書いてあるけど
- 燦: もっと詳しく書いてあるわね…
- ある神社が大火で消失した折 ご神体を抱く少女が、炎の中から無傷で現れた
- この少女こそが火の神の御使いであるとした 光塚の民により、光塚神社が建立され 年に一度、神を現世に迎える神事として 火祭りが始められた
- ミユリ: え、神社で祀っている神様は 女の子だったんですか!?
- 燦: そうみたいね
- 燦: …でも気にならない? 伝承がもし本当だとしたら…
- 燦: …“炎の中にいても 無傷でいられる”
- 燦: そんな力を持つ少女が何者か 私たちは見当がつくわよね?
- ミユリ: え…
- ミユリ: …………あっ!? 魔法少女…!
- ミユリ: それなら、それなら!
- ミユリ: 光塚神社の神様は魔法少女だった ってことですか…!?
- 燦: 大昔、火祭りが始まったころは
- 燦: 人間が魔法少女を神として崇めて 導いてもらっていたのかもね
- ミユリ: …あれ、そういう話 どこかで聞いた気がします…
- 燦: どういう意味…? …あっ!
- 灯花: 「わたくしたち魔法少女は 人類の進化の最先端にいる つまり、選ばれた存在って 考えることもできるんだよー」
- 灯花: 「人間社会と文明の発展に貢献してきた わたくしたち、魔法少女が人類を導けば もーっと高度な文明を築けるし わたくしたちの存在価値も高められるよー」
- 燦: 灯花様が話してた… “魔法少女至上主義”…!?
- 燦: かつてこの地域で
- 燦: 魔法少女を神様として 受け入れていた時代があった…
- 燦: それなら…そうよ…!
- 燦: 魔法少女なら 目に見える神様になれる…!
- ミユリ: へっ…どういうことですか?
- 燦: 神様に成り代われる存在が ここにいるということよ
- ミユリ: …あ! 燦様が神様になるんですね…!?
- 燦: そうよ、ミユ 私が目に見える神様になれば
- 燦: 光塚神社の信仰を取り戻せるし 火祭りも存続させられるわ
- ミユリ: 名案、名案ですぅ!
- 燦: そのためにも…私たちで 魔法少女至上主義を広めて
- 燦: 火祭りを絶対に守りましょう
- ミユリ: はいですぅ!
- ミユリ: …あ、でもでも燦様!
- ミユリ: どうやって魔法少女至上主義を 広めればいいんでしょうか…?
- 燦: そうね… 私たちだけじゃ難しいし…
- 燦: …例の新しいマギウスの翼と 接触してみましょう
- FILENAME: text_310312-3.txt
- 燦: …………
- 時雨: …………
- ミユリ: なんとなんと!
- ミユリ: 新しいマギウスの翼のリーダーが 宮尾と安積だったとは!
- 時雨: …ごめんなさい…
- 燦: なんで謝るのよ
- 時雨: だって… 期待外れでしょ…?
- 燦: …否定はしないわ
- 時雨: やっぱり…
- 燦: でも、意外だった
- 燦: マギウスの翼時代の あなたたちを知っているから
- 燦: 中心になって積極的に活動する とは思えなかったし
- はぐむ: わ、私たちも向いてないのは わかってるんです…
- はぐむ: でも…魔法少女至上主義は 私たちの希望だから…
- はぐむ: 諦めたく…ないんです…
- 時雨: だからぼくたち… 作ったんだよ…
- 時雨: 新しいマギウスの翼… “ネオマギウス”を…
- 燦: …………
- 燦: (魔法少女至上主義への想いは 本気みたいね)
- 燦: 他に仲間はいるの?
- はぐむ: あ、はい…たくさん 集まってくれたんですけど…
- はぐむ: 灯花様とねむ様を迎えるまで
- はぐむ: 私たちだけでみんなを 引っ張れるか、不安で…
- 燦: まぁ、そうでしょうね…
- 燦: (…私と話すくらいで 震えてるようじゃ、ね…)
- 時雨: だから、教官…
- 時雨: ネオマギウスとして… 一緒に活動してほしい…
- 燦: …………
- はぐむ: 教官は強いし… 私たちより頭もいいし…
- はぐむ: みんなをもっとうまく 引っ張れると思うんです…
- ミユリ: なるほどなるほど!
- ミユリ: 安積たちも燦様の素晴らしさを 理解できてるようですね!
- ミユリ: どうしますか、燦様?
- 燦: …………
- 燦: 私じゃネオマギウスの ブレインにはなれないわ
- 時雨&ミユリ: え…!?
- はぐむ: で、でも…
- はぐむ: 教官も魔法少女至上主義を 広めたいんですよね…!?
- 燦: 私にはマギウスみたいな カリスマ性も信念もない
- 燦: 引っ張ることなんかできないし せいぜい補佐役といったところね
- はぐむ: あわわ… 教官に断られるなんて…!
- 時雨: どうしよう… 他に当てもないのに…
- 燦: あのマギウスですら 実現できなかった計画なんだから
- 燦: 中途半端に活動しても 無駄骨に終わるだけ
- 燦: それがわかっていて 参加するわけがないわ
- 時雨: …ぼくたちは… 中途半端なんかじゃない…
- ピロン♪
- 燦: (ん…私のスマホ? メッセージが来てる…)
- 燦: ――っ!?
- はぐむ: あの…教官… どうかしたんですか…?
- ミユリ: 燦様…?
- 燦: タツ兄が暴力事件に 巻き込まれたって…!
- ミユリ: え、え…!?
- 燦: 今すぐ公民館に戻るわよ!
- 時雨: ま、待って…! ぼくたちの話は…?
- 燦: 悪いけど、今度また改めて聞くわ
- 時雨: え… 今度って…
- 燦: 新しいリーダーが見つかったら 教えなさい
- 燦: ネオマギウスへの参加は そのときに改めて考えるから
- 時雨: あ…
- はぐむ: 行っちゃった…
- FILENAME: text_310312-4.txt
- 燦: 会長…!
- 会長: おぉ、ふたりとも来たか
- ミユリ: タツさんは大丈夫なんですか!?
- 会長: いまは病院にいるが 怪我は大したことないそうだ
- 燦: 良かった…
- 光塚青年会だからって 絡まれるのなんざ日常茶飯事だ
- 放っておきゃよかったのによ…!
- 会長: あぁ…難癖をつけられたからって 喧嘩を買っちまうなんてなぁ
- 燦: それって…大丈夫なの…!?
- 新聞記者も来てたよ 記事にでもされたらマズいよな…
- 燦: そんな…
- これじゃあ他のスポンサーも 降りちまうかもな…
- 会長: 実はもう、スポンサーから いくつか問い合わせが来てる…
- マジかよ…!
- どうすんだよ、会長…!
- 会長: …………
- 燦: (魔法少女至上主義を広めれば 火祭りを守れるのに)
- 燦: (これじゃその前に 火祭りがなくなっちゃう…!)
- ミユリ: さ、燦様ぁ…!
- ミユリ: 宮尾たちの活動が成功する前に 火祭りがなくなっちゃいますぅ!
- 燦: いいえ…! 絶対にそうはさせないわ…!
- ミユリ: でも、でも! 方法がないですよぅ…!
- 燦: …………
- 燦: 今は、今年の火祭りのことだけを 考えるのよ
- ミユリ: …え?
- 燦: 火祭りは今年で最後って ことにして
- 燦: ミユのお父さんに
- 燦: 今年だけは協賛を打ち切らないで ほしいって頼みましょう
- 燦: そうすれば 来年までは猶予ができるわ
- ミユリ: えぇっ?でも来年は どうするんですかぁ…!?
- 燦: 来年までに 魔法少女至上主義を広めれば
- 燦: 火祭りは続けられるわ…!
- 燦: …会長
- 会長: どうした…?
- 燦: いまからミユのお父さんに 会いに行きましょう
- 燦: 協賛を打ち切らないでほしいって 交渉するの
- ミユリ: …み、ミユも行きますぅ…!
- 会長: 交渉って言っても こっちには取引材料はないが…
- 燦: 無茶かもしれないけど… 考えがあるの…!
- 燦: (火祭りを残すには こうするしかない…)
- 会長: 夜分に押しかけてすみません
- ミユリの父: ええ…それで、話というのは 火祭りの協賛についてですね?
- 会長: はい…
- 燦: お願いです、協賛を 続けてもらえませんか
- ミユリ: お父さん、お父さん!お願い!
- ミユリの父: ミユもお世話になっているし そうしてあげたいが…
- ミユリの父: 今回みたいな事件を 起こされるとね…
- 燦: 来年は協賛を打ち切られても 構いません…!
- 燦: だから今年だけは… 協賛を続けてほしいんです…!
- 会長: ――っ!?
- 燦: 来年の火祭りの協賛は
- 燦: 青年会のみんなで信頼を回復して またイチから集めるつもりです
- 燦: だからお願いです…!
- 燦: 今年だけは…! 火祭りをやらせてください…!
- ミユリの父: ちょ…燦ちゃん! 土下座なんかやめてくれ…!
- 会長: お願いします、遊狩さん…!
- 会長: どうか今年だけでも 若い者の火を消さんでくれ…!
- ミユリ: お父さん…お願いだからぁ…!
- ミユリの父: …………
- ミユリの父: …わかりました
- ミユリの父: 今年で協賛は最後だと言えば 周りも納得はしてくれるでしょう
- 燦: …………!
- 燦: ありがとうございます…!
- 燦: これでいい…これでいいのよ…
- 燦: 来年には魔法少女至上主義を広めて 私が神になる… そうすれば火祭りを残せる…!
- 燦: もう奇跡なんかに頼らないわ…!
- 燦: 願いの奇跡は一度だけ… あとは自分で何とかしないとね
- FILENAME: text_310313-1.txt
- 燦: ミユのお父さんに 今年の協賛を打ち切らないでほしいって お願いしに行ってから、しばらくが経った
- 燦: 青年会のみんなも 今年の火祭りはとことんやりきる覚悟を決めて 少なくなった資金をやりくりしながら 少しずつ、でも順調に準備を進めていた
- タツ: ふぅ… ってて、腰が…
- 燦: 大丈夫? さすがに働きすぎだよ…
- タツ: これくらいなんてことない
- タツ: 火祭りの準備が遅れちまってる っていうのに休んでられねえよ
- タツ: それに、みんなに迷惑かけた分 俺が頑張んねーとな
- 燦: …そうね、タツ兄がキリキリ 作業しないと間に合わないもの
- タツ: おぉ、言うなぁ…燦…
- 燦: ふふっ、冗談よ
- 燦: 本当に体がきつかったら 言っていいんだからね?
- タツ: あぁ、ありがとな
- タツ: …よし、もうひと踏ん張り やってくるか!
- 燦: …やっぱ私もタツ兄を手伝う!
- タツ: サンキュ
- ピロン♪
- 燦: あ、ちょっと待って…
- 燦: ――っ!?
- 燦: (宮尾から…)
- 時雨: ネオマギウスの新しいリーダー 教官に紹介したい… 宝崎市に行ったら 会ってくれる…?
- 燦: …………
- タツ: どうした? 用事があるなら手伝わなくても…
- 燦: …ううん、大丈夫 何でもないから
- 燦: (今は火祭りの準備で忙しいし)
- 燦: (あっちから出向いてくれるなら 断る理由はないわ…)
- ミユリ: 遅い!遅いですぅ!
- ミユリ: 宮尾たちは一体どこで 道草食ってるんでしょうか!
- 燦: これで新しいリーダーも 期待外れだったら
- 燦: 久しぶりにキレてしまうかも しれないわ…
- ミユリ: 天罰、天罰! 燦様の砲弾が炸裂ですぅ!
- 燦: ん… ようやくご登場ね…
- 燦: そっちから呼び出しておいて、 遅刻なのはいけないわね
- ミユリ: ですよね、ですよね! 燦様の言う通りだと思いますぅ!
- ???: 燦様ってことは あなたがふたりの教官ってわけ?
- ???: 神楽燦と遊狩ミユリっしょ?
- 燦: ものを頼みに来た人が 急に呼び捨てとはね
- ミユリ: 不躾!不躾ですよぅ!
- ???: イミフなんだけど★
- はぐむ: ちょっと、藍家さん!
- ???: 私チャンはここにいる 全員の天辺になりに来たんだから
- ???: 頭こすりつけてお願いする必要は どこにもなくない?
- ???: っていうか、初対面から 魔力で気圧してくるとか何なの?
- 燦: …嫌いじゃない
- 燦: 良いの捕まえたわね 宮尾、安積
- ミユリ: 燦様は、藍家ひめなを どう思いましたか…?
- 燦: 感触は悪くなかったわ
- 燦: 天辺になれるかどうかは このあとのお手並み次第だけどね
- ミユリ: むぅ…ミユはあの不躾な態度、 好きじゃありません…
- 燦: あれくらいじゃなきゃ
- 燦: 魔法少女至上主義を掲げる グループなんか引っ張れないし
- 燦: ちょうどいいバランスだと 思うわよ
- 燦: (藍家ひめなを信頼できるかは テストの結果次第だけど)
- 燦: (見込みは十分にある…)
- 燦: (このチャンスは逃さない…!)
- 燦: …………
- ミユリ: 燦様、喜んでます…?
- 燦: ふふっ…わかる?
- 燦: 魔法少女至上主義を広める 見込みが立てば
- 燦: あとは、今年の火祭りを行うだけ
- 燦: ようやく希望の道筋が見えてきた って思うと、嬉しくてね…
- ミユリ: ですね、ですね!
- ミユリ: 燦様が神様になって 火祭りを残せれば
- ミユリ: めでたしめでたしです!
- 燦: そのためにも、今年の火祭りは 絶対に成功させましょう
- ミユリ: はい、燦様!
- FILENAME: text_310313-2.txt
- 燦: ネオマギウスに現れた新しいリーダー 藍家ひめなと、宮尾と安積によって 宝崎で起きていた異変も解決の糸口が見つかった
- 燦: 彼女にリーダーの素質があるのは 疑いようがなかったし 私はネオマギウスへの参加をほぼ決めていた
- 燦: 火祭りは、今年で一区切りにはなるけれど 魔法少女至上主義を世界中に広めて 私が神になれば、すぐにでも復活させられる
- 燦: すべてが驚くほど順調だった
- 燦: でも…運命は暗転した
- 燦: 火祭りのために頑張っていた青年会のみんなが 魔女に操られて、騒動を起こしてしまったから…
- 燦: その魔女を倒すために ミユたちと一緒に戦ったけど ネオマギウスの仲間をひとり失うことになった…
- 燦: どうしてこうなったの…? 私はどこで、何を間違えたの…?
- はぐむ: 何をしたの…?
- 時雨: わ…わからない…
- 三輪 みつね: …………
- ひめな: みわりん!みわりん!?
- 燦: 息はしてるけど 気を失ってるわね…
- 燦: 念のため救急車を呼びましょう
- ミユリ: では、では! ミユが電話しますぅ!
- 燦: 頼んだわ
- ~~♪~~♪
- 燦: こんなときに誰…!?
- 燦: ――っ!?
- 燦: タツ兄…
- ひめな: 電話、出た方がよくない?
- 燦: ええ…
- 燦: (魔女は倒したし…みんな、 正気に戻ってるはずだけど…)
- 燦: …………
- 燦: もしもし、タツ兄?
- タツ: 燦…! いまどこにいるんだ…!?
- 燦: えっと…タツ兄こそ どこにいるの…?
- タツ: ミユリの親父さんの 会社の前だ…!
- タツ: でも、俺も会長も 青年会のみんなも記憶がなくて…
- タツ: なぁ、俺らが騒動を起こしたって 本当なのか…!?
- 燦: あ…
- タツ: 俺たち、本当に記憶がないんだ!
- タツ: でも、ミユリの親父さん…
- タツ: 俺たちが、ここで抗議活動をした って怒っててさ…!
- タツ: 今年の協賛も打ち切るって…!
- 燦: ――っ!? そんな…なんで…!?
- タツ: 俺だってわかんねえよ…!
- タツ: 会長も、ミユリの親父さんの 協賛がないんじゃ無理だって…
- 燦: …無理って、火祭りのこと…?
- 燦: あんなに準備も進めて… やれること全部やってきたよね?
- 燦: 火祭り、やれるよね…? 今年だけでも、やれるよね…?
- タツ: …………
- タツ: 会長は… 今年の火祭りは…中止だって…
- 燦: …………
- 燦: イヤ… イヤよ、こんなの…!
- FILENAME: text_310313-3.txt
- <数日後>
- タツ: …………
- …この箱、どこにしまったら いいっすか?
- タツ: 倉庫に入れといてくれ
- うす…
- …………
- …………
- ミユリ: 燦様…ミユのほうは 片づけが終わりました
- 燦: 私もこの楽器を 倉庫に持って行けば終わりよ
- ミユリ: …………
- 燦: …みんな、辛気臭いわね
- ミユリ: え…?
- 燦: ま、それもそうよね
- 燦: 記憶がないのに騒動を起こした って言われたら混乱するのに
- 燦: その上、今年の火祭りも 中止になっちゃったし…
- ミユリ: …ずびっ… ぞうでずね…!
- 燦: ミユ、こんなの 泣くほどのことじゃないわよ
- 燦: 私も聞いたときは 取り乱したけど…
- 燦: 火祭りは、今年できないだけで 来年にはすぐ復活させるんだから
- ミユリ: ぐすっ…ですね、ですね…! ミユも信じてます…!
- 燦: さぁ、さっさと荷物を運んで 中に集合しましょ
- 燦: 会長と神主さんから みんなに話があるらしいし
- 会長: 撤収、お疲れさん
- 会長: こんなことになっちまって 悪かった…
- 会長のせいじゃねーよ
- 俺たちみんなのせいだ…
- タツ: 記憶はねえけどな…
- 会長: …そうは言っても、遊狩さんに 抗議してた俺たちの写真もある
- 会長: 前に流された根も葉もない噂とは 比較にならん…
- 会長: 悔しいが…今回が 火祭りの区切りになる…
- 燦: …………
- 燦: (でも、来年には復活させる…)
- 燦: (いまは沈んでるけど…みんなも きっとすぐに立ち直るはず…!)
- 神主: 今後、火祭りが担っていた祭事は
- 神主: 境内でのお焚き上げに 形式を変えようと思っとる
- 燦: え、どういうこと…?
- 会長: 神主さんとも話してな…
- 会長: 今後一切、 火祭りは中止することにした
- 燦: ――っ!?
- ミユリ: な、なな、なぜですか!?
- 燦: このまま諦めるっていうの…!?
- 燦: ここからもう一度 みんなで団結して頑張ろうよ…!
- 会長: そりゃ、伝統ある行事が なくなるのは寂しいけどなぁ…
- 神主: 長年、火祭りには反対の声も 多かったからねぇ…
- 神主: 山車で騒がしく練り歩いたり 演舞や演奏で賑やかしたりして
- 神主: 神様を祀る時代じゃ なくなったんだよ…
- 燦: でも…それは神様が見えない人が 増えてきたからでしょ!?
- 燦: ここにいるみんなには見えてて
- 燦: 神様を信じてるし もてなしたい気持ちがある
- 燦: その気持ちを、尊さを もっと光塚に広めましょうよ!
- 神主: 燦ちゃん…
- もういいって、燦ちゃん
- 火祭りは神様を祀って もてなす祭事…なんて建前だ
- 結局俺たちが楽しんでるだけだし 外野から見たら煙たいんだろう
- 燦: …………何を言ってるの…?
- 燦: (青年会のみんなには 神様が見えてて…)
- 燦: (もてなそうと 頑張ってるはずで…!)
- タツ: …燦、ごめんな…
- 燦: なんでタツ兄が謝るの…?
- タツ: 昔、言ったこと…
- タツ: 今でも燦が信じてくれてる なんて思わなかったからさ…
- タツ: …俺たちさ、 神さんなんか見えたことないんだ
- 燦: ――っ!?
- タツ: ここにいる青年会のヤツらには 炎の中に神さんが見えててさ
- タツ: まずはあの火の中に飛び込んで 神さんを連れ出すんだぜ
- タツ: ほら、怖がんないでさ 見てみなよ
- 燦: ウソ…
- 燦: (こんなの…ウソよ…)
- タツ: 神さんが見えようが見えまいが 火祭りがなくなるってのは悔しい
- タツ: 悔しいが…これで青年会が 解散ってわけでもねえしな
- タツ: これからは他の行事で もっと盛り上がっていこうぜ!
- だな!
- 会長: タツ、お前なんか企画考えとけ
- タツ: えぇ~、俺だけっすか?
- 会長: とりあえず酒出してくれれば 集まるからよ
- みんな: 「ハハハハハ!」
- ミユリ: さ、燦様ぁ…
- 燦: …………
- FILENAME: text_310313-4.txt
- ひめな: …そんじゃ、そろそろ みわりんの病院に行こっか
- ひめな: しぐりんたちも待たせてるし
- ミユリ: あ、ミユは戸締まりを 確認してきます!
- 燦: ええ、お願い
- ひめな: ねぇ教官
- ひめな: 教官がそんだけ火祭りに こだわるのってさ
- ひめな: やっぱ魔法少女になった願いが 関係してるとか?
- 燦: あぁ…そういえば、姫様には ちゃんと話してなかったわね
- 燦: 姫様も教えてくれたんだし 私の願いも話すわ
- ひめな: え、気を使わなくていいよ? 無理に聞きたいわけじゃないし…
- 燦: ううん、姫様に聞いてほしい
- 燦: 私の覚悟を知ってほしいの
- ひめな: …そういうことなら、わかった★
- 燦: ありがと
- 燦: …火祭りは、私に色んな経験や 青年会との繋がりをくれたから
- 燦: 私にとってはすごく大切なもの…
- 燦: だけど、何年か前に 火祭りの廃止運動が起きて…
- 燦: 大切なものをなくすかもしれない って、すごく怖かった…
- 燦: だから、願ったの 『火祭りを残して』って…
- ひめな: そっか…教官にとって 本当に大切なものだったんだね…
- 燦: ええ …でも、子どもじみてるわよね
- ひめな: 魔法少女なんてみんなそーじゃん
- ひめな: それに、譲れないガンコな想いを 持ってる教官だからこそ
- ひめな: ネオマギウスのメンバーに 合ってると思うよ、キャハッ★
- 燦: …そう…? じゃあ、いいのよね…
- 燦: まだこの悔しさは…想いは… 忘れないでいていいのよね…?
- ひめな: ――っ!?
- 燦: …実は、姫様が来るさっきまで 青年会のみんなで集まってたの
- 燦: みんな、昔みたいに団結して
- 燦: 火祭りを復活させるために 立ち直ってくれるって思ってた…
- 燦: だけど…私の大好きだった 青年会のみんなは幻で…
- 燦: 悔しいけど仕方がないからって 火祭りをもう諦めてたのよ…
- ひめな: 教官…
- ひめな: …………うまく言えないけど 悲しいよね
- ひめな: 大切にしてた自分の根っこが なくなっちゃうのはさ…
- 燦: …ええ でも…
- 燦: こんな現実 すぐに変えてみせるわ
- ひめな: ――っ!?
- 燦: 私、青年会のみんなのおかげで 覚悟が決まったの
- 燦: 魔法少女至上主義を広めて 私が神になって
- 燦: 青年会のみんなに見せつけるの …神様はここにいるんだってね
- ひめな: …………!
- 燦: そして、神である私の望みとして 火祭りを復活させる
- 燦: だから… 畏れられても、嫌われてもいい
- 燦: どんな手段を取ってでも… 私は現人神になるわ…!
- ひめな: …………キャハッ★
- ひめな: 説得するんじゃなくて 力で周りを従わせるって考え
- ひめな: 私チャンは好きだよ
- 燦: 光栄だわ
- ひめな: やっぱ私チャンが感じた通り 教官ってヤバみが深いよね★
- 燦: 姫様に言われたくないけどね
- ひめな: え、言っとくけどコレ 褒めてるからね!?
- 燦: そういうことにしておくわ
- ミユリ: 燦様、燦様! お待たせしました!
- ミユリ: 戸締まりの確認、完了ですぅ!
- 燦: ありがとう、ミユ
- 燦: それじゃあ姫様 行きましょうか
- 燦: (魔法少女至上主義が広まった 新しい世界…)
- 燦: (その天辺を目指して…!)
- 燦: 何を犠牲にすることになっても… 私は神になる…!
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