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- <!--P007-->
- プロローグ
- 「——おおおおおおおおおおおっ!」
- 白と黒。双剣の刃が交差する。
- 〈絶剣技〉双剣ノ型—— <紫電•改〉。
- 神速の突剣技 <紫電> を、双剣用にアレンジした技だ。
- リイイイイイイイイイインッ!
- ガラスの砕けるような、澄んだ音が嗚り響き--
- 闇の魔剣と鋼の聖剣が、〈黄昏の魔女(Dusk Witch)〉の真紅の魔剣を粉砕した。
- その瞬問。グレイワースの灰色の目が、ほんのわずか、驚きに見開かれたのを、力ミトはたしかに見た。この大陸最強の精霊使いでも、そんな表情をすることがあるのかと、そんな思考が一瞬、脳衷をよぎる。
- 手にした〈精霊魔装〉の格の差はあれど——
- このとき、力ミトは初めて、師である彼女を上回ったのだ。
- グレイワースが、口元にかすかな微笑を浮かべた——ような気がした。
- だが、それは錯覚だったのかもしれない。
- <!--P008-->
- 交錯は、ほんの一瞬。力ミトの放った絶剣技は、魔剣〈ヴラド•ドラクゥル〉を打ち砕き、余波のみで、グレィワースの身体を吹き飛ばした。
- その背後にあるのは、ぼっかりとロを開けた〈奄の谷〉の断崖だ。
- 彼女の身体は、夜の闇に吸い込まれるように、奈落の底へ消えてゆく。
- まるで、それが彼女自身の意志であるかのように--
- 「グレィワース!」
- 力ミトは声にならない叫びをあげた。
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