Advertisement
Not a member of Pastebin yet?
Sign Up,
it unlocks many cool features!
- ●説明文
- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- 日々インターネットを活用した新たなサービスが登場し、私たちを取り巻く生活環境やビジネスの在り方が目まぐるしく変化する中で、従来にはなかった法律問題が生じています。
- 例えば、掲示板等のSNSを利用した誹謗中傷、風評被害、個人情報及び企業秘密に係る情報の流出、知的財産権侵害、不正アクセスから、ひいてはインターネットを活用した選挙など枚挙にいとまがありません。
- これらの問題は、個人・法人を問わず極めて身近に起こり得る事象であり、また、ひとたび発生した場合の被害や問題の深刻さは計り知れないものであるにもかかわらず、インターネットについての専門知識を伴うためか、専門家による法的支援が十分でないのが現状です。
- 本書では、解決可能かもしれない問題について解説していきます。
- 【取り扱い内容】
- 2ちゃんねる、爆サイ、Twitter、Facebook、Yahoo!知恵袋、転職会議、FC2、アメブロ、Google / Yahoo!、
- 発信者情報開示、プロバイダ責任制限法、ストーカー規制法名誉毀損
- ※本書の内容は法律事務所クロス公式HPでも閲覧可能となっております。
- https://cross-law.jp/column/
- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- ●中身
- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- ●インターネット上の名誉毀損、誹謗中傷への法的な対策について
- 1.インターネット上での名誉毀損、誹謗中傷について
- 2.プロバイダ責任制限法について
- 2-1.プロバイダ責任制限法とは
- 2-2.プロバイダ責任制限法に基づく対策
- 2-2-1.削除請求(送信防止措置請求)とは
- 2-2-2.送信防止措置請求の手続
- 2-2-3.送信防止措置請求の手続の効果
- 2-3.発信者情報開示請求とは
- 2-3-1.発信者情報開示請求によって得られる情報
- 2-3-2.発信者情報開示請求の注意点
- 1.インターネット上での名誉毀損、誹謗中傷について
- 今やインターネット上において、誰でも気軽に情報発信ができるようになりました。しかし、インターネットが発展するにつれて、個人情報をネット上に公開されてしまったり、ネット上で悪質な誹謗中傷がされたりという、これまでなかった形の権利侵害が増えてきています。
- インターネット上での発言は、匿名性が高く発言者が誰か突き止めにくい、という点や、いったん広まってしまうと被害が瞬時に広範囲に拡散してしまう、といった点に特徴があります。被害者としては、一刻も早く、そのような根拠のない中傷を削除して欲しいと考えるでしょうし、発言者を特定して刑事告訴をする、あるいは損害賠償請求を行なうことなども考えるでしょう。
- このようなインターネット上における名誉毀損や誹謗中傷については、様々な対策が考えられますが、ここでは、「プロバイダ責任制限法」による対策について検討してみます。
- 2.プロバイダ責任制限法について
- 2-1.プロバイダ責任制限法とは
- プロバイダ責任制限法の正式名称は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」といいます。
- インターネットの普及に伴い、名誉毀損やプライバシー侵害、著作権侵害等が増加してきたため、ネット上でそのような権利侵害が行なわれた場合の、特定電気通信役務提供者(プロバイダや掲示板管理者、WEBサイト管理者等、以下「プロバイダ等」といいます)の責任について規定した法律で、2001年11月に成立し、2002年5月に施行されました。
- プロバイダ等からすれば、実際には名誉毀損やプライバシー侵害に当たらないものまで削除に応じたり、発信者の情報を開示したりしてしまうと、逆に発信者から権利侵害があったとして損害賠償請求をされかねません。そこで、情報の削除や発信者の情報開示に関するプロバイダ等の責任の範囲を定めたのが、このプロバイダ責任制限法なのです。このプロバイダ責任制限法は、被害者の発信者情報開示請求権についても規定しています。
- 2-2.プロバイダ責任制限法に基づく対策
- 2-2-1.削除請求(送信防止措置請求)とは
- インターネット上で名誉毀損や誹謗中傷にあたる書き込みがなされてしまうと、不特定多数の者がその情報を閲覧することによって、被害が拡大してしまいます。被害者としては、一刻も早くその情報を削除してもらう必要があります。
- そこで、被害者が、プロバイダ等に対し、情報を削除すること(情報の送信を止めること)を請求することができます。これは「送信防止措置請求」と呼ばれます。
- 2-2-2.送信防止措置請求の手続
- 送信防止措置請求を行なうときは、送信防止措置依頼書を作成し、プロバイダ等へ送付する必要があります。
- 送信防止措置依頼書を作成するにあたり、大切なのは、まず、問題となる書き込みを、PDFで保存する、画像キャプチャを保存する、印刷する、デジカメで撮影する等の方法により保存することです。そして、依頼書において、その書き込みを特定する必要があります。例えば、掲示板であればURL、スレッド名、レスNo.、書き込み日等で、ブログであれば、URL、タイトル、書き込み日等で特定します。その上で、その書き込み等によって侵害された権利とその理由について記載する必要があります。
- プロバイダ責任制限法は、この送信防止措置請求に応じたプロバイダが発信者に対する賠償責任を免れる場合について規定しています。
- なお、一般的に、権利侵害の態様としては、名誉毀損かプライバシーの侵害が多いと思われます。
- インターネットにおける「名誉毀損」とは、一般に、インターネット上に、何らかの事実を書き込むことによって、被害者の社会的評価を低下させる行為を指すと言われています。事実ではなく表現者の単なる主観的な意見に過ぎない場合であっても、名誉毀損になる可能性もあります。
- 「プライバシーの侵害」の典型例は、他人には知られたくない自己の情報を公開されてしまった場合です。特に私的な事柄ではなく、単なる氏名や住所であっても、自分が知らせたくない第三者には開示されたくないというのが普通ですから、ネット上で氏名や住所を開示された場合もプライバシーの侵害にあたると考えられています。
- 2-2-3.送信防止措置請求の手続の効果
- 被害者からプロバイダ等へ送信防止措置依頼書が送付されると、プロバイダ等は、その書き込み等が他人の権利を不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があると判断できる場合は、自らその情報を削除します。
- プロバイダ等が、権利侵害があるかどうか判断できない場合は、その情報の発信者(書き込み等を行なった者)に対し、照会書を送付して照会を行います。この場合、事前に希望しておけば、送信防止措置を依頼した者の氏名を、発信者に告げないようにすることができます。照会が行なわれて7日以内に発信者から反論がなければ、プロバイダ等は発信者が行なった書き込み等を削除するという流れになります。
- 2-3.発信者情報開示請求とは
- インターネット上の書き込み等によって、名誉毀損やプライバシーの侵害が行なわれた場合、最終的には、書き込み等を行なった者に対し、民事訴訟で損害賠償請求を行なうことや、名誉毀損罪に該当するとして刑事告訴すること等が考えられますが、そのためには、誰がその書き込みを行なったかを特定しなければなりません。そこで、書き込み等を行なった者(発信者)の情報を、プロバイダ等に開示してもらう手続が「発信者情報開示請求」です。
- 2-3-1.発信者情報開示請求によって得られる情報
- 発信者情報開示請求を行なっても、すぐに発信者の氏名等が開示されるわけではありません。
- 例えば、掲示板に、個人の名誉を毀損するような書き込みがなされた場合を想定してみます。その場合、まず、掲示板の運営者に対し、発信者のIPアドレス、携帯端末の識別番号、SIMカード識別番号、侵害情報の送信時間(タイムスタンプ)等の情報の開示を受けます。掲示板の運営者は、誰が書き込みを行なったかまでは通常把握していませんが、上記情報のいずれかは記録として保存していることが多いので、まずは上記のような情報の開示を求めます。
- そして、その上で、得られた情報を元に、発信者と契約をしている経由プロバイダに対し(経由プロバイダはIPアドレスから判明します)、発信者の氏名や住所・メールアドレス等の情報を請求する、という流れになります。
- 2-3-2.発信者情報開示請求の注意点
- 発信者情報開示請求は、
- 1.請求者の権利が侵害されたことが明らかであるとき
- 2.発信者情報の開示を受ける正当な理由があるとき
- に認められる権利です。発信者の情報は個人情報のため、プロバイダ等は発信者の情報の開示には積極的ではない傾向にあります。ですから、プロバイダ等に対し、上記1.2について(特に1について)説明を行なう必要があります。
- 発信者情報開示請求は、プロバイダ責任制限法4条に基づく権利ですから、被害者がプロバイダ等に裁判外で請求を行なうことができます。ただ、上記のように、プロバイダ等は発信者の情報に開示に積極的ではないので、裁判外の請求ではなく、プロバイダ等に対して裁判を起こして開示請求を行なうことも検討する必要がある場合が多いといえます。
- ●インターネット上の名誉毀損、誹謗中傷への法的な対策について その2
- 送信防止措置請求と発信者情報開示請求の注意点
- インターネット上での投稿による誹謗中傷について、法律上、送信防止措置請求及び発信者情報開示請求の2つの手段があることは「インターネット上の名誉毀損、誹謗中傷への法的な対策について」で紹介したとおりです。
- 今回は、2つの手段の注意点について紹介しようと思います。
- それは、法律上2つの手段があるとしても、インターネット上での誹謗中傷に対して、それらの手段を講ずるべきか否かは別の問題だということです。
- 例えば、インターネット上の投稿による誹謗中傷が、いわゆる粘着質な人物によってなされている場合、安易に送信防止措置請求をすることはお勧めできません。送信防止措置請求が発信者を刺激して、発信者による更なる誹謗中傷記事の投稿がなされるリスクが高いからです。この場合には、はじめに発信者情報開示請求を行い、発信者=誹謗中傷を行っている者を特定し、法的責任を追及のうえ、もう二度と誹謗中傷の投稿をさせない状況を作ってから、送信防止措置請求をすることが得策と考えます。
- また、いわゆる炎上事例の場合、不特定多数の者がインターネット上での誹謗中傷に参加してきます。この場合、炎上中に送信防止措置請求や発信者情報開示請求を行っても、焼け石に水の状態ですから、キリがありません。この場合は、炎上が収まるまでに送信防止措置請求や発信者情報開示請求などの対策をとることをあえて控え、危機管理上の別の対策を行ったうえで、炎上が収まってから送信防止措置請求等をした方が良いように思います。
- インターネット上の誹謗中傷は、非常に複雑な問題なので、単純に投稿記事の削除を請求したり、発信者情報開示請求したりすれば解決する、というものではありません。一つ一つのケースごとに、事案を分析して、最良の手段を取る必要があります。
- ●ストーカー規制法の改正について
- LINEなどのSNS等による付きまといも規制対象に
- 平成28年12月6日に改正ストーカー規制法が成立し、本年1月3日に施行されました。改正の大きなポイントは、SNSでの付きまとい行為を規制対象行為に加えた点です。従来は、付きまとい行為の一つとして「電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること」を規定しましたが、SNS上でのメッセージの送信を対象とすべく、新たに「電子メールの送信等をすること」と規定し、「電子メールの送信等」にSNSを含めることを明らかにしました。
- この改正により、SNSを用いたメッセージの送信や個人のブログ等にコメントを送ることも含まれることとなります。施行からわずか2週間程度で、改正ストーカー規制法を適用した逮捕が少なくとも2件報道されており、いずれの事件もLINEを利用したメッセージの送信行為が問題となっています。
- その他の主要な改正点として、ストーカー行為罪の非親告罪化(被害者の告訴を不要とすること)や罰則の引き上げ(「6月以上の懲役又は50万円以下の罰金」を「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」への厳罰化すること)が挙げられます。
- ●インターネット上における名誉毀損やプライバシーの侵害などについて
- Contents
- 1.インターネットの普及と名誉毀損について
- 2.名誉毀損について
- 2-1.名誉毀損とは
- 2-2.名誉毀損と表現の自由
- 2-3.名誉毀損に対する民事上、刑事上の責任
- 2-3-1.民事上の責任
- 2-3-2.刑事上の責任
- 3.プライバシーの侵害について
- 3-1.プライバシーの侵害とは
- 3-2.プライバシーの侵害に対する民事上、刑事上の責任
- 4.名誉毀損やプライバシー権の侵害等、権利侵害が起こりやすいサービス
- 4-1.2ちゃんねる(掲示板)
- 4-2.Yahoo!知恵袋
- 4-3.食べログ、転職会議、e戸建て、マンションコミュニティ等の口コミサイト
- 4-4.Twitter(SNS)
- 4-5.ランキングサイト
- 5.被害を受けた場合
- 6.加害者として責任追及された場合
- 1.インターネットの普及と名誉毀損について
- インターネットの普及に伴い、個人が掲示板やブログ、TwitterやFacebookといったSNS等を通じて、様々な情報を発信できるようになりました。同時に、ネット上での書き込み等は、匿名で行なえることから、安易に書き込んでしまった内容が名誉毀損やプライバシー侵害になってしまったり、逆に、ネット上で誹謗中傷されたり、個人情報を公開されてしまったりするなど、被害を受けてしまうことも多くなりました。
- ここでは、インターネット上でのどのような書き込みが名誉毀損やプライバシー侵害にあたるのか、また、そのような被害に遭ったらどうすればよいかということについて紹介します。
- 2.名誉毀損について
- 2-1.名誉毀損とは
- 名誉毀損とは、「公然と事実を摘示し、人の名誉(社会的評価)を毀損する(低下させる)こと」を言います。
- インターネット上での書き込みは、特定の人に対して送ったダイレクトメッセージでない限り、不特定多数の第三者が閲覧できる状態になりますから、原則として、「公然と」という要件に該当します。
- 次に、「事実を摘示し」という部分についてですが、この「事実」というのは、虚偽の事実だけでなく、真実であっても「事実」に該当します。つまり、本当のことを書いた場合でも名誉毀損が成立することに注意しなければなりません。
- ですから、例えば、「Aさんは不倫をしている」とネット上に書き込んだ場合、不倫をしているという事実は、一般的に、ある人の社会的評価を低下させる事実ですから、それが虚偽の場合はもちろん、真実であっても名誉毀損になる可能性がある、ということになるのです。
- 2-2.名誉毀損と表現の自由
- 上記のとおり、「真実」であっても、ある者の社会的評価を低下させる事実をネット上に書き込んでしまうと、名誉毀損になる可能性があります。
- 一方、ある政治家Aが賄賂をもらっている、とか、ある企業Bが不正な取引を行なっているといった事実がある場合に、これらの事実がAやBの社会的評価を低下させるからといって公表してはならないことになると、多くの国民や消費者に不利益を与えてしまいます。
- このような事実を自由に発言できなくなると、政治家や企業に対する世間の監視の目が働かなくなるため、このような公共の利益になるような発言を行なうことは、「表現の自由」の一つとして憲法で保障されています。
- そこで、第三者の社会的評価を低下させる事実であっても、
- ① 公表した事実が真実であること(仮に真実でなくても、真実であると思ったことに十分な理由があること)、
- ② それを公表することが公共の利害に繋がること、
- ③ 公表の目的が公益を図ることにあること
- という3つの要件を満たした場合は、例外的に名誉毀損が成立しない、とされています。
- 2-3.名誉毀損に対する民事上、刑事上の責任
- 2-3-1.民事上の責任
- ネット上での書き込みや発言が名誉毀損に該当した場合、その行為は、民法上、不法行為(民法709条)ということになり、書き込みや発言によって名誉を毀損された被害者から、損害賠償請求を受けることがあります。
- 例えば、ある会社が不正など行なっていないのに、「A社は~の不正を行なっている」などとネット上に書き込んだ場合、その書き込みによってA社の評価が落ちたことに対する損害賠償金を支払わなければならなくなるのです。また、被害者が個人の場合は、実際に生じた損害に加えて、精神的損害としての慰謝料を請求される可能性もあります。
- 2-3-2.刑事上の責任
- 2-3-2-1.名誉毀損罪
- 名誉毀損行為については、民事上の責任に加えて、刑事上の責任も発生します。
- ある行為が名誉毀損に当たる場合は、刑法上、名誉毀損罪(刑法230条)が成立し、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処せられます。
- 2-3-2-2.侮辱罪
- また、名誉毀損にはあたらない場合でも、侮辱罪(刑法231条)が成立する場合もあります。刑法231条には、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」と規定されており、「事実」の摘示でなくても、例えば、「Aはどうしようもないバカだ」というように、他人の社会的評価を低下させるような発言については犯罪が成立するとされているのです。
- このように、名誉毀損と侮辱罪の違いは、事実を摘示するかどうかにあります。
- 2-3-2-3.信用毀損罪、業務妨害罪
- さらに、ネット上で書き込んだ事実が虚偽の情報であった場合、名誉毀損罪と同時に、別の犯罪も成立することもあります。
- 例えば、「購入したジュースに異物が混入していた」とTwitterでつぶやいたとしましょう。これが虚偽であれば、ジュースのメーカーの信用を毀損したとして、信用毀損罪(刑法233条前段)が成立しますし、そのことで、メーカーがジュースを回収せざるを得なくなる等、業務に支障をきたした場合は、偽計業務妨害罪(刑法233条後段)が成立する可能性があるのです。
- 3.プライバシーの侵害について
- 3-1.プライバシーの侵害とは
- プライバシーの侵害とは、私生活上の事実であって、一般人が第三者に公開しないで欲しいと考える事実、かつ、一般に人々にまだ知られていない事実を公表することを言います。
- 単なる氏名や住所であっても、一般的に、誰にでも教えるものではありませんから、これを知られたくない第三者に対して公開してしまえば、プライバシーの侵害に該当します。
- 3-2.プライバシーの侵害に対する民事上、刑事上の責任
- ネット上の書き込み等がプライバシー侵害にあたる場合、その行為は、名誉毀損と同様、民法上、不法行為ということになり、損害賠償請求を受ける可能性があります。
- プライバシー侵害については、刑法上、これを正面から罰する規定はありませんが、プライバシーに関する事実のうち、人の社会的評価を低下させる事実を公表した場合は、名誉毀損罪が成立します。
- 4.名誉毀損やプライバシー権の侵害等、権利侵害が起こりやすいサービス
- 4-1.2ちゃんねる(掲示板)
- 2ちゃんねるのような掲示板においては、匿名で書き込めることがその特徴であるため、名誉毀損行為やプライバシーの侵害、個人への誹謗中傷行為等がなされることが少なくありません。
- ただ、匿名とはいえ、投稿者のIPアドレスから投稿した人物を特定することが可能なため、投稿をする際は、完全に匿名ではないことに注意が必要です。
- 4-2.Yahoo!知恵袋
- Yahoo!知恵袋のように、他人に質問の回答を求めるようなサービスにおいては、「A社の労働環境はどんな感じですか?」という質問に対し、「A社は残業代を払わないブラック企業だ」と虚偽の回答をしたり、そもそも、「B社は悪徳商法の会社だと聞いたのですが、実態を知っている方教えてください」などと、質問の形をとって特定の企業について虚偽の情報を流したりする等の例が最近増えてきていますが、これも名誉毀損等に該当する可能性のある行為なので注意が必要です。質問の形式をとれば名誉毀損にならない、というわけではありません。当事務所で過去に扱った案件でも、質問型の誹謗中傷表現について名誉毀損が認められたことが多々ありました。
- 4-3.食べログ、転職会議、e戸建て、マンションコミュニティ等の口コミサイト
- 食べログ、転職会議、e戸建てやマンションコミュニティといった特定の店舗や企業の評価を口コミの形式で投稿するサービスは、本当に店舗を利用した者や、企業に所属していた者が、真実を掲載する限りにおいては、有用なサービスといえますが、特定の店舗や企業の評価を下げるために、虚偽の事実を書き込んだり、訪問してもいない店舗の口コミを投稿したりする行為は、名誉毀損や業務妨害等にあたる可能性があります。
- 当事務所で過去に扱った案件では、元従業員やライバル会社が、一般のユーザーを装って口コミを投稿しているケースが多くありました。
- 4-4.Twitter(SNS)
- Twitter等のSNSは、個人の発言や意見等を多くの人に発信することができるツールですが、自分の投稿が思わぬうちに不特定多数の者に広がってしまう可能性があるため、個人情報や他人のプライバシーに関する事実などを投稿してしまうことで、名誉毀損やプライバシー侵害につながる危険があるという点に注意が必要です。Twitter等のSNSへの投稿に対する対応は、米国法人を相手方とすることもあって手続が複雑ですが、当事務所では、Twitterでの誹謗中傷において対応実績があり、発信者の特定に至ったケースもあります。
- 4-5.ランキングサイト
- インターネットでの商品販売に適した業界(美容関連や健康食品等)では、中立な評価を装ったランキングサイトを作成し、SEO効果を狙い、かつ、自社製品の販売につなげる業者や、当該サイトでの広告で利益を上げようとする業者も存在します。このような業者は、競合製品に対して不当な評価を与え、ある特定の製品の優位性を図ろうとしたり、特定の製品の優位点を強調してその製品の評価を不当に高めようとしたりする表現が多く見られます。このようなランキングサイトは、消費者を誤認させるため、違法と評価されるケースがあります。
- 5.被害を受けた場合
- インターネット上で名誉毀損やプライバシー侵害の被害を受けたり、誹謗中傷されたりした場合は、加害者に対し、損害賠償請求をしたり、刑事告訴したりすることが考えられます。そのためには、まず加害者を特定することが必要です。
- インターネット上の書き込み等については、プロバイダ責任制限法という法律に基づいて、プロバイダや掲示板などのサイトの運営者に対し、書き込まれた情報の削除を求めたり(送信防止措置請求)、書き込みを行なった発信者を特定したり(発信者情報開示請求)することができます。
- ただ、プロバイダ等は送信防止措置や発信者情報の開示に慎重な場合も多いので、書き込みが名誉毀損などにあたる理由等について、法律的にしっかりと説明をする必要がありますし、場合によっては裁判を起こす必要もあるので、専門的な知識が欠かせません。
- また、インターネット上の情報は、瞬時に広範囲に広がってしまうことで被害が拡大してしまう可能性もあることから、迅速な対応が必要です。
- 6.加害者として責任追及された場合
- 自分の書き込みが、他人の名誉を毀損しているとかプライバシーを侵害しているとして、予期せず訴えられてしまうことも考えられます。
- ただ、どこまでが名誉毀損・プライバシーの侵害に当たり、損害賠償の対象となるのか、また、刑事罰の対象となるのか、というのは一般の方にとっては線引きが難しいことが少なくありません。
- もちろん、ネット上で不用意な発言をしないように注意することがまずは大切です。しかし、自分では気が付かない間に他人の権利を侵害してしまっていることもあります。第三者から、権利侵害をしているという申告を受けたのに放置してしまい、思わぬ額の損害を支払わなくてはならなくなったり、逮捕・拘留されてしまったりすることのないよう、早めの対応が必要です。
- 加害者として刑事事件の被疑者となり捜査を受けている場合は、早期に被害者との間で示談をすることが重要です。当事者同士で示談交渉を進めることは、感情的に困難な場合が多いことから、代理人(弁護士)を立てて示談協議をしたいという加害者からの依頼も多いです。
- ●Yahoo!知恵袋に記載された誹謗中傷投稿を削除するには
- Contents
- 1.Yahoo!知恵袋とは
- 2.知恵袋の投稿が誹謗中傷や風評被害を起こしやすい理由
- 3.知恵袋の投稿による誹謗中傷や風評被害の影響
- 4.知恵袋の投稿を自分で削除する方法
- 5.知恵袋の投稿に対する法的な対応方法
- 5-1.送信防止措置請求
- 5-2.発信者情報開示請求
- 1.Yahoo!知恵袋とは
- Yahoo!知恵袋は、利用者が質問や相談を投稿し、これに対して、他の利用者が知識や知恵を投稿することで、質問者の疑問や悩み等を解決することができるサービスです。
- 日常の生活における疑問や悩みだけでなく、政治問題、法律問題やアプリ開発など幅広い分野における様々な質問・回答が、毎日行われています。
- 以前、大学入試の問題を、受験中にYahoo!知恵袋で質問し、この行為がカンニング行為として問題になったことを覚えておられる方もいらっしゃると思います。
- 2.知恵袋の投稿が誹謗中傷や風評被害を起こしやすい理由
- 上記のとおり、Yahoo!知恵袋は、多くのユーザーが参加しているので、迅速に疑問を解決できたり、良い知恵を得ることができたりする反面、匿名での投稿であるため、回答者が不真面目なコメントをしたり、間違った知識を投稿したり、また、質問者を誹謗中傷するようなコメントを投稿している例も少なくありません。
- また、最近では、「A社は、悪徳商法を行う会社として有名らしいですが、被害に遭われた方いらっしゃいますか?」といったように質問の形式を取りながら、特定の企業の悪口を投稿したり、「B社で働きたいのですが、労働環境はどうですか」と自分で行なった質問に、別のアカウントから、「B社はブラック企業なので止めた方がいいですよ」などと回答したりするような、悪質な事例も見られるようになってきました。
- 3.知恵袋の投稿による誹謗中傷や風評被害の影響
- Yahoo!知恵袋にネガティブな情報を書き込まれてしまうと、その影響は非常に大きいといえます。企業名や商品名で検索した際に、Yahoo!知恵袋での質問や回答が上位に表示されることが多い上、まとめサイト等でも引用されることが多く、非常に多くの人の目に触れてしまうことになるからです。
- 最近では、企業やサービスについて、まずネットで検索してみる、という消費者や就職・転職活動者が少なくありません。そのような方々がまず目にするのは、検索結果の上位に表示される情報であり、そこにネガティブな情報が書き込まれていると、それが真実かどうかにかかわらず、消費者にマイナスのイメージが残ってしまうのです。
- また、Yahoo!知恵袋においては、質問に対する回答が締め切られると、原則として質問者自身も質問自体を削除できなくなるので、いったんネガティブな情報や、個人のプライバシーに関する事実が投稿されてしまうと、すぐには削除できなくなってしまう点も、被害を拡大させてしまう原因といえるでしょう。
- 4.知恵袋の投稿を自分で削除する方法
- Yahoo!知恵袋の投稿内容によって、誹謗中傷を受けたり、個人や企業にとってネガティブな内容を書き込まれた場合は、当該質問や回答がなされたページから、Yahoo!に対してガイドラインに違反しているとして「違反報告」を行なう方法で削除を求めることができます。
- Yahoo!知恵袋では、ガイドラインにおいて以下の事項が禁止されています。
- いやがらせ、悪口、脅しなど、他人の権利を侵害し、傷つける内容
- わいせつ、不愉快に感じる内容であるもの、社会規範および公序良俗に反する内容の投稿
- 商品の売買や金銭授受を目的とした商業・広告目的の利用
- 自他問わず、個人を特定できる情報の公開
- 第三者の知的財産権を侵害するもの
- 他人のなりすまし、誤認を与えるもの
- ほか、Yahoo! JAPANが不適切と判断するもの
- 知恵袋での質問や回答が、以上の事項に合致していると判断されれば、Yahoo!側で削除が行なわれます。
- ただ、違反報告を行なったからといって、必ず削除されるわけではありません。Yahoo!側が知恵袋のガイドラインに反している、と判断しなければ削除はされません。特に、企業や製品に対するネガティブな情報は、虚偽の事実であれば問題ですが、それが真実である限りは、利用者にとって有用な情報となる場合もあります。ただ、真実かどうかをYahoo!側が判断するのは難しいため、すぐには削除されない場合が多いのです。
- また、違反報告を行なったからといって、削除するかどうかの判断についての連絡はありませんから、すぐに削除されない場合に、削除するかどうかの判断に時間がかかっているのか、もしくは、ガイドラインに反しないと判断したのかもわからないという状態になってしまうのです。
- 5.知恵袋の投稿に対する法的な対応方法
- 5-1.送信防止措置請求
- 違反報告を行なってもすぐに投稿が削除されない場合は、弁護士等の専門家に依頼して、投稿を削除する方法を検討するのがよいといえます。
- まず、個人や企業にとってマイナスな情報が投稿されたままの状態を解消するため、送信防止措置請求を行なうことが考えられます。
- この請求は、個人で行なうこともできますが、書面で請求しなければならず、また、書面に権利侵害の内容をしっかりと記載する必要があります。また、ヤフー株式会社としても、Yahoo!知恵袋は人気コンテンツですので、他のコンテンツプロバイダと比較しても、簡単には削除請求に応じてくれない傾向にあります。
- インターネット上の投稿が名誉毀損やプライバシーの侵害にあたるかどうか、誹謗中傷として個人や企業の権利を侵害する程度のものかどうかという判断は法的な知識を必要とするため、弁護士が作成してしっかりと説明することで、削除される可能性は高くなるといえるでしょう。
- 5-2.発信者情報開示請求
- 知恵袋における誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー侵害の程度によっては、投稿の削除だけでなく、損害賠償を求めることもあると思います。
- その場合、まず、投稿者を特定することが必要です。
- 投稿が匿名でなされているとはいえ、投稿者のIPアドレス等から投稿者を特定することは可能です。IPアドレスを特定するため、プロバイダ責任制限法に基づき、サイトの運営者であるヤフー株式会社に対し、投稿者のIPアドレス等の開示を請求します。その上で今度は、投稿者が利用している経由プロバイダに対し(経由プロバイダはIPアドレスから判明します)、投稿者の住所や氏名について開示請求を行なうのです。
- ただ、この発信者情報開示請求を行なう場合も、送信防止措置請求を行なう場合と同様、具体的な権利侵害の内容について法的に説明する必要があります。また、発信者の情報は個人情報であるため、ヤフー株式会社やプロバイダ等が、これらの開示に慎重な傾向にあります(むやみに開示してしまうと、逆に投稿者から損害賠償請求を受ける可能性があるためです)。
- ヤフーやプロバイダ等が開示請求に応じない場合は、裁判手続きにおいてこれらを求めていくことになりますが、その場合法的な知識が必要不可欠になります。また、発信者情報開示請求を行なう最終的な目的は、名誉毀損やプライバシーの侵害等によって被った損害の賠償を請求や刑事手続きを進めることにあります。
- 通常、投稿者が任意に損害賠償に応じるはずはなく、裁判で決着をつけることになる場合が少なくないでしょう。だとすれば、最終的な損害賠償の見込みも踏まえて行動する必要があり、その観点からも、早い段階で弁護士に相談しておいたほうが、様々な面で有利に働くと思います。
- ただ、このようなインターネット上の法律問題については、一般的な交通事故や離婚・相続等の問題と異なり、弁護士によって得手不得手の差がある分野といえますから、インターネット上の法律問題に詳しい弁護士に相談するのが良いでしょう。
- ●2ちゃんねる(2ch.net)での誹謗中傷や名誉毀損投稿の削除方法
- Contents
- 1.2ちゃんねるとは
- 2.2ちゃんねるには2種類あるのか?
- 3.2ちゃんねるに対する削除依頼方法
- 3-1.投稿者も自由に削除できない
- 3-2.メールや削除フォームを利用した削除依頼
- 3-3.裁判所の仮処分を利用した削除依頼
- 4.2ちゃんねるへの削除依頼を弁護士に依頼するメリット
- 4-1.削除依頼の際の法的説明
- 4-2.裁判所の仮処分を利用する場合
- 5.2ちゃんねるにおける誹謗中傷や名誉毀損の問題は弁護士にご相談を
- 1.2ちゃんねるとは
- インターネット上における情報発信は、誰でも匿名で、自由に行なうことができるため、様々なメリットがある半面、誹謗中傷や名誉毀損の問題が発生することも少なくありません。
- インターネット上の巨大掲示板である「2ちゃんねる」(http://2ch.net)。2ちゃんねるは、日本最大級の電子掲示板で、幅広い分野について、誰でも、匿名で記事を書き込んだり、閲覧したり、記事にコメントをつけることができるサイトです。
- そのため、2ちゃんねるにおいても、他人を誹謗中傷したり、名誉を毀損したりする書き込みによる被害が問題となっています。
- いわゆるネット炎上においても、個人が軽率に行ったSNSへの投稿等を問題視した閲覧者が、当該投稿を2ちゃんねるに紹介することが発端となる例は多いようです。
- 2.2ちゃんねるには2種類あるのか?
- 2ちゃんねるは、もともと、1999年に2ch.netとして開設されたものですが、内部紛争によって分裂し、現在は、ドメインが2ch.netのものと、2ch.scのドメインのものと、2ch.netの記事を転載(コピー)しているものがあります。この意味で、2ch.scは、2ch.netのコピーサイトと言われています。
- 現在、2ch.netは、フィリピンにあるRace Queen, Inc.という法人が運営し、2ch.scは、2ch.netをもともと管理していたシンガポールにあるPACKET MONSTER INC.PTE.LTD.が運営しているといわれています。両サイトが別法人によって運営されていることから、掲示板内における誹謗中傷投稿や名誉毀損記事の削除の方法も、運営法人によって異なります。
- 以下本文では、「2ちゃんねる(2ch.net)」における投稿・記事の削除の方法についてご説明します。
- 参考)「2ch.sc」については、こちらの記事をご参照ください。
- 2ch.scでの誹謗中傷や名誉毀損の投稿を削除する方法
- 3.2ちゃんねるに対する削除依頼方法
- 3-1.投稿者も自由に削除できない
- 2ちゃんねるに投稿された記事は、投稿した本人であっても自由に削除することはできません。
- そこで、投稿記事を削除したい場合には掲示板を運営する2ちゃんねるに対して削除依頼を行なうことになります。2ちゃんねるに対する削除依頼は、下記の2つの方法があります。
- 3-2.メールや削除フォームを利用した削除依頼
- 1つ目は、2ちゃんねるに対して、直接メールや削除フォームを利用して削除依頼を行なう方法です。
- 削除する理由(投稿等が権利侵害にあたるという具体的な理由)、削除理由の根拠(削除理由を裏付ける資料)を明らかにして、直接請求します。ただ、あくまで運営者の自主的判断を促すだけであるため、運営者側の削除のガイドラインにおける削除対象に該当しなければ削除されないという点に注意が必要です。
- また、法人についての情報は裁判所の決定が無ければ対応しないとしており、メールや削除フォームでの削除依頼には限界があります。
- 3-3.裁判所の仮処分を利用した削除依頼
- 裁判所に対して、削除の仮処分を求める方法です。現在、2ch.netでは、裁判所において削除の仮処分が認められた場合は、削除に応じるという対応を行なっているため、この方法は最も確実な方法です。
- ただし、2ch.netの運営主体が海外法人であることから、書類を英訳したり、海外に送付したりする関係上、仮処分を申し立ててから決定がなされるまで、かなりの日数がかかってしまうという難点があります。
- 4.2ちゃんねるへの削除依頼を弁護士に依頼するメリット
- 4-1.削除依頼の際の法的説明
- 上記の、メールや削除フォームを利用した削除依頼については、個人で行うことも困難ではありません。
- ただ、削除ガイドライン上、削除理由(必須)やその理由を根拠付ける資料の添付(任意)を要求されることから、論理立てた法的説明及び資料の添付により運営会社を説得して削除してもらうために、弁護士に依頼するメリットはあると言えるでしょう。
- 4-2.裁判所の仮処分を利用する場合
- 裁判所に仮処分を申し立てるには、申立書において、権利侵害があることや、違法性阻却事由がないことについて裁判所に対して法的に説明をする必要があります。
- これらの書面は、法律の専門家である弁護士が作成したほうが、より説得的になることから、事案にもよりますが、仮処分を得やすいといえるでしょう。
- また、手続自体でも、2ch.netを運営するフィリピン法人の資格証明書を取得したり、書類を英訳したりする必要があるため、これらの手続に慣れている専門家の方がスムーズに手続が進むといえます。
- 5.2ちゃんねるにおける誹謗中傷や名誉毀損の問題は弁護士にご相談を
- インターネット上において誹謗中傷や名誉毀損がなされた場合、これを放置してしまうと被害が拡大してしまうため、迅速な対応が必要です。特に、2ちゃんねるは、国内最大の掲示板という特殊性から、検索エンジンの検索結果の上位に表示されますし、2ch.scをはじめとするコピーサイトやまとめサイトに転載されますので、その被害は他の媒体より大きくなると考えられます。
- 被害に遭った場合は、まずは問題となった記事や投稿を速やかに削除することが求められますし、削除しただけではまた書かれてしまう可能性がある場合には、投稿をした人物を特定して再度の投稿を防ぎ、損害賠償請求を行なうことも考えられます。
- そのような手続を迅速・かつ的確に進めるためには、弁護士に、しかも、インターネットの法的問題を専門的に取り扱っている弁護士に依頼するのがベストといえるでしょう。
- ※なお、この記事は、平成29年1月時点の情報です。削除依頼に対する2ちゃんねるの運用や、裁判所の仮処分に関する運用は今後変化する可能性もあることにご注意下さい。
- ●2ch.scでの誹謗中傷や名誉毀損の投稿を削除する方法
- Contents
- 1.インターネット上における誹謗中傷や名誉毀損について
- 2.2ch.scと2ch.netの違い
- 2-1.2ch.scと2ch.netの関係
- 3.2ch.scに対する削除請求
- 3-1.直接削除依頼を行なう方法
- 3-2.裁判所の仮処分を利用する方法
- 4.2ch.scに対する削除請求を弁護士に依頼するメリット
- 4-1.依頼者の名前等が公開されない。
- 4-2.仮処分の手続もスムーズに行なえる。
- 1.インターネット上における誹謗中傷や名誉毀損について
- インターネット上での発言は、誰でも匿名で行えることから、個人や会社に対する誹謗中傷や、名誉毀損、プライバシーの侵害等、他人の権利を侵害する投稿や書き込みがなされることも少なくありません。
- 誹謗中傷や名誉毀損に該当する投稿がなされてしまうと、その被害は甚大なものとなります。
- そこで、2ch.scにおける誹謗中傷の削除方法についてご紹介します。
- 2.2ch.scと2ch.netの違い
- 2-1.2ch.scと2ch.netの関係
- 2017年1月現在、「2ch.net」に投稿された書き込みは、「2ch.sc」にも転載(コピー)されています。しかし、「2ch.sc」に独自に投稿されたものは、「2ch.net」には掲載されず、「2ch.sc」のみに掲載されている状況です。
- ですから、「2ch.net」内に誹謗中傷や名誉毀損に当たる投稿や記事が掲載されたときは、「2ch.sc」にも掲載されてしまうので、「2ch.net」に対してだけでなく、「2ch.sc」に対しても削除依頼を行なう必要があります。
- なお、2ちゃんねる(2ch.net)と2ch.scでは運営会社が異なるため、削除依頼の方法も、それぞれの運営会社によって違いがあります。
- そこで今回は、「2ch.sc」に投稿された書き込みを削除する方法についてご説明します。
- 参考)「2ちゃんねる(2ch.net)」については、こちらの記事をご参照ください。
- 2ちゃんねる(2ch.net)での誹謗中傷や名誉毀損の投稿を削除する方法
- 3.2ch.scに対する削除請求
- 3-1.直接削除依頼を行なう方法
- 2ch.scに掲載された書き込みは、投稿した本人も削除することができないため、まずは、運営会社に対して直接削除依頼を検討することになります。
- 「2ch.sc」は、「2ch.net」と異なり、メールによる削除依頼は受け付けておらず、削除依頼フォームを利用して削除の申請を行なうことになります。
- ただ、この方法による削除依頼は、「2ch.sc」の削除ガイドラインに該当していなければ削除されない、という点と、削除依頼については、「2ch.net」とは異なり、依頼者や削除理由等が全て公開されてしまうという点について注意が必要です。また、削除を行なう体制については不透明な部分が多く、仮にガイドラインに該当しているとしても、速やかに削除されるとは限らない、という点にも注意が必要です。
- 3-2.裁判所の仮処分を利用する方法
- 「2ch.sc」では、裁判所の仮処分を得ている投稿については、原則として削除に応じる旨の運用を行なっています。そこで、「2ch.sc」を運営する、PACKET MONSTER INC.PTE.LTD.というシンガポールにある法人を相手方として、削除の仮処分の申立てを行なう方法が確実な方法となります。
- 裁判所の仮処分については、「2ch.sc」に対して行なう場合は、その特殊性を考慮し、裁判所に債務者を呼び出して、債務者審尋を行なうことはしない運用となっています(平成29年1月現在、東京地裁の運用)。
- 4.2ch.scに対する削除請求を弁護士に依頼するメリット
- 4-1.依頼者の名前等が公開されない。
- 前述のように、「2ch.sc」に対する直接削除依頼では、依頼者名や依頼理由などが全て公開されてしまいます。ただ、これを弁護士に依頼することで、弁護士名しか公開されないというメリットがあります(記事の内容から依頼者名が推測される可能性はあります。)。
- 4-2.仮処分の手続もスムーズに行なえる。
- 誹謗中傷や名誉毀損等の被害は、放っておくと被害が拡大してしまいますから、迅速に対応する必要があります。
- ただ、裁判所の仮処分を行なう際には、裁判所に対して、様々な書類を提出しなければなりませんが、その書類の作成が一般の方には難しいことが少なくありません。
- 例えば、仮処分にどのような書類が必要か、という点だけに絞ってみても、ネット上では様々な曖昧な情報が流れており、一般の方がどの情報が正しいかを判断するのは容易ではありません。
- 一例をあげると、「2ch.sc」に対する仮処分には、「2ch.sc」を運営するシンガポールの法人の資格証明書が必要である、との情報がネット上で散見されます。しかし、シンガポール法人の資格証明書はシンガポール法上、日本人が日本から取得することはできませんので、実際は、bizFILEという形式で、公証付会社情報(「Business Profile with Certificate of Production」)という書類を取得し、これに裁判所に対する上申書をつけるという方法を、弁護士は行っています。
- このように、必要書類を一つ取り寄せるのにも、同様の手続を何度も経験している専門家が行なった方がスムーズにいく場合が多いのです。
- ※なお、この記事は、平成29年1月時点の情報です。削除依頼に対する2ch.scの運用や、裁判所の仮処分に関する運用は今後変化する可能性もあることにご注意下さい。
- ●Twitter(ツイッター)による誹謗中傷・名誉毀損を削除するには
- Contents
- 1.Twitterとは
- 2.ツイート投稿による誹謗中傷、名誉毀損、プライバシー侵害やなりすまし
- 3.ツイートによる誹謗中傷や名誉毀損投稿を削除するには
- 3-1.運営会社に対する直接請求
- 3-2.裁判所の仮処分命令を利用する方法
- 3-3.仮処分命令による非表示は地域限定の場合があることに注意
- 4.投稿されたツイートの削除を弁護士に依頼した場合のメリット
- 4-1.法的な理由付け
- 4-2.海外企業を相手方とする仮処分手続
- 4-3.投稿者への損害賠償請求
- 1.Twitterとは
- Twitter(ツイッター)とは、ツイートと呼ばれる140文字以内のメッセージから成り立つ、ソーシャルネットワーキングサービスの一つです。ブログと電子メールの中間的なコミュニケーションツールと言うこともでき、その手軽さから多くの人が利用しており、平成28年9月の時点で、国内における月間のアクティブユーザー数が4000万人を超えたと発表されています(同月時点でFacebookの1.5倍のユーザー数)。
- 特に20代や30代の若者に利用者が多く、芸能人やスポーツ選手などの有名人の利用が多いことも人気の理由の一つでしょう。
- 最近ではアメリカのトランプ大統領がツイッターを多用しており、様々な発言をしていることから、更にツイッターの知名度も上がっているようです。
- 2.ツイート投稿による誹謗中傷、名誉毀損、プライバシー侵害やなりすまし
- ツイッターのアカウントは、本名を入力しなくても作成できるため、匿名性が高く、発言者が特定されにくいとの認識からか、他人を誹謗中傷するツイートが問題になることも少なくありません。
- さらに、アカウント開設にあたって身分確認もないことから、なりすましアカウントも容易に作成できてしまうため、なりすましアカウントによるツイート投稿が問題になることもあります。
- また、写真(画像)をつけて投稿することも可能なため、プライバシーに関わるような情報もインターネット上にさらされてしまうことが多くなっています。
- いったんこのような名誉毀損、プライバシー侵害に該当する投稿がなされると、投稿者のフォロワーはもちろんのこと、フォロワーによる「いいね」や「リツイート」という機能を通じた拡散により、短い期間で広範囲に投稿内容が知られてしまうおそれがあります。
- また、ツイッター内に留まらず、togetter(トゥギャッター)というツイートのまとめサイトや、ツイッター内におけるツイートのランキングや話題の検索ができるmeyou(ミーユー)というサイトなどを通じて、さらに広範囲に権利侵害情報が拡散してしまう可能性もあることから、迅速な対応が必要となります。
- 3.ツイートによる誹謗中傷や名誉毀損投稿を削除するには
- 3-1.運営会社に対する直接請求
- ツイッターの運用上、規約によりユーザーが自身の発信したツイートに責任を負うこととされているため、基本的にツイッター運営会社は積極的に監視や検閲を行っていません。しかし、利用規約やルールに反するユーザーに対しては対象アカウントの利用停止措置(アカウント凍結)や投稿ツイート削除を行うことから、まず、特定のツイートや対象アカウントについての法的対応窓口に対して、不正利用の報告を行うことを検討する必要があります。
- ではツイッター内の特定のツイートや対象アカウントについての法的対応窓口というのはどこでしょうか。日本法人としてツイッタージャパン株式会社が存在しますが、この会社はツイッター上の各ツイートに関する法的対応の窓口にはなっていません。
- したがって、特定のツイートについての削除依頼は、原則としてアメリカ本社(Twitter, Inc.)に対して行わなければなりません。
- 具体的には、Twitter, Inc.に対し、特定のツイートが、同社のガイドライン上の「嫌がらせや迷惑行為」に該当するという報告を行うことになります。その際、そのツイート投稿が誰のどのような権利を侵害しているのかという点を具体的に主張する必要があります。
- なお、この直接請求を行うと、Twitter, Inc.が当該ツイートについて、同社ガイドラインに反する不正利用であるかどうかについて調査を行いますが、仮に不正利用であると認めないとしても、調査中は当該ツイートを発信した対象アカウントについて、サイト上の検索結果から一時的に除外することがあります。このような措置によって、当該ツイートの拡散を防止できる側面がありますので、ツイートの削除まで時間がかかることがあっても、当該ツイートの拡散を防ぐためには、この直接請求は有意義であるといえます。
- 3-2.裁判所の仮処分命令を利用する方法
- さらに、投稿自体の削除命令(仮処分命令)を裁判所に申し立て、Twitter, Inc.に対する仮処分命令を得る方法もあります。裁判所に仮処分命令を出してもらうには、仮処分命令の申立書において、権利侵害があることや、違法性阻却事由がないことについて法的に説明をする必要があります。
- なお、現状(2017年2月時点)のTwitter, Inc.の運用では、裁判所に対して仮処分命令の申立を行っても、投稿者にその事実が伝わることはありません。
- 3-3.仮処分命令による非表示は地域限定の場合があることに注意
- 裁判所で特定のツイートについて削除せよという仮処分命令を取得した場合、Twitter, Inc.は、当該ツイートについて、日本国内のIPアドレスを有する端末からは閲覧できないようにする取扱(地域的非表示の取扱)をする場合があります。これは、すなわち、ツイート自体は削除されないので、検索結果上での表示は残る可能性があるということを意味します。対応についてお困りの方は当事務所までご相談くださいませ。
- 4.投稿されたツイートの削除を弁護士に依頼した場合のメリット
- 4-1.法的な理由付け
- 上記のとおり、Twitter, Inc.に対して直接請求を行う場合も裁判所に対する仮処分命令の申立を行う場合も、大切なのは、問題となっているツイート投稿が名誉毀損やプライバシー権侵害に該当する違法なものであるという理由について、法的に説明しなければならないという点です。
- インターネット上の投稿は、憲法上も認められた表現の自由の一つとして保護されていることから、投稿が違法であるということをTwitter, Inc.や裁判所に対して法的に論理立てて説明できなければ、削除を求めても認められません。
- 4-2.海外企業を相手方とする仮処分手続
- Twitter, Inc.のような海外企業を相手方とする場合、日本の企業を相手方とする場合に比べて手続が複雑になります。例えば、仮処分命令申立のためには、相手方となる企業の資格証明書が必要となります。相手方となる企業が日本法人である場合には、法務局で登記を取得して提出すれば足りますので、手続自体も容易で、日数も掛かりません。他方で、Twitter, Inc.の資格証明書を取得する場合、カリフォルニア州から書類を取り寄せる必要があります。取り寄せる方法も特殊ですし、取り寄せの期間も申請から3週間程度は掛かります。そのため、経験のある弁護士に依頼する方が、手続の進行がはるかにスムーズになります。
- 4-3.投稿者への損害賠償請求
- また、投稿内容によっては、単に削除を求めるだけでなく、投稿者に対して損害賠償請求を行うことも考えられます。この場合は、Twitter, Inc.に対し、いわゆるプロバイダ責任制限法に基づく発信者開示請求を行い、投稿者のIPアドレスの開示を受けたうえで、さらにプロバイダに対しても発信者開示請求を行ってIPアドレスから個人を特定することが必要です。その上で、投稿者に対し、損害賠償請求を行うことになります。
- なお、2017年2月現在、Twitter, Inc.から開示される発信者情報は、問題となっているツイート時点でのIPアドレスではなく、当該ツイートをするためにアカウントにログインした時点でのIPアドレス(いわゆるログインIPアドレス)です。このログインIPアドレスに基づいて、プロバイダから発信者情報の開示を受けられるのかという点については裁判所で統一した結論が出ておらず、東京地方裁判所においても判断が分かれているところです。
- ●爆サイ.comにおける誹謗中傷投稿・個人情報の削除方法
- Contents
- 1.爆サイ.comとは
- 2.爆サイ.comにおける誹謗中傷問題
- 3.爆サイ.comにおける投稿の削除方法
- 3-1.投稿者自身による削除
- 3-2.他人による投稿を削除したい場合
- 4. 爆サイ.comにおける投稿の削除・発信者情報開示の手続を弁護士に依頼するメリット
- 4-1.権利侵害事実の特定
- 4-2.削除依頼
- 4-3.他の法的手段の検討
- 4-4.投稿者の特定
- 4-5.投稿者の特定における注意点
- 5.削除の依頼は代行業者ではなく弁護士に
- 6.まとめ
- 1.爆サイ.comとは
- 爆サイ.com(通称「バクサイ」)とは、2ちゃんねる(2ch.net)等と同様のインターネット上の電子掲示板で、様々な話題について自由に投稿できるサイトです。
- 爆サイ.comの特徴は、北海道から沖縄まで、日本全国の地域ごとのローカルな話題をテーマとしたスレッド(あるテーマに関する投稿の集まりをスレッド(略して「スレ」)といいます)がある点で、都道府県単位だけでなく、市区町村単位での雑談スレッドも存在します。
- スマートフォンにも対応しており、20代、30代の若い方の利用が多いというのも特徴です。
- 爆サイ.comの利用者は大変多く、国内の類似サービスの中では2ちゃんねる(2ch.net)に次ぐ利用者がいるとも言われています。
- 2.爆サイ.comにおける誹謗中傷問題
- 利用者が多い分、爆サイ.comにおける投稿によって、一般の法人・個人が、名誉毀損等による誹謗中傷や風評被害、個人のプライバシー侵害・個人情報の漏えい等の被害を受けることが多くなっています。
- 前述のように、爆サイ.comは、ローカルな地域ネタを話題にするスレッドが多いのが特徴です。したがって、それを閲覧している人の住所や勤務先等のコミュニティも特定の地域の人に偏っている場合が多いので、投稿対象の人物が匿名になっていても名前以外の情報(たとえば対象人物のコミュニティ内でのあだ名や、身体的特徴等)の投稿によって、狭いコミュニティの中の閲覧者は、容易に投稿対象の個人や店舗等を特定できてしまいます。このようなサイトの特徴からか、爆サイ.comでは、比較的狭いコミュニティ内での個人や法人・店舗の名誉毀損記事やプライバシー侵害記事を投稿する事例による被害が多く見られるようです。
- また、キャバクラや風俗等のいわゆる水商売に関するスレッドも多いことから、特定の店で働いている方の実名や住所等の個人情報を晒したり、誹謗中傷したりする事例が多いのも特徴です。酷いものでは、特定の個人だけを対象としたスレッドが立てられることもあるようです。
- 3.爆サイ.comにおける投稿の削除方法
- 3-1.投稿者自身による削除
- 爆サイ.comの運用上、2ちゃんねる(2ch.net)等と異なり、投稿者自身が自分で投稿した書き込みを削除することができます。具体的には、投稿する際に、「削除パス」と呼ばれる4桁の半角英数字を設定しておくことによって、投稿した後でも、削除パスを入力して投稿を削除することが可能になっています。
- 3-2.他人による投稿を削除したい場合
- 削除パスによる削除方法は、削除パスを設定した投稿者本人しか使えませんので、投稿者以外はこの方法による削除ができません。ですから、他人の投稿によって個人のプライバシー情報を投稿されたり、誹謗中傷記事を投稿されたりした場合には、被害を受けた方がサイトに対して削除依頼をする必要があります。
- ネット上に個人のプライバシー情報を投稿されたり、誹謗中傷記事を投稿されたりすると、それを見た第三者がさらに他の掲示板に書き込んだり、SNSに投稿したりすることによって記事が拡散し、被害が拡大してしまうおそれがあります。ですから、拡散される前に早くその投稿を削除させることが重要です。
- まず考えられる方法は、爆サイ.comの運営会社に対して直接削除依頼をすることです。
- 削除依頼は、爆サイ.comの各スレッドの下部にある削除依頼フォームを利用して行います。
- 削除依頼は、投稿ごとに行う必要があるため、複数の投稿の削除依頼を行う場合は、削除依頼も、一括ではなく投稿ごとに複数回行う必要があります。
- なお、削除依頼の際は、削除依頼者本人の氏名を明らかにする必要はないため、2ch.scのように、削除依頼をしたこと及び削除依頼者の氏名が公開されてしまうといった心配はありません。しかし、爆サイ.comには狭いコミュニティ内での話題が多いことも関連してか、閲覧者は、削除依頼内容だけから、削除依頼者が誰であるかを容易に推測しうるケースもありますので、その点は注意が必要です。
- 4. 爆サイ.comにおける投稿の削除・発信者情報開示の手続を弁護士に依頼するメリット
- 4-1.権利侵害事実の特定
- 上記のとおり、爆サイ.comにおいて運営会社に他人の投稿を削除してもらうには、まずサイトを通じて直接削除依頼を出す必要があります。
- ただ、投稿が削除されるかどうかは、サイトの利用規約に反しているかどうかという点から判断されます。
- 例えば、対象者の法人名や氏名を明らかにしたうえでの名誉毀損記事や、本名や住所等、個人を特定することのできるプライバシー侵害情報が投稿された場合のように、明らかに利用規約に違反するものは削除対象になるでしょう。
- しかし、悪口や批判等が書き込まれたときに、それが特定の法人・個人の名誉毀損やプライバシー侵害にあたるかどうかは、判断が難しいこともあって、サイトを通じた削除依頼では運営会社が削除しない場合も珍しくありません。
- 投稿者には表現の自由があるため、単なる意見や批評の範囲であれば名誉毀損やプライバシー侵害にはならないと判断される場合があります。
- そこで、削除依頼を出す際に、削除依頼の理由(権利侵害の内容)について法的に論理立てた説明を行うことが重要ですが、法律に不慣れだとこの説明がうまくいかないこともあります。
- この点、弁護士なら、どのような表現が名誉権やプライバシー権の侵害に該当するかという判断を的確に行い、削除を依頼する理由についても、法的に運営会社を説得できる内容で記載してもらうことが期待できます。
- 4-2.削除依頼
- 爆サイ.comの規定では、「同内容の連続した削除依頼(72時間以内に同内容の複数回の依頼)及び威圧的削除依頼は、弊社の業務妨害と判断」すると記載されております。慌てて何度も削除依頼をして、運営会社側から業務妨害行為と言われないよう、被害に遭った場合も、感情的になることなく、適切な理由を付して削除依頼をすることが求められます。ですから、インターネットの法律問題に詳しい弁護士に依頼する方が良いといえるでしょう。
- 当事務所は、爆サイ.com対する削除請求のノウハウを熟知しており、3-2に記載した削除依頼フォームからの削除依頼以外の方法もご提案できます。また、削除請求が可能な記事は原則としてレス単位とされていますが、当事務所の経験上、スレッド全体の内容によってはスレッドについての削除請求が可能な場合があります。
- 4-3.他の法的手段の検討
- また、直接の削除依頼では削除されない場合に、他の法的手段も検討する必要がありますが、この場合も法律や制度に詳しい方が、手続がスムーズになるため、弁護士に依頼するメリットがあるといえます。
- 直接の削除依頼で削除されない場合は、他の法的手段として、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置請求を行う方法や、裁判所に対して削除の仮処分を申し立てる方法等が考えられます。爆サイ.comについては、正確な運営会社の情報がインターネットからは明らかでなく、送信防止措置請求や裁判上の削除請求の相手方所在地等の詳細が不明で削除請求ができないというご相談もございますが、当事務所は、これまで積み重ねてきた調査により運営会社に関する情報を把握しており、送信防止措置請求や裁判上の請求にもご対応可能です。
- 4-4.投稿者の特定
- 被害の程度によっては、単に運営会社に投稿の削除を請求するだけでなく、投稿者に対して慰謝料等の損害賠償請求を行うことも考えられます。この場合、投稿者が誰かを特定する必要があります。
- そのためには、まず爆サイ.comの運営会社に対してプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求を行い、該当する投稿のIPアドレスやタイムスタンプ等の開示を受け、その上で今度は経由プロバイダ(経由プロバイダはIPアドレスから判明します)に対し、IPアドレスの使用者の情報(発信者情報)について開示請求をするという2段階の手続を踏む必要があります(場合によっては、携帯端末の個体識別番号の開示を受けて個人を特定することができる場合もあります)。
- 多くのサイトが発信者情報開示には慎重な姿勢をとり、裁判所の仮処分等がなければなかなか開示に応じないのに対し、爆サイ.comの運営会社は、裁判所の仮処分がなくても開示に応じる場合がある等、比較的柔軟な姿勢を見せています。
- しかしながら、この場合も、該当する投稿が名誉権侵害やプライバシー権侵害に当たることを、しっかりと説得的に説明する必要があるという点は、削除依頼の場合と同じです。
- ですから、投稿者を特定し、さらに損害賠償請求を行うという場合も、弁護士に依頼した方がスムーズに進むと言えます。
- 4-5.投稿者の特定における注意点
- なお、爆サイ.comにおいては、運営会社が削除した投稿については、当該投稿に関するログも消去するという運用がなされています。ですから、後に述べるような、投稿者を特定して投稿者に対して損害賠償請求を行うことまでを検討される場合は、削除依頼と同時に(もしくはその前に)、発信者を特定する手続を行う必要があります。
- この点においても、ご自身で早まって削除依頼を出して発信者に関するログが消去されてしまうという結果を招くよりも、専門家である弁護士に相談して、終局的な解決方法を見据えたベストの対処法を選択することが大切です。
- 5.削除の依頼は代行業者ではなく弁護士に
- 昨今、インターネット上において誹謗中傷や名誉毀損にあたる書き込みが増えてきていることから、こういった書き込みの削除を代行する業者が出てきました。インターネットで検索してみても、複数の業者が広告等を出しているのがわかります。
- ただ、削除依頼の代行を民間業者が行うのは違法です。法律事務の代行は弁護士法によって弁護士のみに認められており、弁護士以外の業者が費用をとって削除依頼の代行を行うことは法律上認められていません。そのため、このような業者は、代行の費用ではなく調査料などと称して料金をとる場合もあるようですが、削除に至らなかったものの調査はしたといって費用を支払わせるような悪質な業者もいるようなので注意が必要です。
- 東京地裁は2017年2月20日にも、民間業者が報酬を得てインターネット上の書き込みの削除代行(サイト上の通報フォームを使って削除依頼をする行為)を行ったことに対し、弁護士法違反(非弁行為)にあたると認める判決を言い渡しています。
- また、掲示板等の運営者の中には、このような民間業者からの削除依頼には応じないという方針を定めている場合も少なくなく、実効性という観点からも問題があると言わざるを得ません。
- 6.まとめ
- 爆サイ.com上において個人情報を書き込まれたり、誹謗中傷や名誉毀損にあたる投稿がなされたりした場合、これを放置してしまうと被害が拡大してしまうおそれがあるため、速やかに削除を求めることが必要です。と同時に、投稿をした人物を特定して損害賠償請求を行うことも考えられます。
- 被害の拡大を防ぎつつ加害者を特定する手続を迅速かつ的確に進めるためには、インターネットに関する法律に詳しい弁護士に早めに相談することが望ましいと言えるでしょう。
- ●転職会議での会社への誹謗中傷・風評被害にあたる書き込みの削除方法
- Contents
- 1.転職会議とは
- 2.転職会議における評判・口コミの影響
- 3.投稿者本人による削除依頼
- 4.企業からの削除依頼
- 4-1.直接削除依頼を行う
- 4-1-1.直接削除依頼の方法・相手方
- 4-1-2.直接削除依頼の理由
- 4-2.裁判所に削除の仮処分の申立を行う
- 4-3.送信防止措置請求を行う
- 5.転職会議で自社に不利益な書き込みを発見したときは
- 1.転職会議とは
- 転職希望者が一度は目を通すとも言われている「転職会議」。転職会議は、特定の企業の給与や休日等の労働条件、福利厚生、評価制度、社風などに関する口コミサイトです。実際にその企業で勤務している人や、過去に勤務していた人による投稿なされることから、その企業への就職や転職を考えている人にとっては、企業内部の生の情報を得られるサイトとして重宝されています。転職会議は、株式会社リブセンスが2010年から運営しており、同社の発表によれば、2014年に登録者が100万人を超えたとのことです。
- 2.転職会議における評判・口コミの影響
- 上記のとおり、転職会議は、現従業員や元従業員による書き込みから成り立っていることから、企業が自ら運営するHPや、企業が作成する求人情報等に記載された「建前」とは異なり、従業員サイドからみた「本音」の部分の情報であると捉えられがちです。そのため、閲覧者側も、書き込まれている情報が真実であると受けとめられやすいことから、良くも悪くも企業の採用活動に与える影響は大きいといえます。
- 例えば、上司に不満がある従業員や、問題を起こして辞めた従業員等が、逆恨みで企業や上司の悪口等を投稿したり、面接で落とされた人や、取引先企業の社員などが当該企業を誹謗中傷する書き込みをしたりするといった事例も多く見られるようです。
- 職務経歴の情報から、投稿者が誰かをある程度推測できるケースもありますが、投稿者は匿名ということもあり、過剰に批判的な評判を書き込むユーザーも多く、企業のブランドイメージを不当に損なうようなケースも多々あるようです。
- 転職会議における投稿は、無料会員登録している人であれば誰でも見ることができます。ですから前記のような悪意のある書き込みによって、「ブラック企業」であるとか、セクハラ・パワハラがある会社であるなどといった口コミを真に受けて閲覧者に悪い評判やイメージをもたれてしまうと、企業が求人広告を出しても応募者が集まらない等、企業の採用活動に悪影響を与えてしまいます。実際、転職会議に関するご依頼は企業の新卒等の求人時期に非常に多いように感じます。また、採用活動だけでなく、企業自体のイメージの悪化にもつながり、顧客が離れてしまうというおそれもあります。
- ですから、転職会議において、自社のことがどのように投稿されているかをチェックし、事実無根の書き込みや自社を誹謗中傷するような書き込みがあれば削除するという対応をとることが、企業のリスク管理という観点からも求められるともいえます。
- 3.投稿者本人による削除依頼
- 書き込みの内容によっては、元従業員など誰が書き込んだかわかるような場合もあると思います。しかし、転職会議では投稿者本人による投稿の削除は認められていません。ですから、投稿者が判明してその者に削除するように要求できたとしても、運用上削除できないということになります。
- ※なお、投稿内容の修正であれば、投稿者本人でも可能ですので、修正してもらえばよい程度の書き込みであれば、投稿者本人に修正を求めるという手段も考えられます。
- 4.企業からの削除依頼
- 4-1.直接削除依頼を行う
- 4-1-1.直接削除依頼の方法・相手方
- 投稿者本人が削除できない以上、投稿によって被害に遭っている企業から、転職会議のサイトを運営する株式会社リブセンスに対して直接削除依頼を行うことが考えられます。
- 転職会議のサイトの中には、特に定められた削除依頼のフォーム等はありません。
- ですから、任意の形式で株式会社リブセンスに対して削除依頼を行うことになります。
- 4-1-2.直接削除依頼の理由
- 株式会社リブセンスの発表によると、「プライバシー侵害や名誉毀損に該当することが明らかであると判断できた場合や、転職会議の利用規約等に抵触する投稿を除き、原則として全て掲載させていただいております。」とされていることから、削除を依頼する際には、削除して欲しい対象の投稿が、「プライバシー侵害や名誉毀損に該当することが明らか」であることを法的な根拠をもって説明する必要があります。
- インターネット上の投稿や書き込みを行う投稿者には、表現の自由が認められており、特に、転職会議のような企業の評価に対する書き込みは、公益性のある書き込みであるとして表現の自由の保障が及ぶ範囲内であると判断されることが少なくありません。そのため、ただ、「困っている」とか、何の根拠もなしに「虚偽の内容である」と説明しても、削除依頼を受け入れてもらえない場合があります。
- ですから、削除依頼を行う際は、削除して欲しい書き込みが、どういった理由でプライバシーの侵害や名誉毀損に該当するのかといった法的根拠について、適切な証拠資料を添付して説明する必要があります。そのためには、インターネットに関する法律に詳しい弁護士に依頼して、削除依頼を代理してもらうことが削除への早道といえます。
- 4-2.裁判所に削除の仮処分の申立を行う
- 転職会議を運営する株式会社リブセンスが直接削除依頼に応じない場合は、同社を相手方として、裁判所に削除を命じる仮処分を求める方法があります。
- 同社が「プライバシーの侵害や名誉毀損に該当することは明らか」と判断しなかった場合であっても、裁判所がプライバシー侵害や名誉毀損に該当すると認定してくれる可能性があります
- ここ数年で、インターネット上の投稿に対して削除を求める仮処分の数は増加しており、裁判所によっても判断が異なるような事例も出てきています。ですから、裁判所に仮処分を認めてもらうには、法律的な知識はもちろん、直近の裁判例や各地の裁判所ごとの判断傾向等にも詳しいことが求められます。
- 4-3.送信防止措置請求を行う
- 直接削除依頼や裁判所への仮処分の申立とは別に、いわゆる送信防止措置請求を行うことも選択肢の一つです。
- 送信防止措置請求を行うと、転職会議の運営会社である株式会社リブセンスが請求に応じて自主的に投稿を削除するか、もしくは、自主的に削除しない場合は、投稿者へ削除依頼があったことを通知します。後者の場合、7日以内に投稿者から反論がないか、反論があっても理由がないと同社が判断した場合、投稿が削除されることになります。
- 送信防止措置請求は、削除を依頼する側の企業の担当者が行うこともできますが、通常の削除依頼や裁判所への仮処分申立と同様、プライバシー権や名誉権の侵害に当たるという法的理由をしっかりと記載する必要があります。ですから、この請求を行う場合も、弁護士が書面を作成して法的な説明をすることで、削除される可能性は高くなるといえるでしょう。
- 5.転職会議で自社に不利益な書き込みを発見したときは
- 企業にマイナスイメージを与えるような書き込みは、放置しておくと他の媒体に転記されたり、SNSで拡散してしまったりして被害が拡大するおそれがあります。ですから、転職会議において、自社にとって不利益なことが記載されているときは、速やかにこれを削除する手段を講じる必要があります。
- また、企業が被ったダメージによっては、投稿者本人に損害賠償請求を行うことも検討しなければなりません。インターネット上の投稿は投稿者名が匿名であることがほとんどですから、いわゆるプロバイダ責任制限法に基づいて発信者情報開示請求等を行って投稿者を特定することが求められます。
- このように、問題のある書き込みを発見した場合は、書き込みの削除と被害の拡大防止、投稿者に対する損害賠償請求を並行して検討しなければなりませんが、どの手続をどのタイミングで進めていくべきかが非常に重要です。
- このような観点から、早い段階で弁護士に相談しておいたほうが、様々な面で有利に働くことが多いです。
- 確かに、弁護士に依頼すると、会社の担当者が対応するのに比べると一定の費用がかかります。しかし、インターネット上での悪い評判や口コミは瞬く間に拡散することがあり、予想もしない損害を企業に与える可能性がありますから、多少費用が発生しても早急に対応することが大切といえます。
- ただ、このようなインターネット上の法律問題については、弁護士によって得手不得手の差がある分野といえますから、インターネット上の法律問題に詳しい弁護士に相談するのが良いでしょう。
- ●FC2ブログ・動画等での誹謗中傷や名誉毀損記事を削除するには
- Contents
- 1.FC2とは
- 1-1.FC2のサービス
- 1-2.FC2は米国法人
- 1-3.FC2の問題点
- 2.FC2ブログや動画において誹謗中傷されたり名誉を毀損されたりした場合は
- 2-1.FC2への直接請求
- 2-1-1.削除フォームを利用した削除依頼の留意点
- 2-1-2.「法的機関専用」の削除フォームを利用した削除依頼
- 2-1-3.送信防止措置請求
- 2-1-4.FC2への直接請求(送信防止措置請求を含む。)の問題点
- 2-1-5.「法的機関専用」フォームからの削除請求の特徴
- 2-2.裁判所を利用した削除請求
- 2-2-1.仮処分の申立
- 2-2-2.仮処分の問題点
- 3 弁護士へのご相談のメリット
- 1.FC2とは
- 1-1.FC2のサービス
- FC2(エフシーツー)は、ブログ(FC2ブログ)や動画配信(FC2動画)、レンタルサーバー、アフィリエイトプログラム、レンタルWIKI(FC2WIKI)等、WEBに関する様々なサービスを提供している企業です。
- 特にFC2ブログは、日本国内でサービスを展開しているブログサービスの中でも、利用者数がトップクラスであることで有名です。
- また、FC2動画も、無料で利用できるという点で利用者が多く、コンテンツも非常に豊富で、国内ではYouTubeに次ぐ利用者がいるとも言われています。
- 1-2.FC2は米国法人
- FC2の設立当時の代表は日本人ですが、法人(FC2, Inc.)はアメリカのネバダ州ラスベガスにある米国法人です。FC2の日本向けサービスを開発・展開している会社は、おそらく日本国内にあるといわれていますが、その日本法人は米国法人から業務委託を受けてサービスを提供するという形式をとっているため、あくまでサービスの主体は米国法人であるFC2, Inc.ということになるようです。
- もっとも、日本の民事訴訟法の規定により、本社が日本国外にある法人でも、日本において事業を行う法人に対する訴えについては、その訴えがその者の日本における業務に関するものである場合には、日本の裁判所に管轄が認められますので、FC2, Inc.に対しても国内法が適用可能になっています。
- 1-3.FC2の問題点
- FC2では、提供するサービス内での運営会社の管理体制が十分でないことから、そのサービス内での様々な違法行為が問題になっています。具体的には、利用者の中には、FCのサービスを利用してわいせつ動画の配信や販売、違法薬物の販売等を行ったとの容疑で、逮捕者が出るほどです。2014年には、FC2の創業者や関連会社に、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪などの容疑で家宅捜査が入り、2017年には、京都地方裁判所で有罪判決が下されました(2017年4月現在、被告人控訴により未確定)。
- また、裁判所により発信者情報開示仮処分命令が発令された案件で、FC2が当該命令に従った対応をしないというケースも存在しており、運営会社側の管理体制は決して問題ないとは言えません。
- 2.FC2ブログや動画において誹謗中傷されたり名誉を毀損されたりした場合は
- 2-1.FC2への直接請求
- FC2ブログ等への投稿によって誹謗中傷されたり、名誉を毀損されたりした場合は、まず当該投稿についてFC2に直接削除を依頼するという方法があります。
- FC2には、「不適切サイト報告・異議申し立てフォーム」があり、このフォームを利用して、運営会社に対して直接削除を依頼することができます。このフォームは、ブログ、動画、掲示板など、FC2のサイト内での問題に共通で使えるフォームとなっています。
- 2-1-1.削除フォームを利用した削除依頼の留意点
- この削除フォームには、注意書きとして、「当フォームは、原則として返答はいたしておりません。ご了承ください。」との記載があり、削除フォームを利用して削除依頼を行っても、削除を認めるかどうか等FC2からの対応は一切ありません。ですから、削除されたかどうかを知るためには、当該サイトを自分で逐一確認するしかありません。当然、削除されない場合であってもその理由等は一切わかりません。
- 2-1-2.「法的機関専用」の削除フォームを利用した削除依頼
- FC2の特徴的な運用として、「法的機関専用 お問い合わせフォーム」が存在します。このフォームは、行政機関または法律事務所専用の削除要請用フォームとされていることから、運営会社側が、一般の削除要請と、行政機関または法律事務所からの削除要請とを別扱いしていることが窺えます。
- したがって、法律事務所に削除請求の代理を依頼した場合には、この「法的機関」の窓口を通した請求を一つの手段として検討することになるでしょう。
- 2-1-3.送信防止措置請求
- FC2に直接削除を求める方法としては、送信防止措置請求を行うという方法も考えられます。
- 送信防止措置請求を行うと、FC2運営会社側が、権利侵害を認めて自主的に投稿を削除するか、もしくは、投稿者等へ削除依頼があったことを通知し、7日以内に反論がないか、反論に理由がないと運営会社側が判断した場合に、投稿が削除されるケースがあります。
- 2-1-4.FC2への直接請求(送信防止措置請求を含む。)の問題点
- FC2の削除フォームには、一般用と「法的機関専用」のものの双方とも、「削除を依頼する理由」の箇所に「(サイト管理人であるユーザーへ転送します。)」との記載があります。したがって、一般用も「法的機関専用」も、いずれにせよ削除フォームを利用すると、削除依頼をしたこと(理由も含む)が、ブログの作成者や投稿者に知られてしまうという問題点があります。
- また、送信防止措置請求においても、削除依頼があったことがブログの作成者や投稿者に通知が送られてしまいますから、同様の問題があります。
- 削除依頼があったことを知られてしまうと、そのことで投稿者に対して火に油を注ぐ形になってしまい、かえって問題を深刻化させてしまうことがあるので、この点は慎重な対応が必要です。
- 2-1-5.「法的機関専用」フォームからの削除請求の特徴
- 以上のような点を考慮してか、「法的機関専用」フォームからの削除請求の場合、法律事務所側は、依頼者名を明らかにする必要はありません。これに対し、一般用の削除請求フォームからの削除請求の場合は、請求者本人の名前を明らかにする必要があります。そのうえで、サイト管理人であるユーザーへの「お名前の公開を許諾」「しない場合は、削除に応じられないことがあります」との注意書きも記載されていることから、事実上、削除請求者本人の名前をサイト管理人に知らせないと、容易には削除に応じてもらえないようです。
- もっとも、「法的機関専用」フォームからの削除請求であっても、削除依頼をする本人の氏名は明らかにしなくてもいいものの、削除依頼の事実及びその理由はサイト管理人であるユーザーへ転送される旨の記載がありますので、削除依頼の事実及びその理由から依頼者本人を推測されないよう、注意が必要です。
- 2-2.裁判所を利用した削除請求
- 2-2-1.仮処分の申立
- FC2に直接削除依頼を行う方法以外には、裁判所に削除を命じる仮処分命令を発令してもらうという方法が考えられます。仮処分とは、裁判所で行う手続の一つで、権利侵害などがあったときに裁判(訴訟)を起こすと時間がかかることから、裁判所から暫定的な決定をしてもらうことができる手続です。FC2のブログやホームページ等で名誉権侵害などの権利侵害があると裁判所が判断したときは、裁判所から相手方(FC2)に対して記事削除命令を出してもらうことができます。
- 2-2-2.仮処分の問題点
- 裁判所に仮処分を認めてもらうためには、権利侵害があったということを法的に書面で説明する必要があります。また、場合によってはそれを証明(仮処分手続の場合は疎明)する証拠を提出する必要があります。
- インターネット上の投稿・表現には表現の自由が認められていることから、名誉毀損やプライバシーの侵害にあたるかどうか、誹謗中傷として個人や企業の権利を侵害する程度のものかどうかという判断は微妙な問題で、法的な知識が必要不可欠であり、個人で書面を作成し、証拠を提出するのは難しい場合が少なくありません。
- 3 弁護士へのご相談のメリット
- 以上のように、他の大手掲示板やブログ運営会社に比較すると、FC2については対応が不透明なところが多いと言わざるを得ません。これは削除請求のみならず発信者情報開示請求についても同様です。
- ですので、現状、他サイトに関するご相談に比して、FC2での名誉毀損表現の投稿やプライバシー権侵害投稿に関するご相談について弁護士ができることは少ないのですが、それでも上記のように削除要請を行うことのデメリット等、経験を踏まえたアドバイスは可能ですので、慌てて自分の判断で動く前に、一度ご相談されることをおすすめします。
- ●最後に
- もしつらくて寝れないことがあれば弁護士にメールしてみてください。
- あなたの抱えている悩みは解決可能かもしれない。必要なのは相談する勇気です。
- あなたの側にいる弁護士がいます。
- 法律事務所クロス karasawa@cross-law.jp
Advertisement
Add Comment
Please, Sign In to add comment
Advertisement