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Mar 26th, 2014
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  1. 気づいた鰆には鰻まっていたという話
  2. 九月、多くの日本に住まう高校生は、その時をもって夏休みという非日常から日常へと帰還する。
  3. 燃僧徹嶽維市へ向けた構想が着々と進む地方都市に存在し、自由な校風を持ち味とし
  4. ながらもそこそこの進学実績を持つ、私立山星高校の生徒達も、基本的にはその例に漏れていない。
  5. ただ山星高校では、毎年九月頭に文化祭という名の「祭り』が行われるため、それが
  6. 終わるまでは、まだ学校中がふわふわ浮ついた空気に包まれることになる。
  7. そうした空気の残り番も感じられなくなってしまった九月半ば、山星高校では、穏や
  8. かで、少し騒がしい、『ありふれた』と形容される日常が繰り広げられていた。
  9. 八重鰹太一もそんな日常に身を置く一入だ。
  10. 一人の、はずだった。
  11. 六限までの授業を→度も居眠ワすることなく受けきった後、当番であったトイレ掃除
  12. を班で済ませ、太]は部室へと向かっていた。
  13. 太一は、白クラス、一年三組がある東校舎から北校舎を経由、そろそろ耐震工事をし
  14. ないと本格的に不味いのでは.と噂されている四階建て部室棟に入っていく。目指ずは
  15. 最上階の四階。もちろん部窒棟にエレベーターなるものは設置されておらず、上に行く
  16. には階段を用いなければならない。
  17. この四階という最も嫌がられる物件(高校生は景色や目当たりなんてものは求めない。
  18. 階段を登らないでよいに越したことはないのだ)を与えられているのは、太〓の所属す
  19. る部活が、今年新設されたばかりで、一年生五人しか在籍しない弱小部活だからである。
  20. 太一が所属するのは文化研究部、略して文研部。日々世界中の文化を包括的に研究
  21. している……訳ではない。
  22. 階段を登り切る頃には、少し息が上がっていた。『文化研究部』の文字がプリントア
  23. ウトされたA四サイズの張り紙を見ながら、太→は晒○一号室の中に入っていく。
  24. 金開の窓から吹き込む風が、太一の頬を撫で、髪を揺らした。四階ともなるとかなり
  25. 風通しがよいので、このぐらいの時期は非常に過ごしやすい。
  26. 部塞には先客が一名。
  27. 部屋の真ん中にくっつけて据えられた二つの長机、その一角で、文化研究部副部長、
  28. 稲葉姫子が、自前のノートパソコンを操っていた。
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