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- "About Last Night" by Darth Link 22
- A Cautionary Tale
- 農家にたくさんの人々が集まっている。アップルファミリーは関係の深い家族であったから盛大な夕食になることも珍しくなかった。しかし、この場所になじみのないグループもあった。エレメント・オブ・ハーモニーを持つ仲間たちは普段はシュガーキューブコーナーやゴールデンオークライブラリーに集まっていた。
- 今日は全員ここに来ていた。ビッグマッキントッシュも一緒にいる。アップルジャックが招待したのだが、皆なぜ招待されたのかわかっていなかった。
- 皆の前に立つアップルジャックは子供のように浮かれている。彼女の隣には何か白い紙で覆われた物がある。紙をはがそうとピンキーはがんばったが、何度か脚をはたかれ、結局は諦めてすねた表情をしている。
- ラリティは頭の後ろへたてがみを跳ねた。「えーっと、アップルジャック、これは重要な集まりなんでしょうね。明日まで予定を空けることになったんだから、理由くらい話してほしいわね。妹をスクータルーの家のお泊りパーティに預けなきゃいけなかったんだから」
- 「スクータルーが家を持ってるって?」レインボーダッシュが尋ねた。
- 「みんな、私の家にきてくれてありがとう」アップルジャックは言った。「実は、みんながあの憎たらしいフリムフラム兄弟を追い出すのを手伝ってくれてから、何かしたいと思ってたんだ」
- 「わー!…ってことは、なにかお礼のプレゼントをくれるとか!?うー!うー!カラフルな包装のやつかな?プレゼントじゃないとしたら…」
- 「落ち着いて、ちょっと違うよ。みんなは私が本当に必要としているとき、助けてくれただろ。私はみんなを家族だって言ってたけど、この前のことでそれが本当だってわかったんだ。だから私はみんなをアップルファミリー伝統の行事に招待したかったんだ」
- そう言うと、アップルジャックは何かを覆っていた紙をつかみ、それを引き裂いた。中身が露わになる。
- 「サイダーだ!!!」レインボーダッシュが歓喜の叫びを上げる。
- そこにはアップルファミリーが醸造したサイダーの樽がきれいに重ねられていた。
- 「発酵したサイダーだね」アップルジャックが説明した。「いつも家族の分をいくつか取っておいて、時間をかけて発酵させるんだ。いま飲み頃になったよ」
- 「よーし、じゃあ早く飲もうよ!!!」水色のペガサスが叫んだ。今にもよだれを垂らしそうだ。
- 「本当のアルコールなの?私飲んだことないな」トワイライトが興味津々な様子で言った。
- 「えぇっ!?」レインボーダッシュが驚く。「学校は卒業してるんだよね?」
- トワイライトは少し赤くなって、頭をかいた。「えーっと、いつも気になってはいたんだけど、スパイクの面倒を見なきゃいけなかったから。うちに帰って完全に酔っぱらってたら子供には良くないでしょ?」
- 「飲んでみたらいいよ!たぶん最高におバカになるね!」ピンキーがそう言うとトワイライトはいっそう赤くなった。
- 「だから私は子供たちとスパイクをお泊り会に行かせたんだ。明日のお昼まではいろいろやってるだろうから、私たちのひどい姿を見せなくてすむ」
- 「私もすこしいただこうかしら」ラリティがアップルジャックの言い分を認めた。「でもたくさんはダメよ!私はレディなんだから!酔っ払いにはならないわ」
- 「うーん、それがそんなに重要なんだね…」
- --------
- パーティは始まったばかりだった。招かれた客はそれぞれ話をしている。トワイライトはサイダーを時間をかけてすすっていた。サイダーの味に少し尻込みしているようだ。アップルジャックは彼女を見てにやにや笑わずにはいられなかった。「ほんとに飲むのが初めてなのかい、シュガーキューブ?」
- ラベンダー色のユニコーンは顔が火照るのを感じた。「そんなにわかるかな」
- 「まだちゃんと味わってないじゃないか」カウポニーが言った。「恥ずかしがることないよ。なんでこういう経験がないのか私にはわかるから。実は私もあんまり飲んだことなくてね。私(me)とビッグマックもアップルブルームの面倒を見てたから」
- 「ビッグマックと私(I)は、だよね」トワイライトが訂正する。
- 「麗しい文法はいいってば」アップルジャックはふざけて答え、一口飲んだ。
- 「無理だよ、私はそうやって育ったから」
- 「それならまだサイダーが足りてないな。よし、一気に飲んじゃえ!」
- 「でも、すごく変わった味だから…」
- 「だからさっと飲まなきゃ。そうしないと味わえないよ。ごくっと一口!」
- トワイライトはマグを見た。よし、一口、やってみよう。
- トワイライトはマグを口に置くと頭を後ろへ傾けた。液体が舌を抜け喉を下る。トワイライトは少しむせたがほとんどを飲み込んだ。しずくが顎から垂れ、彼女を濡らした。
- 「わかったかい?そうやって飲むんだよ」
- 「喉が焼けてるみたい!」トワイライトが不満そうに言う。「またこれを飲むの?」
- 「効果がわかるまで少しかかるよ」カウポニーは自信ありげに言う。「それまでもう少し飲んでみたらどうだい?」答えを聞く前にサイダーを注いだ。
- 「ありがとう、アップルジャック」ユニコーンは丁寧に言う。「えっと、私にずっと付き合わなくてもいいのよ、他の子の面倒みてあげても」
- 「みんな大きな子ばかりだからね、大丈夫だよ」アースポニーは固辞する。「いまはきみと過ごしたいね」
- トワイライトはマグをいじっていたが、一気に液体を飲み込んだ。「アップルジャック…結婚式でのことで、まだ私に心苦しく思ってるんじゃない?」
- アップルジャックは大きく目を見開いた。さっきまで生徒だったトワイライトに逆に攻められていた。唇をすぼめ、天井を見上げた。「どっからそんなことが出てくるのかわからないな」
- 魔法の光がアップルジャックの頬を包み、むりやりトワイライトに正対させる。「まず最初に、もう二度とそんな顔をしないで。ディスコードにやられた時のことを思い出しちゃう。それから、みんなは私が何しても文句を言わないようにしてるってわかってる」
- 「どういう意味だい?」
- 「…そうそう!私は『ナイトメアムーンの神殿』がダーリンドゥシリーズで最高だったと思うな」
- レインボーダッシュがぴくっと反応する。「う…だんだん好きになってくるよね」
- 「トワイ、それじゃあわからないさ…」アップルジャックが言った。
- 「えーっと、ラリティ!これが私のほしいドレス」トワイライトが楽しそうに言ってスケッチを手渡した。
- 白いユニコーンはスケッチを受け取り、それを眺めた。その直後、目を見開き瞳が縮まった。
- 「これが!?えーっと、つまり…」
- 「そうそう、黒の革は私の曲線を引き立ててくれるし、レース編みのストッキングがいい感じでしょ?」
- 「私は…、えっと…」
- 「今度のセレスティア様のパーティで着ようと思うの。ラリティがデザインしたってみんなに言うつもりよ。素晴らしいと思わない?」
- ラリティは素晴らしくはなさそうに笑った。「まあ、そうね」と、偽りを言う。
- 「そんなつもりじゃないんだろ?」
- 「もちろんそんなつもりじゃないし、さっきのは取り消すわ。ラリティの評判をめちゃくちゃにしたり、プリンセスに恥ずかしい思いをさせるつもりなんてないもの。でもね、大切なことは、あなたが私の望むことを何でもしようとすること。それが嫌なの」
- アップルジャックはため息をついた。「みんな、きみを無視してたんだ。だから、きみはあいつに一人で立ち向かわなきゃいけなかった。私は…私たちは何もしなかった。きみは友達だったのに…だから全てがわかったとき、最悪の気分だったんだ」
- 「もうそのことを言うのはなしにしようよ」トワイライトは絞り出すように言った。「もう十分謝ってもらったよ。もうほんと、うんざりしちゃうくらいね」冗談めかして言った。
- アップルジャックは頭を垂れた。それから頭を上げてサイダーを飲んだ。「私は…頼られるポニーだってことにプライドを持ってる。きみに会ってから、エレメントを持つようになってから…きみはいつも私のそばにいてくれた。きみは最高の友達なんだよ、トワイ。どんなことがあってもね」
- トワイライトは赤面した。「私…そんな…」トワイライトは静かに言う。「アップルジャック、心配しなくても大丈夫よ。私はみんなが大好きだし、みんな一緒だし、これはずっと変わらないよ」
- 「…ああ、そうだな」アースポニーはぶっきらぼうに言う。「ふざけないでくれよ、トワイ。変わらないなんてことないじゃないか。ダッシュはワンダーボルトに入って、レアはここからフィリデルフィアまで全部の街にブティックの支店を作って、きみはキャンタロットに戻って立派な王族になるんだ。それできみはみんな忘れちまうんだ、ポニーヴィルでのことも、私のことも…。私なんかグラニースミスと同じ年になるまでこの農場でくすぶってるんだ」
- トワイライトはそんな友人を見ると気持ちが沈んだ。友人はさらにサイダーをあおっている。「私は忘れたりしないよ。いつまでもね。それと、どうして絶対に農場を離れないって決めたの?」
- 「トワイ、キューティーマークがついたときのことを話したよね。私は都会のポニーになろうとしてメインハッタンに行った。でも合わなかった。私に向いてなかったんだ。でもきみはそこに向かう、私は追いかけられない」
- 「…アップルジャック…」トワイライトは言葉を失った。
- 「いま言ったことは忘れてくれよ」アースポニーは早口で言った。「とにかく今夜は楽しく過ごさなきゃ」
- トワイライトは一瞬アップルジャックの方を見て、ゆっくりうなずいた。「わかった、でもこの話はそんな簡単に終わるわけにはいかないよ。また明日話をしましょう」
- --------
- ラリティはちびちびとサイダーを味わっていた。が、それは突然中止させられた。ピンキーがテーブルの下から飛び出してきたのだ。「ねー、ラリティ!!」
- 白いユニコーンはきゃっと叫び、サイダーをこぼしそうになった。「あっ、ピンキー!なにするのよ!」
- 「ラリティ!そろそろ『じょうご』の時間だよー!」ピンキーは楽しそうに長い管のついたじょうごを取り出した。
- 「いいえ。ピンキー、私はそんな下品なことはやらないの」
- 「アップルジャックが言ってたよ、ラリティは枕投げ大好きだって」アースポニーが反論する。
- 「違います!!」ラリティが異議を唱える。「私は、ちょっと感情的になってしまっただけ。良くないことだったわね」
- 「おねがい、じょうごやろうよー」
- 「いいえ」
- 「私、最高の友達になるから」
- 「ピンキー、あなたはもう友達でしょう?」ユニコーンはため息をついた。
- 「じゃあやろうよ、ね??」ピンキーは目をいつもの3倍に広げて唇を震わせている。
- ラリティは何秒か時間をかけて気を落ち着け、それからため息をついた。「もうその話はしないでちょうだい。わかった?」
- 「ピンキープロミス!!」ピンキーは叫んで、ピンキープロミスのジェスチャーを急いでした後、突然じょうごをラリティの口に突っ込んだ。白いユニコーンはため息をつく間もなく、およそレディらしからぬうめき声を漏らした。ピンキーの攻撃からは逃れられないと諦めた…が、ピンキーは樽の口から直接、サイダーをじょうごで受けようとしているのだった。
- 「ピンキー!ちょっとっ…」
- もう遅かった。ピンキーが樽の栓を開けると、液体はユニコーンの口に直接流し込まれていった。ラリティは10回飲み込んだ後でやっと栓は閉じられ、呼吸できるようになった。
- 「ピンキー!!!!」ラリティは甲高い声で叫んだ。「マナーがなってないわ!それに、そんなことする意味がわからないわ、それに、それに…」その直後、紫色のたてがみのポニーは一転、陽気な気分になっていた。「これは…、いい気分ね」
- --------
- レインボーダッシュは3杯目のサイダーを飲み終え、マグを木のテーブルに叩き付けた。口を拭って、ちらりとフラタシャイの方を見た。フラタシャイも1杯飲み終わったところだった。水色のペガサスは、その友人の横に、さらに5個のマグが積み上げられているのを発見した。
- 「他のやつらがマグを押し付けてったの?」若干不明瞭な発音で言った。「やめさせるように言ってやるよ」
- 「違うの、私が全部飲んだの」
- 運動が得意なペガサスはこの告白にすこし気圧された。「えっ…でもボクはまだ3杯目だよ!」
- 「うーん、そうね…ごめんなさい、でもあなたはその何ていうか…お酒に弱いから」
- 「なんだって!!」レインボーダッシュは宣言する。「よしわかった!ボクだってこのまま引き下がるわけにはいかない!どれだけ飲めるか競争だ!」
- フラタシャイは驚いて、ひづめで口を覆った。「そんな、そういうのはよくないよ」
- 「それだったらボクに挑戦しなきゃよかったんだ」そう言うとフラタシャイをつかんで樽の前まで引きずっていった。二つのマグにサイダーを注ぐ。「最初に気を失った方が負けだかんね」
- 「ねえお願い、やめようよ、レインボーダッシュ」
- レインボーダッシュはマグを持ち上げる。ため息をついてから、フラタシャイも続いた。マグを合わせた後、二人はサイダーを飲み干した。
- --------
- 「気分はどうだい、シュガーキューブ?」
- 今のトワイライトは前後に揺れているが、楽しそうだった。「大丈夫よ、アップルジャック、ほんとに。最初の2杯の後は飲みやすくなったよ」
- 「それは酔っぱらって味がわかんなくなってるのさ」ブロンドのポニーも、滑舌が悪くなってきたが、いま話をしているポニーほどではない。
- 「なに、『よっぱらった』ですって?それは最高ね」トワイライトは楽しそうに言う。「私はね、いつもより思考がすっきりしてるの。もちろんセレスティア様は私の課題がうまくいかなくっても魔法幼稚園に戻したりしない。こんなこと考えたのばかみたいよね」
- 「アルコールは悩みを忘れさせることもあるけど…。とにかく考えすぎは良くないことだったってわかると思うよ、しらふに戻ったらね」
- 「それとも、私がまた心配するのがよくない、ってこと?」
- 「私が言った方だよ。もうこの話題はやめたほうがいいね…」
- --------
- レインボーダッシュは12杯目を飲み干した。「もうあきらめ…、あきらめたらどう?」この時点で正気を保っているのがやっとだった。
- フラタシャイも12杯目を飲みこんだ。「私はまだ大丈夫かも」フラタシャイは答えたが、少しほろ酔いになっていた。「私はそろそろやめてもいいんだけど…」
- 「絶対やめない!!!!」そう言ってマグにもう一杯注いだ。
- 「えーっと、レインボー、…マグがさかさまだけど」
- そのペガサスは、大事な大事なサイダーが床にこぼれているのを発見した。慌ててマグを直す。
- 「誰にも言わないで」
- --------
- 「だから、正直言ってね、私はチャーミングでハンサムな王子様と会って、結婚して、華麗で裕福な暮らしをしたかっただけなの。多くを望み過ぎてるかしら?」
- 「いーやっぷ」ビッグマッキントッシュは無表情で答える。
- 「そんなことないよー。ガラにいたポニーはちょーいじわるなのばっかりだったよね!」ピンキーが味方する。
- 「その通りよ!」ラリティは叫んでテーブルを叩く。「『王子様』なんて呼ばれているポニーは、ずっと私が気になっていたポニーなのに、いちばん王子様らしくない嫌な男だったわ!それに傷つけられたのは私だけじゃなかったの!」
- ピンキーは首をかしげ、心配そうな表情になる。「どういう意味?」
- 「結婚式のとき、キャンタロットのポニーたちと話をしたの。あの最悪な王子はね、たくさんのポニーと寝てたらしいのよ、あなたがパーティを開けるくらいのね!」
- ピンキーは大げさに息をのむ。「そんな!!」
- 「そうなのよ!!」白いユニコーンは嘆く。「ポニーたちは私のひづめをゆさぶって、彼がガラでしたことでね、彼をどうやって懲らしめようかって訴えるのよ!彼はメスポニーを釣って、ベッドを共にしたらすぐに去るのよ!」
- 「そんな、ひどすぎるよ!!」ピンキーは叫んだ。
- 「そうなのよ!本当にひどいわ!だから、私が何かやってやろうと思うの!」彼女は立ち上がって力強く宣言した。飲みすぎていたためにすぐ座ってしまってはいたが。
- 「ミス・ラリティ、今夜は出かけないほうがいいのでは」ビッグマッキントッシュは彼女の肩にひづめをおいて、冷静に提案した。
- 「いいえっ!!」ラリティはそれを振り払って言った。「この素晴らしい飲み物は、まさに『勇気の飲み物』ね!私がなすべきことをするための強さをくれるわ!」彼女は立ち上がると走り出した。ビッグマッキントッシュが後に続いた。
- 「待って、それはよくない」彼は嘆願する。「ミス・ラリティ、お願い、落ち着いて、私の…」
- 「はいーや!」ピンキーが叫ぶと、ビッグマッキントッシュの前に飛び出した。彼女の右後ろ足が彼の頬にヒットする。「うーん…」ビッグマッキントッシュは地面に崩れ落ちた。
- 「早く行って!しらふに戻ってこれが間違いだったって気付く前に!」
- ラリティは農園の外に出たところでよろめき、角を光らすと、彼女の姿は消えた。
- --------
- ダッシュは30杯目を飲み終えた。酔っぱらって何かをぶつぶつ言っている。それをゆるく訳すと「どうやってそんなに強くなったんだ」となる。
- フラタシャイは悲しそうに視線をそらした。「えっと、それは、どっちかっていうと話したくないかな…」静かに言う。フラタシャイも酔っぱらった話し方にはなっていたが、まだ明瞭さが残っていた。
- レインボーの動きが止まった。フラタシャイの口調から彼女の心が乱れているのがわかった。
- 「どうしたんだい?」レインボーが優しく聞く。競争のことも忘れている。フラタシャイの肩にひづめを置く。「何だって話していいんだよ、そうだろ?」
- シャイなペガサスは顔を背けておびえたような声を出した。
- レインボーダッシュは彼女を自分の方へ引いてハグする。「フラタシャイ…ボクたちはずっと友達だったんだから。なんだって話していいんだ」
- フラタシャイは少しの間黙っていた。「どこかに行くのはどうかな、他のポニーたちに聞かれるのも…」
- レインボーダッシュはうなずいて飛び上がった。部屋をぐるっと見回す。アップルジャックはトワイライトと密着して何か話している。ピンキーはドアに向かおうとするビッグマックを動けないようにしている。「ちょっとくらい外に出てても誰も気にしなさそうだ」
- --------
- 「アップルジャック、愛してる」トワイライトはくすくす笑いながら愛情をこめて鼻をすり寄せる。「あなたは素晴らしい友達。絶対に忘れないでね」
- 「愛すべき酔っ払いだね、トワイ」アースポニーは頬を赤く染めて鼻をすり寄せ返す。
- 「さっき言ったことを考えずにはいられないの。酔っ払っていいことを思いついちゃった」
- 「酔っ払いの思いつきについてはさっき言ったと思うけど…まあいいや。馬鹿な酔っ払いの話だし。きみの考えってなに?」
- --------
- 仔馬のアップルジャックは楽しそうに家に入っていった。ちょうど仕事を全部やり終えたところで、両親が特別にごほうびをくれるのだ。
- 「ちゃんと仕事ができたね、リトルアップル」母が言った。「何かいいものをあげなきゃね」そう言って彼女にごほうびを手渡した。
- 「アイスキャンディだ!」仔馬は喜びの声を上げた。凍った紫色のおやつをなめ始め、その味を楽しんだ。
- --------
- トワイライトは微笑みながら、耳をぴくぴくっと動していた。「んん~、んん~」楽しそうな声を上げる。頭の向きを変えると、何かが唇に当たった。心地よい感触だ。
- 彼女は目を開けた。エメラルド色の両目がこちらを覗き込んでいるのに気付いた。
- 二人の両目が見開く。
- その後アップルジャックとトワイライトの二人に起きたのは、驚き、恐怖、そしてキャンタロットに届きそうな声の叫びだった。二人はトワイライトのベッドの両サイドから落ちていた。
- 「ど、どういうこと?」トワイライトが口ごもって言う。
- 「そんな、まさか…」アップルジャックがうめく。
- 「二人で私のところに来たんだ…。スパイクに酔っぱらった姿見られてない!?…それはないよね、お泊りパーティだから」ユニコーンは安堵のため息をついた。
- 「でも誰か途中で私たちを見たりしたんじゃ…」アップルジャックはパニックに陥っていた。「私がもし間違ったことしてたら、グラニースミスが心臓発作起こしちゃうよ…え、もしかして私たちって…」彼女の目が恐怖で見開いた。
- 「何てことなの!私、両親に叱られるわ」トワイライトは苦悩してうめいた。「それに、シャイニー…私…それにプリンセス!私のことをどうされるか…」
- その時、トワイライトは気付いた。アップルジャックが固まったままになっていた。目は見開き顎が落ちていた。「あー、アップルジャック?大丈夫?」
- 「…その、ツノに、はまってるのって、金の環だね」彼女はひづめでそれを指し、ゆっくりと尋ねた。
- トワイライトは答えない。ただ目を見開き、ぽかんと口を開けてアースポニーを見ていた。彼女はやっと声を出した。「そのひづめにあるのって、金の環だよね」
- アップルジャックは自分の前脚を見下ろすと、恐怖で凍り付いた。金属の環がはめられていた。二人のポニーはショックと恐怖の表情でお互いを見つめていた。
- 「こんなことになるわけないよ!」アップルジャックはこの事態を信じようとしなかった。
- 「というより、ありえないよ!」トワイライトはアップルジャックに向けて言ったが、むしろ自分を安心させたいかのようだった。
- 二人は部屋を見回した。それを最初に見つけたのはトワイライトだった。エクエストリア王室の印章付きの巻物がナイトスタンドに置かれている。トワイライトは、まるでその紙にわなか何か仕掛けられているかのように、そろそろと二人の方へ空中移動させた。ぐらつく気持ちを抑えながら、二人の前にそれを広げた。
- 「トワイライト・スパークルとアップルジャック、上記のポニーが婚姻関係にあることを証明する。証明の日…」
- 二人はそれ以上読もうとしなかった。ただ顔を見合わせるばかりだった。
- 「なんてこと…」
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