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- ハンス・C・アンデルセン
- 【表記】
- 【俗称】
- 【種族】サーヴァント(ムーンセル)
- 【備考】
- 【切札】
- 【設定】
- 筋力E 耐久E 敏捷E 魔力EX 幸運E
- 三大作家
- 世界にその名の鳴り響く三大童話作家……
- グリム、イソップ、アンデルセン……のひとりであり、
- その中で唯一の創作作家。
- 他が民話や伝説などを編纂した編集者や
- 収集家であるのに対し、彼だけが新たに物語を
- 作る本当の意味での“作家”だった。
- 代表作に『マッチ売りの少女』『人魚姫』『裸の王様』
- 『雪の女王』『みにくいアヒルの子』等がある。
- また、『マッチ売りの少女』における『少女』は、
- アンデルセンを進学させるために働き通し、
- 貧しいまま、何の楽しみもなくこの世を去った、
- 彼の母親がモデルと言われている。
- 人間観察
- アンデルセンの固有スキル。ランクはA。
- 人々を観察し、理解する技術。
- ただ観察するだけでなく、名前も知らない人々の
- 生活や好み、人生までを想定し、
- これを忘れない記憶力が重要とされる。
- 厭世家で知られるアンデルセンだが、
- その根底にあるものは拒絶ではなく理解である。
- 彼にできる事は物語を紡ぐ事だけだが、
- だからこそ、
- 誰よりも語る事だけに真摯であろうと誓い続けた。
- ◆
- 事あるごとにBBやアルターエゴたちの愛の在り方を
- 「醜い」「悪趣味」「ひとりよがり」と批判していたが、
- その裏にあったものは深い理解と指摘、
- そして叱責である。
- 彼がこぼしていた罵詈雑言の数々は
- 彼女たちを全否定してのものではなく、
- 忠告をこめた苦言だったのは言うまでもない。
- ……まあ、女性嫌いなのも動かぬ事実だったろうが。
- スキル
- 高速咏唱:E
- 魔術詠唱を早める技術。彼の場合、
- 魔術ではなく原稿の進みに多少の恩恵があるようだ。
- 「俺の出筆スピードは遅いぞ。そもそも基本的に
- やる気がないので執筆なんざしないがな!」
- とは本人の弁。
- 無辜の怪物:D
- 本人の意思や姿とは関係なく、
- 風評によって真相をねじ曲げられたものの深度を指す。
- アンデルセンの場合は“読者の呪い”である。
- 童話が有名になりすぎ、アンデルセン本人の性格が
- 童話作家のイメージによって塗りつぶされてしまった。
- サーヴァントとして現れたアンデルセンの手足は、
- 彼を代表する童話のイメージに侵食されている。
- 洋服で隠してはいるが、その下の肌は
- 人魚の鱗やマッチのヤケド、凍傷に侵され、
- 喉は喋るごとに激痛を刻んでいる。
- 道具[item]作成:C魔術により様々な道具を作り上げる能力。
- 魔術は修得していないものの、
- 宝具を応用した詩文により多少の作成はできるようだ。
- 得意なアイテムは『100パーセント想いが伝わる恋文』
- らしいが、アンデルセン本人の恋愛歴を考えると
- とてもではないがお願いできない。
- ◆
- また、生前の彼には妙なクセがあり、
- “眠っている時、
- 死亡したと間違われて埋葬されるのではないか?”
- と恐れ、不安のあまり、つねに“死んでません”と
- 書いた手紙を身につけていたという。
- 宝具
- 貴方のための物語(メルヒェン・マイネスレーベンス)
- アンデルセンが書いた自伝、『我が生涯の物語』の生原稿。
- 『我が生涯の物語』は
- “私が書いたものはその大半が私自身の投影である”
- と述べたアンデルセンをして
- “私のあらゆる作品における至高の注釈”と述べた、
- 彼の集大成にしてその生き様の記録である。
- 言ってしまえば、アンデルセンという作家の分身―――
- 作家にとって作品はすべてその当人の分身であるわけだが――の核となる書稿である。
- この書の1ページ1ページが、アンデルセンという作家を
- 愛する人々から供給される魔力によって
- “読者の見たがっているアンデルセン”の姿を取り、
- その分身となって行動できる。
- だが、この宝具の真価はそんなものではない。
- 作家が物語を作り出すように、この本を白紙に戻し
- 一から執筆する事で、“ひとりの人間”を“ひとりの主役”に育てる事が可能となる。
- その効果……成長の度合いは原稿が進めば進むほど高まる。
- 数ページ程度ではほんの少しの偶然しか起こせないが、
- 全ページ……脱稿したあかつきには、
- その対象となった人物が思い描く通りの、
- “最高の姿”にまで成長させる。
- 見ようによっては全能に思える宝具だが、アンデルセン自身の“人は究極的に死以外では幸せになれない”といった
- 心に根深く宿る暗鬱な人生哲学と
- “物事はそう上手く行きはしない”という諦観、
- そして、彼の持つ作家としてのプライドが都合の良い展開を
- 許容できず、そう簡単には“理想の姿”には到達しない。
- 当然、“物語”の出来もアンデルセンの
- やる気によって変わってくる。
- “その人間にとって究極の姿”に至るには、
- よほど情欲を刺激する対象でなければ不可能、という事だ。
- 設定
- 人物背景Ⅰ
- 実在の人物。1805年生、1875年に肝臓癌にて没。
- 今でこそ三大作家のひとりだが、
- その半生は挫折と苦悩に満ちている。
- 靴職人の息子に生まれ、役者を志すも芽は出ず諦める。
- その後は詩人を目指すも評価はさんざんであった。
- ようやく自費出版した本がそれなりに売れ、
- その費用で国外旅行に出発。
- 旅行にて得たインスピレーションを元に、
- 出世作『即興詩人』にてようやく世に認められる事となる。
- 30歳の時であった。
- 以降、童話作家に転向するが、その在り方は明らかに
- より自由な創作が認められるから童話作家になった、と
- 自虐するようなものだった。
- それを象徴するかのように、
- 彼の童話は性に満ち、暴力と不幸、貧困、
- そして死こそを救済と見る作風に彩られている。
- 彼は童話にその姿を借りて、ひたすら貧しさへの嘆きと
- そこからの脱出には死しかないという絶望を描き続けた。
- ……その美麗な文章表現で、
- 自らの胸に渦巻く想いすべてを覆い隠しながら。
- また、高名になった後も女性との交際はなく、生涯独身。
- 一説によると想う相手はいたようだが、
- プライドの高さと自らの容姿へのコンプレックスで
- 幾度となく告白の機会を逃したとも。
- 70歳にて肝臓癌にて死去。
- 肌身離さず身につけていた、
- 初恋の相手からの手紙を握っての死だったとされる。
- ◆
- ムーンセルにて召喚されたアンデルセンはあろうことか、
- 有名になる前の少年の姿で現れた。
- アライメントは秩序・中立。
- 性格は内向的、強気、受動的。
- 根暗で厭世的な詩人で、他人に好かれる気がなく、また、
- 自分にも価値を見いだせなくなっているため、
- 人生を楽しむ、という考えが欠如している。
- アンデルセンは聖杯に何も求めていない。
- 生前、望むものは何一つ手に入らなかった事が原因だろう。
- 「人生の価値があるとしてもだ。
- そんなものはたいてい、
- 人間が夢想するものより下だろうよ」
- と、このように世の中すべてを嫌っている言動である。
- 「だがまあ、
- 世を嫌っているだけで憎んでいるワケでもなし。
- 愛するに足るものがあれば、凍りついた愛情という
- 暖炉に、もう一度マキをくべてもいいだろうさ」
- ……まったく面倒くさい男である。
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