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- 二0九七年二月二十八日(木)
- 今日最後の授業が終った。
- あいつがいつもどおり、司波さんお迎えに来た。
- 俺は生徒会室に向かうあの人呼び止めた。
- 廊下には大勢の生徒がいた。
- あの人の隣は、あいつがいた。
- だが俺は、あの人と二人きりになろうとはしなかった。あいつの目を避けてこそこそするのは、負けのような気がしたからだ。
- 俺は携帯端末にチケットを表示し、今度の日曜日、一緒に映画に行きませんかと誘った。
- あの人は目を見開き、ちょっと困った顔で司波の顔を見上げた。
- 司波は俺に「デートの誘いか?」と直球で訊きやがった。
- 俺は意地を張って。「そうだ」と答えた。
- あいつの回答は「二人きりにはさせられない」だった。
- しかし次のセリフは以外だった。
- あいつは、桜井さを連れて行くなら映画に行っても構わないと許可を出したんだ。
- 俺はすかさず、それでも構わないから是非、ともう一度司波さんを誘った。
- あの人は少し戸惑いを見せた後、ニッコリ笑って頷いてくれた。
- 煌めく笑顔で、デートの申し込みを受けてくれた!
- 実を言えば、あいつは司波さんを止めないだろうと予想していた。あいつは、司波さんのことを束縛したくないと強く思っている節がある。
- だが俺と司波さんを二人きりにすることもないと分かっていた。あいつは、司波さんの婚約者を狙っている野郎と二人きりにする男はきっといない。
- 以外だったのは、自分がついていくと言い出さなかったことだ。
- あいつは桜井さんをあの人の同行者に選んだ。
- そりゃあ、俺はそっちの方が嬉しいに決まっている。たとえあの人と二人きりでなくても、男のお邪魔虫がついているより遥かに良い。
- あいつは何故、俺にとって都合が良い条件を出したんだ?
- 余裕のつもりか?
- まあいい。あいつがそのつもりなら、俺は全力で奪いに行くだけだ。
- 後で吠え面かくなよ!
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