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- 注意! 注意! 注意!
- ※DVD1巻発売記念として心の赴くまま書いたので誤字脱字などの推敲はしておりません!
- ※おそらくオーバーロード8巻ぐらいまで読んでいないと意味不明です。読んでいてもどうだろう?
- ※二次創作的な気分でいてください。お願いします。0
- 玉座に腰掛け、僅かな満足感と倍する羞恥心から目を逸らし、室内を見渡したモモンガは、眼下でセバスとメイドたちが固まって立っているのに気が付く。棒立ちというのもこの部屋ではすこし寂しいものがある。1
- 確かこんなコマンドがあったような、モモンガは昔見たことがある命令一式を思い出しながら、片手を軽く上から下へと動かす。
- 「ひれ伏せ」
- アルベドにセバス、そして六人のメイドは一斉に片膝を落とし、臣下の礼を取る。
- これで良い。
- モモンガは左手を持ち上げ、時間を確認する。2
- 23:55:48
- ぎりぎり間に合ったというところか。
- 恐らく今頃ひっきりなしにゲームマスターの呼びかけがあったり、花火が撃ちあがったりしているのだろう。そういったすべてを遮断しているモモンガには分からないが。3
- モモンガは背を玉座に任せ、ゆっくりと天井に顔を向ける。
- 最高難易度を誇るダンジョンだからこそ、この最終日に乗り込んでくるパーティーがいるかと思っていた。
- 待っていた。ギルド長として挑戦を受け入れるために。4
- かつての仲間達全員にメールを送ったが来てくれたのはほんの一握りだ。
- 待っていた。ギルド長として仲間を歓迎するために。
- 「過去の遺物か――」
- モモンガは思う。
- 今では中身が空っぽだ。それでもこれまでは楽しかった。5
- 目を動かし、天井から垂れている大きな旗を数える。合計数四十一。ギルドメンバーの数と同じであり、それぞれのサイン。モモンガはその旗の一つに骨の指をむける。しかし、その手は途中でピタリと止まる。
- (──こんなことしている暇はないじゃん!)6
- モモンガはある計画の準備をしていたことを思いだす。最後を派手に締めくくるための計画を。
- 誰も残ってくれる人はいなかった。皆、当たり前の、現実の世界を優先した。ごくごく当たり前ではあったが、モモンガ的には非常にさみしい思いだった。だから忘れていた。7
- ガタっと音を立て、モモンガは勢いよく立ち上がる。
- (行かなくては! せめて! 俺だけでも、俺だけでも派手に終わらせてやる!)
- 時間はもうない。
- モモンガは即座に右手の薬指に嵌めた指輪の力を起動させる。8
- リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを弄り、転移先一覧を浮かび上がらせる。一番上に来ているのは自分の部屋だが、なんでこんなところに配置しているんだと、モモンガは苛立ちながら一覧をスクロールさせていく。9
- 「あった!」
- 喜色に彩られた声が出た。目的である地表部への最寄の転移先を見つけ、即座に押す。
- 瞬時に転移が行われ、飛んだ先は大きな広間だ。10
- 左右には遺体を安置する――現在は無いが――細長い石の台が幾つも置かれている。床は磨かれたような白亜の石。後方には下り階段が続き、行き止まりに大きな両開きの扉――ナザリック地下大墳墓第一階層への扉がある。11
- この場こそ指輪の力で転移できる最も地表に近い場所、ナザリック地下大墳墓地表部中央霊廟である。
- 「急げ!」
- モモンガは叫び、自分を急がせる。
- 左腕に嵌めた時計を見れば時間は──
- 23:58:03
- ──無いなんてものではない。12
- もはや電車のベルは鳴りやみ、ドアからは空気が漏れるような音が聞こえるような状況だ。
- 全力で階段を駆け下りるサラリーマンのごとく、ギルド長モモンガは〈飛行〉の魔法を起動させる。
- そしてナザリック地下大墳墓の外に広がる沼地目掛けて全力で飛ぶ。13
- 飛行状態の操作というのは意外に難しい。ある種、空戦ゲームを行うような感じとも言える。しかしながらとにかく飛ぶだけなら簡単な操作で済む。というより操作の必要が無い。ただ、コンソールを動かさないだけなのだから。14
- すぐに霧が立ち込める沼地が見えてくる。
- 霧の中、影のようにモンスターの姿が見えるが、ユグドラシル最終日ということもあり、全てのアクティブモンスターがノンアクティブ化している。そのために攻撃したりしないのであれば襲われることは無い。15
- (だから、侵入者が来ると思ったんだけどな。グレンベラ沼地をリソースの消費なく突破できるんだから)
- だが誰も来なかった
- モモンガは目を細め──表情は動かないが──目的となる沼地に浮かぶ島に到着する。
- 奇妙な島だ。円筒形の筒のような物がとにかく並べられている。16
- モモンガは、空間から一つだけボタンの付いた棒のようなものを取り出す。
- 「行くぜ!」
- 普段の彼らしからぬ、強い口調で叫んだモモンガはボタンを強く押し込む。17
- その瞬間、下の島に隙間が無いほど並べられた筒から、一斉に光弾が上空目掛けて打ち上げられた。
- それは製作が安く販売していた花火である。
- 今頃大量に打ち上げられているであろうそれをモモンガは計五千発買い込み、この島に並べていたのだ。18
- あまりにも密集して配置されていたため、打ち上げられたそれはまるで一つの塊のようですらあった。
- 本当であれば来てくれたメンバー達と共に眺めるつもりだった。しかし、横には誰もいない。
- 「……四時起きか」
- 上空に登って行くまるで白い柱のような光弾を見ながらモモンガは呟く。19
- そして上空で巨大な大爆発が起こった。それはもはや花火ではない。まるで超位魔法の一つ、〈失墜する天空〉のようだった。
- 白い閃光が、眩しくて目も開けられないような光の塊がモモンガを包み込む。
- (ああ……)20
- DMMOの最後がどんな感じで終わるのかは知らない。モモンガ、いや鈴木悟という人物はユグドラシル以外のゲームをやっていないから。しかし、決して希望に満ちた終わり方ではないはずだ。突然、ぶつっと切れるように現実の世界を突きつけられるに違いない。
- それでも──21
- (光に包まれて終るのであれば、少しは気持ちが良いものだな──)
- 数秒後には現実が突きつけられる。それでもこの一瞬はまさに鈴木悟という人物の楽しみが具現したようだった。22
- CM:オーバーロードアニメ第1巻好評発売中です!23
- どうやら眩しさのあまりに思わず目を閉じていたようだ。モモンガは恐る恐る目を開ける。
- おかしな話だ。
- 脳とメガコンをコードで直結させているにもかかわらず、目を閉ざすなどということが出来るのだから。モモンガは慌ててる。もしかすると失明したのでは、と思ったためだ。24
- 「…………何これ?」
- モモンガはポツリとつぶやく。
- どう思えばよいのか分からなかった。
- あまりにも想定外の光景がそこには広がっていたのだ。25
- モモンガが空に浮かんでいるのは、まぁ、良いだろう。先程まで〈飛行〉の魔法で空を飛んでいたのだから。
- しかしながら足元に広がっているのは沼地などではない。
- ──廃墟だ。
- それも建物が一軒や二軒というレベルではなく、集落──いやもっと広い。一つの街が廃墟と化していた。26
- 「は?」
- モモンガは不思議なぐら冷静に左腕に嵌めた時計で時間をチェックする。
- 0:03:45、46、47……
- 「は?」27
- もう一度繰り返し、モモンガは周囲を確認する。空には分厚く暗い雲が覆っているが、夜であるのは間違いないだろう。そして足元はまるで滅びた都のような廃墟だ。
- 「な、なんだこれ?」
- 0時は確実に過ぎている。時計のシステム上、表示されている時間が狂っているとは考えられない。28
- 「サーバーダウンが延期した?」
- 無数の可能性が頭をよぎるが、どれも決定的な意見には程遠い。ただ、最も可能性が高いのは、何らかの要因――あまり好ましくないものによって、サーバーのダウンが延期したというところだろう。29
- もしそうならGMが何かを発表している可能性がある。モモンガは慌てて今まで切っていた通話回線をオンにしようとして――手が止まる。
- コンソールが浮かび上がらない。
- 「何が……?」
- モモンガは焦燥と困惑を微かに感じながら他の機能を呼び出そうとする。30
- どれも一切の感触が無い。
- まるで完全にシステムから除外されたようだ。
- 「……なんだこれ?」
- というかどうやって下に降りればいいのか。〈飛行〉の魔法が発動している間中出ている操作用のコンソールは何処に──探そうと思ったモモンガはそれが不要だということに気がつく。31
- ゆっくりとモモンガは高度を下げていく。
- そして難なく地面にたどり着いた。
- 「これは……」
- モモンガは自分の骨の手を見る。自分の手だという強い実感がわく。32
- 「なんなんだ、これは?」
- 先程モモンガはどうやれば〈飛行〉を上手く操作できるか感じられた。そう、まるで自分の右手を動かそうという意思が無くても動かせるように、自らの思うまま〈飛行〉を操作できるということが理解できたのだ。
- あまりにも異常な事態だ。33
- だが何よりもそんな状態に陥っているのに、平然でいる自分が少し怖い。
- ふと仲間の言葉が思い出される。
- 焦りは失敗の種であり、冷静な論理思考こそ常に必要なもの。心を鎮め、視野を広く。考えに囚われることなく、回転させるべきだよ。
- (ああ、そうでしたね)34
- まず最初に考えるべきはここが何処かだ。
- (誰かいればいいんだが……)
- 〈飛行〉で上空から周囲を窺えばいいのだろうか。いや、廃墟とはいえ家屋の形を残している家々が多い。
- そして不気味だ。まるで倒壊した家屋と家屋の間の細い道からこちらを窺う何かがいるような感じさえする。35
- 開けた場所に出るというのは視界が通る分、相手からも丸見えということになる。
- この奇怪な状況下に遭遇し、PKを企む者がいないと思えるが、それはモモンガだけであり、謎が解明するまでできる限り隠密裏に行動した方が良いかもしれない。
- ならば最初に取るべき手段はこれだろう。36
- 〈完全不可知化〉
- モモンガは魔法を発動させる。〈不可視化〉の遥かに上位の魔法だ。これで特別な魔法や能力を使ってない限り、誰にも見えなくなったはずだ。
- モモンガは自分の骨の手を見て、首をかしげる。不可視化アイコンが出てないから、どうも自信が湧かない。37
- 次にモモンガはゲームであった頃のユグドラシルでは使えた特殊技術を行使してみようと思う。幾多もあるが、アンデッドを生み出す系は不可視化となっている状況下ではメリットがない。まぁ、囮に使うという意味では良いかもしれないが、この状況下では友好的に会うべき相手を警戒させかねない。38
- (俺の顔を隠した方がいいのか? いや、でもユグドラシルでは顔を隠している奴の方が胡散臭い……。おっと……)
- モモンガは自らの特殊技術──パッシブスキルに数えられるものの一つを発動させる。アンデッドを探知する力を持つものだ。39
- 発動しないかもという思いを良い意味で裏切り、能力が起動する。それと同時にモモンガに悪い知らせを伝えてきた。
- 「っ!」
- モモンガは体を小さくし、近くの廃墟の壁に隠れる。正確に言えば最も近くにあったアンデッド反応から遮蔽を取るような位置に移動したという方が正解だ。40
- (なんだ? 辺り一面にやたらとアンデッド反応があるぞ? 何処に飛ばされた?)
- モモンガは壁にへばりつくような姿勢のまま固まったように動けなくなった。アンデッド反応はあっても敵の強さまで分かるわけではない。最高位のアンデッドであれば〈完全不可知化〉を看破できる者もいる。41
- 手は二つ。
- 一つはここから──より正確にはアンデッド反応がなくなるまで離れる。もう一つはアンデッドのレベルなどを調べ、対処できる程度のレベルであれば、ここが何処か探索をする。そのどちらかだろう。42
- ただ、ここから離れたとしてもそこが安全だという保障は何処にもない。それであればアンデッド反応で探知できるここの方が安全ではないだろうか。それにモモンガはアンデッドなので、相手が低位のアンデッドであった場合、敵対行動をとらなければ襲われないことの方が多い。43
- (まぁ、アンデッドしかいないのであれば、だけどな)
- モモンガは〈飛行〉が使えた時と同じ感覚を蘇らせる。そして自信を持つ。44
- (行ける。なんでだか分からないけど、攻撃魔法も問題なく使えるという自信がある。……気持ち悪いな。自分であって自分でないような──いや、それはあとで考えるべき問題だ。それよりも〈転移〉が出来るなら逃げる手段はいくらでもある。いざとなったら上空への転移で距離を取って逃げればいい)45
- モモンガは周囲を見渡し、視界が通らないような場所を探す。丁度運の良いことにすぐ近くにある家屋はまだまだ壁もしっかりしており、身を隠すにはもってこいの場所に思われた。
- モモンガはそこまでダッシュし、亀裂の走った壁に開いた穴より中に入る。46
- 「……崩れないよな」
- 天井は抜けており、足元に積み重なっている。とはいえ、四方の壁はまだまだそれなりに健在だ。
- 魔法を発動させようと思ったモモンガはそこで疑問に思う。なんというかあまりにも文化レベルが低いのだ。47
- 家屋は鉄筋もコンクリートも使っていない。足元に積み重なっているのは崩れて分かりづらいが木材のようだ。
- 「やはり……ユグドラシルなのか?」
- 現実世界の光景だとは思えない。しかしながらそうだとしたら疑問が多すぎる。48
- ひとまず問題を棚上げしたモモンガは魔法を発動させる。
- 〈遠隔視〉
- 魔法の感覚器官が作り上げられ、それがふよふよと飛んでいく。透明化看破を持つアンデッドだと最悪だが、それ以上に探知阻害や情報収集系魔法に対する反撃手段を持つ者がいないことを祈るほかない。49
- 「なんだこれ……」
- まるでユグドラシルの時とは違う光景だった。
- ユグドラシル時代であれば〈遠隔視〉によって生じた視界は、画面として端っこに浮かび上がった。ちょっと小さかったりするので必要なときは画面を大きくすることもあった程度のものだ。50
- しかしながら現在、まるでもう一つの視界が同時に展開されている。
- 奇妙というか奇怪すぎる感覚だった。しかしだからと言って問題があるわけではない。平然と、ごく当たり前のように操ることができる。まるで完全に自分が変わってしまったような、そんな感じさえあった。51
- モモンガの僅かな混乱を無視し、〈遠隔視〉がアンデッドの姿を捉える。
- 名前は「ゾンビ」。名前の色は青。レベル的に相手にもならない程度のものだ。そのままモモンガは周囲のアンデッドを調べていく。どれもこれもゾンビだ。52
- モモンガは「ふぅ」とどうやってか知らないがため息をつき、〈遠隔視〉を解除する。そして維持にMP消費が激しい〈完全不可知化〉もだ。
- 自分の力がどの程度かには確証がないが、魔法がそのままの強さで使えるのであれば何の問題もない。53
- 出来れば一体ほどゾンビを殺して強さを確かめたいが、それをするとこの廃墟都市内のすべてのアンデッドが敵に回る可能性も存在する。
- ゾンビであればモモンガが同じアンデッドであるので襲いかかってこない確率の方が高いのだし、ここは情報収集を優先させるべきだろう。54
- 行動を決定したモモンガはこの廃墟都市を調べようと動き出す。55
- CM:オーバーロードアニメ第1巻好評発売中です!56
- 調べれば調べるほど分かったことは文化レベルが低いということだ。まるで映画か何かのセットのように、現代機器という物が一切置いてない。線などは地中に埋めているかもしれないが、それでもこれでは生活ができるはずがないというレベルだ。
- 竈なんてユグドラシル以外では初めて見た。57
- 「──ユグドラシルか。いや違うな。あまりにも違う」
- 薄々とモモンガは気がついていた。
- これは決してゲームではあり得ないことに。だが、そうなると自分はなんだ、ということになる。まずこの骨の体でどうやって動いているというのか。58
- 今までの自分を培っていた常識など既に崩壊しているが、まだこの新しい常識に付いていけないモモンガは大通りに出る。見ればこの都市の主なる通りらしく、ずっと見て行けば門のような物が見えた。のような、というのも崩壊しているからだ。59
- 「しかし、なんだ? 爆発でも起きたにしては完全に倒壊しているわけでもない。台風でも通り過ぎたのか?」
- この都市の歴史に思いをはせたモモンガはふと、一つの反応に気がつく。
- 「何?」
- アンデッドの反応が遠ざかっていくところだった。60
- 「……これは?」
- ゾンビの移動速度ではない。何かが駆けるような速度で、しかも自分から遠ざかっていく。
- モモンガは目を細める。
- ゾンビではあり得ない、知的な行動だ。61
- 「逃がさんよ、情報源」
- ふわりと体が中空に浮かんだ。走るよりも〈飛行〉の方が早い。相手はジグザグに移動しているのでどうやら都市の構造に熟知しているようだが、その差は飛ぶことで打ち消す。62
- 空から一直線に相手に向かって追いかけるモモンガは一つの影を捉えた。フードつきのマントを着た小柄な人影が後ろを幾度も振り返りつつ、狭い路地を駆けていく。
- モモンガはその人影の前に降り立つ。たまたま後ろを振り返っていたタイミングであったため、その人影はモモンガの体にぶつかる。63
- 小柄な人影はぶつかった衝撃を殺しきれず、トスンと尻をついた。フードの下から金の髪がこぼれて見えた。
- 「……こんばんわ、曇ってはいるが良い夜だな」
- 「ぃっ」
- 挨拶に対する返答はなく、ただ息を飲む音だけが聞こえた。64
- 「幾つか聞きたいことがあるんだが、構わないかな?」
- フードの下からモモンガを上目使いで見つめる真紅の瞳があった。
- (子供か? ストリートチルドレン……にしては臭いがない。まぁ、アンデッドだからだとは思うが……いや、小ざっぱりしすぎているな)65
- 「……もう一度聞くぞ、幾つか聞きたいことがあるんだが、構わないかな?」
- 子供はぶんぶんと首を縦に振る。
- 「……私は……鈴木悟というがお前──君の名前は?」
- 真紅の瞳が円を描いたようだった。66
- 「……ぁ、ぅ……ぁ……ぁ」
- 発せられたのは掠れたような声であり、子供が何を言ったのかはさっぱり聞き取れない。
- (日本語ではない? プレイヤーでもないのか?)67
- 「お前の名前は?」
- 「……あ、ぅ……あ……ぁ」
- 少し馬鹿にされているような気もしたが、外国の名前というのはそういうものなのだろう。
- 「あうああ、か? 変わった名前だな……ん?」子供が首を横に振っている。「違うのか? ではもしかして喋れないのか?」68
- 再び首が横に振られる。
- そして必死に声を出そうとしているようだが、まるで意味のある言葉には聞こえてこない。
- 「親は何処に……」
- ここまで言ってモモンガは相手がアンデッドであることを思いだす。親などいるはずがない。しかしながら子供の反応は少し奇怪だった。69
- 俯き、そして頭を振ったのだ。
- まるでいたけど、いなくなったような反応だった。
- (……どうしよう)
- それじゃ、と言って別れた方がいいのだろうか。奇妙な発音を繰り返す子供を見下ろしながらモモンガが考え込んでいると、非常に小さく意味のある言葉が聞こえてきた。70
- 「──ィーノ・──ァスリス・インベ──ン」
- 繰り返し聞こえる言葉はやがて明確にモモンガに意味を教えてくれた。
- 「なまえはキーノ・ファスリス・インベルン」
- それは少女の名前だった。71
- -----
- 終わり!
- Sugar and spice and all that's niceルート。もしくはモモンガさんラノベ主人公っぽいルート。
- というかこれ無理。二度とやらない。ニンスレの人凄い……。
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