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Nazta

Season 2, Chapter 9, Part 2

Jan 31st, 2019
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  2.  
  3. ========Part 1========
  4.  
  5. Rain: うおおおおお!
  6.  
  7. Emperor Vlad: 忘れたか。
  8. 私にはどんな攻撃も届かない。
  9. Emperor Vlad: くっ!
  10. Rain: 残念だったな。
  11. お前の魔法も俺たちには届かない。
  12.  
  13. Emperor Vlad: なるほど……。
  14. この私と
  15. 我慢比べをしようというわけか。
  16.  
  17. Rain: まあ、そうなるな。
  18. Emperor Vlad: ならば続けるまでもない。
  19. 結果は明らかだ。
  20.  
  21. Rain: なんだと?
  22. Rain: 何!?
  23. Lasswell: これは……。
  24. Emperor Vlad: お前たちほどの強者ならわかるはずだ。
  25. 私の魔力が底なしだということを。
  26.  
  27. Lasswell: ……。
  28. Emperor Vlad: と、言ったところで
  29. 諦める連中ではないな。
  30.  
  31. Rain: そうだ。
  32. よくわかってるじゃないか。
  33.  
  34. Emperor Vlad: 戦力の差など全く気にしない。
  35. 本当に面倒くさい連中だ。
  36.  
  37. Emperor Vlad: だが、見よ。
  38. Lasswell: あれはなんだ?
  39. Emperor Vlad: あの移送空間は
  40. グランドールへと続いている。
  41. Rain: グランドール?
  42. Emperor Vlad: 孤高の空に君臨する
  43. 私のためだけの大宮殿だ。
  44. Emperor Vlad: ウェポンの力を利用して、
  45. グランドールから永遠の独裁を
  46. 満喫するつもりだったのだが……。
  47.  
  48. Emperor Vlad: それはもう叶わぬこととなった。
  49. Emperor Vlad: ならば、グランドールから
  50. この星に向けて、
  51. 魔導砲を撃ち続けるとしよう。
  52.  
  53. Lasswell: なんだと!?
  54. Emperor Vlad: 数か月もすれば
  55. パラデイアからあらゆる命が
  56. 消え去るだろう。
  57.  
  58. Emperor Vlad: きっと美しいぞ。
  59. 人間がいなくなった星は。
  60.  
  61. Emperor Vlad: 私の不老不死の肉体も
  62. いつかは尽きるだろうが、
  63.  
  64. Emperor Vlad: それまでは
  65. 宝石を愛でるように
  66. 空からこの星を眺めることにしよう。
  67.  
  68. Emperor Vlad: パラデイア最後の独裁者としてな。
  69. Lasswell: ふざけるな!
  70. Rain: そんなことをさせるか!
  71. Rain: くっ!
  72. Emperor Vlad: だから面倒くさいと言ったはずだ。
  73. Fina: レイン!ラスウェル!
  74. Rain: くっ……。
  75. ヴラドを追うぞ!
  76.  
  77. Fina: うん!
  78. Lasswell: ここで奴を逃がしたら
  79. この星は終わりだ!
  80.  
  81. ========Part 2========
  82.  
  83. Lasswell: くそっ!
  84. エルマウル: 空に発生した移送空間と
  85. ここは繋がっていたようだな。
  86.  
  87. Lid: え?
  88. じゃ、もうヴラドを
  89. 追いかけられないの?
  90.  
  91. エルマウル: 案ずるな。
  92. 動力を入れ直せばいいだけのことだ。
  93.  
  94. エルマウル: この装置はアルドールタワーから
  95. エネルギーを供給されているようだ。
  96.  
  97. Faisalith: え?
  98. ということは……?
  99.  
  100. エルマウル: 一度、
  101. アルドールタワーに戻る必要がある。
  102.  
  103. Rain: ヴラド!
  104. Nichol: 防衛システムが作動したようですね。
  105. Lid: どうする?
  106. 誰がアルドールタワーに戻るの?
  107.  
  108. エルマウル: その役目は私しかおるまい。
  109. Juraga: ならば俺とクンシラが
  110. 付き添うことにしよう。
  111.  
  112. Juraga: エルマウル、俺の背に乗れ。
  113. エルマウル: おや。
  114. 背には女しか乗せないと聞いていたが。
  115.  
  116. Juraga: 緊急事態だ。
  117. 贅沢は言っていられん。
  118.  
  119. Lid: ジュラガ、クンシラ。
  120. 私も行こうか。
  121.  
  122. Kunshira: いいえ。
  123. リドさんたちは
  124. ここで待機していてください。
  125.  
  126. Kunshira: 獣人のスピードなら
  127. 敵が現れても
  128. かいくぐることができますから。
  129.  
  130. Lid: わかった。
  131. じゃ、それまでに
  132. ここの敵を全滅させておくから。
  133.  
  134. エルマウル: ああ。
  135. 待っていてくれ。
  136.  
  137. Rain: ラスウェル!
  138. エルマウルたちの道を切り開くぞ!
  139.  
  140. Lasswell: ああ!
  141. Lid: ジュラガ、クンシラ、エルマウル!
  142. 頑張ってね!
  143. Jake: さて、俺たちは俺たちで
  144. 頑張らないとな。
  145.  
  146. Citra: ふん。
  147. なんとも味気ない相手だがな。
  148.  
  149. Sakura: ニコルのような敵だったら、
  150. それはそれでやる気がでまい。
  151. Citra: ほう。
  152. サクラ、お前も
  153. ニコルの魅力に気付きつつあるのか?
  154. Sakura: まあ、姉妹じゃからな。
  155. Citra: フッ。その話に関しては
  156. 戦いが終わったら
  157. ゆっくり話そうではないか。
  158.  
  159. Lasswell: さあ。
  160. やるぞ、みんな。
  161.  
  162. ========Part 3========
  163.  
  164. Ignacio: くそ……。
  165. いくら倒してもキリがないな。
  166.  
  167. Citra: このままでは体力を消耗するだけだ。
  168. エルマウルたちはまだなのか?
  169.  
  170. Lasswell: その声はエルマウル!
  171. Lid: アルドールタワーに着いたんだね!
  172.  
  173. エルマウル: 今、動力を入れる。
  174. エルマウル: 全員、
  175. グランドールに向かったようだな。
  176.  
  177. Juraga: なんとか役目は果たせたな。
  178. Kunshira: ええ。
  179. そうですね。
  180.  
  181. Juraga: さて、エルマウル。
  182. ここを突破する知恵をもらえるか?
  183. エルマウル: ほう。
  184. この状況でも諦めないのだな。
  185.  
  186. Kunshira: もちろんです。
  187. こんなところで
  188. 死ぬわけにはいきません。
  189.  
  190. Juraga: 大切な人が待っているのだからな。
  191. 俺たちの故郷……グンガンで。
  192.  
  193. エルマウル: そうか……。
  194. エルマウル: 知識というものは
  195. 人のために使ってこそ意味がある。
  196.  
  197. エルマウル: 安心するがいい。
  198. 私の知識でお前たちを
  199. 必ず勝利へと導いてみせよう。
  200.  
  201. Juraga: ああ。
  202. 期待しているぞ。
  203.  
  204. Sakura: これでヴラドを追いかけられるぞ。
  205. Lasswell: よし。
  206. 三人ともこっちに戻ってきてくれ。
  207.  
  208. エルマウル: いや、私たちは戻らない。
  209. Lasswell: え?
  210. Juraga: 早くヴラドを追うんだ。
  211. Kunshira: 私たちが戻っている時間すら
  212. 今は惜しいはずです。
  213.  
  214. Lasswell: そうか……わかった。
  215.  
  216. Faisalith: エルマウル。
  217. 私をウェポンから助けてくれて
  218. 本当にありがとう。
  219.  
  220. エルマウル: 礼などいらん。
  221. 私は知恵を貸したまでだ。
  222.  
  223. Faisalith: この戦いが終わったら、
  224. おいしいものをご馳走してね。
  225.  
  226. エルマウル: そこは
  227. ご馳走してくれるんじゃないのか?
  228. 普通は……。
  229.  
  230. Faisalith: え?
  231. あれ?
  232. 私、なんか間違えた?
  233.  
  234. グリ: エルマウル、ごめんなさいね。
  235. ファイサリスはバカじゃないの。
  236. 食い意地が張ってるだけなの。
  237.  
  238. Faisalith: グリ、失礼だよ!
  239. Lid: ジュラガ、クンシラ。
  240. じゃ、行ってくるね。
  241.  
  242. Jake: あとは俺たちに任せて
  243. 二人はグンガンの明るい未来でも
  244. 想像してればいいさ。
  245.  
  246. Juraga: ああ。
  247. そうする。
  248.  
  249. Kunshira: みなさん、どうかご無事で!
  250. エルマウル: 待たせたな。
  251. よくぞ持ちこたえてくれた。
  252.  
  253. ========Part 4========
  254.  
  255. Lid: え?
  256. 何これ?
  257. どうやって進めばいいの?
  258. Faisalith: あ、でも……。
  259. Faisalith: なんか体が
  260. 引っ張られる感じがするよ。
  261. Lasswell: よし。
  262. この流れに身を任せてみよう。
  263. グランドールに辿り着くかもしれない。
  264. Raegen: ……。
  265. Citra: どうした、レーゲン。
  266. Raegen: ヴラドのことを考えていた。
  267. Sakura: あやつも
  268. 不老不死になっていたとはのう。
  269. Raegen: ああ。
  270. そこが不思議なんだ。
  271. Raegen: 不老不死の身なのだから
  272. その気になれば
  273. 永遠に皇帝の座にいられたはずだ。
  274. Raegen: それなのにヴラドは
  275. 皇帝ではなく一闘星になっていた。
  276. Raegen: あいつはどうして
  277. わざわざそんなことを……。
  278. Nichol: もしかしたら、独裁体制を
  279. 維持するためではないでしょうか。
  280. Nichol: 不老不死の皇帝が
  281. 何百年もの間、独裁を続ければ
  282. さすがに民の不満も爆発してしまう。
  283. Nichol: だからこそヴラドは
  284. アルドール・オーダーを作り
  285. 一闘星が皇帝になれるようにした。
  286. Jake: なるほど。民にとっては
  287. 公平なシステムに見えるからな。
  288. 不満も解消されるというわけか。
  289. Nichol: ええ。
  290. ですが、実際は……。
  291. Jake: 歴代の皇帝たちを
  292. ヴラドが影から操っていたと……。
  293. Emperor Vlad: いいや、違う。
  294. Lasswell: ヴラド、どこだ!
  295. どこにいる!?
  296. Emperor Vlad: お前たちも目にしたはずだ。
  297. カガネの魂を複製し、
  298. 皇星の体に植え付けたのを。
  299. Nichol: 魂の複製……。
  300. まさか……。
  301. Emperor Vlad: 私は自分の魂を複製し、
  302. 一闘星となった者の肉体に
  303. 注いでいたのだ。
  304. Emperor Vlad: すると魂の融合が行われ……。
  305. Emperor Vlad: 皆、私になる。
  306. Emperor Vlad: 私は影から操ってなどいない。
  307. Emperor Vlad: 歴代の皇帝は全て私だったのだ。
  308. Lasswell: なんだと……。
  309. Folka: こんなところにも
  310. モンスターが現れるなんて。
  311. Lasswell: ヴラドが放ったのかもしれない!
  312. みんな、迎え撃つぞ!
  313.  
  314. ========Part 5========
  315.  
  316. Akstar: ……くっ。
  317. Lasswell: 大丈夫ですか、アクスターさん。
  318. Akstar: 心配は無用だ。
  319. Akstar: ヴラドに全種類の明鏡を
  320. 叩きこむだけの元気はある。
  321. Akstar: まあ、もっとも、
  322. それで俺の命は終わりになるがな。
  323. Lasswell: アクスターさん……。
  324. Akstar: そんな暗い顔を見せるな。
  325. お前とはもう別れをすませたはずだ。
  326. Lasswell: は、はい……。
  327. Lasswell: 何!?
  328. Citra: いかん!
  329. 衝撃で移送空間が不安定に……!
  330. Rain: ラスウェル!
  331. Lasswell: レイン!
  332. Lasswell: ……くっ。
  333. ここまできて
  334. 離れ離れになってしまうなんて。
  335. Cid: 今の攻撃は一体……。
  336. Cid: 皇星!?
  337. ヴラドのところに行かせないつもりか。
  338. Citra: くっ!
  339. Raegen: いかん。
  340. これ以上、攻撃されると
  341. さらに移送空間が不安定になるぞ。
  342. Ignacio: なんであいつは
  343. 攻撃してこないんだ?
  344. Ignacio: まさか……。
  345. Ignacio: カガネ……。
  346. Ignacio: お前……。
  347. カガネの魂が入ってるのか?
  348. 絶皇星のインフェルノ: ……。
  349. 絶皇星のインフェルノ: ええ、そうよ。
  350. イグニシオくん……。
  351. Ignacio: ……そうか。
  352. Ignacio: ならお前だけは……
  353. 俺がやらなくちゃならねえな。
  354. 絶皇星のインフェルノ: 約束してくれたもんね。
  355. 何度でも私を殺してくれるって。
  356. Ignacio: ああ。
  357. お前の魂は俺が救ってやる。
  358. 絶皇星のインフェルノ: ……ありがとう。
  359. 絶皇星のインフェルノ: でもね……。
  360. 絶皇星のインフェルノ: 今回は私が
  361. イグニシオくんを救ってみせる!
  362. Ignacio: カガネ!?
  363. 何をするつもりだ!?
  364. Ignacio: カガネ!?
  365. Ignacio: カガネ……。
  366. 俺たちを助けてくれたのか……。
  367. Ignacio: ……。
  368. Ignacio: ……なあ、レーゲン。
  369. Raegen: なんだ?
  370. Ignacio: ヴラドを倒したら
  371. カガネの魂は解放されるよな?
  372. Raegen: ああ。
  373. カガネの魂を利用する者は
  374. もう誰もいなくなる。
  375. Ignacio: そうだよな……。
  376. Folka: イグニシオ。
  377. 絶対にヴラドを
  378. 倒さないといけませんね。
  379. Ignacio: ああ……。
  380. やるさ。
  381. やってやる。
  382. Lasswell: レインたちは無事だろうか……。
  383. Raegen: あいつたちなら心配はない。
  384. 移送空間の出口を目指せば
  385. きっと合流できるはずだ。
  386. Lasswell: そうですね。
  387. 急ぎましょう。
  388.  
  389. ========Part 6========
  390.  
  391. Folka: いくら進んでも
  392. 出口が見当たりませんね……。
  393. Citra: 皇星の攻撃で移送空間の
  394. 狭間に飛ばされてしまったようだな。
  395. Ignacio: 何か目印になるものがないと
  396. どっちに進んでいいのか
  397. わからないぜ。
  398. Lasswell: 目印か……。
  399. クリスタルなら所々にあるが……。
  400. Lasswell: なっ!?
  401. Citra: クリスタルは
  402. 人の思いを込めることができる。
  403. Citra: ならば記憶が込められていても
  404. 不思議ではないが……。
  405. Raegen: こっちにも別のクリスタルがあるぞ。
  406. 今のとは輝きの色が違うが……。
  407. Lasswell: 触ってみます。
  408. Lasswell: (こ、これは……?)
  409. Lasswell: (過去の記憶がクリスタルに
  410.  込められていたというのか?)
  411. Lasswell: 俺は師匠に勝ってみせます!
  412. Akstar: フッ。
  413. 虫けらラスウェルから
  414. 泣き虫ラスウェルになったな。
  415. Akstar: ならば決勝戦の舞台で会おう。
  416. みんなにもよろしく言っておいてくれ。
  417. Lasswell: 師匠……。
  418. Lasswell: あなたの気持ちに
  419. 俺は必ず応えてみせます……。
  420. Lasswell: (このときの俺は
  421.  思ってもいなかったんだ……)
  422. Lasswell: (これが師匠との
  423.  最後の会話になってしまうなんて……)
  424. Lasswell: (……)
  425. Lasswell: (……アクスターさんは
  426.  師匠と呼ばなければ話に応じてくれる)
  427. Lasswell: (だが……)
  428. Lasswell: (俺としては
  429.  やはり師匠と呼びたいのが本音だ)
  430. Lasswell: 今のは……。
  431. タワーに入る直前の俺たちの姿だ。
  432. Raegen: しかし、この現象……。
  433. Raegen: この空間に飛ばされたときに
  434. クリスタルが誰かの記憶を
  435. 取り込んだと考えるべきか……。
  436. Lasswell: だとすると、
  437. クリスタルを探せば……。
  438. Raegen: 出口に近付くかもしれないな。
  439. Sieghart: 美しい俺が美しい光を追うのは必然だ。
  440. やってみようではないか。
  441. Ignacio: そうだな。
  442. 他に当てがあるわけでもないしよ。
  443. Faisalith: じゃ、クリスタルを探して
  444. レッツゴーだね。
  445. Lasswell: 今まで本当にいろんなことがあった。
  446. だが、こうしてみんなで辿り着いた。
  447. Rain: そうだな。
  448. あとは全てを
  449. 終わらせるために戦うだけだ。
  450. Lasswell: さあ、行こう。
  451. たくさんの人の思いを背負って。
  452. Rain: ああ。
  453. 俺たちの世界を作るために。
  454. Folka: 今のは……。
  455. Lasswell: 俺の過去の記憶だと思う。
  456. Faisalith: 今度は誰の記憶なんだろう。
  457. Folka: あの場にはみんないましたからね。
  458. 誰とははっきり言えませんね。
  459.  
  460. ========Part 7========
  461.  
  462. Faisalith: あ、クリスタルを見つけたよ。
  463. Raegen: よし。
  464. ラスウェル、触ってみろ。
  465. Raegen: それで、もしさっきと
  466. 繋がっている記憶が見れたら……。
  467. Lasswell: 俺たちは出口に向かって進んでいる。
  468. そう考えてもいいということですね。
  469. Raegen: ああ、そうだ。
  470. Lasswell: わかりました。
  471. 極皇星のプルガトリオ: 極・明鏡!
  472. Lasswell: な、なんだ……。
  473. Lasswell: 今の記憶は……。
  474. Lasswell: 俺たちは
  475. こんな戦いをしていないぞ……。
  476. Lasswell: 皇星に苦戦はしたが
  477. タワーに入る前に勝てたんだ!
  478. あんなボロボロにはなってない!
  479. Lasswell: それにアクスターさんと
  480. もう一人のフィーナの姿もなかった!
  481. Lasswell: どういうことなんだ、これは!?
  482. Raegen: ラスウェル、落ち着くんだ。
  483. Lasswell: は、はい……。
  484. Raegen: 確かに混乱するのもわかる。
  485. 俺たちの過去とは
  486. 全く違う記憶だったからな。
  487. Raegen: この記憶が何を意味するのか。
  488. その答えを知るためには
  489. もっと先に進むしかない。
  490. Lasswell: そうですね。
  491. わかりました……。
  492. Lasswell: (この謎の記憶……)
  493. Lasswell: (俺にとってとてつもなく重要な
  494.  意味があるような……)
  495. Lasswell: (……そんな気がする)
  496. Lasswell: や、やはりこいつらが使う明鏡は……
  497. 俺たちの明鏡とは
  498. 威力がけた外れに違う……。
  499. Lasswell: くっ!
  500. 防ぎようがない!
  501. Rain: 仕方ない……。
  502. こうなったら相打ち覚悟で……。
  503. Rain: くっ!
  504. 極皇星のプルガトリオ: がっ!
  505. Rain: ……はあ、はあ。
  506. Lasswell: レイン!
  507. Fina: ラスウェル!
  508. 危ない!
  509. Fina: うっ!
  510. Lasswell: フィーナ!
  511. Lasswell: くそおおおおお!
  512. Lasswell: はあ……はあ……。
  513. やった……。
  514. Rain: はぁはぁ……。
  515. 無事か……みんな……。
  516. Cid: くっ……。
  517. 残念ながら……。
  518. 無事とは言えない状態だな。
  519. Sakura: うむ……。
  520. まさかここまで苦戦するとは……。
  521. Citra: この状況で
  522. 皇帝と戦うことになるのか……。
  523. 想定外だな……。
  524. Lid: 本当に勝てるの?
  525. アタシたち……。
  526. Fina: それでも……。
  527. 進むしかないんだよね……。
  528. Rain: ああ……。
  529. そうだ……。
  530. Lasswell: ……。
  531.  
  532. ========Part 8========
  533.  
  534. Lasswell: 新たなクリスタルがあった……。
  535. Lasswell: 今度はどんな記憶が現れるのか……。
  536. Ignacio: さあ、中身を見ようぜ。
  537. ちゃんと出口に向かっているのなら
  538. さっきの続きが見られるはずだ。
  539.  
  540. Lasswell: そうだな……。
  541. Faisalith: ラスウェル、不安なの?
  542. Lasswell: いや、不安というより、
  543. 何かすごく引っかかるんだ。
  544.  
  545. Lasswell: あの記憶には何か重要なことが
  546. 隠されている気がして……。
  547.  
  548. Faisalith: そう。
  549. じゃ、しっかり見ないとね。
  550.  
  551. Lasswell: ああ。
  552. Levnato: よもや、こんな日がくるとはな。
  553. 思ってもいなかったが……。
  554.  
  555. Levnato: これもまた運命、か。
  556. Lasswell: ……。
  557. Lasswell: レインの新しい力で
  558. 俺たちはヴラドの魔法を防いだ……。
  559.  
  560. Lasswell: しかし、この記憶では……。
  561. Ignacio: ヴラドに負けたみたいだな。
  562. 俺たちは。
  563.  
  564. Sieghart: ふむ。
  565. 謎は深まるばかりだな。
  566.  
  567. Raegen: 今は次のクリスタルを
  568. 探してみるしかないな……。
  569.  
  570. Lasswell: ……はい。
  571. Raegen: お、お前は……。
  572. Raegen: ヴラド……。
  573. Emperor Vlad: 久し振りだな。
  574. レーゲン。
  575. Faisalith: ヴラドって……。
  576. まさか……。
  577. 700年前の皇帝?
  578.  
  579. Raegen: ああ、そうだ。
  580. 700年前の戦争で、俺たちを裏切り
  581. 大地ごとラピスに飛ばした奴だ。
  582.  
  583. Emperor Vlad: それだけではないぞ、レーゲン。
  584. お前の両親を殺して
  585. 王の座を手にした男でもある。
  586. Raegen: ……。
  587. Faisalith: で、でも……。
  588. なんでヴラドがレヴナートだったの?
  589. 意味がわからないんだけど。
  590.  
  591. Emperor Vlad: わからないか?
  592. Emperor Vlad: まあ、わかる必要もない。
  593. Rain: こ、これは……。
  594. Emperor Vlad: どうせここで全員死ぬのだからな。
  595. Raegen: いかん!
  596. みんな、逃げろ!
  597. Emperor Vlad: 遅い。
  598. Emperor Vlad: 皇星との戦いで
  599. 傷ついたお前たちが、
  600. この極大魔法を防ぐのは不可能だ。
  601.  
  602. Rain: く、くそ……。
  603. Rain: なんてことだ……。
  604. Lasswell: レイン……。
  605. Fina: ううう……。
  606. Rain: ラスウェル、フィーナ……。
  607. 大丈夫か……。
  608. Lasswell: ああ。
  609. 俺たちは……なんとか……。
  610. だが、みんなが……。
  611.  
  612. Rain: サクラ……ニコル……。
  613. Rain: リド……ジェイク……。
  614. Lasswell: ファイサリス……。
  615. しっかりするんだ……。
  616.  
  617. Faisalith: ……うう。
  618. Rain: みんな……。
  619. なんとか息はあるが……。
  620. でも、このままじゃ……。
  621.  
  622. Fina: 私が……回復魔法を……。
  623. Rain: フィーナ……。
  624. 無理をしちゃダメだ……。
  625.  
  626. Emperor Vlad: どうだ?
  627. これが絶望というものだ。
  628.  
  629. Rain: ヴラド……。
  630. Emperor Vlad: 悲しむがいい。
  631. 苦しむがいい。
  632.  
  633. Emperor Vlad: 絶望とは底なしだと
  634. お前たちに教えてやろう。
  635.  
  636. Rain: なっ!
  637. Lasswell: く、くそ……。
  638.  
  639. ========Part 9========
  640.  
  641. Lasswell: 俺の情が……甘さが……。
  642. みんなを……。
  643.  
  644. Faisalith: ラスウェル……。
  645. Lasswell: 進もう……。
  646. クリスタルの記憶を見なければ……。
  647.  
  648. Lasswell: 俺はどうしてもこの続きを知りたい。
  649. いや、知らなくてはならないんだ。
  650.  
  651. Lasswell: クリスタルに込められた記憶は
  652. 俺たちが経験した出来事とは
  653. まるで違っている……。
  654.  
  655. Faisalith: うん。
  656. 私たちヴラドにやられていたもんね。
  657.  
  658. Lasswell: しかし、俺にはあの記憶が
  659. 偽物だとは思えないんだ……。
  660.  
  661. Faisalith: 誰かが本当に経験した記憶ってこと?
  662. Lasswell: ああ……。
  663. Lasswell: もちろん、
  664. そんなことあるわけがないのは
  665. わかっている。
  666.  
  667. Lasswell: わかっているんだが……。
  668. Emperor Vlad: さあ、絶望しろ。
  669. Lasswell: くっ……。
  670. Emperor Vlad: ほう。
  671. 私の極大魔法を二度くらっても
  672. 生き延びるとは……。
  673.  
  674. Rain: うう……。
  675. Lasswell: レイン……。
  676. しっかりしろ……。
  677.  
  678. Lasswell: なんてことだ……。
  679. 左腕と左足が……。
  680.  
  681. Fina: レイン……。
  682. Fina: 私が……回復魔法で……。
  683. Emperor Vlad: そんなことを私が見逃すと思うか?
  684. Lasswell: くそっ……。
  685. Lasswell: やらせるか……。
  686. Emperor Vlad: ほう。
  687. まだ私に剣を向けるというのか。
  688.  
  689. Lasswell: 当たり前だ……。
  690. たとえ一人になろうとも
  691. 俺は絶対に諦めない……。
  692.  
  693. Emperor Vlad: なるほど……。
  694. Emperor Vlad: 力、技、魔法……。
  695. 全て私に大きく劣っているが、
  696. 心だけは負けていないようだな。
  697.  
  698. Emperor Vlad: その意気に免じて一つ提案だ。
  699. Emperor Vlad: 剣を下ろせ。
  700. そうすれば見逃してやる。
  701.  
  702. Lasswell: なんだと?
  703. Emperor Vlad: ここで戦いをやめて、
  704. すぐに治療すれば
  705. 仲間の命は助かるかもしれんぞ。
  706.  
  707. Lasswell: 今更、何を言っている……。
  708. Emperor Vlad: 敵対の意志がない者と
  709. 私は戦うつもりはない。
  710.  
  711. Emperor Vlad: わからんのか?
  712. 私はお前の心の強さを認め、
  713. 殺すには惜しいと思っているのだ。
  714.  
  715. Emperor Vlad: どうした?
  716. 何を迷っている?
  717. Emperor Vlad: ここにいる者たちは
  718. お前の大切な仲間なのだろう?
  719.  
  720. Emperor Vlad: ならば答えは一つのはずだ。
  721. Rain: ラスウェル……耳を貸すな……。
  722. 皇帝の戯言だ……。
  723.  
  724. Lasswell: レイン……。
  725. Emperor Vlad: まあ、私はどちらでも構わん。
  726. Emperor Vlad: 選択肢は与えた。
  727. あとはお前が好きに選べばいい。
  728.  
  729. Emperor Vlad: 全滅するか。
  730. 仲間の命を救うか。
  731.  
  732. Lasswell: お、俺は……。
  733. Rain: ラスウェル、よく考えろ……。
  734. Rain: ヴラドも魔力を消耗しているんだ。
  735. 今なら一対一でも勝機がある。
  736.  
  737. Rain: 戦え……。
  738. 戦ってくれ……。
  739.  
  740. Lasswell: レイン……。
  741. だが、もし俺が負けたら……。
  742.  
  743. Lasswell: レイン……。
  744. 俺はお前を……
  745. みんなを失いたくないんだ……。
  746.  
  747. Rain: ダメだ……
  748. ラスウェル……。
  749.  
  750. Lasswell: ここで引いても
  751. 生きてさえいれば
  752. いつか世界を変えることはできる。
  753.  
  754. Lasswell: ……。
  755. Lasswell: すまない……レイン……。
  756. Emperor Vlad: 情深きお前のことだ。
  757. その選択をすると思っていたぞ。
  758.  
  759. Emperor Vlad: 本当に愚かな男だ。
  760. Lasswell: 何?
  761. Emperor Vlad: 私に歯向かったお前たちを
  762. このまま見逃すはずがあるまい。
  763. Emperor Vlad: 瀕死の仲間を前にし
  764. 正常な判断ができなかったようだな。
  765.  
  766. Lasswell: ヴラドーーーーーーーっ!
  767. Emperor Vlad: くくっ……。
  768. 実にいい声だ。
  769.  
  770. Emperor Vlad: さあ、絶望とともに塵となれ。
  771.  
  772. ========Part 10========
  773.  
  774. Rain: ……ううぅ。
  775. Rain: み、みんな……。
  776. Rain: ラスウェル……。
  777. Rain: ラスウェル……。
  778. しっかりしろ、ラスウェル……。
  779.  
  780. Rain: そんな……。
  781. ラスウェル……。
  782.  
  783. Rain: 目を覚ましてくれ……。
  784. 頼む……。
  785. ラスウェル……。
  786.  
  787. Rain: ううっ……。
  788. Rain: フィーナ……。
  789. リド、サクラ、ジェイク、ニコル……。
  790. 父さん……。
  791. Rain: みんな……。
  792. 死んでしまったのか……。
  793.  
  794. Rain: くっ……。
  795. うううっ……。
  796. Zeno: ほう。
  797. かろうじて命を繋ぎ止めた者がいたか。
  798. Rain: ゼノ……。
  799. Zeno: だが、その傷では
  800. お前も長くはもつまい。
  801.  
  802. Rain: ……。
  803. Rain: 俺は死なない……。
  804. Zeno: その傷で俺に勝てると思うのか?
  805. Rain: 勝てるとか勝てないじゃない。
  806. Rain: やらなきゃならないんだ。
  807. Rain: ヴラドを倒さないと……。
  808. みんなの仇を討たないと……。
  809.  
  810. Zeno: なるほど……。
  811. 死を前にしても諦めないのだな。
  812. お前という男は。
  813.  
  814. Zeno: 俺は皇帝を殺すために
  815. オーダーズに入り、
  816. 二闘星の座まで登りつめた。
  817.  
  818. Rain: ……え?
  819. Zeno: お前だけではないということだ。
  820. この国を変えようと思っていたのは。
  821.  
  822. Zeno: 独裁政権を打破するには
  823. 現状の皇帝を殺すしかない。
  824. それが俺の悲願だったのだが……。
  825.  
  826. Zeno: 最近になって
  827. この体が病に
  828. 侵されていることを知ってな……。
  829.  
  830. Zeno: それで俺は諦めてしまったのだ。
  831. 皇帝と戦うことを……。
  832.  
  833. Zeno: しかし、お前は違う。
  834. そんな体になっても
  835. まだ皇帝と戦おうとしている。
  836.  
  837. Zeno: やれるかもしれない。
  838. お前なら。
  839.  
  840. Zeno: さあ、ついてこい。
  841. ここから逃がしてやる。
  842.  
  843. Rain: そんな言葉を信じろというのか?
  844. Zeno: ……。
  845. Rain: 何?
  846. Akstar: 俺の名はアクスター。
  847. この姿を見せるのは
  848. 皇帝以外ではお前が初めてだ。
  849.  
  850. Rain: これは回復魔法……。
  851. Akstar: 鎧を脱いだ以上、
  852. 俺はオーダーズではない。
  853. 一人の男としてお前を助けるつもりだ。
  854.  
  855. Rain: ……。
  856. Akstar: まだ信じられないか?
  857. Rain: わかった……。
  858. すまない。
  859. 力になってくれ。
  860.  
  861.  
  862. Akstar: ああ。
  863. 任せておけ。
  864.  
  865. Faisalith: ……ラスウェル。
  866. Lasswell: ……ああ。
  867. Lasswell: このクリスタルの記憶を
  868. 俺は全て見なければならない。
  869.  
  870. Lasswell: たとえ、
  871. その先に何が待っていようとも。
  872.  
  873. Faisalith: ちょっと待って。
  874. これってどういうことなの?
  875.  
  876. Lasswell: ……。
  877. Lasswell: クリスタルの記憶によれば、
  878. 俺たちはレイン以外全滅した。
  879.  
  880. Faisalith: だったらこの記憶は誰のものなの?
  881. Lasswell: ……それは、きっと……。
  882. Lasswell: まだこの記憶には続きがあるはずだ。
  883. みんな、ついてきてくれ。
  884.  
  885.  
  886. ========Part 11========
  887.  
  888. Fina: ラスウェルたちがいないね。
  889. Jake: 皇星の攻撃で
  890. 離れ離れになってしまったからな。
  891. Rain: 心配はいらないさ。
  892. ラスウェルたちなら
  893. すぐに追いついてくるはずだ。
  894. Sakura: そうじゃな。
  895. ラスウェルたちを信じるとしよう。
  896. Akstar: くっ……。
  897. Rain: ここがグランドールか……。
  898. Rain: アクスター、大丈夫か。
  899. Akstar: 俺のことは気にするな……。
  900. 別にどうってことはない……。
  901. Rain: アクスター……。
  902. もう十分、助けてもらった。
  903. あんたはここで待っていてくれ。
  904. Akstar: 俺の身を気にしている場合か。
  905. ヴラドの底無しの魔力を見ただろ。
  906. Akstar: 力が尽きかけているとはいえ、
  907. ここで黙って待つ気はないぞ。
  908. Rain: だけど……。
  909. ラスウェルのいないところで
  910. あんたを死なせでもしたら……。
  911. Akstar: フフ……。
  912. 死に様のことを
  913. お前にどうこう言われたくはないな。
  914. Akstar: ラピスでソルと戦ったとき
  915. お前は仲間のいないところで
  916. 命を捨てようとしたではないか。
  917. Rain: ああ。
  918. あのことか……。
  919. ラスウェルから聞いたんだな。
  920. Akstar: あのときのお前に迷いはあったか?
  921. Akstar: なかったはずだ。
  922. 今の俺と同じようにな。
  923. Dark Fina: 迷いなく自分の信じた道を進む。
  924. レイン、その気持ちは
  925. あなたが誰よりも理解できるはずよ。
  926. Rain: 信じた道か……。
  927. Rain: でも、その道が間違っていたとしたら?
  928. Dark Fina: そういうこともあるかもね。
  929. Dark Fina: でも、あなたなら
  930. その間違いを乗り越えて
  931. また迷わずに進んでいける。
  932. Dark Fina: それこそが
  933. ラスウェルとは違う
  934. あなたの強さなんだと思う。
  935. Sakura: そうじゃな。
  936. レインよ、おぬしは迷わず
  937. 新たな道を切り開いてゆけ。
  938. Nichol: 迷ったときに考えるのは
  939. 後に続く私たちに任せてください。
  940. Fina: うん。
  941. そうだよ、レイン。
  942. Rain: ……。
  943. Rain: ありがとう、みんな。
  944. 俺はやるよ。
  945. この星の未来を切り開いてみせる。
  946. Rain: グランシェルトの騎士として。
  947. Akstar: それで、だ。
  948. もちろん、
  949. 俺も連れて行くんだよな?
  950. Rain: ああ。
  951. 一緒に行こう、アクスター。
  952.  
  953. ========Part 12========
  954.  
  955. Dark Fina: ふふふ。
  956. Rain: ん?
  957. どうしたんだ。急に笑って。
  958. Dark Fina: 嬉しいな、って。
  959. またこうして
  960. レインと一緒に歩くことができたから。
  961. Rain: そうだな。
  962. 俺も嬉しいよ。
  963. Dark Fina: あら、本当に?
  964. そんなこと言われたら
  965. もっともっと嬉しくなっちゃう。
  966. Rain: 今、体が……。
  967. Dark Fina: ふふ。
  968. 無理して作り出した精神体だからね。
  969. そりゃ、消えたりもするわよ。
  970. Rain: ……大丈夫なのか?
  971. Dark Fina: そうね。
  972. またクリスタルに
  973. 戻らないといけないかも。
  974. Akstar: ……。
  975. Dark Fina: でも、この体だからこそ
  976. いろんな場所に
  977. 自由に現れることができるってわけ。
  978. Rain: そっか……。
  979. Akstar: それはそれとして……。
  980. レイン。
  981. お前はヴラドの魔力をどう思った?
  982. Rain: ……。
  983. Rain: 正直、底知れない感じだった。
  984. 力の差がどれだけあるのかも
  985. わからないぐらいに……。
  986. Rain: 俺一人だったら
  987. 絶対に勝てるとは言い切れないな。
  988. Akstar: ああ、そうだな。
  989. だが、お前は一人じゃない。
  990. 俺やもう一人のフィーナもいる。
  991. Akstar: ヴラドがどれだけ強くても
  992. 今は新たな未来を作ることだけを考えろ。
  993. Akstar: 恐れることは何もない。
  994. お前なら必ずやれる。
  995. Rain: ああ、わかったよ。
  996. Rain: って……なんか不思議だな。
  997. あんたと話していると
  998. すごく自信が湧いてくる。
  999. Akstar: フッ。
  1000. それが俺の人徳だ。
  1001. Rain: いや、そういうことじゃなくて……。
  1002. なんていうのか……。
  1003. Akstar: まあ、あまり深く考えるな。
  1004. Dark Fina: そうよ。
  1005. 早くヴラドを探さないと。
  1006. Rain: あ、ああ……そうだな。
  1007.  
  1008. ========Part 13========
  1009.  
  1010. Dark Fina: あっ……。
  1011. Fina: ……今のは何?
  1012. Dark Fina: ……私が消える前兆よ。
  1013. Dark Fina: ふふ。
  1014. 前にもこんなことあったわね。
  1015. Dark Fina: もっとも、
  1016. あのとき消えそうになったのは
  1017. あなただったけどね。
  1018. Fina: 消えるって……。
  1019. クリスタルに戻るってこと?
  1020. Dark Fina: ううん。違うわ。
  1021. Dark Fina: 膨大な力を使うことがあってね……。
  1022. Dark Fina: それが原因で
  1023. もうすぐ私は
  1024. 全ての力を使い切ってしまうの。
  1025. Dark Fina: そうなったら、
  1026. 私の存在は完全に消滅してしまうわ。
  1027. Fina: 消滅って……。
  1028. Dark Fina: あ、レインには内緒よ。
  1029. このことは。
  1030. Fina: で、でも……。
  1031. Dark Fina: ……。
  1032. Dark Fina: 大丈夫よ、心配しなくても、
  1033. 悲しくなんてないから。
  1034. Dark Fina: ……ううん。
  1035. 悲しいって言えば悲しいけど……。
  1036. Dark Fina: でも、なんだろう……。
  1037. もっと別の気持ちがあって……。
  1038. Dark Fina: うん。
  1039. 充実感っていうのかな……。
  1040. 私、満足してるの。
  1041. Dark Fina: ふふ。
  1042. あなたもあのとき
  1043. そう言ってたでしょ。
  1044. Dark Fina: 私は長く生きてきたから
  1045. いろんなことを知っているの。
  1046. Dark Fina: どんなに頑張っても
  1047. 叶わない願いがあることを。
  1048. Dark Fina: でもね、それでも……。
  1049. Dark Fina: 私は手を伸ばしたいの。
  1050. たとえ、それが掴むことが
  1051. できないものだとしても。
  1052. Fina: ……。
  1053. Dark Fina: そういうのって、
  1054. 意味のないことかしら?
  1055. Fina: ううん。
  1056. そんなことない。
  1057. Dark Fina: ふふ。
  1058. でしょ。
  1059.  
  1060. Dark Fina: 誰かを思うのって
  1061. 楽しいだけじゃなくって
  1062. 辛いことや悲しいこともあるわ。
  1063. Dark Fina: でも、それを含めて素敵なことだし。
  1064. Dark Fina: だから、満足してる。
  1065. 私、本当に満足しているの。
  1066. Dark Fina: だから、気にしないで。
  1067. レインのことはお願いね。
  1068. Fina: ……。
  1069. Fina: やめて。
  1070. Fina: そんなことを言わないで。
  1071. Fina: 私、大泣きしたんだから。
  1072. Fina: 満足してるって言ったあと
  1073. 消えちゃうのが怖くなって……。
  1074. Fina: 大泣きしたんだから……。
  1075. Fina: 私にはわかる……。
  1076. Fina: あなたも消えるのは不安で怖いって。
  1077. Dark Fina: そうね……。
  1078. Dark Fina: じゃ、どうしたらいい?
  1079. Fina: 泣いてもいいよ。
  1080. Dark Fina: え?
  1081. Fina: ……怖かったら
  1082. ……不安だったら……。
  1083. 泣いても……泣いてもいいんだから。
  1084. Dark Fina: ふふ。
  1085. ありがとう。
  1086. Dark Fina: じゃ、お言葉に甘えて。
  1087. Dark Fina: なんか不思議……。
  1088. あなたが
  1089. すごく逞しくなっちゃって……。
  1090. Dark Fina: そっちの方が嬉しくて
  1091. 泣けちゃうかも……。
  1092. Dark Fina: ……。
  1093. Dark Fina: やだ。恥ずかしい。
  1094. 誰かの側で泣くなんて
  1095. 何百年振りかしら。
  1096. Fina: 誰かじゃないよ。
  1097. あなたは私なんだから。
  1098. Dark Fina: そうね……。
  1099. そうよね……。
  1100. Dark Fina: 私なら大丈夫。
  1101. Dark Fina: だって私が消えても
  1102. あなたがいてくれるんだから……。
  1103. Dark Fina: 怖いけど怖くない。
  1104. 何も怖くない。
  1105. Fina: うん……。
  1106. うん……。
  1107. Dark Fina: ありがとう……。
  1108. もう一人の私……。
  1109. Fina: え?
  1110.  
  1111. ========Part 14========
  1112.  
  1113. Faisalith: ずいぶん進んだね。
  1114. なんか出口も
  1115. もうすぐって感じがしない?
  1116. Lasswell: ……そうだな。
  1117. Lasswell: ファイサリス、
  1118. 一つ聞いてもいいか?
  1119. Faisalith: うん、いいよ。
  1120. もちろん。
  1121. Lasswell: クリスタルが見せる記憶……。
  1122. あれが本当に起こったことなら、
  1123. 俺たちはなんだと思う?
  1124. Faisalith: うーん……。
  1125. Faisalith: ラスウェル。
  1126. いろいろとわからないことが多いけど
  1127. 怖がることはないと思うな。
  1128. Faisalith: 考えるのも、不安になるのも
  1129. 生きてるってことの証なんだから。
  1130. Lasswell: ……俺たちは生きている。
  1131. ……それが全てってことか。
  1132. Faisalith: うん。
  1133. Lasswell: 俺は生きている。
  1134. だから、真実を知らなくてはいけない。
  1135. Lasswell: この記憶の持ち主のためにも……。
  1136. Rain: あの日からどれだけ経ったのだろう……。
  1137. Rain: 左腕、左足、左目を失っても……。
  1138. 俺はまだ生き延びている……。
  1139. Rain: だけど……。
  1140. Rain: すまない……。
  1141. みんな……。
  1142. Rain: もう一度、ヴラドに挑むため、
  1143. 仲間を集めようとしたり、
  1144. 三種類の明鏡を会得したけど……。
  1145. Rain: ダメだった……。
  1146. Rain: 最後は逃げること……。
  1147. 生き延びることだけで必死で……。
  1148. Rain: 俺一人では……。
  1149. 何もできなかった……。
  1150. Aldore Soldier: なんだ。
  1151. この薄汚い男は?
  1152. Aldore Soldier: 死にかけてるようだな。
  1153. 連行しても無駄だ。
  1154. 放っておけ。
  1155. Aldore Soldier: いや、待て……。
  1156. Aldore Soldier: 左腕、左足、左目を
  1157. 失っているようだな……。
  1158. Aldore Soldier: こいつ……もしかして……。
  1159. Aldore Soldier: 手配中のテロリストと
  1160. 特徴が一致するが……。
  1161. Aldore Soldier: なら、ここで始末するか。
  1162. Aldore Soldier: ああ。
  1163. テロリストならば
  1164. 殺害許可の指示が出ている。
  1165. Rain: ……。
  1166. Rain: ……ここまでか。
  1167. ???: レインはやらせないわ。
  1168. Rain: 君は……。
  1169. Dark Fina: レイン……。
  1170. Dark Fina: 本当にごめんなさい……。
  1171. 長い間、
  1172. あなたを一人にさせてしまって……。
  1173. Rain: ……ありがとう。
  1174. Rain: だけど、俺を回復させたところで……。
  1175. Rain: 何十年もいろいろな手で戦ったけど、
  1176. 皇帝の牙城は揺るがなかった。
  1177. Rain: もう俺に打つ手はないんだ……。
  1178. Dark Fina: そんなことはないわ。
  1179. Dark Fina: この数十年間、
  1180. 私はずっと力を蓄えていたの。
  1181. Rain: え?
  1182. Dark Fina: それほどの力が必要だったの。
  1183. Dark Fina: あなたと時を越えるために。
  1184. Rain: 時を越える?
  1185. Dark Fina: そうよ。
  1186. 過去に戻って
  1187. ヴラドの魔法からみんなを守るの。
  1188. Rain: そんなことができるのか?
  1189. Dark Fina: 私の力をほとんど使えばね。
  1190. Dark Fina: 過去をやり直して、
  1191. 新しい今を作る……。
  1192. Dark Fina: レイン。
  1193. そのためにはあなたが必要なの。
  1194. Rain: わかった……。
  1195. Rain: 連れて行ってくれ。
  1196. 過去に。
  1197. Rain: 今度は必ず……
  1198. 俺はみんなを守ってみせる。
  1199. Dark Fina: それじゃ、過去に遡るわ。
  1200. 悲劇をなかったことにできる
  1201. 可能性のあるときまで……。
  1202. Lasswell: これはレインの記憶だ。
  1203. Lasswell: しかも、未来の……。
  1204. Faisalith: うん……そうだね。
  1205. Lasswell: 俺たちはヴラドにやられて全滅した。
  1206. きっとそれは現実だったのだろう。
  1207. Lasswell: しかし、未来からやってきた
  1208. レインによって、
  1209. その過去はなかったことになった……。
  1210. Faisalith: だから、私たちは
  1211. こうやって今も生きているんだね。
  1212. Faisalith: でも、今の記憶からすると
  1213. 未来のレインは
  1214. 過去にやってきたわけでしょ?
  1215. Faisalith: そのレインはどこにいるの?
  1216. Lasswell: それはきっと……。
  1217. Lasswell: ……。
  1218. Lasswell: ……父さん。
  1219. Raegen: 俺たちに立ち止まっている暇はない。
  1220. 行くぞ。先に進もう。
  1221. Lasswell: ……はい。
  1222. Lasswell: もう間違いない……。
  1223.  
  1224. ========Part 15========
  1225.  
  1226. Citra: 見ろ! 光だ!
  1227. きっとあれが出口だぞ!
  1228. Ignacio: やれやれ。
  1229. ようやくここから出られるな。
  1230. Folka: 早く戻らないといけませんね。
  1231. ニコルたちも
  1232. 心配しているでしょうし。
  1233. Sieghart: どうした、ラスウェル?
  1234. Lasswell: 少し待ってくれないか。
  1235. Raegen: クリスタルか……。
  1236. Lasswell: 早く戻らないと
  1237. いけないことはわかっています。
  1238. Lasswell: だが、どうしても知りたいんです。
  1239. 俺が知らなかった
  1240. 真実の全てを……。
  1241. Raegen: そうだな……。
  1242. 触れてみろ、ラスウェル。
  1243. Faisalith: うん。
  1244. モヤモヤしたままじゃ
  1245. この先、思い切り戦えないもんね。
  1246. Lasswell: ありがとう……。
  1247. 父さん、ファイサリス。
  1248. Akstar: ん?
  1249. Akstar: なんだ、お前たちは?
  1250. Rain: 俺の名はレイン。
  1251. あんたに会いにきたんだ。
  1252. Akstar: 悪いな。
  1253. 帰ってくれ。
  1254. 見知らぬ奴と話をするほど暇じゃない。
  1255. Rain: あんたが二闘星のゼノとして
  1256. 皇帝を倒そうとしていることは
  1257. 知っている。
  1258. Akstar: ……何?
  1259. Rain: それだけじゃない。
  1260. Rain: その悲願を病のせいで
  1261. 諦めようとしていることも
  1262. 俺は知っている。
  1263. Akstar: 俺の正体がゼノであること……。
  1264. それを知ることは
  1265. もしかしたら可能かもしれない。
  1266. Akstar: だが、病のことまで
  1267. 知っているとなると……。
  1268. Akstar: ……お前、何者だ?
  1269. Dark Fina: まあ、まあ。
  1270. 自己紹介したところで
  1271. 納得できないだろうから……。
  1272. Dark Fina: はい。
  1273. これをどうぞ。
  1274. Akstar: クリスタル?
  1275. Dark Fina: その中に私の記憶を入れておいたから。
  1276. まずは見てほしいの。
  1277. Dark Fina: この世界でこれから起こることよ。
  1278. Akstar: なんだと……。
  1279. Akstar: こ、これは……。
  1280. Akstar: 俺じゃないか……。
  1281. Akstar: こんな突拍子もない話を
  1282. 俺に信じろというのか?
  1283. Rain: そうだ。
  1284. 今のは紛れもない未来の出来事だ。
  1285. Akstar: 真っ直ぐな目をしているな。
  1286. Akstar: 俺を騙そうとしているのならば、
  1287. そんな目をする必要もあるまい。
  1288. Akstar: ……。
  1289. Akstar: それでお前たちは俺にどうしろと?
  1290. Rain: 俺たちが
  1291. 過去に戻ってきた理由はただ一つ。
  1292. 悲劇の結末を変えることだ。
  1293. Rain: そのために協力して欲しい。
  1294. Akstar: ……ふむ。
  1295. Rain: 俺たちが皇帝に敗れた原因は二つ。
  1296. Rain: 一つは皇星との戦いで
  1297. 深手を負ってしまったこと。
  1298. Dark Fina: 皇帝が完成させていた
  1299. 三種類の明鏡を知らなかったせいね。
  1300. Rain: もう一つはラスウェルの行動だ。
  1301. Akstar: ああ、今の記憶に出てきた男のことか。
  1302. 確かにあの甘さは命とりだな。
  1303. まあ、気持ちはわからんでもないが。
  1304. Rain: あの時の戦いでは
  1305. 皇帝もかなり消耗していた。
  1306. Rain: ラスウェルに迷いが生まれなければ
  1307. 勝つこともできたかもしれない。
  1308. Rain: そこで俺のやるべきことは……。
  1309. Rain: ラスウェルに三種類の明鏡を伝え、
  1310. 情に振り回されないように心を鍛える。
  1311. これが悲劇を回避する方法だ。
  1312. Akstar: ふむ……。
  1313. お前は人に教えるほど
  1314. 三種類の明鏡を使いこなせるのか?
  1315. Rain: 皇星から何発もくらったからな。
  1316. 技の仕組みは嫌でも体で覚えた。
  1317. Rain: 俺は基本となる明鏡が使える。
  1318. 仕組みさえわかれば、
  1319. 三種類の明鏡も鍛錬で習得できた。
  1320. Akstar: なるほど……。
  1321. Akstar: だが、それなら
  1322. 俺の協力など必要あるまい。
  1323. お前がラスウェルを鍛えれば済む話だ。
  1324. Rain: いや、俺は正体を明かすことができない。
  1325. Akstar: なぜ?
  1326. Rain: 四闘星のヒョウの正体は
  1327. 若き日の俺なんだ。
  1328. Dark Fina: 未来のレインが
  1329. 歴史をやり直そうとしていることが
  1330. 皇帝に伝わったら……。
  1331. Akstar: この時代のお前……ヒョウが
  1332. 殺されてしまうかもしれないな。
  1333. Rain: そうなったら
  1334. 未来の俺も
  1335. 消えてしまうことになるだろう。
  1336. Rain: だから、俺はあんたに扮して、
  1337. 剣の師匠としてラスウェルに近付く。
  1338. Dark Fina: で、三種類の明鏡を教えたら、
  1339. 二闘星という正体を明かして裏切る。
  1340. そういう手はずよ。
  1341. Akstar: それでラスウェルに
  1342. 情を捨てさせるというわけか……。
  1343. Dark Fina: 全てが終わるまで
  1344. あなたにはクリスタルの中に
  1345. 入っていてほしいの。
  1346. Akstar: まあ、そうだろうな。
  1347. 俺が二人いたら計画も台無しだ。
  1348. Akstar: しかし、
  1349. どうやって俺に成り代わるんだ?
  1350. Rain: 俺は変身魔法を
  1351. ある少女から教わっている。
  1352. だから、顔に関してはなんとかなる。
  1353. Rain: 問題は失った手足だが、
  1354. ゼノの鎧を身に付けていれば、
  1355. しばらくは誤魔化せるだろう。
  1356. Rain: あとは機会をうかがって
  1357. 病のせいで半身を失うことになったと
  1358. 皇帝に報告するつもりだ。
  1359. Akstar: 全て納得した。
  1360. その上で最後に聞かせてくれ。
  1361. Akstar: お前の目論見が
  1362. うまくいったとしての話だ。
  1363. Akstar: 皇帝を倒して未来が変わったら
  1364. お前はどうなる?
  1365. Rain: ……。
  1366. Akstar: 消えてしまうのではないのか?
  1367. Rain: ああ。そうだ……。
  1368. Rain: 俺は敗北の象徴だからな。
  1369. ラスウェルが
  1370. 勝利を掴んだ未来には存在できない。
  1371. Rain: だが、それでいいんだ。
  1372. 俺が消えることが
  1373. 勝利の証になるのだから。
  1374. Akstar: わかった……。
  1375. Akstar: お前になら託すことができる。
  1376. 俺の悲願を。
  1377. Akstar: 必ず皇帝を倒してくれ。
  1378. Rain: ああ。
  1379. 任せてくれ。
  1380. Lasswell: ……。
  1381. Lasswell: ああ……。
  1382. Lasswell: 言葉が出ない……。
  1383. Lasswell: だってそうじゃないか。
  1384. Lasswell: レインは……。
  1385. 俺のために……。
  1386. Lasswell: 何十年も彷徨って……。
  1387. 未来からやってきて……。
  1388. Lasswell: それで……それで……。
  1389. Lasswell: ずっと俺の側で
  1390. 見守っていてくれたんだ……。
  1391. Lasswell: アクスターさんになって……。
  1392. Lasswell: 目的を果たしたら……。
  1393. 自分が消えてしまうっていうのに……。
  1394. Faisalith: ラスウェル……。
  1395. Lasswell: いつだってそうだ。
  1396. あいつは……。
  1397. あいつは……。
  1398. Lasswell: レインはそういう男なんだ……。
  1399. Faisalith: ラスウェル、行こう……。
  1400. Faisalith: 待ってるよ、二人のレインが。
  1401. あなたのことを。
  1402. Lasswell: ああ……。
  1403.  
  1404. ========Part 16========
  1405.  
  1406. Rain: ヴラド!
  1407. Emperor Vlad: ここまで追ってくるとは。
  1408. どこまでもしつこい奴らだ。
  1409.  
  1410. Emperor Vlad: まあ、いい。
  1411. ならば、相手をしてやろう。
  1412.  
  1413. Emperor Vlad: だが、楽には殺してやらん。
  1414. Emperor Vlad: お前たちの手足を奪い、
  1415. パラデイアの命が
  1416. 魔導砲で尽きていく光景を見せてやる。
  1417.  
  1418. Emperor Vlad: 己の無力さを
  1419. 嫌というほど味わうがいい。
  1420.  
  1421. Rain: やれるものならやってみろ。
  1422. 無力さを味わうのはお前の方だ。
  1423.  
  1424. Emperor Vlad: 威勢がいいのは
  1425. 私の魔法をお前の障壁で
  1426. 防げると思っているからか。
  1427.  
  1428. Emperor Vlad: ならば、本当に
  1429. 防ぎきることができるかどうか。
  1430. 一つ、試してみることにしよう。
  1431.  
  1432. Rain: やらせるか!
  1433. Emperor Vlad: まだまだいくぞ。
  1434. Emperor Vlad: くくく。
  1435. 大したものだよ。
  1436.  
  1437. Emperor Vlad: だが、どこまで耐えられるかな。
  1438. 私の魔力はまだまだ尽きないぞ。
  1439.  
  1440. Rain: くっ……。
  1441. Rain: まずい……。
  1442. このままじゃ……。
  1443.  
  1444. Dark Fina: アクスター……。
  1445. Akstar: ああ。
  1446. ようやくきたな。
  1447. 最後の出番が。
  1448.  
  1449. Emperor Vlad: む?
  1450. Akstar: ちっ!
  1451. Emperor Vlad: 惜しかったな。
  1452. あと一手、足りなかったようだ。
  1453.  
  1454. Dark Fina: いいえ。
  1455. その一手がきてくれたみたいよ。
  1456.  
  1457. Emperor Vlad: 何?
  1458. Fina: ラスウェル!
  1459. みんな!
  1460.  
  1461. Lasswell: アクスターさん、俺は……。
  1462. Akstar: よそ見などしている場合か。
  1463. 戦いはこれからだぞ。
  1464.  
  1465. Lasswell: は、はい……。
  1466. Raegen: ヴラド。
  1467. 決着をつけるときだ。
  1468.  
  1469. Emperor Vlad: レーゲンよ。
  1470. なぜ私がお前の父を
  1471. 殺したか教えてやろう。
  1472.  
  1473. Emperor Vlad: それは……
  1474. 王族の血が憎かったからだ。
  1475.  
  1476. Emperor Vlad: 王家に生まれただけで
  1477. 権力が約束されている。
  1478. そんなのはおかしいと思わんか?
  1479.  
  1480. Emperor Vlad: 三種の明鏡を作ったのもそれが理由だ。
  1481. Emperor Vlad: 王家の生まれのお前より
  1482. 私の方が優れている……。
  1483. 王の血などくだらんと証明するためだ。
  1484.  
  1485. Emperor Vlad: 私は自らの力だけで全てを支配する。
  1486. Emperor Vlad: これぞ権力を持つ者の
  1487. 正しい姿だとは思わんか?
  1488.  
  1489. Raegen: いいや、思わないな。
  1490. Emperor Vlad: なんだと?
  1491. Raegen: 血、力、生まれ……
  1492. そのどれもが王の資格ではない。
  1493.  
  1494. Rain: 自分の全てを民のために捧げる。
  1495. それが王になる者の正しい姿だ。
  1496.  
  1497. Faisalith: 支配なんて
  1498. 言ってる時点で論外だよね。
  1499.  
  1500. Lasswell: 他者との優劣に拘っている時点で
  1501. お前には民の上に立つ資格はない。
  1502.  
  1503. Fina: 私たちは
  1504. レインとラスウェルを
  1505. 命がけで応援する。
  1506.  
  1507. Fina: 一人で戦おうとしているあなたには
  1508. 絶対に負けない。
  1509.  
  1510. Emperor Vlad: ……。
  1511. Emperor Vlad: 一人で十分なのだ。
  1512. Emperor Vlad: 本当に優れた者……。
  1513. この世界は
  1514. 選ばれし者が一人いればいい。
  1515.  
  1516. Emperor Vlad: それを私が証明してやろう。
  1517.  
  1518. ========Part 17========
  1519.  
  1520. Emperor Vlad: ……。
  1521. Emperor Vlad: 一体、なんなのだ……。
  1522. Emperor Vlad: 追い詰めても、追い詰めても……。
  1523. いつの間にか私が追い詰められている。
  1524.  
  1525. Emperor Vlad: これが王族の……。
  1526. 血の力だというのか……。
  1527.  
  1528. Rain: ヴラド。
  1529. まだわからないのか。
  1530.  
  1531. Rain: 俺、ラスウェル、父さん。
  1532. それ以外の仲間たちは
  1533. 王族でもなんでもない。
  1534. Rain: お前を追い込んでいるのは
  1535. 王族の血なんかじゃないんだ。
  1536.  
  1537. Raegen: 共に戦うという意思……。
  1538. Fina: これまでに築いてきた繋がり……。
  1539. Faisalith: 一緒に未来を見たいという思い……。
  1540. Lasswell: ヴラド。
  1541. お前を追い込んでいるのは……。
  1542.  
  1543. Lasswell: 友情、愛情、感情……。
  1544. 情の力だ。
  1545.  
  1546. Akstar: 誰かとの繋がりの中でこそ
  1547. 情の力は最大限に発揮され、
  1548. 孤独で歪んだ邪念を打ち砕くのだ。
  1549.  
  1550. Emperor Vlad: ……。
  1551. Emperor Vlad: 認めぬ……。
  1552. 孤独であることの何が悪い……。
  1553.  
  1554. Dark Fina: あなたが長年
  1555. 一闘星に求めてきたものは
  1556. 孤独に打ち勝てる魂と肉体よね?
  1557.  
  1558. Emperor Vlad: ああ、そうだ。
  1559. このグランドールで
  1560. 最後の独裁を行うために必要だった。
  1561.  
  1562. Dark Fina: でも、結局は手に入らなかったでしょ?
  1563. Dark Fina: ヴラド。
  1564. 人は孤独には勝てないのよ。
  1565.  
  1566. Emperor Vlad: お前たちはまるでわかっていない。
  1567. Emperor Vlad: そこまで言うのなら。いいだろう。
  1568. 試してやる。
  1569.  
  1570. Emperor Vlad: これを見ても
  1571. まだ同じことが言えるかどうか……。
  1572.  
  1573. Emperor Vlad: これが孤独の末に辿り着いた……。
  1574. Emperor Vlad: 孤高の力だ!
  1575. Akstar: 一人よりも二人……。
  1576. Lid: うそ……。
  1577. Jake: また姿が変わりやがった!
  1578. Citra: これは……。
  1579. 見た目だけじゃない……。
  1580.  
  1581. Folka: とてつもない力を感じます。
  1582. Sakura: じゃが、怯んでいる場合ではないぞ。
  1583. Nichol: ええ。
  1584. やるしかありません。
  1585.  
  1586. Faisalith: だよね、ラスウェル!
  1587. Lasswell: ああ。
  1588. Lasswell: この体を、魂を。
  1589. 全て燃やし尽くして
  1590. この戦いに勝ってみせる!
  1591.  
  1592. Akstar: うむ。
  1593. その通りだ。
  1594.  
  1595. Rain: ああ!
  1596. やろうぜ、ラスウェル!
  1597.  
  1598.  
  1599. ========Part 18 (Last)========
  1600.  
  1601. Lasswell: アクスターさん……。
  1602. Lasswell: あなたが誰なのかわかりました……。
  1603. Akstar: そうか……。
  1604. Akstar: 真実は墓場まで
  1605. 持っていくつもりだったんだがな。
  1606. Akstar: 何か言いたいことがあるなら早くしろ。
  1607. もうすぐ俺は消えてしまうからな。
  1608.  
  1609. Akstar: そんな顔をするな。
  1610. 悲しい未来がなくなった証だ。
  1611. もっと喜ぶべきだ。
  1612.  
  1613. Lasswell: ……喜べるわけないだろ!
  1614. Lasswell: レイン!
  1615. お前が消えて喜べるわけがないだろ!
  1616.  
  1617. Akstar: ……。
  1618. Lasswell: たった一人でずっと戦い続けて……。
  1619. 辛いことも悲しいことも
  1620. 一人で抱え込んで……。
  1621.  
  1622. Lasswell: どうして……お前は……。
  1623. Akstar: 一人じゃなかったさ。
  1624. 心にはいつもお前がいた。
  1625. みんながいた。
  1626.  
  1627. Akstar: それはこれからもずっとそうだ。
  1628. だから一人で消えても寂しくはない。
  1629. Lasswell: 本当にお前は……。
  1630. お前って奴は……。
  1631.  
  1632. Lasswell: レインなんだな……。
  1633. どこまで行っても……。
  1634. Lasswell: 俺はお前の
  1635. その強くて優しい思いに
  1636. どうやって応えたらいいんだ……。
  1637.  
  1638. Akstar: ……。
  1639. Akstar: お前には
  1640. この世界のレインがいる。
  1641.  
  1642. Akstar: あいつと一緒に
  1643. パラデイアを平和に導いてくれ。
  1644.  
  1645. Lasswell: ……わかった。
  1646. Akstar: 俺はお前の師匠……。
  1647. アクスターとして消えていく。
  1648.  
  1649. Akstar: それでいいと思わないか?
  1650. Lasswell: ……。
  1651. Lasswell: ……。
  1652. Lasswell: はい。
  1653. わかりました……。
  1654.  
  1655. Lasswell: アクスターさん。
  1656. Akstar: ああ、それでいい。
  1657. Akstar: さらばだ、ラスウェル……。
  1658. 今度こそ本当に……。
  1659.  
  1660. Lasswell: ありがとうございました!
  1661. Lasswell: 本当に本当に
  1662. ありがとうございました!
  1663.  
  1664. Lasswell: 師匠!
  1665. Lasswell: 俺の師匠!
  1666. Lasswell: この世界から消えてしまっても
  1667. 師匠のことは一生忘れません!
  1668.  
  1669. Akstar: ……。
  1670. Akstar: フッ。
  1671. 最後にまた師匠と呼ばれるとはな。
  1672. Akstar: ああ……。
  1673. よかった……。
  1674. 本当に未来は変わったんだな。
  1675. Akstar: ありがとう、バカ弟子……。
  1676. Akstar: さらばだ……。
  1677. Lasswell: さようなら、師匠……。
  1678. Rain: アクスターが……消えた。
  1679. Rain: どういうことだ。
  1680. 二人は何を話していたんだ。
  1681.  
  1682. Faisalith: 今は事情は聞かないであげて。
  1683. いつかラスウェルが
  1684. 話してくれると思うから。
  1685. Rain: ……そうか。
  1686. わかったよ、ファイサリス。
  1687. Fina: (もう一人の私もいない……)
  1688. Fina: (……)
  1689. Fina: (黙っていなくなるなんて
  1690.  あなたらしいね……)
  1691.  
  1692. Fina: (さよなら、もう一人の私……)
  1693. Rain: 終わった……。
  1694. Lasswell: ああ……。
  1695. 俺たちはヴラドを倒したんだ。
  1696.  
  1697. Lid: やったーーー!
  1698. アタシたちの勝ちだよ!
  1699.  
  1700. Jake: ああ!
  1701. 皇帝の……。
  1702. ヴラドの支配はこれで終わりだ!
  1703. Citra: レーゲン、やったな。
  1704. Raegen: ああ……。
  1705. 長い戦いだった。
  1706.  
  1707. Rain: ラスウェル?
  1708. アクスター?
  1709.  
  1710. Faisalith: レイン、ごめんね……。
  1711. 二人だけにしてあげて。
  1712.  
  1713. Rain: あ、ああ……。
  1714. それはいいけど……。
  1715.  
  1716. Rain: 消滅してしまうんだ。
  1717. 最後ぐらい元の姿に戻るか。
  1718. Dark Fina: レイン。
  1719. Rain: 君か……。
  1720. Dark Fina: お疲れ様……。
  1721. 長い旅だったわね。
  1722.  
  1723. Rain: ああ……。
  1724. あとはラスウェルと
  1725. あの世界の俺に任せるよ。
  1726.  
  1727. Dark Fina: ふふ。
  1728. なんかすっきりした顔しちゃって。
  1729. Rain: まあね。
  1730. Rain: そういう君こそ
  1731. なんだか嬉しそうな顔をしているな。
  1732.  
  1733. Rain: これから消えてしまうんだろ?
  1734. 君だって。
  1735. Dark Fina: ええ、そうよ。
  1736. Dark Fina: でも、一人で消えるわけじゃないし。
  1737. Rain: はは。
  1738. 俺も一緒ってことか。
  1739.  
  1740. Dark Fina: レインと一緒に消えることが
  1741. できるなんて最高よ。
  1742.  
  1743. Dark Fina: だって、私、
  1744. レインと死ぬまで
  1745. 一緒にいたいと思っていたんだから。
  1746.  
  1747. Dark Fina: ふふ。
  1748. やった。
  1749. とうとう願いが叶っちゃった。
  1750.  
  1751. Rain: そっか。
  1752. Dark Fina: ねえ、レイン。
  1753. Dark Fina: ぎゅっとして。
  1754. Rain: え?
  1755. Dark Fina: ハグよ、ハグ。
  1756. Rain: ああ。
  1757. Dark Fina: 一生懸命に手を伸ばしてよかった。
  1758. やっと捕まえちゃった。
  1759.  
  1760. Dark Fina: 人生って不思議ね。
  1761. 思ってもいなかったところで
  1762. 幸せが訪れたりするから。
  1763.  
  1764. Rain: ……そうだな。
  1765. Dark Fina: まあ、その人生も
  1766. これで終わっちゃうんだけどね。
  1767.  
  1768. Rain: いや、終わりじゃないさ。
  1769. Dark Fina: え?
  1770. Rain: 永遠になるんだ。
  1771. 俺たちは。
  1772.  
  1773. Dark Fina: ……。
  1774. Dark Fina: ふふ。
  1775. ずっとわかってたことだけど……。
  1776. やっぱりそうだった。
  1777.  
  1778. Dark Fina: レイン……。
  1779. あなたってホントに素敵な人ね。
  1780. Ignacio: さあて!
  1781. さっさとここから
  1782. 帰る方法を見つけないとな!
  1783.  
  1784. Citra: 移送ゲートを開く端末があるはずだ。
  1785. 探してみよう。
  1786.  
  1787. Folka: イグニシオ、嬉しそうですね。
  1788. Ignacio: ヴラドを倒したから
  1789. カガネの魂も解放されたはずだ。
  1790.  
  1791. Ignacio: だから、
  1792. あいつの墓を作ってやろうと思ってな。
  1793.  
  1794. Folka: そうですね。
  1795. 私もお手伝いします。
  1796.  
  1797. Cid: ミド、イーゴ……。
  1798. 終わったぞ。
  1799. これから勝利の報告に帰るからな。
  1800.  
  1801. Sieghart: 俺の弟と妹にも
  1802. いかに美しい勝利だったかを
  1803. 詳細に説明してやらねば。
  1804.  
  1805. Jake: 終わったな、リドちゃん。
  1806. Lid: そ、そうだね、ジェイク。
  1807. Jake: ということはだな、
  1808. そろそろ俺たちの話も……。
  1809.  
  1810. Lid: こ、ここでするのそれ!?
  1811. Jake: 雰囲気はあるだろ?
  1812. 星空の下というか星空の中だけど。
  1813. 大切な話をするには最適だ。
  1814.  
  1815. Lid: そ、それはそうだけど……。
  1816. Lid: や、やっぱりもっと落ち着いてから!
  1817. 服の汚れだって落としたいし
  1818. シャワーだって浴びたいもん!
  1819.  
  1820. Sakura: ようやく終わったな。
  1821. ニコルはこのあとどうするんじゃ?
  1822. Nichol: オルデリオンに戻って
  1823. 久しぶりにゆっくり過ごしたいです。
  1824. サクラはどうするのですか?
  1825.  
  1826. Sakura: そうじゃな。
  1827. わしも友人たちに会いたいのう。
  1828.  
  1829. Sakura: そのあとは……
  1830. 姉さんと一緒に暮らしてみるのも
  1831. もしかしたらアリかもしれんな。
  1832.  
  1833. Citra: ……ふっ。
  1834. Citra: ニコルも一緒に暮らすのなら
  1835. 考えないこともない。
  1836.  
  1837. Sakura: なんでニコルが関係あるんじゃ!
  1838. ニコルよりも実の妹を大切にせい!
  1839.  
  1840. Faisalith: ……え?
  1841. Fina: ファイサリス、どうしたの?
  1842. Faisalith: 何か……嫌な感じがする。
  1843. Fina: 嫌な感じ?
  1844. Faisalith: うん……。
  1845. Faisalith: ウェポンの中にいたときと
  1846. 同じような感じがするの……。
  1847.  
  1848. Fina: え?
  1849. ???: 魂の複製……。
  1850. Rain: 今の声はヴラド!?
  1851. Lid: そ、そんなはずないよ!
  1852. だって、ヴラドは死んだはずじゃ……。
  1853.  
  1854. ???: 魂が無限にある。
  1855. それこそ永遠への道標であり、
  1856. 孤独を解消する答えだったのだ。
  1857.  
  1858. Lasswell: 何が言いたい!
  1859. 姿を見せろ!
  1860.  
  1861. Raegen: まさか……。
  1862. Rain: どうしたんだ、父さん。
  1863. Raegen: 俺たちが倒したヴラド……。
  1864. Raegen: あいつもオリジナルから
  1865. 複製したものだとしたら……。
  1866.  
  1867. ???: ヴラドの魂がある限り……。
  1868. 私は何度でも甦る……。
  1869.  
  1870. ???: どのように姿を変えても……。
  1871. Rain: な、なんだ……これは……。
  1872. Emperor Vlad: よく見るがいい。
  1873. これが本当の私の姿だ。
  1874.  
  1875. Lasswell: ……。
  1876. Lasswell: ……。
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