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- Stage 1:
- 【オフィサー】全員集まったようね
- 【オフィサー】本日00:00をもって、我々の訓練期間は終了した。
- 【オフィサー】これより我が特殊戦術部隊<スティール・フォックス>は、予定通り“ミッション・ナイトスレイブ”を実行に移す。
- 【オフィサー】目的は、軍事テロ組織<スレイブ・ドッグ>の壊滅である。
- 【オフィサー】知っての通り、<スレイブ・ドッグ>によって、現在、世界の国々は多くの損害を被っている。
- 【オフィサー】この原因は、各国政府がたかがテロ組織と甘くみていた事による事といえる。
- 【オフィサー】なぜならスレイブ・ドッグを組織する連中の大半が、世界的軍縮によって戦う場を失った各国の軍人たちだからである。
- 【オフィサー】装備や規模は、現在の弱体化した各国の軍が手に負える相手では無い。
- 【オフィサー】また、すぐに大規模な作戦行動を取る事は各国とも不可能に近い。
- 【オフィサー】よって、小規模ながら我々、特殊戦術部隊<スティール・フォックス>が各国了承のもと編成されたわけである。
- 【オフィサー】幸い我々には、無国籍企業<ネオ・ロジック>社のバックアップと共にこの新型強襲艦と専用のアサルト・ギアがある。
- 【オフィサー】………そして何よりも世界の4ヶ国から選りすぐった、あなたたちがね。
- 【オフィサー】どうやら私達のスポンサーからのようね。
- 【ゴールドマン】やあ諸君、初めてお目にかかるね。
- 【ゴールドマン】僕は「ネオロジック」社のゴールドマン。君達<スティール・フォックス>の提唱者………まあ産みの親という訳だ。
- 【ゴールドマン】今より君達は“どの国にも属さない戦闘集団”として正式に、認められた事になる。
- 【ゴールドマン】30年前に国連が解体された後、世界条約によって、他国との全ての軍事行動が制約を受けている事はわかっている事と思う。
- 【ゴールドマン】この制約を利用し各国を脅かしているスレイブ・ドッグを叩く為に………
- 【ゴールドマン】我が無国籍企業「ネオロジック」は各国政府の協力のもと君達を集めた。
- 【ゴールドマン】君達は予想に違わず、最高の腕前である事は訓練期間に見せてもらったよ。
- 【ゴールドマン】短い期間ながら本当によくやってくれた。
- 【ゴールドマン】僕からはもう何も言う事はない。ただ君達の作戦の成功を祈るだけだ。
- 【ゴールドマン】そして世界の脅威となるスレイブ・ドッグを一刻も早く壊滅させる事をね。
- 【ゴールドマン】では、オフィサー、後をよろしく頼む。
- 【ゴールドマン】諸君、作戦終了後にまた会おう。
- 【オフィサー】聞いての通り、今より本艦はどの国にも属さない、独立した戦闘集団となったわ。
- 【オフィサー】今後、一切、各国の支援が受けられなく事を覚悟して頂戴。
- 【オフィサー】では、作戦内容の最終確認を行う。
- 【オフィサー】目標は現在、本艦が向かっている北アメリカ山岳部にあるスレイブ・ドッグの軍事施設である。
- 【オフィサー】情報によると施設内に各国の要人が拘束されているので、敵施設の制圧と共に捕虜の捜索と救出を行う。
- 【オフィサー】ジュリア、あなたは「エアロ・フォックス」で敵施設の防空網を破壊し、後続機の進路を確保をする事。
- 【ジュリア】了解、地上物相手なら楽勝ね。
- 【オフィサー】ノッティー、あなたは「エンジェル・フォックス」で、敵レーダーの撹乱妨害後、みんなの目となって索敵任務と戦況の監視。
- 【ノッティー】まかせて。
- 【オフィサー】ラーニャは「ガンナー・フォックス」で後方より制圧砲撃を加え、各機の支援を担当。
- 【ラーニャ】了解した。
- 【オフィサー】麗と千帆はそれぞれ南側と北側から進撃し、敵地上部隊を撃破しつつ、速やかに敵施設内部へ突入。
- 【オフィサー】施設内部で合流後、捕らわれているターゲットを捜索し、これを救出せよ。
- 【オフィサー】なお、退路の確保はジュリアがあたる。いいわね?
- 【麗】了解。
- 【千帆】了解。
- 【オフィサー】みんな………慎重にね。
- 【オフィサー】よし、各機出撃準備にかかれ。
- 「アサルト・ギア射出5分前」「各員は第一戦闘配備で待機せよ」
- ---
- 【ノッティー】注意! 熱源反応!
- 【麗】ノッティー、ECMスタンバイ!
- 【ノッティー】了解!
- 【ノッティー】……ECM、作動!
- 【麗】よし、各機、進撃開始!
- 【ラーニャ】<ガンナー・フォックス>より各機へ、これより敵地上施設に対し制圧砲撃を開始する。
- 【ラーニャ】各機の位置を報告せよ。
- 【麗】こちら<ゼロ・フォックス>、現在、ポイント140-35、そちらの砲撃エリアには入っていない。いつでもOKよ。
- 【ラーニャ】了解。<シュペル・フォックス>、そちらの状況は?
- 【千帆】……。
- 【ラーニャ】千帆、聞こえないのか?
- 【千帆】……。
- 【ラーニャ】……くそっ、これでは砲撃ができないじゃない!
- 【麗】<ガンナーフォックス>、いわ、支援砲撃は中止して、母艦の援護にまわって。
- 【ラーニャ】仕方が無い。了解した。
- 【麗】こちら<ゼロ・フォックス>、敵の施設内部へ突入する。
- 【オフィサー】了解。そのま制圧行動を取りつ施設内部を進み、<シュペル・フォックス>と合流、ターゲットを捜索し保護せよ。
- 【オフィサー】 麗、シールドの出力が低下しているわよ。気をつけて!
- 【麗】千帆の<シュペル・フォックス>は、まだか……。
- 【麗】……!?
- 【麗】て、敵の新型アサルト・ギア!?
- 【麗】いや……こ、これは……。
- 【麗】ヘビーギア(重機動兵器)だ……!
- ---
- 【千帆】麗! 見て、この人………!
- 【麗】これが報告にあった捕虜なの?
- 【千帆】生きているのかしら?
- 【麗】………。
- 【麗】大丈夫、身体は温かいよ。
- 【麗】………どうやらメモリーデバイスに繋がれて、脳の中の情報を吸い出されていたようだね。
- 【麗】よし………千帆、そこのコンパネを。メインメニューを呼び出してみて。
- 【千帆】ええ。
- 【麗】使い方はわかるかい?
- 【千帆】ええっと………ええ、大丈夫よ。
- 【千帆】………麗、覚醒状態に戻すメニューがあったわ。
- 【麗】OK。そうしたら負荷電圧の逆流に注意して、メモリーデバイスのアクセスを停止させて。【麗】ゆっくりとだよ。
- 【千帆】………いいわ。装置のアクセスを止めたわ。
- 【麗】………これで覚醒状態に入ってくれればいいんだけど………大丈夫、身体の機能が働いていたから問題はないはず。
- 【千帆】………?
- 【千帆】ねぇ、見て、麗、この人のパーソナルデータがあったわ。
- 【麗】………何者なのかわかるかい?
- 【千帆】………ちょっと待って。ええっと………。
- 【千帆】ブレナン………。
- 【千帆】アメリア・ブレナン………。
- 【麗】アメリア・ブレナン?
- 【麗】………確か………どこかで聞いた名前のようだけど。
- 【千帆】知っているの、この人の事?
- 【麗】行方不明者のリストに載っている名前の中で見たような気がするんだけど ………。
- 【麗】………ダメ。よく思い出せない。
- 【麗】千帆、パーソナル・データには何か載ってないのかい?
- 【千帆】ちょっと待って………ええと………。
- 【千帆】………血液型に染色体の型………ダメだわ、医学的情報以外は載ってないみたい。
- 【麗】仕方がない、この人から直接聞き出すしかないね………。
- 【麗】メモリーデバイスを使ってまで、入手しようとしていた情報だもの、きっと重要な事に違いないよ。
- 【千帆】何かの軍事機密とかかしら?
- 【麗】ああ、そうかもね………。
- 【麗】連中が何を企んでいるか、こっちにとっても、重要な手がかりになるかも。
- 【女性】………ううん。
- 【千帆】麗………気がついたみたい。
- 【麗】ああ。
- 【麗】………ミス・ブレナン。
- 【麗】アメリア・ブレナン………聞こえる?
- 【女性】ん………んん………。
- 【麗】さあ………起きて、ミス・ブレナン。
- 【麗】ゆっくりと………さあ。
- 【ブレナン】ううん………。
- 【ブレナン】あ………あなたたちは………?
- 【ブレナン】私………どうして………こんな格好なの。
- 【麗】大丈夫ですか、ミス・ブレナン?
- 【麗】心配しないで下さい。私たちは、あなたを保護に来たものです。
- 【ブレナン】私を………保護?
- 【ブレナン】………ここは………アリゾナの研究所では無いの?
- 【麗】研究所?
- 【麗】いいえ、ここは<スレイブ・ドッグ>の施設です。
- 【麗】………思い出せませんか、ここにいる理由を?
- 【ブレナン】<スレイブ・ドッグ>………。
- 【ブレナン】………私は………そう………三重水素と重水素の実験を………。
- 【ブレナン】高速中性子に至るまでの過程が難しくて………。
- 【ブレナン】………そうよ、思いだしたわ。
- 【ブレナン】<スレイブ・ドッグ>と名乗るテロリストの兵士に捕まっていたのよ………。
- 【麗】そう………そして私たちが救助に来たんです。だから安心して下さい。
- 【ブレナン】私を救助に?
- 【ブレナン】………あなたたちはいったい誰なの?
- 【麗】詳しい事情を話す事はできないけど、特命を受けた特殊部隊です。
- 【ブレナン】パンアメリカーナの?
- 【麗】それは言えません。
- 【麗】あなたの他に、捕らわれている人は?
- 【ブレナン】………いいえ………多分、私だけだと思います。
- 【ブレナン】う………うっ。
- 【麗】大丈夫ですか、ミス・ブレナン?
- 【ブレナン】ちょっと………頭痛が………。
- 【麗】メモリーデバイスのせいね。しばらく動かないほうがいいわ。
- 【ブレナン】………メモリーデバイスですって?
- 【ブレナン】じゃあ………あの事は連中に………!
- 【麗】落ち着いて、ミス・ブレナン。【麗】あなたはいったい何の為に連中に捕まっていたのです?
- 【ブレナン】私は………物理学者………。
- 【麗】物理学者? あなたが?
- 【麗】それで、いったい何を?
- 【Dr.ブレナン】核物理学です………。
- 【Dr.ブレナン】超高温による核融合反応の促進の研究………。
- 【麗】………核!?
- 【ゴールドマン】そうか………それでは、その施設に捕らわれていたのは、そのDr.ブレナンだけだったという事だね?
- 【ゴールドマン】………それでDr.ブレナンの容態は?
- 【オフィサー】メモリーデバイスの後遺症の心配もあったので、パンアメリカーナの医療センターへ引き渡しました。
- 【オフィサー】もちろんパンアメリカーナ政府には事情説明はしておいたので、博士の警護の心配も無いと思いますが。
- 【ゴールドマン】ああ妥当な処置だね。【ゴールドマン】しかし問題だな、核物理学者である博士から、<スレイブ・ドッグ>が入手した情報の中身が。
- 【オフィサー】連中の狙いが“核兵器”である事はまちがいないでしょう。
- 【オフィサー】………30年前の忌まわしい記憶を再現する事が連中の狙いなのかもしれません。
- 【ゴールドマン】中東で起きた………“最後の災い”か。
- 【ゴールドマン】あの事がきっかけとなって、世界のリベラリストが率先して、核兵器の全面的撤廃と軍縮が起きたんだったね。
- 【オフィサー】原子力、原潜………世界の人々は、見境無しにあらゆるものに拒絶反応を示すようになった。
- 【ゴールドマン】無理も無い。あの事件………いや戦争かな、とにかく数百万人の人々の命を奪い、一つの国を消し去ったのだからね。
- 【ゴールドマン】………核が絡んでくるとなると、最悪の場合を考えないといけないな………。
- 【ゴールドマン】しかし、なぜまたDr.ブレナンをさらったんだ?
- 【ゴールドマン】連中の組織にも、一人ぐらい核融合に関する知識を持った人間がいそうだとは思うが………。
- 【オフィサー】Dr.ブレナンの研究していた事が連中にとって必要だったのかもしれません。
- 【ゴールドマン】というと?
- 【オフィサー】通常、核兵器………熱核爆弾は重水素、三重水素、リチウムを用いる事はご存知ですね?
- 【ゴールドマン】ああ。知っているよ、3F爆弾ってやつだね。
- 【ゴールドマン】最初に起爆用の核分裂が起こり、次に三重水素と重水素の核融合………。
- 【ゴールドマン】そして最後に核融合で生じた高速中性子による天然ウランの分裂を起こす。
- 【オフィサー】ええ。そして博士が研究していたのはその第二段階と第三段階を飛躍的に増大させる融合実験だったのです。
- 【オフィサー】わずかなウランを用いても強力な破壊力を生み出せる研究、それが<スレイブ・ドッグ>が必要としていた情報です。
- 【オフィサー】この事が意味する事は深刻です。
- 【ゴールドマン】………なんて事だ。連中、既に核を持っているという事か?
- 【オフィサー】その可能性もあります。もちろんまだ持っていないかも知れませんが。
- 【ゴールドマン】………よしわかった。その精製の為にはそれなりの施設が必要となるはずだ。
- 【ゴールドマン】僕の持っている全ての偵察衛星を使ってくまなく調べてみる。もちろん他国にも協力を仰ぐよ。
- 【ゴールドマン】問題は………まだ連中が核を手に入れてないとしたら、すぐにでも動き出すはずだ。我々が博士を救出した事によってね。
- 【ゴールドマン】その時は、よろしく頼むよ。
- 【オフィサー】了解しました。
- 【ゴールドマン】では、何かわかったらまた連絡するよ。
- 【オフィサー】<スレイブ・ドッグ>が本気で核の使用を考えているとなると、厄介な事になるかもしれないわ………。
- 【オフィサー】30年前のあの悲劇だけは何としてもくい止めなくてはね。
- 【ジュリア】だけどオフィサー、今の時代、核を持っている国なんかあると思いますか?
- 【ジュリア】原子炉でさえ、発電プラント衛星に取って代わっているというのに。
- 【オフィサー】だからと言って、この世界から完全に無くなったと誰が断言出来るのかしら。
- 【オフィサー】世界条約が結ばれる以前の、あの局地紛争を発端とした国連の軍事力暴走………。
- 【オフィサー】各国のあいつぐ常任理事国の脱退、そして無法状態が続いた時代………。
- 【オフィサー】混乱の30年間に正規に処分されなかった核はいったい、いくつあるのかさえわからないのよ。
- 【ラーニャ】………確かに。それに核を隠し持っている国が無いとも言えない。
- 【ジュリア】気になる言い方ね、少なくとも私の国はそんな事はしないわよ。
- 【ラーニャ】………さあ、どうかしらね。
- 【ジュリア】………。
- 【オフィサー】ともかく、我々は<スレイブ・ドッグ>に核を使用させる事だけは絶対に防がなくてはならないわ。
- 【オフィサー】………以上よ。みんなから他に何か?
- 【ラーニャ】あるわ。
- 【ラーニャ】前回の作戦時、不可解な行動を取った者がいるわ。
- 【ラーニャ】一人のミスによって、作戦全体に影響が及ぶ事を考えて欲しいわね。
- 【千帆】………申し訳ありません。
- 【ラーニャ】千帆、あなた、パイロット向きじゃないんじゃなくて?
- 【ラーニャ】たいした被弾でもないのに戦闘中に意識を失うなんて素人もいいところじゃない。
- 【千帆】………。
- 【麗】ラーニャ………戦闘指揮の責任は私にあるんだ。千帆の事はもう許してあげて。
- 【ラーニャ】………。
- 【オフィサー】それでは各自、命令があるまで部屋で待機して頂戴。
- 【オフィサー】いい事? 作戦は始まったばかりよ、チームワークの大切さを心がけて。
- 【オフィサー】解散。
- 【千帆】麗………。
- 【麗】ラーニャの事なら気にする事なんかないよ。
- 【千帆】でも………。
- 【千帆】私、アサルト・ギアのパイロットなんか向いてないわ。
- 【千帆】ラーニャの言うとおり、私は経験不足だもの………。
- 【千帆】それに麗やみんなみたいに、軍出身でも無いし………。
- 【麗】………そんな事、関係ない事だよ。
- 【麗】そういえば千帆、あんたって<ネオ・ロジック>社から派遣されて来たんだったよね。
- 【麗】確か、あの<シュペル・フォックス>の機体運用テストとかで。
- 【千帆】………ええ。
- 【麗】そうか………訓練でみせた機体操作の腕前は、テスト・パイロットだったからなんだ。
- 【千帆】ううん………そういう事でも無いの。
- 【千帆】アサルト・ギアのパイロットをしたのは、今、乗っている<シュペル・フォックス>が初めてなの。
- 【千帆】私があの機体に乗っているのは、人の思考と機体に登載された機体制御システムとの実用実験の為。
- 【千帆】私には潜在能力があるという話らしいわ。
- 【麗】へぇ………凄いじゃない。
- 【千帆】そんな事ないわ………私にそんな力があるなんて、私も信じられないんだもの。
- 【千帆】でも勘違いしないでね、私、超能力者とかそういった類の人間じゃないんだから……。
- 【麗】大丈夫だよ、あんたを特別な目で見るなんて事しないよ。
- 【麗】訓練開始から3ヶ月………私には手のかかる妹が出来たと思っているだけさ。
- 【千帆】………麗。
- 【麗】千帆………あんたと出会って、まだ3ヶ月しか経ってないんだね。
- 【千帆】………ええ。
- 【麗】私には、もっと長いつきあいのような気がするよ。
- 【千帆】………本当?
- 【麗】ああ………不思議なもんだね。
- 【千帆】でも………私、麗の事、何も知らないわ。
- 【麗】………何も知らないって?
- 【千帆】あなたの過去の事………。
- 【麗】………。
- 【千帆】………だって、いつも昔の話はしてくれないじゃない。
- 【麗】………昔の話ね。【麗】ま、その内ね。
- 【千帆】その内って、いつ?
- 【麗】この次よ、この次。
- 【千帆】もう………麗の意地悪。
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