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- FILENAME: text_341221-1.txt
- <1424年>
- <フランス、パリ>
- ミヌゥ: ―ミヌゥ― かしこまりました お母さま…
- ミヌゥ: 偉大なるイザボー様より 命を賜りました
- ミヌゥ: イヴリーの包囲は そのまま継続せよ、と
- ハッ!
- ミヌゥ: とはいえ敵の城塞は ほどなく陥落するでしょう
- と、申しますと…?
- ミヌゥ: コルボーお姉さまが 向かわれましたから…
- すごいですね、ミヌゥ様は まだお若いのに
- イングランド軍の将に てきぱきと指示をなさって
- ラピヌ: ちがうよ~
- ラピヌ: たしかにミヌゥは 頭もいいけど…
- ラピヌ: いまのはお母さまの伝言を 伝えたんだよー!
- イザボー様の…? どういうことでしょう?
- 申し訳ありません、ラピヌ様
- この子はお仕えを始めてから まだ日が浅く
- 何も存じ上げないもので…
- ラピヌ: そっかー、じゃあ教えてあげる
- ラピヌ: お母さまはほとんど 口を利かなくなっちゃったけど
- ラピヌ: ミヌゥだけはお母さまと 少し心がつながってるんだよね
- 心が…つながっている…?
- ラピヌ: そう!
- ラピヌ: だからお母さまのご命令は ミヌゥが聞いて伝えるんだよ
- なるほど…
- ありがとうございます、ラピヌ様 勉強になりました
- ラピヌ: それじゃ、お仕事がんばってね!
- …不思議な力をお持ちなのですね ミヌゥ様は
- ラピヌ様とコルボー様も それとは違う力をお持ちだわ
- イザボー様のご令嬢方は すごい方ばかりなのですね
- ええ、そして
- イザボー様の孫にあたる ヘンリー国王陛下は
- イングランド王国とフランス王国
- ふたつの国の 正統なる国王という地位にあるわ
- その祖母であらせられる 偉大なるイザボー様は
- ふたつの王国を統べる影の女王… と呼ぶにふさわしいお方なのよ
- FILENAME: text_341221-2.txt
- ミヌゥ: …あら?
- ラピヌ: おかえり、コルボー!
- ミヌゥ: お戻りになられていたのですね コルボーお姉さま
- コルボー: ああ、たった今な
- イザボー: ………… …………
- コルボー: お母さま…?
- コルボー: わざわざお出迎え いただかなくとも、こちらから…
- イザボー: …サヴァ…
- イザボー: ………… …………
- ミヌゥ: いかがなさいました? お母さま
- ミヌゥ: …はい…ええ… 承知いたしました
- コルボー: お母さまはなんと?
- ミヌゥ: イヴリーでの働き ご苦労であった、と…
- ミヌゥ: 次は、ギーズの友軍の援護に 向かっていただきたいそうです
- コルボー: わかった
- コルボー: ありがとうございます、お母さま 楽しんでまいります
- イザボー: ………… …………
- コルボー: ミヌゥ、私が不在の間に
- コルボー: あのお方から 他の指示はなかったか?
- ミヌゥ: 友軍であるイングランド軍への 言伝がございました
- ミヌゥ: ヴェルヌイユの状勢から 目を離さぬように、と…
- コルボー: ヴェルヌイユ? …なぜだ?
- コルボー: スコットランド軍の動きは 他の都市に向いているようだが
- ミヌゥ: さあ、私にも心あたりは…
- ミヌゥ: おそらくあの方にしかわからない 何かをお察しなのでは、と
- ラピヌ: あれっ? 今度はスコットランド軍が敵?
- ミヌゥ: 正確に申しますと…
- ミヌゥ: 敵はシャルル王太子派と スコットランド軍の混成軍ですわ
- ミヌゥ: 敵は、無知な者たちを扇動して 私たちをイングランド陣営と呼び
- ミヌゥ: 自分たちこそ真のフランス軍だ… などと称しておりますが
- ミヌゥ: もともと、争っているのは 私たちフランス人同士なのです
- コルボー: そうだな、私らは ヘンリー国王陛下を
- コルボー: イングランド・フランス両国の 国王と認める陣営
- コルボー: だからイングランド軍と 手を結んでいる
- コルボー: 一方、それを認めない連中が 南に集うシャルル王太子派…
- コルボー: これがフランス国内における 私らの敵だ
- ミヌゥ: スコットランドはもともと イングランドと犬猿の仲…
- ミヌゥ: 「敵の敵は味方」ということで わざわざ海の向こうから
- ミヌゥ: 王太子派に 援軍をよこしたのですわ
- ラピヌ: えっと、それじゃ…
- ラピヌ: 王太子派とスコットランド軍を
- ラピヌ: まとめてぐっちゃぐちゃに すればいいんだよね!
- コルボー: そうですね
- ミヌゥ: フフ…
- 失礼いたします!
- コルボー: ン…?
- ミヌゥ: 何か?
- ミヌゥ: ただならぬ様子ですが…
- はい、さきほど入った 報せによりますと
- ヴェルヌイユが 敵の手に落ちたとのこと!
- コルボー&ミヌゥ: …………!
- FILENAME: text_341221-3.txt
- コルボー: ヴェルヌイユが…落ちた?
- ミヌゥ: イングランド軍が 敗れたのですか?
- いえ…それが…
- 敵のスコットランド軍の 先頭に立つ少女が
- 魔法のようなものを 使ったと思うと
- 次の瞬間、ヴェルヌイユの市街に 忽然とスコットランド軍が現れ
- 無血開城のような形を 余儀なくされた…と
- 信じがたい話ですが…
- 続報が入りましたら またお知らせします!
- ミヌゥ: …どう思います?
- コルボー: 単に、報告が間違っていると 思いたいが…
- ミヌゥ: にわかには信じがたいことですが
- ミヌゥ: お母さまがヴェルヌイユの状勢を 気にかけていらっしゃったのも
- ミヌゥ: 少し前から、異変の前兆を 感じておられたゆえかと…
- ラピヌ: んー、敵は 魔法を使ったんだよね?
- ラピヌ: それって 魔法少女ってことじゃないのー?
- コルボー: ええ、私もそれを考えていました
- コルボー: しかし…誰がそいつを 魔法少女にしたのか…
- コルボー: そいつもお母さまに願いを捧げて 魔法少女になったとでも…?
- ミヌゥ: その場合は、侍女の誰かが 裏切ったことになりますが
- ミヌゥ: 侍女の中に、そのような魔法を 使う者はおりませんでしたし
- ミヌゥ: その可能性はなさそうですわ
- コルボー: …面白い
- コルボー: そんな敵がいるなら 殺し合いもたっぷり楽しめそうだ
- ミヌゥ: ですが…コルボーお姉さまには 別の命令が下っておりますし…
- ミヌゥ: ここは私とラピヌお姉さまに 対処はおまかせを
- コルボー: ミヌゥたちが? 危険な相手かもしれないぞ
- ラピヌ: だいじょーぶ、まかせて!
- ミヌゥ: その前に、報告の真偽を 確かめる必要もありますけれど…
- コルボー: ………… …………
- コルボー: …やはり報告は本当のようだな
- ミヌゥ: ええ、ヴェルヌイユには ラピヌお姉さまと私が赴き
- ミヌゥ: 敵方の魔法少女に対処します
- ミヌゥ: では、準備がございますので…
- コルボー: …………
- コルボー: (予測がつかない)
- コルボー: (敵の魔法少女が どれほどの力を持った存在か…)
- コルボー: (…考えにくいことだが)
- コルボー: (私たち姉妹すら 凌駕する力を持った魔法少女が)
- コルボー: (出現した可能性も 捨てきれない…)
- コルボー: (契約済みの侍女たちを ミヌゥたちの護衛につけるか?)
- コルボー: (いや、心を失った侍女では 不測の事態には対処できない)
- コルボー: (お母さまに助力を願えるなら)
- コルボー: (この事態にも容易に 対応ができただろうが…)
- コルボー: …………
- コルボー: ん…? お母さま…侍女?
- コルボー: …………! そうか…それだ!
- ラピヌ: 「私も…私も魔法少女になるっ!!」
- ラピヌ: 「だからっ!」
- ラピヌ: 「だからお母さまを…」
- ラピヌ: 「もとに戻してっ!!」
- コルボー: (あのとき魔女と化してしまった お母さまは)
- コルボー: (ラピヌお姉さまの願いで もとの姿に戻ったが)
- コルボー: (お姉さまの 願いをもってしても)
- コルボー: (正気を戻すことまでは 適わなかった…)
- コルボー: (その後、幾人もの少女に 願いを捧げさせてきたが…)
- コルボー: (お母さまが 正気を取り戻すことはなかった)
- コルボー: (数刻はおろか、ほんの数瞬…)
- コルボー: (意識をこちらに向けられた だろうか、といった有様だった)
- コルボー: …だが
- コルボー: (ひとつ気づいたことがある)
- コルボー: (侍女たちの中でも、才気に 優れた者が願いを捧げた場合)
- コルボー: (その結果がより良い方向に つながることが多かった)
- コルボー: (それが、生まれであるのか 本人が持っていた資質なのかは)
- コルボー: (わからないが…)
- コルボー: (ならば アイツがいいだろう…)
- コルボー: (高位貴族に連なる血を引き 戯れに見せた弓術でも)
- コルボー: (抜群の才があった あの侍女ならば)
- コルボー: (せめてこの戦いの間だけでも)
- コルボー: (お母さまの正気を戻すことが できるかもしれない…)
- コルボー: …あの方の閨に向かうとするか
- コルボー: アイツにはせいぜい 心から願ってもらうとしよう
- コルボー: ―コルボー― お母さま
- コルボー: ―コルボー― …この侍女に、叶えていただきたい 願いがあるそうです
- イザボー: ―イザボー― 来なさい(ヴィアン・イスィ)…
- イザボー: こうして直接言葉を交わすのは ひさしぶりになるかしらね
- イザボー: 我が愛しき娘よ
- コルボー: お母さま…!
- イザボー: ここまでするからには よほどの事態が起きているのね?
- コルボー: はい…
- コルボー: ヴェルヌイユにて、敵軍に 正体不明の魔法少女が現れました
- コルボー: これからミヌゥたちが 対処に向かう予定ですが…
- イザボー: …なるほど、万全を期すなら 私が直接赴く方がよさそうね
- ???: …………
- イザボー: この子が、私を今の状態に 戻した侍女ね
- イザボー: 光栄に思いなさい この女王の翼賛となれたことを
- コルボー: はい、さる貴族からの 預かりだった者ですが
- コルボー: 元より弓術を得意としていた からでしょうか…
- コルボー: 武器は、なかなか 強力な魔力を持った弓のようです
- ???: …………
- イザボー: ふふ、友軍のイングランドも
- イザボー: 弓兵に重きを置いた戦術を 得意としていたわね
- イザボー: ちょうどいいわ
- イザボー: ヴェルヌイユには この子と一緒に向かいます
- イザボー: そうね 褒美として名をあげましょう
- イザボー: あなたのことは
- イザボー: “矢(フレシュ)”と 呼んであげる
- こくっ
- イザボー: では、支度を始めるわ
- イザボー: フレシュ、こちらへ
- フレシュ: …………
- コルボー: (…これで)
- コルボー: (ミヌゥたちを 危険に晒さずに済む…)
- FILENAME: text_341221-4.txt
- <1424年8月>
- <フランス、ヴェルヌイユ近郊>
- <連合イングランド陣営>
- ざわ…
- …いったい何事だ?
- い、イザボー様が いらっしゃいました!
- なっ…? こんな最前線にか?
- 急ぎ、お迎えの準備を!
- イザボーの声: …必要ありませんわ 邪魔になる前に引き揚げますので
- イザボー: ヴェルヌイユを取り戻すための 一大決戦を前に
- イザボー: 前線で日々、戦っていらっしゃる 方々の慰問に参りましたの
- イザボー: 少し、お話を 聞かせていただけますかしら
- は…はいっ
- イザボー: …ひとつお伺いしますわ
- イザボー: このイングランド陣営で 最も有能な将は誰でしょう?
- ハッ、それはもちろん
- 総指揮官たるイングランド摂政 ベッドフォード公かと!
- イザボー: …ふふ、そうね
- イザボー: こんな聞き方をされたら誰だって 総大将が一番と答えるわよね
- イザボー: それじゃ、2番目に有能な将は 誰だと思う?
- イザボー: あなたたち自身が本当にそう思う 人の名を教えてほしいの
- …………
- …私の考えでは… ジョン・タルボット様かと
- そうだな…普段は 飄々とされているが
- あの方の勇猛さを 兵たちはみな知っている
- イザボー: そう そういうお話が聞きたかったの
- イザボー: ふふ… いいお話が聞けたわね
- イザボー: (ジョン・タルボット… 苦労人で腰の低い大食漢)
- イザボー: (戦場では勇猛で信義に厚く 兵の信頼は高いけれど…)
- イザボー: (イングランドの弓兵隊が 騎兵たちを薙ぎ払い)
- イザボー: (騎士の時代が終わりつつある 現実が見えぬほど馬鹿ではない)
- イザボー: (これから始まる一大決戦では この男に花を持たせましょう)
- イザボー: …………
- イザボー: (内通者の情報によると 敵軍では、重要な一翼を)
- イザボー: (これがほぼ初陣となる 若きアランソン公が担うはず)
- イザボー: (友軍の配置にわざと隙を作って 誘い込みましょう)
- フレシュ: …………
- イザボー: ふふ…そのときは あなたに役に立ってもらいますよ
- イザボー: あとは、敵方の魔法少女… これをどうにかするだけね
- イザボー: ふふ… この姿になるのは、ひさしぶりね
- FILENAME: text_341222-1.txt
- <1424年>
- <フランス、ヴェルヌイユ近郊>
- イザボー: さあ…いよいよ 一大決戦が始まるわね
- イザボー: 本格的な会戦の前に… すべきことをしておきましょう
- イザボー: …ふふっ
- イングランド軍など恐れるな!
- 我らには神のご加護を受けた 少女がついている!
- おおぉー!
- 次は、兵隊さんたちが この場所に隠れられるように
- 魔法をかけて…と
- ――っ!?
- イザボー: なるほど 目くらましの魔法でしたか
- イザボー: あなたね? イングランド軍を惑わせて
- イザボー: だまし討ちでヴェルヌイユを 陥落させた魔法少女は
- …あ、あなたは …誰…?
- イザボー: あなたと同じ キューブと契約した魔法少女よ
- イザボー: さあ、答えなさい
- イザボー: あなたはいったい何を願って 魔法少女になったの?
- …わ…私は… 王太子様の軍勢に
- イングランド軍から 町を奪い取ってほしくて…
- イザボー: …なるほど
- イザボー: 王太子派とスコットランド軍が 急に狙いを変えて
- イザボー: ヴェルヌイユが不思議なほど あっけなく陥落したのは
- イザボー: あなたの願いのせいだったのね
- …………
- イザボー: どんな敵かと思えば いじましいものね
- イザボー: ささやかな願いにふさわしい まるで取るに足らぬ力
- イザボー: 目くらましの魔法で 軍勢を隠したり
- イザボー: 人々を鼓舞する… といったところがせいぜいかしら
- …何が言いたいの…!
- イザボー: あら…これは失礼したわね
- イザボー: でも、もういいの 言いたかったことはこれだけよ
- イザボー: …邪魔だから消えなさい
- ――っ!?
- イザボー: …ふふ
- FILENAME: text_341222-2.txt
- スコットランド軍の 援軍はまだか!
- …イングランド軍に見つかって 足止めされている模様です!
- 少女の目くらましの術が… 利かなかったのか?
- イザボー: …その通り
- イザボー: もう、あなたたちの希望は 絶たれましたわ
- ――っ!?
- [live2dName:live2d_1:effect_shake][live2dName:live2d_0:effect_shake]うわぁああっ!!!
- イザボー: ふふ… 他愛のないこと
- イザボー: このまま皆殺しにするのも 一興ですが…
- イザボー: イングランドのお味方が 手柄をあげられるように
- イザボー: 敵兵も少しだけ 残しておいてあげましょう
- イザボー: うふふ…
- ジョン・タルボット: 「さあ、好機ですよ!」
- ジョン・タルボット: 「イングランドの勇士たちよ! このジョン・タルボットに続きなさい!」
- ジョン・タルボット: 「フランス軍もスコットランド軍も まとめて踏み潰してやりましょう!」
- うぉおおおおーーーっ!!!
- …な、なんだ!?
- イングランド軍襲来! 先頭はジョン・タルボット!
- まずいぞ
- こちらは先の攻撃で かなりの痛手を受けている
- …だが妙だな 敵の右翼がガラ空きだぞ
- 確かに、隙だらけに見えます
- わざと空けてあるのか? 罠とも思えるが…
- アランソン公: 「反撃開始! イングランド軍の右翼を突くぞ!」
- 「うぉぉおーっ!!」
- ――っ!?
- あれは… 味方のアランソン公か!
- はい、残る騎兵隊を率いて 突撃を敢行した模様です!
- …いやな予感がする まさか、敵軍は
- 右翼側の指揮官がまだ若い アランソン公と見越して…?
- フレシュ: ………… …………
- なんだ? …イングランドの弓兵か?
- だが、少女ただひとりで 何をしようと…
- フレシュ: …………!
- [live2dName:live2d_1:effect_shake][live2dName:live2d_0:effect_shake][live2dName:live2d_2:effect_shake]ぐあぁああっ!!
- …どういうことだ!?
- たったひとりの弓兵を相手に …一瞬で…?
- イザボー: ふふっ…フランスの騎士たちも 芸のないこと…
- イザボー: 騎士の時代はもう終わるの
- イザボー: 何もない平野で闇雲に突撃すれば イングランドの弓兵の餌食になる
- イザボー: 先のアジャンクールの大敗で
- イザボー: 嫌というほど 思い知ったことでしょうに…
- イザボー: 勝負は決しました ヴェルヌイユは奪還したも同然
- イザボー: 連合イングランド陣営の大勝です
- イザボー: アランソン公は 生かしておきなさい
- イザボー: 捕虜として有効利用しないと
- フレシュ: …………
- カサ…
- イザボー: ん…?
- おい、味方をこのまま 見殺しにしていいのか?
- …無念だが、我々が駆けつけても 死体がふたつ増えるだけだ
- 任務通り、あの魔法を使う少女を しっかりと見ておくんだ
- その詳細をリッシュモン様に 余さず報告することが
- いつかフランスを 救うことになる…!
- イザボー: (アルテュール・ド リッシュモン…)
- イザボー: (シャルル王太子派に寝返った 有力貴族ね)
- イザボー: (これからの戦争に勝利する鍵は 魔法少女と組織戦…)
- イザボー: (敵にも、先が見えている者が いるようね)
- イザボー: (面白い…権勢をめぐる遊戯は こうでなくては)
- FILENAME: text_341222-3.txt
- <3年後…>
- <1427年>
- <フランス、パリ>
- ミヌゥ: …………
- ラピヌ: あ、ミヌゥ! おかえり!
- コルボー: お母さまの閨で 何を話していたんだ?
- ミヌゥ: ええ、敵側への 宮廷工作について少々…
- コルボー: …確かに敵方の宮廷には 厄介な男がいる
- コルボー: フランス軍元帥リッシュモンは 敵ながら有能な軍人で政治家だ
- コルボー: さっさと失脚してもらわないと こちらとしてもやりづらい
- ミヌゥ: まさにその男の話ですわ
- ミヌゥ: ヴェルヌイユの戦いの頃より お母さまは警戒しておりました
- コルボー: (ヴェルヌイユの戦い…3年前 お母さまが正気に返ったときか)
- コルボー: (やはり、お母さまは 戦いのあと)
- コルボー: (もとの状態へと 戻ってしまったが…)
- コルボー: (あの大勝でタルボットも 騎士の叙勲を受けて)
- コルボー: (連合イングランド陣営も 多少マシになったんだったな…)
- ミヌゥ: シャルル王太子派が リッシュモンを抜擢した裏には
- ミヌゥ: 王太子の義母である
- ミヌゥ: ヨランド・ダラゴンの暗躍が ささやかれております…
- コルボー: だが、宮廷工作というなら…
- コルボー: シャルルの寵臣を使って すでにやっているはずだが?
- ラピヌ: お母さまのところに 出入りしている男がいたよねー?
- ミヌゥ: ピエール・ド・ジアックですわね 彼は用済みですわ
- ラピヌ&コルボー: ――っ!?
- ミヌゥ: これまでリッシュモンへの妨害は ジアックにまかせてきましたが
- ミヌゥ: どうにも無能で、これ以上は こちらの害にもなりかねないので
- コルボー: 用済み…暗殺か
- ラピヌ: 殺っちゃうんだ?
- ミヌゥ: そういうことですわ
- ミヌゥ: ただ、こちらで手を下さずとも
- ミヌゥ: リッシュモンの一派の誰かが 先に動く気配もありますが…
- コルボー: …そのあとはどうする?
- コルボー: ジアックが死ねば、むしろ リッシュモンの権限が強まるぞ?
- ミヌゥ: お母さまはそのかわりに
- ミヌゥ: ラ・トレモイユという男を 後釜に据えさせる意向ですわ
- ミヌゥ: 王太子に多額の貸付をして 宮廷内で力を増している文官です
- ミヌゥ: 金づるである大貴族の孫… ジル・ド・レ卿に近づくなど
- ミヌゥ: 出世に抜け目のない男ですわ
- ラピヌ: そいつにまかせて大丈夫なの?
- ミヌゥ: お母さまによると
- ミヌゥ: ラ・トレモイユはある意味で 最も信頼できる男だ…と
- コルボー: なぜだ?
- ミヌゥ: 彼は“正統のフランス王家”に 忠誠を捧げています
- ミヌゥ: シャルル王太子は 私たちの兄弟であり
- ミヌゥ: お母さまの…イザボー様の 血を引く王子ではありますが
- ミヌゥ: 父親が定かではないとして 世継ぎの身分を剥奪されています
- コルボー: …先代フランス王の血を 引いていないというわけだな
- コルボー: むろん王太子派は否定しているが
- ミヌゥ: ええ…一方、イングランド国王と フランス国王を兼任される
- ミヌゥ: 我らがヘンリー6世陛下は 先代のフランス王のみならず
- ミヌゥ: 父方のヘンリー5世の側からも フランス王の血を色濃く引くお方
- ミヌゥ: それを支持するラ・トレモイユは シャルル王太子派にありながら
- ミヌゥ: 連合イングランド陣営への 最も忠実な内通者と言えるのです
- コルボー: …なるほど
- コルボー: フランスを愛するあまり 王太子を裏切ろうというわけか
- コルボー: 面白い見世物が見られそうだ!
- ラピヌ: それで、暗殺ってどうするの?
- ミヌゥ: この子を使いますわ
- フレシュ: …………
- コルボー: 弓で射殺すのか
- ミヌゥ: ええ、遠い距離から より確実に射止めるために
- ミヌゥ: この子の弓がより強くなるよう 別の侍女に願いを捧げさせました
- ラピヌ: また魔法少女が増えた?
- ミヌゥ: ええ、新しい子は…
- ミヌゥ: “刃(ラム)”と呼びましょう
- ラム: …………
- FILENAME: text_341222-4.txt
- …行くぞ
- …ああ
- ジアック: …………
- ザッ
- ジアック: ――っ!?
- ジアック様、我々と一緒に 来ていただきましょう
- ジアック: …リッシュモンの手の者か?
- 我々はフランスの将来を憂い リッシュモン様を支持している
- だがこれは リッシュモン様の命令ではない
- 動けばこの場で殺します
- おとなしく同行していただければ 弁明の機会は差し上げましょう
- ジアック: …即決裁判か 私刑と変わらんな
- どうされますか?
- ジアック: 拒否すれば殺すのだろう?
- 察しがよくて助かります 馬がございますので、こちらへ
- ミヌゥ: 私たちに先んじて…
- ミヌゥ: リッシュモンに近い者たちが ジアックを捕縛したようですわね
- ミヌゥ: ですが、ここは口封じも兼ねて 確実に死んでいただかないと…
- ミヌゥ: フレシュ、ラム
- フレシュ&ラム: …………
- ミヌゥ: 今からこの先の砦に ジアックが運び込まれます
- ミヌゥ: フレシュは相手に見られぬよう
- ミヌゥ: 遠い距離から 一撃で確実に仕留めなさい
- フレシュ: …………
- ミヌゥ: ラム、あなたは邪魔が入らぬよう 周囲の警戒を
- ラム: …………
- パカッ、パカッ…
- ミヌゥ: …来たようですわね
- …ん?
- どうした?
- 馬の様子が…
- ドンッ
- ドサッ
- ジアック: ………… …………
- おいっ…!
- 死んでいる…!? どこから矢を放った!
- 誰もいないぞ…?
- いったいどうなってる!
- フレシュ: …………
- ミヌゥ: ふふ… 上出来です
- ラム: …………!
- ミヌゥ: ん…? 誰かそこにいるのですか?
- ミヌゥ: 後を追いなさい、ラム
- ラム: …………
- ラム: …………!
- ブゥン
- ペレネル・フラメル: …………
- ペレネル・フラメル: 気づかれてしまいましたか
- ペレネル・フラメル: 私たちの目的は監視のみ
- ペレネル・フラメル: 厄介なことになる前に ここは退きましょう
- ミヌゥ: ジアックの暗殺に 成功いたしました
- イザボー: …サヴァ…
- ミヌゥ: ありがとうございます
- ラピヌ: 結局どーなったの?
- ミヌゥ: リッシュモンの一派の何者かが ジアックを処断するところでした
- ミヌゥ: そこで、こちらで横入りして 口封じしたのですわ
- ミヌゥ: 世間は、リッシュモンの仕業だと 考えるでしょうけれど…
- コルボー: 次は後釜に ラ・トレモイユを据えるんだな
- ミヌゥ: ええ、あのリッシュモンという男
- ミヌゥ: 外様貴族の出身ながら シャルル王太子に絶対忠実で
- ミヌゥ: 王太子にとって耳の痛いことも 進言する“義の者”だとか…
- ミヌゥ: そのため 宮廷内でも政敵が多い様子
- コルボー: 有能な将ほど足を引っ張られる… あっちの陣営の自滅だな
- ミヌゥ: ええ、ですからこの機に ラ・トレモイユが
- ミヌゥ: 王太子の寵臣の座を勝ち得れば 宮廷内の不協和音を利用して
- ミヌゥ: 邪魔者のリッシュモン元帥も 一気に失脚まで追い込めるかと…
- フレシュ&ラム: …………
- <1427年>
- <シャルル王太子 ラ・トレモイユを侍従長に任命>
- <翌1428年>
- <アルテュール・ド・リッシュモン元帥 宮廷より追放される>
- イザボー: …全ては…支配のため
- FILENAME: text_341223-1.txt
- <1428年10月12日>
- <オルレアン包囲戦、開始>
- ペレネル・フラメル: オルレアンがイングランド軍に 包囲された…?
- キューブ: そうみたいだ まだ陥落はしていないけれど
- キューブ: オルレアンが落ちれば フランスはかなり厳しくなるね
- ペレネル・フラメル: …そうね
- ペレネル・フラメル: フランス北部はほぼ イングランド陣営の勢力下で
- ペレネル・フラメル: パリも、ノートルダム大聖堂の あるランスも敵の手中にあるわ
- ペレネル・フラメル: オルレアンは シャルル王太子派にとって
- ペレネル・フラメル: 最後の砦とも言える都市…
- ペレネル・フラメル: ここぞとイングランド陣営も 攻勢を強めてくるでしょうね
- <1429年2月>
- <フランス、パリ>
- イザボー: …………!
- ミヌゥ: …かしこまりました ではそのように
- ラピヌ: ミヌゥ! お母さまは、なんて…?
- ミヌゥ: オルレアン近郊まで 我ら3人で出向くように、と
- コルボー: 3人で? ひさしぶりだな
- ミヌゥ: ええ… お母さまのお言葉によりますと
- ミヌゥ: いずれオルレアンという舞台に あらゆる役者が集う、と
- ミヌゥ: これは、その 第1幕というところですわ
- <1429年2月12日>
- <フランス、オルレアン近郊>
- ドサッ
- バタール: …我々の…奇襲は
- バタール: 成功したはずでは なかったのか?
- ミヌゥ: 残念でしたわね
- ミヌゥ: イングランド軍補給部隊の 倍以上もの兵力を
- ミヌゥ: 参集させた強襲作戦
- ミヌゥ: その手並みといい、連携といい 見事な攻撃でしたわ
- ミヌゥ: さすがは若くして
- ミヌゥ: この重要な 都市の指揮をまかされた
- ミヌゥ: “オルレアンの私生児 (バタール・ドルレアン)”
- バタール: くっ…
- コルボー: ミヌゥ お前は優しいなァ
- コルボー: 何千の兵を集めたか知らないが 私たちの前では紙クズも同じ
- コルボー: コイツは無駄なことをした 無能な指揮官だろうが
- ラピヌ: ウヒヒヒ♪ コルボーの言う通りだよ
- ラピヌ: こいつら全然 遊び甲斐がないんだから!
- コルボー: さぁ立ちなよ司令官どの!!
- コルボー: 無能なりに最後まで 戦ってみせな!!
- バタール: 貴様っ…
- ザッ
- 皆! 司令官を守れ!!
- コルボー: なんだァ?
- コルボー: まだ結構いるじゃないか 遊べそうなのが
- バタール: ダメだ! お前たち、逃げ…
- コルボー: …………!
- ドサッ
- バタール: あぁ… なんてことだ…
- ラ・イル: ここにいたのかバタールの旦那! 探したぜ
- バタール: ラ・イル!?
- ラ・イル: 立てるか? とっととズラかるぞ!
- ラ・イル: アンタが死んだら オルレアンはおしまいだ
- ラ・イル: 無理にでも連れて行くぜ
- ミヌゥ: いったいどこへ行きますの? 敗軍の将は潔くありませんと
- ミヌゥ: 九尾の猫(シャ・ア・ヌフクゥ)
- ミヌゥ: あら?
- ミヌゥ: 死体がない… 逃げられてしまったかしら?
- ミヌゥ: あれが“憤怒(ラ・イル)”の 異名を持つ傭兵
- ミヌゥ: エティエンヌ・ド・ヴィニョル…
- ミヌゥ: まだまだ楽しませて いただけそうね
- FILENAME: text_341223-2.txt
- <フランス、パリ>
- イザボー: …………
- ミヌゥ: ええ、仰る通りです お母さま
- ミヌゥ: 敵も味方も… 役者がより多く揃うほど
- ミヌゥ: 舞台は盛り上がるというもの…
- イザボー: …………
- <1429年2月>
- …………
- ペレネル・フラメル: …あれは…? ラ・イルの隊…でしょうか
- ペレネル・フラメル: シノンの方へ向かっている…?
- ペレネル・フラメル: (オルレアンでは数千の兵が 命を落とし…)
- ペレネル・フラメル: (フランス軍にとっては 絶望的な戦況と聞きますが…)
- ペレネル・フラメル: (一方で、希望の光も 差し込みはじめています)
- ペレネル・フラメル: 「フランスは ひとりの少女によって救われる」
- ペレネル・フラメル: 予言の主役はいつ 舞台に上がるのか…
- <1429年3月6日>
- <フランス、シノン城>
- メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様 飲み過ぎです!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: せっかく無事に戻ってきて くれたのに
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 体を壊されたら 元も子もないですからね!
- ラ・イル: 堅いこと言うなって
- ラ・イル: どうにか戦場から 帰ってきたってのに
- ジル・ド・レ: オルレアンでは 大変だったようですね
- ジル・ド・レ: ラ・イル
- メリッサ・ド・ヴィニョル: (さすがシャルル王太子様の 玉座の間…)
- メリッサ・ド・ヴィニョル: (すごい人たちばかり 集まってる)
- メリッサ・ド・ヴィニョル: (シャルル王太子様に 侍従長のラ・トレモイユ様)
- メリッサ・ド・ヴィニョル: (王太子様の義母にあたる ヨランド・ダラゴン様も…)
- ラ・トレモイユ: 「この度は“乙女(ラ・ピュセル)”と称する 身分怪しき女がこの宮廷を訪れる…」
- ラ・トレモイユ: 「そのような奇異なる催しにも関わらず ご参集いただきありがたく思います」
- シャルル王太子: …皆もすでに聞き及んで いるとは思うが
- シャルル王太子: ヴォークルールで噂になった “乙女”が私にひと目会いたいと
- シャルル王太子: そういうことで 今日を迎えたわけだ
- シャルル王太子: 面白い噂ではあるが
- シャルル王太子: その娘が本当に神の使いであるか 確かめてみたいと思わないか?
- ざわ…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: (えっ…“乙女”を試す…?)
- メリッサ・ド・ヴィニョル: (玉座には王太子様でなく ジル・ド・レ様を座らせて)
- メリッサ・ド・ヴィニョル: (シャルル王太子様は 客人の中に隠れるって…)
- 「“乙女(ラ・ピュセル)”到着いたしました!」
- ラ・トレモイユ: 「よし、入室せよ」
- タルト: …………
- メリッサ・ド・ヴィニョル: (あれが“乙女”… 私と同じ年くらい?)
- メリッサ・ド・ヴィニョル: (思ってたのより ずっと小柄で…)
- メリッサ・ド・ヴィニョル: (それに… あれは一体…?)
- ジル・ド・レ: お前が“乙女”と呼ばれし娘か
- ジル・ド・レ: よくこのシノン宮廷まで 参ったものだな
- タルト: …………
- ラ・イル: いくらなんでも悪趣味ですぜ シャルル様
- シャルル王太子: そう言うなラ・イル
- シャルル王太子: あの娘が本当に 神の使いであるならば
- シャルル王太子: 替え玉などに惑わされず
- シャルル王太子: 私を見誤ることなど ないはずであろう?
- タルト: …………
- タルト: …この方は
- タルト: 王太子様ではありません!
- ざわっ
- シャルル王太子: 「聞け!」
- シャルル王太子: 「皆の者!!」
- シャルル王太子: この者 真の乙女
- シャルル王太子: 真の神の使いなり!!
- FILENAME: text_341223-3.txt
- <1429年4月>
- <フランス、シノン城>
- <オルレアン解放作戦、開始>
- ジル・ド・レ: 我らは追い詰められつつある…
- ジル・ド・レ: イングランドによる フランス王国の簒奪…
- ジル・ド・レ: オルレアンを奪われれば
- ジル・ド・レ: それはまさしく 現実のものとなるのだ…
- ジル・ド・レ: だがっ
- ジル・ド・レ: シャルル王太子
- ジル・ド・レ: そして神に認められし “乙女”とともに
- ジル・ド・レ: 我らはオルレアンへと出立する!
- ジル・ド・レ: 恐れるな 兵士たちよ!
- ジル・ド・レ: 我らは天の意志とともに あるのだ!
- うおおおぉぉぉぉっ!!
- タルト: …………
- ラ・イル: …派手好きな男だねぇ
- パカッ、パカッ…
- リズ・ホークウッド: どうかしら、タルト?
- リズ・ホークウッド: アランソン公に賜った 白馬の乗り心地は
- タルト: とても利口な馬で 私にはもったいないくらいです!
- タルト: あの…
- タルト: メリッサは戦場に行くというのに 怖くはないんですか?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 小さい頃から傭兵である お父様と一緒に
- メリッサ・ド・ヴィニョル: フランス中を 転々としていましたから
- ラ・イル: 俺としちゃあ 従軍なんかしないで
- ラ・イル: シノンで待つよう 今からでも考え直してほしいがな
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …でも今は 何より“乙女”の…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトのお役に立ちたいんです
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あの日謁見式で見た姿は 本当に奇跡のようでした
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …だから私は決めたんです
- キューブ: …………
- ザッ…
- ペレネル・フラメル: 出会うべくして出会った人々が “乙女”のもとに集い
- ペレネル・フラメル: 運命の歯車が 大きく加速しはじめた
- ペレネル・フラメル: “乙女”ジャンヌは この絶望的な戦況を覆して
- ペレネル・フラメル: イングランド軍に包囲された オルレアンの町を
- ペレネル・フラメル: 解放することができるのかしら?
- ペレネル・フラメル: …ささやかながら、私も “乙女”の助けとなりましょう
- ペレネル・フラメル: ―ペレネル― 魔法で冶金しなおした このクロヴィスの剣を携えて…
- イザボー: …………
- ミヌゥ: …お母さま どうぞ次のご指示を
- イザボー: ………… …………
- ミヌゥ: …オルレアンはひと息に落とさず まだ保たせ、餌にせよ…?
- ミヌゥ: …かの光のもとに誕生した 我らの敵をおびき出すための餌に
- ミヌゥ: なるほど 私たちはどういたしましょう?
- イザボー: …………
- ミヌゥ: 承知いたしました
- ミヌゥ: フレシュ、こちらへ
- フレシュ: …………
- <1429年4月>
- <フランス、オルレアン近郊>
- ぐはっ!?
- グチャ…
- ラピヌ: フーン♪ フーン♪
- コルボー: ラピヌお姉さま ほどほどにしないと汚れますよ
- ラピヌ: だーめ まだまだ遊ぶの!
- ラピヌ: 汚れたら後でコルボーに
- ラピヌ: お風呂で洗ってもらうから いいのー♪
- コルボー: そりゃ かまいませんが
- ラピヌ: おおっ!?
- ミヌゥ: お姉さま方 ただ今戻りました
- ラピヌ: おかえり~
- コルボー: 戻ったか、ミヌゥ 何かご指示は出たのか?
- ミヌゥ: えぇ、オルレアンには この子とコルボーお姉さまが残り
- ミヌゥ: 私とラピヌお姉さまは 一旦帰還せよ…と
- FILENAME: text_341223-4.txt
- <1429年5月>
- <フランス、パリ>
- ラム: …………
- イザボー: …おいでなさい (ヴィアン・イスィ)…
- ミヌゥ: はい、お母さま…
- ミヌゥ: “乙女”なる者はついに オルレアンに入り
- ミヌゥ: 包囲するイングランド軍から 次々に砦を奪い返しています
- ミヌゥ: 敵方の士気は高揚し
- ミヌゥ: 奇跡の聖女などという流言を 信じる者が増えておりますし
- ミヌゥ: 万が一、トゥーレル砦が 落とされるようなことがあれば
- ミヌゥ: 我が方の敗北は決定的…
- ミヌゥ: 舞台としては 最高潮を迎えようとしています
- ミヌゥ: もちろん…
- ミヌゥ: オルレアンにコルボーお姉さまと フレシュだけを残したのは
- ミヌゥ: “乙女”らを存分に、いたぶって いただくためと存じますが
- イザボー: ………… …………
- ミヌゥ: イングランド軍の陣容ですか?
- ミヌゥ: 総司令をはじめ 少々頼りない面々ですが…
- ミヌゥ: あの男…タルボットは健在です
- ミヌゥ: コルボーお姉さまの 邪魔をすることもないでしょう
- ミヌゥ: 敵方はバタール、ラ・イル ジル・ド・レ、そして“乙女”…
- ミヌゥ: ただ追放中のリッシュモン元帥と アランソン公は不在と
- ミヌゥ: 幾人かの役者を欠いた状態の ようですが…
- イザボー: …………
- ミヌゥ: おや…?
- ミヌゥ: オルレアンには他にも 役者が集う気配があると?
- ミヌゥ: それは楽しみですこと…
- ザッ…
- エリザ・ツェリスカ: リッシュモン元帥のところまで お通しいただけますか?
- 失礼ですが、あなたは…
- エリザ・ツェリスカ: 神聖ローマ帝国 ドラゴン騎士団がひとり
- エリザ・ツェリスカ: エリザ・ツェリスカと
- エリザ・ツェリスカ: 同じくドラゴン騎士団の
- エリザ・ツェリスカ: オスヴァルト・フォン ヴォルケンシュタインが
- エリザ・ツェリスカ: 参りましたと伝えなさい
- ど…ドラゴン騎士団…!? はい、直ちに…!
- エリザ・ツェリスカ: リッシュモンとともに…
- エリザ・ツェリスカ: 噂の“乙女”の 実力がいかほどか
- エリザ・ツェリスカ: この目で確かめてやりますわ!
- <1429年5月7日>
- <オルレアン近郊、トゥーレル砦>
- 報告いたします!
- フランス軍強襲!
- 先頭には あの“乙女”がおります!!
- カツン
- コルボー: はじめまして“乙女”
- コルボー: この日を楽しみにしておりました
- タルト: あなたが… イングランドの魔法少女
- コルボー: イングランド? そうか…
- コルボー: まだ何も 分かっちゃあいないんだな
- コルボー: 私はコルボー
- コルボー: 分かりやすく言えば… あんたらの敵だよ!
- イザボー: …………
- ミヌゥ: …トゥーレル砦をめぐる決戦が ついに始まったようですわ
- イザボー: ………… …………
- ミヌゥ: ええ、私も楽しみですわ
- ミヌゥ: オルレアンをめぐる攻防…
- ミヌゥ: たっぷりと時間をかけて 配役を終えた
- ミヌゥ: この、至上の舞台が
- ミヌゥ: どのような幕切れを迎えるのか…
- イザボー: ………… …………
- イザボー: …そして世界を…我がものに…!
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