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- ===============================================
- 330581-1.txt
- 南津 涼子: あたしは南津涼子神浜近郊の小さな町に住んでいる
- 南津 涼子: 今日はいつもの魔女退治目の前の悪は絶対に逃がさねぇ
- ザッザッザ…◆△…◇…
- 南津 涼子: 現れたな!
- 南津 涼子: 人々に仇なす残酷な魔女め!
- ズサァー☆☆ー!!!!
- 南津 涼子: なっはっは!威勢がいいねぇ
- 南津 涼子: 元気なのは嫌いじゃねぇが…
- 南津 涼子: あいにく、そんなお前さんを倒すのがあたしの使命なのさ
- サラサラ…★☆
- 南津 涼子: さあ覚悟しろ!
- 南津 涼子: すぐに成仏させてやる!
- 南津 涼子: あたしのとーちゃんとかーちゃんはあたしが物心つく前に死んじまった
- 南津 涼子: とーちゃんは病気かーちゃんは…よくわかんねぇ
- 南津 涼子: そんなわけであたしは「浄安寺」って寺の住職であるじーちゃんに厳しく育てられた
- 南津 涼子: だからってわけでもねぇけどあたしは魔女にだって、慈悲の心を忘れねぇ
- ザリッ▼!!
- 南津 涼子: 南無…
- 南津 涼子: …さて、もういい時間だし、帰るさね
- ???: …涼子か…?
- 南津 涼子: え?
- 南津 涼子: あっ!
- 南津 涼子: じ、じーちゃん!!
- 涼子の祖父: …………お前、その格好…
- 南津 涼子: あ、あの、えっとこれは…
- 南津 涼子: (どうする…ごまかせるか…?)
- 南津 涼子: …………しゅ、趣味だ!悪いか!?
- 涼子の祖父: その格好…その宝石…
- 涼子の祖父: そうか、話は本当だったのか…
- 南津 涼子: お?
- 南津 涼子: 話ってなんだ?
- 南津 涼子: ===============================================
- 南津 涼子: 330581-2.txt
- 南津 涼子: …じーちゃん、なんか知ってんのか?
- 涼子の祖父: 時女に関する言い伝えがあってな…
- 南津 涼子: 時女…?
- 涼子の祖父: 山奥の集落に拠点を持つある一族の名だ
- 涼子の祖父: 我々浄安寺は、その末裔にあたる
- 南津 涼子: あたしらの祖先…
- 涼子の祖父: その時女は人智を超えた力で日の本を救う女子を生み落とす
- 涼子の祖父: そう、言われている
- 涼子の祖父: 巫…というらしいな
- 南津 涼子: かんなぎ…?魔法少女じゃなくてか?
- 涼子の祖父: じーちゃんも詳しくは知らない巫という名前も最近知った
- 涼子の祖父: 水徳寺から聞いてな
- 南津 涼子: 神浜市にある、あのデカい寺か
- 南津 涼子: (昔から神浜市にもよく遊びに行ってる)
- 南津 涼子: (最近は、この町の魔女が減ってきたから)
- 南津 涼子: (魔女の多い神浜市まで行って)
- 南津 涼子: (グリーフシードを集めたりもした)
- 涼子の祖父: あそこも時女の末裔でな
- 涼子の祖父: 最近そこに、時女の本家から連絡があったそうだ
- 南津 涼子: ふーん…なんでだ?
- 涼子の祖父: どうも神浜には、本家の巫たちが欲する
- 涼子の祖父: 「秘密」があるらしい
- 南津 涼子: 秘密…?
- 涼子の祖父: よくは知らない
- 涼子の祖父: 水徳寺の住職も詳しくは知らないようだった
- 南津 涼子: ふーん、神浜の秘密か…
- 南津 涼子: ん…?
- 南津 涼子: でもその秘密とやらが神浜にあるってことは
- 南津 涼子: もしかして水徳寺に…
- 涼子の祖父: ああ、本家の人間が来ている
- 涼子の祖父: 水徳寺をその活動のための拠点とするらしい
- 南津 涼子: マジか!
- 南津 涼子: こうしちゃいられねぇ!
- 涼子の祖父: おい、どうした涼子
- 南津 涼子: 決まってンだろ!今から行くんだよ!
- 南津 涼子: 神浜に!
- 南津 涼子: こんな面白そうなこと首を突っ込まずにいられるか!
- 涼子の祖父: まったく…
- <神浜市・新西区>
- 南津 涼子: …あれは…!
- 灯花: もう、みんな大っ嫌い!バカバカバーーーカッ!
- いろは: と、灯花ちゃん落ち着いて!頑張ってたのは知ってるから!
- 灯花: いい子いい子してくれなきゃやだー!
- ねむ: 幼児だ…
- うい: ねむちゃんっ!
- 灯花: ううぅぅぅぅ…!
- いろは: うそ、やだ!ドッペルが…!
- 南津 涼子: なっははは!
- 南津 涼子: こりゃあまた、面白いモンを見ちまったなぁ
- 南津 涼子: ただ、こりゃあ話に聞いた通りだ
- 涼子の祖父: どうも神浜には、本家の巫たちが欲する
- 涼子の祖父: 「秘密」があるらしい
- 南津 涼子: (確かにこの神浜には何かがある…!)
- 南津 涼子: (体から魔女を出す…?聞いたことねぇよ)
- 南津 涼子: (全く意味がわかんねぇ…考えが追いつかねぇ)
- 南津 涼子: (でも…)
- 南津 涼子: 何より、この目で見たのが証拠ってやつだ
- 南津 涼子: コイツは時女の本家に連絡せにゃあならんねぇ
- 南津 涼子: そして聞くんだ一体、何が起こってんのかを
- いろは: ===============================================
- いろは: 330581-3.txt
- 南津 涼子: そしてあたしは、水徳寺にいた静香、ちはる、すなおに出会った
- 南津 涼子: 時女筋に連なる、同世代の巫たちだ
- 南津 涼子: さっそくあたしは聞いた神浜にある「秘密」ってなんなのかを
- 南津 涼子: あの駄々っ子の出した魔女みたいのは、一体なんなのかを
- 南津 涼子: 魔女は…魔法少女の成れの果てだってのか?
- 南津 涼子: 信じられねぇ…
- 静香: …でも、本当なのよ
- 静香: 私たちはその運命を変える方法を求めて
- 静香: この神浜に来たの
- 南津 涼子: …それからしばらくしてあたしは神浜に住むことに決めた
- 南津 涼子: 神浜の「秘密」を探るために
- 南津 涼子: じゃ~ん新制服だ!
- みんな: おお~~っ!
- すなお: 今日からでしたよね、転校
- ちはる: お疲れ様!南凪自由学園…だっけ?
- 南津 涼子: おう、転校初日結構緊張したぞ!
- 南津 涼子: でも、いい学校だった!
- 静香: あなたも緊張するのね
- ちはる: でも、どうしてわざわざ転校?
- すなお: そうですね…
- すなお: 涼子さんの住まいなら神浜へは通うことも可能…
- 南津 涼子: まあ、言っても電車で40分かかるからな
- 南津 涼子: 緊急事態も想定するとこっちに住んだ方が楽なんだよ
- 静香: それだけ本腰入れて協力してくれるってことよね
- 静香: ありがたく歓迎しましょう
- ちはる: うん!
- すなお: 私たちが巻き込んだ手前…学校は楽しんでほしいですね
- 南津 涼子: もちろんだ!
- 南津 涼子: そうそう、学校ではもう魔法少女と友だちになったぞ!
- 静香: へぇ~、やっぱり魔法少女も多いのかしらね
- ちはる: だれだれ!?どんな子!?
- 南津 涼子: えーと…今日会ったのは…
- 南津 涼子: 同じクラスの桜子と…
- 南津 涼子: 後輩で新聞部の令
- 南津 涼子: 先輩で化学部のひなのさん
- 南津 涼子: この3人だな!
- 南津 涼子: あ、桜子ってのは正確には魔法少女じゃないらしい
- 南津 涼子: みんないい奴だったぞ!
- すなお: 3人とも…環さんのお仲間でしょうか…
- 南津 涼子: たまきさん?
- ちはる: このあいだ助けてもらった神浜の魔法少女だよっ
- 静香: なんでも、私たちと同じように…
- 静香: 悪鬼にならずに済む仕組みを調べてるみたいだわ
- すなお: 自動浄化システムですね
- ちはる: その仕組みを、世界に広めるのが目標なんだって!
- 南津 涼子: 世界か…すげぇスケールだな
- 南津 涼子: 前にもチラッと聞いたが…
- 南津 涼子: 時女はそのシステムのおこぼれに預かろうとしてんだよな?
- すなお: おこぼれ…そういうと語弊がある気が…
- 静香: けど、そのシステムの一部をいただきたいのは本当ね
- 静香: そして、そのためにはある力が必要
- 南津 涼子: その力をくれるのが…
- 静香: そう!
- 静香: この腕から外れない不思議なブレスレット!
- 南津 涼子: こんなブレスレットがね~ホントなのか?
- ちはる: そこは大丈夫だよ!だって…
- ちはる: 久兵衛様が言ってたんだもん!
- 南津 涼子: (久兵衛様…か…)
- 南津 涼子: ===============================================
- 南津 涼子: 330581-4.txt
- 南津 涼子: (久兵衛様…か…)
- 南津 涼子: (…あたしは別に魔法少女になったことへの後悔はねぇけど)
- 南津 涼子: (そんなあたしですら魔女化の秘密を聞いた時は)
- 南津 涼子: (言うべきことを言わなかったキュゥべえに騙されたと感じた)
- 南津 涼子: …………
- 南津 涼子: (器がデカいってことかね)
- ちはる: どうしたの?大丈夫…?
- 南津 涼子: あ、ああ…ちょっと考えごとをしててな!
- すなお: 不安なこと…ありそうですか…?
- 南津 涼子: いやいや、そんな深刻になることじゃねぇんだ
- 南津 涼子: ただお前さんたちは
- 南津 涼子: ずいぶんキュゥべえの言うことに信頼を置いてンだなぁと思ってよ
- 静香: まあ、今までも久兵衛様が間違ってたことはないしね
- すなお: 一介の魔法少女にすぎない私たちよりは
- すなお: 久兵衛様の方が先が見えているはずですしね
- 南津 涼子: まあ、そういうもんか
- 静香: これまでも久兵衛様がいたから日の本は救われてきた
- 南津 涼子: (ん…?)
- 静香: そしてその久兵衛様が神浜に来ることを勧めてくれた
- 静香: 久兵衛様の言う通りに自動浄化システムを獲得すれば…
- 静香: 私たちは、まだまだ役に立てる
- 静香: 日の本のために
- 南津 涼子: …………
- 南津 涼子: (日の本の…ため…?)
- 「君のお母さんは、日本を救ったんだ」
- 南津 涼子: …………
- 南津 涼子: う~~ん…
- 南津 涼子: あ、悪ぃ…
- 南津 涼子: ちょっとだけ考えさせてくれねぇか?
- 静香: いいけど…なにを?
- 南津 涼子: そりゃあもちろん…
- 南津 涼子: あたしがこれからも時女の仲間でいるかどうかだ
- みんな: …………
- みんな: えぇ~~~~!?
- ちはる: い、今さら!?仲間になるかどうか!?
- すなお: それを考えるということは…
- 静香: 仲間をやめるかもしれないってこと!?
- すなお: 私たち、何かお気に障ることでも言ってしまったでしょうか…?
- 静香: 謝る!謝るからぁ!
- 南津 涼子: あー、悪ぃ悪ぃ!そういうことじゃねぇんだ
- 南津 涼子: 別にお前さんたちがイヤとかそういうことじゃねぇ
- 静香: な、なら…
- 南津 涼子: でも今のあたしじゃ仲間にはなれねぇ
- すなお: どうか、したのですか…?
- 南津 涼子: いや、改めて考えるとよ…
- 南津 涼子: お前さんたち時女は時女一族として生きてきて
- 南津 涼子: そこで見てきたものがあって今の考え方なんだと思う
- 静香: うん…
- 南津 涼子: なんかあたしだけ…とりあえずの血縁だけで加入していいのか?
- 南津 涼子: それってよ、あたしのためにも時女のためにもなンねぇだろ
- 南津 涼子: (どうもあたしと時女一族には…)
- 南津 涼子: (器のデカさどうこうで説明のつかねぇ)
- 南津 涼子: (大きな溝があるような気がしちまった…)
- 静香: 思いの外、考えてのことなのね…
- 静香: わかった私たちからの強要はしない
- ちはる: でも…それじゃあやっぱり…
- ちはる: 涼子ちゃんとは戦えないかもしれないの…?
- 南津 涼子: おう、勘違いすンなよ
- 南津 涼子: あたしだって情はあるできるだけ時女に協力してぇ
- 南津 涼子: だけど今のままじゃあたしは時女を知らなさすぎる
- 南津 涼子: こんな中途半端な気持ちじゃ仲間にはなれねぇってことさ
- すなお: では…涼子さんにはもっと時女を知ってもらわないといけませんね
- 南津 涼子: おう、そうなるな
- 南津 涼子: そこでだ…
- 南津 涼子: あたしを、時女集落に連れてってくれ!
- 南津 涼子: (そこでまだ…違和感を抱くようなら…)
- 南津 涼子: (あたしは…)
- 南津 涼子: 暴走した正義ほど、悪いもんはねェんだよ
- 南津 涼子: ===============================================
- 南津 涼子: 330582-1.txt
- 南津 涼子: 着いたぞーー!!時女ーーっ!!
- 静香: やっぱりいいわねこう、自然!って感じで…
- すなお: 空気も新鮮ですしね
- ちはる: 人もいない!
- すなお: ああ、なんかこう色んな煩悩と無縁に生きられそうだな!
- 静香の母: あら、みんなおかえりなさい
- 静香: ただいま!
- 静香の母: ええと…こちらの方は都会のお友だち?
- 南津 涼子: はい、南津涼子と申します!
- 静香の母: 南津…ああ、浄安寺の!
- 南津 涼子: はい!
- 静香の母: じゃあ、時女集落は初めてよね?
- 南津 涼子: はい!
- 静香の母: そう!
- 静香の母: 何もないところだけどゆっくりしていってね
- 南津 涼子: お言葉に甘えさせていただきます!
- ちはる: ねぇねぇ、どこ行く?
- ちはる: 紹介したいような場所、いっぱいあるんだよっ!
- すなお: 橋からの景色とかはこの村ならではですね
- ちはる: あ、いいよね!よし、次はそこに…
- 静香: こーら!遊びにきたわけじゃないのよ
- 静香: ねえ、母様
- 静香: あそこに案内したいんだけど、いい?
- 静香の母: あそこ?ああ、あの…
- 南津 涼子: ここか…
- 南津 涼子: 例の、キュゥべえが祀られてる神社ってのは
- ちはる: ここだね…
- ちはる: 私たちはここで久兵衛様に日の本を救う願いを叶えて
- ちはる: そして巫になった
- 静香: 私たちだけじゃない…
- 静香: 歴代の時女魔法少女は皆ここで日の本のために願い
- 静香: そして、散った…
- 南津 涼子: …………
- 南津 涼子: (日の本を救う、か…)
- 南津 涼子: (そういや、この奥にキュゥべえがいんのかな)
- 南津 涼子: (気になる…けど)
- 南津 涼子: (勝手に触ったらバチ当たりだよな)
- 南津 涼子: (あたしだってそれぐらいの分別はわきまえてる)
- 南津 涼子: お、なんだこの古そうな本!
- パラパラ…
- 静香: あっ、勝手に!
- 南津 涼子: なんか人の名前がいっぱいだ…名簿か?
- 南津 涼子: お、静香やちはるの名前もあンぞ!
- ちはる: え?そうなの?
- 静香: 初耳ね…なんの名簿なのかしら
- ああ、この名簿にはね…
- 日の本のために命を捧げた人たちの名前が載ってるの
- 南津 涼子: えっと…?つ、つまり…?
- ちはる: 平たく言うと英雄ってことかな?
- 南津 涼子: 英雄か…
- 南津 涼子: (英雄…)
- あら、いい表現ね
- 日の本のため、己の身を捧げ戦う使命を背負った…
- 英雄たち…
- この神社は、そんな人たちを祀るためのものでもあるの
- 南津 涼子: (英雄…)
- 「君のお母さんはね、英雄だったんだ」
- 南津 涼子: (己の身を捧げた…英雄!!)
- 南津 涼子: くそっ!
- ちはる: …………
- ちはる: ど、どうしたの?涼子ちゃん…
- 南津 涼子: …………
- 「君のお母さんはね、英雄だったんだ」「君のお母さんは、日本を救ったんだ」「その身を捧げ、命を懸けて日本を救った」「素晴らしい自己犠牲の精神を持っていた」
- 南津 涼子: あたしのかーちゃんは英雄だった…らしい
- 南津 涼子: かーちゃんが死んだ後偉そうな人が来てそう言ってた
- 南津 涼子: だけどあたしはそれを一度たりとも誇らしいと思ったことがない
- 南津 涼子: (だって…かーちゃんの英雄めいた自己犠牲のせいで…)
- 南津 涼子: (あたしは…あたしの人生は…どれだけの苦労を強いられて…)
- 南津 涼子: (なあ、時女の魔法少女たち…お前さんたちもそうなのか…?)
- 南津 涼子: (それを、誇りに思うのか…?)
- 南津 涼子: (それは、なんか…なんか…違うんじゃねぇか…?)
- 南津 涼子: ===============================================
- 南津 涼子: 330582-2.txt
- ちはる: ただいまだよっ!神浜!
- 静香: ただいま…私もすっかり都会の人間ね…
- すなお: …あら?涼子さん、どうされました?
- 南津 涼子: …………ん?
- 南津 涼子: ああ、悪ぃしばらくひとりにさせてくれ
- 南津 涼子: 考えたいことがある
- すなお: どうしたのでしょう…
- 南津 涼子: (あいつらのことは立派だと思うよ)
- 南津 涼子: (心意気はな)
- 南津 涼子: (でも、あたしはやっぱり…)
- 南津 涼子: (日の本のためと自己犠牲の果てに)
- 南津 涼子: (「英雄」になる、なんてのは真っ平ごめんだ)
- 南津 涼子: (だってそれは…かーちゃんと同じ道…)
- 南津 涼子: どうしたもんかね…
- 南津 涼子: …ん?
- 南津 涼子: あれは…
- オロオロ…オロオロ…
- 南津 涼子: なんだなんだ?ただならぬ雰囲気だが
- 南津 涼子: 何か困ってんのか?
- あ、えっと、私たち…
- 栄総合で「モカちゃん係」をしている者なんですが…
- 南津 涼子: モカちゃん係…?なんだそれ
- そのままですよ
- 「モカちゃん」のお世話係です!
- みんなっ!!モカ、見つかったよっ!
- えっ!?
- 南津 涼子: わけわかんねぇけど…
- 南津 涼子: …あたしも行った方が良さそうだな
- 観鳥 令: あれは…この間転校してきた涼子さん…?
- 観鳥 令: この騒ぎ…
- 観鳥 令: 何やらスクープの予感…
- ちょ、ちょっとどこまで行くの?
- あれ!あそこ!
- あっ!!川の中に…
- モカが!!
- このままじゃ流されちゃう!!
- 南津 涼子: すぐ助けるぞっ!!
- 観鳥 令: これは…観鳥さんも助けないわけにはいかないね
- ===============================================
- 330582-3.txt
- 南津 涼子: ゼェ…ゼェ…ハァ…ハァ…
- ???: ハァ…ハァ…
- ???: た、助けていただきありがとうございました…
- ???: みんなも…
- ???: えっと…見ず知らずの親切な方も…
- 南津 涼子: もしかして…お前さんが「モカちゃん」なのか…?
- ???: え?あ、はい…
- 恵 萌花: 恵萌花です
- 南津 涼子: 人間だったか勝手にネコかなんかだと…
- 観鳥 令: あれ?よく見たら君、あの時の…!
- 恵 萌花: そ、その節はお世話になりました…
- 南津 涼子: なんだ令知り合いなのか?
- 観鳥 令: まあ、そんなところ
- うわ~~ん萌花~~~!!
- 恵 萌花: きゃっ!?
- 無事でよかった~~!!
- 私が目を離したばっかりに~~!ごめんね~~!!
- 観鳥 令: なんだいこれは?
- 南津 涼子: モカちゃん係らしい…
- 観鳥 令: …なるほど
- 観鳥 令: まあ、彼女は危なっかしいところがあるからね…
- 観鳥 令: こういう子が集まるのも理解はできなくないかな…
- 観鳥 令: 納得はできないけど
- 大変!萌花、制服がビショビショ!
- ええっ!?カゼひいちゃう!
- くっついてあっためよう!
- 恵 萌花: あ、ありがとう…!
- 南津 涼子: 仲がいいことで
- でも、萌花!もうこんなことしたらダメだよ!
- たまたま助かったからいいけど…そもそもなんで川に入ったの?
- 恵 萌花: あぅ…ごめんなさい…
- 恵 萌花: ちっちゃなネコちゃんが川に流されちゃってて…
- 恵 萌花: それで飛び込んで…
- にゃー
- …………やさしい…
- 怒ってごめん…
- 恵 萌花: そ、そんな!みんなの言う通りだし
- 恵 萌花: 後先考えなかった私が悪いし…
- 萌花…素晴らしい…素晴らしい自己犠牲の精神だよ…
- 南津 涼子: ん…?自己…犠牲…?
- 南津 涼子: おい、お前さん…なんだってそんなことするんだ
- 恵 萌花: えっ…!な、なんで…!?そ、その…!えっと…、えっと…
- 南津 涼子: 英雄になりたかったのか…?身を捧げて、あのネコ救って…
- 観鳥 令: ちょ、ちょっと!英雄とか、急にどうしたの
- 南津 涼子: …っ!す、すまねぇ
- 恵 萌花: い、いえ…そんな…
- 南津 涼子: 今のはあたしの個人的な問題だ…申し訳ねぇ…
- 南津 涼子: 忘れてくれ…
- いいえ!聞き捨てなりません!
- ちゃんと萌花を見てください!
- これのどこが…英雄なんですか!!
- 恵 萌花: …………
- 南津 涼子: 確かに…英雄には…見えない…
- 恵 萌花: えっと、その…英雄とか…難しいことはわかりませんが…
- 恵 萌花: ほんと…大した理由なんてなくて
- 恵 萌花: 私はただ…ネコちゃんが危ないのが、イヤだっただけで…
- 南津 涼子: …………そうか…そう、だよな…
- そう、英雄ではありません!
- 天使ですっ!!
- 南津 涼子: それがきっかけだったかはわかんねぇ
- 南津 涼子: それでもあたしはこの時…ちゃんとかーちゃんのことを考えてみたいと思ったんだ
- 南津 涼子: ===============================================
- 南津 涼子: 330582-4.txt
- 南津 涼子: あたしは何年かぶりにかーちゃんととーちゃんが入ってる墓にきた
- 南津 涼子: お経でも唱えてお参りすれば考えもまとまんのかな…っていう淡い期待と
- 南津 涼子: 墓からかーちゃんの声でも聞こえたらなぁ…っていう、かなり淡い期待
- 南津 涼子: …そういや、かーちゃんの声って…あんま憶えてねぇな…
- 南津 涼子: なあ、かーちゃん
- 南津 涼子: みんなかーちゃんのこと英雄って言ってるぞ
- 南津 涼子: かーちゃんは本当に英雄なのか?
- 南津 涼子: かーちゃんも自分が英雄だと思ってんのか?
- 南津 涼子: 英雄として、死んだのか?満足して、死んだのか?
- 南津 涼子: それとも、川に飛び込んだあの子みたいに…
- 南津 涼子: …………
- 南津 涼子: …何も言うわけねぇか…
- 南津 涼子: なんかこう…聞こえたらいいなって思ったんだけどね
- 南津 涼子: そううまくはいかねぇもんだな
- 涼子の祖父: 涼子か…珍しいな…
- 南津 涼子: …!じーちゃん…
- 涼子の祖父: …何か、お前の母親に聞きたいことでもあったのか…?
- 南津 涼子: まあ…
- 涼子の祖父: …理由はともあれ、墓参りをする気になってくれたんだな
- 涼子の祖父: 一緒にお参りしよう
- 涼子の祖父: そういや、まだちゃんと礼を言ってなかったな…
- 南津 涼子: …なんのことだ?
- 涼子の祖父: 水徳寺
- 涼子の祖父: この寺を救ったのお前なんだろ…?
- 南津 涼子: ――っ!?
- 南津 涼子: …よくわかったな
- 涼子の祖父: 都合が良すぎたしな…最初から巫の力は疑っていた
- 涼子の祖父: まさかそれが孫とは思いもよらなかったが
- 南津 涼子: じーちゃんの言う通りあたしは水徳寺を救うために願い事をして魔法少女になった
- 南津 涼子: 当時、水徳寺と周辺の土地は悪い役人や政治家のオモチャにされたあげく寺も立ち退きを迫られていた
- 南津 涼子: ウチも…浄安寺もバタバタしてて詳しくは聞いてないけどなんとなく察した
- 南津 涼子: そのとき現れたキュゥべえに、あたしは願った
- 南津 涼子: 水徳寺を消そうとしている連中の不正を暴いてほしい…と
- 涼子の祖父: 理不尽だが制度上の正当性は向こうにあった
- 涼子の祖父: だから水徳寺も諦めるしかなかった
- 南津 涼子: …そんなとき突然黒幕の不正が明るみになったと
- 南津 涼子: ま、怪しいよなそりゃ
- 涼子の祖父: …なんで救ったんだ?
- 涼子の祖父: 水徳寺なんて、涼子からしたらしょせんは親戚の寺
- 涼子の祖父: 今でこそ神浜での拠点だが、当時は数回訪れただけのはず
- 涼子の祖父: そんな寺のために、一生に一度の願いを使って戦う使命を背負う…
- 涼子の祖父: 中々できることじゃない…なんで涼子はそうしたんだ
- 南津 涼子: なんで…って言われてもなぁ…
- 南津 涼子: 目の前に、人を不幸にする悪がいてあたしだけがその悪を退治できるなら、力を使うのは当然だろ?
- 南津 涼子: 当時のあたしには、それ以外の選択肢はなかった
- 南津 涼子: 普通に、許せなかったから…
- 涼子の祖父: …それだけか?
- 南津 涼子: …わかんねぇ…
- 南津 涼子: もしかしたらあたしは…ムキになってたのかもしれねぇな
- 涼子の祖父: ムキ…?
- 南津 涼子: 水徳寺周辺の開発を強引に進めた関係者たちはメディアではまるで経済発展を進める英雄のような報道の扱われ方だった
- 南津 涼子: 実際、大多数の人にとって得なことをしてたのかもしれねぇ
- 南津 涼子: でもその影で、割を食う人もたくさんいたんだ…
- 南津 涼子: だから願ったんだそいつの不正を暴いてほしいって
- 涼子の祖父: そんなに許せなかったのか?
- 南津 涼子: …ああ
- 南津 涼子: 英雄みたいにもてはやされてでも、裏では誰かを泣かせてる
- 南津 涼子: そんな大人がさ
- 南津 涼子: あたしはそれを…かーちゃんとあたしに重ねたんだ
- 南津 涼子: 英雄として、人々を救ったらしいかーちゃんその影で、大変だった幼少期のあたし
- 南津 涼子: 水徳時の危機を知ったとき自分の境遇を重ねちまったんだと思う
- 南津 涼子: …………
- 涼子の祖父: そういうことか…やっとわかった
- 涼子の祖父: 来い
- 涼子の祖父: 聞かせたいものがある
- 涼子の祖父: お前の母親がどう死んだのかを…
- 涼子の祖父: いや、どう生きたのか…お前は知っておくべきだ
- 南津 涼子: ここ…なーんかあンだよなぁ
- 南津 涼子: ===============================================
- 南津 涼子: 330583-1.txt
- <浄安寺>
- 涼子の祖父: 緑茶でいいな?
- 南津 涼子: お茶ぐらいあたしが出すよ
- 涼子の祖父: いい、久しぶりの帰省なんだくつろげ
- 涼子の祖父: …できた
- ズズ…
- 南津 涼子: 薄い…
- 涼子の祖父: これもまだ、言ってなかったよなお前の母親の仕事について…
- 南津 涼子: 聞いたことねぇな
- 涼子の祖父: 規則でな、本当は言っちゃダメなんだ
- 涼子の祖父: 涼子、お前の母親はな…警察の治安に関する仕事をしてた
- 南津 涼子: 治安…
- 涼子の祖父: まさに、正義の英雄だった秘密のな
- 南津 涼子: 正義…英雄…
- 涼子の祖父: お前が物心つく前からこの寺によく預けられてたのは
- 涼子の祖父: 父親は死んで、母親が家を空けることも多かったからだな
- 南津 涼子: なるほど…
- 南津 涼子: で、聞かせたいものってのは?
- 涼子の祖父: この音声だ…通話記録
- 南津 涼子: 通話記録…なんの?
- 涼子の祖父: お前の母親が、最期の日ウチにかけてきたんだ
- 涼子の祖父: いわば遺言だな
- 南津 涼子: 遺言…
- 涼子の祖父: 電話の時点で死期を悟っていたようだった
- 涼子の祖父: どうも地下組織とひとりでドンパチやる直前に
- 涼子の祖父: かけてきた電話らしい
- 涼子の祖父: オレだって色々言ったんだ
- 涼子の祖父: お前が呼んだ応援を待つべきだとか
- 涼子の祖父: それができないならせめて逃げろとか…
- 涼子の祖父: でも、一切聞いてくれなくてな親不孝者だ
- 涼子の祖父: で、そんな不毛な最期の会話をした後にな
- 涼子の祖父: やっぱりお前に声を残したかったらしい
- 涼子の祖父: これがその音声だ
- 涼子の祖父: 機会が来たら聞かせてほしいと言っていた
- 涼子の祖父: オレはその機会がわからなくてな…
- 涼子の祖父: さあ、再生するぞ…
- カチッ
- 涼子の祖父の声: …録音開始した
- 涼子の母の声: ハァ…ハァ…そう…ありが…とう…
- 涼子の母の声: …………
- 涼子の母の声: やっほ~~~!涼子~~、聞いてるか~~!
- 涼子の母の声: ママだぞ~~!
- 涼子の母の声: なっはっは!
- 南津 涼子: これが…かーちゃんの声…
- 南津 涼子: ===============================================
- 南津 涼子: 330583-2.txt
- 南津 涼子: (そうだ、こんな声だった)
- 南津 涼子: (ハッキリ覚えてたわけじゃねぇけど…やっぱ…)
- 南津 涼子: (やっぱ、安心する…)
- 涼子の母の声: じゃあ、言いたいことは簡潔に!
- 涼子の母の声: ごめんな…ママ、もう会えない
- 涼子の母の声: 多分これから、涼子はいっぱい苦労することになると思う
- 涼子の母の声: 最後までダメなママでごめんねー
- 涼子の母の声: だけどひとつだけ、胸を張れることがある
- 涼子の母の声: ママは、涼子を守れて幸せです
- 涼子の母の声: って、これじゃあ、ただあたしが幸せってだけじゃんな!
- 涼子の母の声: なっはっは!
- 幼い涼子の声: だぁ!だぁ!
- 涼子の母の声: 可愛い笑顔だ電話だから見えねぇけどわかる
- 涼子の母の声: イイ女になれよっ!愛してる!頑張れ!
- 涼子の母の声: じゃーなー!
- ピー…
- 涼子の祖父: …ここまでだ
- 南津 涼子: …………
- 南津 涼子: …そうか
- 涼子の祖父: …………
- 涼子の祖父: この後、現場には呼んでいた応援が駆け付けた
- 涼子の祖父: その瞬間まで、意識を保って耐えていたらしい
- 涼子の祖父: 搬送された病院で死んだよ
- 南津 涼子: …そうか
- 涼子の祖父: 結局、誰も事件については教えてくれなかった…
- 涼子の祖父: だからこれは推測まじりになってしまうが
- 涼子の祖父: あの日、お前の母親は戦争を防いだんだ
- 南津 涼子: …戦争?
- 涼子の祖父: ああ、絶対起きるとは限らんが可能性は低くなかったらしい
- 涼子の祖父: あの頃、ある不穏分子が戦争を引き起こすために
- 涼子の祖父: 外国の工作に見せかけた無差別テロの計画をしていた…
- 涼子の祖父: お前の母親が決行直前にその計画を止めたんだ…
- 涼子の祖父: 計画が成功していたら
- 涼子の祖父: 今ごろは本当に戦争になってたかもしれない
- 涼子の祖父: つまり、お前の母親は戦争から日の本を守るため…
- 南津 涼子: 違うよ
- 南津 涼子: いや、もしかしたら…
- 南津 涼子: こんな解釈はおこがましいのかもしれねぇけど…
- 南津 涼子: かーちゃんは戦争から守ってくれたんだ
- 南津 涼子: あたしを
- 南津 涼子: 少なくともあたしにはそう聞こえたよ
- 涼子の祖父: …そうか…そうだな
- 南津 涼子: ===============================================
- 南津 涼子: 330583-3.txt
- 南津 涼子: じーちゃん…ありがとう…
- 南津 涼子: 聞きたいことが…聞けた気がする
- 南津 涼子: 今、一番聞きたかったことが聞けた気がする
- 涼子の祖父: そうか
- 南津 涼子: (かーちゃんは…自分の心配を一切してなかった)
- 南津 涼子: (ただ純粋に、あたしをどう守るか考えていた)
- 南津 涼子: (自己犠牲…なんて思ったけど本当はそういうことじゃない)
- 南津 涼子: (そんなのは外野の意見だ)
- 南津 涼子: (かーちゃんはそれが犠牲だなんて思ってない)
- 南津 涼子: (命を懸けた英雄になろうとなんてしてない)
- 南津 涼子: (ただ純粋に、守りたいものを守った…それだけだ)
- 南津 涼子: かーちゃんは幸せだったんだな
- 涼子の祖父: ああ…そう言っていたな
- 涼子の祖父: 幸せに、生き終えたようだ
- 南津 涼子: あたしも…そうしたい…
- 南津 涼子: 心のままに生きたい…
- 涼子の祖父: 心…
- 南津 涼子: だってあたしには…もうかーちゃんとのつながりは
- 南津 涼子: 心しかねぇんだからな…
- 南津 涼子: (この肉体はもう…ただの抜け殻みたいだしな)
- 南津 涼子: (ごめんよ、かーちゃん)
- 南津 涼子: (でも、だからこそ…)
- 南津 涼子: ごめんよじーちゃん…
- 南津 涼子: もしかしたらあたしはじーちゃんを
- 南津 涼子: 妻にも娘にも孫にも先立たれた孤独で不幸な老人にしちまうかも
- 涼子の祖父: フン…
- 涼子の祖父: そんなのお前が気にすることじゃない
- 涼子の祖父: お前はお前の幸せがなんなのかしっかり考えて
- 涼子の祖父: その為に生きろ
- 南津 涼子: ああ、今のはちょっと
- 南津 涼子: 覚悟持ってもらうために言ってみただけだ
- 南津 涼子: あたしは死なねぇ
- 南津 涼子: 心のままに生き抜いて…生き続ける
- 涼子の祖父: …迷いは晴れたようだな
- 南津 涼子: そうだね
- 南津 涼子: …行ってくる
- 涼子の祖父: ああ、よく話してこい
- 南津 涼子: お
- 静香: そろそろだと思ってね
- ちはる: 待ってたよ!
- すなお: 涼子さんのお言葉…聞きたいです
- 南津 涼子: ああ、ありがとう
- 南津 涼子: 悪いな、こんな時間かかって
- 南津 涼子: でも、もう決めたから
- 静香: ===============================================
- 静香: 330583-4.txt
- みんな: …………
- 南津 涼子: みんな、待たせたな決めたよ
- 静香: あなたが納得した道というならなんだって受け入れるわ
- 静香: 話して
- 南津 涼子: ああ
- 南津 涼子: まずあたしは、静香たちの様に
- 南津 涼子: 日の本のために願ったわけじゃねぇ
- すなお: そ、それでしたら私も…
- すなお: いえ、そういう話ではないのでしょうね…
- 南津 涼子: ああ、立派なことだと思うが…
- 南津 涼子: むしろあたしは、時女のそういうことに懐疑的だった…
- 南津 涼子: 正直に話すと
- 南津 涼子: 集落で見たあの名簿…
- 南津 涼子: あれを見て、ちょっとだけ時女との価値観の違いを感じた
- ちはる: そ、それじゃあ…
- 南津 涼子: …あたしのかーちゃんも、同じような感じだったんだ
- 南津 涼子: 時女の魔法少女の様に日の本を救うため、命を捧げて…
- 南津 涼子: あたしを残して、死んだ
- 静香: 苦労したのね…
- 静香: そしてそれが、時女に重なって…自己犠牲で人々を救った人を…
- 南津 涼子: その通りだ疑問に思っちまった
- 南津 涼子: むしろ嫌いだと思っちまった
- 南津 涼子: でも、ちゃんと向き合ったんだ
- 南津 涼子: かーちゃんは決して英雄になろうとしたわけじゃない
- 南津 涼子: 周りのお偉いさんは英雄と持ち上げたみたいだけど…
- 南津 涼子: かーちゃん自身はただ純粋に守りたいものを守った
- 南津 涼子: それだけだったんだ
- 南津 涼子: それはあたしも同じだ
- 南津 涼子: 目の前に困った人がいたら後先なんて考えない
- 南津 涼子: 守りたいものを守るし許せないものを許さない
- 南津 涼子: キュゥべえに願った時もそうだった…
- 南津 涼子: かーちゃんの想いはあたしと同じだった…
- 南津 涼子: その遺伝子は…あたしの中に刻まれてたんだ
- 静香: …………
- 南津 涼子: それで思ったんだ
- 南津 涼子: もしかしたら…時女に祀られてるあの人たちも
- 南津 涼子: 気持ちは変わらないんじゃないかって
- 南津 涼子: だってあたしもかーちゃんも同じ時女の遺伝子なんだから
- 静香: 結局そこに行きついたのね
- 静香: はぁ~あ、遠回りだこと
- ちはる: えっと、それじゃあ…
- 南津 涼子: ああ、多少考え方の差はあるかもしれねぇが…
- 南津 涼子: 本質的にあたしが時女と相反することはねぇ
- 南津 涼子: だから改めて言わせてくれ
- 南津 涼子: あたしは時女一族として戦う!
- ちはる: やった~!
- すなお: よろしくお願いします!
- 静香: 大歓迎よ!
- 南津 涼子: ということで…
- 南津 涼子: 今日は焼肉だな!
- ちはる: わ~~い!
- 静香: きみは事あるごとに肉ね…
- 南津 涼子: また来たぞかーちゃん
- 南津 涼子: 案外、親孝行モンだろ?
- 南津 涼子: あたし、決めたんだ時女として戦ってく
- 南津 涼子: 何が正解だとか難しいことはまだよくわかんねぇけどよ…
- 南津 涼子: 自分の大切なものを守るために、この世界のために戦う
- 南津 涼子: それは変わらないからさ
- 南津 涼子: かーちゃんみたいに頑張るよ
- 南津 涼子: 英雄と呼ばれた、ただの親バカのかーちゃんみたいにな
- 南津 涼子: よし、何もかも完全に解決したな!
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