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London: One Book One Pen

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Jun 21st, 2017
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  1. Jekyll
  2. この子
  3. フランは、うん、人造人間だ。
  4. 身体組成は霊体ではなかったよ。英霊じゃないね。
  5.  
  6. Jekyll
  7. この時代に生きる人間だ。
  8. いや、人造人間か。
  9.  
  10. Jekyll
  11. 小説の記述が誤りだったのか……
  12. いや、そこまでは断言できないけれど。
  13.  
  14. Fran
  15. ……ゥゥ……ァ……。
  16.  
  17. Jekyll
  18. うん?
  19.  
  20. Mashu
  21. ええと、その……
  22. 彼女は、ええと……何と言ったらいよいでしょう……
  23.  
  24. Mordred
  25. 調査だ、とか言っておまえがあちこち触ったんで、
  26. 不満みたいだぞ。謝れ、ジキル。
  27.  
  28. Jekyll
  29. えっ。あ、ごめんよ。
  30. 僕としたことが、英国紳士にあるまじき行為を。
  31.  
  32. Fran
  33. ……ゥ。
  34.  
  35. Jekyll
  36. ?
  37.  
  38. Mashu
  39. わかってくれればそれでいい、
  40. 的なニュアンスの声……でしょうか。今の発声は。
  41.  
  42. Mordred
  43. そうだな。
  44.  
  45. ?1:うん、そう言ってる
  46.  
  47. ?2:なんで君たちわかるの?
  48.  
  49. ?!
  50.  
  51. Jekyll
  52. なぜ、君たちは彼女の意思がわかるんだ?
  53. [#同性ゆえ]の、あっ、いや、何でもない!
  54.  
  55. Mordred
  56. 次はないぞ。殺す。
  57.  
  58. Jekyll
  59. はい。うん。ごめん、二度と言わない。
  60. だね。僕の情報網に別件が引っ掛かったんだよ。
  61.  
  62. Jekyll
  63. ソーホーエリアに妙なものが現れた。
  64. 何でも、屋内にまで入り込んできて市民を襲う、と。
  65.  
  66. Dr. Roman
  67. 確認だ。ホムンクルスや[#自動人形:オートマタ]、
  68. それにヘルタースケルターは、これまでに
  69.  
  70. Jekyll
  71. 屋内に入り込んだという前例はないはずだ。
  72. 僕の情報網と、セイバーが見回った限りではね。
  73.  
  74. Jekyll
  75. 屋内にまでやって来て、市民を襲うもの。
  76. それが、人間ぐらいの大きさの本であるらしい。
  77.  
  78. Jekyll
  79. 僕は仮にこれを、[#魔本:まほん]、と仮称することにした。
  80. 君たちはこれに対処して欲しい。
  81.  
  82. Jekyll
  83. 件の「魔霧計画」に関係しているかは不明だが、
  84. 少なくともソーホーでは被害が出ているんだ。
  85.  
  86. Jekyll
  87. どうか、頼みたい。
  88. 引き受けてくれるかい?
  89.  
  90. ?1:任せて
  91.  
  92. ?2:じっとしていても仕方ない
  93.  
  94. ?!
  95.  
  96. Mashu
  97. そうですね、マスター。
  98. わたしたちは数少ない屋外活動要員ですから。
  99.  
  100. Mashu
  101. わたしも、先輩の力になるよう努めます。
  102. いえ、なれたら……幸いです。
  103.  
  104. Mordred
  105. なに言ってんだ、おまえ。
  106. デミだろうが何だろうがサーヴァントだろうが。
  107.  
  108. Mashu
  109. は、はい。
  110.  
  111. Mordred
  112. ……あー、いや、まあ。いい。忘れろ。
  113.  
  114. Mashu
  115.  
  116. Mordred
  117. マスターとの関係性はそれぞれのもんだしな。
  118. オレが口出すことでもない。
  119.  
  120. Mordred
  121. じゃ、行くか。
  122. フランは戦力になるかわからんから置いていく。
  123.  
  124. Fran
  125. ……ゥ、ゥ……。
  126. ……ゥ……。
  127.  
  128. Mordred
  129. なんだよ寂しいのか?
  130. おとなしく待ってろ、すぐ帰ってくるから。
  131.  
  132. Mashu
  133. 外は、危険ですから。
  134. 戻ってきたら、また話をしましょう。
  135.  
  136. Fran
  137. …………ゥ、ゥ。
  138.  
  139. Mordred
  140. でかい本、魔本ねえ。
  141. オレの頃のブリテンにはいなかった類の怪物だな。
  142.  
  143. Mashu
  144. あなたの生前のブリテンというと……
  145. 円卓の騎士の時代に、怪物が存在していたんですか?
  146.  
  147. Mordred
  148. そりゃあいたさ。
  149. 円卓の騎士ってのはドラゴンや巨人とも戦ったんだぜ。
  150.  
  151. Mordred
  152. 深い森や険しい山、突風の絶えない断崖。
  153. 人の立ち入らない領域ってのは恰好の幻想種の巣だ。
  154.  
  155. Mordred
  156. たまに人里に降りたりもするけどな。
  157. で、まあ、ただの人間じゃ大抵の場合は餌になる。
  158.  
  159. Mashu
  160. 餌、ですか。
  161.  
  162. Mordred
  163. 魔獣、幻獣、竜種が相手じゃ並の兵は戦うだけ無駄だ。
  164. おまえらの時代の兵器でも大概は通用しない。
  165.  
  166. Mordred
  167. ただし、例外はある。
  168. ブリテンの場合は
  169. [#円卓の騎士:オレたち]だ。
  170.  
  171. Mordred
  172. それなりに戦って、それなりの数を殺したぜ?
  173. 幻想種との戦闘ってのはなかなかこれで
  174.  
  175. Mordred
  176. ああ、あとアレだ。アレ。
  177. ピクト人。
  178.  
  179. Mashu
  180. わたしたちの時代では謎に包まれた人々ですね。
  181. かつて、スコットランドを中心に繁栄した部族だとか。
  182.  
  183. Mordred
  184. いや、人々って言うかあれは……
  185. うーん……
  186.  
  187. Mordred
  188. アレは、もう、部族とか蛮族とか……
  189. そういう次元のものじゃなかったような……
  190.  
  191. Mordred
  192. おまえらの時代風に言うとなんだろうなァ、
  193. SF映画、とかに出て来そうな感じだったぞ?
  194.  
  195. Mordred
  196. エイリアン?
  197. とか、そういう感じ。ああ、そういう感じだ。
  198.  
  199. ?1:円卓ギャグ?
  200.  
  201. ?2:お、面白いねその冗談。
  202.  
  203. ?!
  204.  
  205. Mashu
  206. はい、先輩。わたしも冗談に聞こえます。
  207. ……はっ。
  208.  
  209. Mashu
  210. モードレッドさん、その……
  211. すみません。笑うタイミングを完全に外してしまって。
  212.  
  213. Dr. Roman
  214. ううむ、これが円卓ジョークなのか。
  215. そこでそう外してくるのか……ふむふむ、なるほど。
  216.  
  217. Fou
  218. フォウ……
  219.  
  220. Mordred
  221. 冗談? いや、オレ冗談なんて
  222.  
  223. Mordred
  224. っと。敵だ。
  225. この感じは[#自動人形:オートマタ]が多いな。
  226.  
  227. Mashu
  228. …………戦闘ですね。マスター、指示を!
  229.  
  230. ==
  231.  
  232. Fou
  233. フォウ……
  234.  
  235.  
  236. Mordred
  237. 人形どもを撃破、っと。
  238.  
  239.  
  240. Mordred
  241. しっかし
  242. こういうのなんて言うんだっけかな。
  243.  
  244. Mordred
  245. 東洋の方じゃ何か言い方があったよな。
  246. [#縁:エン]、だっけか。
  247.  
  248. Mordred
  249. 英霊をあれこれ集めて自分の味方にする
  250. なんざ、容易く[#できる]ことでもないだろうに。
  251.  
  252. Mordred
  253. まあ、でも、そういう風に使うのならアリだ。
  254.  
  255. Mordred
  256. その使い方なら確かに英霊召喚の難易度は下がる。
  257. 誰が言い出した事かは想像つくな。
  258.  
  259. Mordred
  260. 正直、オレとしちゃ妙な気分だが……
  261. ……ま、これも縁。か。
  262.  
  263. Mashu
  264. ?
  265.  
  266. ?1:モードレッド、何を言ってるんだろう
  267.  
  268. ?2:召喚システムのことかな
  269.  
  270. ?!
  271.  
  272. Mashu
  273. はい……恐らくは、ですが。
  274. 英霊召喚システムについての言葉でしょうか。
  275.  
  276. Mashu
  277. あの……モードレッドさんは英霊召喚に詳しいのですか?
  278. セイバークラスですが、魔術の素養がある、とか?
  279.  
  280. Mordred
  281. あ? なに言ってやがる盾ヤロウ。
  282. オレに魔術の素養があるとか、いまさら嫌味かテメ
  283.  
  284. Mordred
  285. ……いや、そうじゃないのか。
  286. ああもう、面倒くさい! おまえ面倒くさいな、マシュ!
  287.  
  288. Mashu
  289. は、はい……! なぜ叱られたか分かりませんが、
  290. とにかく申し訳ありません!
  291.  
  292. Mordred
  293. 叱ってねえよ、ただのグチだよ!
  294. そういうところも似てるな、おまえたちは!
  295.  
  296. ?1:おまえたち……?
  297.  
  298. Mordred
  299. …………。なんでもない。口が滑った。
  300. 今の話題は追究すんなよ[%1]。
  301.  
  302.  
  303. ?2:カリカリしてない?
  304.  
  305. Mordred
  306. あったり前だ。オレが不機嫌なのはデフォルトだ。
  307. 聖者には程遠い殺戮者だからな。
  308.  
  309. Mordred
  310. だいたい、おまえたち距離感近いんだよ。
  311. 普通、オレを見たら怖がるだろ。叛逆の騎士なんだから。
  312.  
  313. ?!
  314.  
  315. Mashu
  316. ………………
  317.  
  318. Mordred
  319. ……チッ。別におまえたちが問題なんじゃない。
  320. オレの性根が問題だってだけだ。
  321.  
  322. Mordred
  323. 勘違いするなよな。別に[%1]もマシュも
  324. 嫌いってワケじゃない。ワケじゃないが
  325.  
  326. Mordred
  327. 我慢できないんで、やっぱり戦おう。
  328. その盾を構えろ。思いっきりたたきのめしてやる。
  329.  
  330. ?1:やっぱり怒ってるじゃん!
  331.  
  332. ?2:叛逆のバーサーカー!
  333.  
  334. ?!
  335.  
  336. Mordred
  337. おお、好きに罵りやがれ。
  338. 慣れてるからな。下手なお世辞より気持ちいいぜ。
  339.  
  340. ?1:マシュに無意味な戦いはさせられない
  341.  
  342. ?2:マシュと戦うのなら、その前に自分が
  343.  
  344. ?!
  345.  
  346. Mordred
  347. へえ? マスターらしいところあるじゃねえか。
  348. 足が震えてなきゃもっと格好よかったけどなぁ?
  349.  
  350. Mordred
  351. 弱者は弱者らしく引っ込んでいればいいものを。
  352. そうやって出しゃばるから、真っ先に死ぬんだぜ?
  353.  
  354. Mashu
  355. ! マスター、下がって……!
  356. モードレッドさんは本気です……!
  357.  
  358. Mordred
  359. 生意気にもオレの初撃を受けやがったか!
  360. ようやくらしい使い方しやがったな!
  361.  
  362. Mordred
  363. それでいい、行くぜ盾ヤロウ!
  364. 仲間を守る時は限界より常に一歩前に出る、だ!
  365.  
  366. Mordred
  367. その宝具を使うってんなら気合いをいれろ!
  368. 先輩サーヴァントとして、徹底的に鍛えてやる!
  369.  
  370. ==
  371.  
  372. Mashu
  373. はあ……ぁ、っ……!
  374.  
  375. ?1:マシュ……!
  376.  
  377. Mashu
  378. せん、ぱ、い
  379. 良かった。
  380. 見ていてくれました、か……?
  381.  
  382. Mashu
  383. 戦闘、終了、です
  384. わたし、ちゃんと
  385. モードレッドさんの剣を、受け切れて
  386.  
  387. ?2:モードレッド……!
  388.  
  389. Mordred
  390. う……そう睨むな、オレもやりすぎたって反省してる。
  391. 本気でおっかないぞ、今のおまえ。
  392.  
  393. Mordred
  394. 安心しろ、今のは模擬戦だ。
  395. マシュはちゃんと分かってたぞ?
  396.  
  397. ?!
  398.  
  399. Mordred
  400. で、どうだマシュ。
  401. その宝具の使い方、少しは分かったか?
  402.  
  403. Mashu
  404. はい……ありがとう……ごさいます……
  405. なにか、こう
  406.  
  407. Mashu
  408. 心の枷がひとつ、外れた気がします……
  409. クーフーリンさんの魔術以来の、スパルタでした……
  410.  
  411. ?1:じゃあ今のは……もしかして?
  412.  
  413. ?!
  414.  
  415. Mordred
  416. ……まあな。荒療治だよ、荒療治。
  417.  
  418. Mordred
  419. デミ・サーヴァントなんて言って
  420. 自分の力を抑え込んでいやがったからな。
  421.  
  422. Mordred
  423. 下手な芝居を打って、テメエの役割をたたき込んで
  424. やったんだよ。これで少しはマシになるだろ。
  425.  
  426. Mashu
  427. モードレッドさん……
  428.  
  429. ?1:面倒見、いいんだね
  430.  
  431. ?2:……それにしたって手荒すぎる……
  432.  
  433. ?!
  434.  
  435. Mordred
  436. うるせえ。おまえたちがあんまりにも危機感ないんで
  437. イライラしただけだ。
  438.  
  439. Mordred
  440. 他人に剣を教えるなんてオレの柄じゃない。
  441. っていうか、これが初めてだチクショウめ。
  442.  
  443. Mordred
  444. いいか。このことはジキルには言うなよ。
  445. またぞろしつこく質問攻めにしてくるからな。
  446.  
  447. Mordred
  448. それと悪かったな[%1]。無礼は詫びる。
  449. おまえは確かに弱いが、地に足のついた弱さだ。
  450.  
  451. Mordred
  452. 臆病者でも卑怯者でもない。それなりに担ぎ甲斐のある
  453. 阿呆だよ。そうだろ、マシュ?
  454.  
  455. Mashu
  456. はい、もちろんです!
  457. 先輩はカルデア一のマスターですので!
  458.  
  459. ?1:ありがとう、マシュ
  460.  
  461. ?2:カルデア一は言い過ぎのような……
  462.  
  463. ?!
  464.  
  465. Mordred
  466. はいはい、ごちそうさまごちそうさま。
  467. 糖分多くて胃もたれどころか吐きそうだぜ。
  468.  
  469. Mordred
  470. んじゃ先を急ぐぞ[%1]、マシュ。
  471. その盾をしっかり構えてついてきな。
  472.  
  473. Mashu
  474. はい!
  475. ありがとうございました、親切なモードレッド卿!
  476.  
  477. Mordred
  478. い、いきなりモードレッド卿とか言うな、バカ!
  479. 転びそうになったじゃねえか!
  480.  
  481. ==
  482.  
  483. Mashu
  484. 敵性体をすべて撃破……完全沈黙を確認しました。
  485. 先輩、お疲れさまでした。
  486.  
  487. Dr. Roman
  488. お疲れさま。
  489. ジキルからの通信が入ったから繋げるよ。
  490.  
  491. Jekyll
  492. 聞こえるかい?
  493. 僕だ。追加の情報が入ったので伝えておくよ。
  494.  
  495. Mashu
  496. なるほど。ジキルさんから届いた無線通信を、
  497. Dr.ロマンの回線に載せたんですね。
  498.  
  499. Jekyll
  500. そういうこと。カルデアの技術ってのは凄いね。
  501. 早速内容を言うよ。ソーホーで暴れてる魔本についてだ。
  502.  
  503. Jekyll
  504. 魔本は、殺人ホムンクルスや自動人形たちとは違って
  505. 門戸を閉ざした屋内へと侵入してしまう。それはいいね。
  506.  
  507. Jekyll
  508. 具体的な被害が明らかになった。
  509. [#曰:いわ]く、人々を醒めない眠りに落とすらしい。
  510.  
  511. Mordred
  512. 魔術か?
  513. それとも、薬物か。
  514.  
  515. Jekyll
  516. そこまではわからない。
  517. ただの薬物であれば君たちには問題ないが……
  518.  
  519. Mashu
  520. ええ、わたしたちには問題ないものと思われます。
  521. 先輩にも対毒性スキル(仮)がありますし。
  522.  
  523. Mordred
  524. へえ、そうなのか。そりゃいいな。
  525. でもまあ、警戒するに越したことはない。
  526.  
  527. Mordred
  528. 魔術ならオレの場合、
  529. 対魔力スキルで大概は無効化するが
  530.  
  531. Mordred
  532. 例えばサーヴァントのスキルや宝具による薬物、
  533. 大魔術級クラスなら、直撃すると防げない。
  534.  
  535. ?1:充分注意しよう
  536.  
  537. ?2:当たらなければいいんだよ
  538.  
  539. ?!
  540.  
  541. Mordred
  542. ま、そうだな。
  543. せいぜいうまく立ち回るだけだ。
  544.  
  545. Jekyll
  546. ソーホーエリアに到着したら、
  547. まずは僕の指定する古書店に立ち寄ってくれ。
  548.  
  549. Jekyll
  550. 情報提供者がそこにいるはずだ。
  551. まだ、魔本に襲われていなければの話だがね。
  552.  
  553. Mashu
  554. 了解しました。
  555.  
  556. Mordred
  557. じゃ、行くぜ。
  558. もうソーホーは目と鼻の先だ。
  559.  
  560. ==
  561.  
  562. Boy
  563. ……ようやくか。
  564. 待ちくたびれたぞ馬鹿ども。
  565.  
  566. Boy
  567. おかげで読みたくもない小説を一シリーズ、
  568. 二十冊近く読み潰すハメになった。
  569.  
  570. ?1:誰……?
  571.  
  572. ?2:子供……?
  573.  
  574. ?!
  575.  
  576. Fou
  577. フォウ……?
  578.  
  579. Boy
  580. おまえたちがヘンリー・ジキル氏の言っていた救援だな。
  581. では、早速こちらの状況を伝えるとしようか。
  582.  
  583. Mordred
  584. ああ? なんだ、連絡員ってのはガキかよ。
  585.  
  586. Mashu
  587. 少年、ですね。
  588. この古書店の関係者でしょうか。
  589.  
  590. Mashu
  591. 店主の息子とか、孫……とか。
  592. そういった認識で間違っていませんか?
  593.  
  594. Mashu
  595. あなたがミスター・ジキルと連絡を取って
  596. わたしたちに救援を求めた人物、で良いのですよね。
  597.  
  598. Boy
  599. ああそうだ。状況が状況だからな、
  600. おおまかな認識はその程度でかまわない。
  601.  
  602. Mordred
  603. 何か……やけにいい声してんだな。
  604. 変声期か、おまえ?
  605.  
  606. Boy
  607. ああ、これでも元々は演劇志望でな。
  608.  
  609. Boy
  610. まったく恥ずかしい。
  611. 為し得なかった人生ほど恥ずかしいものはないな!
  612.  
  613. Boy
  614. まあいい、俺の美声については後回しだ。
  615. この先イヤというほど聞かせてやる。
  616.  
  617. Boy
  618. 今は[#ここ]の話をしよう。
  619. この古書店の老主人は、既に魔本に襲われた。
  620.  
  621. Boy
  622. ソーホーエリアの半数近くが同じ状況だ。
  623. 醒めない眠りへと落ち、今も仲良く夢の中という訳さ。
  624.  
  625.  
  626. Dr. Roman
  627. いま、魔本がどこにいるかわかるかい?
  628. それと、君はなぜ襲われなかったんだろう。
  629.  
  630. Boy
  631. あん? 馬鹿かおまえは。声だけでなく頭まで花畑か?
  632. そんなもの、逃げたからに決まっているだろう。
  633.  
  634. Dr. Roman
  635. えっ……あっ、ご、ごめん……そうだね……
  636. それはそうだ……はは、ごめんよ……すみません……
  637.  
  638. Dr. Roman
  639. はは……
  640. ははは……
  641.  
  642. Mashu
  643. ドクター。子供の言葉に傷付かないで下さい。
  644. あの年頃の子は、直裁に物を言うことが多いですし。
  645.  
  646. Boy
  647. 魔本がどこにいるか、だったな。
  648. ここだ。
  649.  
  650. Mordred
  651. あん?
  652.  
  653. Mashu
  654. え?
  655.  
  656. Boy
  657. 奴は、この古書店二階住居……
  658. つまり、まだこの階にいる。隣の書斎だ。
  659.  
  660. Mordred
  661. はは。
  662. 何だ、いるのか。そこに?
  663.  
  664. Mashu
  665. …………!
  666.  
  667. Mashu
  668. 先輩、屋内戦闘は危険です。
  669. 狭い閉鎖空間での戦闘はなるべく避けるべきでしょう。
  670.  
  671. Mashu
  672. 戦闘による影響が、あの少年と先輩に
  673. 及んでしまう可能性があります。
  674.  
  675. ?1:そういう事なら広い場所で戦闘しよう
  676.  
  677. ?2:外に誘導する!
  678.  
  679. ?!
  680.  
  681. Mashu
  682. ……はい。
  683. では、モードレッドさん。
  684.  
  685. Mordred
  686. んじゃま、さっそく片付けてやるとするか!
  687.  
  688. ==
  689.  
  690. Fou
  691. フォーウ!?
  692.  
  693. Mordred
  694. くそ、当たってるはずなのに攻撃が通らねー!
  695. 何だこの本!
  696.  
  697. Mashu
  698. わたしにも不明です。
  699. 確かに攻撃は届いているはずなのに、倒れません!
  700.  
  701. Dr. Roman
  702. 攻撃は届いているのか。幻覚の類ではないね?
  703. 確かに、君たちの攻撃は届いていると。
  704.  
  705. Mashu
  706. はい、ドクター。
  707. こちらにステータス異常はありません。
  708.  
  709. @魔本
  710. …………………………………………。
  711. …………………………………………。
  712.  
  713. Mordred
  714. ああ、もう、ぷかぷか浮かびやがって!
  715. 本のクセに生意気な、落丁本か何かかテメェ!
  716.  
  717. Boy
  718. どちらかというと発禁本だがな。
  719. その内容が[#真:まこと]なら本であれ人を殺せる、という話さ。
  720.  
  721. Mashu
  722. さっきの子……いけません、外に出ては!
  723. ここは危険です。退避を!
  724.  
  725. Boy
  726. 魔本から目を離すなお嬢さん。
  727. 俺の事はいい、言うことを言ったらさっさと逃げる。
  728.  
  729. Mordred
  730. おまえ……
  731. いい声してやがると思ったが、まさか。
  732.  
  733. Mordred
  734. もしかして、サーヴァントか?
  735. くそ。オレの勘も霧のせいでうまく働かん!
  736.  
  737. Boy
  738. やっと気付いたか。
  739. そう、俺もおまえと同じ英霊だ。というか
  740.  
  741. Boy
  742. このタイミングで[#悠々:ゆうゆう]と[#稀覯:きこう]本を
  743. 読みあさっている子供が[#普通:マトモ]だとでも思ったか?
  744.  
  745. Boy
  746. 魔力感知の感度はともかく、読み手としての勘は
  747. 下の下だなセイバー。もっと本を読め。
  748.  
  749. Boy
  750. 一階のEの棚のシリーズがお勧めだぞ。おまえの
  751. 好きそうな夢と浪漫とバッドエンドが詰まっている。
  752.  
  753. Mordred
  754. テメエ、どこの誰だ!
  755. ずいぶんふざけた
  756.  
  757. Anderson
  758. アンデルセン。
  759. ハンス・クリスチャン・アンデルセン。
  760.  
  761. Anderson
  762. クラスはキャスターだ。
  763. 詳しく知りたいのなら俺の本を一冊でも読め。
  764.  
  765. Mashu
  766. え。えっ。
  767. えぇぇえっ!?
  768.  
  769. Mashu
  770. 作家ハンス・クリスチャン・アンデルセン
  771. すごい……世界三大童話作家の一角ですよ、先輩!
  772.  
  773. ?1:落ち着いて
  774.  
  775. ?2:童話、好きなの?
  776.  
  777. ?!
  778.  
  779. Mashu
  780. あっ、いえ……その……
  781. 好きというか、相当数の読み直しをした程度で。
  782.  
  783. Anderson
  784. ほう。その様子、隠さなくてもハッキリわかるぞ!
  785. さては愛読者だな! サーヴァントにも愛読者か!
  786.  
  787. Dr. Roman
  788. 架空とされた小説の登場人物たちの次は
  789. 作家本人か。そして敵は本と来た!
  790.  
  791. Dr. Roman
  792. ようし、今回もまたワケのわからない状況に
  793. なってきたな、[%1][&君:ちゃん]!
  794.  
  795. Dr. Roman
  796. それで、ミスター・アンデルセンはどうなんだい!?
  797. サーヴァントとしてすごいのかい!?
  798.  
  799. Anderson
  800. はあ? なにを期待しているんだその大間抜けは。
  801. 俺は作家だ、クソ弱いに決まっているだろう。
  802.  
  803. Anderson
  804. 人々を襲って回る魔本と遭遇したはいいが、
  805. 俺ひとりでは倒すことなど不可能もいいところ。
  806.  
  807. Anderson
  808. そこで、肉体労働に適したサーヴァントが来るのを
  809. こうして待っていたというワケさ!
  810.  
  811. Anderson
  812. さあ戦うがいいセイバー、愛読者のお嬢さん!
  813. その一部始終、こぼさずメモにとってやろう!
  814.  
  815. Fou
  816. ンー、キュウ!
  817. キャーウ!
  818.  
  819. Mordred
  820. よし黙れ、たのむ黙れ!
  821. 魔本より先にテメエに斬りかかっちまいそうだ!
  822.  
  823. Anderson
  824. なに? 魔本の考察をする知能もないばかりか、
  825. 敵か味方かの判断もできないのか?
  826.  
  827. Anderson
  828. すごいな、極まった蛮族だ! あれか、頭に
  829. マッシュポテトでも詰まっているんだな、きっと!
  830.  
  831. Mordred
  832. どけ盾ヤロウ!
  833. まずそのクソガキを叩きのめしてやる!
  834.  
  835. Mashu
  836. 気持ちはわかりますが落ち着いて……!
  837. ミスター・アンデルセン、貴方も何か言ってください!
  838.  
  839. Anderson
  840. 何か言え? ああ、益になる発言か。
  841. ふむ。では仕方ない、レクチャーしてやろう。
  842.  
  843. Anderson
  844. おまえたちは魔本の性質に触れたな?
  845. 攻撃が通じない。それはそうだ。
  846.  
  847. Anderson
  848. あれを本だと思うからそうなる。
  849. 違うぞ。あれは、一種の固有結界だ。
  850.  
  851. Mashu
  852. 固有結界……!?
  853.  
  854. ?1:固有結界?
  855.  
  856. ?2:確か、それは……。
  857.  
  858. ?!
  859.  
  860. Mashu
  861. はい。世界の在り方そのものを書き換える、
  862. ある種の魔術の奥義です。魔法にさえ等しいとか。
  863.  
  864. Mashu
  865. ごく稀に、現界を果たしたサーヴァントの宝具として
  866. 用いられる例もありますが
  867.  
  868. Anderson
  869. そうだ。多くは空間に対して働くらしいが、
  870. こいつは違う。[#存在そのもの]が固有結界だ。
  871.  
  872. Anderson
  873. 無敵に等しい耐久力はそのためだ。
  874. 自らが固有結界であることを有効に用いている。
  875.  
  876. Anderson
  877. では何故それが可能なのか?
  878. いいぞ、もっともな質問だ。
  879.  
  880. Anderson
  881. だがその程度、自分で考えろ! 判断材料は多分にある、
  882. 数分ほど考えれば誰にでもわかろうさ!
  883.  
  884. Mordred
  885. その数分が無えんだよこっちは!
  886. 結論を言え、結論を!
  887.  
  888. Mordred
  889. 今は浮かんでるだけだが、
  890. いつまた襲って来るかわからん!
  891.  
  892. Anderson
  893. なんて性急な……本を後ろのページから読むタイプか?
  894. 仕方あるまい。愛読者に免じて、特別に教えてやる。
  895.  
  896. Anderson
  897. 俺の類推するところでは、こいつは本来、
  898. マスターの精神を映し出すサーヴァントだろう。
  899.  
  900. Anderson
  901. ドラマツルギーから導き出せば簡単だ。
  902. まあ、俺も一時間ほど考える必要があったが。
  903.  
  904. Mordred
  905. たっぷり時間かけてんじゃねえか!
  906. もういい、結論を言え結論を!
  907.  
  908. Anderson
  909. 結論というか見たまんまの問題だよ。
  910. こいつは[#はぐれ]だ。マスターがいない。
  911.  
  912. Anderson
  913. だからこそ、こいつはソーホーの人々を襲った。
  914. 眠りに落として夢を見させた。
  915.  
  916. Anderson
  917. ようはマスター探しさ。夢の顕現として、こいつは
  918. 疑似サーヴァントとしての[#実体を得ようとしている]。
  919.  
  920. Mordred
  921. 何だと?
  922.  
  923. Dr. Roman
  924. ……そうか!
  925. この魔本の姿は、まだ実体ではないのか!
  926.  
  927. Anderson
  928. ご名答! こいつはサーヴァントですらない、
  929. サーヴァントになりたがっている魔力の塊だ。
  930.  
  931. Anderson
  932. 放っておけばいずれ実体化するだろう。
  933. 代わりに、ソーホー市民すべてが眠りの中へ落ちる。
  934.  
  935. Anderson
  936. 外に漂ってる魔力の霧に比べれば、
  937. さほど、あくどい被害ではないかも知れん。
  938.  
  939. Anderson
  940. だが、だ。
  941.  
  942. Anderson
  943. 眠ったまま衰弱して死ぬ奴もいるかも知れないし、
  944. もしかしたら死ぬ奴はいないかも知れない。
  945.  
  946. Anderson
  947. そもそも眠りに時間をとられては
  948. 我ら物書きは商売あがったりだ!
  949.  
  950. Anderson
  951. 故に倒す。
  952. ソーホーには書店や古書店も多いしな。
  953.  
  954. Mashu
  955. 矛盾していますMr.アンデルセン!
  956. 実体がないから倒せない、と今
  957.  
  958. Anderson
  959. だから、さ。名前のない本だから探せないんだ。
  960. 物語に実体を与える方法なんて簡単だ。
  961.  
  962. Anderson
  963. 聞こえるか!
  964. おまえに名前を付けてやるぞ、魔本、いいや
  965.  
  966. Anderson
  967. [#誰かの為の物語:ナーサリー・ライム]!
  968.  
  969. Nursery Rhyme
  970. ……………………!!
  971.  
  972. Mordred
  973. やればできるじゃねえか、ガキ!
  974. だが、なんで今までしなかった!?
  975.  
  976. Anderson
  977. バカめ、実体を与えたらこっちも襲われるだろうが。
  978. 言っとくが殴り合いなら弱いぞ、俺は。
  979.  
  980. Anderson
  981. おまえたちという肉体労働者が来るまで、
  982. 息を潜めて読書しているしかなかったと言っただろう。
  983.  
  984. Nursery Rhyme
  985. ……ナーサリー……ライム……
  986.  
  987. Nursery Rhyme
  988. いいえ、ちがうわ。
  989. それは名前じゃない。名前は、[#アリス:あたし]。
  990.  
  991. Anderson
  992. ん? おや?
  993.  
  994. Mashu
  995. 何か……アンデルセンさんの予想とは
  996. 些か違うようですが……しかし、先輩、これは。
  997.  
  998. ?1:実体化している!
  999.  
  1000. ?2:結果よければすべて良し!
  1001.  
  1002. ?!
  1003.  
  1004. Mashu
  1005. はい。敵は実体化しています!
  1006. わかります、今は明確に、ここに実体がある!
  1007.  
  1008. Mordred
  1009. よっし。やるぞ!
  1010. その後にあのクソガキを締めてやるっ!
  1011.  
  1012. Nursery Rhyme
  1013. ありす、どこ?
  1014. ここには……ありすがいない……
  1015.  
  1016. Nursery Rhyme
  1017. ねえ、お姉ちゃんたち。
  1018. ひとりぼっちの[#ありす:あたし]はどこにいるの?
  1019.  
  1020. Anderson
  1021. ……おまえにマスターはいない。
  1022. いや、正しくは、この時代にはいないのだろうな。
  1023.  
  1024. Anderson
  1025. ……まさか、名前のない本をここまで愛した
  1026. [#誰か:マスター]がいたとはな。
  1027.  
  1028. Anderson
  1029. 見るに忍びないとはこの事だ。
  1030. 悪いが、早々に倒してやってくれ。
  1031.  
  1032. ==
  1033.  
  1034. Anderson
  1035. ……口ほどにもない。
  1036. 不思議の国の再現ぐらいは期待していたんだがな。
  1037.  
  1038. Anderson
  1039. まあ、それも高望みというヤツか。
  1040. 我々が強すぎたのも良くなかったな。
  1041.  
  1042. Mordred
  1043. ……おい。
  1044. 何が我々が強すぎた、だクソガキ。
  1045.  
  1046. Mordred
  1047. おまえは何もしないばかりか、さんざんオレたちを
  1048. バカにしていただけの気がするんだけど、よ!
  1049.  
  1050. Mashu
  1051. や、やめましょうモードレッドさん。
  1052.  
  1053. Mashu
  1054. たしかに口の悪い人ですが、彼のおかげで
  1055. 魔本
  1056. ナーサリー・ライムを倒せたわけですからっ!
  1057.  
  1058. Fou
  1059. フォウ、フォーウ!
  1060.  
  1061. Mordred
  1062. チッ……そうだな、わかってるよ。
  1063. この手の人種には手を出した方が負けだしな。
  1064.  
  1065. Anderson
  1066. なんだ、顔に似合わず……いや似合って……いや
  1067. やはり似合わないな、貴様の魂はモーニングハンマーだ。
  1068.  
  1069. Mordred
  1070. トゲトゲしいって意味か!
  1071. チクショウ、悔しいがわかりやすいなテメエ!
  1072.  
  1073. Anderson
  1074. ……反応もいい……鍛えればいいカモ……失礼、
  1075. いい読み手になりそうなのに、勿体ない。
  1076.  
  1077. Anderson
  1078. しかし、アンチからの攻撃を愛読者に庇われるとは。
  1079. いつの時代も人間は変わらないな。
  1080.  
  1081. Mordred
  1082. オレもマシュもサーヴァントだぞ。
  1083.  
  1084. Mashu
  1085. はい。わたしは、元は人間ですが……
  1086.  
  1087. Dr. Roman
  1088. というか、
  1089. 大部分のサーヴァントはもともとは人間だけどね。
  1090.  
  1091. Mordred
  1092. ………チッ。まあいいさ。
  1093. さっきの奴は、元が人間って訳でもなさそうだが。
  1094.  
  1095. Fou
  1096. ……フォウ……
  1097.  
  1098. Anderson
  1099. ああ。人間から英霊になるのが基本だが、
  1100. 中にはナーサリー・ライムのような例もある。
  1101.  
  1102. Anderson
  1103. 人間に作られた創造物が意思を持ち、あるいは人々から
  1104. の幻想を集め“概念英霊”となる場合だな。
  1105.  
  1106. Dr. Roman
  1107. 滅多にいないケースだけどね。
  1108. そのうち本だけでなく、機械の英霊も出てきそうだ。
  1109.  
  1110. Dr. Roman
  1111. ともかくお疲れさま、諸君。
  1112. いったんジキル氏のアパルトメントに戻ってくれ。
  1113.  
  1114. Dr. Roman
  1115. アンデルセン、君も来てくれるかな。
  1116. サーヴァントの仲間が増えるのは何よりも心強い。
  1117.  
  1118. Mordred
  1119. あぁ!?
  1120. このクソガキを連れて行くのかぁ!?
  1121.  
  1122. Mordred
  1123. めちゃくちゃ弱くて使えないぞ、絶対!
  1124. しかもつまらない! ろくな本を書かないに決まってる!
  1125.  
  1126. Anderson
  1127. そうか。よし、是非同行しよう。
  1128.  
  1129. Anderson
  1130. 協力する気なんぞまったくなかったが、
  1131. 今の発言で気が変わった。
  1132.  
  1133. Anderson
  1134. よろしくなセイバー。いや、モードレッド卿。
  1135. ところで主役になるのならジャンルは何が好みだ?
  1136.  
  1137. Anderson
  1138. 悲劇か? 喜劇か? それともコメディか?
  1139. いいぞ、ともあれ最高の駄作に仕上げてやろう。
  1140.  
  1141. Mordred
  1142. そうかよ。せいぜい売れない本書いて
  1143. 泣きべそかいてろ、童話作家。
  1144.  
  1145. Mashu
  1146. (あ、あの、失礼ですよ、聞こえてますよっ)
  1147.  
  1148. Mordred
  1149. 聞こえるように言ったんだ。
  1150. 陰口は、臆病者のすることだからな。
  1151.  
  1152. Mashu
  1153. …………。
  1154. …………。
  1155.  
  1156. Anderson
  1157. さて、移動するか。
  1158. 古書店主人が目覚める前に出るぞ。
  1159.  
  1160. Anderson
  1161. なにしろ盗人なのは俺も同じでな。
  1162. 実はこっそり裏口から忍び込んだんだ。
  1163.  
  1164. Anderson
  1165. 目を覚まして警官を呼びつけられても厄介だ。
  1166. 助けてやったのに捕まるなんぞ、駄作にも程がある!
  1167.  
  1168. Mordred
  1169. はあ!?
  1170.  
  1171. Mordred
  1172. 無許可で上がりこんどいて、
  1173. あんだけ堂々としてやがったのかよ、おまえ!?
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