# 第８章 やみくもなデータ分析では失敗する

## ポイント
- データ分析とは、複雑な要因を要素分解することで、構成要素を明らかにし、課題解決をするための手法
- 分析はデータ分析プロジェクトの１プロセスにすぎず、他のプロセスがうまくいかないとデータ分析プロジェクトは失敗する
- データ分析を成功させるには、データ分析プロジェクトのプロセスを理解し、それぞれの落とし穴を回避する必要がある
- データ分析プロジェクトのプロセス
  - 設計
  - データ収集、整備
  - 分析
    - 現状把握
    - 課題発見
    - 要因把握
    - 施策の検証
  - 施策の実行、運用


## データ分析とは
データに基づき、複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにする手法
**→ ビジネスにおいては、データに基づき複雑な課題をいくつかの要素に分け、構成要素を明らかにし、課題解決をするための手法**

### データ分析による課題解決のメリット
1. データという事実に基づき、課題の要素分解をし、課題の要因を突き止めることで、課題解決の可能性を高める
   仮に意思決定が失敗したとしても、なぜ失敗したのかをデータから検証し、次の施策に生かすことで、課題解決の精度を上げていくことができる
2. データという共通言語により、異なる組織が１つの目標に対して整合的に動けるようになる
   部署・人によって課題の重要度、優先度、課題解決に向けた施策が異なり組織が整合的に動かないことがある
3. 意思決定の質が属人的にならない、特定の人に依存しなくなる
   場合によってはシステム化により自動化できることも

### データ分析の弱点
1. データがないものは分析できない
2. 構造的変化に弱い
   市場構造の変化が起こると、今までに集めていたデータの価値がなくなることも
3. 時間と費用がかかる
   業界や業務に精通した人の意思決定と比べると、収集、管理、整備、分析、共有にコストがかかる。

### データ分析の流れ
**分析プロジェクトは大きく２つのタイプに分かれる**
- 仮説検証型分析
  Step1の時点でStep2以降にある程度の仮説がある
- 仮説探索型分析
  検証型でない

| --- | 現状把握 | 課題発見 | 要因把握 | 施策検証 |
|:----|:--------|:--------|:--------|:--------|
| 概要 | 何が起きているのかを明らかにする | 課題を発見する | 課題がなんの要因で起きているのか明らかにする | どういう手段で要因を解決できそうか検証・シミュレーションする |
| 意味合い | 課題を発見するための、現状の把握をする。か行けるすべき課題のスコープを絞り込めるようにする | か行けるすべき課題を発見し、定義する。管理改善する指標(KGI,KPIを決める) | 課題か行けるの有効な施策を打つために、課題が起きている要因を明らかにする | 複数ある施策のうちどれが有効か、施策を行った際の効果を把握する |

**会社、部署でどのような目的に対してどのようなデータを用い課題解決できそうか想像してみる**

| 組織 | 目的、KGI | データの種類 |
|:---|:---|:---|
| 経営戦略、財務 | 会社利益向上、成長 | 管理会計データ |
| 営業 | 事業部売上、事業部利益 | 営業活動データ |
| 広告、宣伝 | 商品認知率、ブランドイメージ向上 | 広告出稿データ |
| 人事 | 優秀な人材の採用、育成 | 人事データ |
| 総務 | 労働環境の向上 | 社内環境、備品管理データ |
| データ分析、調査 | データ分析による生産性向上 | 各部門データ、市場、調査データ |

**よくある失敗**
1. どんな意味を持ち、何に使うための分析結果なのかわからない
   分析プロジェクト設計に問題がある
2. 業務に精通した人間が数値化感に疑問を抱く
   データ収集・加工プロセスに問題がある
3. 分析結果の見方がわからない
   データ分析・ビジュアライゼーションに問題がある

### データ分析プロジェクトのプロセスとTableau
|---| STEP1 | STEP2 | STEP3 | STEP4 | 目的 |
|:--|:------|:------|:------|:------|:-----|
| データ分析 | プロジェクト設計 | データ収集・整備 | データ分析・ビジュアライゼーション | 意思決定、施策の実行、運用 | ビジネス上の成果 |
| Tableauの利用方法 | プロジェクト設計時のプレ分析 | データ結合、変数作成 | 集計、ビジュアライゼーション | レポート共有、定期レポート配信 |   |