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- 「おにーさん、今日もしあわせですか?」
- 「……」
- 心地よいまどろみの中、声を聞いていた。
- 顔を見れば、言葉なくとも答えはわかるだろう。
- 濃密な二人の空間。
- 対になった視線は、導線めいて意志を通す。
- 答えは、決まっていた。
- 「なるのほど」
- 末莉は末莉で、さらにしあわせいっぱいに微笑んだ。
- 処世術ではない笑顔だ。
- それっきり、言葉はなく。
- 「……」
- 見つめ合った。
- そんな二人を、淡い薄暮が静かにひたす。
- 俺は手をのばす。
- 末莉もならう。
- か細い指先が、俺のてのひらに置かれた。
- 瞬間、心を豊潤なものが埋めた。
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