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Nazta

Untitled

Feb 12th, 2016
263
0
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  1. [center][b]Map:[/b]
  2. [Spoiler=Open]ティリス
  3. {Summoner}。
  4. 遂にここまで来たんだね。
  5. カルナ・マスタ様の封じられた地メノン。
  6. きっとここの最奥に
  7. カルナ・マスタ様はいる。
  8. 私はカルナ・マスタ様と
  9. 直接お会いしたことは無いけれど
  10. 十神の頂点にして
  11. ルシアス様が恐れた方……。
  12. きっと凄い力なんだと思う……。
  13. でも、{Summoner}だったら
  14. きっと大丈夫だよ!
  15. 今までもたくさん困難を
  16. 乗り越えてきたんだから!
  17. それに、今回はやっと私も一緒に
  18. 戦えるしね♪
  19. もちろん、セリアやカルくん、
  20. パリスにルジくんも一緒だしね♪
  21. {Summoner}、行こう!
  22. みんなと一緒に最後の戦いに![/spoiler][Spoiler=Part 1]セリア
  23. 遅いわよ!
  24. {Summoner}!
  25. 最後の戦いの前だってのに
  26. 緊張感が足りないんじゃない?
  27.  
  28. ルジーナ
  29. ケッ、こいつはただグズなだけだ。
  30. それより緊張感なんて言葉がお前から
  31. 聞けた方が俺は驚きだよ。
  32.  
  33. パリス
  34. いちいち噛みつかないで。
  35. 話が長くなるわ……。
  36.  
  37. カル
  38. なあ、みんな、最後くらい
  39. しっかりいかないか?
  40.  
  41. ティリス
  42. …………。
  43. うん、みんないつも通り元気だね!
  44.  
  45. セリア
  46. 何よそれ。
  47. まあ、否定はしないけど……。
  48.  
  49. カル
  50. ハハッ、確かにティリスの言う通りだな。
  51. …………。
  52. {Summoner}、
  53. 俺たちの前にそびえるこの門。
  54. この先にカルナ・マスタはいるはずだ。
  55. 覚悟はいいか?
  56.  
  57. セリア
  58. カル、{Summoner}には
  59. 聞くまでも無いわよ。
  60. どうせこの門を見ても
  61. 怖くなって止めたとかは無いんでしょ?
  62.  
  63. パリス
  64. 確かにそうね。
  65. そうだったらここに来るまでに
  66. 何度も止めているわね。
  67.  
  68. ルジーナ
  69. ケッ、つまりこいつは危機意識の無い
  70. 鈍感ってことだろうが。
  71.  
  72. カル
  73. お前たち、ここまで来ても
  74. {Summoner}に厳しいな……。
  75.  
  76. ティリス
  77. うん、やっぱりみんないつも通り♪
  78. もちろん、{Summoner}もね♪
  79.  
  80. セリア
  81. ハアー、もういいわ。
  82. それよりカル、この門どうするの?
  83.  
  84. カル
  85. そうだな。
  86. モーラの話だとここに来れば
  87. なんとかなると思ったんだけど
  88. 他にも何か鍵があるのか……。
  89.  
  90. ルジーナ
  91. いや、違うな。
  92. この門は一度は開いたはずだ。
  93.  
  94. セリア
  95. なんでわかるのよ?
  96.  
  97. ルジーナ
  98. 元々こいつは長年閉じてたんだろーが。
  99. だったら土埃やら何やらで
  100. 汚れててもいいはずだ。
  101. それが無いってことは、
  102. 一度開いた時に落ちたんだろうよ。
  103.  
  104. セリア
  105. そ、そう。
  106.  
  107. パリス
  108. セリア、どうしたの?
  109.  
  110. セリア
  111. まさかちゃんと説明してくれるとは
  112. 思わなかったから。
  113. ルジーナ、アンタどこか悪い所無い?
  114. 頭と顔以外で。
  115.  
  116. ルジーナ
  117. テメーの頭以上に悪い所なんざねーよ!
  118.  
  119. カル
  120. だが、そうなると問題なのは
  121. 誰が再びこの門を閉じたかだな。
  122.  
  123. ルジーナ
  124. その説明ならこっちに向かって来る奴が
  125. 説明してくれるんじゃねーか。
  126.  
  127. パリス
  128. あれは……。
  129.  
  130. カロン
  131. 我が名は封魔導神カロン。
  132. 封印を守るだけに生きる存在。
  133.  
  134. セリア
  135. この地を支配する8体の魔神。
  136. その最後の1体がやっと現れたって訳ね。
  137.  
  138. カロン
  139. お前たちは本当にこの先に進み
  140. カルナ・マスタと戦うというのか?
  141. この地の封印が解けたのは
  142. モーラの企みのため。
  143. お前たちの意志では
  144. 無かったのだろう?
  145.  
  146. パリス
  147. …………。
  148.  
  149. カロン
  150. お前たちの当初の目的は
  151. その女神を助けることだったはず。
  152. その目的はもう果たしたのだ。
  153.  
  154. セリア
  155. …………。
  156.  
  157. カロン
  158. ならばもう自分たちの世界に戻っても
  159. 誰からも責められることはないだろう。
  160. そして私は封印を守るだけに生きる存在。
  161. お前たちの世界に害をなすつもりはない。
  162. それでもお前たちは
  163. カルナ・マスタと戦うというのだな。
  164. ルジーナよ。
  165. それがお前の答えか?
  166.  
  167. ルジーナ
  168. まあ、俺たちにも色々あってな。
  169. やっぱり面倒事は先に片付けておかねーと
  170. ゆっくり寝られねーからよ。
  171.  
  172. セリア
  173. アンタ、この魔神と知り合いなの?
  174.  
  175. ルジーナ
  176. 少しだけな。
  177.  
  178. カロン
  179. ならばこれ以上は何も言うまい。
  180. この門を越えて先に進むがいい。
  181.  
  182. カル
  183. いいのか?
  184.  
  185. カロン
  186. 閉じていたところでお前たちは
  187. 何とかしてしまうのだろう?
  188. ならば無駄なことはしない。
  189. それに、お前たちを止める役は
  190. 私より適任がいるようだからな。
  191.  
  192. パリス
  193. 行ってしまったわね……。
  194.  
  195. ルジーナ
  196. チッ、どうにもきもちわりーな。
  197. あの野郎、何を企んでやがる……。
  198. 俺たちを止める役か。
  199. おそらくアイツだろうが……。
  200.  
  201. ティリス
  202. ルジくん、考え過ぎは良くないよ!
  203. 大丈夫、私たちは
  204. {Summoner}と一緒なんだから♪
  205.  
  206. セリア
  207. 全然、大丈夫な気がしないわ……。
  208.  
  209. ティリス
  210. え~、セリアも本当は
  211. 信じてるクセに~!
  212.  
  213. セリア
  214. そ、そんなわけないでしょ!
  215.  
  216. カル
  217. ハハッ、まあなんだ。
  218. 色々ありそうだけど、折角門が開いたんだ。
  219. とりあえず前に進もうぜ。
  220. ルジーナ、
  221. この先のことは確かに俺も心配だ。
  222. だけど、それは行ってみないと
  223. わからないだろ?
  224.  
  225. ルジーナ
  226. チッ、まあいい。
  227. だが、面倒事はお前たちで
  228. なんとかしろよ!
  229. 俺は知らねーからな!
  230.  
  231. セリア
  232. 本当に短気よねー。
  233.  
  234. ルジーナ
  235. お前にだけは言われたくねー!
  236.  
  237. ティリス
  238. よ~し、それじゃあ出発しよ~!
  239. {Summoner}、
  240. 最後の戦い、がんばろうね![/spoiler][Spoiler=Part 2 1/3]ルジーナ
  241. チッ、メンドクセー……。
  242.  
  243. ティリス
  244. どうしたの、ルジくん?
  245. ご機嫌ナナメみたいだけど?
  246.  
  247. セリア
  248. ティリス、ダメよ。
  249. 構ってほしいだけなんだから。
  250.  
  251. ティリス
  252. え、もしかしてルジくんって
  253. 結構、寂しがり屋?
  254.  
  255. セリア
  256. 結構どころじゃないわよ。
  257. ああ見えて、夜1人で寝ると
  258. 寂しくて泣くらしいわよ。
  259.  
  260. パリス
  261. セリア…あなた……。
  262.  
  263. ティリス
  264. ルジくん、そんなに大変なんだ……。
  265. そうだ!
  266. だったらセリアが一緒に寝てあげれば!
  267.  
  268. セリア
  269. どうして私が!
  270.  
  271. ルジーナ
  272. ウルセーぞ!
  273. お前ら!
  274. お前らはこの状況が
  275. 気にならねーのか!
  276.  
  277. ティリス
  278. この状況?
  279. セリア、わかる?
  280.  
  281. セリア
  282. 私に聞かないでよ!
  283. {Summoner}!
  284. アンタ、笑ってないで説明しなさいよ!
  285.  
  286. ルジーナ
  287. ハアー、どいつもこいつも……。
  288. 面倒だ。
  289. カル、説明しておけ!
  290.  
  291. カル
  292. お、おいルジーナ!
  293. セリア、ティリス、ちょっと
  294. ふざけ過ぎだぞ。
  295. ルジーナは真面目に考えてたんだからな。
  296.  
  297. セリア
  298. 悪かったわよ。
  299. ティリスが本気にするから
  300. ちょっと調子に乗っちゃって……。
  301.  
  302. ティリス
  303. あ~、セリア、ズルい!
  304. 私のせいにしないでよ~!
  305.  
  306. カル
  307. ……わかったよ。
  308. 久々に会えて嬉しいのはわかるけど
  309. 2人とももう少し落ち着いてくれ。
  310.  
  311. ティリス・セリア
  312. は~い。
  313. はーい。
  314.  
  315. パリス
  316. クスッ。
  317.  
  318. カル
  319. パリス!
  320.  
  321. パリス
  322. ご、ごめんなさい。
  323. つい……。
  324.  
  325. カル
  326. まあいいや。
  327. えっと、ルジーナが言っていた
  328. 今の状況ってヤツだけど
  329. “正直、何も起きなくて不安”
  330. って状況だ。
  331.  
  332. ティリス
  333. 何も起きてないなら
  334. それはそれでいいと思うんだけど?
  335.  
  336. カル
  337. いや、本来ならもう起きていなきゃいけない
  338. ことがまったく起きない。
  339. これは逆に予想外の何かがこれから起きる
  340. もしくはもう起きてる危険がある
  341. ってことだ。
  342.  
  343. セリア
  344. その本来起きることって何なの?
  345.  
  346. カル
  347. そうだな……。
  348. まずは召喚老の爺さんたちかな。
  349. ティリスが自由になれるよう
  350. 動いてたのはわかった。
  351. でも、この最終決戦であの2人が
  352. 出てこないのはおかしい。
  353.  
  354. セリア
  355. それはそうね……。
  356. 特にオーン様とか絶対に出てくるわよね。
  357.  
  358. カル
  359. で、次がベルツだ。
  360. あれだけ俺たちをかき回しておきながら
  361. 彼の目的はまだわからない。
  362. この重要な局面で動きが見えないってのは
  363. 不気味でしょうがないよ。
  364.  
  365. パリス
  366. 確かにそうね。
  367. ルジーナに聞いても
  368. 何も教えてくれなそうだし……。
  369.  
  370. カル
  371. ルジーナは何も聞いてないし
  372. 聞くつもりも無いんだろう。
  373. ベルツの言葉は人を惑わす。
  374. ルジーナはそれを知っているから、ベルツか
  375. らの情報を最小限にしているんだと思う。
  376.  
  377. セリア
  378. その気持ちはわからないでもないわ……。
  379.  
  380. カル
  381. それから次はリオメルグさんだ。
  382.  
  383. セリア
  384. そういえば、そんなのもいたわね。
  385.  
  386. カル
  387. …………。
  388. あー、えっとああ見えてというか
  389. あの人の実力も確かなものだ。
  390. 今、何を考えてどう動いているのかは
  391. 把握していないと
  392. 最悪の状況で動かれた場合は
  393. 危険だからな。
  394.  
  395. セリア
  396. カルのお父さんはもう助かったんだし、
  397. 話してなんとかならないの?
  398.  
  399. カル
  400. 俺も話したいんだけど次に会った時に
  401. ゆっくり話す時間があるかどうか……。
  402.  
  403. セリア
  404. そうね……。
  405.  
  406. カル
  407. で、最後がアークだ。
  408.  
  409. ティリス
  410. アーク……。
  411. みんなはもう会ったの?
  412.  
  413. カル
  414. いや、まだだ。
  415. ルジーナは何か知っているみたいだけど
  416. 教えてくれそうもないってことは
  417. アイツはこの後のことが
  418. 予想できてるんだろうな。
  419.  
  420. セリア
  421. 説明してくれればいいのに。
  422. 相変わらずケチよね。
  423.  
  424. カル
  425. ま、まあそんな訳でこれだけ問題があるのに
  426. その動きがほとんど見られない。
  427. 最悪、すべての問題が一気に動き出す。
  428. 今がどれだけ不安定な状況か
  429. わかってもらえたか?
  430.  
  431. セリア
  432. うーん、確かにそうなんだけど、
  433. それってカルナ・マスタと戦うことに
  434. 比べたら小さなことじゃない?
  435. あたしたちはこれから大神皇と戦うのよ!
  436. 細かいこと気にしてないで
  437. 戦いに集中しないと!
  438.  
  439. ティリス
  440. セリア、カッコイイ~♪
  441.  
  442. カル
  443. いや、それはそうなんだが……。
  444. それにセリアたちが集中しているようには
  445. 俺は見えないし……。
  446.  
  447. パリス
  448. カル、それ以上は言うだけ無駄よ。
  449. 今は私たちが注意しましょう。
  450.  
  451. カル
  452. ああ、そうだな……。
  453. {Summoner}、
  454. お前だけでも俺の話を聞いてくれよ……。[/spoiler][Spoiler=Part 2 2/3]ルジーナ
  455. よう、随分といいツラになったじゃねーか。
  456. 「俺は不幸な中でも必死に生きてる」って
  457. 悲壮感が伝わってくるぜ。
  458. お前、まさか自分が主人公として
  459. 世界が回ってると思ってねーか?
  460. 残念だったな。
  461. お前はただの脇役なんだよ!
  462. なあ、アーク!
  463.  
  464. アーク
  465. 俺は……。
  466.  
  467. カル
  468. おーい!
  469. ルジーナーーー!
  470.  
  471. ルジーナ
  472. チッ、やっと追いついてきたか。
  473.  
  474. アーク
  475. …………。
  476.  
  477. セリア
  478. ……アンタは。
  479.  
  480. カル
  481. やっと会えたな。
  482. 元気そうで何よりだ。
  483. アークさん。
  484.  
  485. ティリス
  486. アーク、無事で良かったね!
  487. 心配したんだよ!
  488.  
  489. アーク
  490. …………。
  491.  
  492. ルジーナ
  493. で、このタイミングで現れるってことは
  494. やっぱりお前は俺たち“人間”の敵に
  495. なったってことでいいんだな?
  496.  
  497. ティリス
  498. え、どういうこと!?
  499.  
  500. アーク
  501. 俺はイリア…神託の巫女の意志を守りたい。
  502. ただ、それだけだ。
  503.  
  504. セリア
  505. それじゃあ、わからないわよ!
  506. アンタは何がしたいの?
  507. この地に封じられてた
  508. 神託の巫女はどうしたのよ!
  509.  
  510. アーク
  511. …………。
  512.  
  513. パリス
  514. 人の事情を深く詮索するつもりはないわ。
  515. でも、もしあなたが私たちの邪魔をするなら
  516. その理由を聞く権利は私たちにはあるわ。
  517. ルシアスとともに戦った私たちには。
  518.  
  519. アーク
  520. …………。
  521.  
  522. カル
  523. アークさんのことだそれなりに悩んだ結果
  524. なんだろうからどうこう言うつもりはない。
  525. だが、理由だけでも教えてくれないか?
  526.  
  527. セリア
  528. カル、甘いわよ!
  529. 私は理由がどうであろうと
  530. どうこう言うわよ!
  531. {Summoner}、
  532. アンタもそうでしょ!?
  533.  
  534. アーク
  535. ……{Summoner}。
  536. どうやら無事に自分で道を選び
  537. 進めているようだな。
  538. お前のことは心配していたんだ。
  539. 俺と同じ様にならなくて良かったよ。
  540.  
  541. ティリス
  542. アーク……。
  543.  
  544. アーク
  545. そうだな。
  546. お前たちに話すのは当然だな。
  547. 俺がここにいる理由を……。
  548.  
  549. カル
  550. …………。
  551.  
  552. アーク
  553. 少しだけ長くなるが聞いてくれ……。
  554. この地に降りた俺は
  555. すぐにイリアの力を感じた。
  556. だが、それは1カ所ではなく
  557. 様々な場所からだった。
  558. 不思議に思った俺は1カ所ずつ
  559. それらの場所の調査に向かったんだ。
  560.  
  561. パリス
  562. …………。
  563.  
  564. アーク
  565. それらを調査する中で俺は理解した。
  566. なぜルシアスがカルナ・マスタを封じる際に
  567. イリアも同時に封じられたのかを。
  568.  
  569. セリア
  570. それは、たまたまだったんじゃなかったの?
  571.  
  572. アーク
  573. ああ、俺もそう思っていた。
  574. あのカルナ・マスタとの激戦の中で、他に
  575. 気をかける余裕など無いと思ったからな。
  576. そして、ルシアスはたまたま封じられた
  577. イリアを利用して俺を従わせた。
  578. この地に来るまでは俺も
  579. ずっとそう思っていたんだ……。
  580.  
  581. カル
  582. だが、それは違ったんだな?
  583.  
  584. アーク
  585. イリアをカルナ・マスタと一緒に封じる
  586. ことは、最初から奴の計画通りだったんだ!
  587.  
  588. パリス
  589. どういうことなの?
  590.  
  591. アーク
  592. 俺は調査を進める中で、カロンという
  593. 封印を守る魔神に出会った。
  594. その魔神から聞いた話では、
  595. 魔神たちがカルナ・マスタを封じる際に
  596. 影でイリアの助力があったらしい。
  597. 封印はその後の俺とルシアスの戦いの際に、
  598. この地に墜ちることとなった
  599. メロードが取り仕切ったらしいが
  600. 奴がイリアの力を利用したのだろう。
  601.  
  602. セリア
  603. えっと、イリアさんは
  604. そんなに凄い力を持っていたの?
  605.  
  606. アーク
  607. いや、イリアに戦う力はほとんどない。
  608. 彼女が持っているのは
  609. 神託の巫女としての力。
  610. 神を封じる力だ。
  611.  
  612. パリス
  613. 神を封じる力ですって!?
  614.  
  615. アーク
  616. ああ、当時の俺たちはそれを知らなかった。
  617. 実際、イリア自身もその力を
  618. 知らなかっただろう。
  619. だが、ルシアスの神徒だったメロードは
  620. それを知っていた。
  621. そして、ルシアスの目的にも
  622. 気が付いたのだろう。
  623. カルナ・マスタと同時に
  624. 自身とイリアが封じられた理由を。
  625.  
  626. カル
  627. つまり、ルシアスは
  628. 神託の巫女の力を利用して
  629. 真の意味でこの地にカルナ・マスタを
  630. 封じるつもりだったってことか。
  631.  
  632. アーク
  633. そうだ。
  634. メロードはそれに気が付き、
  635. 魔神たちの力とイリアの力を合わせ
  636. カルナ・マスタを封じようとしたんだ。
  637. また奴自身は、カルナ・マスタを封じた後
  638. 自分だけは戻れると思っていたようだがな。
  639.  
  640. ルジーナ
  641. ケッ、まんまとダマされてあのザマか。
  642. 情けねー神徒様だなー。
  643. 女神さんも危ないところだったな!
  644.  
  645. ティリス
  646. わ、私は大丈夫だよ!
  647. {Summoner}が一緒だから♪
  648.  
  649. セリア
  650. でも、どうしてイリアさんは
  651. 黙って魔神たちに従ったの?
  652.  
  653. アーク
  654. わからない……。
  655. でも、彼女のことだ。
  656. カルナ・マスタがこの地で暴れるのを見て
  657. 自ら協力したのだろう。
  658.  
  659. セリア
  660. 優しい人なんだ……。
  661.  
  662. カル
  663. で、アークさん。
  664. アンタはそれを知って何を決めたんだ?
  665.  
  666. アーク
  667. 最初にも話したが
  668. 俺は彼女の意志を守りたい。
  669. カルナ・マスタを封じ続けるという
  670. 彼女の意志をな。
  671.  
  672. パリス
  673. それはつまり、カルナ・マスタを倒そうと
  674. している私たちの敵になるということ?
  675.  
  676. アーク
  677. 敵になるつもりは無い。
  678. ただ、お前たちを止めたいだけだ。
  679.  
  680. セリア
  681. 同じことでしょ!
  682. ……まあいいわ。
  683. で、その様子だとイリアさんには
  684. まだ会えてないんでしょう?
  685. 彼女がどこにいるかはわかったの?
  686. 彼女と話してもいないのに「彼女の意志を
  687. 守る」なんて勝手な思い込みじゃないの?
  688.  
  689. アーク
  690. 俺の勝手な思い込みか……。
  691. 確かにそうかもしれないな。
  692. お前が言うように、俺はまだイリアに
  693. 会えていない。
  694. 彼女はカルナ・マスタの真の力とともに
  695. 封印されているらしく
  696. その場所に行くためには
  697. この地にいるカルナ・マスタだけでなく、
  698. 真の力を封印している影をすべて
  699. 倒す必要があるようだ。
  700.  
  701. セリア
  702. だったら、全部倒せばいいじゃない!
  703.  
  704. カル
  705. セリアの言う通りだ。
  706. アークさん、俺たちと協力して
  707. カルナ・マスタを倒さないか?
  708. そうすればイリアさんも自由に
  709. なるんじゃないか?
  710.  
  711. アーク
  712. 俺もそれは考えた……。
  713. だが、お前たちはわかっていない。
  714. カルナ・マスタの力を……。
  715. 俺はかつて仲間たちとともに
  716. カルナ・マスタと戦った。
  717. だが、仲間たちを犠牲にして
  718. ようやく隙を作れただけだ。
  719. まともに戦って奴に勝つことは
  720. お前たちでも不可能だ。
  721.  
  722. ルジーナ
  723. 決めつけてくれるじゃねーか。
  724. お前の昔の仲間とやらが
  725. 弱かっただけじゃねーのか?
  726.  
  727. アーク
  728. ……!?
  729. 俺の仲間は強かったさ。
  730. 弱かったのは俺だけだ……。
  731. 俺はかつてルシアスの力を借りて
  732. カルナ・マスタを封じた!
  733. そのために、俺は仲間とイリアを
  734. 犠牲にした!
  735. そして、イリアは今も奴を
  736. 封じ続けている!
  737. 俺は仲間やイリアの思いを
  738. 無駄にしたくない!
  739. カルナ・マスタはこの地の封印が
  740. 解けたばかりでまだ半覚醒の状態だ。
  741. ここでお前たちが出て行けば、
  742. この地をカロンが再び封じるだろう。
  743. だが、逆にお前たちがカルナ・マスタと
  744. 戦うことで完全に覚醒する可能性もある。
  745. その時、俺の仲間たちの死は無駄になる。
  746. そして、今も奴の真の力を封じている
  747. イリアも危険にさらされるだろう。
  748. だから俺は
  749. お前たちの前に立つことを決めた。
  750. お前たちをここで止めるために。
  751.  
  752. ティリス
  753. アーク……。
  754.  
  755. アーク
  756. 俺はお前たちと戦いたいわけじゃない。
  757. 無駄な戦いはできれば避けたい。
  758. だから…{Summoner}、
  759. 俺の相手はお前だけだ。
  760.  
  761. パリス
  762. どういうこと!?
  763.  
  764. アーク
  765. お前が敗れれば他の者もわかるだろう。
  766. 自分たちがどれだけ無謀なことを
  767. しようとしているのか。
  768.  
  769. ルジーナ
  770. 面倒くさくなくていいじゃねーか。
  771. {Summoner}、しっかり戦ってこいよ。
  772. まあ、お前が負けても俺は
  773. 気にしねーがな。
  774.  
  775. セリア
  776. 私も任せるわ。
  777. やっぱりアークとは
  778. 本気で戦える気がしないから……。
  779.  
  780. パリス
  781. ……{Summoner}。
  782. 大変だと思うけどがんばってね。
  783. ごめんなさい。あなたの苦労はわかるけど
  784. これくらいしか言えなくて……。
  785.  
  786. カル
  787. {Summoner}、任せたぜ。
  788. アークさんに教えてやってくれ。
  789. 俺たちの可能性をな。
  790.  
  791. ティリス
  792. {Summoner}なら大丈夫だよ!
  793. アークを助けてあげて。
  794. やっぱり今のアークは苦しそうだもの。
  795.  
  796. アーク
  797. {Summoner}、
  798. お前とは違った形で戦ってみたかったよ。
  799. 遠慮せずかかってこい。
  800. 神託の騎士と呼ばれた力、
  801. お前に見せてやる![/spoiler][Spoiler=Part 2 3/3]アーク
  802. さすがだな。
  803. ルシアスを倒しただけはある。
  804. だが、この程度ではカルナ・マスタと
  805. まともに戦うことはできない!
  806. お前たちでは奴に勝てないことは
  807. すぐにわかるだろう。
  808. それでも、まだ前に進もうと言うのなら
  809. その時は俺も本気で戦おう……。
  810.  
  811. ティリス
  812. {Summoner}、大丈夫?
  813.  
  814. セリア
  815. 好き勝手言ってどこか行っちゃったわね。
  816. 聞くまでもないと思うけど、
  817. この先に行くの止める?
  818.  
  819. カル
  820. ハハッ、確かに聞くまでもないな。
  821.  
  822. パリス
  823. そうね。
  824.  
  825. ルジーナ
  826. ケッ、だがアイツの言ったことについて
  827. 考える必要はある。
  828. まだモーラの言ってた“もう1つの力”
  829. ってのもわかってねーしな。
  830. てっきりここに神託の巫女がいると
  831. 思ってたんだが……。
  832.  
  833. ???
  834. 神託の巫女はここにはおらんが
  835. その力は眠っておる。
  836.  
  837. カル
  838. グラデンス爺さん!
  839. それにオーンさんも!
  840.  
  841. セリア
  842. お2人ともその姿、どうしたんですか!?
  843. 傷だらけじゃないですか!
  844.  
  845. グラデンス
  846. フォッフォッフォッ、
  847. カルナ・マスタに少しやられてしまっての。
  848.  
  849. カル
  850. ハァ!?
  851. 爺さん何を言ってるんだ!?
  852.  
  853. グラデンス
  854. いや、お主たちがこの地の封印を
  855. 解いてくれたから
  856. 最後くらいワシらだけで
  857. 決着をつけてやろうと思ったのじゃが
  858. 歳は取りたくないものだな。
  859. なあ、オーンよ。
  860.  
  861. オーン
  862. フン、それはお前だけだろう。
  863.  
  864. グラデンス
  865. お主という男は……。
  866. まあ、よい。
  867. それより、ティリスちゃん、
  868. 無事に合流できて何よりじゃ。
  869.  
  870. ティリス
  871. うん!
  872. グラ爺もオーンちゃんも
  873. 助けてくれてありがとね♪
  874.  
  875. オーン
  876. 礼を言われるようなことはしていない。
  877. あれは俺たちの世界を守るための
  878. 行動でもあるのだからな。
  879.  
  880. セリア
  881. 呼び方については触れないんだ……。
  882.  
  883. パリス
  884. セリア、本当に止めて……。
  885.  
  886. ルジーナ
  887. で、お優しい召喚老様たちは
  888. 俺たちの代わりに
  889. カルナ・マスタと戦ってくれたが
  890. 見事に返り討ちにされたってわけか?
  891.  
  892. グラデンス
  893. その通りじゃ。
  894. さすがは大神皇。
  895. ワシら2人でも何もすることが
  896. できんかった。
  897.  
  898. パリス
  899. それほどの強さなのですか……。
  900.  
  901. オーン
  902. あれはお前がだらしなかっただけだ。
  903. 俺だけだったらもう少しは
  904. 戦うことができた。
  905.  
  906. グラデンス
  907. オーンよ。
  908. その話はまた今度ゆっくり聞こう。
  909. じゃが今は止めてくれ。
  910. 話が進まなくなる……。
  911.  
  912. パリス
  913. グラデンス様も苦労されてるんですね……。
  914.  
  915. カル
  916. で、爺さんたちは俺たちを止めに来たのか?
  917. そうじゃないんだろう?
  918.  
  919. グラデンス
  920. フォッフォッフォッ、
  921. よくわかっておるじゃないか。
  922. その通りじゃ。
  923. ワシらはお主たちを止めに来たのではない。
  924. じゃが、このままでは
  925. カルナ・マスタを倒せないのも確かじゃ。
  926.  
  927. セリア
  928. じゃあ、どうしろと言うのですか!?
  929.  
  930. グラデンス
  931. 神託の巫女の力を借りろ。
  932.  
  933. セリア
  934. え?
  935. でも、彼女はここにいないですよ。
  936. 私たちはさっきアークに会ったんです。
  937. でも、彼は彼女がどこにいるか
  938. わからないと言ってました。
  939. この地に神託の巫女がいるなら、
  940. 彼にはわかるはずです!
  941.  
  942. オーン
  943. 単純な思考だな。
  944. もう少し頭を使え。
  945.  
  946. セリア
  947. オ、オーン様に……。
  948.  
  949. ティリス
  950. オーンちゃん、セリアの担当は
  951. 頭を使うことじゃないからいいんだよ!
  952.  
  953. セリア
  954. ティリス、アンタにも言われたくないわ!
  955.  
  956. グラデンス
  957. ワシたちはカルナ・マスタと戦った。
  958. だが、アークはそのことに
  959. 気が付いていたか?
  960.  
  961. カル
  962. いや……。
  963. なるほど、そういうことか。
  964.  
  965. セリア
  966. どういうことよ?
  967.  
  968. カル
  969. カルナ・マスタのメノンでの封印は
  970. まだ解けきってないってことだ。
  971.  
  972. セリア
  973. え?
  974.  
  975. カル
  976. カルナ・マスタの周囲には
  977. もう1段階封印がされていたんだろう?
  978. それが結界となって外部に力の動きが
  979. 伝わらない。
  980. だからアークは爺さんたちの戦いに
  981. 気が付いてなかった。
  982. まあ実際、カルナ・マスタと爺さんたちが
  983. 戦ったなら俺たちも気が付くだろうしな。
  984.  
  985. パリス
  986. そういうことね。
  987. つまり、神託の巫女もカルナ・マスタの
  988. 結界の中にいる。
  989. だからアークは彼女の存在に気が付けない。
  990.  
  991. セリア
  992. だったらそれをアークに伝えれば!
  993.  
  994. ルジーナ
  995. そんな単純な話じゃねーんだろ?
  996.  
  997. グラデンス
  998. そうじゃな……。
  999. 残念ながらその結界の中に
  1000. 神託の巫女はいなかった。
  1001.  
  1002. セリア
  1003. それじゃあ、力は借りられないじゃ
  1004. ないですか!
  1005.  
  1006. グラデンス
  1007. そう焦るな。
  1008. ワシとオーンは確かに感じたんじゃ。
  1009. カルナ・マスタとの戦いの中で、
  1010. 奴が別の大きな力に邪魔をされるのをの。
  1011.  
  1012. カル
  1013. それが神託の巫女の力ってことか……。
  1014.  
  1015. グラデンス
  1016. その力がなければ、
  1017. ワシらは生きてはいなかったじゃろう。
  1018.  
  1019. オーン
  1020. フン、それはお前だけ……。
  1021.  
  1022. ティリス
  1023. オーンちゃん、少し静かにしてて!
  1024.  
  1025. オーン
  1026. …………。
  1027.  
  1028. カル
  1029. あー、オホン。
  1030. で、爺さんたちは
  1031. アークを探していたんだな。
  1032.  
  1033. グラデンス
  1034. あ、ああ、そうじゃ。
  1035. こちらにアークの力を感じて
  1036. 向かってきたのじゃが
  1037. 一歩遅かったようじゃな。
  1038. な、なあ、オーンよ。
  1039.  
  1040. オーン
  1041. …………。
  1042.  
  1043. カル
  1044. 大丈夫。
  1045. アークには先に進めば自然に会えるさ。
  1046. アイツは前に進もうとする俺たちを
  1047. 止めるはずだからな。
  1048.  
  1049. グラデンス
  1050. そうじゃな。
  1051. お主たちはそのまま進み
  1052. アークと会ったら今の話をしてくれ。
  1053. きっとアークなら神託の巫女の力について
  1054. 何かわかるはずじゃ。
  1055.  
  1056. カル
  1057. で、爺さんたちはどうするんだ?
  1058.  
  1059. グラデンス
  1060. ワシらはワシらでアークを探してみる。
  1061. 他の連中の動きも気になるしの。
  1062.  
  1063. カル
  1064. そうか。
  1065. 爺さんたちも気を付けてな。
  1066.  
  1067. グラデンス
  1068. お主たちもの。
  1069. {Summoner}よ。
  1070. カルを頼むぞ。
  1071.  
  1072. ティリス
  1073. グラ爺、オーンちゃん、
  1074. 2人も気を付けてね!
  1075.  
  1076. グラデンス
  1077. フォッフォッフォッ、
  1078. ティリスちゃんありがとの。
  1079. ホレ、オーン、そろそろ行くぞ!
  1080.  
  1081. オーン
  1082. …………。
  1083.  
  1084. セリア
  1085. なんか、魔神たちと戦う時より
  1086. 緊張したわ……。
  1087. ティリス!
  1088. アンタ、オーン様に変なこと言わないでよ!
  1089. オーン様、怒ってたじゃない!
  1090.  
  1091. ティリス
  1092. え~、オーンちゃん怒ってたの?
  1093.  
  1094. パリス
  1095. 私にも怒っているように見えました……。
  1096.  
  1097. ティリス
  1098. う~ん、オーンちゃんはそんな簡単に
  1099. 怒ったりしないと思うけどな~。
  1100. 元気過ぎるところはあるけど、
  1101. 素直な良い子だよ!
  1102.  
  1103. パリス
  1104. 元気過ぎる……。
  1105.  
  1106. セリア
  1107. 素直な良い子……。
  1108.  
  1109. カル
  1110. ハハッ、ティリスからみたら
  1111. オーンさんもそう見えるんだな。
  1112. よし、それじゃあ俺たちも
  1113. そろそろ先に進もうぜ。
  1114. カルナ・マスタと戦うにあたっての
  1115. 好材料がみつかったのは朗報だよ。
  1116.  
  1117. ルジーナ
  1118. ああ、今回の動きは俺の予想の中では
  1119. マシな方だ。
  1120. これで何もわからねー状況より
  1121. 少しはまともに動けそうだぜ。
  1122. {Summoner}、お前、次は
  1123. しっかりとアークをぶっ倒すんだぞ!
  1124. 頑固者のアイツのことだ。
  1125. こんな不確かな情報だけじゃ
  1126. 簡単に心変わりはしないだろーからな![/spoiler][Spoiler=Part 3]ベルツ
  1127. 皆さん、お待ちしておりましたよ。
  1128.  
  1129. セリア
  1130. やっと出たわね!
  1131.  
  1132. ベルツ
  1133. おや、セリアさん、
  1134. 私を待っていてくださったのですか?
  1135. ようやく私の愛を受け入れて
  1136. くれる決心がついたのですね!
  1137.  
  1138. セリア
  1139. 違うわよ!
  1140. 面倒なことを早く済ませたかっただけ!
  1141.  
  1142. ベルツ
  1143. ハッハッハッ、そんなに照れなくても
  1144. いいですよ。
  1145. もちろん、照れたあなたも
  1146. 素敵ですがね。
  1147.  
  1148. セリア
  1149. 本当にうっとうしいわ……。
  1150.  
  1151. カル
  1152. で、ベルツさん、今回は何の用だい?
  1153.  
  1154. ベルツ
  1155. カル召喚師!
  1156. やっと口を開いてくれたんですね!
  1157. いやー、この前にお会いした時、
  1158. 何も仰ってくれなかったので
  1159. 私、嫌われたんじゃないかと
  1160. 心配してたんですよ!
  1161.  
  1162. ルジーナ
  1163. メンドクセーんだよ!
  1164. いいからとっとと用件を言え!
  1165.  
  1166. ベルツ
  1167. ハッハッハッ、ルジーナどうしたんだい?
  1168. 俺が他の人と仲良くしていることに
  1169. 嫉妬でもしたのか?
  1170. そう焦らないでくれよ。
  1171. もっと話したい相手がいるんだからさ。
  1172. パリスさんや、{Summoner}召喚師、
  1173. それに……初めてお目にかかる
  1174. 素敵なお嬢さんともね。
  1175.  
  1176. セリア
  1177. ティリスに変なこと言ったら
  1178. 即座に叩き斬るわよ。
  1179.  
  1180. ベルツ
  1181. ハッハッハッ、大丈夫ですよ。
  1182. セリアさん。
  1183. 私は見た目通り、一途な男なんです。
  1184.  
  1185. セリア
  1186. またどうでもいい情報が増えたわ……。
  1187.  
  1188. ベルツ
  1189. さて、皆さん。
  1190. それにしてもいよいよ決戦の時ですね。
  1191. 皆さんの力なら相手が大神皇といえど
  1192. 心配無いのかもしれませんが
  1193. 一応、注意だけさせてください。
  1194. 大神皇カルナ・マスタ、
  1195. その力は人の想像を超えています。
  1196.  
  1197. セリア
  1198. そんなことはわかってるわよ。
  1199. 召喚老2人がかりでも
  1200. 何もできなかったんだから。
  1201.  
  1202. ベルツ
  1203. ほー、それは初耳ですね。
  1204. ですが、召喚老といえども
  1205. 所詮、人間が2人。
  1206. カルナ・マスタの破壊力は
  1207. さらに絶大なのです!
  1208. 例えば、この樹林のそこらに見える遺跡。
  1209. これは以前にここで暮らしていた
  1210. 獣人たち部族のものです。
  1211. 獣人たちは強い力を持っていたのですが
  1212. この地に降りたカルナ・マスタにより
  1213. 一瞬で絶滅させられてしまったのです。
  1214.  
  1215. パリス
  1216. …………。
  1217.  
  1218. ベルツ
  1219. 1つの種を滅ぼすほどの力。
  1220. あなたたちはそんな存在に
  1221. 挑もうとしているのですよ?
  1222.  
  1223. ルジーナ
  1224. ベルツ、お前、何を企んでやがる?
  1225.  
  1226. ベルツ
  1227. 心外だなー。
  1228. 俺は純粋にお前たちのことを
  1229. 心配してるんだよ。
  1230.  
  1231. ルジーナ
  1232. お前の目的はカルナ・マスタにこいつらを
  1233. 関わらせないことじゃなかったのか?
  1234.  
  1235. ベルツ
  1236. ああ、その通りだ。
  1237. だから、こうやってカルナ・マスタの
  1238. 危険性を必死に伝えてるんだろう?
  1239.  
  1240. ルジーナ
  1241. …………。
  1242.  
  1243. ベルツ
  1244. それにルジーナ、
  1245. お前は考えたことはないのか?
  1246. カルナ・マスタを倒した後に
  1247. 召喚術がどうなるのかを。
  1248.  
  1249. セリア
  1250. どういうこと?
  1251.  
  1252. ベルツ
  1253. セリアさん、興味を持ってもらえましたか?
  1254.  
  1255. セリア
  1256. いいから早く話しなさいよ!
  1257.  
  1258. ベルツ
  1259. ハハハッ、セリアさんに急かされるなんて
  1260. 今日はなんて素敵な日なんだ。
  1261. やはり日頃から色々と
  1262. 考えておくものですね。
  1263.  
  1264. セリア
  1265. 早く!
  1266.  
  1267. ベルツ
  1268. 失礼しました。
  1269. あまりにも嬉しかったもので♪
  1270. では、セリアさんお聞きします。
  1271. 召喚術は誰が作ったものでしょうか?
  1272.  
  1273. セリア
  1274. それは…カルナ・マスタ……。
  1275.  
  1276. ベルツ
  1277. そうです。
  1278. カルナ・マスタが神を倒すための呪い。
  1279. それが召喚術です。
  1280. では、カルナ・マスタが滅んだ時、
  1281. 召喚術はどうなってしまうのでしょう?
  1282.  
  1283. パリス
  1284. 召喚術が消えてしまうというの?
  1285.  
  1286. ベルツ
  1287. その答えは皆さんで考えてください。
  1288. 私は私の立場もあり、
  1289. お伝えできないこともあるので。
  1290. あー、どうして皆さんはアクラス召喚院
  1291. なんかに所属しているのでしょう!
  1292. 私と同じエルガイア連邦にいれば
  1293. もっと語り合えたのに!
  1294.  
  1295. セリア
  1296. そういうのはいいわ。
  1297. ねえ、ティリス、
  1298. あなたは何かわかる?
  1299.  
  1300. ティリス
  1301. う~ん、私も詳しいことは……。
  1302.  
  1303. セリア
  1304. そっか……。
  1305.  
  1306. ベルツ
  1307. 召喚老のお2人はどうなのでしょうね?
  1308. 召喚術が消えればアクラス召喚院の
  1309. 存在意義は薄れる。
  1310. 彼らは召喚院を滅ぼしたいのでしょうか?
  1311. うーん、難しい問題ですね。
  1312.  
  1313. カル
  1314. あの2人は……。
  1315.  
  1316. ベルツ
  1317. そうそう!
  1318. 話し込んでいてすっかり忘れてました!
  1319. 今日は皆さんに紹介したい人がいたので
  1320. ここに来たのでした!
  1321.  
  1322. セリア
  1323. 紹介したい人?
  1324. また面倒な人じゃないでしょうね?
  1325.  
  1326. ベルツ
  1327. いえいえ、皆さんとも顔見知りの方ですよ。
  1328. お待たせしてしまい申し訳ありません。
  1329. こちらに出てきてください!
  1330.  
  1331. カル
  1332. リオメルグさん!
  1333. どうしてあなたが!?
  1334.  
  1335. リオメルグ
  1336. カル様、モーラの呪縛から
  1337. バリュオン様をお救いいただき
  1338. ありがとうございました。
  1339. 私はあなたとその者たちの力を
  1340. 甘く見ていました。
  1341.  
  1342. カル
  1343. ああ、{Summoner}たちが
  1344. 力を貸してくれたからな。
  1345. リオメルグさん、教えてくれ。
  1346. どうしてあなたがベルツさんと
  1347. 一緒にいるんだ?
  1348.  
  1349. リオメルグ
  1350. それは……。
  1351.  
  1352. ベルツ
  1353. それは私から説明させていただきます!
  1354. リオメルグさんは私たちエルガイア連邦に
  1355. 協力してくださることになったのです!
  1356.  
  1357. カル
  1358. !?
  1359.  
  1360. パリス
  1361. どういうこと!?
  1362.  
  1363. ベルツ
  1364. 私たちの思想に共感して助力を約束して
  1365. くださったのです。
  1366. 種族の垣根を越えた協力関係。
  1367. 素晴らしいと思いませんか?
  1368.  
  1369. カル
  1370. リオメルグさん、どういうことだ!?
  1371.  
  1372. リオメルグ
  1373. …………。
  1374.  
  1375. ベルツ
  1376. カル召喚師、そう焦らないでください。
  1377. 今日は皆さんへの義理立てとして
  1378. リオメルグさんを紹介しただけ。
  1379. 詳しい話は連邦の極秘事項に関わるため
  1380. 申し訳ないのですがお伝えできません。
  1381. では、名残惜しいですが
  1382. 今日はこの辺で退散させていただきます。
  1383. 皆さん、カルナ・マスタと戦うのは
  1384. 本当に止めた方がいいですよ。
  1385. 私の忠告、お聞きいただけること
  1386. 私は祈っています。
  1387.  
  1388. リオメルグ
  1389. …………。
  1390.  
  1391. セリア
  1392. 一体、どういうこと?
  1393. ルジーナ、
  1394. アンタあいつと仲良しなんでしょ!
  1395. 何かわからないの!?
  1396.  
  1397. ルジーナ
  1398. 知るかよ。
  1399. ベルツが何を考えてるかなんて
  1400. 考えるだけ無駄だ。
  1401. ましてやこっちの世界の住人と協力だ?
  1402. わかるわけがねーだろうが。
  1403.  
  1404. パリス
  1405. カル、大丈夫?
  1406.  
  1407. カル
  1408. ああ、大丈夫だ。
  1409. みんな、この件についてはルジーナが言う
  1410. 通り俺たちが考える必要はない。
  1411.  
  1412. セリア
  1413. でも……。
  1414.  
  1415. カル
  1416. 大丈夫だよ。
  1417. リオメルグさんはしっかりした人だ。
  1418. 俺と違ってベルツに振り回されるような
  1419. 人じゃない。
  1420. あの人にはあの人の考えがあって
  1421. 動いてるんだろう。
  1422. その内、話してくれるさ。
  1423.  
  1424. セリア
  1425. カル……。
  1426.  
  1427. カル
  1428. それより問題なのは召喚術のことだ。
  1429. カルナ・マスタを倒したら本当に
  1430. 消えてしまうと思うか?
  1431.  
  1432. ルジーナ
  1433. それこそ考えるだけ無駄だ。
  1434. 何度も言ってるだろうが。
  1435. アイツの言葉を聞くなってな。
  1436.  
  1437. セリア
  1438. だけど……。
  1439.  
  1440. ルジーナ
  1441. まあ、お前たちの気持ちはわかるぜ。
  1442. 俺と違って、お前たちは召喚術が消えたら
  1443. 何もできねーザコだからな。
  1444. 特に最近調子に乗ってる
  1445. {Summoner}は
  1446. 怖いんじゃねーか?
  1447. 自分が何もできなくなるのが。
  1448.  
  1449. ティリス
  1450. 大丈夫だよ。ルジくん!
  1451. {Summoner}は
  1452. 召喚術が無くたって凄いんだから!
  1453.  
  1454. セリア
  1455. 何を根拠に……。
  1456. でもまあ確かに考えるだけ無駄ね。
  1457.  
  1458. カル
  1459. ああ、そうだな。
  1460. それについてはグラデンス爺さんたちも
  1461. 何か考えはあるだろう。
  1462. 爺さんたちが気付いてないとは
  1463. 思えないからな。
  1464.  
  1465. パリス
  1466. 確かにそうね……。
  1467.  
  1468. セリア
  1469. それにしてもティリス。
  1470. アンタ、随分おとなしかったわね。
  1471. やっぱりティリスでもベルツみたいなのは
  1472. 苦手だったりするの?
  1473.  
  1474. ティリス
  1475. う~ん、そういうのじゃないんだけど
  1476. どうしても気になっちゃって。
  1477.  
  1478. セリア
  1479. 気になる?
  1480.  
  1481. ティリス
  1482. うん、あのベルツって子、
  1483. どんな子かまったくわからないの。
  1484.  
  1485. セリア
  1486. それは私も一緒よ。
  1487. あれをわかる方がおかしいわ。
  1488.  
  1489. ティリス
  1490. ううん、違うの。
  1491. うまく言えないけど、みんなと会った時と
  1492. まったく違う感じがして……。
  1493.  
  1494. ルジーナ
  1495. …………。
  1496.  
  1497. ティリス
  1498. ゴメンね。
  1499. ルジくんのお友達を
  1500. 悪く言うつもりじゃないんだよ!
  1501.  
  1502. ルジーナ
  1503. 友達じゃねー!
  1504.  
  1505. セリア
  1506. ハアー、まあいいわ。
  1507. {Summoner}!
  1508. ボーっとしてないでそろそろ出発するわよ!
  1509. 早くアークに会って色々と
  1510. 話さなくちゃいけないんだから![/spoiler][Spoiler=Part 4 1/2]カロン
  1511. アークを越えてきたか。
  1512.  
  1513. セリア
  1514. アンタは確か……。
  1515.  
  1516. カル
  1517. カロンさん、アンタは俺たちの
  1518. 邪魔をしないんじゃなかったのか?
  1519.  
  1520. カロン
  1521. 私はお前たちの力を見誤っていた。
  1522. お前たちがアークを越えることは
  1523. 無いと考えていたんだがな。
  1524.  
  1525. ティリス
  1526. 私の{Summoner}は
  1527. 強いんだから!
  1528. アークだって1人で倒したんだよ!
  1529.  
  1530. カロン
  1531. ……そうか。
  1532. 1人でか。
  1533.  
  1534. ティリス
  1535. そうだよ!
  1536. 1人でだよ!
  1537.  
  1538. カル
  1539. ちょ、ティリス!
  1540. ちょっと待ってくれ!
  1541.  
  1542. ティリス
  1543. ん、なんで?
  1544. アークは{Summoner}が
  1545. 1人でバッチリ倒したでしょ?
  1546.  
  1547. カル
  1548. ま、まあそうなんだが……。
  1549. あの時のアークはまだ本気じゃなかった
  1550. っていうか……。
  1551.  
  1552. ティリス
  1553. む~、カルくんひど~い!
  1554. 親友の力を疑うの?
  1555.  
  1556. カル
  1557. いや、そういうわけじゃなくて……。
  1558.  
  1559. カロン
  1560. …………。
  1561. {Summoner}、
  1562. アークを越えし者よ。
  1563. お前の力をここで試させてもらう。
  1564.  
  1565. ティリス
  1566. ちょ、ちょっと~!
  1567. どうしてそうなるの~!
  1568.  
  1569. カル
  1570. あー、やっぱりそうなるか……。
  1571.  
  1572. セリア
  1573. ティリス、
  1574. なんとなくわからなかった?
  1575. だから私、黙ってたのよ。
  1576. ルジーナとパリスもそうでしょ?
  1577.  
  1578. ルジーナ
  1579. 面倒なことは{Summoner}の
  1580. 担当だからな。
  1581.  
  1582. パリス
  1583. ティリス様、申し訳ございません。
  1584.  
  1585. ティリス
  1586. え~、みんなひど~い!
  1587. でも、どうして{Summoner}が
  1588. 戦わなくちゃいけないの!
  1589.  
  1590. カロン
  1591. ルシアスの力を継ぎし女神よ。
  1592. これは試練だ。
  1593. この者が本当にカルナ・マスタに抗しうる者
  1594. かどうかを試すためのな。
  1595. {Summoner}よ!
  1596. お前の力を見せてみろ!
  1597. この封魔導神カロンにな!
  1598.  
  1599. ティリス
  1600. {Summoner}~。
  1601. ゴメンなさ~~い![/spoiler][Spoiler=Part 4 2/2]カロン
  1602. グッ……。
  1603.  
  1604. ティリス
  1605. どう!?
  1606. 私の{Summoner}の力は!
  1607.  
  1608. セリア
  1609. …………。
  1610. さすがに今回は少しだけ
  1611. {Summoner}に悪いと思うわ……。
  1612.  
  1613. カル
  1614. セリア、それ以上言うな……。
  1615.  
  1616. セリア
  1617. カル……。
  1618.  
  1619. ルジーナ
  1620. ケッ……。
  1621.  
  1622. パリス
  1623. …………。
  1624.  
  1625. ティリス
  1626. どうしたの、みんな?
  1627.  
  1628. カル
  1629. いや、なんでもない。
  1630. さて、カロンさん。
  1631. 試練の結果はどうだった?
  1632. 俺の親友の力、
  1633. 認めてもらえたか?
  1634.  
  1635. カロン
  1636. ……そうだな。
  1637. お前…いやお前たちなら
  1638. なれるかもしれない……。
  1639. 彼女が待ち望んだ“希望”に……。
  1640.  
  1641. セリア
  1642. 彼女?
  1643.  
  1644. カロン
  1645. お前たちが神託の巫女と呼ぶ者だ。
  1646.  
  1647. セリア
  1648. アンタ、神託の巫女と
  1649. 話したことがあるの!?
  1650.  
  1651. カロン
  1652. 私は封印を守る魔神。
  1653. そして彼女は封印の鍵となる存在。
  1654. 面識があって当然だろう。
  1655.  
  1656. ルジーナ
  1657. で、なんでコイツがその女が待ち望む
  1658. 希望なんだ?
  1659.  
  1660. ティリス
  1661. ルジくん、{Summoner}は
  1662. みんなの希望なんだよ!
  1663.  
  1664. セリア
  1665. ティリス、長くなるから
  1666. そういうのは今は止めて……。
  1667.  
  1668. ティリス
  1669. む~~~。
  1670.  
  1671. カロン
  1672. その話をするためには、
  1673. カルナ・マスタがこの地に
  1674. 降りてきた時の話をしなくてはならない。
  1675.  
  1676. セリア
  1677. 結局は長くなるのね……。
  1678.  
  1679. カル
  1680. 黙って聞けって。
  1681. カロンさん、続けてくれ。
  1682.  
  1683. カロン
  1684. この地に墜とされたカルナ・マスタが
  1685. 魔神に封じられたのは知っているな?
  1686.  
  1687. セリア
  1688. ええ、モーラから聞いているわ。
  1689. それを仕切ったのがルシアスのかつての神徒
  1690. メロードっていうこともね。
  1691.  
  1692. パリス
  1693. メロードが神託の巫女イリアの力を
  1694. 利用したこともアークから聞いたわ。
  1695.  
  1696. カロン
  1697. そうだ。
  1698. メロードはイリアの神を封じる力と
  1699. 魔神たちの力を利用して
  1700. 各地にカルナ・マスタの体と力を
  1701. 封じたのだ。
  1702.  
  1703. パリス
  1704. カルナ・マスタの力はそれほど
  1705. 強大だったのね。
  1706.  
  1707. カロン
  1708. ああ、1つの場所では
  1709. 封じられないほどにな。
  1710. イリアの力によりカルナ・マスタは
  1711. 本体と力に分けられ、
  1712. さらに本体はこの地に、
  1713. 力は8つに分けられた。
  1714. そして、分けられた力に対し
  1715. 魔神の力“影”を利用することで
  1716. なんとか各地に封じることが
  1717. できたのだ。
  1718.  
  1719. ルジーナ
  1720. で、俺たちはお前たち魔神がそこまでして
  1721. 封じたモノを解こうとしてるのか。
  1722. そりゃー、止めたくもなるわな。
  1723. だが、お前は止めるのをやめた。
  1724. そこにイリアの言う“希望”ってのが
  1725. 関係するのか?
  1726.  
  1727. カロン
  1728. …………。
  1729. カルナ・マスタの力を各地に封じた後も
  1730. 当然ながら監視は必要となる。
  1731. しかし、魔神たちはお互いを信用して
  1732. いなかった。
  1733. だから、自身を分ける力を持つ私が
  1734. 監視役として選ばれたのだ。
  1735.  
  1736. カル
  1737. 自身を分ける…チカラ…?
  1738.  
  1739. カロン
  1740. 私は力と記憶を共有できる分身を
  1741. 作り出すことができる。
  1742. そして、それを各封印された地に
  1743. 送り込んでいた。
  1744. 他の魔神が裏切らないようにな。
  1745.  
  1746. パリス
  1747. つまり、私たちがこれまで通ってきた
  1748. 各地にあなたの分身がいたのね。
  1749.  
  1750. カロン
  1751. そうだ。
  1752. アークやルジーナが会った私は
  1753. 私の分身でしかない。
  1754. 私の本体と影は
  1755. このメノンにずっといたのだからな。
  1756.  
  1757. セリア
  1758. ちょっと待って!
  1759. そうだとすると計算が合わなくない?
  1760. ここは私たちがイシュグリアに来て訪れた
  1761. 9カ所目よね?
  1762.  
  1763. カロン
  1764. …………。
  1765. カルナ・マスタの真の力の封印には
  1766. 他の魔神が知らない隠された秘密がある。
  1767. それは、イリアが希望を信じて行った
  1768. もう1つの封印だ。
  1769.  
  1770. ルジーナ
  1771. もう1つの封印だと?
  1772.  
  1773. カロン
  1774. メロードは他の魔神たちに
  1775. イリアの存在を隠し
  1776. 封印の基礎をメロードの術として
  1777. 他の魔神たちに伝えていたが
  1778. 各地の封印を見守っていた私は
  1779. その後、すぐに気付くことができた。
  1780. 魔神とは別の力が働いていることを。
  1781. 私の分身の1つがメロードを
  1782. 問い詰めると
  1783. 奴は笑いながらすぐに
  1784. イリアの存在を私に教えた。
  1785. 当初、奴はイリアの存在を隠し
  1786. 魔神たちを騙したまま
  1787. グランガイアに戻る予定だったのだが
  1788. 自分がルシアスに捨てられたと知り
  1789. 自暴自棄になっていたのだろうな。
  1790.  
  1791. ティリス
  1792. …………。
  1793.  
  1794. カロン
  1795. 私は各地の封印と同じ力を感じる地、
  1796. ミルドランへと分身の1つを向かわせた。
  1797. そこで、私はまだ意識のあったイリアと
  1798. 出会ったのだ。
  1799.  
  1800. ルジーナ
  1801. やっと神託の巫女が登場か。
  1802.  
  1803. セリア
  1804. 少しは黙って聞きなさいよ。
  1805.  
  1806. カロン
  1807. 私は彼女もまた我々魔神を利用しようと
  1808. しているのだと考えていた。
  1809. しかし、彼女はむしろ逆に自身を犠牲にして
  1810. 我々を守ろうとしていたのだ……。
  1811. カルナ・マスタを体と力に分けて封印したが
  1812. それだけでは、モーラのように他の
  1813. 魔神の力を奪う存在が現れた時、
  1814. 封印が解かれてしまう危険性を考え
  1815. 自身の魂でカルナ・マスタの魂をも
  1816. 封じようとしていた。
  1817. それにより、自身も封印された状態と
  1818. 同じとなることを知りながらな。
  1819.  
  1820. ティリス
  1821. …………。
  1822.  
  1823. カル
  1824. つまり、カルナ・マスタの封印は
  1825. 本当は3つあるということか。
  1826. 1つ目はカルナ・マスタの体。
  1827. それは、封印を行った魔神の大半の力を
  1828. 使い開くこのメノンに封じられている。
  1829. 2つ目はカルナ・マスタの力。
  1830. それは、{Summoner}たちが
  1831. 今まで通ってきた8つの地域に
  1832. 8体の魔神の力によって封じられている。
  1833. そして3つ目はカルナ・マスタの魂。
  1834. それは、神託の巫女イリアが、
  1835. 自身の魂を使いミルドランに封じている。
  1836. カロンさん、この認識であっているか?
  1837.  
  1838. カロン
  1839. ほぼ正しいが、少し補足がある。
  1840. ミルドランの魂の封印はイリアが
  1841. 行ったが、
  1842. その封印自体は私の影によって
  1843. 封じられている。
  1844.  
  1845. カル
  1846. 二重の封印か……。
  1847.  
  1848. ルジーナ
  1849. 危険な魂を封じてるんだ。
  1850. 当然と言えば当然だな。
  1851.  
  1852. カロン
  1853. それと、カルナ・マスタの各封印の側には
  1854. すべてイリアの力が漂っている。
  1855.  
  1856. セリア
  1857. イリアの力が…漂う…。
  1858. どういうこと?
  1859.  
  1860. カロン
  1861. 彼女はカルナ・マスタの魂を封じると同時に
  1862. 自分が封じられてしまう前に
  1863. 自身の力を各封印の中に隠したのだ。
  1864. 彼女が信じた
  1865. “希望”が訪れた時のためにな。
  1866.  
  1867. ルジーナ
  1868. また面倒くさいことをしやがって……。
  1869. だが、ようやく理解できたぜ。
  1870. カルナ・マスタを倒す方法がな。
  1871.  
  1872. セリア
  1873. ……複雑すぎてまったく
  1874. わからないんだけど。
  1875. ティリス、わかった?
  1876.  
  1877. ティリス
  1878. ん? 何の話?
  1879.  
  1880. セリア
  1881. アンタ、まったく話を
  1882. 聞いてなかったわね……。
  1883.  
  1884. カル
  1885. えーっと、つまりだな。
  1886. イリアさんは、各封印の場所で
  1887. 何が起きてもいいように
  1888. 自分の力を隠しておいた。
  1889. そして、その力は、彼女の言う
  1890. “希望”が訪れた時に発動して
  1891. その者に力を貸す。
  1892. だから、この地に隠されたイリアさんの
  1893. 力を借りられれば、
  1894. カルナ・マスタの体を
  1895. 倒すことができるかもしれない。
  1896. ……{Summoner}、
  1897. もしかしたらお前は気が付かない内に
  1898. 他の場所でもイリアさんに
  1899. 助けられていたのかもな。
  1900.  
  1901. セリア
  1902. うん…少しずつはわかってきたわ。
  1903. でも、やっぱりわからないことがあるの。
  1904. この地で、どうやってその力を借りるの?
  1905. そもそも、なんでコイツが“希望”なの?
  1906. アンタ、神託の巫女に
  1907. 会ったことでもあったの?
  1908.  
  1909. ティリス
  1910. それは、{Summoner}が
  1911. {Summoner}だからだよ♪
  1912.  
  1913. セリア
  1914. ティリスは少し黙っていて。
  1915.  
  1916. ティリス
  1917. む~~~~!
  1918.  
  1919. カル
  1920. セリア、おそらくその2つの疑問は
  1921. 両方ともアークに関係している。
  1922.  
  1923. パリス
  1924. そういうことね!
  1925.  
  1926. セリア
  1927. パリスもわかったの!?
  1928.  
  1929. ルジーナ
  1930. これでわかってないのは、
  1931. あと2人だな。
  1932.  
  1933. ティリス
  1934. 私は最初からわかってるよ~♪
  1935.  
  1936. セリア
  1937. ウソを言わないで!
  1938.  
  1939. ティリス
  1940. 女神はウソなんかつかないもん♪
  1941. アークは{Summoner}のことを
  1942. 認めている。
  1943. だから、アークのことが大好きな
  1944. その子の力も
  1945. {Summoner}に
  1946. 力を貸してくれる。
  1947.  
  1948. セリア
  1949. わかってるなら最初から言いなさいよ!
  1950.  
  1951. ティリス
  1952. え~、だからず~っと言ってたよ!
  1953. {Summoner}は凄いんだよ!
  1954. ってね。
  1955.  
  1956. セリア
  1957. それじゃあ、わからないわよ!
  1958.  
  1959. カル
  1960. ま、まあ概ねそんな感じだよ。
  1961. でも、この地に隠されたイリアさんの力は
  1962. カルナ・マスタの結界の中、
  1963. しかもかなり深い場所に
  1964. 隠されているんだろう?
  1965. それを目覚めさせるには
  1966. {Summoner}じゃなくて
  1967. アークの力が必要になる。
  1968. ……やっと爺さんたちの話とも
  1969. 繋がってきたな。
  1970.  
  1971. ルジーナ
  1972. 心の底から面倒な話だな。
  1973.  
  1974. パリス
  1975. それだけ複雑かつ慎重にしなければ
  1976. いけないほど
  1977. カルナ・マスタは封印前も
  1978. 封印後も危険な存在なのね……。
  1979.  
  1980. カロン
  1981. おそらく、カルナ・マスタを倒すなら
  1982. 今回が最後の機会だろう。
  1983. 神を封じる力を持った神託の巫女の力、
  1984. それを呼び覚ます存在、神託の騎士、
  1985. そして、神託の騎士に認められた希望。
  1986. この要素がすべて揃うことは
  1987. もうあるまい……。
  1988.  
  1989. カル
  1990. 最後の機会か……。
  1991.  
  1992. ルジーナ
  1993. チッ……。
  1994.  
  1995. カロン
  1996. 私が話せることはここまでだ。
  1997. 後はお前たちに託すとしよう。
  1998. 最後にアークに向けた
  1999. イリアの言葉を伝えてな。
  2000.  
  2001. カロン
  2002. 行ったか……。
  2003. ならば私も封印を守ってきた魔神の
  2004. 最後の役目にうつるとしよう……。
  2005. アロンよ。
  2006. あと少しでお前と久々に
  2007. 話すことができそうだ。[/spoiler][Spoiler=Part 5 1/2]アーク
  2008. やはりここまで来たか。
  2009.  
  2010. ティリス
  2011. アーク、私たちは
  2012. あなたと戦いにきたんじゃないの!
  2013. あなたを救いに来たんだよ!
  2014.  
  2015. アーク
  2016. ティリス……。
  2017.  
  2018. セリア
  2019. 私たちは雷塚パダムで
  2020. カロンから話を聞いたの。
  2021. あなたの大切な人の力と
  2022. この地で起きたことについて。
  2023.  
  2024. アーク
  2025. カロンと会ったのか。
  2026. だが、アイツは何かを隠している。
  2027. 所詮は魔神だ。
  2028. 信用などできない。
  2029.  
  2030. カル
  2031. アークさん、それは違う。
  2032. 魔神にも色々な魔神がいる。
  2033. 実際、魔神であるモーラは
  2034. セリアとわかり合えたしな。
  2035.  
  2036. セリア
  2037. …………。
  2038.  
  2039. アーク
  2040. だが、カロンが同じとは限らないだろう。
  2041. 奴は俺と話した時、
  2042. 確実に何かを隠していたぞ。
  2043.  
  2044. パリス
  2045. それは、相手があなただからよ。
  2046.  
  2047. アーク
  2048. どういうことだ?
  2049.  
  2050. カル
  2051. アークさん、カロンは変わったんだよ。
  2052. アンタと同じように
  2053. イリアさんと出会ったことで。
  2054.  
  2055. アーク
  2056. …………。
  2057.  
  2058. カロン
  2059. 私が話せることはここまでだ。
  2060. 後はお前たちに託すとしよう。
  2061. 最後にアークに向けた
  2062. イリアの言葉を伝えてな。
  2063.  
  2064. セリア
  2065. アークに向けたイリアの言葉!?
  2066. どうしてそれを私たちに伝えるの?
  2067. そんな大事なことは
  2068. 直接本人に伝えなさいよ!
  2069. そうすれば、アークだってあんなに
  2070. 悩まずにすんだかもしれないじゃない!
  2071.  
  2072. カロン
  2073. それがイリアの意志だったからだ。
  2074. 本人ではなく希望となるだろう相手に
  2075. 伝えてほしいとのな。
  2076.  
  2077. セリア
  2078. どうしてそんなことを……。
  2079.  
  2080. カロン
  2081. イリアはアークのことを
  2082. 本当に深く理解しているからだ。
  2083.  
  2084. セリア
  2085. …………。
  2086.  
  2087. カロン
  2088. 私はこの地で魔神として生まれ生きてきた。
  2089. 自身が強くなるためには手段を選ばず
  2090. そのためには弟をも利用し
  2091. 排除をしてきたのだ。
  2092.  
  2093. パリス
  2094. …………。
  2095.  
  2096. カロン
  2097. そんな中、イリアは私に違う価値観を
  2098. 植え付けてしまった。
  2099. 自身のみならず自身のもっとも大切な人をも
  2100. 犠牲にして他者を守る。
  2101. そして、それを大切な人も許してくれると
  2102. 思えるほどの相手への信頼。
  2103. 力ではない本当の強さというのを
  2104. 彼女から感じた時、
  2105. 私は彼女の意志を受け継ぎ生きることを
  2106. 選択したのだ。
  2107. カルナ・マスタの封印を守ること。
  2108. そして、アークと“希望”に
  2109. 世界の未来を託すことを。
  2110.  
  2111. カル
  2112. カロン……。
  2113.  
  2114. カロン
  2115. イリアは私にこう伝えた……。
  2116.  
  2117. イリア
  2118. 私のこの状況を知れば
  2119. 彼はきっと悩み苦しむ。
  2120. それはどうにもならないこと。
  2121. 真実を知れば知るほど、彼は自分の
  2122. 無力さを嘆き苦しんでしまう。
  2123. 彼ほどカルナ・マスタの怖さを
  2124. 知っている人はいないから……。
  2125. だから、彼に希望は与えないでください。
  2126. 希望は彼を苦しめるだけ……。
  2127. でも、もし希望が……
  2128. カルナ・マスタを倒せる希望が
  2129. 現れたのならその時は……。
  2130.  
  2131. カル
  2132. カルナ・マスタを倒せる希望が
  2133. 現れたのならその時に
  2134. アンタに伝えてほしいそうだ。
  2135. 「私が元に戻ることはもうない。
  2136. だから自分のために生きてほしい。
  2137. 前を向いて世界のために戦ってほしい。
  2138. 私はあなたに想われた日々があった。
  2139. その事実だけで幸せだったから。
  2140. アーク、ありがとう」とな……。
  2141.  
  2142. アーク
  2143. …………。
  2144.  
  2145. ティリス
  2146. アーク……。
  2147.  
  2148. アーク
  2149. イリア……。
  2150. ウォォォーーー!
  2151. ウォォォォォォーーーーーー!!
  2152. {Summoner}!
  2153. 俺と戦え!
  2154. 俺の命が尽きようが
  2155. お前をここで止める!
  2156.  
  2157. ティリス
  2158. アーク!
  2159.  
  2160. セリア
  2161. アンタ、イリアの言葉を聞いてもまだ!
  2162.  
  2163. アーク
  2164. うるさい!
  2165. お前たちに何がわかる!
  2166. イリアがどんな想いで
  2167. その言葉を残したのか!
  2168.  
  2169. パリス
  2170. でも、だからって!
  2171.  
  2172. アーク
  2173. 俺の仲間たちはカルナ・マスタを
  2174. 封じるために散っていった!
  2175. 俺への恩返しだと言って
  2176. その身を投げ出してくれたルビィ!
  2177. イリアを守るためわだかまりを捨てて
  2178. 戦ってくれたリノン!
  2179. 自分を捨ててでも覚悟をまっとうすることを
  2180. 教えてくれたバルグラン!
  2181. 俺を嫌いながらもイリアのために常に
  2182. 自分を犠牲にし続けたメディナ!
  2183. 死人となっても仲間のために
  2184. 戦い続けてくれたユウラ!
  2185. 俺がカルナ・マスタを倒すことを
  2186. 最後まで信じ戦い続けたディオン!
  2187. アイツらはみんなこの世界のために
  2188. 犠牲になったんだ!
  2189. それはイリアも同じだ!
  2190. この世界を守るため、
  2191. 彼女は犠牲になったんだ!
  2192. だったら俺はこの世界を守るために
  2193. 戦い続ける!
  2194. それがどんなに批判されることだろうと!
  2195. 人々の希望を奪うことだろうと!
  2196.  
  2197. ルジーナ
  2198. テメーのそのワガママで
  2199. 六英雄も殺したってことか?
  2200.  
  2201. アーク
  2202. そうだ!
  2203. 彼らの犠牲があったからこそ、
  2204. お前たちは今、ここに生きている!
  2205. 俺はあの時のことを後悔などしない!
  2206.  
  2207. ルジーナ
  2208. で、今度は俺たちを
  2209. 犠牲にするつもりか?
  2210.  
  2211. アーク
  2212. お前たちの傲慢さが世界を滅ぼすんだ!
  2213. そんなことは俺がさせはしない!
  2214. みんなで守ったこの世界は
  2215. 俺が守ってみせる!
  2216.  
  2217. カル
  2218. どうやら、これ以上は無駄なようだな。
  2219. {Summoner}、
  2220. わからせてやってくれ。
  2221. 世界を守り続けた英雄に
  2222. イリアが望んだ本当の希望を。
  2223.  
  2224. アーク
  2225. こい!
  2226. {Summoner}!
  2227. この世界を守るため、
  2228. 俺はお前を必ず倒す![/spoiler][Spoiler=Part 5 2/2]アー……ク……。
  2229. アーク……。
  2230.  
  2231. ティリス
  2232. アーク!
  2233. しっかりして、アーク!
  2234.  
  2235. アーク
  2236. グッ……ティリスか……。
  2237. そうか……
  2238. {Summoner}……
  2239. 俺は…お前に負けたのか……。
  2240.  
  2241. カル
  2242. アークさん、どうする?
  2243. まだ続けるかい?
  2244. まだ続けるって言うなら
  2245. 今度は俺が相手になるぜ。
  2246.  
  2247. セリア
  2248. カルだけにはやらせないわ。
  2249. 私も戦うわよ。
  2250.  
  2251. パリス
  2252. そうね。
  2253. 今度は私も見ているだけじゃなく
  2254. 参加させてもらうわ。
  2255.  
  2256. ルジーナ
  2257. おいおい、お前ら。
  2258. それじゃあ、誰も助けてくれなかった
  2259. {Summoner}が
  2260. かわいそうじゃねーか。
  2261.  
  2262. パリス
  2263. また、思ってもないことを……。
  2264.  
  2265. アーク
  2266. フッ、{Summoner}。
  2267. お前もいい仲間に恵まれたようだな。
  2268. 安心しろ。
  2269. 俺はもうお前たちとは戦わない。
  2270.  
  2271. ルジーナ
  2272. 随分、聞き分けがいいじゃねーか。
  2273. 彼女の声でも聞こえたか?
  2274.  
  2275. セリア
  2276. まとまりそうなのに茶化さないでよ!
  2277.  
  2278. アーク
  2279. いや、その男の言う通りだ。
  2280.  
  2281. セリア
  2282. えっ?
  2283. 打ち所が悪かったの!?
  2284.  
  2285. カル
  2286. そういうことじゃないだろ……。
  2287.  
  2288. アーク
  2289. {Summoner}に倒され
  2290. 気絶している時、
  2291. 俺は確かにイリアの声を聞いた。
  2292. 酷く小さく微かな声だったから
  2293. それはこの地に残るイリアの力の残滓
  2294. なのかもしれない。
  2295. それでも俺は確かに聞いたんだ。
  2296. 人を捨て悠久の時を生きる中、
  2297. 望み続けた彼女の声を……。
  2298.  
  2299. ティリス
  2300. アーク……。
  2301.  
  2302. アーク
  2303. お前たちの言葉を信じるよ……。
  2304. いや、信じてはいたんだが、
  2305. 認めたくなかったんだろうな……。
  2306. イリアが自分を諦めさせようと
  2307. しているという事実を……。
  2308.  
  2309. セリア
  2310. …………。
  2311.  
  2312. アーク
  2313. {Summoner}、
  2314. カルナ・マスタを倒すお前の戦いに
  2315. 俺も協力させてくれ。
  2316. 俺がこの地に眠る、イリアの力を
  2317. 必ず呼び起こしてみせる!
  2318.  
  2319. ティリス
  2320. {Summoner}、アーク、
  2321. 2人とも良かったね!
  2322.  
  2323. セリア
  2324. まったく最初からとっとと
  2325. こっちの手伝いをすればいいのよ!
  2326. 敵になったり味方になったり……。
  2327. カルもルジーナもそうだけど
  2328. 男って面倒なのばっかりね。
  2329.  
  2330. カル
  2331. 返す言葉もないな……。
  2332.  
  2333. パリス
  2334. フフッ、でも、カルナ・マスタと戦う前に
  2335. 心強い仲間が増えたわね。
  2336.  
  2337. ルジーナ
  2338. ケッ、六英雄をダマして殺した男だ。
  2339. 俺たちも気を付けねーとな。
  2340.  
  2341. セリア
  2342. ルジーナ、アンタ遂に自分を六英雄と
  2343. 同等に扱い始めたの?
  2344. そこまでいくと
  2345. さすがに私も残念に思い始めるわよ……。
  2346.  
  2347. ルジーナ
  2348. ふざけんな!
  2349. そんなつもりはねー!
  2350. このルジーナ様が、世界を救えなかった
  2351. 六英雄と同等なわけねーだろーが!
  2352.  
  2353. パリス
  2354. そっちなのね……。
  2355.  
  2356. カル
  2357. ハハッ、みんなアークさんが仲間になって
  2358. 嬉しいのはわかるが、
  2359. 話は先に進みながらにしようぜ。
  2360.  
  2361. ティリス
  2362. うん、そうだね!
  2363. これでルジくんが心配していた
  2364. 問題もほとんどわかったし、
  2365. 安心して進めるね!
  2366.  
  2367. ルジーナ
  2368. 別の問題は出てきてるがな……。
  2369.  
  2370. ティリス
  2371. ん?
  2372. ルジくん、何か言った?
  2373.  
  2374. ルジーナ
  2375. いや、なんでもねーよ。
  2376. カルナ・マスタを倒した時に受ける
  2377. 俺様への賞賛を想像してただけだ。
  2378.  
  2379. セリア
  2380. うわ…気持ち悪い……。
  2381.  
  2382. パリス
  2383. 心の底から嫌いだわ……。
  2384.  
  2385. ルジーナ
  2386. テメーら、上等だ!
  2387.  
  2388. カル
  2389. お前らもう止めておけって。
  2390. アークさんも困った顔してるぞ。
  2391.  
  2392. アーク
  2393. い、いや俺は……。
  2394.  
  2395. ティリス
  2396. フフッ、みんな笑顔でバッチリだね!
  2397. よ~し、{Summoner}、
  2398. 最後の戦いに向けて
  2399. しゅっぱ~~~つ![/spoiler][Spoiler=Part 6]パリス
  2400. ここは……。
  2401. あきらかに生物が暮らしていた形跡が
  2402. あるけれど、
  2403. これも獣人たちの遺跡になるのかしら?
  2404.  
  2405. アーク
  2406. いや、俺がこの地を調べた限りだと
  2407. これはイシュグリアとは別の世界、
  2408. グランガイアでもエルガイアでもない
  2409. 異界から流れてきた街だそうだ。
  2410.  
  2411. セリア
  2412. 異界から流れてきた?
  2413.  
  2414. アーク
  2415. そうだ。
  2416. カルナ・マスタがこの地に降りて
  2417. 暴れた際に
  2418. その余波で異界との扉が開き、
  2419. 街ごと現れたらしい。
  2420. その後の戦いの中で街の住民は
  2421. イシュグリアの他の地へと逃れ、
  2422. その後は不明なようだがな。
  2423.  
  2424. パリス
  2425. 異界と繋がる扉……。
  2426. 色々な伝承は残っているけど
  2427. こんな大きな規模で開くなんて
  2428. それだけカルナ・マスタの力が
  2429. 強かったってことなのね……。
  2430.  
  2431. セリア
  2432. パリス、ここに興味があるのはわかるけど
  2433. 今は止めてね。
  2434.  
  2435. パリス
  2436. だ、大丈夫よ!
  2437. さすがに私も状況は理解しているわ!
  2438.  
  2439. ティリス
  2440. あ、あの石碑って何だろう?
  2441.  
  2442. パリス
  2443. え!? どれですか!
  2444. どこの石碑ですか!!
  2445.  
  2446. ティリス
  2447. エヘッ、冗談だよ~♪
  2448.  
  2449. パリス
  2450. ティ、ティリス様!
  2451.  
  2452. ティリス
  2453. エヘヘッ、やっぱりパリスは可愛いね♪
  2454.  
  2455. パリス
  2456. ティリス様、本当に止めてください……。
  2457.  
  2458. セリア
  2459. ハアー、まあいいわ。
  2460. それより、気になるのは
  2461. カルナ・マスタの力よ。
  2462. パリスがさっき言ったように
  2463. これほどの規模の異界への扉を開く力、
  2464. アーク、実際に戦った経験のあるあなたの
  2465. 意見を聞かせてほしいわ。
  2466.  
  2467. アーク
  2468. そうだな……。
  2469. あの時の俺たちは若かった。
  2470. 自分の力を、仲間との絆を信じ、
  2471. 自分たちにできないことはないと
  2472. 思っていた。
  2473. そう…神を倒すことだって
  2474. できると信じていたんだ……。
  2475.  
  2476. セリア
  2477. …………。
  2478.  
  2479. アーク
  2480. だが、それは思い上がりだと知らされた。
  2481. ヤツと対峙した瞬間、俺たち全員が
  2482. それを感じさせられたんだ。
  2483. 絶望的な存在感と力。
  2484. カルナ・マスタがそこにあるだけで
  2485. 俺たちの心は折れそうになった。
  2486. だが、仲間たちの力を信じ、
  2487. 俺たちはカルナ・マスタに立ち向かった。
  2488. それぞれが助け合い、わずかずつだが
  2489. 確かにヤツを苦しめていた。
  2490. そう感じたんだ……。
  2491. だが、カルナ・マスタは
  2492. 真の力をまったく出していなかった。
  2493. ヤツが本気の一撃を繰り出した時、
  2494. 生き残っていたのは
  2495. 俺の他に2人だけだった。
  2496. とはいえ、その内の1人の死霊使いは
  2497. 死後に自身を操る術をかけ戦ったんだがな。
  2498.  
  2499. パリス
  2500. 壮絶な戦いだったのね……。
  2501.  
  2502. アーク
  2503. お前たちは確かに強い。
  2504. 召喚術という強力な力も持っている。
  2505. だが、それでもカルナ・マスタとの間には
  2506. 大きな差がある。
  2507. 今のままでは確実に俺たちと同じ道を
  2508. たどることになるだろう。
  2509.  
  2510. ルジーナ
  2511. そうならないためにも、お前には神託の
  2512. 巫女の力を呼び起こしてもらわねーとな。
  2513.  
  2514. アーク
  2515. ああ、わかっている……。
  2516. イリアが残してくれた希望は
  2517. 必ず俺が……。
  2518.  
  2519. セリア
  2520. でもさ、単純な疑問なんだけれど
  2521. 召喚術ってカルナ・マスタにも効くの?
  2522. 召喚術ってカルナ・マスタが作ったのよね?
  2523. 自分が作った力なら
  2524. 自分には無効にしようとしたりしないの?
  2525.  
  2526. ???
  2527. その心配なら無用じゃ。
  2528.  
  2529. セリア
  2530. グラデンス様!
  2531. オーン様!
  2532.  
  2533. グラデンス
  2534. {Summoner}よ。
  2535. 無事にアーク殿と会えたようじゃな。
  2536. アーク殿、
  2537. どの様な経緯があったかは知らぬが、
  2538. 皆とともにいるのを見る限り
  2539. ご協力いただけると考えてよいのじゃな?
  2540.  
  2541. アーク
  2542. ああ、もちろんだ。
  2543. この地に眠るイリアの力は
  2544. 必ず俺が呼び起こす。
  2545. そして、{Summoner}たちと
  2546. ともにカルナ・マスタを倒す!
  2547.  
  2548. グラデンス
  2549. フォッフォッフォッ、心強い言葉、
  2550. さすがは神託の騎士殿じゃな。
  2551.  
  2552. カル
  2553. それもいいんだけどグラデンス爺さん。
  2554. さっきの召喚術の話はどういうことだ?
  2555.  
  2556. グラデンス
  2557. 忘れたのか?
  2558. ワシとオーンはカルナ・マスタと
  2559. 戦ったのじゃぞ。
  2560.  
  2561. アーク
  2562. 本当か!?
  2563. 2人ともよく今も生きているな……。
  2564.  
  2565. グラデンス
  2566. フォッフォッフォッ、ヤツが本気になる前に
  2567. ワシらは逃げ出したのでな。
  2568.  
  2569. オーン
  2570. お前が強引に俺を連れてな。
  2571.  
  2572. グラデンス
  2573. オーン、それはもうよいじゃろう……。
  2574. それよりも重要なのは、カルナ・マスタに
  2575. 召喚術が確かに通じたという事実じゃ。
  2576.  
  2577. ルジーナ
  2578. ケッ、それはありがたい話だな。
  2579. だが、そうなるとカルナ・マスタ様ってのは
  2580. 相当なマヌケだな。
  2581. 自分の作った術で
  2582. 自分がやられるんだからよ。
  2583.  
  2584. アーク
  2585. いや、おそらくカルナ・マスタは人間と
  2586. いう存在を気にすらしていないのだろう。
  2587. 召喚術があろうとなかろうとな。
  2588.  
  2589. ルジーナ
  2590. ケッ、大神皇様はどこまでも偉いんだなー。
  2591. こんな所に封じられたクセによー。
  2592.  
  2593. カル
  2594. …………。
  2595. グラデンス爺さん、オーンさん、
  2596. 俺たちはメノンでベルツに会った。
  2597. アイツが言うにはカルナ・マスタを倒せば
  2598. カルナ・マスタが作り出した召喚術は
  2599. 消えるかもしれないとのことだ。
  2600. このことについて召喚老である2人は
  2601. わかっていたのか?
  2602. 召喚術が消えればアクラス召喚院の
  2603. 存在意義は薄れる。
  2604. それで、本当にいいんだな。
  2605.  
  2606. グラデンス
  2607. フォッフォッフォッ、お主に心配されるほど
  2608. ワシらはもうろくしておらんよ。
  2609. カルナ・マスタを倒せば召喚術が
  2610. 消えるかもしれぬ。
  2611. そんなことは百も承知じゃ。
  2612. だが、アクラス召喚院の存在意義は
  2613. そこにはない。
  2614. あくまでアクラスが残した遺志を継ぎ
  2615. 神々の支配から人を解放することじゃ。
  2616.  
  2617. カル
  2618. だが、それは爺さんたちの目的であって、
  2619. 多くの召喚師や召喚院に務める人たちは
  2620. 大混乱に陥るんじゃないのか?
  2621.  
  2622. グラデンス
  2623. ワシらを甘く見るでない。
  2624. アクラス召喚院の今の力は、
  2625. 召喚術だけに頼るものではない。
  2626. たとえ召喚術が無くなろうと、
  2627. 経済的な影響力はもちろん
  2628. 武力としても多大じゃ。
  2629. そこら辺はすでにウォーロンが
  2630. 動いておるわ。
  2631.  
  2632. カル
  2633. ウォーロンさんか……。
  2634. ハアー、わかったよ。
  2635. 俺が心配するまでもなかったな。
  2636.  
  2637. オーン
  2638. フン、そもそも召喚術だけに頼っているから
  2639. そんな心配をするのだ。
  2640. 己の力をさらに磨き続けろ!
  2641. でなければ、召喚術があろうがなかろうが
  2642. そんな者は戦士にはなれん!
  2643.  
  2644. カル
  2645. オーンさんの言う通りだな。
  2646. 耳が痛いよ……。
  2647.  
  2648. ルジーナ
  2649. お前らも俺のように召喚術以外も
  2650. しっかりと鍛えるんだな。
  2651. 特に{Summoner}、
  2652. お前はな!
  2653.  
  2654. パリス
  2655. どこまでも意地が悪いわね……。
  2656.  
  2657. セリア
  2658. でもまあ、それはそうかもねー。
  2659. {Summoner}から召喚術を取ったら
  2660. 何も残らないものね。
  2661.  
  2662. ティリス
  2663. そんなことないよ~!
  2664. 召喚術が無くたって
  2665. {Summoner}は凄いんだから!
  2666.  
  2667. セリア
  2668. 例えばどこが凄いの?
  2669.  
  2670. ティリス
  2671. えっと…優しいところとか、
  2672. どんな時も諦めないところとか……。
  2673.  
  2674. セリア
  2675. 精神的なところばっかりね。
  2676.  
  2677. ティリス
  2678. え~~ん!
  2679. カルくん助けて~~!
  2680.  
  2681. カル
  2682. えっと、そうだなー。
  2683. …………。
  2684. 解毒薬を作るのがうまいぜ!
  2685.  
  2686. セリア
  2687. そんな懐かしい話、
  2688. 他のみんなは知らないから……。
  2689.  
  2690. カル
  2691. ハハッ、{Summoner}、
  2692. 冗談だって。
  2693. そう落ち込むなよ。
  2694. お前の凄さは本当は
  2695. みんなわかってるからさ。
  2696.  
  2697. パリス
  2698. フフッ、そうね。
  2699. 私も{Summoner}の
  2700. 凄さは知っているわ。
  2701. このイシュグリアの地で
  2702. 一緒に旅をして
  2703. それまで以上によく理解しているつもりよ。
  2704.  
  2705. カル
  2706. パリスさん、ありがとう……。
  2707. って、なんで俺がお礼をしてるんだ!
  2708. {Summoner}、
  2709. お前も何か言えって!
  2710.  
  2711. オーン
  2712. くだらぬ話はもういい。
  2713. 俺は召喚術が消えることは
  2714. 人にとって良いことだと考えている。
  2715. この力は人が元々持っていなかった
  2716. いびつな力だ。
  2717. その力のせいで無駄な争いも
  2718. 起きつつある。
  2719. ならば、いっそ消えてしまえばいいのだ。
  2720. 人は召喚術が無くても強く生きてきた。
  2721. 神々との大戦の時も
  2722. エルガイアに逃れた時も
  2723. ルシアスの門が開いたその時までな。
  2724. 俺は人の強さを信じている。
  2725. 今までもこれからもな。
  2726.  
  2727. セリア
  2728. オーン様……。
  2729.  
  2730. ルジーナ
  2731. ケッ……。
  2732.  
  2733. カル
  2734. ハハッ、そうだな。
  2735. オーンさんの期待を裏切らないように
  2736. しないとな。
  2737.  
  2738. ティリス
  2739. うん、オーンちゃんは
  2740. やっぱり良い子だね♪
  2741.  
  2742. パリス
  2743. ティ、ティリス様……。
  2744.  
  2745. オーン
  2746. 女神ティリスよ。
  2747. 我々アクラス召喚院の召喚老は
  2748. 人が神から独立することを目指している。
  2749. しかしそれは、決して神々をないがしろに
  2750. するということではない。
  2751. 我々は人間を救ってくれたあなたに
  2752. 心の底から感謝している。
  2753. あなたが我々に望むことがあるのなら
  2754. 我々は全力でそれに応えるつもりだ。
  2755.  
  2756. セリア
  2757. オーン様が……。
  2758.  
  2759. パリス
  2760. 怒っていたわけではないのですね……。
  2761.  
  2762. オーン
  2763. 何を勘違いしている。
  2764. 人を救ってくれた女神に対して礼節を
  2765. 持って接するのは当然だろう。
  2766. 問題なのはお前たちの言動だ。
  2767. この戦いが終わったら覚悟しておくのだな。
  2768.  
  2769. パリス
  2770. ちょ、ちょっと待ってください!
  2771.  
  2772. セリア
  2773. これはティリスが私たちに!
  2774.  
  2775. ティリス
  2776. ね、みんな言ったでしょ!
  2777. オーンちゃんは素直な良い子だって♪
  2778.  
  2779. セリア
  2780. どこが“良い子”なのよ!
  2781. ルジーナ!
  2782. アンタ、何逃げようとしてるのよ!
  2783.  
  2784. ルジーナ
  2785. うるせー!
  2786. 俺を巻き込むな!
  2787.  
  2788. セリア
  2789. 待ちなさいよ!
  2790.  
  2791. パリス
  2792. ま、待って!
  2793. 私を置いていかないで!
  2794.  
  2795. カル
  2796. おい、2人とも待てって!
  2797. ったくここまで来ても変わらねーなー。
  2798.  
  2799. グラデンス
  2800. フォッフォッフォッ、
  2801. 相変わらず賑やかな連中じゃのー。
  2802. では、ティリスちゃん、アーク殿、オーン、
  2803. ワシらも出発するかの。
  2804.  
  2805. ティリス
  2806. そうだね♪
  2807. {Summoner}も
  2808. 早く行こうよ~~!
  2809.  
  2810. グラデンス
  2811. {Summoner}よ。
  2812. 次はいよいよ、
  2813. カルナ・マスタとの決戦じゃ。
  2814. ヤツがその身を置く地の名は
  2815. “虚空封界メノン”。
  2816. 天をも貫く巨大な山の
  2817. さらに先にある。
  2818. …………。
  2819. カルナ・マスタと戦ったワシにはわかる。
  2820. お主の力はこの戦いの鍵の1つじゃ。
  2821. 決して油断することなく
  2822. 戦いに臨むのじゃぞ。
  2823. お前は神託の巫女だけではなく、ワシら
  2824. 今を生きる者の希望でもあるのだからな。[/spoiler][Spoiler=Part 7 1/4]カル
  2825. ここが虚空封界メノンか……。
  2826.  
  2827. ルジーナ
  2828. いかにも大神皇様がいるような
  2829. 神々しさがあっていいじゃねーか。
  2830.  
  2831. セリア
  2832. ルジくん、強がってるけど
  2833. もしかして怖いの?
  2834.  
  2835. ルジーナ
  2836. ふざけんな!
  2837. テメーこそ怖くて
  2838. 震えてるんじゃねーか?
  2839.  
  2840. セリア
  2841. 違うわよ!
  2842. 山の上で寒いからに決まってるでしょ!
  2843.  
  2844. ルジーナ
  2845. そんな格好してるから
  2846. 寒いんじゃねーのか?
  2847.  
  2848. セリア
  2849. アンタには関係無いでしょ!
  2850.  
  2851. パリス
  2852. 大神皇との戦いの前だっていうのに
  2853. 本当に緊張感が無いわね。
  2854.  
  2855. カル
  2856. ハハッ、でも緊張し過ぎるよりは
  2857. いいんじゃないか?
  2858.  
  2859. パリス
  2860. それはそうだけど……。
  2861.  
  2862. ティリス
  2863. …………。
  2864.  
  2865. セリア
  2866. どうしたの、ティリス?
  2867.  
  2868. オーン
  2869. さすがにティリス様は
  2870. 気付いているようだな。
  2871. それに比べてお前たちは。
  2872.  
  2873. グラデンス
  2874. オーンよ。
  2875. 良いか?
  2876.  
  2877. オーン
  2878. フン、他に手はあるまい。
  2879.  
  2880. カル
  2881. 爺さんたちどうしたんだ?
  2882.  
  2883. グラデンス
  2884. まだ気が付かぬのか?
  2885. だとしたら本当に修行が足りぬな。
  2886. 感じぬのか?
  2887. 遠くから迫り来る大量の気配を。
  2888.  
  2889. セリア
  2890. えっ…こ…これは!?
  2891.  
  2892. パリス
  2893. どうしてこれほどの魔神の気配が。
  2894.  
  2895. グラデンス
  2896. お主たちがこの地を支配する魔神たちを
  2897. 倒してきたからじゃろう。
  2898. 魔神たちの秩序は力ある者が正義。
  2899. 強大な魔神を倒したお前たちを倒して
  2900. 自分が新たな支配者になろうとでも
  2901. 思っておるのじゃないか?
  2902.  
  2903. パリス
  2904. でも、どうしてこのタイミングで!
  2905.  
  2906. ルジーナ
  2907. クソッ、メノンの封印が解かれたことに
  2908. 気が付きやがったのか。
  2909.  
  2910. グラデンス
  2911. そうじゃ。
  2912.  
  2913. セリア
  2914. ここで私たちの邪魔をしたら
  2915. カルナ・マスタがどうなるかわからないの?
  2916.  
  2917. アーク
  2918. カルナ・マスタと戦うことを
  2919. 止めるつもりの魔神もいるんだろう。
  2920.  
  2921. ルジーナ
  2922. もしくは、それすらも理解できない
  2923. 低級ってことか。
  2924. どちらにしろ、ザコ魔神ばっかりなら
  2925. ここで蹴散らすしかねーな。
  2926.  
  2927. グラデンス
  2928. ルジーナよ。
  2929. お主にしては甘い判断じゃな。
  2930. お前は何のためにメノンでの戦いを
  2931. {Summoner}に任せてきたのじゃ?
  2932. カルナ・マスタとの戦いで
  2933. {Summoner}に頼らず戦えるよう
  2934. 少しでもお主たちの力を
  2935. 温存しておくためじゃろう?
  2936.  
  2937. カル
  2938. 爺さん、気付いてたのか?
  2939.  
  2940. グラデンス
  2941. 当たり前じゃ。
  2942. なぜここに来るまでお主たちに
  2943. メノンでの話を聞いたと思っておる。
  2944.  
  2945. パリス
  2946. {Summoner}、ごめんなさい。
  2947. 悪気があったわけじゃないの。
  2948. 今までの戦いで私たちはいつも最後は
  2949. あなたに頼り切りだった。
  2950. だから、今度は私たちが
  2951. なんとかしようと思って……。
  2952.  
  2953. オーン
  2954. フン、くだらぬ策だな。
  2955. 結局、最後は強い者が弱い者を助けるだけ。
  2956. 力など温存するものではない。
  2957. 使える時に使うだけだ。
  2958.  
  2959. カル
  2960. ハハッ、オーンさんなら
  2961. それでいいかもしれないが、
  2962. 俺たちはまだ修行不足でね。
  2963. セリアが提案してくれた時、
  2964. 俺は嬉しかったぜ。
  2965.  
  2966. セリア
  2967. な、カル!
  2968. 私は提案なんかしてないわよ!
  2969. {Summoner}!
  2970. そんな驚いた顔しないでよ!
  2971. 私はただ悔しかったのよ。
  2972. いつも最後は{Summoner}に
  2973. 頼りっ放しの自分が……。
  2974.  
  2975. ルジーナ
  2976. まあ、俺はそんなこと関係無く
  2977. 面倒事を押し付けたかっただけだがな。
  2978.  
  2979. パリス
  2980. セリアの話を聞いた後に
  2981. 細かい策を出したのは誰だったかしら。
  2982.  
  2983. ルジーナ
  2984. うるせーな!
  2985. やるからには徹底してやる!
  2986. それが俺のやり方なんだよ!
  2987.  
  2988. グラデンス
  2989. フォッフォッフォッ、だとしたら
  2990. それは最後まで徹底しないとの。
  2991. お主なら気が付いてるのだろう?
  2992. 今の最善策を。
  2993.  
  2994. ルジーナ
  2995. …………。
  2996. チッ、わかったよ!
  2997. それを俺に言わせるんだ!
  2998. それなりの見返りは用意してもらうぜ!
  2999.  
  3000. グラデンス
  3001. もちろんじゃよ、ルジーナ。
  3002. ワシはお主の力を認めておるのじゃから。
  3003.  
  3004. ルジーナ
  3005. ケッ、まあいい。
  3006. おい、お前らいいか!
  3007. これからここに現れるザコ魔神どもは
  3008. 召喚老の2人に任せて
  3009. 俺たちはカルナ・マスタを目指す!
  3010.  
  3011. セリア
  3012. ちょっと、どういうことよ!
  3013.  
  3014. ルジーナ
  3015. うるせー!
  3016. 黙って最後まで聞け!
  3017. 全員、カルナ・マスタの位置は
  3018. 感じているな?
  3019. これだけデカい気配だ。
  3020. わからねーわけねーよな?
  3021.  
  3022. パリス
  3023. え、ええ……。
  3024.  
  3025. ルジーナ
  3026. だったら今からお前たちは
  3027. 全員別の道を進め!
  3028. その途中で神託の巫女の力を
  3029. 探しながらな!
  3030.  
  3031. パリス
  3032. 戦力を分散するというの!?
  3033.  
  3034. ルジーナ
  3035. 違う!
  3036. あくまで効率良く巫女の力を探すだけだ!
  3037. バラバラに動いてたら
  3038. 爺さんたちがもたないだろうが!
  3039.  
  3040. オーン
  3041. フン、貴様に心配されるいわれはない。
  3042.  
  3043. ルジーナ
  3044. いちいち絡んでくるな!
  3045. 時間がねーんだよ!
  3046. 全員で神託の巫女の力を探しながら
  3047. カルナ・マスタの元で合流。
  3048. その後に神託の巫女の力とともに
  3049. カルナ・マスタに戦いを挑む!
  3050. {Summoner}!
  3051. 今度こそ抜け駆けするんじゃねーぞ!
  3052. わかったな!
  3053. それと、カル。
  3054. この作戦、お前には何も言わせねーぞ。
  3055.  
  3056. カル
  3057. ああ、わかってる。
  3058. 爺さんたちも俺なんかに
  3059. 心配されたくはないだろうからな。
  3060.  
  3061. グラデンス
  3062. フォッフォッフォッ、
  3063. わかっとるじゃないか。
  3064. 手柄は若い連中に譲ってやる。
  3065. しっかりと全員の力を集結させて
  3066. カルナ・マスタを倒してこい!
  3067.  
  3068. ルジーナ
  3069. 言われるまでもねー!
  3070. 行くぞ、お前ら!
  3071. 年寄りどもにこれからは誰の時代かを
  3072. 教えてやるんだ!
  3073.  
  3074. アーク
  3075. 俺も行かせてもらう。
  3076. 後は頼んだぞ。
  3077.  
  3078. パリス
  3079. グラデンス様、オーン様。
  3080. どうかご無事で……。
  3081. あなたたちに拾っていただいた恩、
  3082. 私はまだ返していませんから。
  3083.  
  3084. セリア
  3085. 私が何を言っても
  3086. 意味はないかもしれません。
  3087. それでも言わせてください。
  3088. 必ずまた会えると信じています。
  3089.  
  3090. ティリス
  3091. グラ爺、オーンちゃん、
  3092. 2人ともまだ若いんだから
  3093. 無茶はしないでね!
  3094. {Summoner}を
  3095. 信じて待ってて!
  3096. 必ず2人を助けに戻るから!
  3097. ホラ、{Summoner}も
  3098. 行こう!
  3099. 後はカルくんに任せて!
  3100.  
  3101. グラデンス
  3102. {Summoner}よ。
  3103. 皆のことを頼むぞ。
  3104.  
  3105. グラデンス
  3106. さて、カルよ。
  3107. お主も早く出発しろ。
  3108.  
  3109. カル
  3110. ああ、そうだな……。
  3111.  
  3112. グラデンス
  3113. お主も本当の父親に会えたんじゃ。
  3114. ワシのような仮の親からは
  3115. 早く親離れしないとな。
  3116.  
  3117. カル
  3118. そんなんじゃない!
  3119. 俺は確かに自分の生まれを気にしていた。
  3120. でも、それは爺さんから
  3121. 離れるためじゃない。
  3122. そんなんじゃないんだ……。
  3123.  
  3124. グラデンス
  3125. カルよ……。
  3126.  
  3127. カル
  3128. 爺さんは何があったって
  3129. 俺の大切な親だ。
  3130. だから…だから絶対に死なないでくれ!
  3131.  
  3132. グラデンス
  3133. 当たり前じゃ。
  3134. ワシがそう簡単にやられると思うか?
  3135.  
  3136. カル
  3137. ああ、そうだったな……。
  3138.  
  3139. グラデンス
  3140. お主こそ決して死ぬんじゃないぞ。
  3141. 言うまでもないが、
  3142. カルナ・マスタは簡単な相手じゃないぞ。
  3143.  
  3144. カル
  3145. ああ、わかっている。
  3146. 俺はみんなと必ずカルナ・マスタを倒す!
  3147. だから爺さんも必ず生き残るんだぞ!
  3148. 約束だからな!
  3149.  
  3150. グラデンス
  3151. ああ、約束じゃ。
  3152. ホレ、早く行け!
  3153. ワシの息子なら他の者になぞ
  3154. 遅れを取るんじゃないぞ!
  3155.  
  3156. カル
  3157. 爺さん……。
  3158. いや…父さん…ありがとう……。
  3159.  
  3160. グラデンス
  3161. …………。
  3162.  
  3163. オーン
  3164. 終わったか?
  3165.  
  3166. グラデンス
  3167. …………。
  3168.  
  3169. オーン
  3170. フン、涙で戦いを鈍らすなよ。
  3171.  
  3172. グラデンス
  3173. 泣いてなぞおらんわ……。
  3174.  
  3175. オーン
  3176. フン……。
  3177.  
  3178. グラデンス
  3179. なんじゃ、お主、
  3180. もしかして羨ましいのか?
  3181. だからお主も家族を持てと
  3182. あれほど……。
  3183. オーンよ、もしかしてお主、
  3184. あの時の彼女をまだ!?
  3185.  
  3186. オーン
  3187. グラデンス、お前は魔神と戦う前に
  3188. 俺に殺られたいようだな……。
  3189.  
  3190. グラデンス
  3191. ま、待て!
  3192. 落ち着け!
  3193.  
  3194. オーン
  3195. …………。
  3196.  
  3197. オーン
  3198. ……どうやら遊びもここまでのようだな。
  3199.  
  3200. グラデンス
  3201. フォッ!?
  3202. これは数えるのも面倒な数じゃな。
  3203.  
  3204. オーン
  3205. 数など関係無い。
  3206. 向かってくるものを倒し続けるだけだ。
  3207.  
  3208. グラデンス
  3209. そうじゃな。
  3210.  
  3211. オーン
  3212. それにここで俺たちが死んでみろ。
  3213. 後に残ったウォーロンが
  3214. 何をすると思う?
  3215.  
  3216. グラデンス
  3217. ……そうじゃったな。
  3218. それを考えると
  3219. 何としても生き延びんといかんな。
  3220.  
  3221. オーン
  3222. まあ、俺は元より死ぬつもりなど
  3223. まったく無いがな。
  3224.  
  3225. グラデンス
  3226. フォッフォッフォッ、
  3227. お主はやはり変わらんな。
  3228. いいじゃろう!
  3229. さあ、魔神ども!
  3230. 来るがいい!
  3231. 我が友イシュリオンの刃で
  3232. その身を裂かれる覚悟があるのならば
  3233. 白銀の冥神と恐れられたこのグラデンスが
  3234. 貴様たちの相手になろう!
  3235.  
  3236. オーン
  3237. フン、大層な口上だな。
  3238. 名乗りなど不要!
  3239. 俺の前に現れたものは叩き斬る!
  3240. ただそれだけだ!
  3241.  
  3242. グラデンス
  3243. カルよ…そして他の者たちよ…
  3244. 必ず生きてエルガイアに戻るのじゃぞ。
  3245. お主たちはこれからの世界に
  3246. 必要となる人間なのじゃからな。[/spoiler][Spoiler=Part 7 2/4]アーク
  3247. {Summoner}、来たか……。
  3248. お前が通った道には
  3249. イリアの力は無かったようだな。
  3250. 俺が通った道でも
  3251. イリアの力を感じることは無かった。
  3252. おそらく、他の者たちの道にも
  3253. それは無いだろう。
  3254. …………。
  3255. {Summoner}、
  3256. お前にもわかるだろう?
  3257. カルナ・マスタはおそらくこの先にいる。
  3258. そして、イリアの力も
  3259. この先で眠っている。
  3260. 理屈じゃない。
  3261. 感じるんだ。
  3262. 神託の巫女を守るべき騎士、
  3263. 神託の騎士である俺だからわかる。
  3264. いや…長い間、探し求め続けた
  3265. 大切な相手の力だからわかる。
  3266. {Summoner}、
  3267. 悪いが俺は先に行かせてもらう。
  3268. 他の者が来る前に、この先で眠っている
  3269. イリアの力を呼び起こしてみせる。
  3270. お前たちはその後に
  3271. カルナ・マスタを倒してくれ。
  3272.  
  3273. アーク
  3274. …………。
  3275. バカな!
  3276. お前まで付いてきてどうする!
  3277. 大丈夫だ。
  3278. 俺は…冷静だ。
  3279. いや、違うな……。
  3280. 俺は今すぐにイリアを感じたい!
  3281. たとえそれが本人ではないとしても!
  3282. その力に彼女が残した力に
  3283. 触れたいんだ!
  3284. {Summoner}、
  3285. 一緒に来てくれるか?
  3286. イリアの力に触れるためには
  3287. 少なからずカルナ・マスタの
  3288. 気を引く必要がある。
  3289. お前にはそれを頼みたい。
  3290. 俺がイリアの力を呼び起こすまで
  3291. お前の仲間が来るまで耐えてくれ。
  3292. ……それでは、行くぞ!
  3293. {Summoner}!
  3294.  
  3295. アーク
  3296. カルナ・マスタ!
  3297. 聞こえるか!
  3298. 俺の名は神託の騎士アーク!
  3299. 今度こそお前を終わらせてみせる!
  3300. あの時の仲間たちの願いと
  3301. 今を生きる者の希望を知るがいい!
  3302.  
  3303. アーク
  3304. 何も答えないか……。
  3305. ……あの時もそうだったな。
  3306. お前は俺たちを何とも思っていない。
  3307. 人が向かってくる虫に答えないように
  3308. お前の目には俺たちは映っていないんだな。
  3309. いいだろう。
  3310. だったら俺は俺の役目を果たすだけだ!
  3311. イリア、聞こえるか!
  3312. 今こそ{Summoner}に
  3313. 神託の巫女の力を!
  3314. {Summoner}!
  3315. 俺はイリアを呼び続ける!
  3316. それまでカルナ・マスタを頼むぞ![/spoiler][Spoiler=Part 7 3/4]アーク
  3317. グッ……
  3318. イリア…なぜ答えてくれない……。
  3319. !!
  3320. {Summoner}、大丈夫か?
  3321. グッ、この傷は……。
  3322. クソッ、すまない……。
  3323. 俺の予想が甘かった……。
  3324. 封印されていても
  3325. これほどの力があるとは……。
  3326. だが、お前をここで死なせやしない。
  3327. お前のことは何としても守る。
  3328. たとえこの命が尽きようともな!
  3329.  
  3330. ???
  3331. そんな簡単に命を捨てないで!
  3332.  
  3333. ティリス
  3334. {Summoner}の
  3335. バカ~~~~!</size>
  3336. みんなで戦おうって言ったのに
  3337. なんで先に行っちゃうの!
  3338.  
  3339. セリア
  3340. だから言ったでしょ。
  3341. {Summoner}はバカだから
  3342. どうせ先に着いたら戦っちゃうって。
  3343. 今までもそうだったんだから
  3344. そう簡単に変わらないわよ。
  3345.  
  3346. パリス
  3347. でも、{Summoner}にも
  3348. 何か考えがあったんじゃないのかしら?
  3349. 意味も無く単独行動を取ったり
  3350. しないわよね?
  3351.  
  3352. ルジーナ
  3353. それをやるのがこいつがバカだって
  3354. 証拠だろうが。
  3355. ったく、お前はどれだけ手柄を
  3356. 独り占めしたいんだよ。
  3357. まあ、まんまとやられて俺の出番を
  3358. 用意してたのは褒めてやるがな。
  3359.  
  3360. カル
  3361. まあ、なんとか間に合ってよかったよ。
  3362. {Summoner}、アークさん、
  3363. 色々あるだろうが、ここは俺たちに任せて
  3364. 2人は下がっていてくれ。
  3365.  
  3366. アーク
  3367. お前たち……。
  3368.  
  3369. ルジーナ
  3370. ただで休ませるつもりはねーぞ!
  3371. アーク、お前はこの間に
  3372. とっとと神託の巫女の力を呼び起こせ!
  3373. それと、{Summoner}!
  3374. ティリスの力で少しは回復しただろうが
  3375. 今のままじゃ足手まといだ!
  3376. しっかり回復してからこっちに来い!
  3377. わかったな!
  3378. まあ、お前が間に合わなかったら
  3379. 今回の報酬はお前の分も俺がもらうからな。
  3380.  
  3381. セリア
  3382. 決戦前にせこいこと言わないでよ。
  3383. {Summoner}、先走った罰よ。
  3384. 今度はアンタが私たちの戦いを見てなさい!
  3385.  
  3386. パリス
  3387. フフッ、これで少しは今までの借りが
  3388. 返せるかしら?
  3389. 見ていて。
  3390. 私たちも戦えるってことを!
  3391.  
  3392. ルジーナ
  3393. カル、まさかそのまま戦うつもりじゃ
  3394. ねーだろーな?
  3395.  
  3396. カル
  3397. ああ、わかってる……。
  3398. 俺も全力で行くよ……。
  3399.  
  3400. カル
  3401. …………。
  3402.  
  3403. カル
  3404. カルナ・マスタ……覚悟しろ。
  3405. この姿になった俺は手加減できないぜ。
  3406.  
  3407. ティリス
  3408. カルくん、カッコイイ~♪
  3409.  
  3410. カル
  3411. ティリス、せっかくキメたんだから
  3412. 茶化さないでくれ……。
  3413. {Summoner}、
  3414. 今度は俺たちがお前のために戦う番だ。
  3415. お前が戻ってくるまで負けやしない。
  3416. だから早く来るんだぞ。
  3417. 待ってるからな、親友!
  3418.  
  3419. ティリス
  3420. {Summoner}、安心して!
  3421. みんなのことは私が守る!
  3422. 私の中の封神の力!
  3423. みんなを守って~~~!!
  3424.  
  3425. パリス
  3426. これは……体に力が満ちてくるわ……。
  3427.  
  3428. セリア
  3429. 女神の加護ってヤツ?
  3430. アンタこんなことできるなら
  3431. とっととやりなさいよ!
  3432.  
  3433. ティリス
  3434. 私だっていつもできるわけじゃないよ~!
  3435. 今はみんなのことを想ったら
  3436. 力が湧いてきて……。
  3437. そんなことより{Summoner}!
  3438. {Summoner}は
  3439. ちゃんと自分の体を治して!
  3440. 私は{Summoner}が
  3441. 来てくれるって信じてるんだからね♪
  3442.  
  3443. カル
  3444. よし、それじゃあみんな行こうか!
  3445. 敵は大神皇カルナ・マスタ!
  3446. 必ず全員で生きてエルガイアに戻るんだ![/spoiler][Spoiler=Part 7 4/4]カル
  3447. これで…どうだ!
  3448. 神覇凍界『天零』!
  3449.  
  3450. パリス
  3451. まだよ!
  3452. 幻凰陣『マルドゥーク』!
  3453.  
  3454. セリア
  3455. これならどう!
  3456. 麗熾虹…『セラフィム』!
  3457.  
  3458. セリア
  3459. …………。
  3460. そんな…これでもダメなの?
  3461.  
  3462. ルジーナ
  3463. いや、確かに効果はあった!
  3464. ティリス!
  3465. フォローしろ!
  3466. 俺が決めてやる!
  3467.  
  3468. ティリス
  3469. ルジくん、任せて!
  3470.  
  3471. ~ミラクルバトルキ~~~ッス♪~
  3472.  
  3473. ルジーナ
  3474. くらえ!
  3475. 叢覇無刄『絶界』!
  3476.  
  3477. アーク
  3478. グッ……凄まじい力だ……。
  3479. {Summoner}だけでなく
  3480. 他の者にもこれほどの力が……。
  3481. …………。
  3482. !?
  3483. これは!
  3484. 感じる…確かに感じるぞ!
  3485. イリアの力を!
  3486.  
  3487. セリア
  3488. どういうこと!?
  3489.  
  3490. パリス
  3491. おそらく今の攻撃でカルナ・マスタの力が
  3492. 一時的に弱まったのかも。
  3493. そこからイリアさんの力が!
  3494.  
  3495. ルジーナ
  3496. んなこたーどうでもいい!
  3497. アーク、とっとと力を呼び起こせ!
  3498. こっちもそろそろ限界だぞ!
  3499. {Summoner}!
  3500. お前もいつまでも休んでるんじゃねーぞ!
  3501.  
  3502. パリス
  3503. {Summoner}!
  3504. 無理しないで!
  3505. あなたのその傷じゃまだ……。
  3506.  
  3507. ティリス
  3508. パリス下がって!
  3509. {Summoner}は私が!
  3510.  
  3511. セリア
  3512. ティリス、怪我人を助けてる余裕はないわ!
  3513. {Summoner}、アンタも召喚師なら
  3514. 自分でなんとかしてみなさい!
  3515.  
  3516. カル
  3517. クッ、さすがに厳しいな……。
  3518. アークさん、頼む!
  3519. 早くイリアさんの力を!
  3520.  
  3521. アーク
  3522. イリア…俺の声が聞こえるか?
  3523. 俺はまた帰ってきた。
  3524. だが、今度は未来を止めるためじゃない。
  3525. 新たな未来を切り開くためだ。
  3526. だから…だから俺に力を貸してくれ!
  3527. 人の未来のために戦う希望に
  3528. 神託の巫女の力を!
  3529. イリア!
  3530. 俺はここにいる!
  3531. 俺はお前に会いたいんだ!
  3532. 一瞬だけでもいい!
  3533. お前の力を俺に感じさせてくれ!
  3534. イリアーーーーー!
  3535.  
  3536. セリア
  3537. これは……。
  3538.  
  3539. パリス
  3540. カルナ・マスタの中から光が!
  3541.  
  3542. ティリス
  3543. これは封印の力!?
  3544. 私に似た力を感じるよ!
  3545. 自分を信じて…
  3546. 希望はあなたとともに…
  3547.  
  3548. ルジーナ
  3549. クソッ、何が起きてやがる!
  3550. 神託の巫女の力はどうなった!?
  3551.  
  3552. ティリス
  3553. 大丈夫!
  3554. 感じるよ!
  3555. カルナ・マスタの力は
  3556. 確かに弱まってる!
  3557. でも……
  3558.  
  3559. カル
  3560. どうやら様子がおかしいようだな……。
  3561.  
  3562. アーク
  3563. イリア……。
  3564. どうやらここに残されたイリアの力は
  3565. 長い年月、カルナ・マスタを
  3566. 封じ続けていたようで
  3567. その力を大きく減らしてしまっている。
  3568.  
  3569. セリア
  3570. だったらこのままやるだけよ!
  3571.  
  3572. カル
  3573. セリア、待て!
  3574. 今のままじゃこれまでと変わらない!
  3575.  
  3576. セリア
  3577. だったら!
  3578.  
  3579. ティリス
  3580. 私に任せて!
  3581. 今、カルナ・マスタを封じている力を
  3582. 私が増幅させてみせる!
  3583.  
  3584. セリア
  3585. そんなことができるの?
  3586.  
  3587. ティリス
  3588. わからない!
  3589. けど、やってみないと!
  3590. アーク、私に力を貸して!
  3591. イリアの想いに応えるには
  3592. あなたの力が必要なの!
  3593.  
  3594. アーク
  3595. もちろんだ。
  3596. 俺からも頼む。
  3597. イリアの祈りを助けてやってくれ!
  3598.  
  3599. ティリス
  3600. それじゃあみんな、行くよ!
  3601.  
  3602. パリス
  3603. 待ってください!
  3604. あちらから魔神が!
  3605.  
  3606. ルジーナ
  3607. クソッ、こんな時に!
  3608. 召喚老の2人はどうしてやがる!
  3609.  
  3610. カル
  3611. 爺さん……。
  3612.  
  3613. セリア
  3614. カル、酷なようだけど
  3615. 考えてる暇はないわ!
  3616. 魔神たちの相手は私たちがしないと。
  3617.  
  3618. カル
  3619. ああ、わかってる。
  3620. 爺さんたちは簡単にやられたりしないさ。
  3621.  
  3622. パリス
  3623. でも、そうなるとカルナ・マスタを
  3624. 倒すのは……。
  3625.  
  3626. セリア
  3627. そんなの決まってるでしょ。
  3628.  
  3629. パリス
  3630. でも、まだ傷が!
  3631. ……えっ、{Summoner}!?
  3632.  
  3633. セリア
  3634. その程度の傷で
  3635. こんな時に立てないヤツだったら
  3636. もうとっくにくたばっているわよ。
  3637. ホラ、バカはバカらしく
  3638. とっとと立ち上がりなさい!
  3639. 後は頼んだわよ……。
  3640. ちゃんと勝てたら
  3641. 手当ぐらいしてあげるからさ。
  3642.  
  3643. ルジーナ
  3644. チッ、ムカつくがこの際仕方ねー。
  3645. 休んでた分まで働いてもらうぞ!
  3646. ……いいか、くたばるんじゃねーぞ。
  3647. お前にはまだ利用価値があるんだからよー!
  3648.  
  3649. パリス
  3650. フフッ、やっぱり最後は
  3651. あなたに頼ってしまうのね。
  3652. でも、私は信じているわ。
  3653. あなたならきっと勝てるって。
  3654. だって、私は何度もあなたが起こした奇跡を
  3655. この目で見てきたのだから。
  3656. いつかあなたの記録を私に残させて。
  3657. 価値ある素敵な資料にしてあげるから。
  3658.  
  3659. カル
  3660. 俺はもう何も言わない。
  3661. 戦いが終わった後にゆっくり話すからな。
  3662. ……後は頼んだぜ。
  3663. 親友!
  3664.  
  3665. アーク
  3666. 俺とイリアのことなど気にするな。
  3667. お前は俺たち人間の希望だ。
  3668. その光でカルナ・マスタを倒してくれ!
  3669.  
  3670. ティリス
  3671. {Summoner}……。
  3672. 私はいつだって{Summoner}を
  3673. 信じているよ。
  3674. {Summoner}はいつだって
  3675. 私の期待に応えてくれたから……。
  3676. だから……
  3677. だからこの戦い、絶対に勝とうね!
  3678. そうしたら、今度こそみんなで海に行こう♪
  3679. カルナ・マスタに勝って!
  3680. {Summoner}!
  3681. 私の大切な召喚師![/spoiler][Spoiler=Ending]大神皇たる我が滅びるのか…
  3682. 愚かな人の子よ…
  3683. 汝はすぐに知ることとなろう…
  3684. 己が犯した罪の重さを…
  3685. 人という種の業の深さを…
  3686. この世界の神として
  3687. 我は言葉を遺そう…
  3688. 人のためではなく
  3689. この世界のために…
  3690. 決して求めるな…
  3691. あれはすべてを滅ぼす破壊の力…
  3692. 何者も触れてはならぬ存在…
  3693. 我は憂う…
  3694. 我が世界が人により滅ぶことを…
  3695.  
  3696. ???
  3697. …………!
  3698. {Summoner}……!
  3699. {Summoner}!
  3700.  
  3701. セリア
  3702. {Summoner}!
  3703. 早く起きなさいよ!
  3704. ティリスが……
  3705. ティリスが大変なんだから!
  3706. ティリス、しっかりして!
  3707. {Summoner}が来たわよ!
  3708.  
  3709. ティリス
  3710. {Summoner}……。
  3711. 無事で…よかった……。
  3712. ウッ…グッ……。
  3713.  
  3714. パリス
  3715. ティリス様、無理をしないでください!
  3716.  
  3717. ティリス
  3718. 私…は大丈夫…だよ……。
  3719. やったね……。
  3720. さすが…私の…大切な召喚師……。
  3721. ウゥッ……。
  3722.  
  3723. セリア
  3724. ティリス!
  3725. {Summoner}!
  3726. アンタ、なんとかできないの!?
  3727. カル、パリス、ルジーナ!
  3728. 誰でもいいからティリスを助けて!
  3729.  
  3730. カル
  3731. クッ……。
  3732.  
  3733. ルジーナ
  3734. チッ……。
  3735.  
  3736. パリス
  3737. …………。
  3738.  
  3739. ティリス
  3740. セリア…大丈夫…
  3741. すぐに…元気になるから…
  3742. だから、今は少しだけ…
  3743. やす…ませ…
  3744.  
  3745. セリア
  3746. ティリス!
  3747.  
  3748. アーク
  3749. イリア!
  3750. 聞こえているか!
  3751. カルナ・マスタを倒すため
  3752. 力を尽くしてくれた女神を救うため
  3753. お前の力を貸してくれ!
  3754. 彼女はここで死ぬべき存在じゃない!
  3755. イリア!
  3756. お前の力をーーー!
  3757. アーク…
  3758. あなたの声が聞こえたの…
  3759. 私の最後の力を使って
  3760. 女神様を救ってみせる…
  3761. だから…安心して…
  3762. そしてあなたは…自由に生きて…
  3763. {Summoner}さん…
  3764. あなたのおかげで
  3765. 私たちは救われました…
  3766. これで長い旅が終わります…
  3767. 私だけでなくアークの旅も…
  3768. 心残りはもうありません…
  3769. これで私も静かに眠れる…
  3770. アーク…ありがとう…
  3771. 私はあなたのことを……
  3772.  
  3773. アーク
  3774. イリア……!?
  3775. イリアーーーーーー!
  3776.  
  3777. ティリス
  3778. うっ…くぅっ……。
  3779.  
  3780. セリア
  3781. ティリス!?
  3782.  
  3783. ティリス
  3784. セリ…ア?
  3785.  
  3786. セリア
  3787. ティリスーーーーー!!
  3788.  
  3789. ティリス
  3790. キャッ、セリア、痛い!
  3791. 痛いよ~~!
  3792.  
  3793. セリア
  3794. 心配させた罰よ!
  3795. これくらい我慢しなさい!
  3796.  
  3797. ティリス
  3798. ふえ~~ん、{Summoner}
  3799. 助けて~~~。
  3800. ……でも、どうして私?
  3801. 暖かい光が私を包んで…
  3802. そのあと……。
  3803.  
  3804. カル
  3805. イリアさんが助けてくれたんだ。
  3806. 残されていた最後の力を使って……。
  3807.  
  3808. ティリス
  3809. 最後の…チカラ…?
  3810. アーク…どういうこと?
  3811.  
  3812. アーク
  3813. ……いいんだ。
  3814. イリアはいつだって自分より
  3815. 他人のことを心配していた。
  3816. 俺はそんな彼女だからこそ
  3817. 大切だと思えたんだ……。
  3818.  
  3819. ティリス
  3820. アーク……。
  3821.  
  3822. セリア
  3823. ティリス、アンタも人のこと言えないわよ。
  3824.  
  3825. パリス
  3826. そうね……。
  3827. カルナ・マスタの最後の攻撃……。
  3828. ティリス様が私たちを守ってくださらなけ
  3829. れば全滅していたでしょうね……。
  3830. ティリス様は本当にいつもご自身を
  3831. 犠牲にして無茶をするから……
  3832. でも、ティリス様……
  3833. ありがとうございました……。
  3834.  
  3835. ティリス
  3836. エヘヘッ、みんなを守るって
  3837. {Summoner}と約束したからね♪
  3838.  
  3839. セリア
  3840. でも、それでアンタが死んだら
  3841. 元も子もないでしょ!
  3842. ……どれだけ心配したと思ってるのよ。
  3843.  
  3844. ティリス
  3845. セリア…ゴメンね……。
  3846.  
  3847. セリア
  3848. 謝らないで!
  3849. ティリスは悪くないんだから!
  3850. ティリスやイリアさんにそうさせてしまった
  3851. 私たちの力不足が悪いのよ……。
  3852.  
  3853. ティリス
  3854. セリア……。
  3855.  
  3856. カル
  3857. 確かに俺たち1人1人の力は
  3858. まだまだ弱い。
  3859. でも、みんなの力を合わせたことで
  3860. カルナ・マスタを倒すことができたんだ!
  3861. 今はそれを喜ぼうぜ。
  3862. そうしないと、俺たちを助けてくれた
  3863. イリアさんやアークさんに申し訳ない……。
  3864.  
  3865. アーク
  3866. 気にするな。
  3867. 俺たちは過去の人間だ。
  3868. 今を生きるお前たちを助けるのは
  3869. イリアの望みでもあったのだろう……。
  3870. 今はカルナ・マスタを倒した喜びを
  3871. 感じてくれた方が俺も嬉しい。
  3872.  
  3873. セリア
  3874. …………。
  3875.  
  3876. カル
  3877. アークさん…ありがとう……。
  3878. ただ、喜ぶ前に1つだけ確認させてくれ。
  3879. ティリス、グラデンス爺さんとオーンさんの
  3880. 気配は感じられるか?
  3881.  
  3882. ティリス
  3883. ……カルくん、ゴメンね。
  3884. 2人の力は感じられない……。
  3885.  
  3886. カル
  3887. そうか……。
  3888.  
  3889. ティリス
  3890. で、でも!
  3891. たくさんあった魔神の気配も消えてるから
  3892. もしかしたら…
  3893. ううん、きっと2人は無事だよ!
  3894.  
  3895. カル
  3896. ああ、そうだな。
  3897. 爺さんたちがそう簡単に
  3898. くたばるわけないよな。
  3899.  
  3900. ???
  3901. 皆さん、お疲れ様でした。
  3902.  
  3903. ルジーナ
  3904. ベルツ……。
  3905.  
  3906. ベルツ
  3907. 本当にカルナ・マスタを倒してしまうとは
  3908. さすがアクラス召喚院の皆さんと
  3909. 女神ティリス様。
  3910. そして、神託の騎士アーク……。
  3911. いやはや、その強大な力、
  3912. 同じ時代を生きる者として恐ろしいですね。
  3913.  
  3914. セリア
  3915. 何が言いたいの?
  3916.  
  3917. ベルツ
  3918. そんなに怖い顔をしないでください。
  3919. 私は純粋に皆さんを労いに来た
  3920. だけなのですから。
  3921.  
  3922. カル
  3923. 労いに…ね……。
  3924.  
  3925. ベルツ
  3926. それはそうと、どうやら
  3927. まだ召喚術は使えるようですね?
  3928.  
  3929. カル
  3930. どうしてわかるんだ?
  3931. 俺たちはまだ何も試してないぜ。
  3932.  
  3933. ベルツ
  3934. 私が試しました。
  3935. 実は私も少しですが召喚術を使えるもので。
  3936.  
  3937. パリス
  3938. 本当に食えない人ね……。
  3939.  
  3940. ベルツ
  3941. 言う機会が無かったもので。
  3942. でも、ルジーナから聞いていないのですか?
  3943. ルジーナ、どうして大切な仲間の皆さんに
  3944. お伝えしなかったんだ。
  3945. やっぱり俺のことを思って
  3946. 隠してくれていたのかい?
  3947.  
  3948. ルジーナ
  3949. 必要が無かっただけだ。
  3950. お前が何者だろうと俺たちには関係ねー。
  3951. ただそれだけだ。
  3952.  
  3953. ベルツ
  3954. フフッ、本当にそれだけなのか?
  3955.  
  3956. ルジーナ
  3957. …………。
  3958.  
  3959. ベルツ
  3960. まあ、今はそれでいいとしよう。
  3961. さて、皆さん。
  3962. なぜ召喚術は消えていないのでしょうか?
  3963. 興味がありませんか?
  3964.  
  3965. セリア
  3966. 別に無いわ。
  3967. 召喚術は今後も使える。
  3968. その事実だけで十分よ。
  3969.  
  3970. ベルツ
  3971. ハハハッ、さすがセリアさん。
  3972. では、ここからは私の独り言です。
  3973. 興味が無ければ耳を塞いでおいてください。
  3974. 私の所属するエルガイア連邦では、
  3975. アクラス召喚院の動向を監視し続けていて
  3976. いつかカルナ・マスタと戦い倒すだろう
  3977. ことを想定していました。
  3978. そして、その後について
  3979. いくつかのパターンを予測していたのです。
  3980. その1つがカルナ・マスタを倒しても
  3981. 召喚術が消えないという今の状況です。
  3982.  
  3983. パリス
  3984. …………。
  3985.  
  3986. ベルツ
  3987. 実はこの状況は比較的に確率が高いと
  3988. 想定していまして、
  3989. なぜそうなるか、その後どうなるかは
  3990. 何度も検討し合いました。
  3991. その内容を聞いてもらえますか?
  3992.  
  3993. セリア
  3994. 嫌だと言っても話すんでしょう?
  3995. だったらとっとと話してよ。
  3996.  
  3997. ベルツ
  3998. ありがとうございます。
  3999. では、お言葉に甘えて。
  4000. さて皆さん。
  4001. 召喚術はカルナ・マスタが作った。
  4002. この事実は皆さんならご存知でしょう。
  4003.  
  4004. セリア
  4005. なんでアンタが知ってるかは
  4006. 知らないけどね。
  4007.  
  4008. ベルツ
  4009. フフッ、男は秘密が多い方が
  4010. 魅力的だと思いませんか?
  4011.  
  4012. セリア
  4013. いいから、早く続けて。
  4014.  
  4015. ベルツ
  4016. では、続けさせていただきます。
  4017. 私たちの調査だと召喚術を作ったのは
  4018. カルナ・マスタですが
  4019. その力の源は別の所にあるようなのです。
  4020.  
  4021. パリス
  4022. 別の…場所?
  4023.  
  4024. ベルツ
  4025. そうです。
  4026. 別の場所です。
  4027.  
  4028. ティリス
  4029. でも、そんな場所、
  4030. 私は知らないよ?
  4031.  
  4032. ベルツ
  4033. ティリス様がご存知無いのも当然です。
  4034. その場所は、この世界とは別の世界
  4035. “異界”なのですから。
  4036.  
  4037. セリア
  4038. 異界って良く聞くあの異界?
  4039.  
  4040. ベルツ
  4041. そうです。
  4042. この世界とは異なる文化を持つ異界です。
  4043. 皆さんは異界についてどうお考えですか?
  4044. 「便利な力がある別の世界」程度の
  4045. 認識なのでは?
  4046. その認識は間違っていませんが
  4047. その先があるのです。
  4048.  
  4049. パリス
  4050. その先……。
  4051.  
  4052. ベルツ
  4053. 私たちの調査では、
  4054. 異界とは、かつてカルナ・マスタが
  4055. この世界を支配するために戦った際、
  4056. その強大な力で分断された世界なのです。
  4057. かつては1つでありながらいくつもの世界に
  4058. 分断されたもの。
  4059. それが異界なのです。
  4060. そして、その異界に
  4061. 召喚術の源となる力が眠っている。
  4062. これがエルガイア連邦の出した結論です。
  4063.  
  4064. パリス
  4065. 壮大な話ね……。
  4066. でも、エルガイア連邦はどうやって
  4067. その情報を入手したというの?
  4068. それに、その推測が正しいとして
  4069. どうして私たちにそれを話すの?
  4070. あなたなら知っているのでしょう?
  4071. 私がこの後、皇国に戻ることを。
  4072.  
  4073. ベルツ
  4074. ええ、知っていますよ。パリスさん。
  4075. 私個人としては非常に残念な選択です。
  4076. それ故に、この推測に関する情報源は
  4077. 教えることができません。
  4078. 皆さんとは個人的な仲ではありますが、
  4079. その前に私も連邦の役人ですので。
  4080.  
  4081. ルジーナ
  4082. 連邦の役人ね……。
  4083.  
  4084. ベルツ
  4085. …………。
  4086. さて、次はこの話をする理由ですね。
  4087. それは簡単です。
  4088. 不公平だからですよ!
  4089.  
  4090. セリア
  4091. 不公平?
  4092.  
  4093. ベルツ
  4094. そうです!
  4095. この情報はおそらく連邦だけでなく
  4096. 皇国や召喚院も知ることとなります。
  4097. その時、すべての勢力は
  4098. その力を求めて動き出すでしょう。
  4099. 私はどの勢力が覇権を握ろうとも
  4100. 良いと思っていますが、
  4101. 私の目的のためにここまでがんばって
  4102. くださった皆さんには
  4103. 少し先の未来を推測するだけの情報を
  4104. 知る権利があると思いましたので。
  4105.  
  4106. セリア
  4107. 私たちはアンタのために
  4108. カルナ・マスタを倒したわけじゃないわ。
  4109. アンタの目的がどんなものか
  4110. 知らないけどね。
  4111.  
  4112. ベルツ
  4113. 私の目的はシンプルですよ。
  4114. エルガイア、グランガイア、イシュグリア、
  4115. この3つの世界における支配を
  4116. 神や魔神ではなく、
  4117. 人の手に取り戻したかっただけです。
  4118. そして、それをこれからも続けられる
  4119. 体制を作る。
  4120. ここは本来、私たちの世界なのですから、
  4121. 他の存在は元の世界へ戻っていただく。
  4122. それだけです。
  4123.  
  4124. セリア
  4125. 支配とか元の世界とかどういうことよ?
  4126.  
  4127. ベルツ
  4128. それはこれからわかります。
  4129. 皆さんはもうすでに
  4130. 舞台の袖まで来ているのですから。
  4131.  
  4132. ???
  4133. そう言わず、今すぐに教えてくれんかの。
  4134.  
  4135. パリス
  4136. グラデンス様!
  4137. オーン様!
  4138.  
  4139. セリア
  4140. 2人とも無事だったんですね!
  4141.  
  4142. グラデンス
  4143. フォッフォッフォッ、
  4144. そう簡単にやられはせんよ。
  4145. まあ、途中、さすがに厳しくなり
  4146. 何体か魔神を逃がしてしまったがの。
  4147. …………。
  4148. みな、本当によくやってくれた。
  4149. 召喚老ではなく1人の召喚師として
  4150. お主たちに礼を言わせてくれ。
  4151.  
  4152. カル
  4153. 礼なんかいらないよ……。
  4154. よかった……。
  4155. 生きていてくれて…本当に……。
  4156.  
  4157. グラデンス
  4158. なんじゃ、ワシらが死んだとでも思ったか?
  4159. お主に心配されるほど老いては……。
  4160.  
  4161. カル
  4162. 心配するさ!
  4163. 心配するに決まってるだろ……。
  4164.  
  4165. グラデンス
  4166. そうじゃな…すまない……。
  4167. 心配をかけたの……。
  4168.  
  4169. カル
  4170. ま、まあ、もういいよ。
  4171. お互いに生き残れたんだからな。
  4172.  
  4173. グラデンス
  4174. ああ…そうじゃな……。
  4175.  
  4176. セリア
  4177. カル…グラデンス様……。
  4178. オーン様!
  4179. オーン様も心配したんですよ!
  4180.  
  4181. オーン
  4182. フン、お前に心配される謂れはない。
  4183.  
  4184. セリア
  4185. 心配しま……。
  4186.  
  4187. オーン
  4188. 心配など無用!
  4189.  
  4190. セリア
  4191. うっ……。
  4192.  
  4193. パリス
  4194. オーン様はやっぱりオーン様ね……。
  4195.  
  4196. ティリス
  4197. でも、2人とも無事で本当によかったね♪
  4198.  
  4199. ベルツ
  4200. いやいや、本当にお2人とも
  4201. 無事で何よりです。
  4202. では、そろそろ話を戻しても
  4203. よろしいでしょうか?
  4204.  
  4205. グラデンス
  4206. そうじゃな。
  4207. お主に聞きたいことはたっぷりあるからの。
  4208.  
  4209. ベルツ
  4210. ぜひぜひお聞きください!
  4211. 皆さんの勝利を祝して
  4212. なんでもお答えしちゃいますよ!
  4213.  
  4214. グラデンス
  4215. ならばそうじゃな。
  4216. アベル機関はどう動く?
  4217.  
  4218. ベルツ
  4219. アベル機関ですね!
  4220. ええ、ええ、よく知っていますよ!
  4221. アベル機関の動向ですが……。
  4222. 秘密です♪
  4223.  
  4224. セリア
  4225. アンタって人は……。
  4226. でも、グラデンス様、
  4227. そもそもアベル機関って何ですか?
  4228.  
  4229. ルジーナ
  4230. アベル機関ってのは表向きは
  4231. エルガイア連邦に所属する
  4232. 異界の技術の研究機関だ。
  4233.  
  4234. セリア
  4235. ルジーナ?
  4236.  
  4237. ベルツ
  4238. …………。
  4239.  
  4240. ルジーナ
  4241. だが、“異界の技術”という大きな力を
  4242. 持った組織は連邦の管理を越え、
  4243. エルガイア各地に裏で影響を与えている。
  4244. まあ、アクラス召喚院が表の世界で
  4245. 国家間を越えて活動しているように
  4246. アベル機関は裏の世界で
  4247. 動いてるってことだ。
  4248. その存在自体、知る者はほとんどいない。
  4249. 権力の中枢に近い極一部を除いてな。
  4250. パリス、お前なら名前くらいは
  4251. 知っていたんだろ?
  4252.  
  4253. パリス
  4254. え、ええ……。
  4255. エリオール様から少しは……。
  4256.  
  4257. セリア
  4258. でも、なんでそれをアンタが知ってるのよ!
  4259.  
  4260. ベルツ
  4261. それは、ルジーナがアベル機関に
  4262. 所属していたことが過去にあるからです。
  4263. 親友である私とともにね。
  4264.  
  4265. パリス
  4266. だから異界の遺跡や遺物にも
  4267. 詳しかったのね……。
  4268. そんな感じじゃ無いのに
  4269. おかしいと思ったわ……。
  4270.  
  4271. ルジーナ
  4272. ケッ、どうでもいいことだ。
  4273. それより問題なのは
  4274. その名前が召喚老から出て、
  4275. その存在をこいつが否定しないことだ。
  4276. つまり、もう隠す必要がないんだろ?
  4277. 異界に眠る召喚術の源となる力。
  4278. それを狙ってヤツらも動き出すんだな?
  4279.  
  4280. ベルツ
  4281. ルジーナ、さっきも言っただろう?
  4282. それは秘密だって。
  4283. ただ、これだけはさっきも言った通りだ。
  4284. 召喚術の源なる偉大な力。
  4285. その情報はエルガイア連邦や
  4286. ランドール皇国の上層部も知っていて
  4287. 色々と動き出し始めている。
  4288. アクラス召喚院に奪われた
  4289. エルガイアの盟主の座を取り戻すためにね。
  4290.  
  4291. グラデンス
  4292. ワシらはエルガイアの盟主になったつもり
  4293. など無いのじゃがな。
  4294.  
  4295. ベルツ
  4296. エルガイアでもっとも影響力を持つ
  4297. 召喚老のお1人がご謙遜を。
  4298. さて、私も色々と忙しくなるので
  4299. そろそろお別れさせていただきます。
  4300. 皆さん、次の戦いに向けて
  4301. 英気を養っておいてくださいね♪
  4302. 特に{Summoner}さん、
  4303. あなたの存在はすべての組織から
  4304. 注目され続けます。
  4305. くれぐれもおかしな行動は
  4306. 謹んでくださいね。
  4307. あなたの言動1つで戦争が
  4308. 始まるかもしれませんので。
  4309.  
  4310. パリス
  4311. 戦争……。
  4312.  
  4313. ベルツ
  4314. 神々や魔神たちとの戦いは終わりました!
  4315. そして、次は人間同士の
  4316. 醜い争いが始まるのです!
  4317.  
  4318. ルジーナ
  4319. ベルツ…テメー……。
  4320.  
  4321. ベルツ
  4322. ルジーナ、今度は今回みたく
  4323. 俺も甘い顔はしないよ。
  4324. 俺に協力する振りをしても
  4325. これ以上の情報は与えるつもりはない。
  4326.  
  4327. ルジーナ
  4328. ケッ、んなことは、わかってる。
  4329.  
  4330. ベルツ
  4331. …………。
  4332. 結局、かつての神々の判断は
  4333. 正しかったのかもしれないな。
  4334. 神や魔神を倒して人が自由になった結果が
  4335. これなんだから……。
  4336.  
  4337. セリア
  4338. …………。
  4339. なんなのよアイツはもーーー!
  4340. 折角の勝利の気分が台無しじゃない!
  4341.  
  4342. ルジーナ
  4343. 気にするな。
  4344. アレはアイツなりの嫌がらせなんだろうよ。
  4345. ベルツの野郎は悔しかったんだろうぜ。
  4346. 俺たちがカルナ・マスタを
  4347. 犠牲なく倒したのがな。
  4348. アイツの予測じゃー、
  4349. 本当はもっと召喚院の力を減らして
  4350. 次の戦いに備えたかったはずだ。
  4351. もしくは俺らが全滅した後、
  4352. おいしく自分が動くつもりだったか。
  4353.  
  4354. セリア
  4355. 徹底してイヤな奴ね……。
  4356. でも、そこまでわかるなんて
  4357. さすが幼馴染ね。
  4358. カルと{Summoner}と
  4359. 同じ感じってこと?
  4360.  
  4361. ルジーナ
  4362. そんなんじゃねーって言ってるだろ!
  4363. ヤツとはただの腐れ縁なだけだ。
  4364. まあ、だが俺にも考えがある。
  4365. このままヤツのいいようにやられるのは
  4366. 気分がワリーからな。
  4367.  
  4368. パリス
  4369. ベルツよりも悪そうな顔ね……。
  4370.  
  4371. カル
  4372. ルジーナ、お前はこの後、
  4373. どうするつもりなんだ?
  4374.  
  4375. ルジーナ
  4376. ハン、ヤツがもっと嫌がることを
  4377. するだけだ。
  4378. アクラス召喚院の力をつけるっていうな!
  4379. 召喚老ども、俺にもっと権限を寄越せ!
  4380. 俺がアベル機関と戦う力を与えてやる!
  4381.  
  4382. グラデンス
  4383. ルジーナよ。
  4384. お主の本来の目的はそれなのじゃろう?
  4385. アベル機関と戦うための力を
  4386. 作り出すというの。
  4387.  
  4388. ルジーナ
  4389. だったら、どうだってんだ?
  4390.  
  4391. グラデンス
  4392. どうもせんよ。
  4393. ワシらも元よりそのつもりじゃ。
  4394. ルジーナ、お主を
  4395. 対異界調査対策室の室長に任命する。
  4396. 部下の構成や必要なものについて
  4397. お主の好きにするがいい。
  4398. もちろん、実戦部隊の配備についてもな。
  4399. 事務方やウォーロンには
  4400. ワシから話しておく。
  4401.  
  4402. ルジーナ
  4403. ハン、悪くない判断じゃねーか。
  4404. 俺に任せておきな。
  4405. 連邦や皇国はもちろん、
  4406. アベル機関の連中にも
  4407. 2度と無駄な野望なんざ
  4408. 抱けねーようにしてやるよ。
  4409.  
  4410. セリア
  4411. グラデンス様……ルジくんに
  4412. そんな権限を与えちゃっていいんですか?
  4413. もしかしたら連邦の諜報員かも
  4414. しれないんですよ?
  4415.  
  4416. グラデンス
  4417. セリアよ、自分でも思ってないことを
  4418. わざわざ言うでない。
  4419.  
  4420. セリア
  4421. それは……。
  4422.  
  4423. グラデンス
  4424. それとも、監視も含めてお主もルジーナの
  4425. 部隊編成の手伝いをするか?
  4426.  
  4427. セリア
  4428. いえ、私もやりたいことがあるので、
  4429. ルジーナと遊んでる暇はありません。
  4430. 私は今回の戦いで痛感したんです。
  4431. もっと強くならないと…
  4432. 自分の意志を貫き通すほどに…って。
  4433.  
  4434. パリス
  4435. セリア……。
  4436.  
  4437. セリア
  4438. だから……。
  4439. オーン様!
  4440. 私を鍛えてください!
  4441.  
  4442. オーン
  4443. 断る!
  4444.  
  4445. セリア
  4446. 断らせません!
  4447.  
  4448. オーン
  4449. 断る!
  4450.  
  4451. セリア
  4452. ダメです!
  4453.  
  4454. オーン
  4455. 断る!
  4456.  
  4457. セリア
  4458. ……ケイト師匠にお願いしてでも
  4459. 私を鍛えてもらいます。
  4460.  
  4461. オーン
  4462. ぬ……。
  4463.  
  4464. グラデンス
  4465. フォッフォッフォッ、
  4466. そうじゃったな。
  4467. セリアの師匠はケイトじゃったな。
  4468. オーンよ、お主、ケイトからの願いを
  4469. 断り切る自信はあるのか?
  4470.  
  4471. オーン
  4472. フン……いいだろう。
  4473. だが、セリアよ。
  4474. お前には本当の地獄を見せてやる。
  4475. この選択をお前が後悔するほどのな。
  4476.  
  4477. セリア
  4478. 望むところです。
  4479.  
  4480. パリス
  4481. グラデンス様、オーン様、
  4482. 私は召喚院を辞め
  4483. ランドール皇国に戻ることにしました。
  4484. 今後、皇国がどのような動きをするのかは
  4485. わかりませんが、
  4486. 私がこれまでの戦いで得た、
  4487. 最後まで諦めない心で
  4488. 必ず戦争になることは止めてみせます。
  4489. 関係無い人を巻き込むような戦いは
  4490. 絶対にさせません。
  4491.  
  4492. グラデンス
  4493. フォッフォッフォッ、
  4494. 頼もしい限りじゃな。
  4495. パリスよ。
  4496. 現時点をもってお主を
  4497. アクラス召喚院から除名する。
  4498. お主はもう自由じゃ。
  4499.  
  4500. パリス
  4501. ありがとうございました……。
  4502.  
  4503. グラデンス
  4504. とはいえ、いつでも遊びに来るんじゃぞ。
  4505.  
  4506. パリス
  4507. グラデンス様……。
  4508.  
  4509. グラデンス
  4510. できれば、夏場の薄着の時にな。
  4511.  
  4512. パリス
  4513. しっかりと皇国でがんばります……。
  4514.  
  4515. カル
  4516. グラデンス爺さん。
  4517. 俺はイシュグリアにもう少し残る。
  4518. バリュオンとはもっと話し合う
  4519. 必要があるからな。
  4520. リオメルグさんのことも気になるし……。
  4521.  
  4522. グラデンス
  4523. そうか。
  4524. では、バリュオン殿に伝えておいてくれ。
  4525. その内、挨拶に行くとの。
  4526.  
  4527. カル
  4528. ああ、伝えておくよ。
  4529. アークさん、
  4530. アンタはこれからどうするんだい?
  4531.  
  4532. アーク
  4533. 俺はこの地でもう一度イリアを
  4534. 探してみる。
  4535.  
  4536. セリア
  4537. でも……。
  4538.  
  4539. アーク
  4540. 俺にはあれでイリアが消えたとは
  4541. 到底思えない。
  4542. あの言葉は俺をこれ以上縛らないための
  4543. アイツのウソだと思うんだ。
  4544.  
  4545. カル
  4546. アークさん……。
  4547.  
  4548. アーク
  4549. 可能性は確かに低いかもしれない。
  4550. だが、俺にはたっぷりと時間がある。
  4551. イリアがダメと言っても
  4552. 探し続けてやるさ。
  4553.  
  4554. セリア
  4555. だったら私たちも手伝うわ!
  4556.  
  4557. アーク
  4558. それはダメだ。
  4559.  
  4560. セリア
  4561. どうして!
  4562.  
  4563. アーク
  4564. お前たちには次の戦いが待っている。
  4565. 今を生きるお前たちは自分たちの未来の
  4566. ために戦わなければならない。
  4567. 過去に捕らわれるのは俺だけで十分だ。
  4568.  
  4569. セリア
  4570. …………。
  4571.  
  4572. アーク
  4573. そんな顔をするな。
  4574. 俺はお前たちのおかげで
  4575. 十分、過去の呪縛から解放されている。
  4576. ここから先は俺個人の問題だ。
  4577. 俺の好きにさせてくれ。
  4578.  
  4579. ティリス
  4580. 大丈夫!
  4581. アークだったら絶対にイリアさんを
  4582. 助けることができるよ!
  4583. だって、これまでず~っと
  4584. がんばってきたんだもん!
  4585.  
  4586. カル
  4587. そうだな。
  4588. アークさん、イリアさんと再会できること
  4589. 祈ってるぜ。
  4590.  
  4591. アーク
  4592. ありがとう……。
  4593. {Summoner}よ。
  4594. お前たちが困った時は言ってくれ。
  4595. 俺はどんな時、どんな場所だろうが
  4596. 必ずお前たちに力を貸す!
  4597.  
  4598. カル
  4599. ハハッ、{Summoner}、
  4600. 頼りになる味方ができたな。
  4601.  
  4602. ティリス
  4603. アーク、がんばってね!
  4604.  
  4605. アーク
  4606. ああ。
  4607. ティリス、人々をこれからも頼む。
  4608.  
  4609. ティリス
  4610. うん、任せておいて♪
  4611.  
  4612. セリア
  4613. ティリス、アンタはこの後どうするの?
  4614. もう、封印を続ける必要はないんでしょう?
  4615.  
  4616. ティリス
  4617. うん!
  4618. 私はもう自由だよ♪
  4619. グラ爺とオーンちゃんのおかげで、
  4620. イシュグリアの封印を守る必要も
  4621. もうなさそうだしね。
  4622. だから私は……。
  4623.  
  4624. セリア
  4625. 私は?
  4626.  
  4627. ティリス
  4628. {Summoner}と一緒に海に行くの!
  4629.  
  4630. セリア
  4631. ハァ!?
  4632.  
  4633. パリス
  4634. う、海ですか?
  4635.  
  4636. ティリス
  4637. そう、海だよ!
  4638. ず~~と約束したまんまだったから!
  4639. ね、{Summoner}♪
  4640.  
  4641. セリア
  4642. ちょっと、{Summoner}!
  4643. アンタ、みんながこれからのために
  4644. 動こうって時にサボるつもり!?
  4645.  
  4646. ティリス
  4647. あ、もしかしてセリアも
  4648. 一緒に行きたかった?
  4649. だったら、セリアとパリスも
  4650. 一緒に行こうよ!
  4651.  
  4652. セリア・パリス
  4653. 行かないわよ!
  4654. 行きません!
  4655.  
  4656. グラデンス
  4657. だったらワシが一緒に行こうかの……。
  4658.  
  4659. オーン
  4660. お前にそんな時間を与えると思うか?
  4661.  
  4662. グラデンス
  4663. ちょ、ちょっと待てオーンよ!
  4664. ワシだって少しくらいは休んでも
  4665. いいじゃろうが!
  4666.  
  4667. オーン
  4668. お前は働け。
  4669.  
  4670. カル
  4671. ハハッ、そうだな。
  4672. グラデンス爺さんは働いてないと
  4673. 一気に老けそうだからな。
  4674.  
  4675. グラデンス
  4676. カルよ…お主まで……。
  4677.  
  4678. カル
  4679. で、{Summoner}、
  4680. お前はどうするんだ?
  4681.  
  4682. ティリス
  4683. {Summoner}!
  4684. 今度は私と一緒にゆっくりと世界を回ろう!
  4685. 私、戦い無しで{Summoner}と一緒に
  4686. もっと色々なものを見たいな。
  4687. グランガイアにもイシュグリアにも
  4688. きっと私たちが旅の中でみつけられなかった
  4689. 素敵な場所がもっともっとあると思うから!
  4690.  
  4691. グラデンス
  4692. それもいいかもしれんの。
  4693. {Summoner}よ。
  4694. お主は本当によくやってくれた。
  4695. 今度は自分の知見を広げるため
  4696. 旅をするのもいいじゃろう。
  4697. ティリスちゃんと一緒なのは
  4698. 羨ましいがの……。
  4699.  
  4700. パリス
  4701. {Summoner}、私はあなたと一緒に
  4702. 戦えたことを誇りに思うわ。
  4703. だから、次に会う時には
  4704. 今より成長した私を見せたいの。
  4705. その時もっと成長したあなたとティリス様に
  4706. 会えるのを楽しみにしているわ。
  4707. 必ずまた会いましょう。
  4708.  
  4709. セリア
  4710. 見てなさい!
  4711. {Summoner}!
  4712. アンタがティリスと
  4713. 遊んでいる間に
  4714. 私は絶対にアンタより
  4715. 強くなってやるんだから!
  4716. だから…だから次に会う時は……
  4717. 次に会う時は私と戦いなさい!
  4718. いいわね!
  4719.  
  4720. オーン
  4721. フン、{Summoner}など
  4722. 目標としては低すぎる。
  4723. {Summoner}よ。
  4724. もっと強くなれ。
  4725. でなければ、俺がセリアを
  4726. 鍛える意味が無いからな。
  4727. いいか。
  4728. これは命令だ。
  4729.  
  4730. ルジーナ
  4731. そうだな、{Summoner}。
  4732. お前には強くなってもらわねーとな。
  4733. お前は俺が作る次の組織の
  4734. 一員なんだからよー。
  4735.  
  4736. セリア
  4737. また勝手なこと言って……。
  4738. {Summoner}、はっきり言った方が
  4739. いいわよ。
  4740. ルジくんとは一緒に戦いたくないって。
  4741.  
  4742. ルジーナ
  4743. ふざけんな!
  4744. なんでお前が言うんだよ!
  4745.  
  4746. セリア
  4747. うるさいわね!
  4748. いつもいつも誘ってるけど
  4749. 無視されてることに気が付きなさいよ!
  4750.  
  4751. ルジーナ
  4752. なんだと!
  4753.  
  4754. パリス
  4755. フフッ、{Summoner}。
  4756. ティリス様との旅が落ち着いたら
  4757. 皇国で私を手伝ってくれると嬉しいわ。
  4758. あなたが一緒なら
  4759. あの人たちを変えられるかもしれないから。
  4760.  
  4761. ルジーナ
  4762. パリス、テメー!
  4763. ドサクサ紛れに何言ってやがる!
  4764.  
  4765. セリア
  4766. パリス、あなたまで何言ってるのよ!
  4767.  
  4768. ティリス
  4769. みんなダメ~~!
  4770. {Summoner}は
  4771. 私と一緒に海に行くんだから~!
  4772.  
  4773. カル
  4774. ハハッ、{Summoner}も
  4775. 人気があって大変だな。
  4776. お互いにそれぞれ別の道を進むが
  4777. きっとまたすぐに道は交わるさ。
  4778. だから、それまでにお互い
  4779. しっかりと前に進み続けようぜ。
  4780. 俺はいつだってお前の親友だからな。
  4781.  
  4782. ティリス
  4783. よ~~し、それじゃあ
  4784. {Summoner}!
  4785. まずはどこに行く?
  4786. 久しぶりの{Summoner}と
  4787. 2人での冒険楽しみだな♪
  4788. 一緒だったらきっとみつけられるよ!
  4789. {Summoner}と私が目指す
  4790. 2人のフロンティアがね♪[/spoiler][b]EX:[/b]
  4791. [Spoiler=Open]カロン
  4792. {Summoner}か……。
  4793. どうやら本当にカルナ・マスタを
  4794. 倒したようだな。
  4795. イリアの願いは
  4796. 叶えられたということか……。
  4797. だが、{Summoner}よ。
  4798. ここを訪れたということは
  4799. お前はまだ戦いを求めるというのか?
  4800. カルナ・マスタの体は滅びた。
  4801. ヤツの力と魂が復活することはないだろう。
  4802. それに直接戦いを挑まない限りな。
  4803. …………。
  4804. {Summoner}よ。
  4805. お前は何を期待している?
  4806. 神託の巫女はその体と魂のすべてを
  4807. カルナ・マスタの封印に捧げた。
  4808. たとえすべての封印を解き
  4809. カルナ・マスタのすべてを滅しても
  4810. 彼女が救われることはない。
  4811. お前がまだ微かでも希望を持っている
  4812. というのなら
  4813. その希望、私がすべて消してやろう。
  4814. 神託の巫女イリアは戻らない。
  4815. そのことを教えるためにな![/spoiler][Spoiler=Clear]カロン
  4816. グッ……。
  4817. さすがはカルナ・マスタを倒した召喚師。
  4818. 私の力では止められぬか……。
  4819. ならばお前には伝えよう。
  4820. 私はカロンでもその分身でもなく
  4821. 封魔導神カロンの“影”であることを。
  4822. 私は間もなくその役目を終えて消滅する。
  4823. それと同時に2つの封印が解ける。
  4824. 1つは8体の魔神が封じた
  4825. カルナ・マスタの真の力。
  4826. お前が今までに倒した私は
  4827. 影でなく分身体。
  4828. それらは封印は担っていない。
  4829. 今が真に封印が解ける時だ。
  4830. そしてもう1つはカルナ・マスタの魂を
  4831. 封じた地の封印。
  4832. レームの西、ミルドランにあるその地では
  4833. 今頃、解かれたカルナ・マスタの力が
  4834. 自身の魂を探し求めているだろう。
  4835. だが、その魂の最後の封印は
  4836. 神託の巫女がその身を捧げて担っている。
  4837. カルナ・マスタの魂と力が
  4838. 復活することはない。
  4839. 永遠にな……。
  4840. …………。
  4841. それでもお前は
  4842. ミルドランに向かうのだろう?
  4843. 眠れる破壊神を目覚めさせ
  4844. 必要の無い戦いをするのだろう?
  4845. 己の欲を満たすためだけに……。
  4846. {Summoner}よ。
  4847. お前は何を望み願う?
  4848. 神をも倒すお前は人の人生をも
  4849. その手で支配したいのか?
  4850. 運命を見通す我が瞳でも
  4851. お前の未来は見えない。
  4852. アークやイリアも、
  4853. お前の仲間たちの未来も……。
  4854. それは幸せなのか、
  4855. それとも不幸なのか……。
  4856. いつかその答えを聞いてみたいものだ……。[/spoiler][/center]
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